以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の前記式(II)で表されるホウ素化合物の製造方法は、下記式(I)で表される化合物を原料に用いる。
式(I)中、Yは2価の基を表わす。Yで表される2価の基としては、下記式(Y−1)〜式(Y−4)で表される基が挙げられる。
Yが式(Y−1)〜式(Y−4)で表される基のとき、式(I)で示される化合物は、下記式(I−1)〜式(I−4)で表される。
式(I−1)〜式(I−4)で表される化合物中、合成の容易さの観点から式(I−1)で表される化合物が好ましい。
式(I−1)〜(I−4)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機基を表す。有機基としては、1価の基であり、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい酸イミド基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、及びカルボキシル基が挙げられる。式(I−1)〜(I−4)のそれぞれにおいて、Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なってもよい。
Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜30である。アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20程度である。置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキルチオ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。アルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20程度である。置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
アリール基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、芳香環上の水素原子1個を除いた原子団であり、炭素数は、通常6〜60である。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例と同じである。アリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル基(C1〜C12アルキルは、炭素数1〜12のアルキルであることを示す。C1〜C12アルキルは、好ましくはC1〜C8アルキルであり、より好ましくはC1〜C6アルキルである。C1〜C8アルキルは、炭素数1〜8のアルキルであることを示し、C1〜C6アルキルは、炭素数1〜6のアルキルであることを示す。C1〜C12アルキル、C1〜C8アルキル及びC1〜C6アルキルの具体例としては、上記アルキル基で説明し例示したものが挙げられる。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
アリールオキシ基は、その炭素数が通常6〜60程度である。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基及びペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
アリールチオ基は、その炭素数が通常6〜60程度である。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールアルキル基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、アルキル部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、アルコキシ部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールアルキルオキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基は、その炭素数が通常7〜60程度であり、アルキルチオ部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアシル基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アシル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基及びペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアシルオキシ基は、その炭素数が通常2〜20程度である。アシルオキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミド基は、その炭素数が通常1〜20程度である。アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる基をいう。アミド基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよいアミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
置換基を有していてもよい酸イミド基とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる基をいう。酸イミド基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子が挙げられる。該ハロゲン原子の具体例は、Rで表されるハロゲン原子の具体例と同じである。置換基を有していてもよい酸イミド基の具体例としては、スクシンイミド基及びフタル酸イミド基が挙げられる。
置換アミノ基は、その炭素数が通常1〜40程度である。置換アミノ基が有する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキルオキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルオキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
置換シリル基が有する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基及びジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
置換シリルオキシ基が有する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換シリルオキシ基の具体例としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基及びジメチルフェニルシリルオキシ基が挙げられる。
置換シリルチオ基が有する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換シリルチオ基の具体例としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリイソプロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基及びジメチルフェニルシリルチオ基が挙げられる。
置換シリルアミノ基が有する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基が挙げられる。該置置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例は、Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基及びアリール基の具体例と同じである。置換シリルアミノ基の具体例としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリイソプロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基、ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(トリエチルシリル)アミノ基、ジ(トリプロピルシリル)アミノ基、ジ(トリイソプロピルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基、ジ(トリフェニルシリル)アミノ基、ジ(トリ−p−キシリルシリル)アミノ基、ジ(トリベンジルシリル)アミノ基、ジ(ジフェニルメチルシリル)アミノ基、ジ(tert−ブチルジフェニルシリル)アミノ基及びジ(ジメチルフェニルシリル)アミノ基が挙げられる。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から、複素環上の水素原子1個を除いた原子団である。複素環式化合物としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β-カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン及びフェナジンが挙げられる。複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基が挙げられる。該ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例は、Rで表されるハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアルキルチオ基の具体例と同じである。複素環基としては、芳香族複素環基が好ましい。
複素環オキシ基としては、前記1価の複素環基に酸素原子が結合した式(A−1)で表される基が挙げられる。
複素環チオ基としては、前記1価の複素環基に硫黄原子が結合した式(A−2)で表される基が挙げられる。
(A−1) (A−2)
(式(A−1)及び式(A−2)中、Ar
3は1価の複素環基を表す。)
複素環オキシ基の具体例としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、ピロリルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、チアゾールオキシ基及びチアジアゾールオキシ基が挙げられる。
複素環チオ基の具体例としては、チエニルメルカプト基、C1〜C12アルキルチエニルメルカプト基、ピロリルメルカプト基、フリルメルカプト基、ピリジルメルカプト基、C1〜C12アルキルピリジルメルカプト基、イミダゾリルメルカプト基、ピラゾリルメルカプト基、トリアゾリルメルカプト基、オキサゾリルメルカプト基、チアゾールメルカプト基及びチアジアゾールメルカプト基が挙げられる。
アリールアルケニル基は、通常、その炭素数8〜20である。アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
アリールアルキニル基は、通常、その炭素数8〜20である。アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
本発明の反応性化合物を使用して合成される高分子化合物(以下、当該高分子化合物を本発明の高分子化合物という。)の溶媒に対する溶解性を高める観点からは、Rは、炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルコキシ基、炭素数6以上のアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、炭素数6以上のアシル基及び炭素数6以上のアシルオキシ基が好ましく、炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基がより好ましく、炭素数6以上のアルキル基が特に好ましい。
Rの好ましい一態様である炭素数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、トリアコンチル基、テトラコンチル基、ペンタコンチル基などの直鎖状のアルキル基や1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−プロピルペンチル基、3−ヘプチルドデシル基、2−ヘプチルウンデシル基、2−オクチルドデシル基、3,7,11−トリメチルドデシル基、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル基及び3,5,5−トリメチルへキシル基などの分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数6以上のアルキル基は、本発明の高分子化合物の溶媒に対する溶解性等を考慮して適宜選択されるが、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、1−プロピルペンチル基及び3−ヘプチルドデシル基が好ましく、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基及び3−ヘプチルドデシル基がより好ましく、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基及び3−ヘプチルドデシル基が特に好ましい。
Rの好ましい一態様であるアリール基としては、本発明の高分子化合物の溶媒に対する溶解性等を考慮した場合、アルキル基が置換したフェニル基が好ましい。アルキル基の置換位置は、パラ位が好ましい。パラ位にアルキル基が置換したフェニル基としては、p−ヘキシルフェニル基、p−ヘプチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ノニルフェニル基、p−デシルフェニル基、p−ウンデシルフェニル基、p−ドデシルフェニル基、p−トリデシルフェニル基、p−テトラデシルフェニル基、p−ペンタデシルフェニル基、p−ヘキサデシルフェニル基、p−2−エチルヘキシルフェニル基、p−3,7−ジメチルオクチルフェニル基、p−1−プロピルペンチルフェニル基及びp−2−ヘキシルデシルフェニル基が好ましく、p−ヘキシルフェニル基、p−ヘプチルフェニル基、p−オクチルフェニル基、p−ドデシルフェニル基、p−ペンタデシルフェニル基、p−ヘキサデシルフェニル基、p−2−エチルヘキシルフェニル基、p−3,7−ジメチルオクチルフェニル基及びp−2−ヘキシルデシルフェニル基がより好ましく、p−ドデシルフェニル基、p−ペンタデシルフェニル基、p−2−エチルヘキシルフェニル基及びp−3,7−ジメチルオクチルフェニル基が特に好ましい。
本発明のホウ素化合物の製造方法は、式(I)で表される化合物と、ジホウ酸エステル誘導体と、金属触媒とを反応溶媒中で反応させ、下記式(II)で表されるホウ素化合物を得る。
式(II)中、Yは、式(I)中のYと同一である。W1及びW2は、それぞれ独立に、ホウ酸エステル残基を表す。合成の容易さの観点から、W1及びW2は同一であることが好ましい。
式(II)中、W1及びW2で表されるホウ酸エステル残基は、下記式(W−1)〜式(W−8)で表される基が例示される。
式(II)で表されるホウ素化合物は、下記式(II−1)〜(II−12)で例示される。
式(II−1)〜(II−12)で例示される構造の内、合成の容易さの観点から、式(II−5)〜式(II−8)で表される構造が好ましく、式(II−5)、式(II−6)で表される構造がより好ましく、式(II−5)で表される構造が特に好ましい。
ジホウ酸エステル誘導体とは、下記式(W1−1)〜(W1〜8)で表される化合物が例示される。
式(W1−1)〜(W1−8)で表される化合物のうち、合成上の取り扱いの容易さの観点からは、式(W1−5)、式(W1−6)、式(W1−7)及び、式(W1−8)で表される化合物が好ましく、式(W1−7)で表されるビスピナコラートジボロンが特に好ましい。ジホウ酸エステル誘導体は2種類以上を組み合わせて反応に用いてもよいが、1種類であることが好ましい。ジホウ酸エステル誘導体の使用量は、式(I)で表される化合物のモル数に対して、通常2〜100当量である。
金属触媒は、イリジウムを含む金属触媒が好ましく、下記式(M)で表されるビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム(I)と、下記式(L)で表される4,4’―ジ−t−ブチルビピリジンとを混合して得られる金属触媒を用いる場合が特に好ましい。
金属触媒の使用量は、式(I)で示される化合物のモル数に対して、0.001〜10当量であり、好ましくは0.01〜1当量である。
反応溶媒としては、、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの不飽和炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンなどのハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化不飽和炭化水素溶媒などが挙げられる。中でも、飽和炭化水素溶媒を用いることが好ましく、シクロヘキサンを用いることがより好ましい。
反応溶媒の使用量としては、式(I)で示される化合物1重量部に対して、例えば、0.5〜500重量部の範囲等が挙げられ、好ましくは1〜300重量部の範囲等が挙げられる。
式(I)で表される化合物とジホウ酸エステル誘導体と金属触媒とは、それぞれ反応溶媒に任意の順序で混合されるが、式(I)で表される化合物とジホウ酸エステル誘導体とを反応溶媒に混合した混合溶液を、アルゴンガスや窒素ガスでバブリングして脱気した後に、金属触媒を混合することが好ましい。
反応温度は0〜200℃の範囲、好ましくは20〜180℃の範囲である。反応時間は制限されず、式(I)で示される化合物が消失した時点を反応の終点とすることができる。本工程の反応時間は、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの分析手段で、混合物中の式(I)で示される化合物又はジホウ酸エステル誘導体が低減されないか、得られる式(II)で表される化合物が増加しなくなるまで行われ、具体的には、1分〜48時間の範囲である。
式(II)で表されるホウ素化合物を含有する固相は、反応溶液から濾過やデカンテーション等の通常の固液分離操作によって得ることができ、さらに再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の精製手段により、式(II)で表されるホウ素化合物を単離、精製することができる。
本発明の製造方法を用いて合成した式(II)で表されるホウ素化合物を使用し、高分子化合物合成することができる。
本発明の製造方法を用いた化合物を使用し、高分子化合物合成を製造する方法としては、特に制限されるものではないが、高分子化合物の合成の容易さからは、Suzukiカップリング反応を用いることができる。
本発明の製造方法を用いた化合物を使用し、製造した高分子化合物は、高い電子及び/又はホール輸送性を発揮し得ることから、該高分子化合物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の種々の電子素子に好適に用いることができる。
たとえば、光電変換素子において、本発明の高分子化合物は活性層の材料として用いられる。また有機薄膜トランジスタにおいて、本発明の高分子化合物は、ソース電極とドレイン電極との電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)に用いられる。また有機エレクトロルミネッセンス素子において、本発明の高分子化合物は、発光層に用いられる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(NMR測定)
NMR測定は、化合物を重クロロホルムに溶解させ、NMR装置(Varian社製、INOVA300)を用いて行った。
(LC測定)
LC測定は、化合物をテトラヒドロフラン溶解させ、LC装置(島津製作所製、LC−20A)を用いて行った。
合成例1
(化合物2の合成)
500mlフラスコに、4,5−ジフルオロ−1,2−ジアミノベンゼン(化合物1)(東京化成工業製)を10.2g(70.8mmol)、ピリジンを150mL入れて均一溶液とした。フラスコを0℃に冷却し、フラスコ内に塩化チオニル16.0g(134mmol)を滴下した。滴下後、フラスコを25℃に温めて、6時間反応を行った。その後、反応液に水250mlを加え、さらにクロロホルムを加えて反応生成物を含む有機層を抽出した。クロロホルム溶液である有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液をエバポレーターで濃縮し、析出した固体を再結晶で精製した。再結晶の溶媒には、メタノールを用いた。精製後、化合物2を10.5g(61.0mmol)得た。
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 7.75(s, 2H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -128.3(s, 2F)
実施例1
(化合物3の合成)
四つ口フラスコを用いて、化合物2(1.00g,5.81mmol)、ビスピナコラートジボロン(3.10g,12.20mmol)及び、シクロヘキサン(60mL)を加え、室温で30分間アルゴンバブリングを行った。続いて、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ジ−μ−メトキシジイリジウム(I)(192.5mg,0.29mmol)及び、4,4’―ジ−t−ブチルビピリジン(155.9mg,0.58mmol)を加えた後、加熱還流を7時間行った。反応溶液をセライト濾過し、得られた粗結晶をヘキサンに再溶解後、再結晶を行うことで、白色固体の化合物3を1.19g得た。(収率48.3%)
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 1.45(s, 24H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -117(s, 2F)
比較例1
(化合物5の合成)
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100mLフラスコに、化合物2を2.00g(11.6mmol)、鉄粉を0.20g(3.58mmol)入れ、フラスコを90℃に加熱した。このフラスコに、臭素31g(194mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後、反応液を90℃で38時間攪拌した。その後、フラスコを室温(25℃)まで冷却し、クロロホルム100mLを入れて希釈した。得られた溶液を、5wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液300mLに注ぎ込み、1時間攪拌した。得られた混合液の有機層を分液ロートで分離し、水層をクロロホルムで3回抽出した。得られた抽出液を有機層に混合し、混合した溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、溶媒を留去した。得られた黄色の固体を、55℃に熱したメタノール90mLに溶解させ、その後、25℃まで冷却した。析出した結晶をろ過して回収し、その後、室温(25℃)で減圧乾燥して化合物5を1.50g得た。
(化合物3の合成)
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四つ口フラスコに、化合物5を12.30g(37.28mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロンを23.67g(93.20mmol)、酢酸カリウムを9.15g(93.20mmol)及び、ジオキサンを500mL加え、室温(25℃)で30分間アルゴンバブリングを行った。反応溶液にジフェニルホスフィノフェロセンパラジウムジクロリドを1.52g(1.86mmol)、ジフェニルホスフィノフェロセンを1.03mg(1.86mmol)加えた後、加熱還流を60時間行った。還流後、液体クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した。反応溶液をセライトろ過して不溶分を分離した後、ろ液を乾燥させて溶媒を除去し、褐色固体を得た。得られた褐色固体に、熱ヘキサン200mLを加えてろ過し、ろ液を乾燥させて溶媒を除去して粗結晶を得た。続いて、粗結晶をヘキサンで再結晶した。再結晶を2回行い、化合物3を3.12g得た。(化合物2からのトータル収率4.0%)
1H-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : 1.45(s, 24H)
19F-NMR(CDCl3, δ(ppm)) : -117(s, 2F)