JP6237051B2 - リチウムイオン二次電池多孔膜用スラリーの製造方法 - Google Patents
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Description
(1) 非導電性粒子を含む多孔膜用スラリーを製造する方法であって、非導電性粒子と溶媒とを混ぜ合わせてスラリーとする混合工程と、前記混合工程の後に、前記スラリー中の非導電性粒子を一次粒子に分散させる分散工程と、を含み、前記分散工程が、前記非導電性粒子の累積粒度分布において、小径側からの累積体積が90%である粒子径をD90としたとき、前記分散工程直後の非導電性粒子のD90が1.0μm以上1.6μm以下で、かつ、前記分散工程直後の非導電性粒子のD90に対する前記分散工程直前の非導電性粒子のD90の比を1.2〜2.0とするものであり、前記分散工程の後に、スラリーから磁性物質を除去する磁性物質除去工程と、を含む多孔膜用スラリーの製造方法、
(2) 前記分散工程において、前記非導電性粒子の累積粒度分布において、小径側からの累積体積が10%である粒子径をD10としたとき、前記分散工程直後の非導電性粒子のD10が、0.2μm以上0.5μm以下である(1)記載の多孔膜用スラリーの製造方法、
(3) 非導電性粒子を含む多孔膜用スラリーを製造する方法であって、前記分散工程と前記磁性物質除去工程との間に、分級工程を含み、多孔膜用スラリー中の10μm以上の粒子を固形分質量基準で100ppm以下とする、(1)または(2)に記載の多孔膜用スラリーの製造方法、
(4) (1)〜(3)の何れかに記載の多孔膜用スラリーの製造方法により製造された多孔膜用スラリーであって、前記多孔膜用スラリー中の磁性物質が固形分質量基準で50ppm以下である多孔膜用スラリー
が提供される。
以下、各工程について説明する。
本発明の混合工程(S1)においては、非導電性粒子と溶媒とを混ぜ合わせて、スラリーを得る。混合方法は、特に限定されないが、(i)非導電性粒子を溶媒に供給し攪拌する方法、(ii)非導電性粒子を充填した容器に溶媒を投入する方法等が挙げられる。
無機粒子としては、酸化鉄、酸化珪素、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化チタン等の酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化硼素等の窒化物粒子;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子等が用いられる。これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化されていてもかまわず、また単独でも2種以上の組合せで用いてもよい。これらの中でも電解液中での安定性と電位安定性の観点から酸化アルミニウムが好ましい。
予め分散剤を添加しておくことで、後の分散工程後で、非電導性粒子の1次粒子が再凝集するのを抑制することができる。
分散剤としては、酸性基含有単量体単位を有する水溶性の重合体を用いる。ここで、酸性基含有単量体単位とは、酸性基含有単量体を重合して形成される構造を有する構造単位を示す。また、酸性基含有単量体とは、酸性基を含む単量体を示す。
また、上述した単量体の塩も、酸性基含有単量体として用いうる。
本発明の分散工程(S2)においては、混合工程(S1)で得られたスラリー中の非導電性粒子を一次分散させる。通常、非導電性粒子には、一次粒子が凝集した二次粒子として存在しているものがある。分散工程において非導電性粒子の二次粒子を一次粒子とすることで、後の磁性異物除去工程で磁性異物を効果的に除去することができる。
分散工程(S2)により二次粒子として存在する非導電性粒子を一次粒子とすることができる。
本発明の分級工程(S3)においては、前記分散工程(S2)を経た非電導性粒子のうち10μm以上の粗大粒子を除き、得られる多孔膜用スラリー中の10μm以上の粗大粒子を固形分質量基準で好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下にする。
また、前記胴部の傾斜角度は、スラリーがスラリースクリーナー中に適度に滞留し、10μm以上の粗大粒子を効果的に除くとことができるだけでなく、前記非導電性粒子のD10、D50、D90を前記範囲に収めることができる観点から、水平方向に対し、好ましくは0〜35度、より好ましくは5〜30度、さらに好ましくは10〜25度である。
本発明の調製工程(S4)においては、上記混合工程(S1)及び分散工程(S2)に加えて、好ましくは分級工程(S3)を経て得られた、スラリーに増粘剤、バインダー、濡れ剤、必要に応じて防腐剤を混合し、調製溶液を得る。
上述の順序で調製工程(S4)を行う場合における、プレ調製工程(S8)での増粘剤を含む水溶液の調製方法は特に限定されないが、増粘剤を溶解槽に貯槽された水に投入し、攪拌する方法、次いでろ過を行う方法が好ましい。
以下、調製工程(S4)において用いる増粘剤、バインダー、濡れ剤、必要に応じて用いられる防腐剤について説明する。
本発明に用いる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーおよびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリ(メタ)アクリル酸およびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリビニルアルコール、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸又はマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体などのポリビニルアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物などが挙げられる。これらのなかでも、カルボキシメチルセルロースを用いることが好ましい。
本発明に用いるバインダーとしては、特に制限無く公知の電池用バインダーを用いることができ、非水溶性の粒子状重合体であることが好ましい。中でも(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合単位、酸性基含有単量体の重合単位、及び、ニトリル基含有単量体の重合単位を含んでなる重合体が好ましい。
アリルアクリレートまたはアリルメタクリレート、トリメチロールプロパン−トリアクリレート、トリメチロールプロパン−メタクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、または多官能性アルコールの他のアリルまたはビニルエーテル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミドおよび/またはジビニルベンゼンが好ましい。特にアリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパン−トリアクリレートおよび/またはトリメチロールプロパン−メタクリレート等が挙げられる。
防腐剤としては、任意の防腐剤を用いることができるが、イソチアゾリン系化合物を用いることが好ましい。イソチアゾリン系化合物のなかでも、一般式(1)
で表されるベンゾイソチアゾリン系化合物、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、「MIT」ということがある。)、又はこれらの混合物を用いることが好ましく、これらの混合物であることがより好ましい。また、前記一般式(1)で表されるベンゾイソチアゾリン系化合物としては、Rが水素原子である1,2−ベンズ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、「BIT」ということがある。)を用いることが好ましい。
本発明に用いる濡れ剤としては、多孔膜用スラリーをポリエチレン等からなる有機セパレータ上に塗工する際の多孔膜用スラリーの接触角を下げることができるものであれば特に限定されないが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体等のプルロニック型等の界面活性剤が挙げられ、ポリエチレングリコール型のノニオン系界面活性剤がより好ましい。これらのノニオン系界面活性剤は、それぞれ単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
多孔膜用スラリー中の濡れ剤の含有割合は、非導電性粒子100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.02〜1質量部である。
ろ過工程(S5)においては、上記分散工程(S3)で得られたスラリー、または、上記調製工程(S4)で得られた調製溶液のろ過を行う。ろ過工程(S5)により、調整工程(S4)で混入した粗大粒子や、分級工程(S3)で除去しきれなかった粗大粒子を取り除くことができる。
本発明の磁性物質除去工程(S6)においては、上記分散工程(S3)で得られたスラリー、または、上記調製工程(S4)で得られた調製溶液、または、ろ過工程(S5)において粗大粒子を除去したスラリーまたは調製溶液から磁性物質を除去することにより、得られる多孔膜用スラリー中の磁性物質を固形分質量基準で好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下とする。ここで、本発明において、磁性物質とは、磁性を有する金属物質をいう。
本発明の多孔膜用スラリーは上述の各工程を経ることにより得られる。多孔膜用スラリーのB型粘度計により測定した粘度は、5〜300mPa・sであることが好ましい。
また、多孔膜用スラリー中の固形分濃度は乾燥減量法により測定した値で、30〜60質量%であることが好ましい。
上述のようにして得られた多孔膜用スラリーは、充填工程(S7)において容器28(図4(b)参照)に充填される。容器としては、樹脂製の容器を用いることが好ましく、ポリエチレン製の容器を用いることがより好ましい。また、容器への多孔膜用スラリーの充填量の調節は、バルブの開閉等により行うことができる。なお、充填工程(S7)は、クリーンブース内に行われることが好ましい。
実施例及び比較例にて得られた多孔膜を備えるセパレータを、幅10mm×長さ100mmの長方形に切り出し、多孔膜面にセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付け、試験片とした。次に、前記試験片におけるセロハンテープを試験台に固定した状態で、セパレータの一端を垂直方向に引張り速度10mm/分で引張って剥がしたときの応力を測定した。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、下記の基準により判定する。ピール強度が大きいほど、多孔膜強度が大きいことを示す。
A:ピール強度が100N/m以上
B:ピール強度が75N/m以上100N/m未満
C:ピール強度が50N/m以上75N/m未満
D:ピール強度が50N/m未満
実施例及び比較例にて得られた多孔膜を備えるセパレータを、幅10cm×長さ10cmの大きさで切り出して、試験片とした。この試験片を、温度25℃、露点−60℃で24時間放置した。その後、電量滴定式水分計を用い、カールフィッシャー法(JIS K−0068(2001)水分気化法、気化温度150℃)により、試験片の水分量を測定した。この水分量とする。水分量が低いほど、電池の高温サイクル特性、レート特性に優れる。
A:セパレータ水分量が500ppm未満
B:セパレータ水分量が500ppm以上600ppm未満
C:セパレータ水分量が600ppm以上700pm未満
D:セパレータ水分量が800ppm以上
実施例及び比較例にて得られた10セルのラミネート型リチウムイオン二次電池を60℃雰囲気下、0.2Cの定電流法によって4.2Vに充電し、3Vまで放電する充放電を50回(=50サイクル)繰り返し、電気容量を測定した。10セルの平均値を測定値とし、5サイクル終了時の電気容量に対する50サイクル終了時の電気容量の割合を百分率で算出して充放電容量保持率を求め、下記基準により評価した。この値が高いほど高温サイクル特性に優れることを示す。
A:充放電容量保持率が80%以上である。
B:充放電容量保持率が70%以上80%未満である。
C:充放電容量保持率が60%以上70%未満である。
D:充放電容量保持率が60%未満である。
実施例及び比較例にて得られた10セルのラミネート型リチウムイオン二次電池を用いて、25℃で0.1Cの定電流で4.2Vまで充電し、0.1Cの定電流で3Vまで放電する充放電サイクルを行い、0.1Cにおける電池容量を求めた。また、25℃で1Cの定電流で4.2Vまで充電し、1Cの定電流で3Vまで放電する充放電サイクルを行い、1Cにおける電池容量を求めた。そして、0.1Cにおける電池容量に対する1Cにおける放電容量の割合を百分率で算出して充放電レート特性とした。
ここで、0.1Cにおける電池容量は、0.1Cの定電流で3Vまで放電したときの放電容量のことをいい、1Cにおける放電容量は、1Cの定電流で3Vまで放電したときの放電容量のことをいう。
また、充放電レート特性を、下記の基準で評価した。この値が大きいほど、内部抵抗が小さく、高速充放電が可能であることを示す。
A:充放電レート特性が80%以上である。
B:充放電レート特性が75%以上80%未満である。
C:充放電レート特性が70%以上75%未満である。
D:充放電レート特性が70%未満である。
非導電性粒子の累積粒度分布(D10、D50及びD90)は、イオン交換水を供給したフローセル内にスラリーを散乱強度が50%程度になるよう滴下し、超音波分散した後、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD−7100」)により測定することにより求めた。
平均孔径10μmのナイロンメッシュの質量(B)を測定し、漏斗にセットした。そこに、実施例及び比較例で得られた多孔膜用スラリー100gを注ぎ、ろ過する。ここに、イオン交換水を注ぎで、濁りがなくなるまで洗浄し、70℃のオーブンで、60分以上乾燥した。乾燥、放冷後、メッシュの質量(A)を測定しメッシュ残渣量の測定を行った。メッシュ残渣量、即ち多孔膜用スラリー中の粒子径が10μm以上の粗大粒子量は、下記式により求めた。
B:メッシュの質量(g)
C:多孔膜用スラリー100(g)
D:スラリーの全固形分濃度(%)
実施例及び比較例で得られた多孔膜用スラリーをPTTE内部小容器に少量取り、ホットプレート上で乾固(約150℃)させた。そこに、蒸留水 5ml、硝酸 2.5ml 、硫酸 2.5mlを入れ、加圧分解容器にセットし230℃の乾燥機中で1夜間(約10時間)溶解した。
溶解した溶液をICP−AESを用いてFeイオンの量を測定して、多孔膜スラリー中に含まれる磁性異物(Fe)量の割合を固形分質量基準で算出した。
[粒子状重合体の製造]
攪拌機を備えた反応器に、イオン交換水70部、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(花王ケミカル社製「エマール2F」)0.15部及び過硫酸アンモニウム0.5部を供給し、気相部を窒素ガスで置換し、60℃に昇温した。
0℃で反応を行った。添加の終了後、さらに70℃で3時間攪拌してから反応を終了し、粒子状重合体の水分散液を製造した。
水50部、アクリル酸80部、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸19.92部及び2−(N−アクリロイル)アミノ−2−メチル−1,3−プロパン−ジスルホン酸0.08部を混合して、単量体組成物を得た。
非導電性粒子としてバイヤー法で製造されたαアルミナ粒子AD50:0.85μm、磁性物質(Fe)量:120ppm)100部、分散剤として前記工程で得た水溶性重合体の水溶液を水溶性重合体の量で0.5部を混合し、固形分濃度を55%になるように電気伝導度が10μS/cmの水を添加し混合することによりスラリーを得た。混合工程において得られたスラリーについて、上記方法により累積粒度分布を測定した。即ち、分散工程直前の混合物に含まれる非導電性粒子の粒子径として、混合工程において得られたスラリーについて非導電性粒子の累積粒度分布(D10、D50及びD90)の測定を行った。
前記工程で得たスラリー中のαアルミナ粒子を、メディアレス分散装置(IKA社製、インライン型粉砕機MKO)を用いて周速10m/sec、流量200L/hの条件で1パス分散させた。その後、分級機(アコー社製、スラリースクリーナー)を用いて分級を行った。なお、分散工程及び分級工程を合わせて以下、「分散分級工程」ということがある。また、分散工程直後のスラリーに含まれる非導電性粒子の粒子径として、分散工程を経たスラリーについて非導電性粒子の累積粒度分布(D10、D50及びD90)の測定を行った。
前記工程で分散及び分級処理を施した非導電性粒子の分散体と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースの4%水溶液37.5部(カルボキシメチルセルロースの量で1.5部)を混合し、前記工程で得た粒子状重合体の水分散液を13.3部(粒子状重合体の量で6部)、及び、濡れ剤としてノニオン系界面活性剤(プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを重合比50:50で重合させた界面活性剤)の水溶液を固形分換算で0.5部混合し、調製溶液を得た。
得られた調製溶液に対しフィルター(平均孔径10μm)でろ過した後、さらに室温、磁束密度8000ガウスの条件で、マグネットフィルター(トックエンジニアリング株式会社製)を10パスさせることにより磁性物質を除去し、多孔膜用スラリーを得た。
ポリエチレン製の多孔基材からなる有機セパレータ層(厚み12μm、ガーレー値160sec/100cc)を用意した。用意した有機セパレータ層の片面に、前記の多孔膜用スラリーを塗布し、50℃で3分間乾燥させた。これにより、有機セパレータ層及び厚み3μmの多孔膜を備えるセパレータを製造した。得られたセパレータを用いて、セパレータのピール強度、ガーレー値、水分量及び耐熱性を評価した。
正極活物質として95部のLiCoO2に、正極用のバインダーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン、呉羽化学社製「KF−1100」)を固形分換算量で3部となるように加え、さらに、導電材としてアセチレンブラック2部及び溶媒としてN−メチルピロリドン20部を加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合して、正極用スラリーを得た。この正極用スラリーを厚さ18μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、120℃で3時間乾燥した。その後ロールプレスで圧延して、正極活物質層を有する全厚みが100μmの正極を得た。
攪拌機を備えた反応器に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部、過硫酸カリウム0.5部、単量体として1,3−ブタジエン33部、スチレン63.5部及びイタコン酸3.5部、並びにイオン交換水を200部入れて混合した。これを50℃で12時間重合させた。その後、スチームを導入して未反応の単量体を除去した。これにより、負極用のバインダーとして、粒子状の負極用重合体を含む水分散体を得た。
前記工程で得られた正極を幅40mm×長さ40mmに切り出して、正方形の正極を得た。前記工程で得られた負極を幅42mm×長さ42mmに切り出して、正方形の負極を得た。また、前記工程により製造されたセパレータを用意し、このセパレータを幅46mm×長さ46mmに切り出して、正方形のセパレータを得た。
こうして製造したリチウムイオン二次電池について、上述した要領で、高温サイクル特性を評価した。
スラリー中のαアルミナ粒子を、メディアレス分散装置(IKA社製、インライン型粉砕機MKO)を用いて分散させる際の周速を26m/secに変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
スラリー中のαアルミナ粒子を、メディアレス分散装置(IKA社製、インライン型粉砕機MKO)を用いて分散させる際の周速を40m/secに変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
スラリー中のαアルミナ粒子を、メディアレス分散装置(IKA社製、インライン型粉砕機MKO)を用いて分散させる際の周速を50m/secに変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
スラリー中のαアルミナ粒子を、メディアレス分散装置(IKA社製、インライン型粉砕機MKO)を用いて分散させる際の周速を30m/secとし、磁性物質を除去する際に磁性フィルターを通す回数を1パスに変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
用いる非導電性粒子の種類を粉砕の程度が異なるαアルミナ粒子B(D50:0.61μm、磁性物質(Fe)量:120ppm)に変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
用いる非導電性粒子の種類を粉砕の程度が異なるαアルミナ粒子C(D50:0.98μm、磁性物質(Fe)量:120ppm)に変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
用いる非導電性粒子の種類を粉砕の程度が異なるαアルミナ粒子D(D50:1.25μm、磁性物質(Fe)量:120ppm)に変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
分散分級工程を省略し、さらに、磁性フィルターを用いた磁性物質の除去を行わなかった以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造を行った。なお、多孔膜用スラリー中の粗大粒子が多いため、塗工時にブレードがつまり、セパレータの製造において塗工スジが発生した。従って、セパレータ及びリチウムイオン二次電池についての評価を行うことはできなかった。
スラリー中のαアルミナ粒子を、メディアレス分散装置(IKA社製、インライン型粉砕機MKO)を用いて分散させる際の周速を5m/secに変更した。さらに、マグネットフィルターを用いた磁性物質の除去を行わなかった以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。なお、多孔膜用スラリー中の粗大粒子が多いため、塗工時にブレードがつまり、セパレータの製造において塗工スジが発生した。従って、セパレータ及びリチウムイオン二次電池についての評価を行うことはできなかった。
スラリー中のαアルミナ粒子を分散させる際に用いる分散機をビーズミル(ビーズ径0.4mm、周速13m/sec)に変更した以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリーの製造、セパレータの製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
Claims (3)
- 非導電性粒子を含むリチウムイオン二次電池多孔膜用スラリーを製造する方法であって、
非導電性粒子と溶媒とを混ぜ合わせてスラリーとする混合工程と、
前記混合工程の後に、前記スラリー中の非導電性粒子を一次粒子に分散させる分散工程と、を含み、
前記非導電性粒子の累積粒度分布において、小径側からの累積体積が90%である粒子径をD90としたとき、前記分散工程直後のD90が1.0μm以上1.6μm以下で、かつ、前記分散工程直後のD90に対する前記分散工程直前のD90の比を1.2〜2.0とするものであり、
前記非導電性粒子が、無機粒子であり、
前記分散工程の後に、スラリーから磁性物質を除去する磁性物質除去工程と、
を含むリチウムイオン二次電池多孔膜用スラリーの製造方法。 - 前記非導電性粒子の累積粒度分布において、小径側からの累積体積が10%である粒子径をD10としたとき、前記分散工程直後のD10を、0.2μm以上0.5μm以下とするものである請求項1記載のリチウムイオン二次電池多孔膜用スラリーの製造方法。
- 非導電性粒子を含むリチウムイオン二次電池多孔膜用スラリーを製造する方法であって、
前記分散工程と前記磁性物質除去工程との間に、分級工程を含み、リチウムイオン二次電池多孔膜用スラリー中の10μm以上の粒子を固形分質量基準で100ppm以下とする、
請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池多孔膜用スラリーの製造方法。
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