以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の建物の空調システム(以下、単に「空調システム」ということがある)は、床下空間の冷たい空気を利用して、居室空間の温度を効果的に低下させるためのものである。この空調システムは、例えば、一般的な住宅やビル等の建物に用いることができる。
図1は、本実施形態の空調システムが用いられる建物Bの断面図である。図2は、本実施形態の空調システムの換気手段を示す断面図である。建物Bは、例えば、2階建ての住宅として構成されている。建物Bは、地面に固定される基礎2、該基礎2の上方で支持される1階の床3、及び、該基礎2と床3との間で区画される床下空間4を有している。
基礎2は、建物Bの外周に連続して配置されている。本実施形態の基礎2は、鉄筋コンクリート製の布基礎として構成されている。また、基礎2は、地中G内で水平にのびるベース部2aと、該ベース部2aの幅方向の略中央から上方へのび、かつ、地中Gから突出する立上がり部2bとを含んでいる。立上がり部2bの上面側には、例えば、土台(図示省略)を介して外壁6が固定されている。
床下空間4には、該床下空間4の底面をなす土間コンクリート7が敷設されている。この土間コンクリート7は、床下空間4の空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)Ai(図2に示す)と、一年を通して温度変化が小さい地中熱Hとを熱交換可能な熱交換部8として構成されている。このような床下空間4は、夏は冷たく、冬は暖かい床下空気Aiを蓄えることができる。
床下空間4には、屋外Soの新鮮な空気(以下、単に「外気」ということがある。)Aoを導入する取り入れ口9が設けられている。また、床下空間4には、例えば、土間コンクリート7に固定される束(図示省略)や、床3を支える大引き(図示省略)が配置されている。
さらに、床下空間4には、例えば、基礎2の立上がり部2bに沿って配置される基礎断熱材11が設けられている。このような基礎断熱材11は、基礎2を介して伝えられる外気Aoの熱を遮断することができる。従って、基礎断熱材11は、床下空間4の温度変化を、効果的に小さくすることができる。なお、基礎断熱材11には、例えば、耐熱性及び耐衝撃性に優れるポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、又は、フェノールフォーム等の板状体が採用されるのが望ましい。
本実施形態の建物Bには、外壁6で囲まれる空間に、間仕切り壁14が設けられている。これにより、建物Bの空間は、居室空間16及び非居室空間17に区分される。
居室空間16は、1階の居室空間16aと、2階の居室空間16bとを含んでいる。また、非居室空間17は、1階の非居室空間21と、2階の非居室空間22とを含んでいる。
1階の非居室空間21は、例えば、1階の第1非居室空間21a、及び、1階の居室空間16aと1階の第1非居室空間21aとの間に配置される1階の第2非居室空間21bを含んで構成されている。1階の第1非居室空間21aとしては、トイレ、浴室又は洗面室が含まれる。また、1階の第2非居室空間21bとしては、廊下又は階段が含まれる。この1階の第2非居室空間21bは、1階の居室空間16aに隣接して設けられている。
2階の非居室空間22も、1階の非居室空間21と同様に、2階の第1非居室空間22a、及び、2階の居室空間16bと2階の第1非居室空間22aとの間に配置される2階の第2非居室空間22bを含んで構成されている。2階の第1非居室空間22aとしては、トイレ、浴室又は洗面室が含まれる。また、2階の第2非居室空間22bとしては、廊下又は階段が含まれる。この2階の第2非居室空間22bは、2階の居室空間16bに隣接して設けられている。また、本実施形態2階の第2非居室空間22bは、1階の第2非居室空間21bと、例えば、階段や吹き抜けを介して連通している。
間仕切り壁14には、開閉可能な扉19が設けられている。このような扉19は、居住者が、居室空間16又は非居室空間17に出入りする際を除いて閉じることができる。従って、扉19は、居住者のプライバシーを確保するのに役立つ。
本実施形態の扉19には、居室空間16又は非居室空間17の空気を出し入れ可能な通気口20が設けられている。本実施形態の通気口20は、例えば、扉19の下縁側に形成されている。これにより、建物Bの1階では、1階の居室空間16a、1階の第1非居室空間21a、及び、1階の第2非居室空間21bを、空気Ar(図2に示す)が通過可能に連通させることができる。また、建物Bの2階では、2階の居室空間16b、2階の第1非居室空間22a、及び、2階の第2非居室空間22bを、空気Ar(図2に示す)が通過可能に連通させることができる。
図2に示されるように、本実施形態の空調システムは、建物Bの室内の空気を入れ替える換気手段24が設けられている。本実施形態の換気手段24は、給気手段26及び排気手段27を含んで構成されている。
本実施形態の給気手段26は、居室空間16と床下空間4とを連通する空気流路29を含んでいる。本実施形態の空気流路29は、床下空間4と2階の天井との間を上下にのびる本体部29a、本体部29aと1階の居室空間16aとを連通する1階の分岐部29b、及び、本体部29aと2階の居室空間16bとを連通する2階の分岐部29cを含んでいる。本実施形態の空気流路29は、ダクト(図示省略)、又は、間仕切り壁の内部空間で構成されている。
本体部29aには、床下空間4に連通する取り出し口が設けられている。1階の分岐部29bは、1階の天井に沿って水平にのび、かつ、1階の居室空間16aの天井に設けられる吹き出し口に接続されている。2階の分岐部29cは、1階の分岐部29bと同様に、2階の天井に沿って水平にのび、かつ、2階の居室空間16bの天井に設けられる吹き出し口に接続されている。さらに、本実施形態の給気手段26には、例えば、床下空間4内を負圧にして、床下空気Aiを、1階の居室空間16a及び2階の居室空間16bに案内する送風手段30が含まれている。
本実施形態の排気手段27は、1階の排気手段31と、2階の排気手段32とを含んでいる。
本実施形態の1階の排気手段31は、1階の第1非居室空間21aに設けられている。1階の排気手段31は、1階の第1非居室空間21aと屋外Soとを連通する開口部(図示省略)と、この開口部に設けられる送風手段31aとを含んで構成されている。送風手段31aは、1階の第1非居室空間21a内を負圧にするものである。このような1階の排気手段31は、1階の第1非居室空間21aの空気Arを、屋外Soに排気することができる。
本実施形態の2階の排気手段32は、2階の第1非居室空間22aに設けられている。2階の排気手段32は、1階の排気手段31と同様に、2階の第1非居室空間22aと屋外Soとを連通する開口部(図示省略)と、2階の第1非居室空間22a内を負圧にする送風手段32aとを含んで構成されている。送風手段32aは、2階の第1非居室空間22a内を負圧にするものである。このような2階の排気手段32は、2階の第1非居室空間22aの空気Arを、屋外Soに排気することができる。
本実施形態の換気手段24では、先ず、送風手段30によって、床下空気Ai(図2に示す)が、給気手段26の本体部29aに案内される。次に、本体部29aに案内された床下空気Aiは、本体部29aから1階の分岐部29b及び2階の分岐部29cのそれぞれに案内される。1階の分岐部29bに案内された床下空気Aiは、1階の吹き出し口を介して1階の居室空間16aに供給される。また、2階の分岐部29cに案内された床下空気Aiは、2階の吹き出し口を介して2階の居室空間16bに供給される。
このように、給気手段26は、夏は冷たく、冬は暖かい床下空気Aiを、1階の居室空間16a及び2階の居室空間16bに供給することができる。このような床下空気Aiは、例えば、1階の居室空間16a及び2階の居室空間16bを初期空調するのに役立つ。
1階の居室空間16aは、床下空気Aiの給気によって正圧状態となる。一方、1階の排気手段31は、1階の第1非居室空間21aの空気Arを排気するため、1階の第1非居室空間21aが負圧状態となる。このため、1階の居室空間16aの空気Arは、通気口20(図1に示す)を介して、1階の第2非居室空間21b、及び、1階の第1非居室空間21aに供給される。従って、本実施形態の換気手段24では、1階の居室空間16aの空気Arが、1階の排気手段31によって主体的に排気される。
2階の居室空間16bは、床下空気Aiの供給によって正圧状態となる。一方、2階の第1非居室空間22aは、2階の排気手段32によって、負圧状態となる。このため、2階の居室空間16bの空気Arは、通気口20を介して、2階の第2非居室空間22b、及び、2階の第1非居室空間22aに供給される。従って、本実施形態の換気手段24では、2階の居室空間16bの空気Arが、2階の排気手段32によって主体的に排気される。
本実施形態では、1階の第2非居室空間21bと2階の第2非居室空間22bとが連通している。このため、1階の居室空間16aの空気Arの一部は、1階の第2非居室空間21b、2階の第2非居室空間22b、及び、2階の第1非居室空間22aに案内され、2階の排気手段32によって排気される。また、2階の居室空間16bの空気Arの一部は、2階の第2非居室空間22b、1階の第2非居室空間21b、及び、1階の第1非居室空間21aに案内され、2階の排気手段32によって排気される。
このように、換気手段24は、給気と排気とを機械的に実施する第1種換気方式として構成される。本実施形態の換気手段24は、居室空間16及び非居室空間17を含む建物全体に、床下空気Aiを循環させ、効果的に換気することができる。
換気手段24を用いた通常換気において、給気手段26の給気量及び排気手段27の排気量は、建物Bに必要な換気回数(例えば、0.5回/h)に基づいて設定される。なお、本明細書において、給気量は、給気手段26が複数存在する場合、全ての給気手段26を含んだ総給気量である。排気量は、給気量と同様に、排気手段27が複数存在する場合、全ての排気手段27を含んだ総排気量である。
図2に示されるように、本実施形態の換気手段24は、小屋裏排気手段35をさらに含んでいる。小屋裏排気手段35は、2階の第2非居室空間22bの天井と、建物Bの外壁6との間をのびる本体部35aと、本体部35aに設けられる送風手段35bとを含んでいる。送風手段35bは、2階の第2非居室空間22b内を負圧にするものである。
このような小屋裏排気手段35は、2階の第2非居室空間22bの空気Ar(図2に示す)を、小屋裏34を介して屋外Soに排気することができる。また、2階の第2非居室空間22bは、その内部が負圧になるため、建物Bの隙間や開口部から外気Aoが供給される。これにより、小屋裏排気手段35は、2階の第2非居室空間22bを効果的に換気することができる。
本実施形態の空調システムは、居室空間16を冷房するための空調装置36を含んでいる。空調装置36は、1階の居室空間16aに設けられる1階の空調装置36aと、2階の居室空間16bに設けられる2階の空調装置36bとを含んでいる。これらの空調装置36a、36bとしては、エアコン(エア・コンディショナー)である場合が例示されるが、居室空間16を冷房できるものであれば、これに限定されるわけではない。例えば、空調装置36としては、冷水パネルなどの輻射冷房機器等でもよい。
図1に示されるように、本実施形態の空調システムは、床下温度検知手段41、居室温度検知手段42、外気温度検知手段44、並びに、給気手段26及び排気手段27を制御する制御手段43を含んでいる。図3は、本実施形態の制御手段43の概念図である。
図1及び図3に示されるように、床下温度検知手段41は、温度センサーからなる。本実施形態の床下温度検知手段41は、床下空間4内に配置されている。また、床下温度検知手段41は、制御手段43に接続されている。これにより、床下温度検知手段41は、検知した床下空間4の温度を、制御手段43に伝達することができる。なお、床下温度検知手段41は、外気Aoを導入する取り入れ口9から遠ざけて配置されるのが望ましい。これにより、床下温度検知手段41は、外気Aoの影響を受けるのを抑制でき、床下空間4の温度を正確に測定することができる。
居室温度検知手段42も、床下温度検知手段41と同様に、温度センサーからなる。本実施形態の居室温度検知手段42は、1階の居室空間16aに配置される1階の居室温度検知手段42aと、2階の居室空間16bに配置される2階の居室温度検知手段42bとを含んでいる。これにより、1階の居室温度検知手段42a及び2階の居室温度検知手段42bは、1階の居室空間16aの温度及び2階の居室空間16bの温度をそれぞれ検知することができる。
1階の居室温度検知手段42a及び2階の居室温度検知手段42bは、制御手段43に接続されている。これにより1階の居室温度検知手段42a及び2階の居室温度検知手段42bは、検知した1階の居室空間16aの温度及び2階の居室空間16bの温度を、制御手段43に伝達することができる。なお、1階の居室温度検知手段42a及び2階の居室温度検知手段42bは、例えば、1階の空調装置36a、及び、2階の空調装置36bに内蔵されている温度センサー(図示省略)で代用してもよい。
外気温度検知手段44も、床下温度検知手段41と同様に、温度センサーからなる。本実施形態の外気温度検知手段44は、床下空間4の取り入れ口9側に配置されている。これにより、外気温度検知手段44は、日射や風等の影響を受けるのを防ぐことができるため、外気Aoの温度を正確に検知することができる。さらに、外気温度検知手段44は、日射、風及び雨等に直接曝されるのを防ぐことができるため、耐久性を向上しうる。なお、外気温度検知手段44は、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、外壁6に配置されてもよい。また、外気温度検知手段44は、制御手段43に接続されている。これにより、外気温度検知手段44は、検知した外気Aoの温度を、制御手段43に伝達することができる。
本実施形態の制御手段43は、例えば、間仕切り壁14等に設置されている。図3に示されるように、制御手段43は、CPU(中央演算装置)からなる演算部46と、制御手順が予め記憶されている記憶部47と、記憶部47から制御手順を読み込む作業用メモリ48とを含んで構成されている。
図2及び図3に示されるように、演算部46には、給気手段26の送風手段30、1階の排気手段31の送風手段31a、及び、2階の排気手段32の送風手段32aが接続されている。さらに、演算部46には、小屋裏排気手段35の送風手段35bが接続されている。これにより、演算部46は、例えば、各送風手段30、31a、32a及び35bに信号を伝達して、給気手段26の給気量、排気手段27の排気量、及び、小屋裏排気手段35の排気量の変更や、給気手段26、排気手段27及び小屋裏排気手段35の給排気を停止することができる。
また、本実施形態の演算部46には、1階の空調装置36a及び2階の空調装置36bが接続されている。これにより、演算部46は、1階の空調装置36a及び2階の空調装置36bの運転を制御することができる。
図4は、制御手順の一例を示すフローチャートである。図5は、第3判断工程以降の制御手順の一例を示すフローチャートである。図6は、第4判断工程以降の制御手順の一例を示すフローチャートである。
制御手順は、居室空間16の温度が第1設定温度以下になるように、床下空間4の冷たい空気Aiを利用して、居室空間16の温度を効果的に低下させるための手順である。本実施形態の制御手順では、居住者の不在(空調装置の停止状態)により、日中に高温になりがちな2階の居室空間16bの温度を低下させている。
本実施形態では、先ず、制御手段43によって、2階の居室空間16bの温度が予め定められた第1設定温度より高いか否かが判断される(第1判断工程S1)。第1設定温度としては、適宜設定することができるが、例えば、2階の居室空間16bでの熱中症を防止する観点より、30℃〜35℃(本実施形態では、32℃)が設定されるのが望ましい。
2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)より高いと判断された場合(第1判断工程S1で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を低下させる必要がある。このため、次の第2判断工程S2が実施される。一方、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断された場合(第1判断工程S1で「N」)、2階の居室空間16bの温度を低下させる必要がない。このため、本実施形態では、制御手順に基づく処理が終了する。
次に、制御手段43は、床下空間4の温度が、第2設定温度以下であるか否かを判断する(第2判断工程S2)。第2設定温度は、第1設定温度(本実施形態では、32℃)よりも低い温度であれば適宜設定することができるが、床下空気Aiを利用して、2階の居室空間16bの温度を効果的に低下させる観点より、26℃〜30℃(本実施形態では、28℃)が設定されるのが望ましい。
床下空間4の温度が、第2設定温度(本実施形態では、28℃)以下であると判断された場合(第2判断工程S2で「Y」)、冷たい床下空気Aiを利用する床下空気利用工程S3が実施される。一方、床下空間4の温度が、第2設定温度よりも高いと判断された場合(第2判断工程S2で「N」)、床下空気Aiを利用しても、2階の居室空間16bの温度を十分低下させることができない。この場合、制御手段43は、後述する第3判断工程S9を実施する。
次に、図2に示されるように、制御手段43は、給気手段26の給気量を増加させ、床下空間4からより多くの空気Aiを2階の居室空間16bに供給する(床下空気利用工程S3)。床下空気利用工程S3では、制御手段43が、給気手段26の給気量を、前記通常換気の給気量よりも増加させている。
第1判断工程S1及び第2判断工程S2での判断により、床下空間4の温度は、2階の居室空間16bの温度よりも低い第2設定温度(本実施形態では、28℃)以下である。このため、床下空気利用工程S3では、第1設定温度(本実施形態では、32℃)よりも高い2階の居室空間16bに、第2設定温度以下の冷たい床下空気Aiを積極的に供給することができる。これにより、本実施形態の空調システムでは、2階の居室空間16bの換気を図りつつ、2階の居室空間16bの温度を効果的に低下させることができる。従って、本実施形態の空調システムでは、居住者の不在(空調装置の停止状態)により、日中に高温になりがちな2階の居室空間16bの温度を低下させることができ、熱中症を効果的に防ぐことができる。
また、本発明の空調システムでは、2階の空調装置36bを運転させなくても、2階の居室空間16bの温度を効果的に低下させることができるため、ランニングコストの増大を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、1階の居室空間16aにも床下空気Aiが積極的に供給されるため、1階の居室空間16aの温度を効果的に低下させることができる。従って、空調システムでは、1階の空調装置36aのランニングコストを大幅に抑制することができる。
上記のような作用を効果的に発揮させるために、給気手段26の給気量は、例えば、前記通常換気の給気量の1.1倍〜2.0倍に設定されるのが望ましい。なお、給気手段26の給気量が、前記通常換気の給気量の1.1倍未満であると、床下空気Aiを、2階の居室空間16bに十分に供給できないおそれがある。逆に、給気手段26の給気量が、前記通常換気の給気量の2.0倍を超えると、1階の空調装置36a、又は、2階の空調装置36bを運転させている場合、空調効率が低下するおそれがある。
なお、排気手段27の排気量は、前記通常換気の排気量から増加させていない。これは、例えば、気密レベルが5.0cm2/m2以下の建物Bにおいて、給気手段26の給気量のみを増加させても、建物Bの隙間から排気させることができるためである。従って、本実施形態の空調システムでは、排気手段27の排気量増加によるランニングコストの増大を防ぐことができる。
次に、制御手段43は、床下空気利用工程S3の開始から予め定められた第1冷却時間が経過する前に、制御手段43が、第1冷却時間経過後の2階の居室空間16bの温度を予測する(工程S4)。工程S4では、先ず、床下空気利用工程S3の開始から、第1冷却時間が経過するまでの所定時間、2階の居室空間16bの温度が記録される。次に、記録された2階の居室空間16bの温度に基づいて、2階の居室空間16bの温度の下降速度が計算される。そして、2階の居室空間16bの温度の下降速度に基づいて、第1冷却時間経過後の2階の居室空間16bの温度を予測される。
第1冷却時間としては、床下空気利用工程S3の開始から2階の居室空間16bの温度を確実に低下させる観点より、例えば、30分〜80分程度(本実施形態では、60分)に設定されるのが望ましい。また、工程S4において、2階の居室空間16bの温度を記録する時間については、第1冷却時間よりも短ければ、適宜設定することができる。本実施形態では、2階の居室空間16bの温度の予測精度を維持するために、例えば、5分〜15分程度(本実施形態では、10分)に設定されるのが望ましい。
次に、制御手段43は、予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下か否か判断する(工程S5)。予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下である場合(工程S5で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を、順調に低下させることができている。従って、制御手段43は、給気手段26の給気量を増加させたまま、次の工程S6を実施する。
一方、予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)よりも高い場合(工程S5で「N」)、給気手段26の給気量を増加させても、2階の居室空間16bの温度を、十分に低下できないと推測できる。従って、制御手段43は、第1冷却時間(本実施形態では、60分)の経過を待たずに、後述する第3判断工程S9(図5に示す)を実施する。
次に、床下空気利用工程S3の開始から第1冷却時間(本実施形態では、60分)が経過したか否かが判断される(工程S6)。この工程S6では、第1冷却時間が経過したと判断された場合(工程S6で「Y」)、次の工程S7が実施される。一方、第1冷却時間が経過していないと判断された場合(工程S6で「N」)、第1冷却時間が経過するまで、工程S6が繰り返し実行される。
このように、本実施形態では、第1冷却時間(本実施形態では、60分)が経過するまで、次の工程S7が実施されない。従って、本実施形態の空調システムでは、冷たい床下空気Aiを、2階の居室空間16bに供給して、2階の居室空間16bの温度を、確実に低下させることができる。
次に、制御手段43は、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下であるか否かが判断される(工程S7)。この工程S7では、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断された場合(工程S7で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を低下させる必要がない。このため、制御手段43は、次の後処理工程S8を実施する。
一方、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度よりも高いと判断された場合(工程S7で「N」)、床下空気利用工程S3の開始から第1冷却時間(本実施形態では、60分)経過後も、2階の居室空間16bの温度を十分に低下させることができていない。このため、制御手段43は、後述する第3判断工程S9(図5に示す)を実施する。
後処理工程S8では、制御手段43が、給気手段26の給気量を、前記通常換気に戻す。後述する1階居室空気利用工程S10において、1階の排気手段31の排気を停止した場合、1階の排気手段31の排気を開始する。また、後述する外気利用工程S16において、小屋裏排気手段35の排気を行った場合、小屋裏排気手段35の排気を停止する。さらに、後述する空調装置利用工程S21において、2階の空調装置36bを運転させた場合は、2階の空調装置36bの運転を停止する。これにより、後処理工程S8では、給気手段26、排気手段27、小屋裏排気手段35、及び、2階の空調装置36bを、通常の状態に戻すことができる。
後処理工程S8が実施された後は、第1判断工程S1が再度実行される。第1判断工程S1では、工程S7と同様に、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断され(第1判断工程S1で「N」)、制御手順に基づく処理が終了する。従って、本実施形態の空調システムは、2階の居室空間16bの温度を、第1設定温度以下にすることができる。
次に、図5に示されるように、制御手段43は、1階の居室空間16aの温度が第2設定温度(本実施形態では、28℃)以下であるか否かを判断する(第3判断工程S9)。1階の居室空間の温度が第2設定温度以下であると判断された場合(第3判断工程S9で「Y」)、1階の居室空間16aの冷たい空気Arを利用する1階居室空気利用工程S10が実施される。
一方、1階の居室空間16aの温度が第2設定温度(本実施形態では、28℃)よりも高いと判断された場合(第3判断工程S9で「N」)、1階の居室空間16aの空気Arを利用しても、2階の居室空間16bの温度を十分低下させることができない。この場合、制御手段43は、後述する第4判断工程S15(図6に示す)を実施する。
次に、制御手段43は、1階の排気手段31の排気を停止し、かつ、2階の排気手段32の排気を行う(1階居室空気利用工程S10)。図7は、1階居室空気利用工程S10の作用を説明する断面図である。1階居室空気利用工程S10では、1階の居室空間16aの空気Arが、1階の排気手段31から排気されない。このため、1階の居室空間16aの空気Arは、1階の第2非居室空間21bを介して、2階の第2非居室空間22b及び2階の第1非居室空間22aに供給され、2階の排気手段32から排気される。
第3判断工程S9での判断により、1階の居室空間16aの温度は、第2設定温度(本実施形態では、28℃)以下である。このため、1階の居室空間16aの空気Arは、2階の居室空間16bに隣接する2階の第2非居室空間22bの温度を低下させることができる。これにより、2階の居室空間16bの熱が、間仕切り壁14及び扉19を介して、2階の第2非居室空間22bに伝達され、2階の居室空間16bの温度を低下させることができる。
1階居室空気利用工程S10は、前工程において、床下空気利用工程S3が実施された場合、2階の居室空間16bへの床下空気Aiの供給を継続させたまま実施されるのが望ましい。これにより、2階の居室空間16bの温度は、冷たい床下空気Aiと、2階の第2非居室空間22bの低下した温度との双方によって、効果的に低下しうる。
次に、制御手段43は、1階居室空気利用工程S10の開始から予め定められた第2冷却時間が経過する前に、制御手段43が、第2冷却時間経過後の2階の居室空間16bの温度を予測する(工程S11)。工程S11では、先ず、1階居室空気利用工程S10の開始から、第2冷却時間が経過するまでの所定時間、2階の居室空間16bの温度が記録される。次に、記録された2階の居室空間16bの温度に基づいて、2階の居室空間16bの温度の下降速度が計算される。そして、2階の居室空間16bの温度の下降速度等に基づいて、第2冷却時間経過後の2階の居室空間16bの温度を予測される。
第2冷却時間としては、2階の第2非居室空間22bの温度を低下させ、さらに、2階の居室空間16bの温度を低下させる観点より、例えば、30分〜80分程度(本実施形態では、60分)に設定されるのが望ましい。また、工程S11において、2階の居室空間16bの温度を記録する時間については、第2冷却時間よりも短ければ、適宜設定することができる。本実施形態では、前記工程S4と同一の観点より、例えば、5分〜15分程度(本実施形態では、10分)に設定されるのが望ましい。
次に、制御手段43は、予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下か否か判断する(工程S12)。予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下である場合(工程S12で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を、順調に低下できている。従って、制御手段43は、1階の居室空間16aの冷たい空気Arを、2階の第2非居室空間22bに供給させたまま、次の工程S13を実施する。
一方、予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)よりも高い場合(工程S12で「N」)、1階の居室空間16aの空気Arを、2階の第2非居室空間22bに供給しても、2階の居室空間16bの温度を、十分に低下できないと推測できる。従って、制御手段43は、第2冷却時間(本実施形態では、60分)の経過を待たずに、後述する第4判断工程S15(図6に示す)を実施する。
次に、床下空気利用工程S3の開始から第2冷却時間(本実施形態では、60分)が経過したか否かが判断される(工程S13)。この工程S13では、第2冷却時間が経過したと判断された場合(工程S13で「Y」)、次の工程S14が実施される。一方、第2冷却時間が経過していないと判断された場合(工程S13で「N」)、第2冷却時間が経過するまで、工程S13が繰り返し実行される。
このように、本実施形態では、第2冷却時間(本実施形態では、60分)が経過するまで、次の工程S14が実施されない。従って、本実施形態の空調システムでは、1階の居室空間16aの冷たい空気Arを、2階の第2非居室空間22bに供給して、2階の第2非居室空間22b及び2階の居室空間16bの温度を、確実に低下させることができる。
次に、制御手段43は、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下であるか否かが判断される(工程S14)。この工程S14では、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断された場合(工程S14で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を低下させる必要がない。このため、図4に示されるように、制御手段43は、前記後処理工程S8を実施した後に、第1判断工程S1を再度実行する。第1判断工程S1では、工程S14と同様に、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断され(第1判断工程S1で「N」)、制御手順に基づく処理が終了する。従って、本実施形態の空調システムは、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下なるように制御することができる。
一方、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度よりも高いと判断された場合(工程S14で「N」)、2階の居室空間16bの温度を低下させることができていない。このため、制御手段43は、次の第4判断工程S15(図6に示す)を実施する。
図6に示されるように、次に、制御手段43は、外気Aoの温度が、第2設定温度(本実施形態では、28℃)以下であるか否かを判断する(第4判断工程S15)。外気Aoの温度が、第2設定温度以下であると判断された場合(第4判断工程S15で「Y」)、冷たい外気Aoを利用する外気利用工程S16が実施される。
一方、外気Aoの温度が、第2設定温度(本実施形態では、28℃)よりも高いと判断された場合(第4判断工程S15で「N」)、外気Aoを利用しても、第2居室空間16の温度を十分低下させることができない。この場合、制御手段43は、後述する空調装置利用工程S21を実施する。
次に、制御手段43は、小屋裏排気手段35による排気を行う(外気利用工程S16)。図8は、外気利用工程S16の作用を説明する断面図である。外気利用工程S16では、2階の第2非居室空間22bの空気Arが排気されることによって、2階の第2非居室空間22bが負圧となり、建物Bの隙間から外気Aoが供給される。
第4判断工程S15での判断により、外気Aoの温度は、第2設定温度(本実施形態では、28℃)以下である。このため、外気Aoは、2階の居室空間16bに隣接する2階の第2非居室空間22bの温度を低下させることができる。これにより、2階の居室空間16bの熱が、間仕切り壁14及び扉19を介して、2階の第2非居室空間22bに伝達され、2階の居室空間16bの温度を低下させることができる。
外気利用工程S16は、前工程において、床下空気利用工程S3が実施された場合、2階の居室空間16bへの床下空気Aiの供給を継続させたまま実施されるのが望ましい。これにより、2階の居室空間16bの温度は、冷たい床下空気Aiと、2階の第2非居室空間22bの低下した温度との双方によって、効果的に低下しうる。
さらに、外気利用工程S16は、前工程において、1階居室空気利用工程S10が実施された場合、2階の第2非居室空間22bへの1階の居室空間16aの空気Arの供給を継続させたまま実施されてもよい。これにより、2階の第2非居室空間22bの温度は、1階の居室空間16aの空気Arと、外気Aoとの双方によって、効果的に低下しうるため、2階の居室空間16bの温度を効果的に低下させることができる。
次に、制御手段43は、外気利用工程S16の開始から予め定められた第3冷却時間が経過する前に、制御手段43が、第3冷却時間経過後の2階の居室空間16bの温度を予測する(工程S17)。工程S17では、先ず、外気利用工程S16の開始から、第3冷却時間が経過するまでの所定時間、2階の居室空間16bの温度が記録される。次に、記録された2階の居室空間16bの温度に基づいて、2階の居室空間16bの温度の下降速度が計算される。そして、2階の居室空間16bの温度の下降速度等に基づいて、第3冷却時間経過後の2階の居室空間16bの温度を予測される。
第3冷却時間としては、2階の第2非居室空間22bの温度を低下させ、さらに、2階の居室空間16bの温度を低下させる観点より、例えば、30分〜80分程度(本実施形態では、60分)に設定されるのが望ましい。また、工程S17において、2階の居室空間16bの温度を記録する時間については、第3冷却時間よりも短ければ、適宜設定することができる。本実施形態では、前記工程S4や前記工程S11と同一の観点より、例えば、5分〜15分程度(本実施形態では、10分)に設定されるのが望ましい。
次に、制御手段43は、予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下か否か判断する(工程S18)。予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下である場合(工程S18で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を、順調に低下できている。従って、制御手段43は、冷たい外気Aoを、2階の第2非居室空間22bに供給させたまま、次の工程S19を実施する。
一方、予測された2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)よりも高い場合(工程S18で「N」)、2階の第2非居室空間22bに外気Aoを供給しても、2階の居室空間16bの温度を、十分に低下することができないと推測できる。従って、制御手段43は、第2冷却時間(本実施形態では、60分)の経過を待たずに、後述する空調装置利用工程S21を実施する。
次に、外気利用工程S16の開始から第3冷却時間(本実施形態では、60分)が経過したか否かが判断される(工程S19)。この工程S19では、第3冷却時間が経過したと判断された場合(工程S19で「Y」)、次の工程S20が実施される。一方、第3冷却時間が経過していないと判断された場合(工程S19で「N」)、第3冷却時間が経過するまで、工程S19が繰り返し実行される。
このように、本実施形態では、第3冷却時間(本実施形態では、60分)が経過するまで、次の工程S20が実施されない。従って、本実施形態の空調システムでは、冷たい外気Aoを、2階の第2非居室空間22bに供給して、2階の第2非居室空間22b及び2階の居室空間16bの温度を、確実に低下させることができる。
次に、制御手段43は、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下であるか否かが判断される(工程S20)。この工程S20では、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断された場合(工程S20で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を低下させる必要がない。このため、制御手段43は、図4に示されるように、前記後処理工程S8を実施した後に、第1判断工程S1を再度実行する。第1判断工程S1では、工程S20と同様に、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断され(第1判断工程S1で「N」)、制御手順に基づく処理が終了する。従って、本実施形態の空調システムは、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下なるように制御することができる。
一方、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度よりも高いと判断された場合(工程S20で「N」)、2階の居室空間16bの温度を低下させることができていない。このため、制御手段43は、次の空調装置利用工程S21を実施する。
次に、制御手段43は、2階の空調装置36bを運転させて2階の居室空間16bを冷房する(空調装置利用工程S21)。図9は、空調装置利用工程S21の作用を説明する断面図である。空調装置利用工程S21では、2階の居室空間16bを直接冷房している。このため、空調装置利用工程S21では、2階の居室空間16bの温度を確実に低下させることができる。
空調装置利用工程S21は、前工程において、床下空気利用工程S3が実施された場合、2階の居室空間16bへの床下空気Aiの供給を継続させたまま実施されてもよい。これにより、2階の居室空間16bの熱い空気Arを効果的に排気できるため、空調効率を高めることができる。
また、空調装置利用工程S21は、前工程において、1階居室空気利用工程S10が実施された場合、2階の第2非居室空間22bへの1階の居室空間16aの空気Arの供給を継続させたまま実施されてもよい。さらに、空調装置利用工程S21は、前工程において、外気利用工程S16が実施された場合、2階の第2非居室空間22bへの外気Aoの供給を継続させたまま実施されてもよい。これにより、本実施形態では、2階の空調装置36bと、2階の第2非居室空間22bの温度との双方によって、2階の第2居室空間16bの温度を効果的に低下しうる。
次に、制御手段43は、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度(本実施形態では、32℃)以下であるか否かが判断される(工程S22)。この工程S22では、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断された場合(工程S22で「Y」)、2階の居室空間16bの温度を低下させる必要がない。このため、制御手段43は、図4に示されるように、前記後処理工程S8を実施した後に、第1判断工程S1が再度実行する。第1判断工程S1では、工程S22と同様に、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下であると判断され(第1判断工程S1で「N」)、制御手順に基づく処理が終了する。従って、本実施形態の空調システムは、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度以下なるように制御することができる。
一方、2階の居室空間16bの温度が、第1設定温度よりも高いと判断された場合(工程S22で「N」)、2階の居室空間16bの温度を十分に低下させることができていない。このため、制御手段43は、2階の居室空間16bの温度が第1設定温度以下になるまで、工程S22を繰り返し実施する。
このように、本実施形態の空調システムでは、床下空気Aiを利用して2階の居室空間16bの温度を十分に低下できない場合であっても、1階の居室空間16aの空気Ar、外気Ao、及び、2階の空調装置36bを利用することにより、2階の居室空間16bの温度を確実に低下させることができる。従って、本実施形態の空調システムは、2階の居室空間16bでの熱中症を抑制することができる。
本実施形態の空調システムにおいて、上記のような制御手順(2階の居室空間16bの冷房)が実行される時刻については、適宜設定することができる。例えば、2階の居室空間16bの温度が第1設定温度(本実施形態では、32℃)を超える可能がある6時〜24時に実施されるのが望ましい。また、制御手順は、図4、図5及び図6において、スタートからエンドまでの一連の処理が終了しても、上記時刻の間、繰り返し実行される。これにより、時々刻々と温度が変化する2階の居室空間16bの温度を低下させることができる。
また、本実施形態の制御手順は、冷たい床下空気Aiを利用して、2階の居室空間16bの温度を効果的に低下させるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、冷たい床下空気Aiを利用して、1階の居室空間16aの温度を低下させるものでもよい。この場合、図4、図5及び図6に示すフローチャートにおいて、1階居室空気利用工程S10を除く各工程を、1階の居室空間16aの温度に基づいて実施すればよい。さらに、制御手順は、1階の居室空間16aの温度、及び、2階の居室空間16bの温度の双方を低下させるものでもよい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1及び図2に示す基本構造を有する建物(実施例1、実施例2)が、コンピュータで取り扱い可能なモデルとして、コンピュータに入力された。実施例1では、図4〜図6に示したフローチャートのうち、空調装置利用工程S21及び工程S22を除いた手順に従って、2階の居室空間の冷房シミュレーションが実施された。一方、実施例2では、空調装置利用工程S21及び工程S22を含む手順に従って、2階の居室空間の冷房シミュレーションが実施された。そして、実施例1及び実施例2において、2階の居室空間の温度が計算された。
また、図1に示した基本構造を有し、かつ、排気のみを機械的に実施する第3種換気方式が採用された建物(比較例)が、コンピュータで取り扱い可能なモデルとして、コンピュータに入力された。比較例の建物では、実施例1及び実施例2の建物とは異なり、基礎断熱材の代わりに、床断熱材が採用されている。そして、比較例のモデルを用いて、2階の居室空間の温度を計算するシミュレーションが実施された。シミュレーション条件は次のとおりである。また、テストの結果を表1に示す。
・ソフトウェア:建築環境ソリューションズ社製の「温熱環境シミュレーションプログラム(AE−Sim/Heat)
・気象データ:SMASH気象データ(大阪府)
・気象データの期間:6月15日〜9月15日(92日間)
・最暑日:8月11日
・プラン:居室の床面積:123m2
・実施例1、実施例2:
・第1設定温度:32℃
・第2設定温度:28℃
・通常換気:
・給気手段の給気量:150m3/h
・排気手段の排気量:150m3/h
・床下空気利用工程:
・給気手段の給気量:250m3/h
・排気手段の排気量:150m3/h
・小屋裏排気手段の排気量:250m3/h
・第1冷却時間、第2冷却時間、第3冷却時間:60分
・2階の居室空間の温度を予測するための温度記録時間:10分
・居室空間の冷房(制御手順)が実行される時刻:0時〜24時
・空調装置の設定温度:27℃
・比較例:
・排気手段の排気量:150m3/h
テストの結果、実施例1及び実施例2では、比較例に比べて、2階の居室空間の温度を効果的に低下しうることが確認できた。また、実施例1及び実施例2では、比較例に比べて、1階の居室空間の温度も効果的に低下しうることが確認できた。
さらに、空調装置利用工程S21が実施される実施例2では、全ての期間において、1階の居室空間の温度、及び、2階の居室空間の温度を、第1設定温度(32℃)以下に保持しうることが確認できた。