以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置を説明するための断面図である。
図1に示される画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置とも称され、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。画像形成装置Aは、電子写真方式の作像プロセスを用いて画像データを画像形成用紙等(記録媒体)の用紙上に画像形成する。
画像形成装置Aは、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。4組の画像形成部は、イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、ブラック(K)色の画像を形成する画像形成部10Kである。
画像形成部10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、その周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Yおよび感光体ドラムクリーニング装置5Yとを有する。同様に、画像形成部10Mは、像担持体としての感光体ドラム1Mと、その周囲に配置された帯電部2M、光書込部3M、現像装置4Mおよび感光体ドラムクリーニング装置5Mとを有する。画像形成部10Cは、像担持体としての感光体ドラム1Cと、その周囲に配置された帯電部2C、光書込部3C、現像装置4Cおよび感光体ドラムクリーニング装置5Cとを有する。画像形成部10Kは、像担持体としての感光体ドラム1Kと、その周囲に配置された帯電部2K、光書込部3K、現像装置4Kおよび感光体ドラムクリーニング装置5Kとを有する。なお、画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kのそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K、帯電部2Y、2M、2Cおよび2K、光書込部3Y、3M、3Cおよび3K、並びに感光体ドラムクリーニング装置5Y、5M、5Cおよび5Kは、それぞれ同様の機能を有する構成である。したがって、以下では、特に区別がある場合を除き、符号Y、M、CまたはKを付さずに表記する。
本実施形態の画像形成処理においては、像担持体として、感光体ドラム1および中間転写ベルト6が用いられる。
中間転写ベルト6は、無端ベルトであり、複数のローラーにより架設され、走行可能に支持される。画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kに形成された各色のトナー像は、一次転写部7Y、7M、7Cおよび7Kにより走行する中間転写ベルト6上に逐次転写される。これにより、各色(Y、M、C、K)の層が重畳したカラー画像(トナー像)が中間転写ベルト6上に一次転写される。
用紙搬送部20は、用紙Sを搬送する。用紙Sは、給紙トレイ291、292および293に収容されており、第1給紙部21により給紙され、ループ形成ローラー対22およびレジストローラー対23を経て、二次転写部7Aに搬送される。二次転写部7Aにおいて、中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像が用紙S上に二次転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置50のニップ部Nにおいて熱と圧力とが加えられることにより、用紙S上のトナー像が溶融定着される。そして、用紙Sは、排紙ローラー25により装置外に排紙される。
二次転写装置30は、中間転写ベルト6上のカラートナー像を、用紙S上に二次転写する。具体的には、二次転写手段としての二次転写装置30は、二次転写部7Aにおいて中間転写ベルト6に当接して配設されており、用紙Sが、二次転写装置30の二次転写ベルト31と中間転写ベルト6との間のニップ部(二次転写部7A)を通過する。当該ニップ部において、二次転写装置30が用紙Sを中間転写ベルト6に押圧すると共に転写ローラー32にトナーと逆極性の電圧を印加することにより、カラートナー像が用紙S上に二次転写される。また、二次転写装置30は、二次転写ベルト31を架設して周回駆動するための複数の支持ローラーを備える。この際、中間転写ベルト6上の、用紙Sに転写される以外の部分に付着したトナーや、画像安定化制御のために中間転写ベルト6上に形成されたトナーが二次転写ベルト31に転写される。二次転写装置30について、詳細は後述する。
二次転写ベルトクリーニング装置(以下、単にクリーニング装置と称する)40は、二次転写装置30の二次転写ベルト31近傍に配設され、二次転写ベルト31上に付着した残留トナーや紙粉等の残留付着物を除去する。クリーニング装置40は、クリーニングブレード41を有する。クリーニングブレード41は、二次転写ベルト31に圧接して二次転写ベルト31に残留したトナーを除去する。また、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に圧接する部分の摩擦を低減するために、クリーニングブレード41には、潤滑剤としてトナーが供給される。トナーの供給は、画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kに形成されたトナー帯を、中間転写ベルト6上に転写することにより行う。トナー帯は、中間転写ベルト6上において、ニップ部での二次転写時に用紙Sに当接する部分ではなく、用紙間等、二次転写ベルトに直接当接する部分に形成される。このようにして、中間転写ベルト6上に転写されたトナー帯は、二次転写部7Aにおいて二次転写ベルト31上に転写され、クリーニングブレード41によって回収される。これにより、クリーニングブレード41に、潤滑剤としてのトナーが供給される。
画像形成装置Aの上記各部は、制御部90と接続されており、制御部90により適宜制御される。制御部90の一部として構成されるCPU(不図示)は、ステアリング情報からステアリング動作の偏りを判別する処理、またはステアリング動作の偏りを解消する処理を実行する。これらの処理の詳細については後述する。なお、これらの処理に対応するプログラムは、制御部90に含まれる記憶部(不図示)等に格納される。画像形成装置Aの上記各部の各機能は、CPUが対応するプログラムを実行することにより発揮される。
なお、画像形成装置Aは、それぞれ上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
次に、画像形成装置Aにより用紙に画像形成する電子写真プロセスについて説明する。
まず、スリットSLを頂部に備える原稿台に原稿が載置され、載置された原稿は、画像読取り装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、原稿からの反射光がミラーを介してラインイメージセンサーによって読み込まれ光電変換される。光電変換されて生成された色毎の画像情報信号は、画像処理部(不図示)によりアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が施された後、対応する色の画像形成部10の光書込部3にそれぞれ入力される。
画像形成部10の光書込部3は、画像情報信号を感光体ドラム1に書き込み、感光体ドラム1上に画像情報信号に基づく潜像を形成する。具体的には、感光体ドラム1は、有機光導電体(Organic Photo Conductor:OPC)を含むポリカーボネイト等の樹脂からなる感光層を金属基体上に有している。感光体ドラム1の表面は、スコロトロンタイプ等のコロナ放電極からなる帯電部2により生成されるイオンにより帯電され、光書込部3は画像情報信号に基づいて感光体ドラム1上を走査露光する。帯電された感光体ドラム1の露光された部分は電位が低下し、画像情報信号に対応する静電潜像が感光体ドラム1上に形成される。現像装置4は、静電力を利用して感光体ドラム1上に形成された静電潜像をトナーで現像し、各色に対応するトナー像が形成される。
ここで、現像するためのトナーは、感光体ドラム1と同じ電極に帯電している。たとえば、感光体ドラム1は負極に帯電される。負極に帯電された感光体ドラム1上の領域のうち、光書込部3により電位が低下した潜像部分にだけ、負極に帯電したトナーが付着され、感光体ドラム1上に静電潜像を形成できる。感光体ドラム1上の静電潜像は、中間転写ベルト6上に一次転写され、中間転写ベルト6上にトナー像を形成できる。この時、中間転写ベルト6を正極に帯電することによって、負極に帯電したトナーの中間転写ベルト6への転写を促すことができる。なお、中間転写ベルト6上には、印刷濃度や、色または画像形成位置の補正等のために、用紙Sに転写させないパッチが形成される。パッチを形成するためのトナーは、静電潜像を形成するためのトナー同様、負極に帯電している。それから、中間転写ベルト6上に形成されたトナー像は、二次転写部7Aにおいて、用紙S上に二次転写される。この時、用紙Sを負極に帯電することによって、中間転写ベルト6により正極に帯電されたトナー像の、用紙Sへの転写を促すことができる。
<二次転写装置30>
次に、二次転写装置30の構成について詳細に説明する。
図2は、図1に示される二次転写装置を説明するための概略構成図である。
図2に示すように、二次転写装置30は、無端ベルトである二次転写ベルト31と、転写ローラー32と、駆動ローラー33と、ステアリングローラー34と、テンションローラー35とを有する。二次転写ベルト31は、転写ローラー32と、駆動ローラー33と、ステアリングローラー34と、テンションローラー35とに張架されている。二次転写ベルト31は、たとえば変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等の樹脂から形成され、導電材料を分散した、厚さ0.1mmから1.0mmのフィルムからなる。二次転写ベルト31は、駆動ローラー33の駆動で周回する。二次転写ベルト31の進行方向に垂直な幅方向における寄りは、後述するように、ステアリングローラー34によるステアリング動作によって修正される。二次転写ベルト31を駆動して用紙Sを搬送することにより、中間転写ベルト6上のカラートナー像が用紙Sに転写される。
<ステアリング動作>
次に、ステアリングローラー34によるステアリング動作について説明する。
図3は、図2の矢印方向から見た二次転写装置の概略構成を示す図である。図3において、(A)はステアリングローラーが標準位置にある様子を示し、(B)はステアリングローラーが+1側に傾動した様子を示し、(C)はステアリングローラーが−1側に傾動した様子を示す。図4は、ステアリングローラーの傾動状態の時間変化の一例を示す図である。図4において、(A)はステアリングローラーの傾動傾向に偏りがなく良好な場合の例を示し、(B)はステアリングローラーの傾動傾向に偏りがあり良好でない場合の例を示す。図5は、二次転写ベルトに波打ちしわが発生する様子を示す図である。
図3に示すように、ステアリングローラー34は、回転軸の一端を支点として傾動することによって二次転写ベルト31の張力を調整し、二次転写ベルト31の幅方向におけるベルト寄りを修正する。
図3(A)に示すように、ステアリングローラー34は、初期状態である標準位置にある場合、駆動ローラー33と平行となっている。この状態から、二次転写ベルト31を回転させると、ベルト寄りが発生する。ベルト寄りが所定の閾値に達すると、二次転写ベルト31の端縁を検知するセンサ(不図示)がベルト寄りを検知する。センサの検知信号に基づいて制御部90がモーターを駆動させて、ステアリングローラー34を傾動させる。ステアリングローラー34が傾動することにより、二次転写ベルト31の張力が調整され、ベルト寄りが修正される。
ステアリングローラー34は、回転軸の一方の端部E1を支点として、他方の端部E2がモーターの駆動力等によって移動されることにより傾動する。ステアリングローラー34が傾動することにより、二次転写ベルト31の幅方向における張力分布が調整され、ベルト寄りが修正される。
具体的には、図3(B)に示すように、ステアリングローラー34が+1側に傾動すると、二次転写ベルト31において、図中右側の張力が大きくなる。その場合、二次転写ベルト31には、図中左側(図2における奥側)へ移動する力が働く。したがって、二次転写ベルト31が図中右側へ寄った場合には、ステアリングローラー34を+1側に傾動するように制御することにより、二次転写ベルト31を図中左側へ移動させる力が働き、ベルト寄りが修正される。
一方、図3(C)に示すように、ステアリングローラー34が−1側に傾動すると、二次転写ベルト31において、図中左側の張力が大きくなる。その場合、二次転写ベルト31には、図中右側(図2では手前側)へ移動する力が働く。したがって、二次転写ベルト31が左側へ寄った場合には、ステアリングローラー34を−1側に傾動するように制御することにより、二次転写ベルト31を右側へ移動させる力が働き、ベルト寄りが修正される。
二次転写ベルト31の回転状態が良好な場合、図4(A)に示すように、ステアリングローラー34の端部E2の位置は、+1側および−1側に一定時間毎(たとえば、0.5秒程度毎)に均等に移動する。すなわち、ステアリングローラー34の傾動傾向に偏りがない状態となる。この状態では、二次転写ベルト31は、図3における右側と左側(図2では手前側と奥側)に交互に均等に寄り移動し、ステアリング動作により走行性が適切に制御されている。
二次転写ベルト31の回転状態が良好でない場合、図4(B)に示すように、ステアリングローラー34は、+1側および−1側に均等に傾動せず、どちらか一方の側に偏って傾動する。図4(B)に示す例においては、+1側に傾動する時間が長く、−1側に傾動する時間が短い。この場合、図3において、二次転写ベルト31の右側の張力が高められている時間が長く、左側の張力が高められている時間が短い。すなわち、二次転写ベルト31は、右側に寄りやすい特性があり、右側への寄りの偏りがあるといえる。二次転写ベルト31に右側への寄りの偏りがあるため、ステアリング動作によって強制的に二次転写ベルト31の右側の張力を高めて、左側に戻している状態である。この状態において、二次転写ベルト31は、大きなストレスがかかった状態で回転することになる。このような偏った状態でステアリング動作が長期間にわたって繰り返し行われると、二次転写ベルト31には、図5に示すような波打ちしわが発生する。
本願発明は、ステアリング動作以外の方法で二次転写ベルト31の寄りの偏りを解消することによって、ステアリング動作の偏りを解消するものである。
<ステアリング動作の偏りの解消動作>
以下、本実施形態に係る画像形成装置Aの動作を説明する。
二次転写ベルト31の幅方向の寄りの偏りは、外部から二次転写ベルト31に与えられる接触抵抗が大きい側から小さい側に移動する方向に発生するという特性がある。したがって、二次転写ベルト31が寄り易い側の接触抵抗を大きくする、あるいは、二次転写ベルト31が寄りにくい側の接触抵抗を小さくすることにより、ベルト寄りの偏りを解消できる。本実施形態では、二次転写ベルト31の幅方向の寄りに影響する因子として、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に圧接する部分に供給するトナーの量を制御する。具体的には、二次転写ベルト31が寄りにくい側において、クリーニングブレード41に供給するトナーの量を多くして、外部からの接触抵抗を小さくする。
まず、制御部90は、取得部として、ステアリングローラー34の傾動傾向を示す情報を、ステアリング情報として一定時間ごとに取得する。取得する情報は、たとえば、ステアリングローラー34の端部E2の標準位置からの移動量(傾動量)である。傾動量は、制御部90がステアリングローラー34を傾動させるモーターを駆動する際の制御情報等から取得できる。制御部90は、取得したステアリング情報を記憶部に格納する。
続いて、制御部90は、記憶部に格納したステアリング情報に基づいて、ステアリングローラー34の傾動の偏りの有無を判別する。この判別は、たとえば、ステアリングローラー34の端部E2の標準位置からの移動量の累積値(図4に示すグラフの面積に相当)を、+1側と−1側とに分けて算出して比較することにより行う。図4(A)の例においては、+1側の移動量の累積値が、−1側の移動量の累積値と等しい。したがって、ステアリングローラー34の傾動の偏りはないと判別される。一方、図4(B)の例においては、+1側の移動量の累積値が、−1側の移動量の累積値よりも大きい。したがて、ステアリングローラー34の傾動は、+1側への偏りがあると判別される。この場合、二次転写ベルト31は、図2の手前側、すなわち、図3の右側に寄り易い状態であると判別される。
ステアリングローラー34の傾動に偏りがあると判別された場合、制御部90は、ステアリングローラー34の傾動の偏りを低減するように、二次転写ベルト31が寄り易い側において、クリーニングブレード41に供給するトナーの量を多くする。
図6は、クリーニングブレードと二次転写ベルトとが圧接する部分を、二次転写ベルトの進行方向から見た拡大図である。図6では、クリーニングブレード41の幅方向においてトナーの供給量に差を持たせるパターンが示されている。図6において、(A)はクリーニングブレードの片側のみにトナーを供給するパターンを示し、(B)は一端から他端に向けてトナー供給量を段階的に異ならせるパターンを示し、(C)はトナー濃度を異ならせるパターンを示す。図6において、クリーニングブレード41と二次転写ベルト31との間にトナーが存在する部分の方が、トナーが存在しない部分よりも接触抵抗が低減されている。
図6(A)に示すように、二次転写ベルト31が図中右側に寄り易い場合、クリーニングブレード41の左側のみにトナーLを供給する。これにより、クリーニングブレード41の左側の接触抵抗が低減され、二次転写ベルト31が左側に寄る力が働く。その結果、二次転写ベルト31の右側への寄りの偏りを解消でき、ステアリング動作の偏りを解消できる。
ここで、クリーニングブレード41へのトナーの供給量の異ならせ方は、図6(A)の例に限定されない。たとえば、図6(B)に示すように、クリーニングブレード41の左側から右側に向けてトナー供給量を段階的に減少させてもよい。これにより、クリーニングブレード41の左側の接触抵抗が右側よりも低減され、二次転写ベルト31が左側に寄る力が働く。その結果、二次転写ベルト31の右側への寄り易さを解消でき、ステアリング動作の偏りを解消できる。
あるいは、図6(C)に示すように、クリーニングブレード41の左側と右側とで、供給するトナーの濃度を異ならせてもよい。クリーニングブレード41の左側に供給するトナーの濃度を右側に供給するトナーの濃度よりも高くすることにより、クリーニングブレード41の左側の接触抵抗が右側よりも低減され、二次転写ベルト31が左側に寄る力が働く。その結果、二次転写ベルト31の右側への寄り易さを解消でき、ステアリング動作の偏りを解消できる。
上記の二次転写ベルト31の寄り易い側の判別およびクリーニングブレード41へのトナー供給処理を行うタイミングは、所定枚数(たとえば、1000枚程度)の用紙Sに画像形成処理を行う毎としてもよい。また、所定時間(たとえば、10分程度)が経過する毎に行ってもよい。あるいは、二次転写ベルトの走行距離が所定の距離(たとえば、300m程度)に到達する毎に行ってもよい。また、二次転写ベルト31の寄り易い側の判別結果に基づいて、その後の当該処理を行うタイミングや頻度を決定してもよい。
以上のように、第1実施形態の画像形成装置Aによれば、ステアリング情報に基づいて、ステアリングローラー34の傾動の偏りを低減するように、二次転写ベルト31の幅方向の寄りに影響する因子として外部から与える接触抵抗を制御する。したがって、二次転写ベルト31の一方向への寄りの偏りを解消し、ステアリングローラー34の傾動の偏りを低減できる。これにより、大きなストレスがかかった状態で二次転写ベルト31を回転させることを抑止し、二次転写ベルト31に波打ちしわが発生することを抑止できる。
また、画像形成装置Aは、ステアリング情報として、ステアリングローラー34の標準位置からの傾動量の累積値を使用する。したがって、ステアリング動作の偏りをより正確に検知できる。
また、画像形成装置Aは、二次転写ベルト31の幅方向の寄りに影響する因子として、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に圧接する部分に供給するトナーの量を制御する。したがって、クリーニングブレード41へのトナー供給量を制御することによって二次転写ベルト31に外部から与えられる接触抵抗を調整でき、二次転写ベルト31の寄りの偏りを解消でき、ステアリング動作の偏りを解消できる。
また、画像形成装置Aは、ステアリングローラー34の傾動傾向により二次転写ベルト31の幅方向において二次転写ベルト31が寄り易い側を判別し、二次転写ベルト31が寄り易い側よりも寄りにくい側に多くのトナーを供給する。したがって、二次転写ベルト31が寄りにくい側において二次転写ベルト31に外部から与えられる接触抵抗が低減され、二次転写ベルト31が寄りにくい側に移動する力が働く。これにより、二次転写ベルト31の寄りの偏りを解消でき、ステアリング動作の偏りを解消できる。
また、二次転写ベルト31は、樹脂材料により形成される。したがって、波打ちしわが発生しやすい樹脂ベルトにおいても、ベルトの寄りの偏りを解消して、波打ちしわの発生を抑止できる。
なお、上記実施形態においては、転写ベルトとして二次転写ベルト31に適用する例を説明したが、これに限定されない。転写ベルトは、中間転写ベルト6であってもよい。この場合、像担持体は感光体ドラム1、ステアリングローラーは中間転写ベルト6を懸架するステアリングローラー、クリーニングブレードは中間転写ベルト6に設けられるクリーニングブレードが用いられる。
また、上記実施形態においては、ステアリングローラー34の傾動量は、制御部90がステアリングローラー34を傾動させるモーターを駆動する際の制御情報等から取得する例を説明したが、これに限定されない。傾動量は、たとえば、ステアリングローラー34をカメラで連続撮影した画像情報から算出してもよい。
また、上記実施形態においては、ステアリング動作は、二次転写ベルト31の端縁を検知するセンサの検知信号に基づいて、ステアリングローラー34の端部E1を支点として、端部E2を一定距離傾動させるものとして説明したが、これに限定されない。ステアリング動作は、センサを用いずに機械的な構造によりベルトの寄りを検出するものでもよい。また、ステアリング動作は、ステアリングローラー34の幅方向における中央を支点としてステアリングローラー34を傾動させてもよい。また、ステアリング動作は、ステアリングローラー34を一定距離傾動させるものに限らず、傾動する距離を多段階に制御してもよい。
また、上記実施形態においては、ステアリング動作は、常時行われるものとして説明したが、これに限定されない。ステアリング動作は、通常時は行わず、ベルトの寄りが発生した時にのみ行うものであってもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の画像形成装置について説明する。なお、第1実施形態の画像形成装置と同様の構成については、同じ参照番号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態の画像形成装置の構成は、図1に示される画像形成装置の構成と、二次転写装置30の構成のみが異なり、それ以外の構成は同様である。
第1実施形態では、クリーニングブレード41の幅方向において供給するトナーの量を異ならせることによって、外部から二次転写ベルト31に与えられる接触抵抗を調整し、ベルト寄りの偏りを解消する。しかし、外部から二次転写ベルト31に与えられる接触抵抗は、二次転写を行う際に中間転写ベルト6が二次転写ベルト31に与える転写圧力を、二次転写ベルト31の幅方向において異ならせることによって調整してもよい。第2実施形態では、二次転写を行う際の接触圧力を、二次転写ベルト31が寄り易い側の接触抵抗を低減するように、二次転写ベルト31の幅方向において異ならせる場合について説明する。
図7は、第2実施形態に係る二次転写装置を説明するための概略構成図である。図7において、(A)は第2実施形態に係る二次転写装置の概略構成を示し、(B)は(A)の矢印方向に見た二次転写装置の概略構成を示す。
図7(A)に示すように、二次転写装置30は、ケーシング30aに格納され、二次転写ユニット300として構成される。図7(B)に示すように、ケーシング30aの下部には、二次転写ベルト31の幅方向における両端に、押圧バネB1および押圧力調整カム(以下、単にカムと称する)C1がそれぞれ設けられている。
カムC1は、二次転写ユニット300の位置を調整し、二次転写時に二次転写ベルト31と中間転写ベルト6とが回転接触する際の転写圧力を制御する。
カムC1は、たとえば、楕円筒状に形成され、円筒軸中心から偏心された位置でステッピングモーター(不図示)等により駆動される駆動軸により軸支される。ステッピングモーターが駆動軸を回転駆動させることにより、カムC1と押圧バネB1との接点が図7(A)における上下方向に移動する。この接点の移動により、カムC1は、押圧バネB1が伸長しようとする力、すなわち、ケーシング30aを押圧する力を調整でき、二次転写ユニット300の位置を調整できる。二次転写ユニット300の位置が調整されると、二次転写ベルト31と中間転写ベルト6との相対的な距離が調整され、二次転写ベルト31に与えられる接触抵抗が調整される。
図7(B)に示す例において、たとえば、二次転写ベルト31が右側に寄り易いと判断された場合、制御部90は、二次転写ユニット300の右側が上方向に移動するように、右側のカムC1を駆動させる。これにより、二次転写ベルト31の右側において、中間転写ベルト6との相対的な距離が近くなり、中間転写ベルト6から与えられる接触抵抗が大きくなる。その結果、二次転写ベルト31には、左側に寄る力が働き、二次転写ベルト31の右側への寄りの偏りが解消される。一方、二次転写ベルト31が左側に寄り易いと判断された場合、制御部90は、二次転写ユニット300の左側が上方向に移動するように、左側のカムC1を駆動させる。これにより、二次転写ベルト31の左側において、中間転写ベルト6との相対的な距離が近くなり、中間転写ベルト6から与えられる接触抵抗が大きくなる。その結果、二次転写ベルト31には、右側に寄る力が働き、二次転写ベルト31の左側への寄りの偏りが解消される。
以上のように、第2実施形態の画像形成装置Aによれば、二次転写ベルト31の幅方向の寄りに影響する因子として、二次転写ベルト31と中間転写ベルト6とが回転接触する際の転写圧力を制御する。したがって、二次転写ベルト31と中間転写ベルト6との転写圧力を制御することによって二次転写ベルト31に外部から与えられる接触抵抗を調整して、二次転写ベルト31の寄りの偏りを解消できる。
また、画像形成装置Aは、ステアリングローラー34の傾動傾向により二次転写ベルト31の幅方向において二次転写ベルト31が寄り易い側を判別し、二次転写ベルト31が寄り易い側の転写圧力を寄りにくい側の転写圧力よりも高める。したがって、二次転写ベルト31が寄り易い側において二次転写ベルト31に外部から与えられる接触抵抗が高められ、二次転写ベルト31が寄りにくい側に移動する力が働く。これにより、二次転写ベルト31の寄りの偏りを解消できる。
なお、上記実施形態においては、カムC1により二次転写ユニット300の位置を調整するものとして説明したが、これに限定されない。二次転写ユニット300の位置を移動可能な機構であれば、ソレノイドや動力シリンダー等いかなる機構が用いられても良い。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の画像形成装置について説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態の画像形成装置と同様の構成については、同じ参照番号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態の画像形成装置の構成は、図1に示される画像形成装置の構成と、二次転写装置30の構成のみが異なり、それ以外の構成は同様である。
第1実施形態では、クリーニングブレード41の幅方向において供給するトナーの量を異ならせることによって、外部から二次転写ベルト31に与えられる接触抵抗を調整し、ベルト寄りの偏りを解消する。しかし、外部から二次転写ベルト31に与えられる接触抵抗は、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に接する際のブレード圧力を、二次転写ベルト31の幅方向において異ならせることによって調整してもよい。第3実施形態では、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に接する際のブレード圧力を、二次転写ベルト31が寄り易い側の接触抵抗を低減するように、二次転写ベルト31の幅方向において異ならせる場合について説明する。
図8は、第3実施形態に係る二次転写装置を説明するための概略構成図である。図8において、(A)は第3実施形態に係る二次転写装置の概略構成を示し、(B)は(A)の矢印方向に見たクリーニングブレードの概略構成を示す。
図8(A)に示すように、二次転写装置30の二次転写ベルト31に圧接するクリーニングブレード41には、押圧バネB2およびカムC2が設けられている。また、図8(B)に示すように、押圧バネB2およびカムC2は、クリーニングブレード41の幅方向における両端にそれぞれ設けられている。
カムC2は、クリーニングブレード41の位置を調整し、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に圧接する際のブレード圧力を制御する。
押圧バネB2およびカムC2の構成は、押圧バネB1およびカムC1と同様である。カムC2は、押圧バネB2が伸長しようとする力、すなわち、クリーニングブレード41を押圧する力を調整でき、クリーニングブレード41の位置を調整できる。クリーニングブレード41の位置が調整されると、クリーニングブレード41と二次転写ベルト31との相対的な距離が調整され、二次転写ベルト31に与えられるブレード圧力が調整される。
図8(B)に示す例において、たとえば、二次転写ベルト31が右側に寄り易いと判断された場合、制御部90は、クリーニングブレード41の右側を二次転写ベルト31に押圧するように右側のカムC2を駆動する。これにより、二次転写ベルト31の右側において、クリーニングブレード41から与えられる接触抵抗が大きくなる。その結果、二次転写ベルト31には、左側に寄る力が働き、二次転写ベルト31の右側への寄りの偏りが解消される。一方、二次転写ベルト31が左側に寄り易いと判断された場合、制御部90は、クリーニングブレード41の左側を二次転写ベルト31に押圧するように左側のカムC2を駆動する。これにより、二次転写ベルト31の左側において、クリーニングブレード41から与えられる接触抵抗が大きくなる。その結果、二次転写ベルト31には、右側に寄る力が働き、二次転写ベルト31の左側への寄りの偏りが解消される。
以上のように、第3実施形態の画像形成装置Aによれば、二次転写ベルト31の幅方向の寄りに影響する因子として、クリーニングブレード41が二次転写ベルト31に圧接する際のブレード圧力を制御する。したがって、二次転写ベルト31を含む二次転写ユニット300の位置を調整することにより、ステアリング動作の偏りを低減させて二次転写ベルト31の波打ちしわ発生を抑止できる。
また、画像形成装置Aは、ステアリングローラー34の傾動傾向により二次転写ベルト31の幅方向において二次転写ベルト31が寄り易い側を判別し、二次転写ベルト31が寄り易い側の転写圧力を寄りにくい側の転写圧力よりも高める。したがって、二次転写ベルト31が寄り易い側において二次転写ベルト31に外部から与えられる接触抵抗を高め、二次転写ベルト31が寄りにくい側に移動する力を与え、二次転写ベルト31の寄りを解消できる。
なお、上記実施形態においては、カムC2によりクリーニングブレード41の位置を調整するものとして説明したが、これに限定されない。クリーニングブレード41の位置を移動可能な機構であれば、ソレノイドや動力シリンダー等いかなる機構が用いられても良い。
上記の説明においては、第1〜第3実施形態において、二次転写ベルトの寄りの偏りを解消する処理について、別個独立した態様として説明した。しかし、第1〜第3実施形態の態様が組み合わせられてもよい。たとえば、第1〜第3実施形態の処理を行う前に、装置の稼働状態やトナー残量等からどの処理を行うことが適切か判断し、判断の結果により第1〜第3実施形態のうち最適な処理を行ってもよい。あるいは、第1〜第3実施形態の処理を組み合わせて実行されるようにしてもよい。また、第1〜第3実施形態の処理それぞれについて実行タイミング等の実行条件を設定し、それぞれの実行条件が満たされたときに、各処理が実行されるようにしてもよい。