JP6237263B2 - 燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の製造方法に関する。
例えば、燃料電池の製造方法は、金属セパレータをプレス成型する工程、金属セパレータを溶接(接合)する工程、金属セパレータを表面処理する工程、金属セパレータが組み込まれたモジュールを組立てる工程、および、モジュールからスタックを組立てる工程を有する。そして、金属セパレータを溶接する工程においては、金属セパレータのアクティブエリア部、外周およびマニホールド部が溶接される。
アクティブエリア部は、膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)の発電に寄与する領域に接する領域であり、燃料電池の電極の接触抵抗および発電性能を維持する観点から、溶接後の厚みが一定に維持されることが求められている。外周およびマニホールド部は、反応用ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)および冷媒を流通させるための部位であり、反応用ガスおよび冷媒の漏出を防止する観点から、シール性を確保することが求められている。
一方、セパレータの形成からモジュールの組立てまでを連続的に実施することによって、良好な生産性を有する燃料電池の製造方法が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−190946号公報
しかし、金属セパレータは、プレス成型によって形成されており、スプリングバックの程度が部位によって異なっており、例えば、アクティブエリア部は、反りが発生して凸形状に膨らむため、金属セパレータを溶接する際の溶接品質を確保することが困難である。
外周およびマニホールド部は、曲線状の溶接部位と直線状の溶接部位が混在するため、アクティブエリア部と同様に溶接する場合、溶接時間(リードタイム)が長くなり、生産性を向上させることが困難である。
一方、特許文献1に記載の発明においては、接着剤によるセパレータの接合構造が適用されており、溶接による金属セパレータの接合構造に利用することは困難である。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、金属セパレータのアクティブエリア部、外周およびマニホールド部の溶接品質を確保しつつ良好な生産性を有する燃料電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、膜電極接合体の発電に寄与する領域に接するアクティブエリア部と反応用ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)および冷媒を流通させるための部位であるマニホールド部が設けられた金属セパレータ同士を互いに溶接する溶接工程を有する燃料電池の製造方法である。前記溶接工程は、前記金属セパレータのアクティブエリア部を、溶接電極で挟持し、加圧しながら通電することによって抵抗溶接する第1溶接工程と、前記金属セパレータの外周およびマニホールド部を、エネルギー線を照射することによって溶接する第2溶接工程と、から成る。
本発明によれば、金属セパレータのアクティブエリア部の溶接は、加圧された状態で実施される。つまり、金属セパレータがプレス成型によって形成された場合であっても、アクティブエリア部は、スプリングバックによる反りが押圧によって矯正された状態で溶接されるため、溶接品質を確保することが容易であり、また、溶接後において金属セパレータを積層する際、アクティブエリア部が凸形状に膨らむことが防止され、燃料電池の電極の接触抵抗および発電性能を維持することが可能である。一方、金属セパレータの外周およびマニホールド部の溶接は、エネルギー線の照射によって実施されるため、曲線状の溶接部位と直線状の溶接部位が混在しても、高速での溶接が可能であり、溶接工程のリードタイムを短縮し、生産性を向上させることができ、また、連続的な溶接によって溶接品質(反応用ガスおよび冷媒の漏出を防止するシール性)を確保することが可能である。したがって、金属セパレータのアクティブエリア部、外周およびマニホールド部の溶接品質を確保しつつ良好な生産性を有する燃料電池の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る燃料電池を説明するための分解斜視図である。 図1に示される単セルを説明するための断面図である。 図2に示される金属セパレータの溶接部位を説明するための平面図である。 本発明の実施の形態に係る燃料電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図4に示される溶接工程を説明するためのフローチャートである。 図5に示される第1溶接工程における金属セパレータの溶接部位を説明するための平面図である。 第1溶接工程における金属セパレータの溶接部位の別の態様を説明するための平面図である。 図5に示される第2溶接工程における金属セパレータの溶接部位を説明するための平面図である。 第1溶接工程における抵抗溶接を説明するための斜視図である。 第1溶接工程における抵抗溶接を説明するための断面図である。 第2溶接工程における金属セパレータの固定を説明するための斜視図である。 第2溶接工程に係るエネルギー線照射による溶接を説明するための斜視図である。 第2溶接工程に係るエネルギー線照射による溶接を説明するための断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池を説明するための分解斜視図である。
本発明の実施の形態に係る燃料電池100は、例えば、固体高分子形燃料電池からなり、電源として利用される。固体高分子形燃料電池(PEFC)は、小型化、高密度化および高出力化が可能であり、搭載スペースが限定される車両などの移動体の駆動用電源としての適用が好ましく、特に、システムの起動および停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途が特に好ましい。この場合、車体中央部の座席下、後部トランクルームの下部、車両前方のエンジンルームに搭載することが可能である。車内空間およびトランクルームを広く取る観点からは、座席下の搭載が好ましい。
燃料電池100は、図1に示されるように、スタック部110、締結板130、補強板135、集電板140、スペーサ145、エンドプレート150およびボルト155を有する。
スタック部110は、単セル120の積層体から構成される。単セル120は、後述するように、膜電極接合体およびセパレータを有する。
締結板130は、スタック部110の底面および上面に配置され、補強板135は、スタック部110の両側に配置される。締結板130および補強板135は、スタック部110の周囲を取り囲むケーシングを構成している。
集電板140は、緻密質カーボンや銅板などガス不透過な導電性部材から形成され、スタック部110で生じた起電力を出力するための出力端子が設けられており、単セル120の積層方向の両端(スタック部110の正面および背面)に配置される。
スペーサ145は、スタック部110の背面に配置される集電板140の外側に配置される。
エンドプレート150は、剛性を備えた材料、例えば鋼などの金属材料から形成され、スタック部110の正面に配置される集電板140の外側と、スペーサ145の外側とに配置される。エンドプレート150は、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷媒を流通させるために、燃料ガス導入口、燃料ガス排出口、酸化剤ガス導入口、酸化剤ガス排出口、冷媒導入口および冷媒排出口を有する。燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷媒は、水素ガス、酸素ガスおよび冷却水である。
ボルト155は、エンドプレート150、締結板130および補強板135を締結し、その締結力を単セル120の積層方向に作用させることで、内部に位置するスタック部110を押し圧状態に保持するために使用される。ボルト155の本数およびボルト孔の位置は、適宜変更することが可能である。締結機構は、螺合に限定されず、他の手段を適用することも可能である。
図2は、図1に示される単セルを説明するための断面図、図3は、図2に示される金属セパレータの溶接部位を説明するための平面図である。
単セル120は、膜電極接合体40およびセパレータ50,55を有する。膜電極接合体40は、高分子電解質膜20、電極(アノード)として機能する触媒層30、電極(カソード)として機能する触媒層35、およびガス拡散層10,15を有する。
ガス拡散層10は、セパレータ50と触媒層30との間に位置し、アノード側に供給される燃料ガスを分散し、触媒層30に供給するために利用される。ガス拡散層15は、セパレータ55と触媒層35との間に配置され、カソード側に供給される酸化剤ガスを分散さし、触媒層35に供給するために利用される。
触媒層30は、触媒成分と、触媒成分を担持する導電性の触媒担体と、高分子電解質とを含んでおり、水素の酸化反応が進行するアノード触媒層であり、高分子電解質膜20の一方の側に配置される。触媒層35は、触媒成分と、触媒成分を担持する導電性の触媒担体と、高分子電解質とを含んでおり、酸素の還元反応が進行するカソード触媒層であり、高分子電解質膜20の他方の側に配置される。
高分子電解質膜20は、アノード触媒層30で生成したプロトンをカソード触媒層35へ選択的に透過させる機能およびアノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能を有する。
セパレータ50,55は、単セルを電気的に直列接続する機能と、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷媒を互いに遮断する隔壁としての機能と、を有し、膜電極接合体40と略同一形状であり、ステンレス鋼鈑にプレス加工を施すことで形成されている。なお、セパレータ50は、隣接する別の単セル120のセパレータ55に溶接され、セパレータ55は、隣接する別の単セル120のセパレータ50に溶接されている。
ステンレス鋼鈑は、複雑な機械加工を施しやすくかつ導電性が良好である点で好ましく、必要に応じて、耐食性の塗装を施すことも可能である。セパレータ50,55は、ステンレス鋼鈑から構成する形態に限定されず、ステンレス鋼鈑以外の金属材料、例えば、アルミニウム板やクラッド材を適用することも可能である。
セパレータ50は、膜電極接合体40のアノード側に配置されるアノードセパレータであり、触媒層30に相対して配置され、また、アクティブエリア部52およびマニホールド部65を有する。アクティブエリア部52は、膜電極接合体40とセパレータ50との間に位置する流路53を構成する凹凸部が形成されている。流路53は、燃料ガスを触媒層35に供給するために利用される。マニホールド部65は、燃料ガス通過用、酸化剤ガス通過用および冷媒通過用のマニホールド穴66,67,68が配置される。なお、符号59は、冷媒の流路を示している。
セパレータ55は、膜電極接合体40のカソード側に配置されるカソードセパレータであり、触媒層35に相対して配置され、また、アクティブエリア部57およびマニホールド部75を有する。アクティブエリア部57は、膜電極接合体40とセパレータ55との間に位置する流路58を構成する凹凸部が形成されている。マニホールド部75は、燃料ガス通過用、酸化剤ガス通過用および冷媒通過用のマニホールド穴76,77,78が配置される。流路58は、酸化剤ガスを触媒層35に供給するために利用される。
なお、アクティブエリア部52,57は、膜電極接合体40の発電に寄与する領域に接する領域である。また、符号80および90は、アクティブエリア部52,57の溶接部位および外周60,70の溶接部位を示している(図2参照)。
次に、高分子電解質膜20および触媒層30,35の材質等を説明する。
高分子電解質膜20は、パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系高分子電解質膜、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂膜、リン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸した多孔質状の膜を、適用することが可能である。パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーは、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン株式会社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)、Gore selectシリーズ(登録商標、日本ゴア株式会社)等である。多孔質状の膜は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)から形成される。
高分子電解質膜20の厚みは、特に限定されないが、強度、耐久性および出力特性の観点から5μm〜300μmが好ましく、より好ましくは10〜200μmである。
アノード触媒層30に用いられる触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。カソード触媒層35に用いられる触媒成分は、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。
具体的な触媒成分は、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等から選択される。触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましい。カソード触媒層およびアノード触媒層に適用される触媒成分は、同一である必要はなく、適宜選択することが可能である。なお、貴金属を含まない触媒を適用することも可能である。
触媒層30,35に用いられる触媒の導電性担体は、触媒成分を所望の分散状態で担持するための比表面積および集電体として十分な電子導電性を有しておれば、特に限定されないが、主成分がカーボン粒子であるのが好ましい。カーボン粒子は、例えば、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛から構成される。
触媒層30,35に用いられる高分子電解質は、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であれば、特に限定されず、例えば、ポリマー骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質や、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質が適用可能である。触媒層30,35に用いられる高分子電解質は、高分子電解質膜20に用いられる高分子電解質と同一であっても異なっていてもよいが、高分子電解質膜20に対する触媒層30,35の密着性を向上させる観点から、同一であることが好ましい。
次に、本発明の実施の形態に係る燃料電池の製造方法を説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る燃料電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る燃料電池の製造方法は、図4に示されるように、プレス成型工程、溶接工程、防食処理工程、モジュール化工程、スタッキング工程、組立工程および性能検査工程を有する。
プレス成型工程においては、セパレータ素材が、セパレータ50,55の外面形状に対応する凹凸部が形成された成形型によって押圧されて、セパレータ50,55がプレス成型される。
溶接工程においては、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57、外周60,70およびマニホールド部65,75が互いに溶接される。これにより、アクティブエリア部52,57の溶接部位80、外周60,70の溶接部位90およびマニホールド部65,75の溶接部位95が形成される。
防食処理工程は、脱脂および洗浄工程、酸化皮膜除去工程および硬質炭素皮膜形成工程を有する。脱脂および洗浄工程においては、例えば、適当な溶媒を用いて、セパレータ50,55表面が脱脂および洗浄され、そして、乾燥される。溶媒は、エタノール、エーテル、アセトン、イソプロピルアルコール、トリクロロエチレンなどである。酸化皮膜除去工程においては、例えば、イオンボンバード処理によって、セパレータ50,55表面に形成されている酸化皮膜が除去される。硬質炭素皮膜形成工程においては、例えば、スパッタリング処理によって、ダイヤモンドライクカーボン(DLC;Diamond−Like Carbon)からなる硬質炭素皮膜層が形成される。
モジュール化工程においては、セパレータ50,55は、接着剤を利用して、別途用意された膜電極接合体40と一体化され、その後、接着剤を加熱硬化することで、モジュールが形成される。モジュールは、複数の単セル120を有するように適宜構成される。なお、セパレータ50,55と膜電極接合体40との一体化は、接着剤を利用する形態に限定されない。
スタッキング工程においては、例えば、モジュールを直列に数百枚積層して、スタック部110が組立てられる。この際、搭載姿勢における厚みが測定され、荷重調整用のスペーサが選択される。
組立工程においては、スタック部110に、締結板130、補強板135、集電板140、スペーサ145およびエンドプレート150を取り付け、ボルト155によって締結することで、燃料電池100が組み立てられる。
性能検査工程においては、燃料電池100のエージング運転(慣らし運転)を実施し、電池電圧の飽和値を測定することで、発電性能が検査される。
次に、溶接工程を詳述する。
図5は、図4に示される溶接工程を説明するためのフローチャート、図6は、図5に示される第1溶接工程における金属セパレータの溶接部位を説明するための平面図、図7は、第1溶接工程における金属セパレータの溶接部位の別の態様を説明するための平面図、図8は、図5に示される第2溶接工程における金属セパレータの溶接部位を説明するための平面図である。
溶接工程は、図5に示されるように、第1溶接工程、第2溶接工程および検査工程を有する。
第1溶接工程においては、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57を、溶接電極で挟持し、加圧しながら通電することによって抵抗溶接し、図6に示されるように、溶接部位80が形成される。つまり、セパレータ50,55がプレス成型によって形成された場合であっても、アクティブエリア部52,57は、スプリングバックによる反りが押圧によって矯正された状態で溶接されるため、溶接品質を確保することが容易であり、また、溶接後においてセパレータ50,55を積層する際、アクティブエリア部52,57が凸形状に膨らむことが防止され、燃料電池100の電極の接触抵抗および発電性能を維持することが可能である。
溶接部位80は、シール性を必要としないため、連続的に形成する形態に限定されず、例えば、図7に示されるように、間欠的に形成することも可能である。
第2溶接工程においては、図8に示されるように、セパレータ50,55の外周60,70およびマニホールド部65,75が、エネルギー線を照射することによって溶接され、溶接部位90,95が形成される。セパレータ50,55の外周60,70およびマニホールド部65,75は、曲線状の溶接部位と直線状の溶接部位90,95が混在しているが、溶接は、エネルギー線の照射によって実施されるため、高速であり、溶接工程のリードタイムを短縮し、生産性を向上させることができ、また、連続的な溶接によって溶接品質(反応用ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)および冷媒の漏出を防止するシール性)を確保することが可能である。
検査工程においては、溶接面の検査およびリークチェックが実施される。溶接面の検査は、目視検査や、超音波の反射を利用した非破壊検査である。リークチェックは、テストガスを閉鎖流路に供給し、漏出するテストガスの有無等によって、シール性を検査するために行われる。テストガスは、例えば、圧縮エアや、水素ガスである。
溶接工程は、上記のように、金属セパレータのアクティブエリア部、外周およびマニホールド部の溶接品質を確保しつつ良好な生産性を有する。
次に、第1溶接工程を詳述する。
図9および図10は、第1溶接工程における抵抗溶接を説明するための斜視図および断面図である。
第1溶接工程における抵抗溶接は、例えば、図9に示されるシーム溶接機200が適用され、加圧しながら通電することによって、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57が溶接され、溶接部位80が形成される(図6参照)。
シーム溶接機200は、載置台202、溶接電源部204、固定機構210、支持電極部220、可動電極部230および制御装置240を有する。
載置台202は、セパレータ50,55を載置するために使用される。溶接電源部204は、支持電極部220および可動電極部230に対して、電流を供給するために使用される。固定機構210は、ロケートピン212および固定治具214,216を有する。
ロケートピン212は、セパレータ50,55のマニホールド部65,75の冷媒通過用のマニホールド穴68,78に挿入され、セパレータ50,55を、マニホールド穴68,78を基準に位置決めするために使用される。固定治具214,216は、マニホールド部65,75をクランプし、セパレータ50,55を固定するために使用される。クランプする部位は、マニホールド部65,75に限定されず、アクティブエリア部52,57以外の部位を適宜適用することが可能である。
支持電極部220は、固定電極222(図10参照)を有する。固定電極222は、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57に相対するように、載置台202に配置される溶接電極である。固定電極222の幅Wは、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57の凹凸部の溝幅Wより小さくなるように設定され、全部の溝に配置されている。
可動電極部230は、ローラ部232および加圧駆動部236を有する。ローラ部232は、複数の環状電極234(図10参照)を有する。環状電極234は、支持電極部220の固定電極222と位置合わせされた溶接電極であり、その幅Wは、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57の凹凸部の溝幅Wより小さくなるように設定されている。なお、符号Hは、アクティブエリア部52,57の厚みを示している。
加圧駆動部236は、例えば、減速機構およびモータを備える駆動機構と、エアーシリンダおよびスプリングを組み合わせた押圧機構と、を有しており、ローラ部232(環状電極234)を回転させ、移動させながら、セパレータ50,55に対して押圧することが可能に構成されている。
制御装置240は、例えば、マイクロプロセッサ等から構成される制御回路を有し、溶接電源部204および加圧駆動部236を制御するために使用される。
次に、上記構成のシーム溶接機200が適用される第1溶接工程を説明する。
まず、プレス成型されたセパレータ50,55が重ねられて、載置台202に配置される。この際、ロケートピン212が、マニホールド部65,75の冷媒通過用のマニホールド穴68,78に挿入されて、セパレータ50,55が位置決めされる。
そして、セパレータ50,55のマニホールド部65,75が、固定治具214,216によってクランプされ、セパレータ50,55が固定される。
次に、支持電極部220、可動電極部230のローラ部232に対する電流の供給が開始され、また、加圧駆動部236によって、ローラ部232を回転させ、移動させながら、支持電極部220に載置されたセパレータ50,55が押圧される。
支持電極部220の固定電極222は、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57に相対するように配置され、ローラ部232の環状電極234は、固定電極222と位置合わせされているため、アクティブエリア部52,57は、連続的に溶接される。
第1溶接工程においては、上記のように、環状電極234を回転させ、移動させながら、固定電極222によって支持されたアクティブエリア部52,57を加圧することによって、アクティブエリア部52,57が連続的に溶接されるため(図6参照)、高品位かつ高速の溶接が容易である。
また、固定電極222の幅Wおよび環状電極234の幅Wは、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57の凹凸部の溝幅Wより小さいため、環状電極234は、固定電極222により支持された凹凸部の溝のみを、確実に押圧して溶接することが可能である。したがって、アクティブエリア部52,57の厚みH(図10参照)は、全体に渡り一定に維持され、溶接されたアクティブエリア部52,57の平面度が確実に確保される。
固定電極222および環状電極234は、溶接される凹凸部の溝の各々に対応して配置されており、凹凸部の溝が一括して溶接されるため、生産性を向上させることが可能である。
なお、アクティブエリア部52,57を溶接する際、例えば、凹凸部の溝の配置パターンに対応し、環状電極234の全てあるいは一部に対する通電を適宜停止することにより、溶接部位80の形成パターンを変えることも可能である(図7参照)。
次に、第2溶接工程を詳述する。
図11は、第2溶接工程における金属セパレータの固定を説明するための斜視図、図12および図13は、第2溶接工程に係るエネルギー線照射による溶接を説明するための斜視図および断面図である。
第2溶接工程におけるエネルギー線は、レーザーであり、固定装置250およびレーザー溶接機270が適用される。
固定装置250は、図11に示されるように、載置台251、マニホールド部固定治具254および外周押え治具258を有する。
載置台251は、パッド部252およびガイド部253を有し、アクティブエリア部52,57が溶接されたセパレータ50,55を載置するために使用される。パッド部252は、例えば、吸着パッドからなり、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57と相対するように位置決めされる。ガイド部253は、セパレータ50,55の外周60,70に当接して押さえることで、セパレータ50,55の外周60,70の固定を補助するために使用される。
マニホールド部固定治具254は、ロケートピン255およびクランプ256を有する。ロケートピン255は、3方向A,L,Rに移動自在であり、セパレータ50,55のマニホールド部65,75の冷媒通過用のマニホールド穴68,78に挿入され、当該マニホールド穴68,78を基準に位置決めするために使用される。方向Aは、アクティブエリア部52,57から離間する方向である。方向Lは、方向Aと直交する方向である。方向Rは、方向Aと直交する方向かつ方向Lに対して逆の方向である。クランプ256は、互いに離間自在に構成された複数のクランプ片を有し、燃料ガス通過用および酸化剤ガス通過用のマニホールド穴66,76および67,77に挿入され、マニホールド部65,75を固定するために使用される。
外周押え治具258は、セパレータ50,55の外周60,70に対応する枠体部259を有する。枠体部259は、外周60,70を押圧して固定するために使用される。
レーザー溶接機270は、図12に示されるように、レーザー発振器272、加工ヘッド280、駆動装置290および制御装置295を有する。
レーザー発振器272は、例えば、YAGレーザー発振器であり、光学系、電源、制御系、冷却ガス循環系等を内蔵しており、発生させたレーザーは、光ファイバ274を利用して加工ヘッド280に供給される。制御系には、例えば、電力を変更することで発振出力を調整する出力調整ユニットが配置されている。レーザー発振器272は、半導体レーザーなどの他の固体レーザーや、炭酸ガスレーザー等のガスレーザーを、適宜適用することも可能である。
加工ヘッド280は、レーザーを走査させることによって連続溶接が可能であるガルバノヘッドであり、図13に示されるように、コリメータ282、レーザー径調整部283、反射ミラー284、ガルバノスキャナ286および加工レンズ288を有する。
コリメータ282は、光ファイバ274から導入されるレーザーを平行光に変換するために使用される。レーザー径調整部283は、レーザー径を調整するための光学系であり、例えば、レーザー径がこの位置で減少するように調整すると、溶接部位におけるレーザー径は増加することとなる。反射ミラー284は、レーザー径調整部283を通過したレーザーを反射し、ガルバノスキャナ286に投射するために使用される折り返しミラーである。
ガルバノスキャナ286は、例えば、2軸式であり、2つのミラーおよびミラーを駆動するモータを有し、レーザーの反射方向を変化させることによって、レーザーを二次元方向に走査可能に構成されている。
加工レンズ288は、例えば、fθレンズからなり、ガルバノスキャナ286を反射したレーザーを、集光するために使用される。なお、符号289は、加工レンズ288を保護するための保護ガラスを示している。
駆動装置290は、複数のリニアガイド292,293を有し、加工ヘッド280を移動させて位置決めするために使用される。駆動装置290は、多軸(多関節型)のロボットによって構成することも可能である。
制御装置295は、例えば、マイクロプロセッサ等から構成される制御回路を有し、レーザー発振器272、加工ヘッド280および駆動装置290を制御するために使用される。
次に、上記構成の固定装置250およびレーザー溶接機270が適用される第2溶接工程を説明する。
まず、アクティブエリア部52,57が溶接されたセパレータ50,55が載置台251に配置される(図11参照)。この際、マニホールド部固定治具254のロケートピン255が、セパレータ50,55のマニホールド部65,75の冷媒通過用のマニホールド穴68,78に挿入され、方向A,L,Rに適宜移動させることによって、マニホールド穴68,78を基準に、セパレータ50,55が位置決めされる。
そして、マニホールド部固定治具254のクランプ256が、セパレータ50,55のマニホールド部65,75の燃料ガス通過用および酸化剤ガス通過用のマニホールド穴66,76および67,77に挿入され、クランプ256のクランプ片を適宜移動させることによって、マニホールド部65,75が固定される。一方、載置台251のパッド部252は、セパレータ50,55のアクティブエリア部52,57を吸引して固定する。
次に、外周押え治具258の枠体部259によって、セパレータ50,55の外周60,70が押圧されて、固定される。なお、載置台251のガイド部253は、外周60,70に当接して押さえることで、外周60,70の固定を補助する。
その後、レーザー溶接機270の加工ヘッド280が移動し、セパレータ50,55の外周60,70およびマニホールド部65,75の溶接のための所定位置に位置決めされる(図12参照)。
レーザー発振器272からのレーザーは、光ファイバ274を通過して加工ヘッド280に導入される。レーザーは、コリメータ282、レーザー径調整部283、反射ミラー284、ガルバノスキャナ286、加工レンズ288および保護ガラス289を通過し(図13参照)、セパレータ50,55の外周60,70およびマニホールド部65,75を走査することにより、セパレータ50,55の外周60,70およびマニホールド部65,75は、連続溶接され、溶接部位90,95が形成される(図8参照)。
第2溶接工程においては、上記のように、レーザーを走査することによって、外周60,70およびマニホールド部65,75が溶接されるため、高品位かつ高速の溶接が容易である。なお、加工ヘッド280の溶接位置は、一か所とすることに限定されず、例えば、レーザーの走査範囲に比較し、セパレータ50,55の外周60,70およびマニホールド部65,75のサイズが大き過ぎる場合、複数の溶接位置を設け、外周60,70およびマニホールド部65,75の溶接を、複数回に分割して実施することも可能である。
以上のように本実施の形態においては、金属セパレータのアクティブエリア部の溶接は、加圧された状態で実施される。つまり、金属セパレータがプレス成型によって形成された場合であっても、アクティブエリア部は、スプリングバックによる反りが押圧によって矯正された状態で溶接されるため、溶接品質を確保することが容易であり、また、溶接後において金属セパレータを積層する際、アクティブエリア部が凸形状に膨らむことが防止され、燃料電池の電極の接触抵抗および発電性能を維持することが可能である。一方、金属セパレータの外周およびマニホールド部の溶接は、エネルギー線の照射によって実施されるため、曲線状の溶接部位と直線状の溶接部位が混在しても、高速であり、溶接工程のリードタイムを短縮し、生産性を向上させることができ、また、連続的な溶接によって溶接品質(反応用ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)および冷媒の漏出を防止するシール性)を確保することが可能である。したがって、金属セパレータのアクティブエリア部、外周およびマニホールド部の溶接品質を確保しつつ良好な生産性を有する燃料電池の製造方法を提供することができる。
外周およびマニホールド部の溶接のためのエネルギー線として、レーザーを適用する場合、高品位かつ高速の溶接が容易である。
アクティブエリア部の抵抗溶接として、シーム溶接を適用する場合、高品位かつ高速の溶接が容易である。また、溶接電極(固定電極および環状電極)の幅が、アクティブエリア部の凹凸部の溝幅より小さい場合、溶接電極は、凹凸部の溝のみを確実に押圧して溶接することが可能である。さらに、溶接電極(固定電極および環状電極)を、溶接される凹凸部の溝の各々に対応して配置する場合、凹凸部の溝が一括して溶接されるため、生産性を向上させることができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。例えば、セパレータの外周およびマニホールド部の溶接は、セパレータのアクティブエリア部の溶接の後に実施する形態に限定されず、セパレータのアクティブエリア部の溶接の前に実施することも可能である。また、セパレータのアクティブエリア部の抵抗溶接は、シーム溶接を適用する形態に限定されない。さらに、セパレータの外周およびマニホールド部を溶接するためのエネルギー線は、レーザーに限定されない。
10,15 ガス拡散層、
20 高分子電解質膜、
30,35 触媒層、
40 膜電極接合体、
50,55 セパレータ、
52,57 アクティブエリア部、
53,58,59 流路、
60,70 外周、
65,75 マニホールド部、
66,67,68,76,77,78 マニホールド穴
80,90,95 溶接部位、
100 燃料電池、
110 スタック部、
120 単セル、
130 締結板、
135 補強板、
140 集電板、
145 スペーサ、
150 エンドプレート、
155 ボルト、
200 シーム溶接機、
202 載置台、
204 溶接電源部、
210 固定機構、
212 ロケートピン、
214 固定治具、
220 支持電極部、
222 固定電極(溶接電極)、
230 可動電極部、
232 ローラ部、
234 環状電極(溶接電極)、
236 加圧駆動部、
240 制御装置、
250 固定装置、
251 載置台、
252 パッド部、
253 ガイド部、
254 マニホールド部固定治具、
255 ロケートピン、
256 クランプ、
258 外周押え治具、
259 枠体部、
270 レーザー溶接機、
272 レーザー発振器、
274 光ファイバ、
280 加工ヘッド、
282 コリメータ、
283 レーザー径調整部、
284 反射ミラー、
286 ガルバノスキャナ、
288 加工レンズ、
289 保護ガラス、
290 駆動装置、
292,293 リニアガイド、
295 制御装置、
A,L,R 方向、
H 厚み、
,W,W 幅。

Claims (5)

  1. 膜電極接合体の発電に寄与する領域に接するアクティブエリア部と反応用ガスおよび冷媒を流通させるための部位であるマニホールド部が設けられた金属セパレータ同士を互いに溶接する溶接工程を有し、
    前記溶接工程は、
    前記金属セパレータのアクティブエリア部を、溶接電極で挟持し、加圧しながら通電することによって抵抗溶接する第1溶接工程と、
    前記金属セパレータの外周およびマニホールド部を、エネルギー線を照射することによって溶接する第2溶接工程と、
    から成ることを特徴とする燃料電池の製造方法。
  2. 前記エネルギー線は、レーザーであり、
    前記第2溶接工程において、前記レーザーを走査することによって、前記外周および前記マニホールド部が溶接されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の製造方法。
  3. 前記抵抗溶接は、シーム溶接であり、
    前記溶接電極は、前記金属セパレータのアクティブエリア部を支持する固定電極と、前記固定電極に位置合わせされた環状電極と、を有し、
    前記第1溶接工程において、前記環状電極を回転させ、移動させながら、前記固定電極によって支持された前記金属セパレータのアクティブエリア部を加圧および通電することによって、前記金属セパレータのアクティブエリア部が連続的に溶接される
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池の製造方法。
  4. 前記アクティブエリア部は、反応用ガスおよび冷媒の流路を構成する凹凸部を有し、
    前記固定電極および前記環状電極の幅は、前記凹凸部の溝幅より小さく、
    前記第1溶接工程において、溶接される前記凹凸部の溝が、前記固定電極および前記環状電極によって挟持されることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池の製造方法。
  5. 前記固定電極および前記環状電極は、溶接される前記凹凸部の溝の各々に対応して配置されており、
    前記第1溶接工程において、前記環状電極を回転させ、移動させながら加圧および通電することによって、前記凹凸部の溝が一括して溶接されることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池の製造方法。
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