以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1〜図3は、実施形態に係る燃料電池の各部の構成を示す図であり、図4〜図9は、第1実施形態に係るセパレータの組立て装置を示す図であり、図10A〜図12は、第1実施形態に係るセパレータの組立て方法の説明に供する図であり、図13、図14は、セパレータの溶接部位の溶接状態を示す図である。
まず、実施形態に係る燃料電池100について説明する。
図1に示す燃料電池100は、例えば、固体高分子形燃料電池からなり、電源として利用可能に構成されたものである。固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、小型化、高密度化および高出力化が可能であり、例えば、搭載スペースが限定される車両などの移動体の駆動用電源として使用することができる。特に、システムの起動・停止および出力変動が頻繁に発生する自動車への使用が適している。自動車に使用する場合、例えば、車体中央部の座席下、後部トランクルームの下部、車両前方のエンジンルーム等に搭載して用いることができる。車内空間およびトランクルームを広く取る観点からは、座席下への搭載が好ましい。
燃料電池100は、スタック部110、締結板130、補強板135、集電板140、スペーサー145、およびエンドプレート150を有する。
図1、図2に示すように、スタック部110は、膜電極接合体40と第1のセパレータ51、第2のセパレータ52とを有する単セル120を複数積層した積層体によって構成している。なお、図2は、図1に示すスタック部110の一部を拡大して示す断面図である。
積層した第1のセパレータ51と第2のセパレータ52は、複数の溶接部位80a、80b、80cを介して相互に溶接されている(図3を参照)。本実施形態における溶接部位とは、溶接するためのレーザーが照射される照射位置と、その照射位置の周辺部分(レーザーの照射の影響を受けて溶融する部分)を含む一定の範囲を意味する。
本実施形態では、溶接部位80aをレーザー溶接する例について説明する。ただし、実施形態に係るレーザー溶接を他の溶接部位80b、80cの溶接に適用することも可能であるし、例示した各溶接部位80a、80b、80c以外の溶接部位に対して適用することも可能である。
図1に示すように、締結板130は、スタック部110の一方の対向する側面の両面側に配置している。補強板135は、スタック部110の他方の対向する側面の両面側に配置している。締結板130および補強板135は、スタック部110の周囲を取り囲むケーシングを構成する。なお、スタック部110の側面とは、単セル120の積層方向に沿う面を意味する。
集電板140は、緻密質カーボンや銅板などのガス不透過性を備える導電性部材によって構成している。集電板140には、スタック部110で生じた起電力を出力するための出力端子143を設けている。出力端子143は、スタック部110のうち単セル120の積層方向の両端側(以下、単に「スタック部110の両端側」と称する。)に配置している。
スペーサー145は、スタック部110の背面側に配置した集電板140の外側に配置している。
エンドプレート150は、剛性を備えた材料、例えば、鋼などの金属材料によって形成することができる。エンドプレート150は、燃料ガス、酸化剤ガス、冷媒のそれぞれを燃料電池100内で流通させるための燃料ガス導入口、燃料ガス排出口、酸化剤ガス導入口、酸化剤ガス排出口、冷媒導入口および冷媒排出口を有する。
集電板140、スペーサー145およびエンドプレート150は、スタック部110の内側から両端側に向かって集電板140、スペーサー145、エンドプレート150の順にそれぞれ配置されている。
エンドプレート150、締結板130、補強板135は、ボルト等の締結手段によって締結する。なお、締結手段は、ボルト締結に限定されず、他の手段を適用することも可能である。
図2に示すように、単セル120が備える膜電極接合体40は、高分子電解質膜20と、アノード電極として機能するアノード触媒層30と、カソード電極として機能するカソード触媒層35と、一対のガス拡散層10、15とを有する。
ガス拡散層10は、第2のセパレータ52とアノード触媒層30との間に配置している。ガス拡散層10は、アノード側に供給される燃料ガスを分散させて、燃料ガスをアノード触媒層30へ供給する。一方、ガス拡散層15は、第1のセパレータ51とカソード触媒層35との間に配置している。ガス拡散層15は、カソード側に供給される酸化剤ガスを分散させて、酸化剤ガスをカソード触媒層35へ供給する。
アノード触媒層30は、触媒成分と、触媒成分を担持する導電性の触媒担体と、高分子電解質とを含んでいる。アノード触媒層30は、高分子電解質膜20の一方の側に配置している。カソード触媒層35は、触媒成分と、触媒成分を担持する導電性の触媒担体と、高分子電解質とを含んでいる。カソード触媒層35は、高分子電解質膜20の他方の側に配置している。
高分子電解質膜20は、アノード触媒層30で生成したプロトンをカソード触媒層35へ選択的に透過させる機能と、アノード側に供給される燃料ガスとカソード側に供給される酸化剤ガスとを混合させないための隔壁としての機能を有する。
第1のセパレータ51および第2のセパレータ52は、単セル120を電気的に直列接続する機能と、燃料ガス、酸化剤ガス、冷媒を互いに遮断する隔壁としての機能を有している。各セパレータ51、52の外形形状は、膜電極接合体40と略同一形状である。また、各セパレータ51、52は、ステンレス鋼鈑に所定の溝部を形成するためのプレス加工を施したものによって構成することができる。
ステンレス鋼鈑は、複雑な機械加工を施し易く、かつ、導電性が良好である点でセパレータの素材として好ましい。必要に応じて、ステンレス鋼板に耐食性の塗装を施すことも可能である。ただし、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52は、ステンレス鋼鈑以外の金属材料、例えば、アルミニウム板やクラッド材によって構成することも可能である。
第1のセパレータ51は、膜電極接合体40のカソード側に配置されるカソード側セパレータとして構成している。第1のセパレータ51は、カソード触媒層35に対向するように配置している。
図3に示すように、第1のセパレータ51は、外周部51aに配置されたマニホールド部65と、中央部51bに配置された発電反応部61と、を有する。なお、図3は、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52の平面を概略的に示す図である。各セパレータ51、52は略同一の構成を有しているため、同一の図面を使用することによって、図示による説明を一部省略している。
図2に示すように、発電反応部61は、膜電極接合体40の発電に寄与する領域の一方に接する領域であり、溝部71を有する。溝部71は、膜電極接合体40と第1のセパレータ51との間に位置する流路53を形成するための凹凸形状(凹凸部に相当)を有している。これにより、凹凸形状を有する中央部51bは、平坦な外周部51aに比べて厚みが大きく形成されている。流路53は、酸化剤ガスをカソード触媒層35に供給するために利用される。マニホールド部65は、燃料ガス通過用のマニホールド穴66と、酸化剤ガス通過用のマニホールド穴67と、冷媒通過用のマニホールド穴68とを備える。
第2のセパレータ52は、膜電極接合体40のアノード側に配置されるアノード側セパレータを構成している。第2のセパレータ52は、アノード触媒層30に対向するように配置している。
図3に示すように、第2のセパレータ52は、外周部52aに配置されたマニホールド部75と、中央部52bに配置された発電反応部62と、を有する。図2に示すように、発電反応部62は、膜電極接合体40の発電に寄与する領域の他方に接する領域であり、溝部72を有する。溝部72は、膜電極接合体40と第2のセパレータ52との間に位置する流路58を形成するための凹凸形状を有している。これにより、凹凸形状を有する中央部52bは、平坦な外周部52aに比べて厚みが大きく形成されている。流路58は、燃料ガスをアノード触媒層30に供給するために利用される。マニホールド部75は、燃料ガス通過用のマニホールド穴76と、酸化剤ガス通過用のマニホールド穴77と、冷媒通過用のマニホールド穴78とを備える。なお、図2に示すように、各セパレータ51、52の間には、冷媒用の流路59を形成している。
第2のセパレータ52は、隣接する他の単セル120の第1のセパレータ51に溶接しており、第1のセパレータ51は、隣接する別の単セル120の第2のセパレータ52に溶接している。具体的には、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52は、各マニホールド穴66(76)、67(77)を取り囲む溶接部位80b、各セパレータ51、52の外周部分に沿って延在する溶接部位80c、および発電反応部61(62)に位置する溶接部位80aのそれぞれの溶接部位を介して、相互に溶接している。発電反応部61(62)に位置する溶接部位80aは、各溝部71、72を接合するためのものであり、各溝部71、72の中心に位置決めしている。
次に、高分子電解質膜20および各触媒層30、35の材質等を説明する。なお、以下に示す材料等は例示に過ぎず、使用する材料がこれらの材料のみに限定されることはない。
高分子電解質膜20は、パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーから構成されるフッ素系高分子電解質膜、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂膜、リン酸やイオン性液体等の電解質成分を含浸した多孔質状の膜を、適用することが可能である。パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマーは、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン株式会社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)、Gore selectシリーズ(登録商標、日本ゴア株式会社)等である。多孔質状の膜は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)から形成される。
高分子電解質膜20の厚みは、特に限定されないが、強度、耐久性および出力特性の観点から5μm〜300μmが好ましく、より好ましくは10〜200μmである。
アノード触媒層30に用いられる触媒成分は、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。カソード触媒層35に用いられる触媒成分は、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば、特に限定されない。
具体的な触媒成分は、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等から選択される。触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましい。カソード触媒層およびアノード触媒層に適用される触媒成分は、同一である必要はなく、適宜選択することが可能である。なお、貴金属を含まない触媒を適用することも可能である。
各触媒層30、35に用いられる触媒の導電性担体は、触媒成分を所望の分散状態で担持するための比表面積、および集電体として十分な電子導電性を有していれば、特に限定されないが、主成分がカーボン粒子であることが好ましい。カーボン粒子は、例えば、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛から構成される。
各触媒層30、35に用いられる高分子電解質は、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であれば、特に限定されず、例えば、ポリマー骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系電解質や、ポリマー骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系電解質が適用可能である。各触媒層30、35に用いられる高分子電解質は、高分子電解質膜20に用いられる高分子電解質と同一であっても異なっていてもよいが、高分子電解質膜20に対する各触媒層30、35の密着性を向上させる観点から、同一であることが好ましい。
次に、図4〜図14を参照して、実施形態に係るセパレータ51、52の組立て装置200について説明する。セパレータ51、52の組立て装置200は、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52を重ね合わせて溶接部位80aを溶接するまでの組立て作業を行うための装置である。なお、図5、図6、図11、図12において、押圧力付与機構230が備える中央押圧部250は、図8のA−A線に沿う断面図を示している。
セパレータ51、52の組立て装置200は、図4を参照して概説すると、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52を重ね合わせた状態をクランプして保持するクランプ治具201と、各セパレータ51、52を溶接する溶接機構260と、各セパレータ51、52を搬送する搬送部270と、支持部280、制御部290とを有する。なお、本明細書中、「クランプする」とは、各セパレータ51、52の両側(本実施形態では、上下面側)を互いに逆方向(本実施形態では、上下方向Z1、Z2)から押圧力を付与して挟持することを意味する。
クランプ治具201は、図5に示すように、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52を載置する下型(第1の型に相当)210と、第2のセパレータ52を第1のセパレータ51に積層した状態で位置決め保持する上型(第2の型に相当)220と、各セパレータ51、52に対して押圧力を付与する押圧力付与機構230と、を有する。
押圧力付与機構230は、上型220を介して各セパレータ51、52の外周部51a、52aを下方向(第1の方向に相当)Z1に押圧する外周押圧部240と、各セパレータ51、52の中央部51b、52bを上方向(第2の方向に相当)Z2に押圧する中央押圧部250と、を備えている。
以下、セパレータ51、52の組立て装置200の各部の構成について詳細に説明する。
下型210は、中央押圧部250を収容するとともに、各セパレータ51、52が載置される受け台としての機能を兼ねている。図6、図8に示すように、下型210は、中央部分が矩形状に凹んだ収容空間211を備え、上方向Z2に開口した枠状に構成されている。収容空間211は、中央押圧部250を収容可能に構成されている。
図8に示すように、下型210の上面には、載置される各セパレータ51、52の面方向(X−Y方向)の位置を決める基準となる位置決めピン212と、各セパレータ51、52の外周に沿う溝213とを備えている。位置決めピン212および溝213は、各セパレータ51、52の端部に当接することによって面方向の位置ずれを規制している。また、下型210は、各セパレータ51、52をX方向またはY方向に移動させて位置決めピン212に押し当てる押し当て部材214を備えている。押し当て部材214は、例えば、アクチュエータにより駆動する。以上の構成により、下型210に各セパレータ51、52を載置する際に、各セパレータ51、52の面方向の位置決めを高精度に行うことができる。
また、図6に示すように、下型210は、後述する中央押圧部250が備えるストッパー253の雄ねじ部253cをねじ込み可能に構成する雌ねじ部216を備えている。
上型220は、各セパレータ51、52を下方向Z1に向かって押圧する押圧部材である。上型220は、第2のセパレータ52を第1のセパレータ51に積層した状態で下方向Z1に向かって押圧することによって、下型210との間に各セパレータ51、52を位置決めして保持する。
図5、図9に示すように、上型220は、高さ方向(Z1−Z2方向)に貫通するスリット部221を有する。レーザー溶接を実施する際は、スリット部221を第1のセパレータ50の中央部51bに位置合わせして配置する。図7に示すように、スリット部221が配置される部分、すなわち中央部51bの一部は、上型220によって第1のセパレータ51を押圧した状態(第1のセパレータ51の上面側に上型220が配置された状態)において、露出される。したがって、第1のセパレータ51の中央部51bの一部に設定した溶接部位80aを溶接する際には、溶接部位80aの位置の確認および溶接部位80aへのレーザーの導光を容易に行うことが可能となる。
また、上型220は、下型210の位置決めピン212を挿通可能に構成された位置決め用孔222を備えている。上型220を下型210に配置する際に、位置決めピン212を位置決め用孔222に挿通することによって、上型220の下型210に対する位置ずれを防止することができる。
下型210および上型220は、例えば、公知の金属によって形成することができる。
外周押圧部240は、図5に示すように、倍力機構であるトグル機構を利用したトグルクランプから構成されている。外周押圧部240は、操作レバー241と、操作レバー241の操作によって回動するアーム242と、複数のリンク243、244、245と、アーム242の先端部に固定された押さえ部材246と、支持台247と、支持台247に設けられた支柱248とを有する。操作レバー241とアーム242とは、複数のリンク243、244、245によって連結されており、これによりトグル機構が構成されている。
複数のリンク243、244、245は、操作レバー241とアーム242とを連結する第1のリンク243と、操作レバー241と支柱248とを連結する第2のリンク244と、アーム242と支柱248とを連結する第3のリンク245とを有する。なお、リンクの数および配置はこれに限定されず、トグル機構の構造に応じて適宜変更することができる。
操作レバー241は、支柱248の上端部に設けられた第1の回転軸a1を介して、支柱248に回動可能に支持されている。
アーム242は、第1のリンク243を介して操作レバー241と連結されている。操作レバー241の回動に応じて回動するように構成されている。
第1のリンク243は、一端が操作レバー241の端部241aに、他端がアーム242の中間部242bに回転可能に連結されている。第2のリンク244は、一端が操作レバー241の端部241aに、他端が支柱248の下端部に設けられた第2の回転軸a2に回転可能に連結されている。これにより、第2のリンク244は、操作レバー241の回動に伴って第2の回転軸a2の周りを回動可能に構成されている。第3のリンク245は、一端がアーム242の端部242aに、他端が支柱248の下端部に設けられた第3の回転軸a3に回転可能に連結されている。これにより、第3のリンク245は、アーム242の回動に伴って第3の回転軸a3の周りを回動可能に構成されている。ここで、「端部」とは、最端およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、「中間部」とは、中心点およびその周辺を含む一定の範囲を意味する。
外周押圧部240は、図7に示すように、上型220を平面視したとき、各セパレータ51、52の周囲を取り囲むように複数個(例えば、8個)配置することができる。押さえ部材246は、上型220を介して各セパレータ51、52の外周部51a、52aを押圧する。押さえ部材246のうち、上型220に接触する部分は、比較的柔らかい材料によって形成されていることが好ましい。これにより、押さえ部材246によって押圧した跡が上型220の表面に形成されることを抑制することができる。
中央押圧部250は、図5に示すように、第2のセパレータ52の中央部52bに対向するように下型210の収容空間211に配置している。図6に示すように、中央押圧部250は、第2のセパレータ52の中央部52bに当接する当接部材251と、当接部材251を上方向Z2に移動させる付勢力を当接部材251に付勢する付勢部材252と、付勢部材252の付勢力に抗して当接部材251の上方向Z2への移動を制限するストッパー253とを有する。
当接部材251は、下型210の収容空間211との間に間隙を有し、下型210に対して相対的に上下方向Z1、Z2に移動可能に構成されている。当接部材251は、図8に示すように、複数のセグメント251aに分割されている。各セグメント251aには、付勢部材252およびストッパー253が配置されている。
本実施形態では、当接部材251を上方向Z2から平面視した際に、それぞれのセグメント251aの中心位置に1つのストッパー253が配置され、中心位置に対して対称に4つの付勢部材252が配置されている。なお、当接部材251に付勢部材252による付勢力が働いた状態で、各セグメント251aが略水平を維持し得る限りにおいて、各セグメント251aに配置されるストッパー253および付勢部材252の位置や数等は特に限定されない。
再び図6を参照して、当接部材251は、後述する付勢部材252のガイド部材252bを挿通可能に設けられた複数の貫通孔251bと、ストッパー253を挿通可能に設けられた複数の貫通孔251cとを備えている。貫通孔251cは、内腔の一部が縮径した縮径部251dを備えている。
付勢部材252は、螺旋状に巻回されたバネ部材252aと、ガイド部材252bと、バネ部材252aと下型210との間に配置されるワッシャー(スペーサーに相当)252cとを有する。
バネ部材252aは、当接部材251と下型210との間に配置されている。バネ部材252aは、例えば、圧縮コイルバネから構成されている。バネ部材252aは、その一端を当接部材251の下面に当接し、その他端と下型210の収容空間211の底面211aとの間にワッシャー252cを挟むように構成されている。バネ部材252aは、ガイド部材252bの周りを巻回するように構成されている。バネ部材252aは、当接部材251と下型210とが互いに離反する方向に働く弾性力f1を発生させる。
ガイド部材252bは、当接部材251の移動をガイドする。ガイド部材252bは、その一端部を当接部材251の貫通孔251b内に摺動可能に挿通され、他端は下型210の収容空間211の底面211aに固定されている。
ワッシャー252cは、バネ部材252aと下型210との間の距離を調整する。当接部材251を下方向Z1に向かって押圧する前の状態において、当接部材251の下面と下型210の収容空間211の底面211aとの間の距離は、ストッパー253の高さによって決定する。この状態で、ワッシャー252cの高さを高くすると、バネ部材252aが圧縮される。バネ部材252aが圧縮されることによって、バネ部材252aの弾性力f1を高めることができる。
ストッパー253は、円柱状の本体部253aと、本体部の一端に一体的に設けられ、本体部よりも径が大きい円柱状の係合部253bと、下型210が備える雌ねじ部216にねじ込み可能な雄ねじ部253cとを有する。ストッパー253の係合部253bは、その下面が当接部材251の貫通孔251cの縮径部251dの上面に当接することによって当接部材251の上方向Z2への移動を制限する力(以下、単に「制限力」と称する)f2を受ける。これにより、当接部材251が下型210の収容空間211の底面211aに対して一定以上の距離を隔てて離間しないように構成している。また、雄ねじ部253cの雌ねじ部216に対するねじ込み量を調整することによって当接部材251が下型210の収容空間211の底面211aに対して離反する距離の最大値Dmaxを調整する。当接部材251が下型210に対して離反する距離が小さいと、当接部材251は、下型210の上面よりも下側に配置される。反対に、当接部材251が下型210に対して離反する距離が大きいと、当接部材251は、下型210の上面よりも上側に配置される。ストッパー253の雄ねじ部253cのねじ込み量を調整することによって、当接部材251の上下方向Z1、Z2の配置をより高精度に調整することができる。
溶接機構260は、図4に示すように、第1のセパレータ51と第2のセパレータ52を溶接する溶接部位80aへ向けてレーザーを照射する加工ヘッド261と、光ファイバー262と、レーザー発振器263とを有する。
加工ヘッド261は、レーザーを走査することによって連続溶接を可能にする公知のガルバノヘッドによって構成している。
レーザー発振器263は、光学系、電源、制御系、冷却ガス循環系等を内蔵しており、発振させたレーザーを、光ファイバー262を介して加工ヘッド261へ提供する。レーザー発振器263により発振するレーザーの種類は特に限定されないが、例えば、レーザー溶接に一般的に用いられるYAGレーザーを選択することができる。
搬送部270は、搬送対象を所望の方向および姿勢に調整しながら、搬送可能な公知の多関節型ロボットアームによって構成している。搬送部270は、各セパレータ51、52が積載されたパーツトレイTから各セパレータ51、52を下型210へ搬送して載置する。
支持部280は、例えば、下型210、上型220および押圧力付与機構230によって構成されるクランプ治具201を横方向(X方向)に移動可能に支持する載置台(ステージ)281と、加工ヘッド261を奥行き方向(Y方向)および高さ方向(Z1、Z2方向)に移動可能に支持する二軸式ロボットアーム282によって構成することができる。これにより、加工ヘッド261と各セパレータ51、52との間の距離を可変可能に調整する調整機構としての機能を有している。
制御部290は、セパレータ51、52の組立て装置200の各部の作動を制御して、第1のセパレータ51および第2のセパレータ52を重ね合わせ、溶接部位80aを溶接して組立てる。具体的には、制御部290は、ROMやRAMから構成された記憶部と、CPUを主体に構成された演算部と、各種データや制御指令の送受信を行う入出力部と、を有する。入出力部は、押圧力付与機構230、溶接機構260、搬送部270、支持部280等に電気的に接続している。記憶部は、セパレータ51、52が載置される位置、セパレータ51、52のクランプ位置、溶接部位80aの位置等のデータを記憶する。演算部は、記憶部から読み出したデータおよび入出力部から受信したデータに基づいて、操作レバー241の操作位置、溶接用のレーザーの出力値等を算出する。算出したデータに基づく制御信号は、入出力部を介して押圧力付与機構230、溶接機構260、搬送部270、支持部280等へ送信される。このようにして、制御部290は、セパレータ51、52の組立て装置200の各部の作動を制御する。
次に、本実施形態に係るセパレータの組立て方法を説明する。図10A〜図10Cは、本実施形態に係るレーザー溶接方法の各工程を示すフローチャートである。
セパレータ51、52の組立て方法は、図10Aに示すように、概して、下型210および上型220によって各セパレータ51、52を互いに位置決めした状態に保持する工程(ステップS10)と、押圧力付与機構230によって各セパレータ51、52の外周部51a、52aおよび中央部51b、52bを互いに逆方向に押圧してクランプする工程(ステップS20)と、各セパレータ51、52の溶接部位80aを溶接する工程(ステップS30)と、を有する。以下、各工程について詳細に説明する。なお、下型210、上型220、押圧力付与機構230、溶接機構260、搬送部270および支持部280の作動は制御部290が制御するものとする。
図10Bに示すように、各セパレータ51、52を互いに位置決めした状態に保持する工程(ステップS10)では、各セパレータ51、52を下型210に載置し(ステップS11)、下型210の上に上型220を配置する(ステップS12)。
まず、図5に示すように、搬送部270によってパーツトレイT(図4を参照)から各セパレータ51、52を下型210へ搬送し、第1のセパレータ51と第2のセパレータ52とを積層して重ね合わせた状態として載置する(ステップS11)。この際、位置決めピン212に各セパレータ51、52の端部が当接するように載置することよって各セパレータ51、52の面方向(X−Y方向)の位置を調整することができる。ストッパー253の雄ねじ部253cのねじ込み量を予め調整して、当接部材251が下型210に対して離反する距離の最大値Dmax(図6を参照)を調整しておく。このとき、中央押圧部250において、バネ部材252aの弾性力f1は、当接部材251の上方向Z2への移動を制限するストッパー253の制限力f2とつり合った状態にある。
次に、図11に示すように、下型210の上に上型220を配置する(ステップS12)。この際、位置決め用孔222に位置決めピン212が挿通するように配置することによって、上型220の下型210に対する位置決めが可能となる。
次に、押圧力付与機構230によって各セパレータ51、52に対して上下方向Z1、Z2から押圧力を付与して各セパレータ51、52をクランプする(ステップS20)。
図10Cに示すように、各セパレータ51、52をクランプする工程(ステップS20)は、各セパレータ51、52の中央部51b、52bをクランプする工程(ステップS21)と、外周部51a、52aをクランプする工程(ステップS22)の2段階に分かれている。
まず、図11に示すように、外周押圧部240の操作レバー241を操作してアーム242の先端を倒すようにアーム242を傾斜させる。押さえ部材246が上型220に近接する方向にアーム242を回動させることによって、押さえ部材246が上型220に当接して押圧力f3を付与する。アーム242が回動すると、クランプ位置の直前で、上型220に押さえ部材246が接触する。アーム242は、操作レバー241と複数のリンク243、244、245とで形成されるトグル機構によって、クランプ位置に安定に保持される。
各セパレータ51、52は、中央部51b、52bが外周部51a、52aよりも厚みが大きい(上下方向Z1、Z2に突出している)ため、上型220の下面は、第1セパレータ51の中央部51bのみに当接して、各セパレータ51、52が下方向Z1へ移動する。これにより、各セパレータ51、52の中央部51b、52bが下型210と上型220との間にクランプされる。このとき、下型210の上面と当接部材251の上面は同じ高さに位置することが好ましい。
次に、外周押圧部240の押圧力f3および上型220の自重によって、各セパレータ51、52の中央部51b、52bは、下方向Z1へ押圧される。各セパレータ51、52の中央部51b、52bは、中央押圧部250を押圧する。中央押圧部250の当接部材251は、ストッパー253の係合部253bと当接部材251の縮径部251dとが接触しない位置まで下方向Z1へ移動する。これにより、バネ部材252aの弾性力f1に抗して当接部材251の上方向Z2への移動を制限するストッパー253の制限力f2が解除される。このため、バネ部材252aは、当接部材251を介して各セパレータ51、52の中央部51b、52bを上方向Z2へ押圧する。これにより、中央押圧部250により各セパレータ51、52の中央部52bの溶接部位80aが互いに接近する方向に各セパレータ51、52を押圧する。このようにして、上型220および当接部材251によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bを上下方向Z1、Z2からクランプする(ステップS21)。
次に、図12に示すように、外周押圧部240の操作レバー241を操作して、アーム242をさらに傾斜させる。このとき、下型210と上型220が完全に閉じるまで上型220を下方向Z1に向かって押圧する。これにより、バネ部材252aは、さらに圧縮されて、弾性力f1が増加する。このようにして、各セパレータ51、52の外周部51a、52aを下型210と上型220との間にクランプする(ステップS22)。この状態で、外周押圧部240を固定する。
各セパレータ51、52がクランプされた状態において、各セパレータ51、52の外周部51a、52aは、外周押圧部240の押圧力f3のみによって上型220と下型210との間にクランプされている。これに対し、各セパレータ51、52の中央部51b、52bは、上方向Z2から押圧する外周押圧部240および下方向Z1から押圧する中央押圧部250の両方の押圧力によってクランプされる。このようにして、押圧力付与機構230によって各セパレータ51、52に付与される押圧力は、外周部51a、52aよりも中央部51b、52bの方が大きくなるように構成されている。
次に、各セパレータ51、52の溶接部位80aを溶接する(ステップS30)。図4に示すように、加工ヘッド261を動作させて、溶接部位80aに向けてレーザーLを照射する。この際、上型220に形成されたスリット部221を介して各セパレータ51、52に直接レーザーLを照射することができるため、溶接が容易になる。なお、溶接ラインは、図3に示すように、断続的なステッチ状に形成してもよいし、溶接部位80aに沿って連続的に形成してもよい。
最後に、外周押圧部240の操作レバー241を操作して、上型220に付与している押圧を解除し、上型220を下型210から取り外して溶接されたセパレータ51、52を取り出す。これにより、セパレータ51、52の組立てが完了する。外周押圧部240による各セパレータ51、52のクランプを解除する場合は、操作レバー241を図12に示す位置から図5に示す位置まで回動させる。これにより、クランプ動作のときと逆の動作が起こり、各セパレータ51、52のクランプを解除することができる。
図13には、隙間による不良が発生した際の溶接部位80aの様子を例示する断面図を示し、図14には、良好に溶接した際の溶接部位80aの様子を例示する断面図を示している。
例えば、各セパレータ51、52の溶接に際して、各セパレータ51、52の外周部51a、52aのみをクランプすると、図13に示すように、各セパレータ51、52の中央部51b、52bの溶接部位80aにおいて、第1のセパレータ51と第2のセパレータ52との間に隙間gが形成されることがある。各セパレータ51、52は薄肉であり、かつ、中央部51b、52bに微細な凹凸形状を備えているため、クランプ時の力の掛かり具合やクランプ位置などの影響を受けて、隙間gが比較的形成され易い。
本実施形態に使用される溶接機構260では、良好に溶接を行うために隙間gの大きさをできるだけ小さく抑える必要がある。大きな隙間gが形成された状態で溶接が行われると、図13に示すように溶接部位80aに溶け落ちが生じて、溶接強度の低下を招くことになる。良好に溶接できる隙間gの大きさは、レーザー出力等の溶接条件やセパレータ51、52の材質や板厚によっても異なるが、例えば、25μm以下にすることが好ましく、隙間gがない状態にすることがより好ましい。
本実施形態では、各セパレータ51、52の中央部51b、52bを上方向Z2から押圧する外周押圧部240および下方向Z1から押圧する中央押圧部250の両方の押圧力によってクランプする。このため、各セパレータ51、52の間の隙間gを抑えることができるため、図14に示すように、溶接を良好に行うことができる。
以上説明したように、本実施形態に係るセパレータ51、52の組立て装置200によれば、下型210と、各セパレータ51、52を積層した状態で位置決め保持する上型220と、各セパレータ51、52に対して押圧力を付与する押圧力付与機構230と、溶接機構260と、制御部290とを有する。押圧力付与機構230は、各セパレータ51、52の外周部51a、52aを押圧する外周押圧部240と、各セパレータ51、52の中央部51b、52bを押圧する中央押圧部250と、を備えている。制御部290は、押圧力付与機構230の作動を制御して、外周押圧部240による各セパレータ51、52の押圧方向と中央押圧部250による各セパレータ51、52の押圧方向とを逆方向にする。
このように構成したセパレータ51、52の組立て装置200によれば、押圧力付与機構230によって各セパレータ51、52を確実にクランプすることができるため、各セパレータ51、52の溶接部位80aに生じる隙間gを小さくすることができる。これにより、各セパレータ51、52の溶接部位80aにおける溶接品質を向上させることができる。
制御部290は、押圧力付与機構230の作動を制御して、中央押圧部250によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bを上型220と下型210との間にクランプした後に、外周押圧部240によって各セパレータの外周部51a、52aを下型210と上型220との間にクランプする。これにより、各セパレータ51、52の中央部51b、52bからその外側に向けて位置ずれの補正を行うことができる。このため、中央部51b、52bに生じた位置ずれを中央部51b、52bの他の箇所に残すことなく位置決めを行うことができる。
また、制御部290は、押圧力付与機構230および溶接機構260の作動を制御して、外周押圧部240によって各セパレータ51、52の外周部51a、52aを上型220と下型210との間にクランプし、中央押圧部250によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bの溶接部位80aを互いに接近する方向に押圧した状態で、溶接機構260によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bを溶接する。これにより、外周押圧部240によって各セパレータ51、52をクランプして積層した状態を保持するとともに、中央押圧部250によって各セパレータ51、52の溶接部位80aに生じる隙間gの形成を抑制した状態で溶接することができる。これにより、各セパレータ51、52の溶接部位80aにおける溶接品質をさらに向上させることができる。
また、押圧力付与機構230によって各セパレータ51、52に付与される押圧力は、外周部51a、52aよりも中央部51b、52bの方が大きくなるように構成されている。これにより、発電反応部61が形成される各セパレータ51、52の中央部51b、52bが外周部51a、52aに比べて、各セパレータ51、52間の距離が小さくなる。このため、溶接部位80aに生じる隙間gが小さく、かつ、強固に位置決めされた状態が保持される。したがって、各セパレータ51、52の外周部51a、52aにおいて生じた隙間gや位置ずれが中央部51b、52bまで及ぶことを抑制し、溶接部位80aにおける溶接品質をさらに向上させることができる。
また、外周押圧部240は、上型220を介して各セパレータ51、52を下方向Z1に押圧し、中央押圧部250は、下型210に配置され、各セパレータ51、52を上方向Z2に向かって押圧する。これにより、上型220および下型210によって保持されている各セパレータ51、52を上下方向Z1、Z2からクランプすることができる。このため、溶接部位80aに生じる隙間gの発生をより確実に抑えることができる。
また、中央押圧部250は、第2のセパレータ52の中央部52bに当接する当接部材251と、当接部材251を上方向Z2に移動させる付勢力を当接部材251に付勢する付勢部材252とを有する。これにより、付勢部材252により付勢力が付勢された当接部材251によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bを効果的に押圧することができる。このため、溶接部位80aに生じる隙間gをより一層抑えることができる。
また、中央押圧部250は、付勢部材252の付勢力に抗して当接部材251の上方向Z2への移動を制限するストッパー253をさらに有する。これにより、各セパレータ51、52の中央部51b、52bに必要以上の押圧力が掛かって変形してしまうことを防止することができる。
また、中央押圧部250は、複数の付勢部材252と、複数のストッパー253と、を備え、当接部材251は、複数のセグメント251aに分割され、それぞれのセグメント251aに付勢部材252およびストッパー253が配置される。複数のセグメント251aから各セパレータ51、52の中央部51b、52bを分割して押圧することによって、中央部51b、52b一部が局所的に押圧されることがなく、全体に均一に押圧することができる。これにより、溶接部位80aごとにばらつきが生じるのを抑制し、全体に均一な溶接強度を得ることができる。
また、当接部材251を上方向Z2から平面視した際に、それぞれのセグメント251aの中心位置に1つのストッパー253が配置され、中心位置に対して対称に複数の付勢部材252が配置される。このような構成により、セグメント251aの面がX−Y平面に対して傾くことを抑制し、各セパレータ51、52の中央部51b、52bを均一に押圧することができる。これにより、溶接部位80aごとに強度のばらつきが生じるのを抑制し、全体に均一な溶接強度を得ることができる。
また、付勢部材252は、当接部材251と下型210との間に配置され、当接部材251と下型210とが互いに離反する方向に弾性力f1を発生させるバネ部材252aと、当接部材251の移動をガイドするガイド部材252bと、を有する。バネ部材252aによって当接部材251を付勢して移動させるとともに、ガイド部材252bによって当接部材251の移動方向をガイドすることができる。これにより、当接部材251の各セパレータ51、52の中央部51b、52bに対する押圧方向を確実に制御することができる。当接部材251が中央部52bの面に対して略平行に当接するように制御することによって、中央部51b、52bを均一に押圧することができる。これにより、溶接部位80aごとにばらつきが生じるのを抑制し、全体に均一な溶接強度を得ることができる。
また、バネ部材252aと下型210との間に配置されるワッシャー252cをさらに有するため、バネ部材252aの弾性力f1の初期値を調整することができる。これにより、中央押圧部250が各セパレータ51、52の中央部51b、52bに付与する押圧力を比較的容易に調整することが可能となる。
本実施形態に係るセパレータ51、52の組立て方法は、下型210および上型220によって各セパレータ51、52を互いに位置決めした状態に保持する工程(ステップS10)と、押圧力付与機構230によって各セパレータ51、52の外周部51a、52aおよび中央部51b、52bを互いに逆方向に押圧してクランプする工程(ステップS20)と、各セパレータ51、52の溶接部位80aを溶接する工程(ステップS30)と、を有する。
このように構成したセパレータ51、52の組立て方法によれば、各セパレータ51、52を確実にクランプすることができるため、各セパレータ51、52の溶接部位80aに生じる隙間gを小さくすることができる。これにより、各セパレータ51、52の溶接部位80aにおける溶接品質を向上させることができる。
また、各セパレータ51、52の中央部51b、52bをクランプした後に、各セパレータの外周部51a、52aをクランプする。これにより、各セパレータ51、52の中央部51b、52bからその外側に向けて位置ずれの補正を行うことができる。このため、中央部51b、52bに生じた位置ずれを中央部51b、52bの他の箇所に残すことなく位置決めを行うことができる。
また、各セパレータ51、52の中央部51b、52bを押圧する押圧力は、外周部51a、52aよりも押圧する押圧力が大きくなるように押圧する。これにより、発電反応部61が形成される中央部51b、52bが外周部51a、52aに比べて強固に位置決めされた状態が保持される。このため、各セパレータ51、52の外側の位置ずれが内側まで及ぶことを抑制し、溶接部位80aにおける溶接品質をさらに向上させることができる。
<第2実施形態>
図15〜図17を参照して、第2実施形態に係るセパレータ51、52の組立て装置300を説明する。第2実施形態に係るセパレータの組立て装置300は、中央押圧部350の構成のみが、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
中央押圧部350は、図15に示すように、当接部材351と、当接部材351の下に配置された弾性部材(付勢部材に相当)352とを有する。
第1実施形態と同様に、中央押圧部350は、各セパレータ51、52の中央部51b、52bに対向するように下型210の収容空間211に配置している。
当接部材351は、例えば、金属ブロックにより構成されている。当接部材351は、下型210の収容空間211との間に間隙を有し、収容空間211内を上下方向Z1、Z2に移動可能に構成されている。
弾性部材352は、下型210の収容空間211の底面211aと当接部材351との間に配置されている。弾性部材352は、公知の弾性材料から形成することができる。弾性材料としては、例えば、シリコンゴムを使用することができる。
第2実施形態に係るセパレータの組立て装置300を使用したセパレータ51、52の組立て方法は、第1実施形態と同様に、図10A〜図10Cを参照して、各セパレータ51、52を互いに位置決めした状態に保持する工程(ステップS10)と、各セパレータ51、52をクランプする工程(ステップS20)と、各セパレータ51、52を溶接する工程(ステップS30)と、を有する。各セパレータ51、52をクランプする工程(ステップS20)以外は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
各セパレータ51、52をクランプする工程(ステップS20)は、各セパレータ51、52の中央部51b、52bをクランプする工程(ステップS21)と、各セパレータ51、52の外周部51a、52aをクランプする工程(ステップS21)とを有する。
各セパレータ51、52の中央部51b、52bをクランプする工程(ステップS21)において、図16に示すように、外周押圧部240によって上型220に下方向Z1への押圧力f3を付与する。当接部材351は、押圧力f3により各セパレータ51、52を介して下方向Z1へ押圧される。これにより、弾性部材352は、当接部材351と下型210の収容空間211の底面211aとの間で圧縮される。弾性部材352は、圧縮される力に抗して上下方向Z1、Z2に弾性力f12を作用する。この弾性力f12が当接部材251を上方向Z2へ押圧する。これにより、上型220および当接部材251によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bが上下方向Z1、Z2からクランプされる。
次に、図17に示すように、外周押圧部240の操作レバー241を操作して、アーム242をさらに傾斜させる。このとき、下型210と上型220が完全に閉じるまで上型220を下方向Z1に押圧する。これにより、弾性部材352は、さらに圧縮されて、弾性力f12が増加する。このようにして、各セパレータ51、52の外周部51a、52aを下型210と上型220との間にクランプする(ステップS22)。この状態で、外周押圧部240を固定する。
以上説明したように、本実施形態に係るセパレータ51、52の組立て装置300によれば、中央押圧部350は、第2のセパレータ52の中央部52bに当接する当接部材351と、当接部材351を上方向Z2に移動させる弾性力f12を当接部材351に付勢する弾性部材352とを有する。
このように構成したセパレータ51、52の組立て装置300によれば、弾性部材352により付勢力が付勢された当接部材351によって各セパレータ51、52の中央部51b、52bを効果的に押圧することができる。このため、溶接部位80aに生じる隙間gの発生をより一層抑えることができる。
以上、実施形態を通じて本発明に係るセパレータの組立て装置およびセパレータの組立て方法を説明したが、本発明は実施形態において説明した内容のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、押圧力付与機構は、各セパレータを上下方向に押圧するとしたが、外周部を押圧する外周押圧部の押圧方向と、中央部を押圧する中央押圧部の押圧方向が互いに逆方向である限りにおいて上下方向に限定されない。
また、レーザー溶接を実施している最中に各セパレータをクランプした状態に維持し得る限りにおいて、外周押圧部の設置数や設置位置等は特に限定されない。
また、付勢部材は、バネ部材または弾性部材の弾性力によって当接部材に付勢するとしたが、当接部材に付勢力を付勢して上方向に移動させることが可能な限りにおいて当該構成に限定されない。例えば、バネ部材や弾性部材の替わりに空気バネ、油圧シリンダー等を備える構成であってもよい。
また、上型は、レーザー溶接のレーザーを通過させるスリット部を備えるとしたが、上型および下型によって各セパレータをクランプした状態においてレーザー溶接可能であれば当該構成に限定されない。例えば、上型をレーザーの透過性を備える材料によって構成することができる。また、下型も同様にレーザーの透過性を備える材料によって構成することができる。レーザーの透過性を備える材料としては、例えば、透明な樹脂材料やガラス等が挙げられる。
また、レーザー溶接によってセパレータを溶接するとしたが、これに限定されず、例えば、スポット溶接を用いてもよい。