JP6238741B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、表面に凹部がある基板を処理する技術に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板、等が含まれる。
半導体装置や液晶表示装置等の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板等の基板から異物を除去する洗浄工程が行われる。例えば、トランジスタやキャパシタ等のデバイスが作り込まれた半導体ウエハの表面に多層配線を形成するバックエンドプロセス(BEOL:Back End of the Line)では、ドライエッチングやアッシングによって発生したポリマー残渣を除去するポリマー除去工程が行われる。例えば特許文献1,2には、回転される基板にポリマー除去液を供給して、基板のポリマー残渣を除去する技術が開示されている。
特開2007−81419号公報 特開2013−123001号公報
ところで、基板(表面に配線溝やヴィアホール等の凹部が形成されている基板)を回転しつつ、これにポリマー除去液等の処理液を供給すると、基板の表面が処理液の液膜で覆われた状態となり、凹部内が処理液で満たされる。これによって、凹部内のポリマー残渣が、処理液で溶かし出されて剥離される。ここからさらに、凹部内を満たしている処理液をポリマー残渣とともに凹部から排出して、凹部内を次々と新鮮な処理液に置換していくことによって、ポリマー残渣が基板から除去されていく。
ところが、凹部内を満たしている処理液を凹部内から排出することは、容易なことではない。従来は、例えば、基板を一定の回転速度で定められた方向に回転し、凹部内の処理液に遠心力を作用させることによって、処理液を凹部内から排出しようとしていた。しかしながら、この態様では、凹部内の処理液には一方向に偏った力しかはたらかないので、凹部内の処理液の流動性が十分に高まらず、凹部内の処理液の大部分が、排出されずに凹部内に滞留してしまう。つまり、凹部内の処理液が、新鮮な処理液に十分に置換されていかない。こうなると、ポリマー残渣が凹部内から十分に除去されず、凹部内にポリマー残渣が残存するおそれがある。ポリマー残渣の残存は、デバイスの電気的特性の低下、歩留りの低下等の原因となり得る。
ポリマー残渣の除去率を高めるためには、例えば、処理時間の延長や、使用する処理液の増量等が考えられるが、処理時間の延長はスループットの低下につながり、処理液の増量はコストアップにつながってしまう。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表面に凹部がある基板を効率的に処理できる技術を提供することを目的とする。
第1の態様は、表面に凹部がある基板を処理する基板処理方法であって、a)水平姿勢で保持されて水平面内で回転される前記基板の前記表面に、処理液を供給して、前記表面を覆う前記処理液の液膜を形成する工程と、b)前記a)工程と並行して、前記表面を覆う前記処理液の液膜を維持しつつ、前記基板の回転速度を、第1回転速度と第2回転速度との間で、2回以上、切り替える工程と、を備え、前記a)工程において、前記処理液の着液位置を移動させつつ、前記表面に前記処理液を供給し、前記基板の回転中心を含み、かつ、前記基板の周縁部を含まない領域内で、前記着液位置を移動させ、前記領域の外周縁の位置が、前記表面内の各位置における前記凹部内の前記処理液の速度に基づいて規定される
第2の態様は、第1の態様に係る基板処理方法であって、前記領域の前記外周縁の位置は、前記基板の前記凹部内の前記処理液の速度の上向きの成分が、前記周縁部の前記凹部内の前記処理液の速度の上向きの成分の半分となる位置に規定される
の態様は、第1または第2の態様に係る基板処理方法であって、前記第1回転速度で回転される前記基板の回転方向と、前記第2回転速度で回転される前記基板の回転方向とが、同じ方向である。
の態様は、第1から第のいずれかの態様に係る基板処理方法であって、前記第1回転速度と前記第2回転速度との間の切り替えが、間欠的に行われる。
の態様は、第1から第のいずれかの態様に係る基板処理方法であって、前記処理液が、前記表面のポリマーを除去するとともに、前記表面に形成されている薄膜を除去する薬液である。
の態様は、第1から第のいずれかの態様に係る基板処理方法であって、前記処理液が、薬液をすすぎ流すリンス液である。
の態様は、表面に凹部がある基板を処理する基板処理装置であって、前記基板を水平姿勢に保持しつつ、前記基板を鉛直な回転軸のまわりで回転させる回転保持部と、前記回転保持部に保持される前記基板の前記表面に処理液を供給する吐出部と、前記吐出部に前記表面に前記処理液を供給させて、前記表面を覆う前記処理液の液膜を形成させつつ、これと並行して、前記表面を覆う前記処理液の液膜を維持しつつ、前記回転保持部に、前記基板の回転速度を第1回転速度と第2回転速度との間で2回以上切り替えさせる、制御部と、を備え、前記制御部は、前記基板の回転中心を含み、かつ、前記基板の周縁部を含まない領域内で、前記処理液の着液位置を移動させつつ、前記表面に前記処理液を供給し、前記領域の外周縁の位置が、前記表面内の各位置における前記凹部内の前記処理液の速度に基づいて規定される
第1、第7の態様によると、基板に処理液を供給しつつ、基板の回転速度を、第1回転速度と第2回転速度との間で2回以上切り替える。この構成によると、基板上の処理液が大きく揺さぶられる。これによって、基板の表面における処理液の流動性が高まり、基板を効率的に処理できる。
しかも、処理液の着液位置を移動させつつ、基板の表面に処理液を供給する。基板の表面における、処理液の着液位置が移動されつつ処理液が供給される領域では、各凹部の真上から処理液が着液するので、凹部内での処理液の流動性が高まり、凹部内に処理液が特に滞留しにくくなる。つまり、処理液の着液位置を移動しつつ、基板の表面に処理液を供給することによって、基板の表面における処理液の流動性を特に高めることができる。
しかも、基板の回転中心を含み、かつ、基板の周縁部を含まない領域内で、着液位置を移動させる。すなわち、ここでは、遠心力が比較的小さいために処理液の流動性が低くなりがちな基板の回転中心付近の領域において、基板の回転速度の切り替えに加えて、着液位置の移動によっても、処理液の流動性が高められる。この構成によると、基板の表面の全域にわたって、処理液の流動性を十分に高めることができる。また、この構成によると、基板の回転中心付近に着液した処理液が、遠心力によって基板の周縁部に広がって、基板の表面内の広い領域に有効に作用する。これによって、処理液の使用量を削減できるとともに、基板の表面の全域にわたる処理の均一性を高めることができる。
の態様によると、第1回転速度で回転される基板の回転方向と第2回転速度で回転される基板の回転方向とが、同じ方向である。この構成によると、基板の回転速度がゼロになる瞬間が生じない。したがって、基板上の処理液には、常に、基板の回転中心から離れる方向の遠心力がはたらき、基板上の余分な処理液は、基板の周縁から勢いよく振り切られる。このため、基板上の余分な処理液が、基板の周縁から滴り落ちて回収され損なってしまう、といった事態が生じにくい。
の態様によると、第1回転速度と第2回転速度との間の切り替えが、間欠的に行われる。この構成によると、基板が等速回転される時間帯が発生し、この時間帯において、基板の表面を覆う処理液の液膜が、新鮮な処理液にスムーズに置換される。
基板処理装置の模式的な側面図である。 基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。 処理対象となる基板の表層付近の様子を模式的に示す側断面図である。 基板処理装置において行われる処理の一例を説明するための図である。 スキャン外周縁を説明するための図である。 基板の回転速度の切り替え態様の一例を示す図である。 基板上の処理液が受ける力の向きを説明するための図である。 基板の回転速度の切り替え態様の一例を示す図である。 基板の回転速度の切り替え態様の一例を示す図である。 基板の回転速度の切り替え態様の一例を示す図である。 別の実施の形態に係る基板処理装置の模式的な側面図である。
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
<1.基板処理装置100の構成>
基板処理装置100は、例えば半導体ウエハ等の円板状の基板9を、1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置100の構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、基板処理装置100の模式的な側面図である。図2は、基板処理装置100の電気的構成を示すブロック図である。
基板処理装置100は、スピンチャック1と、飛散防止部2と、第1処理液供給部3と、第2処理液供給部4と、制御部5と、を備える。
<スピンチャック1>
スピンチャック1は、基板9を、略水平姿勢に保持しつつ、当該基板9を、その主面の中心を通る鉛直な回転軸のまわりで回転させる回転保持部である。
スピンチャック1は、基板9より若干大きい円板状の部材であるスピンベース11を備える。スピンベース11の下面中央部には、回転軸部12が連結されている。回転軸部12は、その軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置される。また、回転軸部12には、これをその軸線まわりに回転駆動する回転駆動部(例えば、モータ)13が接続される。回転軸部12および回転駆動部13は、筒状のケーシング14内に収容されている。また、スピンベース11の上面の周縁部付近には、適当な間隔をおいて複数個(例えば6個)の保持部材15が設けられている。保持部材15は、基板9の端面と当接して基板9の水平方向の位置決めを行うとともに、スピンベース11の上面より僅かに高い位置で(すなわち、スピンベース11の上面から定められた間隔を隔てて)、基板9を略水平姿勢で保持する。
この構成において、保持部材15がスピンベース11の上方で基板9を保持した状態で、回転駆動部13が回転軸部12を回転すると、スピンベース11が鉛直方向に沿った軸心周りで回転され、これによって、スピンベース11上に保持された基板9が、その面内の中心を通る鉛直な回転軸のまわりで、回転される。
回転駆動部13および保持部材15は、制御部5と電気的に接続されており、制御部5の制御下で動作する(図2参照)。つまり、スピンベース11上に基板9を保持するタイミング、保持された基板9を開放するタイミング、および、スピンベース11の回転態様(すなわち、基板9の回転態様)(具体的には、回転開始タイミング、回転終了タイミング、回転数(すなわち、回転速度)、等)は、制御部5によって制御される。
<飛散防止部2>
飛散防止部2は、スピンベース11に保持されて回転される基板9から飛散する処理液等を受け止める。
飛散防止部2は、カップ21を備える。カップ21は、上端が開放された筒形状の部材であり、スピンチャック1を取り囲むように設けられる。カップ21は、例えば、内部材211、中部材212、および、外部材213を、備える。
内部材211は、上端が開放された筒形状の部材であり、円環状の底部材211aと、底部材211aの内側縁部から上方に延びる円筒状の内壁部材211bと、底部材211aの外側縁部から上方に延びる円筒状の外壁部材211cと、内壁部材211bと外壁部材211cとの間に立設された円筒状の案内壁211dと、を備える。案内壁211dは、底部材211aから上方に延び、上端部付近が内側上方に向かって湾曲している。内壁部材211bの少なくとも先端付近は、スピンチャック1のケーシング14に設けられた鍔状部材141の内側空間に収容される。
底部材211aには、内壁部材211bと案内壁211dとの間の空間と連通する排液溝(図示省略)が形成される。この排液溝は、工場の排液ラインと接続される。また、この排液溝には、溝内を強制的に排気して、内壁部材211bと案内壁211dとの間の空間を負圧状態とする排気液機構が接続されている。内壁部材211bと案内壁211dとの間の空間は、基板9の処理に使用された処理液を集めて排液するための空間であり、この空間に集められた処理液は、排液溝から排液される。
また、底部材211aには、案内壁211dと外壁部材211cとの間の空間と連通する第1の回収溝(図示省略)が形成される。第1の回収溝は、第1の回収タンクと接続される。また、この第1の回収溝には、溝内を強制的に排気して、案内壁211dと外壁部材211cとの間の空間を負圧状態とする排気液機構が接続されている。案内壁211dと外壁部材211cとの間の空間は、基板9の処理に使用された処理液を集めて回収するための空間であり、この空間に集められた処理液は、第1の回収溝を介して、第1の回収タンクに回収される。
中部材212は、上端が開放された筒形状の部材であり、内部材211の案内壁211dの外側に設けられている。中部材212の上部は内側上方に向かって湾曲しており、その上端縁部は案内壁211dの上端縁部に沿って折曲されている。
中部材212の下部には、内周面に沿って下方に延びる内周壁部材212aと、外周面に沿って下方に延びる外周壁部材212bとが形成される。内周壁部材212aは、内部材211と中部材212とが近接する状態(図1に示される状態)において、内部材211の案内壁211dと外壁部材211cとの間に収容される。また、外周壁部材212bの下端は、円環状の底部材212cの内側縁部に着設される。底部材212cの外側縁部からは、上方に延びる円筒状の外壁部材212dが立設される。
底部材212cには、外周壁部材212bと外壁部材212dとの間の空間と連通する第2の回収溝(図示省略)が形成される。第2の回収溝は、第2の回収タンクと接続される。また、この第2の回収溝には、溝内を強制的に排気して、外周壁部材212bと外壁部材212dとの間の空間を負圧状態とする排気液機構が接続されている。外周壁部材212bと外壁部材212dとの間の空間は、基板9の処理に使用された処理液を集めて回収するための空間であり、この空間に集められた処理液は、第2の回収溝を介して、第2の回収タンクに回収される。
外部材213は、上端が開放された筒形状の部材であり、中部材212の外側に設けられている。外部材213の上部は内側上方に向かって湾曲しており、その上端縁部201は、中部材212の上端縁部および内部材211の上端縁部より僅かに内方で下方に折曲されている。内部材211、中部材212、および、外部材213が近接する状態(図1に示される状態)において、中部材212の上端縁部および内部材211の上端縁部が、外部材213の折曲された部分によって、覆われる。
外部材213の下部には、内周面に沿って下方に延びるように内周壁部材213aが形成される。内周壁部材213aは、中部材212と外部材213とが近接する状態(図1に示される状態)において、中部材212の外周壁部材212bと外壁部材212dとの間に収容される。
カップ21には、これを昇降移動させるカップ駆動機構22が配設されている。カップ駆動機構22は、例えば、ステッピングモータにより構成される。カップ駆動機構22は、カップ21が備える3個の部材211,212,213を、独立して昇降させる。
内部材211、中部材212、および、外部材213の各々は、カップ駆動機構22の駆動を受けて、上方位置と下方位置との間で移動される。ここで、各部材211,212,213の上方位置は、当該部材211,212,213の上端縁部が、スピンベース11上に保持された基板9の側方に配置される位置である。一方、各部材211,212,213の下方位置は、当該部材211,212,213の上端縁部が、スピンベース11の上面よりも下方に配置される位置である。ただし、カップ駆動機構22は、制御部5と電気的に接続されており、制御部5の制御下で動作する(図2参照)。つまり、カップ21の位置(具体的には、内部材211、中部材212、および、外部材213各々の位置)は、制御部5によって制御される。
外部材213が下方位置に配置されている状態(すなわち、内部材211、中部材212、および、外部材213の全てが、下方位置に配置されている状態)を指して、以下「カップ21が待避位置にある」という。スピンベース11に対する基板9の搬出入が行われる間は、カップ21は、待避位置に配置される。
一方、外部材213が上方位置に配置されている状態を指して、以下「カップ21が処理位置にある」という。ただし、「カップ21が処理位置にある」状態には、以下の3つの状態が含まれる。第1の状態は、内部材211、中部材212、および、外部材213の全てが、上方位置に配置された状態である(図1に示される状態)。この状態では、スピンチャック1に保持されている基板9から飛散した処理液は、内部材211の内壁部材211bと案内壁211dとの間の空間に集められて、排液溝から排液される。第2の状態は、内部材211が下方位置に配置されるとともに、中部材212および外部材213が上方位置に配置された状態である。この状態では、スピンチャック1に保持されている基板9から飛散した処理液は、内部材211の案内壁211dと外壁部材211cとの間の空間に集められて、第1の回収タンクに回収される。第3の状態は、内部材211および中部材212が下方位置に配置されるとともに、外部材213が上方位置に配置された状態である。この状態では、スピンチャック1に保持されている基板9から飛散した処理液は、中部材212の外周壁部材212bと外壁部材212dとの間の空間に集められて、第2の回収タンクに回収される。
<第1処理液供給部3>
第1処理液供給部3は、スピンチャック1に保持されている基板9に処理液を供給する。第1処理液供給部3は、処理液を吐出する第1ノズル(スキャンノズル)31と、これに処理液を供給する配管系である第1処理液供給系32と、を備える。
第1処理液供給系32は、具体的には、例えば、第1処理液供給源321、配管322、および、第1バルブ323を備え、第1処理液供給源321が、第1バルブ323が介挿された配管322を介して、スキャンノズル31に接続された構成となっている。ただし、第1処理液供給源321は、第1処理液を供給する供給源である。第1処理液は、例えば、薬液(ここでは、基板9の表面のポリマーを除去するとともに、基板9の表面に形成されているハードマスク908を除去する薬液であり、具体的には、例えば、有機溶剤を含むポリマー除去液)である。
この構成において、第1バルブ323が開放されると、第1処理液供給源321から供給される第1処理液が、スキャンノズル31から吐出される。ただし、第1バルブ323は、制御部5と電気的に接続されており、制御部5の制御下で開閉される(図2参照)。つまり、スキャンノズル31からの処理液の吐出態様(具体的には、吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部5によって制御される。
スキャンノズル31は、水平に延在するアーム33の先端部に取り付けられている。アーム33の基端部は、軸線を鉛直方向に沿わすような姿勢で配置された昇降軸34の上端に連結されている。昇降軸34は、ノズル基台35に配設されている。
ノズル基台35には、スキャンノズル31を駆動するノズル駆動部36が配設されている。ノズル駆動部36は、例えば、昇降軸34をその軸線まわりに回転させる回転駆動部(例えば、サーボモータ)と、昇降軸34をその軸線に沿って伸縮させる昇降駆動部(例えば、ステッピングモータ)と、を含んで構成される。ノズル駆動部36が昇降軸34を回動させると、スキャンノズル31が、水平面内の円弧軌道に沿って移動し、ノズル駆動部36が昇降軸34を伸縮させると、スキャンノズル31が、スピンチャック1に保持されている基板9の上面と近接離間する方向に移動する。
ただし、ノズル駆動部36は、制御部5と電気的に接続されており、制御部5の制御下で動作する。つまり、スキャンノズル31の位置は、制御部5によって制御される。なお、制御部5は、スキャンノズル31からの処理液の吐出が行われない間は、スキャンノズル31を、基板9の搬送経路と干渉しない位置(待避位置)に配置する。
<第2処理液供給部4>
第2処理液供給部4は、スピンチャック1に保持されている基板9に処理液を供給する。第2処理液供給部4は、処理液を吐出する第2ノズル(固定ノズル)41と、これに処理液を供給する配管系である第2処理液供給系42と、を備える。
第2処理液供給系42は、具体的には、例えば、第2処理液供給源421、配管422、および、第2バルブ423を備え、第2処理液供給源421が、第2バルブ423が介挿された配管422を介して、固定ノズル41に接続された構成となっている。ただし、第2処理液供給源421は、第2処理液を供給する供給源である。第2処理液は、例えば、薬液をすすぎ流すリンス液(具体的には、例えば、純水)である。
この構成において、第2バルブ423が開放されると、第2処理液供給源421から供給される第2処理液が、固定ノズル41から吐出される。ただし、第2バルブ423は、制御部5と電気的に接続されており、制御部5の制御下で開閉される(図2参照)。つまり、固定ノズル41からの処理液の吐出態様(具体的には、吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部5によって制御される。
固定ノズル41は、支持軸43を介してノズル基台44に配設されている。固定ノズル41は、少なくともこれから処理液が吐出されている間は、定められた位置(具体的には、固定ノズル41から吐出された処理液がスピンチャック1に保持されている基板9の上面の中央部(回転中心)に着液するような位置)に、固定的に支持される。もっとも、固定ノズル41には、これを、上記の定められた位置と、基板9の搬送経路と干渉しない位置(待避位置)との間で移動させるための駆動部が配設されていてもよい。
<制御部5>
制御部5は、基板処理装置100内の各部を動作制御する装置である。制御部5のハードウエアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御部5は、例えば、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、制御用ソフトウェアやデータ等を記憶しておく磁気ディスク、等を備えている。制御部5において、プログラムに記述された手順に従って主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、基板処理装置100の各部を制御する各種の機能部が実現される。もっとも、制御部5において実現される一部あるいは全部の機能部は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。また、制御部5のメモリあるいはハードディスクには、基板処理装置100で実行するべき処理の内容を定めた処理レシピが記憶されている。
制御部5は、図2に示されるように、回転駆動部13、保持部材15、カップ駆動機構22、第1バルブ323、第2バルブ423、ノズル駆動部36、等と電気的に接続されている。制御部5が、処理レシピに従って、これらの各部を動作させることにより、基板9に対する一連の処理が進行する。
<2.基板9>
次に、基板処理装置100で処理対象とされる基板9の表層付近の様子について、図3を参照しながら説明する。図3は、当該基板9の表層付近の様子を模式的に示す側断面図である。
基板処理装置100で処理対象とされる基板9は、例えば、金属パターンが露出した半導体ウエハである。金属パターンは、銅やタングステンその他の金属の単膜であってもよいし、複数の金属膜を積層した多層膜であってもよい。多層膜は、例えば、銅膜と、この銅膜上に積層されたCoWP(cobalt-tungsten-phosphorus)膜とを含む積層膜であってもよい。CoWP膜は、拡散防止のためのキャップ膜の一例である。
基板9の表面上には、例えば、層間絶縁膜901が形成されている。層間絶縁膜901には、その上面から掘り下げて、下配線溝902が形成されている。下配線溝902には、銅配線903が埋設されている。層間絶縁膜901上には、エッチストッパ膜904を介して、被加工膜の一例としての低誘電率絶縁膜905が積層されている。低誘電率絶縁膜905には、その上面から掘り下げて、上配線溝906が形成されている。さらに、低誘電率絶縁膜905には、上配線溝906の底面から銅配線903の表面に達するヴィアホール907が形成されている。上配線溝906およびヴィアホール907には、銅が一括して埋め込まれることになる。
上配線溝906およびヴィアホール907は、低誘電率絶縁膜905上にハードマスク908が形成された後、ドライエッチング処理が行われて、低誘電率絶縁膜905におけるハードマスク908から露出した部分が除去されることにより、形成される。上配線溝906、ヴィアホール907等が形成されることによって、基板9の表面には凹んだ部分(凹部90)が形成されることになる。
ところで、ドライエッチング時には、ハードマスク908の表面、上配線溝906およびヴィアホール907の内面、等に、低誘電率絶縁膜905の成分を含む反応生成物(ポリマー残渣)900が、付着する。つまり、ドライエッチング後の基板9の表面(特に、凹部90内)には、ポリマー残渣900が付着している可能性が高い。
基板処理装置100は、例えば、このようなドライエッチング後の基板9を処理対象として、当該基板9に対して、例えば、ハードマスク908の除去およびポリマー残渣900の除去を、同時に進行させる処理を行う。具体的には、当該基板9に対して、ハードマスク908をウエットエッチングによって剥離するとともに、ポリマー残渣(ドライエッチング時に生じた反応生成物(低誘電率絶縁膜905の成分を含む反応生成物)、および、ウエットエッチング時に生じる反応生成物(ハードマスク908の成分を含む反応生成物))を除去する処理を、施すことができる。
<3.基板処理装置100の動作>
基板処理装置100にて行われる処理の流れの一例について、図1および図4を参照しながら説明する。図4は、基板処理装置100において行われる処理の流れの一例を示す図である。基板処理装置100においては、制御部5の制御下で、以下に説明する一連の処理が実行される。
まず、カップ21およびスキャンノズル31が、各々の待避位置に配置されている状態において、搬送ロボット(図示省略)が、基板9を基板処理装置100に搬入し、基板9を、その表面(上配線溝906およびヴィアホール907が形成されている側の主面)が上を向く姿勢で、スピンベース11上に配置する(ステップS1)。スピンベース11上に配置された基板9は、一群の保持部材15によって保持される。これによって、スピンベース11上に、基板9が、略水平姿勢で保持された状態となる。
スピンベース11上に基板9が保持されると、カップ21が処理位置に配置された上で、スピンベース11の回転が開始される。これによって、スピンベース11上に水平姿勢で保持される基板9が、水平面内で(すなわち、鉛直な回転軸のまわりで)回転開始される(ステップS2)。
続いて、薬液処理が行われる(ステップS3)。薬液処理においては、第1バルブ323が開放されて、スキャンノズル31から、回転される基板9の表面(上側を向いている主面であり、凹部90が形成されている側の面)に向けて、薬液が吐出される。ただし、ここでは、薬液の吐出と並行して、ノズル駆動部36が、スキャンノズル31を、スピンベース11上の基板9の表面と非接触状態で近接する水平面内において、基板9の中央部と対向する第1位置(すなわち、スキャンノズル31から吐出された薬液が、基板9の表面中央部P1に着液する位置)と、基板9の表面に規定されている仮想円の円周(ただし、この仮想円は、基板9の回転中心と同心であり、かつ、直径が基板9の直径よりも小さい円であり、以下この仮想円の円周を「スキャン外周縁E」ともいう)と対向する第2位置(すなわち、スキャンノズル31から吐出された薬液が、スキャン外周縁E上の位置P2に着液する位置)とを結ぶ円弧軌道に沿って、往復移動させる(図5参照)。
ここで、スキャン外周縁Eについて、図5を参照しながら具体的に説明する。図5は、スキャン外周縁Eを説明するための図である。
回転される基板9に処理液が供給されたとき、基板9の表面内の各位置における、処理液の水平方向の速度成分の大きさは、当該処理液にはたらく力(基板9の回転速度に応じた遠心力、基板9の角加速度に応じた慣性力、等)の大きさ等から規定されるところ、処理液にはたらく力の大きさは、基板9の中心から周縁部に近づくにつれて大きくなる。つまり、水平方向の速度成分の大きさは、基板9の中心から周縁部に近づくにつれて、大きくなる。
ところで、上述したとおり、基板処理装置100で処理対象となる基板9の表面には凹部90が存在している。この凹部90内における処理液の上向きの速度成分(すなわち、凹部90内からの処理液の排出に寄与する速度成分であり、以下、単に「上向き速度成分」ともいう)の大きさは、基板9の上面を流れる処理液の水平方向の速度成分が大きいほど、大きくなる。つまり、上向き速度成分の大きさも、基板9の中心から周縁部に近づくにつれて、大きくなる。理論的には、この上向き速度成分は、図5に示されるように、基板9の中央から周縁部に近づくにつれて、上に凸の二次関数的に増大することがわかっている。
スキャン外周縁Eの位置は、例えば、基板9の表面内の各位置における凹部90内の処理液の速度(具体的には、例えば、上向き速度成分の大きさ)に基づいて、規定される。具体的には、例えば、基板9の周縁部における凹部90内の処理液の上向き速度成分を「Ve」として、凹部90内の処理液の上向き速度成分が「Ve」の半分となる位置(すなわち、上向き速度成分が「Ve/2」となる位置)が、スキャン外周縁Eとされる。直径が300mmの基板9の場合、基板9の中心とスキャン外周縁Eとの離間距離は、例えば、50mmである。スキャン外周縁Eで囲まれる領域は、基板9の回転中心を含み、かつ、基板9の周縁部を含まない領域であり、以下、この領域を「中央領域C」ともいう。
基板9が回転している状態で、ノズル駆動部36がスキャンノズル31を第1位置と第2位置との間を往復移動させると、スキャンノズル31から吐出される薬液の着液位置が、中央領域C内を移動(走査(スキャン))し、中央領域C内の全ての位置に、薬液が着液する。中央領域Cに供給された薬液は、基板9の回転による遠心力によって、基板9の周縁に向けて広がる。これにより、基板9の表面の全域に、薬液が行き渡って、基板9の表面の全域を覆う薬液の液膜が形成される。当然のことながら、凹部90内も薬液で満たされる。基板9の表面を覆う薬液の液膜が形成されることによって、基板9の表面に形成されているハードマスク908が薬液と反応してエッチングされるとともに、基板9の表面(平坦部分、および、凹部90内)のポリマー残渣が薬液と反応して除去される。ただし、基板9には、次々と新鮮な薬液が供給されていくので、基板9の表面の全域を覆う薬液の液膜は、次々と新鮮な薬液の液膜に置換されていく。新たに供給された薬液によって押し流された古い薬液は、基板9の回転による遠心力によって、基板9の周縁から外部に振り切られる。基板9から飛散した薬液は、カップ21で受け止められて、回収される。
基板9に対して薬液の供給が行われる間(すなわち、基板9に対する薬液の供給と並行して)、基板9の表面の全域を覆う薬液の液膜を維持しつつ、スピンベース11の回転速度(すなわち、基板9の回転速度)が、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で、2回以上、切り替えられる(図6参照)。この点については、後に詳細に説明する。後に明らかになるように、基板9の回転速度が切り替えられることによって、基板9上の薬液(特に、凹部90内の薬液)の流動性が高まる。その結果、ポリマー残渣が凹部90内から十分に除去される。
ただし、基板9の表面の処理を最適に行うためには、基板9の回転速さ(回転速度の大きさ)が、処理条件(処理液の供給量、処理液の種類)等から規定される上下限許容速さを超えないように、制御すればよい。たとえば、基板9への処理液の供給量が1.0L/minである場合、基板9の回転数が250rpmよりも下回らなければ回収カップ21に薬液を回収することができ、また、基板9の回転数が1000rpmを超えなければ、基板9の表面の外周部の液温を下げることなく、また、回収カップ21から跳ね返ることにより発生する異物の発生を抑制することができる。つまり、この場合、基板9の表面を最適に処理するためには、第1回転速度V1に相当する回転数を250rpm以上とし、および、第2回転速度V2に相当する回転数を1000rpm以下としておけばよい。これによって、基板9上に形成されているパターン上に異物が発生することが回避される。
第1バルブ323が開放されてから定められた時間が経過すると、第1バルブ323が閉鎖されて、スキャンノズル31からの薬液の吐出が停止されるとともに、スキャンノズル31が待避位置まで移動される。以上で薬液処理が終了する。
続いて、リンス処理が行われる(ステップS4)。リンス処理においては、第2バルブ423が開放されて、固定ノズル41から、回転される基板9の中央部に向けて、リンス液が吐出される。つまり、リンス処理では、リンス液の着液位置が、基板9の中央部(回転中心)に固定された状態で、基板9の表面にリンス液が供給される。固定ノズル41から吐出されるリンス液は、基板9の中央部に着液した後、基板9の回転による遠心力によって、基板9の周縁に向けて広がる。これにより、基板9の表面の全域に、リンス液が行き渡って、基板9の表面の全域を覆うリンス液の液膜が形成される。基板9の表面を覆うリンス液の液膜が形成されることによって、基板9に残存している、ポリマー残渣を含む薬液が、すすぎ流される。ただし、基板9には、次々と新鮮なリンス液が供給されていくので、基板9の表面の全域を覆うリンス液の液膜は、次々と新鮮なリンス液の液膜に置換されていく。新たに供給されたリンス液によって押し流された古いリンス液は、基板9の回転による遠心力によって、ポリマー残渣を含む薬液とともに、基板9の周縁から外部に振り切られる。基板9から飛散したリンス液は、カップ21で受け止められて、回収される。
基板9に対してリンス液の供給が行われる間(すなわち、基板9に対するリンス液の供給と並行して)、基板9の表面の全域を覆うリンス液の液膜を維持しつつ、スピンベース11の回転速度(すなわち、基板9の回転速度)が、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で、2回以上、切り替えられる(図6参照)。この点については、後に詳細に説明する。後に明らかになるように、基板9の回転速度が切り替えられることによって、基板9上のリンス液(特に、凹部90内のリンス液)の流動性が高まる。その結果、ポリマー残渣が凹部90内から十分に除去される。
第2バルブ423が開放されてから定められた時間が経過すると、第2バルブ423が閉鎖されて、固定ノズル41からのリンス液の吐出が停止される。
続いて、乾燥処理が行われる(ステップS5)。具体的には、基板9に向けての処理液の吐出が停止された状態で、スピンベース11の回転速度が、高速の回転速度(例えば、第1回転速度V1および第2回転速度V2よりも高速の回転速度)に上昇される。これによって、スピンベース11上の基板9に残存している処理液が振り切られて基板9から除去され、基板9が乾燥される(所謂、スピンドライ)。
スピンベース11が高速の回転速度で回転され始めてから定められた時間が経過すると、スピンベース11の回転が停止される。
続いて、カップ21が待避位置に移動されるとともに、保持部材15が基板9を開放し、搬送ロボット(図示省略)が、当該基板9を基板処理装置100から搬出する(ステップS6)。以上で、当該基板9に対する一連の処理が終了する。
<4.基板9の回転速度の切り替え態様>
上述したとおり、薬液処理(ステップS3)、および、リンス処理(ステップS4)の各々が行われる間(つまり、基板9に対する処理液の供給が行われる間)、基板9の表面の全域を覆う処理液(薬液、あるいは、リンス液)の液膜を維持しつつ、スピンベース11の回転速度(すなわち、基板9の回転速度)が、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で、2回以上、切り替えられる。ただし、第1回転速度V1と第2回転速度V2とは、異なる回転速度である。
基板9の回転速度の切り替えについて、図6、図7を参照しながら説明する。図6は、基板9の回転速度の切り替え態様の一例を示す図である。図7は、基板9の回転速度が、図6に例示される態様で切り替えられる場合において、各時間帯で凹部90内の処理液Qが受ける力の向きを説明するための図である。ただし、以下の説明では、便宜上、図7における反時計回りの回転方向を正方向とし、第1回転速度V1が第2回転速度V2よりも大きいとする。なお、図7では、図をわかりやすくするために、1個の凹部90のみが示されているが、一般に、基板9上には複数の凹部90が存在する。
基板9が回転している間(すなわち、基板9の回転速度がゼロ(「0」)でない時間帯)は、凹部90内の処理液Qには、基板9の回転中心910から離れる方向の力(遠心力)がかかる。この遠心力は、基板9の回転速さが大きいほど大きくなる。また、基板9の回転速度が変化している間(すなわち、基板9の回転方向の加速度(角加速度)がゼロでない間)は、凹部90内の処理液Qには、遠心力に加えて、基板9の回転方向の力(慣性力)がかかる。この慣性力は、基板9の角加速度と逆向きであり、当該角加速度の絶対値が大きいほど、大きくなる。
基板9が、比較的高速の第1回転速度V1で回転されている時間帯(つまり、基板9が高速で等速回転されている時間帯であり、以下「第1等速時間帯」ともいう)T1は、凹部90内の処理液Qにかかる慣性力はゼロであるので、凹部90内の処理液Qには、比較的大きな遠心力F1だけがかかる。したがって、第1等速時間帯T1では、凹部90内の処理液Qは、遠心力F1の方向(図7における3時方向)に、流動する。
基板9の回転速度が、第1回転速度V1から第2回転速度V2に切り替えられている時間帯(つまり、基板9の回転速度が減速されている時間帯であり、以下「減速時間帯」ともいう)T2は、凹部90内の処理液Qには正の回転方向の慣性力K1がかかり、その一方で、当該処理液Qにかかる遠心力の大きさが時間とともに小さくなる。つまり、減速時間帯T2では、時間がたつにつれて、処理液Qが受ける力の向きが、正の回転方向に回転していく(F2(1),F2(2),・・・,F2(n))。したがって、この時間帯T2では、凹部90内の処理液Qが流動する方向が、図7における3時方向と12時方向との間で、時間とともに変化していく。
基板9が、比較的低速の第2回転速度V2で回転されている時間帯(つまり、基板9が低速で等速回転されている時間帯であり、以下「第2等速時間帯」ともいう)T3は、凹部90内の処理液Qにかかる慣性力はゼロであるので、凹部90内の処理液Qには、比較的小さな遠心力F3だけがかかる。したがって、第2等速時間帯T3では、凹部90内の処理液Qは、遠心力F3の方向(図7における3時方向)に、流動する。
基板9の回転速度が、第2回転速度V2から第1回転速度V1に切り替えられている時間帯(つまり、基板9の回転速度が加速されている時間帯であり、以下「加速時間帯」ともいう)T4は、凹部90内の処理液Qには負の回転方向の慣性力K2がかかり、その一方で、当該処理液Qにかかる遠心力の大きさが時間とともに大きくなる。つまり、加速時間帯T4では、時間がたつにつれて、処理液Qが受ける力の向きが、正の回転方向に回転していく(F4(1),F4(2),・・・,F4(n))。したがって、この時間帯T4では、凹部90内の処理液Qが流動する方向が、図7における6時方向と3時方向との間で、時間とともに変化していく。
このように、スピンベース11の回転速度が第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で、2回以上、切り替えられることによって、凹部90内の処理液Qが流動する方向が時間とともに大きく変化し、凹部90内の処理液Qが大きく揺さぶられる。ただし、「2回以上」、とは、加速と減速とを、1回ずつ行うことを意味する。つまり、凹部90内の処理液Qの流動性が高まる。その結果、処理液Qが凹部内に滞留しにくくなり、処理液Qが凹部内から十分に排出される。上述したとおり、基板9の表面を覆う処理液の液膜は、次々と新鮮な処理液に置換されている。このため、凹部内においても、古い処理液がポリマー残渣とともに凹部から排出される一方で、新鮮な処理液が凹部内に流入して、凹部内が次々と新鮮な処理液に置換されていく。これによって、凹部内のポリマー残渣が、凹部内から十分に掻き出され、ポリマー残渣が凹部内から十分に除去される。
例えば、図6に例示される態様で基板9の回転速度が変化される場合、一例として、第1回転速度V1に相当する回転数を1000rpmとし、第2回転速度V2に相当する回転数を400rpmとし、第1等速時間帯T1を5秒間とし、減速時間帯T2を1秒間とし、第2等速時間帯T3を5秒間とし、加速時間帯T4を1秒間とすればよい。この場合、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間の切り替えは、1分間に10回行われることになる。
もっとも、基板9の回転速度の切り替え態様は、図6に例示されるものに限らない。図8〜図10の各々には、基板9の回転速度の切り替え態様の別の例が、示されている。
例えば、基板9が第1回転速度V1で等速回転される第1等速時間帯T1と、基板9が第2回転速度V2で等速回転される第2等速時間帯T3とは、図6に示されるように、同じ長さであってもよいし、図8に示されるように、第1等速時間帯T1と第2等速時間帯T3のうちの一方の時間帯が他方の時間帯よりも長くてもよい。
また例えば、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間の切り替えは、図6に示されるように、間欠的に行われてもよいし、図9に示されるように、連続的に行われてもよい。ただし、切り替えを間欠的に行うとは、具体的には、基板9の回転速度が第1回転速度V1に到達してから定められた時間を置いた後で、基板9の回転速度の減速を開始し、基板9の回転速度が第2回転速度V2に到達してから定められた時間を置いた後で、回転速度の加速を開始することを意味する。また、切り替えを連続的に行うとは、具体的には、基板9の回転速度が第1回転速度V1に到達した時点で、基板9の回転速度の減速を開始し、基板9の回転速度が第2回転速度V2に到達した時点で、回転速度の加速を開始することを意味する。
切り替えを間欠的に行う場合、基板9が等速回転される等速時間帯T1,T3が存在する。基板9が等速回転される等速時間帯T1,T3は、基板9に供給された処理液が、基板9の周縁に向けて速やかに広がる時間帯(つまりは、新たに供給された薬液によって古い処理液が基板9の周縁に速やかに押し流される時間帯)であり、第1等速時間帯T1および第2等速時間帯T3のうちの少なくとも一方が確保されることによって、基板9の表面の全域を覆う処理液の液膜が、新鮮な処理液にスムーズに(速やかに)置換されるという利点が得られる。一方、切り替えを連続的に行う場合、等速時間帯T1,T3は存在しない。この態様によると、回転速度の切り替え回数を増やすことができるので、凹部内の処理液の流動性を特に高めることができる。なお、例えば、比較的小さな回転速度で等速回転される第2等速時間帯T3をゼロとし、比較的大きな回転速度で等速回転される第1等速時間帯T1をゼロより大きくしてもよい。この場合、基板9の表面の全域を覆う処理液の液膜の置換を促進しつつ、切り替え回数の増加による凹部内の処理液の流動性の向上効果も得られる。
また例えば、第1回転速度V1で回転される基板9の回転方向と、第2回転速度V2で回転される基板9の回転方向とは、図6に示されるように、同じ方向であってもよいし(すなわち、第1回転速度V1と第2回転速度V2とが同じ符号であってもよいし)、図10に示されるように、逆方向であってもよい(すなわち、第1回転速度V1と第2回転速度V2とが逆符号であってもよい)。
ただし、第1回転速度V1で回転される基板9の回転方向と、第2回転速度V2で回転される基板9の回転方向とが同じ方向であれば、基板9の回転速度がゼロとなる瞬間(すなわち、基板9上の処理液にはたらく遠心力がゼロとなる瞬間)が、生じない。したがって、基板9上の余分な処理液が、常に、基板9の周縁から勢いよく振り切られ続けて、当該振り切られた処理液が、確実にカップ21の内壁で受け止められる。つまり、第1回転速度V1で回転される基板9の回転方向と、第2回転速度V2で回転される基板9の回転方向とが同じ方向であれば、基板9上の余分な処理液が基板9の周縁から滴り落ちて、回収され損なってしまう、といった事態の発生を、未然に回避できる。
なお、基板9の周縁から振り切られた処理液をカップ21の内壁で確実に受け止めるためには、基板9の回転速さ(回転速度の大きさ)が所定の下限許容速さを下回らないことが特に好ましく、基板9の周縁から振り切られた処理液がカップ21の内壁で跳ね返って基板9に再付着することを抑制するためには、基板9の回転速さが所定の上限許容速さを上回らないことが好ましい。下限許容速さ、および、上限許容速さの具体的な値は、スピンベース11上の基板9の周縁部とカップ21との離間距離、処理液の種類等によって規定される。一例として、下限許容速さに相当する回転数は300rpmであり、上限許容速さに相当する回転数は1000rpmである。
図6、図8〜図10に例示される回転態様のいずれにおいても、第1回転速度V1と第2回転速度V2との差ΔVが大きいほど、基板9上の処理液の流動性が高まる。したがって、この差ΔVは、十分に大きいこと(例えば、100rpm以上)が好ましい。また、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間での切り替えの際の加速度の大きさが大きいほど、基板9上の処理液の流動性が高まる。したがって、この加速度の大きさは、十分に大きいこと(例えば、250(rpm/s)以上)が好ましい。
<5.効果>
上記の実施の形態によると、基板9に処理液を供給しつつ、基板9の回転速度を、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で2回以上切り替える。この構成によると、基板9上の処理液(特に、凹部90内の処理液Q)が大きく揺さぶられる。これによって、基板9の表面における処理液の流動性(特に、凹部90内の処理液Qの流動性)が高まり、基板9を効率的に処理できる。
また、上記の実施の形態によると、薬液処理において、処理液の着液位置を移動させつつ、基板9の表面に処理液を供給する。基板9の表面における、処理液の着液位置が移動されつつ処理液が供給される領域(すなわち、移動されるスキャンノズル31から吐出される処理液が着液する領域であり、以下「スキャン領域」ともいう)では、各凹部90の真上から処理液が着液するので、凹部90内における処理液Qの上向き速度成分が大きくなる。これによって、凹部90内での処理液Qの流動性が高まり、凹部90内に処理液が特に滞留しにくくなる。つまり、処理液の着液位置を移動しつつ、基板9の表面に処理液を供給することによって、基板9の表面における処理液の流動性を特に高めることができる。
また、上記の実施の形態によると、中央領域C(すなわち、基板9の回転中心を含み、かつ、基板9の周縁部を含まない領域である中央領域C)内で、着液位置を移動させる。すなわち、ここでは、遠心力が比較的小さいために処理液の流動性が低くなりがちな中央領域Cが、スキャン領域とされており、この中央領域Cにおいては、基板9の回転速度の切り替えに加えて、着液位置の移動によっても、処理液の流動性が高められる。この構成によると、基板9の表面の全域にわたって、処理液の流動性を十分に高めることができる。
また、基板9の周縁部を含まない中央領域C内で着液位置が移動される構成、つまりは、スキャン領域が、基板9の周縁部を含まない領域に限定される構成によると、基板9の回転中心付近に着液した処理液が、遠心力によって基板9の周縁部に広がって、基板9の表面内の広い領域に有効に作用する。これによって、処理液の使用量を削減できるとともに、基板9の表面の全域にわたる処理の均一性を高めることができる。例えば、薬液処理でハードマスク908を剥離する処理(エッチング処理)を進行させる場合に、基板9の表面の全域にわたるエッチング量の均一性を高めることができる。
仮に、基板9の表面の全域がスキャン領域とされたとすると、基板9の周縁部付近に着液した処理液は、遠心力をうけてそのまますぐに基板9から振り切られてしまう。つまり、基板9の周縁部付近に着液した処理液は、基板9の表面内におけるごく狭い領域にしか作用していないうちに、基板9から振り切られてしまう。このように、基板9の表面の全域がスキャン領域とされたとすると、処理液を有効に使用できない時間帯が発生するために、処理液の総使用量が増加してしまう。また、基板9の周縁部付近に処理液が着液している時間帯は、基板9の中心部付近に新鮮な処理液が回らないために、中心部付近での処理が進行しにくい。その結果、基板9の中心部付近と周縁部付近との間で処理の不均一が生じやすい。例えば、ハードマスク908の剥離を行う場合に、基板9の表面の全域がスキャン領域とされてしまうと、基板9の中央付近のエッチング量が、基板9の周縁付近のエッチング量よりも、小さくなる傾向がある。このように、基板9の表面の全域がスキャン領域とされたとすると、処理液の使用量の増加、および、処理の均一性の低下を招くおそれがある。これに対し、上記の実施の形態では、スキャン領域が、基板9の周縁部を含まない中央領域Cに限定されることによって、処理液の使用量の増加を抑制できるとともに、基板9の表面の全域にわたる処理の均一性を高めることができる。
また、上記の実施の形態によると、リンス処理において、処理液の着液位置を基板9の回転中心に固定して、基板9の表面に処理液を供給する。この構成によると、基板9の回転中心に着液した処理液が、遠心力によって基板9の全体に広がって、基板9の表面の全域に有効に作用する。これによって、処理液の使用量が削減できるとともに、基板9の表面の全域にわたる処理の均一性を高めることができる。
また、上記の実施の形態において、第1回転速度V1で回転される基板9の回転方向と第2回転速度V2で回転される基板9の回転方向とが、同じ方向とされれば(図6、図8、図9参照)、基板9の回転速度がゼロになる瞬間が生じない。したがって、基板9上の処理液には、常に、基板9の回転中心から離れる方向の遠心力がはたらき、基板9上の余分な処理液は、基板9の周縁から勢いよく振り切られる。このため、基板9上の余分な処理液が、基板9の周縁から滴り落ちて回収され損なってしまう、といった事態が生じにくい。
また、上記の実施の形態において、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間の切り替えが、間欠的に行われれば(図6、図8、図10参照)、基板9の角加速度がゼロの時間帯(すなわち、基板9が等速回転される等速時間帯)T1,T3が発生し、この時間帯T1,T3において、基板9の表面を覆う処理液の液膜が、新鮮な処理液にスムーズ(速やかに)に置換される。
<6.別の実施の形態>
<6−1.基板処理装置100aの構成>
別の実施の形態に係る基板処理装置100aについて、図11を参照しながら説明する。図11は、基板処理装置100aの構成を示す図である。
基板処理装置100aは、上記の実施の形態に係る基板処理装置100と同様、基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置であって、チャンバ71と、保持回転機構72と、第1処理液供給系73と、第2処理液供給系74と、圧力調整部75と、制御部76と、を備える。
チャンバ71は、略円板状のチャンバ底部711と、チャンバ底部711の外周に固定される略円筒状のチャンバ側壁部712と、チャンバ側壁部712の上部開口を閉塞する略円板状のチャンバ蓋部713と、を備える。チャンバ蓋部713が、チャンバ側壁部712の上部に付勢されることによって、チャンバ71の内部空間70が密閉空間とされる。チャンバ蓋部713は、上下方向に移動可能であり、チャンバ蓋部713が上方に移動してチャンバ側壁部712から離間した状態において、チャンバ71内への基板9の搬出入が行われる。
チャンバ蓋部713の中央部には、これを貫通する配管(処理液吐出配管701、および、ガス吐出配管702)が設けられる。ガス吐出配管702は、例えば、断面が円環状であり、処理液吐出配管701の周囲を取り囲むように配置されている。また、チャンバ底部711の外周部には、チャンバ底部711を貫通する複数の配管(吸引配管703)が、周方向に例えば等ピッチで設けられる。
保持回転機構72は、チャンバ71内において、基板9を略水平姿勢に保持しつつ、当該基板9を、その主面の中心を通る鉛直な回転軸のまわりで回転させる回転保持部である。保持回転機構72は、具体的には、例えば、チャンバ側壁部712の内部において、周方向に配置されるステータ721と、チャンバ71の内部空間70においてステータ721の内側に配置される略円環状のロータ722と、ロータ722の内周面に設けられる保持部材723と、を備える。ロータ722は、ステータ721との間に働く磁力により、ステータ721およびチャンバ側壁部712に接触することなく支持され、上下方向に沿う中心軸を中心として回転する。保持部材723は、略円環板状の部材であり、ロータ722の内周面に固定されて、ロータ722とともにチャンバ71の内部空間70に収容される。基板9は、略水平姿勢で保持部材723上に載置されることによって、当該保持部材723に保持される。
この構成において、保持部材723が基板9を保持した状態で、ロータ722が回転されると、保持部材723に保持された基板9が、その面内の中心を通る鉛直な回転軸のまわりで、回転される。ロータ722およびステータ721は、制御部76と電気的に接続されており、制御部76の制御下で動作する。つまり、基板9の回転態様(具体的には、回転開始タイミング、回転終了タイミング、回転数(すなわち、回転速度)、等)は、制御部76によって制御される。
第1処理液供給系73は、例えば、第1処理液(例えば、薬液であり、具体的には、例えば、有機溶剤を含むポリマー除去液)を供給する第1処理液供給源731が、第1バルブ733が介挿された配管732を介して、処理液吐出配管701に接続された構成を備える。
第2処理液供給系74は、例えば、第2処理液(例えば、リンス液であり、具体的には、例えば、純水)を供給する第2処理液供給源741が、第2バルブ743が介挿された配管742を介して、処理液吐出配管701に接続された構成を備える。
この構成において、第1バルブ733が開放されると、第1処理液供給源731から供給される第1処理液が、処理液吐出配管701から吐出される。また、第2バルブ743が開放されると、第2処理液供給源741から供給される第2処理液が、処理液吐出配管701から吐出される。ただし、第1バルブ733および第2バルブ743は、制御部76と電気的に接続されており、制御部76の制御下で開閉される。つまり、処理液吐出配管701からの処理液の吐出態様(具体的には、吐出される処理液の種類、吐出開始タイミング、吐出終了タイミング、吐出流量、等)は、制御部76によって制御される。
圧力調整部75は、ガス供給系751と吸引系752と、を備える。ガス供給系751は、例えば、ガス(例えば、窒素ガス)を供給するガス供給源7511が、ガスバルブ7513が介挿された配管7512を介して、ガス吐出配管702に、接続された構成を備える。また、吸引系752は、例えば、ガス等を吸引(排気)する吸引部7521が、吸引バルブ7523が介挿された配管7522を介して、吸引配管703に、接続された構成を備える。
この構成において、ガスバルブ7513が開放されると、ガス吐出配管702からガスが吐出され、チャンバ71の内部空間70が加圧される。一方、吸引バルブ7523が開放されると、内部空間70内のガスが、吸引配管703を介して吸引され、チャンバ71の内部空間70が減圧される。また、吸引バルブ7523が開放されると、内部空間70内の処理液が、吸引配管703を介して吸引されて、チャンバ71外に排液される。ただし、ガスバルブ7513および吸引バルブ7523は、制御部76と電気的に接続されており、制御部76の制御下で開閉される。つまり、内部空間70の圧力等は、制御部76によって制御される。
制御部76は、基板処理装置100a内の各部を動作制御する装置である。制御部76のハードウエアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。制御部76は、ロータ722、ステータ721、第1バルブ733、第2バルブ743、ガスバルブ7513、吸引バルブ7523、等と電気的に接続されている。制御部76が、処理レシピに従って、これらの各部を動作させることにより、基板9に対する一連の処理が進行する。
<6−2.処理の流れ>
基板処理装置100aにて行われる処理の流れについて説明する。基板処理装置100aにて行われる処理の流れは、基板処理装置100にて行われる処理の流れとほぼ同様であるので、ここでも、図4を参照しながら説明する。基板処理装置100aにおいては、制御部76の制御下で、以下に説明する一連の処理が実行される。
まず、チャンバ蓋部713が上方に配置されている状態において、搬送ロボット(図示省略)が、基板9をチャンバ71内に搬入し、基板9を、その表面(上配線溝906およびヴィアホール907が形成されている側の主面)が上を向く姿勢で、保持部材723上に配置する(ステップS1)。これによって、保持部材723上に、基板9が、略水平姿勢で保持された状態となる。基板9が搬入されると、チャンバ蓋部713が下降されて、チャンバ蓋部713によりチャンバ側壁部712の上部開口が閉塞された状態とされる。すなわち、チャンバ71の内部空間70が密閉空間とされる。なお、内部空間70が密閉空間とされた後、以下に説明する一連の処理が行われる間の任意のタイミングで、圧力調整部75が、内部空間70の圧力を適宜調整する構成としてもよい。
チャンバ71が密閉されると、続いて、ロータ722の回転が開始される。これによって、保持部材723上に水平姿勢で保持される基板9が、水平面内(すなわち、鉛直な回転軸のまわりで)で回転開始される(ステップS2)。
続いて、薬液処理が行われる(ステップS3)。薬液処理においては、第1バルブ733が開放される。すると、処理液吐出配管701から、回転される基板9の表面に向けて、薬液が吐出される。処理液吐出配管701から吐出された薬液は、基板9の中央部に着液した後、基板9の回転による遠心力によって、基板9の周縁に向けて広がる。これにより、基板9の表面の全域に、薬液が行き渡って、基板9の表面の全域を覆う薬液の液膜が形成される。基板9の表面を覆う薬液の液膜が形成されることによって、基板9の表面に形成されているハードマスク908が薬液と反応してエッチングされるとともに、基板9の表面(平坦部分、および、凹部90内)のポリマー残渣が薬液と反応して除去される。ただし、基板9には、次々と新鮮な薬液が供給されていくので、基板9の表面の全域を覆う薬液の液膜は、次々と新鮮な薬液の液膜に置換されていく。新たに供給された薬液によって押し流された古い薬液は、基板9の回転による遠心力によって、基板9の周縁から外部に振り切られる。基板9から飛散した薬液は、吸引部7521の吸引力を受けて、チャンバ71外に排出される。
基板9に対して薬液の供給が行われる間(すなわち、基板9に対する薬液の供給と並行して)、基板9の表面の全域を覆う薬液の液膜を維持しつつ、基板9の回転速度が、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で、2回以上、切り替えられる(例えば図6参照)。上述したとおり、基板9の回転速度が切り替えられることによって、基板9上の薬液(特に、凹部90内の薬液)の流動性が高まる。その結果、ポリマー残渣が凹部90内から十分に除去される。
第1バルブ733が開放されてから定められた時間が経過すると、第1バルブ733が閉鎖されて、処理液吐出配管701からの薬液の吐出が停止される。以上で薬液処理が終了する。ただし、薬液処理が終了してから後述するリンス処理が開始されるまでの間に基板9の表面が乾いてしまわないように、薬液の供給が停止された後、直ちに、リンス液の供給が開始される。
続いて、リンス処理が行われる(ステップS4)。リンス処理においては、第2バルブ743が開放される。すると、処理液吐出配管701から、回転される基板9の表面に向けて、リンス液が吐出される。処理液吐出配管701から吐出されたリンス液は、基板9の中央部に着液した後、基板9の回転による遠心力によって、基板9の周縁に向けて広がる。これにより、基板9の表面の全域に、リンス液が行き渡って、基板9の表面の全域を覆うリンス液の液膜が形成される。基板9の表面を覆うリンス液の液膜が形成されることによって、基板9に残存している、ポリマー残渣を含む薬液が、すすぎ流される。ただし、基板9には、次々と新鮮なリンス液が供給されていくので、基板9の表面の全域を覆うリンス液の液膜は、次々と新鮮なリンス液の液膜に置換されていく。新たに供給されたリンス液によって押し流された古いリンス液は、基板9の回転による遠心力によって、ポリマー残渣を含む薬液とともに、基板9の周縁から外部に振り切られる。基板9から飛散したリンス液は、吸引部7521の吸引力を受けて、チャンバ71外に排出される。
基板9に対してリンス液の供給が行われる間(すなわち、基板9に対するリンス液の供給と並行して)、基板9の表面の全域を覆うリンス液の液膜を維持しつつ、基板9の回転速度が、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で、2回以上、切り替えられる(例えば図6参照)。上述したとおり、基板9の回転速度が切り替えられることによって、基板9上のリンス液(特に、凹部90内のリンス液)の流動性が高まる。その結果、ポリマー残渣が凹部90内から十分に除去される。
第2バルブ743が開放されてから定められた時間が経過すると、第2バルブ743が閉鎖されて、処理液吐出配管701からのリンス液の吐出が停止される。
続いて、乾燥処理が行われる(ステップS5)。具体的には、基板9に向けての処理液の吐出が停止された状態で、基板9の回転速度が、高速の回転速度(例えば、第1回転速度V1および第2回転速度V2よりも高速の回転速度)に上昇される。これによって、基板9に残存している処理液が振り切られて基板9から除去され、基板9が乾燥される。
基板9が高速の回転速度で回転され始めてから定められた時間が経過すると、基板9の回転が停止される。
続いて、チャンバ蓋部713が上昇されて、チャンバ側壁部712の上部開口が開口した状態とされ、搬送ロボット(図示省略)が、基板9をチャンバ71から搬出する(ステップS6)。以上で、当該基板9に対する一連の処理が終了する。
<6−3.効果>
この実施の形態においても、先に説明した実施の形態と同様の効果を得ることができる。特に、この実施の形態によると、密閉されたチャンバ71内で基板9に対する処理が進行するので、薬液処理およびリンス処理の少なくとも一方において、基板9の回転速度がゼロとなる瞬間(あるいは、下限許容速さを下回る瞬間)が生じて、基板9上の余分な処理液が基板9の周縁から滴り落ちたとしても、当該滴り落ちた処理液を問題なく回収できる。つまり、この実施の形態に係る基板処理装置100aが採用される場合は、例えば、第1回転速度V1で回転される基板9の回転方向と第2回転速度V2で回転される基板9の回転方向とが逆方向であっても、問題は生じない(図10参照)。
<7.その他の実施の形態>
上記の各実施の形態に係る基板処理装置100,100aでは、ドライエッチング後の基板9に対して、ハードマスク908の剥離とポリマー残渣の除去とを同時に進行させていたが、基板処理装置100,100aは、例えば、ハードマスク908を剥離した後の基板9(例えば、ドライエッチング後、さらに、ハードマスク908を除去するアッシングが施された基板9)を処理対象として、当該基板9に対して、ポリマー残渣(ドライエッチング時に生じた反応生成物(低誘電率絶縁膜905の成分を含む反応生成物)、および、アッシング時に生じた反応生成物(ハードマスク908の成分を含む反応生成物))を除去する処理を行ってもよい。また、基板処理装置100,100aは、例えば、ハードマスク上のレジストパターンを除去する処理を行ってもよい。
また、上記の実施の形態においては、中央領域Cがスキャン領域とされていたが、基板9の表面の全域が、スキャン領域とされてもよい。例えば、ハードマスク908を剥離した後の基板9を処理対象として、当該基板9に対してポリマー残渣を除去する処理を行う場合等は、エッチング量の均一性に配慮する必要がない。そこで、例えばこのような場合には、基板9の表面の全域をスキャン領域としてもよい。
また、上記の実施の形態では、薬液処理において、スキャンノズル31が移動しながら基板9に向けて薬液を吐出し、薬液の着液位置が、例えば中央領域Cを、走査(スキャン)する構成であるとしたが、薬液処理において、薬液の着液位置が、基板9の回転中心に固定されてもよい。具体的には、薬液処理において、固定ノズル41から、基板9の回転中心に向けて薬液を吐出する構成としてもよい。
また、上記の実施の形態では、リンス処理において、固定ノズル41が、基板9の中心に向けてリンス液を吐出し、リンス液の着液位置が、基板9の回転中心に固定される構成であるとしたが、リンス処理において、リンス液の着液位置が、例えば、中央領域C(あるいは、基板9の全域)を走査してもよい。具体的には、リンス処理において、スキャンノズル31が、移動しながら、基板9に向けてリンス液を吐出してもよい。
また、上記の実施の形態では、薬液処理とリンス処理との両方において、基板9の回転速度が、第1回転速度V1と第2回転速度V2との間で2回以上切り替えられていたが、一方の処理(例えば、リンス処理)においては、基板9は一定の回転速度で回転されてもよい。また、薬液処理とリンス処理とのうちの少なくとも一方において、基板9の回転速度が、3個以上の回転速度の間で、2回以上切り替えられてもよい。
また、上記の実施の形態において、スキャンノズル31および固定ノズル41のうちの少なくとも一方を、二流体ノズル(すなわち、処理液とガスとを混合して処理液の液滴を生成し、この処理液の液滴を基板9に向けて噴射する二流体ノズル)により構成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、スピンチャック1は、基板9を水平方向に挟む挟持式のチャックであるとしたが、スピンチャックは、基板9の下面を吸着するバキューム式のチャックであってもよい。
また、上記の実施の形態において、基板9は、半導体ウエハであるとしたが、基板9は、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、太陽電池用基板、等であってもよい。
以上のとおり、本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
100,100a 基板処理装置
1 スピンチャック
11 スピンベース
13 回転駆動部
2 飛散防止部
21 カップ
3 第1処理液供給部
31 スキャンノズル
4 第2処理液供給部
41 固定ノズル
5,76 制御部
71 チャンバ
72 保持回転機構
73 第1処理液供給系
74 第2処理液供給系
75 圧力調整部
701 処理液吐出配管
9 基板
90 凹部

Claims (7)

  1. 表面に凹部がある基板を処理する基板処理方法であって、
    a)水平姿勢で保持されて水平面内で回転される前記基板の前記表面に、処理液を供給して、前記表面を覆う前記処理液の液膜を形成する工程と、
    b)前記a)工程と並行して、前記表面を覆う前記処理液の液膜を維持しつつ、前記基板の回転速度を、第1回転速度と第2回転速度との間で、2回以上、切り替える工程と、
    を備え
    前記a)工程において、
    前記処理液の着液位置を移動させつつ、前記表面に前記処理液を供給し、
    前記基板の回転中心を含み、かつ、前記基板の周縁部を含まない領域内で、前記着液位置を移動させ、
    前記領域の外周縁の位置が、前記表面内の各位置における前記凹部内の前記処理液の速度に基づいて規定される、基板処理方法。
  2. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記領域の前記外周縁の位置は、前記基板の前記凹部内の前記処理液の速度の上向きの成分が、前記周縁部の前記凹部内の前記処理液の速度の上向きの成分の半分となる位置に規定される、
    板処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理方法であって、
    前記第1回転速度で回転される前記基板の回転方向と、前記第2回転速度で回転される前記基板の回転方向とが、同じ方向である、
    基板処理方法。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法であって、
    前記第1回転速度と前記第2回転速度との間の切り替えが、間欠的に行われる、
    基板処理方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法であって、
    前記処理液が、前記表面のポリマーを除去するとともに、前記表面に形成されている薄膜を除去する薬液である、
    基板処理方法。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の基板処理方法であって、
    前記処理液が、薬液をすすぎ流すリンス液である、
    基板処理方法。
  7. 表面に凹部がある基板を処理する基板処理装置であって、
    前記基板を水平姿勢に保持しつつ、前記基板を鉛直な回転軸のまわりで回転させる回転保持部と、
    前記回転保持部に保持される前記基板の前記表面に処理液を供給する吐出部と、
    前記吐出部に前記表面に前記処理液を供給させて、前記表面を覆う前記処理液の液膜を形成させつつ、これと並行して、前記表面を覆う前記処理液の液膜を維持しつつ、前記回転保持部に、前記基板の回転速度を第1回転速度と第2回転速度との間で2回以上切り替えさせる、制御部と、
    を備え
    前記制御部は、前記基板の回転中心を含み、かつ、前記基板の周縁部を含まない領域内で、前記処理液の着液位置を移動させつつ、前記表面に前記処理液を供給し、
    前記領域の外周縁の位置が、前記表面内の各位置における前記凹部内の前記処理液の速度に基づいて規定される、基板処理装置。
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