以下、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るプロジェクターを説明するために示す図である。図1(a)はプロジェクターPJ1の内部構成を模式的に示す図であり、図1(b)は、プロジェクターPJ1を画像投写口側から見たときの投写レンズ330と光変調素子321の画像形成領域321aとの関係を模式的に示す図である。
実施形態1に係るプロジェクターPJ1は、電球取り付け用ソケット又は電球取り付け用レセプタクルなどの電球取り付け具に電気的に接続可能な接続部100と、筐体200(以下では、プロジェクター筐体部200という。)とを有している。プロジェクター筐体部200は、後端部200aに接続部100が取りつけられ、当該後端部200aとは反対側の先端部200bに画像投写口を有している。
接続部100は、一般的な電球(白熱電球、電球型蛍光ランプ及びLED電球など)に設けられている口金(例えば「E26」として規定されている口金)であるとする。このため、プロジェクターPJ1は、これら一般的な電球と同様に、接続部100を電球取り付け用ソケット又は電球取り付け用レセプタクルなどの電球取り付け具にねじ込むことによって、これらの電球取り付け具に接続することができる。接続部100には、接続された電球取り付け具から電力が供給される。
なお、プロジェクターPJ1を電球取り付け具に接続する際は、接続部100を電球取り付け具に軽く差し込んだ状態で、プロジェクター筐体部200を時計方向に回転させることにより、電球取り付け具に接続することができる。また、プロジェクターPJ1を電球取り付け具から取り外す際は、プロジェクター筐体部200を反時計方向に回転させることにより、電球取り付け具から取り外すことができる。なお、以下では、プロジェクターPJ1を電球取り付け具に接続したり電球取り付け具から取り外したりする際の回転軸を、プロジェクターPJ1の中心軸ax1という。つまり、中心軸ax1は、接続部100から先端部200bを通る軸である。また、以下では、「電球取り付け具」は「電球取り付け用ソケット」として説明する。
また、プロジェクター筐体部200は、実施形態1に係るプロジェクターPJ1においては、ほぼ円筒形状をなしており、内部には、画像投写部300と、画像表示制御部400と、傾き検出部500と、通信部600と、電源部700とが設けられている。なお、プロジェクター筐体部200の形状は、円筒形状に限られるものではなく、プロジェクターとしての機能を損なわない限りにおいて、球体形状、ラッパ形状など種々の形状とすることができる。
なお、プロジェクター筐体部200内に設けられている上記各構成要素(画像投写部300、画像表示制御部400、傾き検出部500、通信部600、及び電源部700など)は、プロジェクター筐体部200に固定(保持)された状態で設けられている。このため、プロジェクターPJ1を電球取り付け用ソケットに接続したり電球取り付け用ソケットから取り外したりする際は、プロジェクター筐体部200の回転とともに上記各構成要素も中心軸ax1回りに回転する。
画像投写部300は、光源部310と、画像形成部320と、当該画像形成部320によって形成された画像を拡大して投写する投写光学系としての投写レンズ330とを有している。画像投写部300を構成するこれらの構成要素も、プロジェクター筐体部200に固定(保持)された状態で設けられている。なお、図1においては、画像投写部300の構成は簡略化し、かつ、模式的に示されている。
光源部310は、発光ダイオードなどの光源を備えて構成され、実施形態1では、赤色光、緑色光及び青色光を時分割で順次射出する。
画像形成部320は、複数の画素を含んで構成される矩形の画像形成領域321aを備えた光変調素子321を有している。ここでは、光変調素子321として透過型の液晶光変調素子が用いられているものとする。当該光変調素子321は、光源部310から時分割で射出される各色の色光を、投写すべき画像情報に応じて画像形成領域321aで順次変調して画像を形成する。また、画像形成部320は、光変調素子321の入射側及び射出側に、それぞれ入射側偏光板(図示せず。)と射出側偏光板(図示せず。)とを有する。なお、以下では、光変調素子321を液晶パネル321ともいう。
投写レンズ330は、液晶パネル321によって形成された画像を表示面(例えば、図2に示すような鉛直方向に立設している壁面950などであるとする)に拡大投写する。この結果、表示面には、赤色光、緑色光及び青色光で形成された画像が時分割で順次投写され、フルカラーの画像として視認される。
このように構成されている画像投写部300は、図1(a)及び図1(b)に示すように、液晶パネル321の画像形成領域321aの中心(光軸)と投写レンズ330の中心(光軸)とが一致するとともに、これらの光軸がプロジェクターPJ1の中心軸ax1と一致するようにプロジェクター筐体部200内に配置されている。このため、プロジェクターPJ1の接続部100を、電球取り付け用ソケットに取り付けた状態とすると、プロジェクターPJ1の向きと当該プロジェクターPJ1から投写される画像の光軸とが一致する。
画像表示制御部400は、CPUなどの処理部(図示せず。)や、RAM、ROMなどの記憶部(図示せず。)を備えて構成され、画像の表示(投写)に関する種々の制御を行う機能を有している。なお、画像表示制御部400における上記各機能の具体例については後述する。
傾き検出部500は、中心軸ax1回りのプロジェクター筐体部200(液晶パネル321)の傾き(回転角度)を検出する。つまり、傾き検出部500は、プロジェクター筐体部200(液晶パネル321)が水平線に対して中心軸ax1回りに何度傾いているかを検出して、検出した回転角度を画像表示制御部400に出力する。具体的には、プロジェクターPJ1が投写する画像を図2に示すような壁面950などに表示させる際に、当該壁面950に表示される画像の水平線に対する傾きを、プロジェクターPJ1の中心軸ax1回りの回転角度として検出して、検出した回転角度を出力する。なお、以下では、「中心軸ax1回り」のことを、符号「ax1」を省略して「中心軸回り」と略記する。
通信部600は、遠隔操作機器(リモートコントローラーという。)との間で信号を送受信可能とするものである。また、電源部700は、接続部100を介して供給される電力を適宜変換し、変換後の電力を、画像投写部300、画像表示制御部400、傾き検出部500、通信部600などにそれぞれ供給するものである。
ところで、実施形態1に係るプロジェクターPJ1においては、プロジェクターPJ1の接続部100を電球取り付け用ソケットに接続した状態(接続部100を電球取り付け用ソケットに最後までねじ込んだ状態)において、接続部100を回すことなくプロジェクター筐体部200を中心軸回りに時計方向及び反時計方向に所定範囲の回転角度で回転可能とする構造を有している。
このような構造は本発明の要旨ではないため、具体的な構成の説明及び図示は省略するが、接続部100を電球取り付け用ソケットに最後までねじ込んだ状態から接続部100を回転させることなく、プロジェクター筐体部200のみを接続部100に対して反時計方向に所定範囲(例えば360度)だけ空回り可能とし、当該反時計方向に所定範囲だけ回転させた状態から、今度は、接続部100を回転させることなくプロジェクター筐体部200のみを接続部100に対して時計方向に所定範囲(例えば、360度)だけ空回り可能とするような構造となっている。そして、プロジェクター筐体部200を空回りさせてプロジェクター筐体部200が所望の回転角度となったら、その状態でプロジェクター筐体部200の回転を規制できるようになっている。
なお、前述したように、プロジェクター筐体部200内に設けられている画像投写部300と、画像表示制御部400と、傾き検出部500と、通信部600と、電源部700などは、プロジェクター筐体部200に固定されているため、プロジェクター筐体部200の回転とともに回転する。
このように、接続部100に対してプロジェクター筐体部200が所定範囲の角度で空回り可能な構造となっていても、プロジェクターPJ1を電球取り付け用ソケットに対して着脱が可能である。
すなわち、プロジェクターPJ1を電球取り付け用ソケットに接続する際は、接続部100を電球取り付け用ソケットに軽く差し込んだ状態として、プロジェクター筐体部200を時計方向に回転させることにより最初は空回りするが、やがてプロジェクター筐体部200の回転力が接続部100に伝達されて接続部100も時計方向に回転する。これにより、接続部100を電球取り付け用ソケットにねじ込んで行くことができる。
一方、プロジェクターPJ1を電球取り付け用ソケットから取り外す際は、接続部100が電球取り付け用ソケットに最後までねじ込まれた状態で、プロジェクター筐体部200を反時計方向に回転させることにより最初は空回りするが、やがて、プロジェクター筐体部200の回転力が接続部100に伝達されて、接続部100も反時計方向に回転する。これにより、接続部100を電球取り付け用ソケットから取り外すことができる。
図2は、実施形態1に係るプロジェクターの設置例を説明するために示す図である。実施形態1に係るプロジェクターPJ1は、図2に示すように、例えば、室内の天井に吊り下げられている照明器具900に取り付けられている。すなわち、プロジェクターPJ1は、照明器具900における傘920の内側に設けられている電球取り付け用ソケット910に接続部100(図2では図示せず。)が接続されており、鉛直方向に立設している壁面950を表示面(以下、表示面950という。)として画像を投写するように設置されている。
図2に示すように設置されたプロジェクターPJ1は、上記したように、中心軸回りの回転が可能であるとともに、表示面950の左右方向(図2における紙面の表裏方向)への首振り(回転)も可能となっているものとする。例えば、プロジェクターPJ1は、天井から垂下する軸930を回転軸として、傘920とともに回転する。
なお、図2に示す照明器具900は一例であって、図2に示すような形態のものに限られるものではなく、一般的な電球の取り付けが可能であれば、特に限定されるものではない。また、図2においては、照明器具900は天井に吊り下げられた状態で取り付けられている場合が例示されているが、照明器具900の取り付け場所は天井に限られるものではなく、壁面であってもよく、また、テーブルの天板上などに設置する卓上型であってもよい。
図3は、実施形態1に係るプロジェクターおける各構成要素の電気的な接続関係を示す図である。実施形態1に係るプロジェクターPJ1は、図1において説明したように、画像投写部300と、画像表示制御部400と、傾き検出部500と、通信部600と、電源部700とを有している。
画像表示制御部400は、光源部310に設けられている光源(図示せず。)の点灯/消灯制御を行う機能と、コンテンツ画像を画像投写部300により表示させる機能と、プロジェクターPJ1の投写姿勢を調整するための画像(投写姿勢調整用画像という。)を画像投写部300により表示させる機能と、一般的なプロジェクターが有する基本的な補正機能(キーストーン補正機能など)を有している。
なお、画像表示制御部400は、通信部600を介して入力したリモートコントローラー(以下、リモコンという。)からの制御信号に基づいて、上記した各機能を実行可能とする。
ところで、投写姿勢調整用画像を画像投写部300により表示させる機能は、液晶パネル321における画像形成領域321aの外形に沿った基準線(第1基準線)を画像形成領域321a上に描画して、当該第1基準線を第1投写姿勢調整用画像として表示面950上に表示させる機能と、画像形成領域321aの中心(中心軸ax1)を通る基準線(第2基準線)を、傾き検出部500で検出されたプロジェクター筐体部200の傾き(中心軸回りの回転角度)に応じて傾けて画像形成領域321a上に描画して、当該第2基準線を第2投写姿勢調整用画像として表示面950上に表示させる機能である。
なお、第1基準線というのは、実施形態1に係るプロジェクターPJ1においては、「画像形成領域の外形の4つの辺に対応する線」であるとする。このような「画像形成領域の外形の4つの辺に対応する線」を第1投写姿勢調整用画像として表示面950上に表示することにより、当該第1投写姿勢調整用画像は、表示面950上においては四辺形をなす枠形状の画像となる。このため、以下では、第1投写姿勢調整用画像を「枠画像」ともいう。
また、第2基準線というのは、実施形態1に係るプロジェクターPJ1においては、画像形成領域321aの中心(中心軸ax1)を通る直線であり、当該直線は、水平に表示されるべき画像形成領域321aの上辺及び下辺に平行な線を、画像形成領域321a上で、プロジェクター筐体部200の中心軸回りの傾き(回転)の方向とは反対の方向に、その時点において取得した回転角度だけ傾けた直線である。
このように、傾き検出部500で検出されたプロジェクター筐体部200の傾きに応じて、画像形成領域321aに対する第2基準線の傾きを変化させるため、この第2基準線を第2投写姿勢調整用画像として表示面950上に表示させることにより、当該第2投写姿勢調整用画像は、表示面950上においては常に水平線として表示される。一方、第1基準線は、液晶パネル321の画像形成領域321aの外形に沿った線であるため、プロジェクターPJ1(液晶パネル321)が中心軸回りに傾いた場合には、表示面上では、その傾きに伴って傾いて表示される。なお、第2投写姿勢調整用画像は、投写姿勢調整を行う際の基準となる画像であるため、以下では、第2投写姿勢調整用画像を「基準画像」ともいう。
ユーザーは、表示面950上に表示されている第1投写姿勢調整用画像(枠画像)と第2投写姿勢調整用画像(基準画像)とに基づいてプロジェクターPJ1の投写姿勢調整操作を行う。この投写姿勢調整操作については後述する。
図4は、実施形態1に係るプロジェクターの全体的な制御を説明するフローチャートである。なお、図4は主には画像表示制御部400が行う処理の流れを説明するものである。まず、電力が供給されると(ステップS1)、リモコンからの制御信号を待っている状態(制御待ち状態という。)となり、リモコンから動作開始のための制御信号が与えられると、表示すべきコンテンツ画像を表示可能とするためのスレッド(コンテンツ画像表示スレッドという。)を起動するとともに投写姿勢調整を可能とするためのスレッド(投写姿勢調整スレッドという。)を起動する(ステップS2)。なお、リモコンは、プロジェクターPJ1の付属品として設けられているものであってもよく、また、例えば、スマートホンなどの携帯端末機器が制御機能を有している場合には、当該携帯端末機器をリモコンとして用いることもできる。
コンテンツ画像表示スレッド及び投写姿勢調整スレッドは、リモコンからの制御信号(コマンド)によってそれぞれに対応した処理を行う。すなわち、コンテンツ画像表示スレッドにおいては、コンテンツ画像を表示させるためのコンテンツ画像表示コマンドを監視し(ステップS3)、コンテンツ画像表示コマンドが与えられた場合(ステップS3において「YES」の場合)には、コンテンツ画像の表示を行う(ステップS4)。
一方、投写姿勢調整スレッドにおいては、投写姿勢を調整するための投写姿勢調整コマンドを監視し(ステップS5)、投写姿勢調整コマンドが与えられた場合(ステップS5において「YES」の場合)には、ステップS6以降の処理を行う。以下、ステップS6以降の処理について説明する。
投写姿勢調整スレッドにおいて投写姿勢調整コマンドが与えられると、液晶パネル321における画像形成領域321aの外形に沿った第1基準線を画像形成領域321a上に描画して(ステップS6)、当該第1基準線を画像投写部300により第1投写姿勢調整用画像(枠画像)として表示面上に表示させる(ステップS7)。なお、ステップS7の処理は、図4においては、「第1投写姿勢調整用画像(枠画像)を表示面上に表示」というように簡略化して表記している。
そして、リモコンから第2投写姿勢調整用画像(基準画像)を表示させるための基準画像表示コマンドが与えられたか否かを判定し(ステップS8)、基準画像表示コマンドが与えられた場合(ステップS8において「YES」の場合)には、傾き検出部500からプロジェクター筐体部200の中心軸回りの回転角度を取得し(ステップS9)、画像形成領域321aの中心を通る第2基準線を、取得した回転角度に応じて傾けて画像形成領域321a上に描画して(ステップS10)、当該第2基準線を画像投写部300により第2投写姿勢調整用画像(基準画像)として表示面上に表示させる(ステップS11)。なお、ステップS11の処理は、図4においては、「第2投写姿勢調整用画像(基準画像)を表示面上に表示」というように簡略化して表記している。
また、ステップS10の処理、すなわち、第2基準線を画像形成領域321a上に描画する処理というのは、例えば、プロジェクター筐体部200の中心軸周りの回転角度が、水平に対して反時計方向に15度回転しているとすると、水平に表示されるべき直線に対して時計方向に15度傾いた直線を画像形成領域321aの中心を通るように画像形成領域321a上に描画する処理である。つまり、画像形成領域321aの中心を通る直線を、傾き検出部500によって検出された回転角度だけ反対方向に傾けて描画する処理である。
また、ステップS9〜ステップS11における処理は、リモコンから基準画像消去コマンドがあるまで継続する。
すなわち、基準画像消去コマンドが与えられたか否かを判定し(ステップS12)、基準画像消去コマンドが与えられない場合(ステップS12において「NO」の場合)には、ステップS9〜ステップS11の処理を継続する。これにより、表示面上には、枠画像と基準画像とが表示され続ける。ユーザーは、表示されている枠画像と基準画像とに基づいてプロジェクターPJ1の投写姿勢調整操作を行うが、この投写姿勢調整操作の仕方については後述する。
一方、ステップS12において、基準画像消去コマンドが与えられた場合(ステップS12において「YES」の場合)には、ステップS8に処理が移行する。このステップS8において、基準画像表示コマンドではないと判定された場合には、その他の調整を行うための制御コマンドに基づく調整処理(例えば、キーストーン補正処理など)を行う(ステップS13)。そして、その他の調整処理の終了コマンドが与えられたか否かを判定し(ステップS14)、その他の調整処理終了コマンドが与えられた場合(ステップS14において「YES」の場合)には、ステップS5に移行し、その他の調整処理終了コマンドが与えられていない場合(ステップS14において「NO」の場合)には、ステップS8に移行する。
図5及び図6は、実施形態1に係るプロジェクターにおける投写姿勢調整について説明するために示す図である。なお、図5は、投写姿勢調整の各ステップを説明するための図であり、図5におけるステップS31〜S33は、図4におけるステップS9〜S11に対応する処理である。また、図5におけるステップS34及びステップS35は、ユーザーが行う投写姿勢調整操作(第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作)であり、図5におけるステップS36は、図4におけるステップS13に対応する処理である。
また、図6(a)〜(f)は、図5におけるステップS31〜S36を具体的に示す図であり、図6(a)及び図6(b)は液晶パネル321を示し、図6(c)〜(f)は、表示面(例えば、図2における表示面950)上における第1投写姿勢調整用画像(枠画像)及び第2投写姿勢調整用画像(基準画像)の表示状態を示している。
図5及び図6を参照して、実施形態1に係るプロジェクターPJ1における投写姿勢調整について説明する。なお、図5においては、図4におけるステップS9以降の処理を説明するものであるため、表示面上には第1投写姿勢調整用画像(枠画像)が既に表示されているものとして説明する。
この状態で、画像表示制御部400は、傾き検出部500が出力している回転角度を取得する(図5のステップS31)。このときのプロジェクター筐体部200は、水平線に対して中心軸回りに反時計方向に15度回転しているとする。プロジェクター筐体部200が中心軸回りに反時計方向に15度回転しているということは、図6(a)に示すように、液晶パネル321が画像形成領域321aの中心(中心軸ax1)を回転軸として中心軸回りに反時計方向に15度回転しているということである。
なお、図6(a)は、液晶パネル321をプロジェクターPJ1の先端部200b(図1参照。)側から見た図である。また、図6(a)において、液晶パネル321において描かれている破線枠は当該液晶パネル321における画像形成領域321aの外形を示している。
プロジェクターPJ1の画像表示制御部400においては、その時点で取得した回転角度に応じた第2基準線SL1(図6(b)参照。)を液晶パネル321の画像形成領域321a上に描画する(図5のステップS32)。なお、この時点においては、画像形成領域321a上には、既に、画像形成領域321aの外形に沿った第1基準線FL1(図6(b)参照。)が描画されている。
図6(b)は図5のステップS32を具体的に示す図であり、図6(b)に示すように、画像形成領域321a上においては、既に、画像形成領域321aの外形に沿った第1基準線FL1が描画されており、この状態で、画像形成領域321a上に、第2基準線SL1を描画する。なお、第1基準線FL1は、液晶パネル321の画像形成領域321aの外形(図6(a)参照。)に沿った線であればよく、画像形成領域321aの外形に必ずしも一致していなくてもよいが、実施形態1に係るプロジェクターPJ1においては、液晶パネル321における画像形成領域321aの外形の4つの辺に一致する線であるとする。
一方、第2基準線SL1は、図6(b)に示すように、画像形成領域321aの中心(中心軸ax1)を通る直線である。また、この時点において取得した回転角度は、「水平線Hに対してプロジェクターPJ1の中心軸回りに反時計方向に15度」であるため、当該第2基準線SL1は画像形成領域321a上においては、画像形成領域321aに対してプロジェクターPJ1の中心軸回りに時計方向に15度傾くように描画される。
そして、第2基準線SL1を画像投写部300により第2投写姿勢調整用画像(基準画像)SG1として表示面上に表示させる(図5におけるステップS33)。
図6(c)は図5におけるステップS33を具体的に示す図であり、この段階では、図6(c)に示すように、表示面上には、液晶パネル321における画像形成領域321aの外形に沿った第1基準線FL1に対応する第1投写姿勢調整用画像(枠画像)FG1と、第2基準線SL1に対応する第2投写姿勢調整用画像(基準画像)SG1とが表示されることとなる。以下では、第1投写姿勢調整用画像(枠画像)FG1を「枠画像FG1」と略記し、第2投写姿勢調整用画像(基準画像)SG1を「基準画像SG1」と略記する場合もある。
なお、この場合、プロジェクターPJ1は、表示面に対して左斜め上方から斜め右下方向に投写するように設置されているものとする。このため、表示面上においては、枠画像FG1が歪んだ四辺形として表示される(図6(c)参照。)。一方、基準画像SG1は、プロジェクター筐体部200の中心軸回りの回転角度を考慮して画像形成領域321a上に描画されているため、表示面上においては水平線Hに沿った線として表示される(図6(c)参照。)。なお、図6(c)において示されている「P0」は、画像形成領域321aの中心(中心軸ax1)に対応する位置である。
この状態から、ユーザーは第1投写姿勢調整操作を行う(図5におけるステップS34)。第1投写姿勢調整操作は、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させる操作である。この第1投写姿勢調整操作を行う際は、ユーザーは、表示面上に表示されている枠画像FG1と基準画像SG1とを見ながら行う。なお、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させても、基準画像SG1は表示面上においては常に水平線として表示される。
すなわち、画像表示制御部400においては、常時、傾き検出部500から出力されているプロジェクター筐体部200の回転角度を取得し、取得した回転角度に基づいて、当該回転角度に応じた第2基準線SL1を画像形成領域321a上に描画する制御を行っている。このため、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させると、表示面上においては、基準画像SG1はプロジェクター筐体部200の回転に拘らず常に水平線として表示される。一方、枠画像FG1はプロジェクター筐体部200の傾きに伴って傾いて表示される。
第1投写姿勢調整操作は、歪んだ四辺形の枠画像FG1(図6(c)参照。)の4つの辺(上辺E1、下辺E2、左辺E3、右辺E4)のうち、上辺E1及び下辺E2のそれぞれ対応する端部付近が基準画像SG1から均等の距離となるようにプロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させて行く。
図6(d)は図5のステップS34を具体的に示す図であり、図6(d)に示すように、基準画像SG1における左端付近の所定位置P1と当該所定位置P1を通り基準画像SG1に直交する線分上における上辺E1の左端付近の所定位置P2との距離d1と、基準画像SG1における所定位置P1と当該所定位置P1を通り基準画像SG1に直交する線分上における下辺E2の左端付近の所定位置P3との距離d2とが等しくなり、かつ、基準画像SG1における右端付近の所定位置P4と当該所定位置P4を通り基準画像SG1に直交する線分上における上辺E1の右端付近の所定位置P5との距離d3と、基準画像SG1における所定位置P4と当該所定位置P4を通り基準画像SG1に直交する線分上における下辺E2の右端付近の所定位置P6との距離d4とが等しくなるように、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させて行く。
そして、距離d1と距離d2が等しくなるとともに、距離d3と距離d4が等しくなったら、第1投写姿勢調整操作を終了し、続けて第2投写姿勢調整操作を行う(図5におけるステップS35)。第2投写姿勢調整操作は、上辺E1及び下辺E2がともに基準画像SG1に平行となるようにプロジェクターPJ1を表示面上に対して左右方向に首振りさせる操作である。
図6(e)は図5のステップS35を具体的に示す図であり、図6(e)に示すように、枠画像FG1の上辺E1及び下辺E2がともに基準画像SG1に平行になるようにプロジェクターPJ1を左方向又は右方向に首振り操作する。
このような操作を行うことによって、枠画像FG1の上辺E1及び下辺E2がともに基準画像SG1と平行になるようにすることができる。このとき、プロジェクターPJ1は斜め下方向に投写するような姿勢となるため、図6(e)に示すように、上辺E1が下辺E2よりも短い台形(この場合、等脚台形)となる。
枠画像FG1が図6(e)に示すような台形となったら、プロジェクターPJ1が有する補正機能(この場合はキーストーン補正機能)を用いて台形補正を行う(図5におけるステップS36)。これによって、枠画像FG1は表示面上において矩形となる(図6(f)参照。)。なお、図6(f)は基準画像SG1が消去されている状態が示されている。基準画像SG1の消去は、基準画像消去コマンドを与えることによって実行される(図4のフローチャートにおけるステップS12参照。)。
ところで、第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作は、実施形態1に係るプロジェクターPJ1においては、ユーザーが枠画像FG1と基準画像SG1とを見ながらプロジェクターPJ1を手動で操作することによって行うものである。このため、第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作は、厳密な投写姿勢調整操作ではなく、表示面上に表示される枠画像が見た目に違和感のない形状とする程度の投写姿勢調整であるとする。
具体的には、第1投写姿勢調整操作においては、表示面上に表示されている枠画像及び基準画像をユーザーが目視しながら、d1とd2及びd3とd4とがそれぞれ見た目に等しくなるようにプロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させ、d1とd2及びd3とd4とがそれぞれ見た目に等しくなったら、第2投写姿勢調整操作を行う。すなわち、第2投写姿勢調整操作においては、上辺E1及び下辺E2がともに基準画像SG1に対して、見た目に平行となるようにプロジェクターPJ1を左右方向に首振り操作する。
以上説明したように、実施形態1に係るプロジェクターによれば、プロジェクターPJ1の投写姿勢調整を行う際には、表示面上に図6(c)に示すような枠画像FG1と基準画像SG1とを表示させ、ユーザーは、表示面上に表示されている枠画像FG1と基準画像SG1とによって、第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作を行うことができる。そして、第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作が終了したら、プロジェクターPJ1がもともと有する補正機能(キーストーン補正など)を用いることにより、図6(f)に示すように、水平線Hに対する傾きがなく、かつ、矩形の画像とすることができる。
これにより、プロジェクターPJ1が図1に示すような電球型のプロジェクターであっても、容易に、プロジェクターの投写姿勢調整操作を行うことができ、当該電球型のプロジェクターによって表示するコンテンツ画像を視聴者に違和感を与えることなく視聴者にとって見やすく表示面上に表示させることができる。
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係るプロジェクターの投写姿勢調整について説明するために示す図である。実施形態2に係るプロジェクターの投写姿勢調整は、実施形態1において用いたプロジェクターPJ1が投写する画像に加えてプロジェクターPJ2,PJ3が投写する画像を表示面(例えば、図2の表示面950)上で並べて表示する場合におけるプロジェクターの投写姿勢調整である。
なお、プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3は、個々のプロジェクターごとに、実施形態1において説明した投写姿勢調整(図5及び図6参照。)を行うことによって、各プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3の投写姿勢調整ができるものとする。また、図7において図6(c)と同一部分には同一符号が付されている。
また、図7に示すように、左側からプロジェクターPJ1、プロジェクターPJ2、プロジェクターPJ3の順で配置されているものとする。このため、図示は省略するが、表示面上においては、プロジェクターPJ1が投写する画像、プロジェクターPJ2が投写する画像、プロジェクターPJ3が表示する画像が横方向に並んだ状態で表示される。このように配置されている3台のプロジェクターPJ1,PJ2,PJ3は、1台のリモコンRCによって遠隔操作可能とする。
また、プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3は、それぞれが同様の構成及び動作(図1、図3及び図4参照。)が可能である。ただし、実施形態2においては、1台のリモコンRCによって3台のプロジェクターPJ1,PJ2,PJ3を遠隔操作するために、個々のプロジェクターには、個々のプロジェクター固有の識別情報としてのID(Identification)が与えられており、画像表示制御部400内の記憶部に記憶されている。そして、リモコンRCからIDを入力することによって、リモコンRCと当該IDが与えられているプロジェクターとを接続するようにしている。このような制御は各プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3が有する画像表示制御部400によって行う。
また、各プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3が有する画像表示制御部400は、リモコンRCから当該プロジェクターに与えられているIDが入力されることにより、リモコンRCとの間で接続が可能となったことを示すための情報として、第1投写姿勢調整用画像である枠画像FG1を画像投写部300により表示面上に表示させる機能を有している。
例えば、リモコンRCによりプロジェクターPJ1に与えられているIDを入力すると、プロジェクターPJ1とリモコンRCとが接続され、当該プロジェクターPJ1の画像表示制御部400は、リモコンRCとの間で接続が可能となったことを示すための情報として、液晶パネル321の画像形成領域321a上に第1基準線FL1を描画して、画像投写部300により枠画像FG1を表示面上に表示させる。このとき、プロジェクターPJ1が投写している枠画像FG1を表示面上で点滅させることが好ましい。なお、プロジェクターPJ1の投写姿勢調整は、図5及び図6に示すような手順に行うことができるため、その説明は省略する。
このようにすることにより、ユーザーは、現時点において投写姿勢調整操作を行おうとしているプロジェクターと当該プロジェクターが投写する画像との対応付けを容易に行うことができる。特に、枠画像FG1を表示面上で点滅させるようことにより、現時点において投写姿勢調整操作を行おうとしているプロジェクターと当該プロジェクターが投写する画像とを直感的に対応付けすることができる。
プロジェクターPJ1の投写姿勢調整が終了したら、続いて、リモコンRCによりプロジェクターPJ2に与えられているIDを入力すると、当該プロジェクターPJ2の画像表示制御部400は、リモコンRCとの間で接続が可能となったことを示すための情報として、枠画像FG1を画像投写部300により表示面上に表示させる。この場合も、プロジェクターPJ2が投写している枠画像FG1を表示面上で点滅させることが好ましい。
プロジェクターPJ2の投写姿勢調整が終了したら、続いて、リモコンRCによりプロジェクターPJ3に与えられているIDを入力する。この場合もプロジェクターPJ3は、プロジェクターPJ1,PJ2と同様の動作を行う。
このように、実施形態2に係るプロジェクターによれば、各プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3が有する画像表示制御部400は、リモコンRCから当該プロジェクターに与えられているIDが入力されることにより、リモコンRCとの間で接続が可能となったことを示すための情報として、枠画像FG1を画像投写部300により表示面上に表示させる機能を有している。
各プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3は、各プロジェクターPJ1,PJ2,PJ3の画像表示制御部400がこのような機能を有しているため、1台のリモコンRCで複数のプロジェクターを遠隔操作するような場合、現時点において投写姿勢調整操作を行おうとしているプロジェクターが複数のプロジェクターのうちのどのプロジェクターであるかを容易に特定できる。このため、複数台のプロジェクターが表示する画像を表示面上で並べて表示する場合であっても、1台のリモコンRCで個々のプロジェクターの投写姿勢調整を容易かつ確実に行うことができる。
なお、図7においては、投写姿勢調整の順序は、プロジェクターPJ1からプロジェクターPJ2,PJ3というように左側のプロジェクターから順に行う場合を例示したが、投写姿勢調整操作を行う順序は、これに限られるものではなく、右側のプロジェクターPJ3からプロジェクターPJ2,PJ1という順序であってもよく、また、真ん中に位置するプロジェクターPJ2から始めて、プロジェクターPJ1,PJ3という順序又はプロジェクターPJ3,PJ1というような順序で行うようにしてもよい。
また、図7に示すように、複数のプロジェクター(図7の場合においては3台のプロジェクター)が存在する場合には、各プロジェクターが表示する枠画像FG1及び基準画像SG1は、各プロジェクターごとに異なった色とすることもできる。このようにすることにより、投写姿勢調整操作を行おうとしているプロジェクターと、表示面上に表示されている枠画像FG1及び基準画像SG1とを、容易かつ確実に対応付けすることができる。
また、図7においては、1つのリモコンRCで3台のプロジェクターを遠隔制御する場合を例示したが、プロジェクターは3台に限られるものではなく、2台であってもよく、また、4台以上であってもよい。
[実施形態3]
実施形態3では、光変調素子321の画像形成領域321a上に第3基準線および第4基準線を平行に形成することで、投写姿勢調整を行うプロジェクターについて説明する。
図8は、実施形態3に係るプロジェクターPJ4の投写姿勢調整について説明するために示す図である。
なお、プロジェクターPJ4の構成は、実施形態1および実施形態2のプロジェクターPJ1,PJ2,PJ3と同様とする。よって、同一部分には同一符号を付すものとする。
また、図8(a)及び図8(b)は液晶パネル321を示し、図8(c)〜(e)は、表示面(例えば、図2における表示面950)上における第3投写姿勢調整用画像の表示状態を示している。ここでは、プロジェクターPJ4と表示面950は、垂直である場合について説明する。つまり、プロジェクターPJ4の中心軸ax1と表示面950とが垂直であるものとする。
図8(a)において、画像表示制御部400は、傾き検出部500が出力している回転角度を取得する。このときのプロジェクター筐体部200は、水平線に対して中心軸回りに反時計方向に15度回転しているとする。プロジェクター筐体部200が中心軸回りに反時計方向に15度回転しているということは、液晶パネル321が画像形成領域321aの中心(中心軸ax1)を回転軸として中心軸回りに反時計方向に15度回転しているということである。
なお、図8(a)は、液晶パネル321をプロジェクターPJ4の先端部200b(図1参照。)側から見た図である。また、図8(a)において、液晶パネル321において描かれている破線枠は当該液晶パネル321における画像形成領域321aの外形を示している。
投写姿勢調整コマンド等の指示を受け付けると、プロジェクターPJ4は、実施形態3に係る投写姿勢調整モードとなる。本実施形態の投写姿勢調整モードでは、プロジェクターPJ4の画像表示制御部400は、常時、傾き検出部500から回転角度を取得し、取得した回転角度に応じた第3基準線SL2および第4基準線SL3(図8(b)参照。)を、液晶パネル321の画像形成領域321a上に形成する。ここで、第3基準線SL2および第4基準線SL3について説明する。第3基準線SL2および第4基準線SL3は、画像形成領域321a上において、水平線Hに対して平行となるように形成される。また、第3基準線SL2は、画像形成領域321aの第1の角部C1を通る直線であり、第4基準線SL3は、画像形成領域321aの第1の角部C1と対角の関係にある第2の角部C2を通る直線である。
そして、画像表示制御部400は、画像形成領域321aにおいて、第3基準線SL2および第4基準線SL3に囲まれた内側領域AR0と、外側の領域である外側領域AR1,AR2とで表示状態を異ならせる。例えば、内側領域AR0を赤色の画像表示とし、外側領域AR1,AR2を青色としてもよい。また、内側領域AR0は、コンテンツ画像を表示してもよいし、その他の記号や図形等の表示を行ってもよい。なお、このとき、第3基準線SL2および第4基準線SL3は、画像形成領域321aの内側領域AR0と外側領域AR1,AR2との境界を表していればよく、必ずしも実線や破線として表示する必要はない。
図8(c)は、画像投写部300によって、表示面950上に表示された第3投写姿勢調整用画像HG1を示している。表示面950上には、液晶パネル321における画像形成領域321aの外形に対応する線と、第3基準線SL2に対応する線SG2とに囲まれた外側表示領域AG1(即ち、外側領域AR1に対応する領域)と、画像形成領域321aの外形に対応する線と、第4基準線SL3に対応する線SG3とに囲まれた外側表示領域AG2(即ち、外側領域AR2に対応する領域)が表示(投写)される。さらに、画像形成領域321aの外形に対応する線と、第3基準線SL2に対応する線SG2と、第4基準線SL3に対応する線SG3とに囲まれた内側表示領域AG0(即ち、内側領域AR0に対応する領域)が表示される。なお、本実施形態では、プロジェクターPJ4の中心軸ax1は、表示面950に対して垂直である場合を示しているので、線SG2および線SG3は、水平線Hに対して平行となっているが、プロジェクターPJ4の中心軸ax1が、表示面950に対して垂直でない場合は、平行になるとは限らない。
図8(c)の状態から、ユーザーは投写姿勢調整操作を行う。本実施形態においては、投写姿勢調整操作は、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させる操作を示す。この投写姿勢調整操作を行う際は、ユーザーは、表示面950上に表示されている第3投写姿勢調整用画像HG1の外側表示領域AG1、および、外側表示領域AG2を目視しながら行う。
即ち、画像表示制御部400は、常時、傾き検出部500から出力されているプロジェクター筐体部200の回転角度を取得し、取得した回転角度に基づいて、当該回転角度に応じた第3基準線SL2および第4基準線SL3を、画像形成領域321a上に描画する制御を行っている。このため、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させると、表示面950上において、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2は、縮小または拡大される。そこで、ユーザーは、プロジェクター筐体部200を、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が縮小される方向に回転させていく。
図8(d)は、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が縮小された状態を表している。ユーザーは、さらに、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が縮小される方向に回転させていき、図8(e)に示すように、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が無い状態となったら、投写姿勢調整操作を終了する。そして、投写姿勢調整終了コマンド等の指示を受け付けると、プロジェクターPJ4は、投写姿勢調整モードを終了して、コンテンツ画像の表示等を行う。
本実施形態では、プロジェクターPJ4の中心軸ax1は、表示面950に対して垂直である場合について説明しているが、表示面950に対して垂直でない場合には、上述した投写姿勢調整操作が終了後に、プロジェクターPJ4を左方向又は右方向に首振り操作(実施形態1参照)したり、キーストーン補正機能を用いて台形補正(実施形態1参照)を行ったりすることで、表示(投写)される画像を、水平線Hに対する傾きがなく、かつ、矩形の画像とすることが可能である。
以上説明したように、実施形態3に係るプロジェクターPJ4によれば、画像表示制御部400は、プロジェクター筐体部200の傾きに拘わらずに、水平線Hに対して平行な第3基準線SL2および第4基準線SL3を、画像形成領域321a上に形成する。そして、ユーザーは、2本の基準線に基づいて投写姿勢の調整ができるので、プロジェクターPJ4の投写姿勢を調整する際の利便性が向上する。
具体的には、本実施形態の投写姿勢調整モードでは、第3投写姿勢調整用画像HG1には、線SG2および線SG3の外側に外側表示領域AG1、外側表示領域AG2が表示され、内側に内側表示領域AG0が表示される。この外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が縮小(減少)されるように、ユーザーは、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させる。これにより、プロジェクターPJ4を、水平線Hに対する傾きがない状態に、容易(効率的)に調整することができる。
本実施形態では、2本の基準線として、画像形成領域321aの第1の角部C1を通る基準線SL2と、第1の角部C1と対角の関係にある第2の角部C2を通る基準線SL3とが形成される。これにより、プロジェクターの投写姿勢を最適な位置に調整したときに、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が無くなる状態になるため、投写姿勢の調整を容易に行うことができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)上記実施形態1および実施形態2においては、基準画像は表示面(例えば図2における表示面950)上において水平線としたが、表示面上において垂直方向(鉛直方向)に延びた線(垂直線)であってもよい。この場合、第1投写姿勢調整操作においては、枠画像FG1における左辺E3及び右辺E4が垂直線に平行となるような操作を行う。
(2)上記実施形態1および実施形態2においては、枠画像FG1は4つの辺で構成される四辺形として表示されるようにしたが、基準画像が水平線である場合には四辺形のうちの上辺E1及び下辺E2の2つの辺のみを表示するようにしてもよく、また、基準画像が垂直線である場合には四辺形のうちの左辺E3及び右辺E4のみを表示するようにしてもよい。また、表示する枠画像FG1及び基準画像SG1は、実線として表示されるものに限られるものではなく、破線や一点鎖線などとして表示されるようにしてもよい。
(3)上記実施形態1および実施形態2においては、ユーザーが第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作を行う際に、調整度合いをユーザーの目視によって見た目で判断していたが、プロジェクター(例えば、プロジェクターPJ1とする。)側で調整度合いを判断して、何らかの方法で調整度合いを表示するようにしてもよい。例えば、プロジェクターPJ1にカメラを備えて、当該カメラで表示面上に表示されている画像を撮像することによって得られた撮像画像データを画像表示制御部400に与え、画像表示制御部400においては、撮像画像データに基づいて調整度合いを判断して、調整状態を表示面上に表示するようにしてもよい。
具体的には、例えば、第1投写姿勢調整操作が適切に行われた場合(図6(d)の状態となった場合)には、枠画像FG1を点滅させたり、枠画像FG1の色を変えたりする。同様に、第2投写姿勢調整操作が適切に行われた場合(図6(e)の状態となった場合)にも、枠画像FG1を点滅させたり、枠画像の色を変えたりする。なお、このように、第1投写姿勢調整操作が適切に行われたか否か及び、第2投写姿勢調整操作が適切に行われたか否かの判断は、画像表示制御部400が撮像画像データに基づいて行うことができる。
このようにすることにより、ユーザーは投写姿勢調整操作を行う際、第1投写姿勢調整操作及び第2投写姿勢調整操作が適切に行われたか否かを容易に判断することができ、投写姿勢調整操作を効率よく行うことができる。
(4)上記各実施形態に係るプロジェクターにおいては、液晶パネル321が1枚の単板式プロジェクターである場合を例示したが、RGBそれぞれに対応した光変調素子を有する3板式のプロジェクターであってもよい。
(5)上記各実施形態に係るプロジェクターにおいては、赤色光、緑色光及び青色光を時分割で射出する光源部310と、各色光を順次変調する画像形成部320とを備えた構成について説明したが、赤色光、緑色光及び青色光を含む光(例えば、白色光)を射出する光源部310と、カラーフィルターによって色光を分離する機能を備えた画像形成部320とを備えた構成であってもよい。
(6)上記各実施形態に係るプロジェクターにおいて、投写レンズ330にどのようなレンズを用いるかは特に限定されるものではないが、例えば、電極(図示せず)を有していて、当該電極に印加する電圧の大きさに応じて伸縮(厚みが変化)し、それにより、焦点距離の調整(フォーカス調整という。)が可能なレンズであってもよい。このようなレンズは公知であり、例えば、20ボルトの電圧を電極に印加すると、レンズの厚みが750マイクロメートルから375マイクロメートルにまで変化するものなどが存在する。
(7)上記各実施形態に係るプロジェクターにおいては、投写レンズ330の光軸がプロジェクターPJ1の中心軸ax1と一致する態様を示したが、必ずしも一致している必要はなく、投写レンズ330の光軸がプロジェクターPJ1の中心軸ax1に沿っていればよい(例えば、平行であればよい)。また、実施形態1に係るプロジェクターにおいては、前記光変調素子は、前記投写光学系の光軸が前記画像形成領域の中心を通るように配置されているが、必ずしもその必要はない。
(8)実施形態1に係るプロジェクターにおいては、画像形成領域321aの中心を通る1本の直線を第2基準線SL1としているが、第2基準線SL1はこの態様に限定されない。例えば、画像形成領域321aの中心で交差する2本の直線を第2基準線SL1としてもよい。また、例えば、互いに平行な2本の直線を第2基準線SL1とし、画像形成領域321aの中心を挟むようにこれを描画するようにしてもよい。
(9)実施形態1に係るプロジェクターにおいては、画像表示制御部400が画像形成領域321aの外形に沿った第1基準線を画像形成領域321a上に描画するようにしているが、この動作は、画像表示制御部400が画像形成領域321aの内側(少なくとも外形近傍)を所定の色で塗り潰す処理を行うことによって、画像形成領域321aの内側と外側の境界線を明確にする動作に置き換えることが可能である。この場合には、画像形成領域321aの内側と外側の境界線が第1基準線として機能する。
(10)実施形態3に係るプロジェクターにおいては、第3基準線SL2は、画像形成領域321aの第1の角部C1を通る直線であり、第4基準線SL3は、画像形成領域321aの第1の角部C1と対角の関係にある第2の角部C2を通る直線であるものとした。しかし、第3基準線は、画像形成領域321a内の第1の角部C1を通る直線に限定するものではない。第3基準線は、画像形成領域321a内の所定の第1の地点を通るものとし、第4基準線は、画像形成領域321aの中心に関して第1の地点と点対称の第2の地点を通るものとしてもよい。この場合は、ユーザーは、外側表示領域AG1および外側表示領域AG2が最小となる状態となるように、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させることで、投写姿勢の調整を行うことができる。
(11)上記実施形態3においては、第3基準線SL2および第4基準線SL3は、画像形成領域321a上において水平線Hに平行となるように形成されるものとしたが、第3基準線および第4基準線は、画像形成領域321a上において水平線Hに垂直な方向に延びた線(垂直線)であってもよい。この場合、外側領域は、画像形成領域321aの左右方向の外側に形成される。そして、ユーザーは、表示された外側表示領域が縮小するように、プロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転させることで、投写姿勢の調整を行うことができる。
(12)上記各実施形態においては、プロジェクターの接続部100を電球取り付け用ソケットに最後までねじ込んだ状態において、接続部100を回すことなくプロジェクター筐体部200を中心軸回りに回転可能とする構造は、プロジェクター側に設けるようにしたが、これに限られるものではなく、電球取り付け用ソケット側に設けるようにしてもよい。
(13)上記実施形態においては、電球取り付け具に接続可能なプロジェクターPJ1,PJ2,PJ3,PJ4について説明したが、例えば、机上に設置して利用する一般的なプロジェクター等に適用することも可能である。
(14)上記各実施形態に係るプロジェクターにおいては、光変調素子としては透過型の液晶光変調素子(液晶パネル)を用いた場合を例示したが、これに限られるものではなく、反射型の液晶光変調素子やデジタルマイクロミラーデバイスを用いたものであってもよい。