(第1実施形態)
以下、液体消費装置の一例である記録装置の第1実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、複合機11は、記録装置12と、記録装置12の装置本体13上に搭載されたスキャナーユニット14とを備えている。
記録装置12は、用紙Pに対して記録を行うことが可能である一方、スキャナーユニット14は原稿に記録された画像等を読みとることが可能である。なお、本明細書では、反重力方向を上方向というとともに、重力方向を下方向という。また、これら上方向及び下方向に沿う方向を鉛直方向の一例としての上下方向Zとして図示する。
スキャナーユニット14は、記録装置12の装置本体13に対して一部が回動自在に連結されたスキャナー本体部15と、スキャナー本体部15の上方に配置された搬送ユニット16とを備えている。スキャナー本体部15は、その一端側に設けられたヒンジなどの回転機構17を介して、記録装置12に対して装置本体13の上方を覆う閉位置と装置本体13の上方を開放する開位置との間での変位可能に取り付けられている。また、搬送ユニット16は、その一端側に設けられたヒンジなどの回転機構18を介して、スキャナー本体部15に対してスキャナー本体部15の上方を覆う位置と開放する位置との間での変位可能に取り付けられている。
なお、以下の説明においては、複合機11において、回転機構17,18が設けられた側を後側または背面側というとともに、その反対側を前側という。また、前方向及び後方向に沿う方向を前後方向Yとして図示する。そして、スキャナーユニット14、スキャナー本体部15及び搬送ユニット16は、その前端側が上方に向けて回動可能となっている。
さらに、前側から後方向を見た場合(正面視)の右方向及び左方向に沿う方向を左右方向Xとして図示する。なお、左右方向X、前後方向Y、上下方向Zは、互いに交差(本実施形態では直交)する。したがって、本実施形態における左右方向X及び前後方向Yは、水平方向に沿う方向である。
複合機11の前面側には操作パネル19が配置されている。操作パネル19はメニュー画面等を表示するための表示部(例えば液晶ディスプレイ)20と、表示部20の周囲に設けられた種々の操作ボタン21とを備えている。
記録装置12において操作パネル19の下方にあたる位置は、装置本体13内から用紙Pを排出するための排出口22が開口している。また、記録装置12における排出口22の下方には、引き出し可能な排紙台23が収容されている。
記録装置12の背面側には、複数の用紙Pを積載可能な略矩形板状をなす引き出し式の媒体支持体24が取り付けられている。また、スキャナー本体部15の後部には、基端側(本実施形態では前端側)を中心に回動可能な導入口カバー25が取り付けられている。
また、装置本体13の外部であって右側面となる取付面13aには、インク(液体の一例)を収容する液体収容体ユニットの一例としてのタンクユニット27が固着されている。また、装置本体13とタンクユニット27の間となる位置であって、且つ取付面13aの後寄りの位置には、スケール28aを収容するスケール収容部28が設けられている。スケール収容部28は、スケール28aの厚さに対応した左右方向Xの深さ及びスケール28aの幅に対応した前後方向Yの幅で上下方向Zに長い矩形の溝形状をなすように、取付面13aに凹み形成されている。
一方、装置本体13の内部には、主走査方向となる左右方向Xに往復移動可能な状態で保持されたキャリッジ29と、キャリッジ29装着された中継アダプター30とが設けられている。中継アダプター30には、一端側がタンクユニット27に接続された可撓性を有するチューブ31の他端側が接続されている。尚、チューブ31は軟質材から成るもの、または硬質材から成るもの、いずれも含むものであるが、本実施形態では軟質材から成る可撓性を有するチューブを用いている。また、キャリッジ29の下面側には、タンクユニット27から供給されたインクを噴射可能な液体消費部の一例としての液体噴射ヘッド32が支持されている。
したがって、タンクユニット27に収容されたインクは、水頭差を利用することによりチューブ31を介して液体噴射ヘッド32へ供給される。そして、液体噴射ヘッド32に供給されたインクは、搬送機構(図示略)によって搬送される用紙Pに対して噴射されることで記録(液体の消費の一例)が行われる。
図2に示すように、取付面13aにおけるタンクユニット27を取り付ける取付位置には、第1リブ34と第2リブ35とが取付面13aから突出するように形成されている。第1リブ34はタンクユニット27の外形に沿うように形成されている。また、第2リブ35はスケール収容部28の縁に沿うように形成されている。
なお、第1リブ34は、取付面13aの上端側に位置して前後方向Yに沿って延びる上リブ部34aと、上リブ部34aよりも前側に位置して上下方向Zに沿って延びる前リブ部34bと、上リブ部34aの前端と前リブ部34bの上端とを接続する湾曲リブ部34cとを有している。さらに、第1リブ34は、上リブ部34aよりも後側に位置して上下方向Zに沿って延びる後リブ部34dと、取付面13aの下端側に位置して前後方向Yに沿って延びる下リブ部34eとを有している。
上リブ部34aは、その前側部分が後側部分に比べて下方に位置するように複数箇所が屈曲した形状に形成されていると共に、その後端は、第2リブ35の上下方向Zに沿って延びる前側部分の上端と接続している。一方、第2リブ35の上下方向Zに沿って延びる後側部分の端部は、スケール収容部28から離れて後方に延びるように且つ後リブ部34dの上端との間に上下方向Zの間隔を有するように形成されている。さらに、第1リブ34は、後リブ部34dの下端と下リブ部34eの後端とが接続しているのに対し、前リブ部34bの下端と下リブ部34eの前端との間には前後方向Yの間隔を有している。さらに、下リブ部34eにおける前側位置及び後側位置には、それぞれ下リブ部34eの中間位置に比べて取付面13aから大きく突出する補強リブ部34fが形成されている。
また、第1リブ34には、固定部材の一例としてのねじ(図12参照)36が螺合可能な少なくとも1つ(本実施形態では5つ)のねじボス部37が、上リブ部34a及び下リブ部34eよりも取付面13aから突出して形成されている。すなわち、ねじボス部37は、上リブ部34aの前側位置、後側位置、及び前側位置と後側位置の間の中間位置に形成されている。さらに、ねじボス部37は、下リブ部34eにおける補強リブ部34fに形成されている。また、前リブ部34bの後側の位置には、取付面13aから突出するボス部38が前リブ部34bの下端との間に前後方向Yの間隔を有するように形成されている。
図2に示すように、取付面13aには、上リブ部34aに対して下側から隣接すると共に、該上リブ部34aよりも左右方向Xに大きな厚みを有する吸収材39が貼着されている。さらに、取付面13aにおける上リブ部34aの前端部よりも上側の位置には、装置本体13の内外を連通させる略矩形状の連通孔40が形成されている。なお、連通孔40には、チューブ31が挿通される。
以下、図3に示すタンクユニット27について説明する。
なお、タンクユニット27における左右方向X、前後方向Y、上下方向Zは、タンクユニット27が装置本体13に取り付けられた状態での各方向を基準とする。すなわち、タンクユニット27は、左右方向X及び上下方向Zに比べて前後方向Yに大きな略直方体状をなしている。
さて、図3に示すように、タンクユニット27は、保護ケースの一例としてのタンクケース42と、該タンクケース42内に収容される液体収容体の一例としてのインクタンク43とを備えている。タンクケース42における前後方向Y及び上下方向Zに沿う外面(この場合、右側面)を形成する壁部には、タンクケース42の内外を連通する略矩形状の窓部42aが形成されている。したがって、インクタンク43は、タンクケース42内に収容された状態において、その一部が窓部42aを介してタンクケース42の外部から視認可能である。なお、タンクケース42における窓部42aの周囲は面取りがされている。さらに、タンクユニット27は、タンクケース42に対して前後方向Yにスライド移動するカバー44と、タンクケース42内に収容されるチョークバルブ45とを備えている。
タンクケース42の前面には凹部46が形成され、その凹部46内にはチョークバルブ45を操作するためのバルブレバー47が設けられている。なお、チョークバルブ45は、ユーザーによってバルブレバー47が操作されるのに伴ってチューブ31を押し潰し、インクタンク43から液体噴射ヘッド32へのインクの供給を遮断する。
次に、インクタンク43について説明する。
図4,図5に示すように、インクタンク43は、5面一体成形物であって、タンク開口部43bにフィルム49が貼着されることにより、インクを収容する液体収容室の一例としてのインク室50が形成されている。なお、インク室50は、上下方向Zの高さ及び左右方向Xの奥行きに比べて前後方向Yの幅が大きい略直方体状をなしている。
また、インクタンク43は、透明もしくは半透明の樹脂製であって、インクタンク43の外側からインク室50内に収容されたインク及びインクの液面51が視認可能である。そのため、インクタンク43がタンクケース42に装着されると、タンクケース42の窓部42aを介して外部からインク室50に収容されたインクが視認可能となる。
すなわち、図3,図5に示すように、インクタンク43の右側面において窓部42aと対応する領域は、右方向(一方向)を向いて形成されると共に、右方向からインク室50に収容されたインクの液面51を視認可能な視認面43aとして機能している。なお、視認面43aは、上下方向Zの高さに比べて前後方向Yの幅が大きい。
図6に示すように、インクタンク43の上部には、インク室50内にインクを注入可能な液体注入口の一例としての注入口52が形成されている。注入口52は、インクタンク43において前後方向Yの途中位置よりも片側(本実施形態では前側)の位置であって、視認面43aの前後方向Yの途中位置よりも片側(本実施形態では前側)の位置に形成されている。さらに、注入口52は、インク室50の外側に向かって突出すると共に、上下方向Zに対して非直交、且つ水平方向よりも上方向となる右上方向に向かって突出する筒部53の先端に開口するように形成されている。したがって、注入口52の端面52aは、上下方向Zに対して非直交である。
また、筒部53が傾く方向は、タンクユニット27が装置本体13に取り付けられた場合に、筒部53の先端(端面52a)が取付面13aから離れる方向であって、視認面43aに近づく方向である。
図5,図7に示すように、インクタンク43の上部において注入口52及び筒部53が形成される注入口形成面54は、上下方向Zと交差する右上方向(一方向)を向いて形成されている。すなわち、注入口形成面54は、筒部53の基端部が形成された位置よりも視認面43a側が低い位置に位置するように上下方向Zに対して非直交となるように傾斜している。
なお、本実施の形態では、上下方向Zに対する注入口形成面54の傾きと筒部53の傾きは同じである。さらに、視認面43aよりも上方位置であって、注入口52と視認面43aとの間となる位置には、板状の堰き止め部及び突出部の一例としての堰き止め凸部55が注入口形成面54から突出形成されている。堰き止め凸部55は、筒部53(注入口52)と同じ方向に傾斜していると共に、注入口形成面54に対して直交する。さらに、堰き止め凸部55は、注入口形成面54の視認面43a側となる右端よりも筒部53に近い位置から突出して形成されると共に、注入口形成面54の右端は、視認面43aよりも上方位置であって且つ堰き止め凸部55と視認面43aとの間に位置する段差部54aとなっている。
なお、図7,図8に示すように、インクタンク43の上部において注入口52から堰き止め凸部55に向かって下り斜面状に形成された注入口形成面54は、前後方向Yにおける両側の隣接部位に比べて上下方向Zで低い位置にある。すなわち、注入口形成面54は、その前後両側が壁に挟まれている。そのため、注入口52からインクが漏れた場合には、漏洩液体の一例としての漏洩インクが注入口形成面54を伝うように流れる。したがって、注入口形成面54は、漏洩インクの流路として機能していると共に、堰き止め凸部55は、漏洩インクの流路上に位置している。
また、注入口形成面54には、筒部53の左側と右側でそれぞれ左右方向Xに沿って延びるリブ部56が筒部53を左右方向Xの両側から同一線上に位置して挟むように形成されている。したがって、注入口形成面54は、リブ部56により前後に区分けされている。
さらに、図9,図10に示すように、堰き止め凸部55及び段差部54aは、漏洩インクの流れる方向である右下方向(漏洩方向の一例)と交差する前後方向Yの幅が注入口52及び筒部53の幅よりも大きい。
図5,図6に示すように、筒部53の先端には、注入口52を閉塞可能な閉塞部材58が着脱可能に取り付けられている。なお、閉塞部材58には、一端がタンクケース42に接続された繋留部58aの他端側が接続されている。さらに、閉塞部材58には、上側に摘み部58bが形成されていると共に、下側に注入口52と嵌合する円管状の嵌合部58cが形成されている。
また、図9に示すように、インクタンク43の前面(図9では左側)の下方位置には、インク室50に収容されたインクをチューブ31側へ導出する液体導出口の一例としての導出口59が形成されている。導出口59は、インクタンク43において前後方向Yの途中位置よりも片側(本実施形態では前側)の位置であって、視認面43aの前後方向Yの途中位置よりも片側(本実施形態では前側)の位置に形成されている。さらに、インクタンク43には、インク室50内にインクを収容した場合におけるインクの液面51よりも上方位置からインク室50内に空気を取り入れる空気取入口60が形成されている。すなわち、空気取入口60は、液体噴射ヘッド32でのインクの消費に伴ってインク室50に収容するインクが減少した際に、液面51よりも上方位置からインク室50内に外気を取り込む。
インクタンク43には、タンクケース42に固着される際に取り付けられる取付ねじ61(図4参照)を係止する少なくとも1つ(本実施形態では2つ)のタンク係止部62が形成されている。また、インクタンク43の右側面には、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の位置決め部の一例としての位置決め凹部63a,63bが形成されている。なお、位置決め凹部63a,63bのうち、一方(本実施形態では前側に位置する)位置決め凹部63aは、前後方向Yに長い長穴状に形成されている。
また、視認面43aにおける前側位置には、目盛の一例としての下限目盛64aと目盛の一例としての上限目盛64bとが突出形成されている。下限目盛64aと上限目盛64bは、視認面43aにおける前後方向Yの途中位置よりも片側(本実施形態では前側)に形成されている。ところで、窓部42aは、上限目盛64bを隠蔽しないために、前側における上下方向Zの幅が後側における上下方向Zの幅に比べて大きい(図3参照)。したがって、窓部42aと同様に視認面43aも前側の上下方向Zの幅が後側における上下方向Zの幅に比べて大きい。
下限目盛64aは、前後方向Yの途中位置よりも導出口59側であって、且つ導出口59よりも上方位置に形成されている。一方、上限目盛64bは、前後方向Yの途中位置よりも注入口52側であって、且つ注入口52及び空気取入口60よりも下方位置に形成されている。なお、導出口59と注入口52は、前後方向Yにおいて同じ側(前側)に形成されている。そのため、下限目盛64aは、前後方向Yの途中位置よりも注入口52側であって、注入口52及び上限目盛64bよりも下方位置に形成されている。したがって、視認面43aには、前後方向Yの同じ側に上下方向Zに間隔を有して複数の目盛が形成されている。
なお、下限目盛64aは、インク室50へインクを注入する目安となる下限量を示す目盛である。また、上限目盛64bは、注入口52から注入されてインク室50内に収容されるインクの上限量を示す目盛である。
次に、タンクケース42について説明する。
図4,図11に示すように、タンクケース42は、記録装置12に固着された際に装置本体13側となる左側に開口部の一例としてのケース開口部42bを有する5面一体成型物である。なお、タンクケース42は、インクタンク43よりも大きく形成されていると共に、ケース開口部42bは、前後方向Y及び上下方向Zにおいてインクタンク43よりも大きい。
また、タンクケース42における窓部42aが形成された右側の壁部の内側であって、且つインクタンク43のタンク係止部62と対応する位置には、取付ねじ61を螺合可能な少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の螺合部66が形成されている。さらに、インクタンク43の位置決め凹部63a,63bと対応する位置には、位置決め部の一例としての位置決め凸部67a,67bが少なくとも1つ(本実施形態では2つ)形成されている。
タンクケース42には、該タンクケース42を装置本体13に固着する際に挿通されるねじ36(図12参照)を係止する係止部の一例としてのケース係止部68a〜68eが、少なくとも1つ(本実施形態では5つ)形成されている。すなわち、第1〜第5の各ケース係止部68a〜68eは、取付面13aに形成されたねじボス部37と対応して形成されている。また、タンクケース42における装置本体13のボス部38と対応する位置には、ボス部38と係合可能な係合部69が形成されている。
また、図12,図13に示すように、タンクケース42における窓部42aよりも下側位置であって、且つ第4ケース係止部68dと第5ケース係止部68eの間となる位置には、手掛部71が形成されている。さらに、タンクケース42の下面における第4ケース係止部68dと第5ケース係止部68eが形成された位置には、取付面13a側の補強リブ部34fと係合する係合凹部72がケース開口部42b側に形成されている。
また、図12,図14に示すように、タンクケース42の上面における前側位置には、上下方向Zの高さが上面よりも一段低くなった谷部42cが形成されている。なお、第1ケース係止部68aは、この谷部42c内に位置するように形成されている。そして、第1ケース係止部68aの周囲には、後方及び上方から第1ケース係止部68aを被覆しつつ右側を開口した被覆部73が形成されている。したがって、第1ケース係止部68aに螺合したねじ36は、タンクユニット27を俯瞰するユーザーに対して被覆部73により隠される。
さらに、図14に示すように、谷部42cには、インクタンク43がタンクケース42に装着される際にケース開口部42b側となる左側から谷部42c内への筒部53の進入を受容する上面視U字状の受容部74が形成されている。さらに、谷部42c内において、受容部74の後方は、受容部74が形成された位置よりも1段高く形成されていると共に、閉塞部材58を載置可能な載置部75が形成されている。そのため、繋留部58aの長さは、閉塞部材58が筒部53及び載置部75へ択一的に位置可能な程度の長さに設定されている。
載置部75は、閉塞部材58の嵌合部58cの外周形状よりも内周形状が一回り大きな円環状に形成されたリング部75aと、リング部75aの内側に位置して嵌合部58cの内周形状よりも一回り小さなクルス部75bとにより構成されている。なお、クルス部75bは、前後方向Y及び左右方向Xに沿って延びる垂直板部同士が十字状に交差した形状であると共に、各垂直板部の前後方向Y及び左右方向Xの各側面には該側面から突出して上下方向Zに沿って延びる上面視略三角形状の突起75cが形成されている。したがって、閉塞部材58は、載置部75に載置された場合に、嵌合部58cがリング部75aの内側に位置すると共に、その内周面をクルス部75bの突起75cに当接させた状態で支持される。
図12,図14に示すように、タンクケース42には、カバー44を前後方向Yにスライド移動可能に支持する支持部の一例としてのレール部76a,76bが前後方向Yに延びるように一対形成されている。さらに、一対のレール部76a,76bの間には、前後方向Yに沿って延びる複数(本実施形態では3つ)の凸条77が形成されている。なお、一対のレール部76a,76bのうち右側に位置する第1レール部76aの後端上面と、左側に位置する第2レール部76bの後端上面(図示略)は、面取りされている。
図12に示すように、第1レール部76aには、前後方向に間隔を有して一対のストッパー凹部78a,78bが形成されている。一対のストッパー凹部78a,78bは、互いに前後両内側面のうち相手の凹部側となる内側面が面取りされている。すなわち、前側の第1ストッパー凹部78aは、後側の内側面が面取りされていると共に、後側の第2ストッパー凹部78bは前側の内側面が面取りされている。
図15に示すように、カバー44は、上壁44aと、該上壁44aとそれぞれ連続する右壁44b、左壁44c、後壁44dとを有している。なお、右壁44bと後壁44dの上下方向Zの高さは略同一であるのに対し、左壁44cの高さは、右壁44b及び後壁44dよりも低い。
右壁44bにおける左壁44c側の面である内面には、第1レール部76aと係合して摺接する一対の摺接部80が前後方向Yに間隔を有して形成されている。また、左壁44cにおける右壁44b側の面である内面には、第2レール部76bと係合して摺接する一対の摺接部80が前後方向Yに間隔を有して形成されている。なお、各摺接部80は、前後方向Yに位置をずらして互い違いに形成されている。さらに、右壁44bに形成された一対の摺接部80のうち、前側に位置する摺接部80には、ストッパー凹部78a,78bと係合可能なストッパー凸部80aが形成されている。
そして、カバー44は、ストッパー凸部80aがストッパー凹部78aと係合する図16に示す隠蔽位置Aと、ストッパー凸部80aがストッパー凹部78bと係合する図17に示す非隠蔽位置Bとの間を、前後方向Yにスライド移動する。
具体的には、図16,図18に示すように、ストッパー凸部80aが第1ストッパー凹部78aと係合する場合には、カバー44は、注入口52が形成された筒部53と載置部75とを隠蔽する隠蔽位置Aに位置する。
一方、図17,図19に示すように、ストッパー凸部80aが第2ストッパー凹部78bと係合する場合には、カバー44は隠蔽位置Aとは異なる非隠蔽位置Bに位置し、注入口52が形成された筒部53と載置部75とが出現する。
なお、図16,図18に示すように、前後方向Yにおけるカバー44のサイズは、タンクケース42のサイズよりも小さく、カバー44が隠蔽位置Aに位置した場合に、カバー44がタンクケース42上に収まる。また、筒部53は、インクタンク43がタンクケース42に固着された際に、タンクケース42の受容部74よりも注入口52の端面52aが高く位置すると共に、筒部53に嵌合した閉塞部材58の高さが隠蔽位置Aに位置するカバー44よりも低くなるように形成されている。
また、図12,図16,図17に示すように、第2ケース係止部68b及び第3ケース係止部68cに螺合した各ねじ36は、タンクケース42に取り付けられたカバー44により隠される。さらに、第4ケース係止部68d及び第5ケース係止部68eに螺合したねじ36は、タンクユニット27自身により、該ユニットを俯瞰するユーザーに対して隠されている。
また、図3に示すように、カバー44の上壁44aには、全体形状が略三角状をなすように上方に向かって突出する滑り止め部82が形成されている。さらに、カバー44における滑り止め部82の後方位置には、タンクユニット27に収容するインクの種類を示す文字や図などの表示や、異なる種類のインクの注入などを警告する表示、インクの注入方法や注意などが記載されたラベル83が貼着されている。なお、同様のラベル83は、タンクケース42の右側面及び前面の凹部46、及び取付面13aにおいてカバー44が隠蔽位置Aに位置するときには該カバー44により隠される一方で該カバー44が非隠蔽位置Bに位置したときには出現する箇所にも貼着されている。
次に、インクの液面51の最大変動幅と、インクタンク43から液体噴射ヘッド32へのインクの供給状態について説明する。
ところで、本実施形態の記録装置12は、水頭差を利用してインク室50内に収容されたインクを液体噴射ヘッド32へ供給している。そのため、上下方向Zに液面51が大きく変動するとインクタンク43から液体噴射ヘッド32へ良好にインクを供給することができなくなる。具体的には、液面51よりも液体噴射ヘッド32が相当低い位置にあると、液体噴射ヘッド32からインクが漏れ出てしまう虞があるのに対し、液面51よりも液体噴射ヘッド32が相当高い位置にあると、液体噴射ヘッド32までインクを供給することができない虞がある。
さて、図20に示すように、本実施形態の記録装置12では、インクの液面51の上下方向Zにおける最大変動幅が75mm以上の場合には、液体噴射ヘッド32へ良好にインクを供給できなかった。すなわち、例えばインク室50にインクを最大量収容した場合に合わせて液体噴射ヘッド32を配置した場合には、インクが消費されて液面51が低下すると、インク室50内にインクが残っていても液体噴射ヘッド32までインクを供給することができなかった。また、例えばインク室50内のインクが消費されて液面51が低下した場合に合わせて液体噴射ヘッド32を配置すると、インクを最大量収容した場合に液体噴射ヘッド32からインクが漏れ出てしまった。
一方、インクの液面51の上下方向Zにおける最大変動幅を70mm以下とすると、インク室50にインクを最大量収容した場合でも、また、インク室50内のインクの液面51が低下した場合でも、インクを液体噴射ヘッド32に供給することができた。
しかし、液面51の最大変動幅が70mmの場合には、液体噴射ヘッド32とインクタンク43の組み付け誤差や製造誤差により良好な供給ができないことがあった。そこで、最大変動幅を55mm以下とすると、多少の組み付け誤差や製造誤差がある場合でも、液体噴射ヘッド32へインクを良好に供給することができた。さらに、最大変動幅を40mm以下とした場合には、例えば記録装置12の設置面に多少の傾きがあった場合でもインクタンク43から液体噴射ヘッド32へ良好にインクを供給することができた。
そこで、図21に示すように、本実施形態では、下限目盛64aから上限目盛64bまでの上下方向Zにおける高さh1を40mm以下とする。すなわち、ユーザーは、インクの液面51が下限目盛64aまで低下すると、インクの液面51が上限目盛64bまで上昇するように注入口52からインクを注入する。したがって、液体噴射ヘッド32を通常使用する場合のインクの液面51の変動幅が高さh1と等しくなるため、高さh1を40mm以下とするとインク室50内のインクは液体噴射ヘッド32へ良好に供給される。
また、インク室50に形成された導出口59の開口の下端(底面の一例)から上限目盛64bまでの上下方向Zの高さh2を55mm以下とする。そのため、例えばユーザーが下限目盛64aまでインクの液面51が低下したことに気づかずに印刷を続けた場合であっても、インク室50内にインクが残っている場合には、液体噴射ヘッド32へインクが供給される。
さらに、インク室50に形成された導出口59の開口の下端から注入口52の端面52aまでの上下方向Zにおける高さh3を70mm以下とする。すなわち、高さh3は、インクタンク43に収容されるインクの最大変動幅に相当する。そのため、例えばユーザーがインク室50へのインクの注入に伴って注入口52からインクを溢れさせてしまった場合でも液体噴射ヘッド32からのインクの漏れ出しが抑制される。
次に、インク室50の形状について説明する。
さて、インク室50の上下方向Zの高さを制限すると、液体噴射ヘッド32へインクを良好に供給することができるが、インク室50に収容可能なインクの量が少なくなってしまう。そこで、本実施形態のインクタンク43は、前後方向Yの幅を大きくして水平断面積を大きくすることでインク室50に収容可能なインク量を確保している。
具体的には、図22に示すように、インク室50の左右方向Xのサイズを奥行きD、前後方向Yのサイズを幅W、上下方向Zのサイズを高さHとする。そして、インク室50は、導出口59からインク室50に収容可能な収容量の5%相当のインクを導出した場合に、インク室50内におけるインクの液面51の変動幅がインク室50に収容可能な収容量の3乗根の5%以下となる領域(例えば、図21で少なくとも高さh1の領域)を有する。なお、以下の説明では、インク室50の形状に関する条件を形状条件というと共に、インク室50に収容可能な収容量を最大収容量という。
例えば、インク室50の左右方向Xの奥行きD、前後方向Yの幅W、上下方向Zの高さHがそれぞれ等しい(D=W=H)立方体形状である場合には、インクの液面51がどの位置にある場合でも形状条件を満たす。具体的には、立方体形状である場合には、最大収容量の5%を導出した場合の液面51の変動幅(0.05×D×W×H/(D×W))が、最大収容量の3乗根の5%(0.05×(D×W×H)1/3)と等しくなる。
そのため、立方体形状よりも前後方向Yもしくは左右方向Xに長い直方体形状であれば形状条件を満たす。すなわち、インク室50の高さHが奥行きD及び幅Wよりも小さい場合には形状条件を満たす。具体的には、インク室の底面積(D×W)もしくは液面51の面積(インク室50の水平断面積)が高さHの2乗以上であれば形状条件を満たす。ただし、高さHが奥行きDと幅Wのいずれか一方よりも大きい場合でも形状条件を満たす場合もある。例えば、奥行きDが高さHの半分である場合でも、幅Wが高さHの2倍以上であれば形状条件を満たす。
次に、最大収容量の5%相当のインクを導出した場合のインク室50内におけるインクの液面51の変動幅について説明する。
最大収容量の5%相当のインクを導出した場合のインク室50内におけるインクの液面51の最小変動幅(以下、単に「最小変動幅」という。)が、最大収容量の3乗根の6%以上である場合には、インク室50に収容可能なインク量を十分に確保することができない。
それに対し、最小変動幅が最大収容量の3乗根の5%以下である場合には、インク室50に十分にインクを収容することができるが、最小変動幅が最大収容量の3乗根の4%以下であるとより好ましい。
以下、インクタンク43を装置本体13に固着する際の作用を説明する。
図4に示すように、まずタンクケース42のケース開口部42bからインクタンク43を挿入し、位置決め凸部67a,67bと位置決め凹部63a,63bとを凹凸嵌合させて位置合わせする。さらに、タンク係止部62と螺合部66とに取付ねじ61を螺合してインクタンク43をタンクケース42に固着する。すなわち、タンクケース42は、インクタンク43を外側から覆うことによって該インクタンク43を保護する。
続いて、図12に示すように、インクタンク43を固着したタンクケース42を取付面13aに位置合わせする。すなわち、タンクケース42が第1リブ34を囲うと共に、ボス部38と係合部69とを係合させ、さらに補強リブ部34fと係合凹部72とを係合させる。
また、図6に示すように、インクタンク43が取り付けられたタンクケース42を取付面13aに位置合わせすると、吸収材39は、注入口52と装置本体13との間の位置に位置する。なお、吸収材39は、上リブ部34aよりも左右方向Xに大きな厚みを有している。そのため、装置本体13とインクタンク43との間に介装された吸収材39は、装置本体13とインクタンク43とに挟圧されて圧縮変形する。
さらに、図12に示すように、タンクケース42が取付面13aに位置合わせされた状態では、ケース係止部68a〜68eとねじボス部37とが一致している。そのため、ケース係止部68a〜68eにねじ36を螺合させると、各ケース係止部68a〜68eとねじボス部37が螺着してタンクケース42と装置本体13とが固着する。
なお、タンクケース42が装置本体13に取り付けられると、タンクケース42のケース開口部42bが装置本体13に覆われる。したがって、装置本体13とタンクケース42は、インクタンク43を外側から覆って保護可能な保護部材の一例として機能すると共に、装置本体13、タンクケース42、インクタンク43、吸収材39により液体供給システムの一例が構成される。
続いて、タンクケース42が装置本体13に固着された状態において、カバー44をタンクケース42の後方からレール部76a,76bと摺接部80とが係合するように装着する。
さて、図17,図19に示すように、カバー44は、ストッパー凸部80aがまず後側に位置する第2ストッパー凹部78bに係合して非隠蔽位置Bに位置する。そして、非隠蔽位置Bに位置したカバー44がさらに前方へ押し込まれると、ストッパー凸部80aが第2ストッパー凹部78bの面取りされた前側の内側面に乗り上げるようにしてストッパー凸部80aと第2ストッパー凹部78bの係合が外れ、カバー44は前方へ移動する。
すると、図16,図18に示すように、カバー44は、ストッパー凸部80aが第1ストッパー凹部78aに係合して隠蔽位置Aに位置する。なお、第1ストッパー凹部78aは、後側の内側面が面取りされているため、隠蔽位置Aに位置したカバー44が後方へ押された場合には、ストッパー凸部80aが第1ストッパー凹部78aの面取りされた後側の内側面に乗り上げるようにしてストッパー凸部80aと第1ストッパー凹部78aの係合が外れ、カバー44は後方へ移動する。
続いて、インクタンク43にインクを注入する際の作用を説明する。
さて、インクタンク43内に収容されたインクの液面51が下限目盛64aまで低下すると、ユーザーは、隠蔽位置Aから非隠蔽位置Bまでカバー44を後方へスライド移動させる(図17参照)。すると、隠蔽位置Aに位置したカバー44に隠されていた閉塞部材58と載置部75とが出現する。
さらにユーザーは、筒部53の先端に嵌合した閉塞部材58を載置部75へ移動させると共に、注入口52からインクを注入する。なお、注入されたインクはタンクケース42の窓部42aから確認することができる。
ところで、インクの注入に伴ってインクがこぼれてしまった場合には、漏洩インクは注入口形成面54を伝って装置本体13から離れる方向へ流れて堰き止め凸部55により堰き止められる。なお、漏洩インクの量が多く、万が一堰き止め凸部55を越えてしまった場合でも、漏洩インクは段差部54aに沿って広がるようにして漏洩方向が変更される。また、例えば装置本体13側へインクが飛んだ場合であっても、装置本体13とタンクユニット27との間に介装された吸収材39により漏洩インクが吸収される。
そして、インクの注入に伴って液面51が上限目盛64bまで上昇すると、ユーザーはインクの注入を終了し、載置部75に載置していた閉塞部材58を筒部53に戻すと共に、カバー44を前方へスライド移動させて隠蔽位置Aへ移動させる。
上記第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)インクタンク43に形成された注入口52からインク室50にインクを注入することができる。また、タンクユニット27は装置本体13に固着されているため、ユーザーが記録装置12を持ち運ぶ際にタンクユニット27が装置本体13から離脱してしまう虞を低減することができる。したがって、インクを注入可能なタンクユニット27を備えた記録装置12の運搬性を向上させることができる。
(2)カバー44がスライド移動可能に設けられるため、例えば軸を中心としてカバーを回動させて隠蔽位置と非隠蔽位置とを変位させる場合に比べ、カバー44が変位する空間域を小さくすることができる。したがって、記録装置12を狭い場所に設置する場合でも、カバー44を開閉することができる。
(3)注入口52を介してインク室50にインクを注入する場合に、載置部75に閉塞部材58を載置しておくことができる。したがって、閉塞部材58にインクが付着している場合でも、載置部75以外の部分にインクが付着する虞を低減することができる。
(4)注入口52がインク室50の外側に向かって突出する筒部53に形成されるため、インク室50にインクを注入する場合に、筒部53の周囲に位置する部材が注入されるインクの収容物(大型のインク容器など)に当接してインクの注入を阻害する虞を低減することができる。さらに、筒部53は上下方向Zに対して非直交な右上方向に向かって突出しているため、ユーザーはインクを注入する様子を容易に確認することができる。
(5)漏洩インクの流路となる注入口形成面54上に設けられた堰き止め凸部55により、注入口52から漏れたインクを堰き止めることができる。
(6)インク室50から導出されるインクの量に対する液面51の変動幅を抑えることにより液体噴射ヘッド32へ供給されるインクにかかる圧力の変化を低減することができる。したがって、インク室50に収容されたインクを液体噴射ヘッド32側へ安定して供給することができる。
(7)インク室50は、上下方向Zの高さよりも上下方向Zと交差する前後方向Yの幅が大きいため、前後方向Yの幅が上下方向Zの高さよりも小さい場合に比べて、導出するインクの量に対する液面51の変動を小さくすることができる。
(8)導出口59から注入口52までの高さh3を70mm以下とすることにより、導出口59から注入口52までの高さを抑制することができる。したがって、インク室50に収容されるインクの液面51の上下方向Zにおける変動を低減することができる。
(9)導出口59から上限目盛64bまでの高さh2を55mm以下とすることにより、インク室50において液面51が位置する範囲を55mm以下とすることができる。したがって、よりインク室50に収容されるインクの液面51の上下方向Zにおける変動を低減することができる。
(10)ユーザーは下限目盛64aをインク室50へのインクの注入の目安とすることができる。さらに、下限目盛64aから上限目盛64bまでの高さh1を40mm以下とすることにより、インク室50において液面51が位置する範囲を40mm以下とすることができる。したがって、よりインク室50に収容されるインクの液面51の上下方向Zにおける変動を低減することができる。
(11)下限目盛64aと上限目盛64bとが視認面43aにおける前後方向Yの途中位置よりも前側、つまり片側に形成されている。そのため、両側に形成されている場合とは異なり、インクタンク43が傾いて設置された場合であっても、前後方向Yに異なる複数の位置において、各々の位置ごとに上下方向Zにおける目盛64a,64bに対する液面51の位置が相違してしまう虞を低減することができる。したがって、ユーザーがインクタンク43に収容されたインクの量を容易に視認することができる。
(12)導出口59側に下限目盛64aを形成することにより、導出口59の付近に位置するインクの液面51と下限目盛64aとを比較することができる。したがって、ユーザーが下限目盛64aをインク室50へのインクの注入の目安とすることにより、インクの液面51が導出口59よりも上下方向Zの下方に位置して導出口59から空気が供給される虞を低減することができる。
(13)下限目盛64aは、注入口52と同じ側に形成されていると共に、注入口52よりも下方位置に形成されているため、注入口52からインクを注入した際に、注入されたインクを容易に確認することができる。
(14)上下方向Zの高さに比べて前後方向Yの幅が大きい視認面43aを有するインクタンク43では、インクタンク43が傾いた状態で設置された場合に、前後方向Yに異なる位置において上下方向Zにおける目盛64a,64bに対する液面51の位置の相違が大きくなりやすい。その点、目盛64a,64bを水平方向の途中位置よりも前側に形成したため、インクタンク43が傾いて設置されてしまった場合でもインクの量を容易に視認することができる。
(15)上限目盛64bが注入口52側に形成されるため、例えばインクタンク43が傾いて設置された場合であっても、注入されたインクの液面51と上限目盛64bとを比較することにより、注入口52からインクが溢れてしまう虞を低減することができる。
(16)視認面43aが上下方向Zと交差する右方向を向いて形成されるため、一方向からインクの液面51と目盛64a,64bとを視認して比較することができる。
(17)複数の目盛64a,64bが同じ側に形成されているため、インクの液面51と各目盛64a,64bとを比較することにより、インク室50に収容されたインクの残量を容易に視認することができる。
(18)注入口52の端面52aが上下方向Zに対して非直交であるため、注入口52の端面52aが上下方向Zに対して直交する場合に比べてインクを容易に注入することができる。
(19)インクタンク43が装置本体13に固着された際に、筒部53は装置本体13から離れる方向に傾斜して形成されているため、インクをより容易に注入することができる。
(20)注入口形成面54が上下方向Zに対して非直交であるため、注入口52からインクが漏れてしまった場合であっても、注入口形成面54を伝うようにインクを流すことができる。したがって、ユーザーが意図しない方向へインクが流れてしまう虞を低減することができる。
(21)筒部53と注入口形成面54との上下方向Zに対する各々の傾きは同じであるため、例えばインクタンク43を射出成形する場合に、筒部53と注入口形成面54とを同じ型で成形することができる。
(22)注入口52から漏れた漏洩インクは、漏洩インクの流路となる注入口形成面54上に位置する堰き止め凸部55によって堰き止められる。したがって、漏れたインクで周囲が汚染されてしまう虞を低減することができる。
(23)堰き止め凸部55が視認面43aよりも上方に位置するため、漏洩インクによって視認面43aが汚染されてしまう虞を低減することができる。
(24)漏洩インクが堰き止め凸部55を越えてしまった場合でも、段差部54aにより漏洩インクが視認面43aへ流れてしまう虞を低減することができる。
(25)堰き止め凸部55の前後方向Yの幅は、注入口52の幅よりも大きいため、注入口52から注入するインクが何れの方向から漏れた場合でも堰き止め凸部55で堰き止めることができる。
(26)注入口形成面54を漏洩インクの流路とすることができる。したがって、漏洩インクを注入口形成面54で受けることにより、注入口形成面54以外の部分がインクで汚染されてしまう虞を低減することができる。
(27)注入口形成面54から突出する堰き止め凸部55によって漏洩インクを堰き止めることができる。
(28)注入口52と堰き止め凸部55が一方向を向いた注入口形成面54に形成されるため、漏洩インクの流れる方向を一方向とすることができる。
(29)注入口52と堰き止め凸部55との上下方向Zに対する各々の傾きは同じであるため、例えばインクタンク43を射出成形する場合に、注入口52と堰き止め凸部55とを同じ型で成形することができる。
(30)装置本体13とインクタンク43との間に吸収材39を介装させることにより、注入口52から漏れた漏洩インクが装置本体13とインクタンク43との間に入り込んだ場合でも、漏洩インクを吸収材39に吸収させることができる。したがって、漏れたインクで周囲が汚染されてしまう虞を低減することができる。
(31)インクが漏れる虞のある注入口52と装置本体13との間に吸収材39を設けることにより、注入口52から漏れた漏洩インクを効率よく吸収材39に吸収させることができる。
(32)装置本体13とインクタンク43との間の隙間を吸収材39で埋めることができる。したがって、装置本体13とインクタンク43との隙間に異物が混入する虞を低減することができる。
(33)インクタンク43を覆うタンクケース42を一体成型物とすることにより、タンクユニット27の組み付け性を向上させることができる。
(34)タンクケース42に形成されたケース開口部42bからインクタンク43を容易にタンクケース42に収容することができる。
(35)インクタンク43とタンクケース42とが位置決め凹部63a,63b及び位置決め凸部67a,67bによって位置決めされるため、インクタンク43とタンクケース42とがずれてしまう虞を低減することができる。
(36)インクタンク43とタンクケース42とが長穴状の位置決め凹部63aと凹凸嵌合して位置決めされるため、インクタンク43とタンクケース42の成型精度が低い場合でもインクタンク43とタンクケース42とを位置決めすることができる。さらに、位置決め凹部63aは前後方向Yに長いため、インクタンク43とタンクケース42との水平方向の傾きを抑制して位置決めすることができる。
(37)タンクケース42が手掛部71を有するため、タンクユニット27を容易に持ち運ぶことができる。
(38)タンクユニット27が装置本体13に固着された際に、手掛部71の両側位置に形成された第4ケース係止部68d及び第5ケース係止部68eでねじ36を係止するため、ユーザーは手掛部71に手をかけることにより装置本体13とタンクユニット27を安定して持ち運ぶことができる。
(39)カバー44のサイズがタンクケース42のサイズよりも小さいため、カバー44をタンクケース42上に収めることができる。したがって、タンクユニット27がカバー44を備える場合でも、運搬時にカバー44が引っ掛かってしまう虞を低減することができる。
(40)インク室50の水平断面積を大きくすることにより導出口59から導出するインクの量に対する液面51の変動幅を小さくすることができる。すなわち、小さな液面51の変動でより多くのインクを導出することができるため、インク室50に収容されたインクを液体噴射ヘッド32側へ安定して供給することができる。
(41)タンクユニット27を装置本体13に固着したため、タンクユニット27は、装置本体13に対して着脱可能に設けられて自立するタンクユニットに比べて小型化することができる。さらに、タンクユニット27と装置本体13とに一体感を持たせることができる。
(42)カバー44は、タンクケース42に支持された状態で隠蔽位置Aと非隠蔽位置Bとの間を移動するため、複合機11の運搬時にカバー44が離脱してしまう虞を低減することができる。
(43)レール部76a,76bの後端は上面が面取りされていると共に、カバー44の摺接部80は前後方向に互い違いに形成されている。そのため、カバー44はタンクケース42に対して容易に装着することができる。
(44)タンクケース42は、窓部42aの周囲が面取りされているため、窓部42aに対して正対しない横方向からも窓部42aを介して外部から視認面43aの全面を容易に視認することができる。
(45)バルブレバー47は凹部46に設けられているため、タンクユニット27が固定された複合機11を持ち運ぶ際に、バルブレバー47が周囲の物に当たることなどによる誤操作を抑制することができる。
(46)タンクケース42は一体成型物で継ぎ目がないため、インクの漏れる流路が不用意にできてしまう虞を低減することができる。
(47)装置本体13とインクタンク43との間に吸収材39を介在させることにより、吸収材39によってフィルム49を保護することができる。
(48)載置部75に載置された閉塞部材58にインクが付着していた場合でも、閉塞部材58はリング部75aの内側に載置されるため、閉塞部材58からインクが滴り落ちた場合でも、リング部75aによって周囲へ広がってしまうのを抑制することができる。
(49)空気取入口60をタンクケース42で覆うことにより、ユーザーが空気取入口60に誤ってインクを注いでしまう虞を低減することができる。
(50)インクを噴射するノズルが形成された液体噴射ヘッド32のノズル面に対し、インクタンク43内のインクの液面51の水頭位置を管理する必要がある。その点、インクタンク43は、位置決め凸部67a,67bを含めて一体成形したタンクケース42を介して装置本体13に取り付けられる。すなわち、タンクケース42が複数部材の組み合わせから成る場合に比べて、インクタンク43と液体噴射ヘッド32との位置関係をより精度よく保持しながらインクタンク43を装置本体13に取り付けることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図を参照して説明する。なお、この第2実施形態は、スキャナーユニット14を備えていない点で第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
図23に示すように、液体消費装置の一例としての記録装置85は、前面側に操作ボタン86を備えている。記録装置85において操作ボタン86の下方にあたる位置は、装置本体87内から用紙Pを排出するための排出口88が開口している。また、記録装置12における排出口88の下方には、引き出し可能な排紙台89が収容されている。さらに、記録装置85の背面側には、複数の用紙Pを積載可能な回動式の媒体支持体90が取り付けられている。
また、図23,図24に示すように、装置本体87においてタンクユニット27が取り付けられる取付面87aの前側位置には、上面視楔状の張出部87bが一体形成されている。なお、張出部87bは、装置本体87とタンクユニット27との隙間を埋めるように上方から前方にかけて湾曲して形成されていると共に、張出部87bの前面とタンクユニット27の前面とが面一となる。
さらに、図25,図26に示すように、タンクユニット27は、装置本体87との下側部分の隙間を埋める断面L字状のスペーサー91を介して装置本体87に固着されている。なお、スペーサー91は、前後方向Yにおいて張出部87bから第4ケース係止部68dと対応する係合凹部72にかけて設けられている。そして、スペーサー91は、第4ケース係止部68dが形成された係合凹部72と係合する。
次に、タンクユニット27を記録装置85に取り付ける際の作用について説明する。
図25に示すように、まずインクタンク43を固着したタンクケース42をスペーサー91を介在させた状態で取付面87aに位置合わせする。なお、このときスペーサー91は、図示しない係合部がボス部38と係合すると共に、第4ケース係止部68dが形成された係合凹部72と係合して位置合わせされる。
そして、タンクケース42が取付面87aに位置合わせされた状態でケース係止部68a〜68eにねじ36を螺着してタンクケース42と装置本体87とを固着する。
続いて、タンクケース42が装置本体87に固着された状態において、カバー44をタンクケース42の後方からレール部76a,76bと摺接部80とが係合するように装着する。
上記第2実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(51)タンクユニット27を異なる記録装置12,85に取り付けることができる。すなわち、複数種類の記録装置12,85においてタンクユニット27を共通化することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態において、カバー44のサイズをインクタンク43のサイズよりも小さくしてもよい。カバー44を小さくすることにより、カバー44をインクタンク43上に収めることができるため、タンクユニット27がカバー44を備える場合でも、運搬時にカバー44が引っ掛かってしまう虞を低減することができる。
・上記各実施形態において、堰き止め凸部55を設けない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、筒部53を設けない構成としてもよい。すなわち、注入口52の端面52aと注入口形成面54とを一致させてもよい。
・上記各実施形態において、筒部53は、上下方向Zに沿うように上方向に向かって突出するように形成してもよい。なお、この場合には、図27に示すように、例えば上下方向Zの中途位置が湾曲した筒状のアタッチメント93を筒部94に装着するのが好ましい。アタッチメント93を装着することにより、アタッチメント93に形成された孔を注入口52とすることができると共に、注入口52の端面52aを上下方向Zに対して非直交にすることができる(変形例)。また、アタッチメント93は、変形可能であってもよい。
・上記各実施形態において、筒部53が突出する方向は任意に設定することができる。例えば、装置本体13に固着された場合に装置本体13側となる左上方向に向かって筒部53を突出させてもよい。また、前上方向に向かって筒部53を突出させてもよい。
・上記各実施形態において、タンクケース42は、載置部75を設けない構成としてもよい。また、タンクケース42ではなく、インクタンク43やカバー44に載置部75を設けてもよい。また、タンクユニット27は装置本体13に固着されるため、例えば取付面13aに載置部75を設け、閉塞部材58を載置可能としてもよい。また、載置部75は、カバー44の位置に関わらずに俯瞰するユーザーから見える位置に形成されていてもよい。
・上記各実施形態において、カバー44は、軸を中心に回動して注入口52を隠蔽する隠蔽位置と、該隠蔽位置とは異なる非隠蔽位置との間を移動させてもよい。例えば、軸を左右方向Xもしくは前後方向Yに沿うように設け、隠蔽位置に位置するカバー44を上方に回動させて非隠蔽位置に位置させてもよい。また、軸を上下方向Zに沿うように設け、カバー44を左右方向X及び前後方向Yに沿って回動させてもよい。
・上記各実施形態において、タンクユニット27は、カバー44を備えない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、下限目盛64aから上限目盛64bまでの上下方向Zにおける高さh1を40mmより大きくしてもよい。タンクユニット27を精度よく製造及び組み付けし、記録装置12,85を水平に設置し、さらに液面51の変動を下限目盛64aと上限目盛64bの間に収めれば高さh1を70mmとしても液体噴射ヘッド32へインクを良好に供給できる。
・上記各実施形態において、導出口59から上限目盛64bまでの上下方向Zにおける高さh2を55mmより大きくしてもよい。タンクユニット27を精度よく製造及び組み付けし、記録装置12,85を水平に設置し、さらに液面51の変動を導出口59と上限目盛64bの間に収めれば高さh2を70mmとしても液体噴射ヘッド32へインクを良好に供給できる。
・上記各実施形態において、導出口59から注入口52までの上下方向Zにおける高さh3を70mmよりも大きくしてもよい。なお、この場合には、例えば、注入口52の位置に合わせて液体噴射ヘッド32を配置すると共に、上下方向Zにおいて注入口52から70mm以下の位置に下限目盛64aを形成するのが好ましい。すなわち、注入口52の位置に合わせて液体噴射ヘッド32を配置すると、注入口52からインクが溢れるまでインクを注入してしまった場合でも、液体噴射ヘッド32からのインクの漏れだしを抑制することができる。その一方、インクが消費されて液面51が低下するとインク室50内にインクが残っていても液体噴射ヘッド32へインクを供給することができなくなる虞がある。その点、下限目盛64aを注入口52から70mm以下の位置に形成することにより、インクの供給ができなくなる前にインクの注入を促すことができる。
・上記各実施形態において、インク室50の大きさは、上下方向Zの高さに比べて左右方向Xの幅を小さくしてもよい。また、上下方向Zの高さに比べて前後方向Yの幅を小さくしてもよい。
・上記各実施形態において、下限目盛64aと上限目盛64bのうち、何れか一方の目盛を設ける構成としてもよい。また、下限目盛64aと上限目盛64bの他にも目盛を形成してもよい。
・上記各実施形態において、視認面43aは、複数の方向を向くように形成してもよい。例えば、注入口形成面54を視認面として機能させて視認面43aに下限目盛64aを形成すると共に、注入口形成面54に上限目盛64bを形成してもよい。また、タンクケース42の前面もしくは後面に窓部を形成し、該窓部から視認可能なインクタンク43の前面及び後面を視認面として機能させてもよい。
・上記各実施形態において、上限目盛64bは、前後方向Yにおいて注入口52が形成された側とは反対側に形成してもよい。
・上記各実施形態において、視認面43aは、上下方向Zの高さに比べて前後方向Yの幅を小さくしてもよい。
・上記各実施形態において、下限目盛64aは、前後方向Yにおいて注入口52が形成された側とは反対側に形成してもよい。また、下限目盛64aは、前後方向Yにおいて、導出口59が形成された側とは反対側に形成してもよい。
・上記各実施形態において、下限目盛64aと上限目盛64bは、前後方向Yにおいて同じ側に形成する場合であっても、前後方向Yに位置をずらして形成してもよい。さらに、下限目盛64aと上限目盛64bは、前後方向Yにおいて注入口52と位置をずらして形成してもよい。
・上記各実施形態において、注入口52と導出口59は、インクタンク43における前後方向Yに異なる側に形成してもよい。
・上記各実施形態において、筒部53の上下方向Zに対する傾きと注入口形成面54の上下方向Zに対する傾きは、異なっていてもよい。
・上記各実施形態において、図27に示すように、注入口形成面95を上下方向Zに対して直交するように形成してもよい。
・上記各実施形態において、筒部53を形成せずに注入口形成面54に注入口52を形成してもよい。なお、注入口形成面54は上下方向Zに対して非直交であるため、注入口52の端面52aも上下方向Zに対して非直交となる。また、注入口52と上下方向Zにおいて同じ位置もしくは上方位置に堰き止め凸部55を設けてもよい。
・上記実施形態において、筒部53を上方向に向かって突出するように形成すると共に、筒部53の先端面が上下方向Zと非直交となるように形成することにより、注入口52の端面52aを上下方向Zに対して非直交としてもよい。
・上記各実施形態において、注入口52と堰き止め凸部55との上下方向Zに対する各々の傾きを異ならせてもよい。すなわち、注入口52が形成された筒部53と堰き止め凸部55の上下方向Zに対する各々の傾きを異ならせてもよい。
・上記各実施形態において、注入口形成面54は、複数方向を向くように形成してもよい。例えば、注入口形成面54を前後方向Yの両側に位置する壁からリブ部56に向かって山形もしくは谷形に形成してもよい。
・上記各実施形態において、図28に示すように、注入口形成面54に堰き止め部及び溝部の一例としての堰き止め凹部96を凹み形成してもよい(変形例)。注入口形成面54に凹み形成された堰き止め凹部96によって漏洩インクを捕獲することにより漏洩インクを堰き止めることができる。また、堰き止め凹部96と堰き止め凸部55を並べて形成してもよい。
・上記各実施形態において、注入口形成面54は、視認面43a側に向かって登り斜面としてもよい。そして、堰き止め凸部55を注入口52よりも上方に位置させてもよい。なお、装置本体13とタンクユニット27との間には吸収材39が介在されている。そのため、注入口52から漏れて注入口形成面54を伝ったインクは吸収材39に吸収される。したがって、吸収材39は、漏洩インクの流路に設けられる。漏洩インクの流路上に吸収材39を取り付けることにより、漏洩インクを吸収材39に吸収させることができる。したがって、漏れたインクで周囲が汚染されてしまう虞を低減することができる。
・上記各実施形態において、堰き止め凸部55の前後方向Yにおける幅は、注入口52もしくは筒部53の幅よりも小さくてもよい。また、堰き止め凸部55の形状は、U字状、V字状、W字状などとしてもよい。また、堰き止め凸部55を注入口52の周りを囲むリング状や、一部分が離れたC字状に形成してもよい。
・上記各実施形態において、堰き止め凸部55を注入口形成面54の端部に形成して段差部54aを設けない構成としてもよい。また、段差部54aは、上下方向Zと直交する面、もしくは堰き止め凸部55側に傾いた面を有するように形成してもよい。
・上記各実施形態において、視認面43aを設けない構成としてもよい。また、下限目盛64a及び上限目盛64bを設けない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、図28に示すように、インクタンク43とタンクケース42との間に吸収材97を介在させてもよい。なお、この場合にはタンクケース42が保護部材の一例として機能する。
・上記各実施形態において、図28に示すように、装置本体13とインクタンク43との間に介在する吸収材98を注入口形成面54まで延ばしてもよい。すなわち、吸収材98は、注入口52から装置本体13とインクタンク43との間まで連続して配置されると共に、漏洩インクの流路に設けられる。この構成によれば、1つの吸収材98によって注入口52から漏れた漏洩インクや、インクタンク43と装置本体13との間へ流れた漏洩インクを吸収することができる。また、吸収材39とは別に注入口形成面54に吸収材を設け、筒部53から漏れたインクを吸収させてもよい。漏洩インクの流路となる注入口形成面54上に吸収材を取り付けることにより、漏洩インクを吸収材に吸収させることができる。したがって、漏れたインクで周囲が汚染されてしまう虞を低減することができる。そして、この吸収材及び吸収材39,97,98のうち少なくとも1つの吸収材をインクタンク43に貼着や載置などして取り付けてもよい。すなわち、インクタンク43が吸収材39を備えていてもよい。
・上記各実施形態において、吸収材39の左右方向における厚みを、装置本体13とインクタンク43との隙間の幅よりも薄くしてもよい。すなわち、タンクユニット27を装置本体13に固着した場合に、吸収材39が圧縮変形されずに介在する構成としてもよい。
・上記各実施形態において、吸収材39を装置本体13に貼着せずに、装置本体13とタンクユニット27によって挟み込むようにしてもよい。また、装置本体13にタンクユニット27を固着した状態で、装置本体13とタンクユニット27との間の隙間に吸収材39を差し込んでもよい。
・上記各実施形態において、第4ケース係止部68dと第5ケース係止部68eとの間とは異なる位置に手掛部71を設けてもよい。また、タンクケース42に手掛部71を設けない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、位置決め凹部63a,63bと位置決め凸部67a,67bは、互いに凹凸嵌合するどちらか1組としてもよい。また、位置決め凹部と位置決め凸部を3組以上設けてもよい。さらに、位置決め凹部と位置決め凸部を複数組設ける場合であっても、長穴を有しない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、位置決め凹部63a,63bと位置決め凸部67a,67bを設けない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、ケース開口部42bは、インクタンク43の右側面よりも大きな必要はなく、インクタンク43の前面もしくは後面よりもケース開口部42bが大きければインクタンク43をタンクケース内に収容することができる。
・上記各実施形態において、タンクケース42は、4面一体成形物や3面一体成形物としてもよい。例えば、タンクケース42を、前面、後面、右面、上面を一体成形して底面を有さない構成としてもよい。
・上記各実施形態において、インク室50は、上下方向Zの一部が形状条件を満たしていればよい。すなわち、例えば形状条件を満たす直方体形状部分に、形状条件を満たさない部分が上下方向Zに連続して設けられた形状としてもよい。また、インク室50の形状は、形状条件を満たしていれば任意に変更することができる。例えば、水平断面視形状が円形、楕円形、矩形、多角形、部分的に凹凸部や湾曲部、屈曲部、弓部、円弧部を有する形状であってもよい。また、インク室50は、上下方向Zの各位置において水平段面視形状が変化する形状であってもよい。
・上記各実施形態において、空気取入口60は、上限目盛64bよりも上方であれば任意の位置に設けることができる。例えば、インクタンク43の右側面に設けてもよい。
・上記各実施形態において、図1に示すように、インクの注入をするか否かを判断する場合やインクを注入する場合に、スケール28aを窓部42aを沿わせると共に、スケール28aに形成された目盛を目安としてもよい。
・上記各実施形態において、インクタンク43の視認面43aに、目盛が記載されたシールなどを貼着することにより、下限目盛64a及び上限目盛64bを形成してもよい。
・上記各実施形態において、下限目盛64aと上限目盛64bは、前後方向に延びるラインを形成せずに、三角形状の印のみとしてもよい。また、三角形状の印を形成せずに、前後方向に延びるラインのみとしてもよい。
・上記各実施形態において、ケース係止部68a〜68eの数と、ねじボス部37の数は異なっていてもよい。ケース係止部68a〜68eのうち少なくとも1つのケース係止部とねじボス部37とにねじ36が螺合していれば、タンクユニット27を装置本体13に固着することができる。なお、タンクユニット27の固着とは、装置本体13から離脱しない状態であり、がたつきがある状態を含む。
・上記各実施形態において、タンクユニット27は、ボルト、両面テープ、接着剤、粘着テープ、かしめ、紐、結束帯などの固定部材により装置本体13に対して固定してもよい。
・上記各実施形態において、液体消費装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したり塗布したりして消費する液体消費装置であってもよい。なお、液体消費装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体消費装置で消費させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体消費装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。
そして、液体収容体、液体収容体ユニット、液体供給システムは、これらの液体消費装置に供給する液体を収容する液体収容体、液体収容体ユニット、液体供給システムであってもよい。
(第3実施形態)
第1実施形態、第2実施形態では、タンクユニット27は、保護ケースとしてのタンクケース42を有し、カバー44をタンクケース42に備えた記録装置12,85について説明したが、第3実施形態では、タンクケースをタンクユニットに備えずに、カバー44をインクタンクに備えた記録装置について説明する。図29は、第3実施形態における液体収容体ユニットの一例としてのタンクユニット100の斜視図である。
液体収容体の一例としてのインクタンク101には、前後方向Yにおける両側の側面にタンク係止部103a,103b,103c,103dが設けられる。タンクユニット100は、タンク係止部103a,103b,103c,103dとねじ(不図示)によって、第1実施形態の記録装置12の取付面13aや第2実施形態の記録装置85の取付面87aに取り付けられる。
インクタンク101は、一体成形物であって、内部にフィルムなどにより構成された、インクを収容する液体収容室の一例としてのインク室102が形成されている。インクタンク101は、透明もしくは半透明の樹脂製であって、インクタンク101の外側からインク室102内に収容されたインク及びインクの液面が視認可能である。
インクタンク101の上部には、インク室102内にインクを注入可能な液体注入口の一例としての注入口108が形成されている。注入口108は、インクタンク101において長手方向である前後方向Yにおける片側(本実施形態では前側)の位置に形成されている。
注入口108は、インク室102の外側に向かって突出すると共に、上下方向Zに対して非直交、且つ水平方向よりも上方向となる右上方向に向かって突出する筒部107の先端に開口するように形成されている。
インクタンク101の上部において注入口108及び筒部107が形成される注入口形成面106は、上下方向Zと交差する右上方向(一方向)を向いて形成されている。すなわち、注入口形成面106は、筒部107の基端部が形成された位置よりも左右方向Xにおける右側が低く、上下方向Zに対して非直交となるように傾斜している。筒部107の先端には、注入口108を閉塞可能な閉塞部材58(図14参照)が着脱可能に取り付けられる。
インクタンク101の前面の下方位置には、インク室102に収容されたインクをチューブ31(図1、図23参照)側へ導出する液体導出口の一例としての導出口104が形成されている。インクタンク101には、インク室102内にインクを収容した場合におけるインクの液面よりも上方位置からインク室102内に空気を取り入れる空気取入口109が形成されている。すなわち、空気取入口109は、図1の液体噴射ヘッド32でのインクの消費に伴ってインク室102に収容するインクが減少した際に、液面よりも上方位置からインク室102内に外気を取り込む。
インクタンク101の右側の面における前側には、目盛の一例としての下限目盛105aと目盛の一例としての上限目盛105bとが突出形成されている。下限目盛105aは、インク室102へインクを注入する目安となる下限量を示す目盛である。また、上限目盛105bは、注入口108から注入されてインク室102内に収容されるインクの上限量を示す目盛である。
インクタンク101の上部における後側は、空気取入口109が形成された空気取入口形成面110より上方に突出した段差部113が形成される。段差部113の左右方向Xにおける右側には、前後方向Yに延びる溝部が形成された第1レール部111が設けられる。段差部113の左右方向Xにおける左側には、前後方向Yに延びる溝部が形成された第2レール部112が設けられる。
図15のカバー44の右壁44bにおける左壁44c側の面である内面に形成された一対の摺接部80は、第1レール部111と係合して摺接する。また、左壁44cにおける右壁44b側の面である内面に形成された一対の摺接部80は、第2レール部112と係合して摺接する。
このように、段差部113には、カバー44を前後方向Yにスライド移動可能に支持する支持部としての第1レール部111と第2レール部112とが形成される。カバー44を前側にスライド移動させ、上壁44aの前側端部がインクタンク101の前側に形成された突出部114を覆う状態となると、カバー44によって、注入口108が形成された筒部107が隠蔽された状態となる。カバー44を後側にスライド移動させると、注入口108が形成された筒部107が露出された状態となる。
第1レール部111には、前後方向Yに離れて並び、図15のストッパー凸部80aと係合可能な一対のストッパー凹部(不図示)が形成されている。ストッパー凸部80aが一対のストッパー凹部のうちの前側のストッパー凹部と係合する位置では、筒部107がカバー44によって隠蔽された状態となり、ストッパー凸部80aが一対のストッパー凹部のうちの後側のストッパー凹部と係合する位置では、筒部107が露出された状態すなわち非隠蔽の状態となる。
以上、本実施形態で説明した記録装置12,85に取り付けられるタンクユニット100は、インクを消費する液体噴射ヘッド32にチューブ31を介して供給するインクを収容するインク室102と、インク室102に収容されたインクをチューブ31側へ導出する導出口104と、インク室102内にインクを注入可能な注入口108とを備えるインクタンク101と、インクタンク101に備えられて注入口108を隠蔽可能なカバー44とを備える。
この構成によれば、ユーザーは、カバー44を注入口108が露出する状態にすれば、インクタンク101に形成された注入口108からインク室102にインクを注入することができる。また、タンクユニット100は装置本体13,87に装着されているため、ユーザーが複合機11、記録装置85を持ち運ぶ際にタンクユニット100が装置本体13,87から離脱してしまう虞を低減することができる。したがって、インクを注入可能なタンクユニット100を備えた複合機11や記録装置85の運搬性を向上させることができる。
また、タンクユニット100において、カバー44は、インクタンク101の長手方向である前後方向Yにスライド移動可能に備えられる。この構成によれば、ユーザーによって注入口108を隠蔽したり露出するときの操作性が容易である。
また、タンクユニット100において、注入口108は、インクタンク101の長手方向における中央より一方の側(前後方向Yにおける前側)に備えられる。本実施形態では、注入口108は、前側の端部の位置に設けられた突出部114の後側近傍に設けられる。
この構成によれば、カバー44の上壁44aの前側端部が、突出部114を覆う位置から突出部114の後側近傍に設けられた注入口108より後側の位置に移動すれば、注入口108が露出するので、ユーザーがカバー44をスライド移動させて注入口108を隠蔽または露出するときのカバー44の移動量を短くすることができる。また、長手方向における注入口108と反対側(前後方向Yにおける後側)に、カバー44をスライド移動可能に支持するための支持部としての第1レール部111、第2レール部112を段差部113に設けることができる。