JP6235028B2 - リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明者らは、リチウムイオン電池活物質の表面の一部を被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆することによって、電極の導電性を高めることができる可能性があることを見出したが、リチウムイオン電池活物質の表面を被覆する具体的な方法としては様々な方法が考えられ、検討の余地があった。
本発明は、上記状況を踏まえてなされたものであり、活物質の電子伝導性を向上させることのできるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法は、リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法であって、上記リチウムイオン電池活物質の存在下、上記被覆用樹脂を含む樹脂溶液を投入し、その後、上記導電助剤を加えることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法は、リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法であって、
上記リチウムイオン電池活物質の存在下、上記被覆用樹脂を含む樹脂溶液を投入し、その後、上記導電助剤を加えることを特徴とする。
これにより、リチウムイオン電池活物質の周囲に樹脂溶液を付着させることができる。
正極活物質(Y1)としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2及びLiMn2O4)、遷移金属酸化物(例えばMnO2及びV2O5)、遷移金属硫化物(例えばMoS2及びTiS2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられる。
負極活物質(Y2)としては、黒鉛、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLi4Ti5O12等)等が挙げられる。
被覆用樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)、ポリアミド樹脂(D)、他の樹脂(E)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)、ポリアミド樹脂(D)及びこれらの混合物が好ましく、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)及びポリアミド樹脂(D)がより好ましい。
特に、重合体(A1)は、ビニルモノマー(a)としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)及び下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(a2)を含むことが好ましい。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
[式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数4〜36の分岐アルキル基である。]
R2は炭素数4〜36の分岐アルキル基であり、R2の具体例としては、1−アルキルアルキル基[1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、1−ブチルエイコシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−オクチルヘキサデシル基、1−デシルテトラデシル基、1−ウンデシルトリデシル基等]、2−アルキルアルキル基[2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、2−メチルノニル基、2−エチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−エチルノニル基、2−ヘキシルオクタデシル基、2−オクチルヘキサデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルトリデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−トリデシルペンタデシル基、2−デシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルエイコシル基、2−ヘキサデシルエイコシル基等]、3〜34−アルキルアルキル基(3−アルキルアルキル基、4−アルキルアルキル基、5−アルキルアルキル基、32−アルキルアルキル基、33−アルキルアルキル基及び34−アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7〜11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1〜1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7〜8量体)及びα−オレフィン(炭素数5〜20)オリゴマー(4〜8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
これらのうち、好ましいのは2−アルキルアルキル基であり、より好ましいのは2−エチルヘキシル基及び2−デシルテトラデシル基である。
活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a3)としては、下記(a31)〜(a38)が挙げられる。
(a31)炭素数1〜20のモノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)脂肪族モノオール(メタノール、エタノール、n−又はi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロヘキシルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a33−1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)又はジアラルキル(炭素数7〜15)(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4〜20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN−メチル−N−ビニルアセトアミド、環状アミド(ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えば、N−ビニルピロリドン等))
(i)ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
ピリジン化合物(炭素数7〜14、例えば2−又は4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニル−2−ピロリドン)
炭素数3〜15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1〜4)アクリレート
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8〜16、例えばニトロスチレン)等
(a34−1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2〜18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4〜10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等)等
炭素数4〜18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
炭素数8〜20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
脂肪族ビニルエステル[炭素数4〜15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9〜20、例えば芳香族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3〜15、例えばビニルアルキル(炭素数1〜10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1〜6)アルキル(炭素数1〜4)エーテル(ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2〜6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]
芳香族ビニルエーテル(炭素数8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
脂肪族ビニルケトン(炭素数4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)
芳香族ビニルケトン(炭素数9〜21、例えばビニルフェニルケトン)
炭素数4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
モノマーの含有量が上記範囲内であると、電解液への吸液性が良好となる。
より好ましい含有量は、(a1)が15〜60重量%、(a2)が5〜60重量%、(a3)が5〜80重量%であり、さらに好ましい含有量は、(a1)が25〜50重量%、(a2)が15〜45重量%、(a3)が20〜60重量%である。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
SP値は、Fedors法によって計算される。SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。
SP値は、この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
重合に際しては、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル等)]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して行なうことができる。
重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%である。
溶液又は分散液のモノマー濃度は通常5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。使用量はモノマーの全重量に基づいて通常2重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
架橋重合体においては、重合体(A1)中のカルボキシル基等の活性水素と反応する反応性官能基を有する架橋剤(A’)を用いて重合体(A1)を架橋することが好ましく、架橋剤(A’)としてポリエポキシ化合物(a’1)及び/又はポリオール化合物(a’2)を用いることが好ましい。
加熱温度は、架橋剤としてポリエポキシ化合物(a’1)を用いる場合は70℃以上とすることが好ましく、ポリオール化合物(a’2)を用いる場合は120℃以上とすることが好ましい。
ポリエーテルジオール中にオキシエチレン単位が含まれる場合、オキシエチレン単位の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
また、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGと略記)、ポリオキシプロピレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオール等も挙げられる。
これらのうち、好ましくはPEG、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合ジオール及びポリオキシエチレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオールであり、特に好ましくはPEGである。
また、ポリエーテルジオールを1種のみ用いてもよいし、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。
高分子ジオール(b11)は、数平均分子量が2,500〜15,000であるとウレタン樹脂(B)の硬さが適度に柔らかく、また、活物質上に形成した被膜の強度が強くなるため好ましい。
また、高分子ジオール(b11)の数平均分子量が3,000〜12,500であることがより好ましく、4,000〜10,000であることがさらに好ましい。
高分子ジオール(b11)の数平均分子量は、高分子ジオールの水酸基価から算出することができる。
また、水酸基価は、JIS K1557−1の記載に準じて測定できる。
高分子ジオール(b11)の含有量が20〜80重量%であると、ウレタン樹脂(B)の電解液の吸液の点で好ましい。
鎖伸長剤(b13)としては、例えば炭素数2〜10の低分子ジオール(例えばEG、プロピレングリコール、14BG、DEG、1,6−ヘキサメチレングリコール等);ジアミン類[炭素数2〜6の脂肪族ジアミン(例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン等)、炭素数6〜15の脂環式ジアミン(例えばイソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等)、炭素数6〜15の芳香族ジアミン(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)等];モノアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン等);ヒドラジンもしくはその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは低分子ジオールであり、特に好ましいものはEG、DEG及び14BGである。
高分子ジオール(b11)及び鎖伸長剤(b13)の組み合わせとしては、高分子ジオール(b11)としてのPEGと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせ、又は、高分子ジオール(b11)としてのポリカーボネートジオールと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせが好ましい。
なお、(b11)と(b12)との当量比[(b11)/(b12)]はより好ましくは13/1〜25/1であり、さらに好ましくは15/1〜20/1である。
ジオールの種類としては、上述したポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオール等が挙げられる。
また、ウレタン樹脂(B)が高分子ジオール(b11)、鎖伸長剤(b13)及びイソシアネート成分(b2)を含む場合、(b2)/[(b11)+(b13)]の当量比は通常0.9/1〜1.1/1、好ましくは0.95/1〜1.05/1である。この範囲外の場合ではウレタン樹脂が充分に高分子量にならないことがある。
例えば、活性水素成分(b1)として高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)を用い、イソシアネート成分(b2)と高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)とを同時に反応させるワンショット法や、高分子ジオール(b11)とイソシアネート成分(b2)とを先に反応させた後に鎖伸長剤(b13)を続けて反応させるプレポリマー法が挙げられる。
また、ウレタン樹脂(B)の製造は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行う場合の適当な溶媒としては、アミド系溶媒[DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記)等]、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族系溶媒(トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものはアミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒及びこれらの2種以上の混合物である。
ポリオールとしては、ジオール(c1)及び3価以上のポリオール(c2)が、ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(c3)及び3価以上のポリカルボン酸(c4)が挙げられる。これらの中では、ジオール(c1)、ジカルボン酸(c3)とともに3価以上のポリオール(c2)及び/又は3価以上のポリカルボン酸(c4)を用いた非線状のポリエステル樹脂が好ましく、(c1)、(c2)、(c3)、(c4)の4成分からなるポリエステル樹脂がより好ましい。
装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム:TSK gel Super H4000+TSK gel Super H3000+TSK gel Super H2000(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準:ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
炭素数18の一塩基酸:0〜5重量%(好ましくは0〜2重量%、より好ましくは0〜1重量%)
炭素数36の二塩基酸:60重量%未満(好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%未満)
炭素数54の三塩基酸:40重量%以上(好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上)
また、必要により該(d1)の一部を他の三塩基酸もしくは四塩基酸に置き換えても良い。該他の三塩基酸もしくは四塩基酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフエノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸(これらの酸無水物、炭素数1〜3のアルキルエステルを含む)等が挙げられる。
装置:HLC−802A(東ソー株式会社製)
カラム:TSK gel GMH6 2本(東ソー株式会社製)
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%DMF溶液
溶液注入量:200μl
検出装置:RI
標準:ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
ここで、樹脂溶液の粘度とは、B型粘度計でローターNo.7を用いて、25℃、6回転/分の条件で測定したときの数値である。
樹脂溶液を投入する際の撹拌条件は特に限定されるものではないが、周速1〜30m/sで撹拌させることが好ましく、5〜25m/sで撹拌させることがより好ましく、8〜20m/sで撹拌させることがさらに好ましい。
なお、本明細書における周速は撹拌翼の先端の速度であり、次式によって計算される。
V=π×Di×N÷60
但し、Vは翼周速度(m/s)を、Diは撹拌翼の翼径(m)を、Nは回転数(rpm)を、πは円周率を表す。
撹拌を行う装置としては、撹拌機、万能混合機、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
樹脂溶液の投入方法としては、滴下、注入等の方法が挙げられる。
上記条件から樹脂溶液の投入方法としては、例えば、樹脂固形分の割合が10〜40重量%である樹脂溶液を、1〜90分かけて滴下する方法等が好ましい。
また、樹脂溶液を投入した後に、樹脂溶液をリチウムイオン電池活物質に均一に被覆させる観点から、撹拌を行うことが好ましい。撹拌条件は樹脂溶液を投入する際の撹拌条件と同様にすることが好ましい。
ここで、リチウムイオン電池活物質の合計表面積は、使用したリチウムイオン電池活物質の重量と比表面積との積から算出したものである。また、比表面積とは、BET比表面積をいうものとする。
これにより、樹脂溶液が付着したリチウムイオン電池活物質の周囲に、さらに導電助剤を付着させることができる。一方、樹脂溶液を投入する前に導電助剤を加えると、導電助剤同士が凝集してしまい、リチウムイオン電池活物質の全体に導電助剤を付着させることが困難となる。
具体的には、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤(X)は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、さらに好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、特に好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤(X)としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料[上記した(X)のうち金属のもの]をめっき等でコーティングしたものでもよい。
また、導電助剤を加えた後、周速9〜90m/sで撹拌する工程を含むことが好ましく、周速が12〜85m/sであることがより好ましく、14〜80m/sであることがさらに好ましい。
導電助剤を加える際の固形分濃度とは、導電助剤が加えられる系(リチウムイオン活物質と被覆用樹脂とを含む混合物)の系中に含まれる固形分の濃度であり、リチウムイオン電池活物質、被覆用樹脂、溶媒及びその他の成分の合計重量に対する固形分の濃度である。
固形分には、リチウムイオン電池活物質、被覆用樹脂の固形成分、及び、その他の成分に含まれる固形分が含まれ、それらの固形分の合計量から固形分濃度を算出する。
これにより、表面から溶媒が除去されたリチウムイオン電池用被覆活物質を得ることができる。なお、均一に被覆する観点から、導電助剤を加えた後、攪拌しながら脱溶媒を行うことが好ましい。
導電助剤を加えた後、撹拌しながら脱溶媒を行う場合の周速は2〜50m/sであることが好ましく、3〜30m/sであることがより好ましく、4〜20m/sであることがさらに好ましい。
さらに、上記リチウムイオン電池用被覆活物質を含む電極を用いて、双極型リチウムイオン電池等のリチウムイオン電池を得ることができる。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、酢酸エチル83部とメタノール17部とを仕込み68℃に昇温した。次いで、メタクリル酸242.8部、メチルメタクリレート97.1部、2−エチルヘキシルメタクリレート242.8部、酢酸エチル52.1部及びメタノール10.7部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.263部を酢酸エチル34.2部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.583部を酢酸エチル26部に溶解した開始剤溶液を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合を4時間継続した。溶媒を除去し、樹脂582部を得た後、イソプロパノールを1,360部加えて、樹脂濃度30重量%のビニル樹脂(A)溶液を得た。
撹拌機及び温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量6,000(水酸基価から計算)のPEG[三洋化成工業(株)製]57.4部、エチレングリコール(EG)8.0部、MDI34.7部及びDMF233部を仕込み、乾燥窒素雰囲気下で70℃で10時間反応させて樹脂濃度30重量%、粘度60,000mPa・s(20℃)のウレタン樹脂(B)溶液を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物673部、フェノールノボラック樹脂(核体数約5個)のプロピレンオキサイド5モル付加物15部、テレフタル酸157部、無水マレイン酸37部、ドデセニルコハク酸無水物152部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下220℃で8時間反応し、さらに0.001〜0.002MPaの減圧で5時間反応した。次いで、これに無水トリメリット酸32部を加えて180℃常圧で2時間反応させてポリエステル樹脂を得た。その後、DMFを加えて、樹脂濃度30重量%のポリエステル樹脂(C)溶液を得た。
温度計、撹拌機、窒素導入管、脱水排気管を備えた四ツ口フラスコに、重合脂肪酸〔一塩基酸:1〜2%、二塩基酸:50〜60%、三塩基酸:42〜45%;ユニケマ・インターナショナル製「プリポール1046」〕203.7部(0.7当量)、酢酸18部(0.3当量)、エチレンジアミン24部(0.8当量)及びヘキサメチレンジアミン11.6部(0.2当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気中、200〜210℃で4時間反応させ淡褐色固体のポリアミド樹脂を得た。その後、NMPを加えて、樹脂濃度30重量%のポリアミド樹脂(D)溶液を得た。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)を60分かけて滴下混合し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
次いで、周速26m/sで撹拌した状態で、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)2部を3回に分けて添加し、導電助剤の添加後も撹拌の周速を26m/sに維持して5分間混合した。
次いで撹拌の周速を5m/sに変更し、5分撹拌したままで70℃に昇温し、撹拌の周速を5m/sに維持したまま0.01MPaまで減圧し30分保持して脱溶媒を行った。上記操作により被覆活物質を得た。
なお、導電助剤を加える際の固形分濃度は95重量%であった。
マイクロトラック(日機装(株)製9320−X100、以下同じ。)を用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、57μmであった。
この被覆活物質の製造に用いた樹脂溶液の体積V(cm3)のリチウムイオン電池活物質の合計表面積S(cm2)に対する比率(V/S)を下記の方法により算出し、その値を表1に示した。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
実施例1において、アセチレンブラックを添加する際、及び、アセチレンブラックを添加した後の撹拌の周速を共に表1に示すようにそれぞれ10m/s、15m/s、60m/s、85m/sに変更した他は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
これらの被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
実施例1において、脱溶媒の際の撹拌の周速を表1に示すようにそれぞれ10m/s、20m/s、40m/sに変更した他は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
これらの被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)を60分かけて滴下混合し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
次いで、周速26m/sで撹拌した状態で、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)2部を3回に分けて添加し、導電助剤の添加後も撹拌の周速を26m/sに維持して5分間混合した。
次いで撹拌を止め、静置したままで70℃に昇温し、0.01MPaまで減圧し30分保持して脱溶媒を行った。上記操作により被覆活物質を得た。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)とイソプロパノールを10部事前に混合した溶液16.7部を60分かけて滴下混合し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
その後は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
なお、導電助剤を加える際の固形分濃度は87重量%であった。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)とイソプロパノールを25部事前に混合した溶液31.7部を60分かけて滴下混合し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
その後は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
なお、導電助剤を加える際の固形分濃度は77重量%であった。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速4m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)を60分かけて滴下混合し、さらに周速4m/sで10分撹拌した。
その後は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速7m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)を60分かけて滴下混合し、さらに周速7m/sで10分撹拌した。
その後は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
LiCoO2粉末を92部、ビニル樹脂(A)溶液を13.3部(樹脂固形分4部)、アセチレンブラックを4部用いた他は実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、72μmであった。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
活物質としてLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)98.9部を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液0.34部(樹脂固形分0.1部)とイソプロパノールを10部事前に混合した溶液10.34部を60分かけて滴下混合し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
次いで、周速26m/sで撹拌した状態で、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業(株)製)1部を3回に分けて添加し、導電助剤の添加後も撹拌の周速を26m/sに維持して5分間混合した。
その後は実施例1と同様にして被覆活物質を得た。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
LiCoO2粉末を83部、ビニル樹脂(A)溶液を16.7部(樹脂固形分5部)、アセチレンブラックを12部用いた他は実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
ビニル樹脂溶液に代えて、製造例2で得たウレタン樹脂(B)溶液、製造例3で得たポリエステル樹脂(C)溶液、製造例4で得たポリアミド樹脂(D)溶液をそれぞれ用いた他は実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、それぞれ62μm、64μm、59μmであった。
これらの被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
実施例1のLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2)をLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−5H、体積平均粒子径6.5μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
実施例15のLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2)をLiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−5H、体積平均粒子径6.5μm)に変更したこと以外は、実施例15と同様にして被覆活物質を作製した。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。また、被覆活物質の体積平均粒子径を測定した結果を表1に示した。
製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、LiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を投入し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
次いで、周速26m/sで撹拌した状態でアセチレンブラック2部を3回に分けて添加し、導電助剤の添加後も撹拌の周速を26m/sに維持して5分間混合した。
次いで撹拌の周速を5m/sに変更し、5分撹拌したままで70℃に昇温し、撹拌の周速を5m/sに維持したまま0.01MPaまで減圧し30分保持して脱溶媒を行った。上記操作により被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、95μmであった。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
LiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)96部を万能混合機に入れ、室温、周速11m/sで撹拌した状態で、アセチレンブラック2部を3回に分けて混合し、さらに周速11m/sで10分撹拌した。
次いで、撹拌の周速を26m/sに変更し、撹拌した状態で、製造例1で得たビニル樹脂(A)溶液6.7部(樹脂固形分2部)を60分かけて滴下混合した。
次いで、撹拌の周速を5m/sに変更し、5分撹拌したままで70℃に昇温し、0.01MPaまで減圧し30分保持して脱溶媒を行った。上記操作により被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、45μmであった。
この被覆活物質について、比率(V/S)の算出と電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
樹脂溶液及びアセチレンブラックを使用せず、被覆活物質を作製しなかった。
被覆していない活物質[LiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20F2、体積平均粒子径19μm)]を用いて、下記方法により電子伝導性の評価を行った。その結果を表1に示した。
樹脂溶液及びアセチレンブラックを使用せず、被覆活物質を作製しなかった。
被覆していない活物質[LiCoO2粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−5H、体積平均粒子径6.5μm)]を用いて、下記方法により電子伝導性の評価を行った。その結果を表1に示した。
樹脂溶液の体積V(cm3)は、樹脂溶液の密度(cm3/g)をメスフラスコを用いて測定し、使用した樹脂溶液の重量(g)と密度との積により算出した。
また、リチウムイオン電池活物質の合計表面積S(cm2)は、リチウムイオン電池活物質のBET比表面積(cm2/g)を下記条件により測定し、仕込んだリチウムイオン電池活物質の重量(g)とBET比表面積との積により算出した。
算出したV、Sを用いて、樹脂溶液の体積V(cm3)のリチウムイオン電池活物質の合計表面積S(cm2)に対する比率(V/S)を算出した。結果を表1に示す。
<BET比表面積の測定条件>
測定装置:マイクロメリテックス社 ASAP−2010
吸着ガス:N2
死容積測定ガス:He
吸着温度:77K(液体窒素温度)
測定前処理:200℃12時間真空乾燥(Heパージ後測定ステージにセット)
測定モード:等温での吸着過程及び脱着過程
測定相対圧P/P0 約0〜0.99
平衡設定時間:1相対圧につき180sec
電子伝導性の指標として、活物質間の直流抵抗を測定し、結果を表1に記載した。なお、以下の説明において、「活物質」とは、実施例1〜21及び比較例1〜2で得た被覆活物質、又は、比較例3若しくは4で用いた活物質である。
内径が15mm、高さが30mmであるポリプロピレン製円筒の内部に、活物質を30mg入れ、50回タップした。活物質をさらにSUS316製円筒で挟み、100kNの圧力をかけた。円筒を外し、電気化学測定装置(ソーラトロン社製1280C)を使用して、円柱塊状に成形した活物質の上下の抵抗値を測定した。
活物質間の直流抵抗の値を用いて被覆前後での活物質間の直流抵抗の減少率を以下の計算式で算出し、結果を表1に記載した。減少率が大きいほど被覆処理による効果が大きいことを意味する。
[直流抵抗の減少率(%)]={[被覆処理前の活物質の直流抵抗(Ω)]−[被覆活物質の直流抵抗(Ω)]}÷[被覆処理前の活物質の直流抵抗(Ω)]×100
被覆処理前の活物質の直流抵抗の値としては、実施例1〜19に対しては比較例3の活物質の直流抵抗値を用い、実施例20、21に対しては比較例4の活物質の直流抵抗値を用いた。
走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ社製S−4800)を使用して、実施例1〜21及び比較例1〜2で得た被覆活物質の粒子の状態を観察し、結果を表1に記載した。
表1に示す「被覆活物質粒子径」は、被覆活物質の体積平均粒子径である。
表1に示された結果から、リチウムイオン電池活物質の表面を被覆用樹脂及び導電助剤で被覆することにより、活物質間の直流抵抗を低下させることができ、電子伝導性を向上させることができることがわかる。特に、本発明の製造方法でリチウムイオン電池用被覆活物質を製造することにより、被覆用樹脂及び導電助剤をリチウムイオン電池活物質の表面に均一に被覆させることができ、電子伝導性をより向上させることがわかる。
Claims (8)
- リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法であって、
前記被覆用樹脂がビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)及びポリアミド樹脂(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記リチウムイオン電池活物質の存在下、撹拌しながら前記被覆用樹脂を含む樹脂溶液を1分以上かけて投入し、その後、前記導電助剤を加え、
前記導電助剤を加えた後、脱溶媒を行う工程を含み、
前記導電助剤を加える際の前記リチウムイオン電池活物質及び前記被覆用樹脂を含む前記樹脂溶液の合計重量に占める前記リチウムイオン電池活物質及び前記被覆用樹脂の合計重量の割合が70〜98重量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。 - 前記リチウムイオン電池用被覆活物質の体積平均粒子径が1〜80μmである請求項1に記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
- 前記樹脂溶液の体積V(cm3)の前記リチウムイオン電池活物質の合計表面積S(cm2)に対する比率(V/S)が0.0000001〜0.0001である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
- 前記リチウムイオン電池活物質の重量に対する前記樹脂溶液に含まれる被覆用樹脂の固形分重量の割合が0.05〜10重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
- 前記リチウムイオン電池活物質の重量に対する前記導電助剤の重量の割合が0.5〜15重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
- 前記導電助剤を加えた後、周速9〜90m/sで撹拌する工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
- 前記導電助剤を加えた後、前記脱溶媒を周速2〜50m/sで撹拌しながら行う請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
- 前記被覆用樹脂を含む樹脂溶液を投入する際の撹拌の周速が1〜30m/sである請求項1〜7のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
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