JP6348498B2 - リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6348498B2
JP6348498B2 JP2015537908A JP2015537908A JP6348498B2 JP 6348498 B2 JP6348498 B2 JP 6348498B2 JP 2015537908 A JP2015537908 A JP 2015537908A JP 2015537908 A JP2015537908 A JP 2015537908A JP 6348498 B2 JP6348498 B2 JP 6348498B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
resin
lithium ion
ion battery
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015537908A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2015041185A1 (ja
Inventor
水野 雄介
雄介 水野
康裕 進藤
康裕 進藤
都藤 靖泰
靖泰 都藤
健一 川北
健一 川北
雄樹 草地
雄樹 草地
大澤 康彦
康彦 大澤
赤間 弘
弘 赤間
堀江 英明
英明 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd, Sanyo Chemical Industries Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Publication of JPWO2015041185A1 publication Critical patent/JPWO2015041185A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6348498B2 publication Critical patent/JP6348498B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/362Composites
    • H01M4/366Composites as layered products
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池に注目が集まっている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極又は負極活物質等を正極用又は負極用集電体にそれぞれ塗布して電極を構成している。また、双極型の電池の場合には、集電体の一方の面にバインダを用いて正極活物質等を塗布して正極層を、反対側の面にバインダを用いて負極活物質等を塗布して負極層を有する双極型電極を構成している。
電極活物質は、その種類によって電子伝導性が異なるが、現状では、どの活物質を使用する場合でも電子伝導性を高めるための導電助剤が不可欠である。導電助剤としては、黒鉛やカーボンブラック等の炭素質導電性物質が用いられているが、これらは粒子状であるため、所望の電子伝導性を得るためには高濃度で添加する必要がある。
その一方で、所望の電子伝導性を得るために導電性高分子を使用する技術があり、例えば特許文献1には、特定の導電性高分子の有機溶剤分散液と炭素質導電性物質とを混合して調製した導電助剤組成物が開示されている。
特開2011−100594号公報
しかしながら、近年、電池の高容量化がさらに求められているために、電極の導電性をさらに向上させることが必要となっている。
本発明者らは、リチウムイオン電池活物質の表面の一部を被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆することによって、電極の導電性を高めることができる可能性があることを見出したが、リチウムイオン電池活物質の表面を被覆する具体的な方法としては様々な方法が考えられ、検討の余地があった。
本発明は、上記状況を踏まえてなされたものであり、活物質の電子伝導性を向上させることのできるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法は、リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法であって、
上記被覆用樹脂を含む樹脂溶液中に、上記リチウムイオン電池活物質を分散させ、撹拌下、上記被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を投入し、その後、上記導電助剤を加える工程を含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法によると、活物質の周囲に被覆用樹脂が付着し、さらに導電助剤が付着するので導電助剤が活物質の周囲に付着した被覆活物質が得られる。そして、本発明の製造方法で得られるリチウムイオン電池用被覆活物質は、電子伝導性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法は、リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法であって、
上記被覆用樹脂を含む樹脂溶液中に、上記リチウムイオン電池活物質を分散させ、撹拌下、上記被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を投入し、その後、上記導電助剤を加える工程を含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法では、被覆用樹脂を含む溶液である樹脂溶液中に、上記リチウムイオン電池活物質を分散させ、撹拌下、上記被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を投入し、その後、上記導電助剤を加える工程を含む。以下、これらの工程について説明する。
(1)まず、樹脂溶液を準備する。
樹脂溶液は、被覆用樹脂が溶け残ることなく溶媒に溶解している溶液である。
被覆用樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)、ポリアミド樹脂(D)、他の樹脂(E)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)、ポリアミド樹脂(D)及びこれらの混合物が好ましく、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂(C)及びポリアミド樹脂(D)がより好ましい。
ビニル樹脂(A)は、ビニルモノマー(a)を必須構成単量体とする重合体(A1)を含んでなる樹脂である。
特に、重合体(A1)は、ビニルモノマー(a)としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)及び下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(a2)を含むことが好ましい。
CH=C(R)COOR (1)
[式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数4〜36の分岐アルキル基である。]
カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数4〜24のジカルボン酸;アコニット酸等の炭素数6〜24の3価〜4価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
上記一般式(1)で表されるビニルモノマー(a2)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
は炭素数4〜36の分岐アルキル基であり、Rの具体例としては、1−アルキルアルキル基[1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、1−ブチルエイコシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−オクチルヘキサデシル基、1−デシルテトラデシル基、1−ウンデシルトリデシル基等]、2−アルキルアルキル基[2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、2−メチルノニル基、2−エチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−エチルノニル基、2−ヘキシルオクタデシル基、2−オクチルヘキサデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルトリデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−トリデシルペンタデシル基、2−デシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルエイコシル基、2−ヘキサデシルエイコシル基等]、3〜34−アルキルアルキル基(3−アルキルアルキル基、4−アルキルアルキル基、5−アルキルアルキル基、32−アルキルアルキル基、33−アルキルアルキル基及び34−アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7〜11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1〜1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7〜8量体)及びα−オレフィン(炭素数5〜20)オリゴマー(4〜8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
これらのうち、好ましいのは2−アルキルアルキル基であり、より好ましいのは2−エチルヘキシル基及び2−デシルテトラデシル基である。
また、重合体(A1)を構成する単量体には、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)及び上記一般式(1)で表されるビニルモノマー(a2)の他に、活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a3)が含まれていてもよい。
活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a3)としては、下記(a31)〜(a38)が挙げられる。
(a31)炭素数1〜20のモノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)脂肪族モノオール(メタノール、エタノール、n−又はi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロヘキシルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a32)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4)アルキル(炭素数1〜18)エーテル(メタ)アクリレート[メタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキサイド(以下POと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート等]
(a33)窒素含有ビニル化合物
(a33−1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)又はジアラルキル(炭素数7〜15)(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4〜20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN−メチル−N−ビニルアセトアミド、環状アミド[ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えば、N−ビニルピロリドン等)]
(a33−2)(メタ)アクリレート化合物
(i)ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネード等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
(a33−3)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(炭素数7〜14、例えば2−又は4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニル−2−ピロリドン)等
(a33−4)ニトリル基含有ビニル化合物
炭素数3〜15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1〜4)アクリレート等
(a33−5)その他の窒素含有ビニル化合物
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8〜16、例えばニトロスチレン)等
(a34)ビニル炭化水素
(a34−1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2〜18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4〜10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等)等
(a34−2)脂環式ビニル炭化水素
炭素数4〜18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン等
(a34−3)芳香族ビニル炭化水素
炭素数8〜20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン等
(a35)ビニルエステル
脂肪族ビニルエステル[炭素数4〜15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9〜20、例えば芳香族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]等
(a36)ビニルエーテル
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3〜15、例えばビニルアルキル(炭素数1〜10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1〜6)アルキル(炭素数1〜4)エーテル(ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2〜6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]
芳香族ビニルエーテル(炭素数8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
(a37)ビニルケトン
脂肪族ビニルケトン(炭素数4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)
芳香族ビニルケトン(炭素数9〜21、例えばビニルフェニルケトン)
(a38)不飽和ジカルボン酸ジエステル
炭素数4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
上記(a3)として例示したもののうち耐電圧の観点から好ましいのは、(a31)、(a32)及び(a33)であり、より好ましいのは、(a31)のうちのメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートである。
重合体(A1)において、カルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)、上記一般式(1)で表されるビニルモノマー(a2)及び活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a3)の含有量は、重合体(A1)の重量を基準として、(a1)が0.1〜80重量%、(a2)が0.1〜99.9重量%、(a3)が0〜99.8重量%であることが好ましい。
モノマーの含有量が上記範囲内であると、電解液への吸液性が良好となる。
より好ましい含有量は、(a1)が15〜60重量%、(a2)が5〜60重量%、(a3)が5〜80重量%であり、さらに好ましい含有量は、(a1)が25〜50重量%、(a2)が15〜45重量%、(a3)が20〜60重量%である。
重合体(A1)の数平均分子量の好ましい下限は3,000、より好ましくは50,000、さらに好ましくは100,000、特に好ましくは200,000であり、好ましい上限は2,000,000、より好ましくは1,500,000、さらに好ましくは1,000,000、特に好ましくは800,000である。
重合体(A1)の数平均分子量は、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)測定により求めることができる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
重合体(A1)の溶解度パラメータ(以下、SP値と略記する)は9.0〜20.0(cal/cm1/2であることが好ましい。重合体(A1)のSP値は10.0〜18.0(cal/cm1/2であることがより好ましく、11.5〜14.0(cal/cm1/2であることがさらに好ましい。重合体(A1)のSP値が9.0〜20.0(cal/cm1/2であると、電解液の吸液の点で好ましい。
SP値は、Fedors法によって計算される。SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。
SP値は、この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
また、重合体(A1)のガラス転移点[以下Tgと略記、測定法:DSC(走査型示差熱分析)法]は、電池の耐熱性の観点から好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃である。
重合体(A1)は、公知の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等)により製造することができる。
重合に際しては、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル等)]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して行なうことができる。
重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%である。
溶液重合の場合に使用される溶媒としては、例えばエステル(炭素数2〜8、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(炭素数1〜8、例えばメタノール、エタノール及びオクタノール)、炭化水素(炭素数4〜8、例えばn−ブタン、シクロヘキサン及びトルエン)及びケトン(炭素数3〜9、例えばメチルエチルケトン)が挙げられ、使用量はモノマーの合計重量に基づいて通常5〜900%、好ましくは10〜400%、より好ましくは30〜300重量%であり、モノマー濃度としては、通常10〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%である。
乳化重合及び懸濁重合における分散媒としては、水、アルコール(例えばエタノール)、エステル(例えばプロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられ、乳化剤としては、高級脂肪酸(炭素数10〜24)金属塩(例えばオレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウム)、高級アルコール(炭素数10〜24)硫酸エステル金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、エトキシ化テトラメチルデシンジオール、メタクリル酸スルホエチルナトリウム、メタクリル酸ジメチルアミノメチル等が挙げられる。さらに安定剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を加えてもよい。
溶液又は分散液のモノマー濃度は通常5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて通常0.01〜5%重量%であり、好ましくは0.05〜2%重量%、より好ましくは0.1〜1.5%重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。使用量はモノマーの全重量に基づいて通常2重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
また、重合反応における系内温度は通常−5〜150℃、好ましくは30〜120℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は通常0.1〜50時間、好ましくは2〜24時間、より好ましくは3〜20時間であり、反応の終点は、未反応単量体の量が使用した単量体全量の通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5
重量%以下となることにより確認できる。
ウレタン樹脂(B)は、活性水素成分(b1)及びイソシアネート成分(b2)を反応させて得られる樹脂である。
活性水素成分(b1)としては、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
ポリエーテルジオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(以下PEGと略記)、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合ジオール、ポリオキシエチレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−ジフェニルプロパン等の低分子グリコールのエチレンオキサイド付加物;数平均分子量2,000以下のPEGと、ジカルボン酸[炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸等)等]の1種以上とを反応させて得られる縮合ポリエーテルエステルジオール;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルジオール中にオキシエチレン単位が含まれる場合、オキシエチレン単位の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
また、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGと略記)、ポリオキシプロピレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオール等も挙げられる。
これらのうち、好ましくはPEG、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合ジオール及びポリオキシエチレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオールであり、特に好ましくはPEGである。
また、ポリエーテルジオールを1種のみ用いてもよいし、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。
ポリカーボネートジオールとしては、例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオールが挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、低分子ジオール及び/又は数平均分子量1,000以下のポリエーテルジオールと前述のジカルボン酸の1種以上とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、炭素数4〜12のラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。上記低分子ジオールとして上記ポリエーテルジオールの項で例示した低分子グリコール等が挙げられる。上記数平均分子量1,000以下のポリエーテルジオールとしてはポリオキシプロピレングリコール、PTMG等が挙げられる。上記ラクトンとしては、例えばε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。該ポリエステルジオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリカプロラクトンジオール及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、活性水素成分(b1)は上記ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオールのうちの2種以上の混合物であってもよい。
活性水素成分(b1)は数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)を必須成分とすることが好ましい。高分子ジオール(b11)としては上述したポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオール等が挙げられる。
高分子ジオール(b11)は、数平均分子量が2,500〜15,000であるとウレタン樹脂(B)の硬さが適度に柔らかく、また、活物質上に形成した被膜の強度が強くなるため好ましい。
また、高分子ジオール(b11)の数平均分子量が3,000〜12,500であることがより好ましく、4,000〜10,000であることがさらに好ましい。
高分子ジオール(b11)の数平均分子量は、高分子ジオールの水酸基価から算出することができる。
また、水酸基価は、JIS K1557−1の記載に準じて測定できる。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)を必須成分とし、上記高分子ジオール(b11)の溶解度パラメータ(SP値)が8.0〜12.0(cal/cm1/2であることが好ましい。高分子ジオール(b11)のSP値は8.5〜11.5(cal/cm1/2であることがより好ましく、9.0〜11.0(cal/cm1/2であることがさらに好ましい。高分子ジオール(b11)のSP値が8.0〜12.0(cal/cm1/2であると、ウレタン樹脂(B)の電解液の吸液の点で好ましい。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)を必須成分とし、上記高分子ジオール(b11)の含有量が上記ウレタン樹脂(B)の重量を基準として20〜80重量%であることが好ましい。高分子ジオール(b11)の含有量は30〜70重量%であることがより好ましく、40〜65重量%であることがさらに好ましい。
高分子ジオール(b11)の含有量が20〜80重量%であると、ウレタン樹脂(B)の電解液の吸液の点で好ましい。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)及び鎖伸長剤(b13)を必須成分とすることが好ましい。
鎖伸長剤(b13)としては、例えば炭素数2〜10の低分子ジオール[例えばエチレングリコール(以下EGと略記)、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール(以下14BGと略記)、ジエチレングリコール(以下DEGと略記)、1,6−ヘキサメチレングリコール等];ジアミン類[炭素数2〜6の脂肪族ジアミン(例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン等)、炭素数6〜15の脂環式ジアミン(例えばイソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等)、炭素数6〜15の芳香族ジアミン(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)等];モノアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン等);ヒドラジンもしくはその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは低分子ジオールであり、より好ましいものはEG、DEG及び14BGである。
高分子ジオール(b11)及び鎖伸長剤(b13)の組み合わせとしては、高分子ジオール(b11)としてのPEGと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせ、又は、高分子ジオール(b11)としてのポリカーボネートジオールと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせが好ましい。
また、活性水素成分(b1)が数平均分子量2,500〜15,000の高分子ジオール(b11)、上記高分子ジオール(b11)以外のジオール(b12)及び鎖伸長剤(b13)を含み、(b11)と(b12)との当量比[(b11)/(b12)]が10/1〜30/1であり、(b11)と(b12)及び(b13)の合計当量との当量比{(b11)/[(b12)+(b13)]}が0.9/1〜1.1/1であることが好ましい。
なお、(b11)と(b12)との当量比[(b11)/(b12)]はより好ましくは13/1〜25/1であり、さらに好ましくは15/1〜20/1である。
高分子ジオール(b11)以外のジオール(b12)としては、ジオールであって上述した高分子ジオール(b11)に含まれず、鎖伸長剤(b13)の炭素数2〜10の低分子ジオールに含まれないものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、数平均分子量が2,500未満のジオール、及び、数平均分子量が15,000を超えるジオールが挙げられる。
ジオールの種類としては、上述したポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオール等が挙げられる。
イソシアネート成分(b2)としては、従来ポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートには、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体(カーボジイミド変性体、ウレタン変性体、ウレトジオン変性体等)及びこれらの2種以上の混合物が含まれる。
上記芳香族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは芳香族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートであり、より好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、さらに好ましいのはMDIである。
ウレタン樹脂(B)が高分子ジオール(b11)及びイソシアネート成分(b2)を含む場合、好ましい(b2)/(b11)の当量比は10/1〜30/1であり、より好ましくは11/1〜28/1であり、さらに好ましくは15/1〜25/1である。イソシアネート成分(b2)の比率が30当量を超えると硬い塗膜となる。
また、ウレタン樹脂(B)が高分子ジオール(b11)、鎖伸長剤(b13)及びイソシアネート成分(b2)を含む場合、(b2)/[(b11)+(b13)]の当量比は通常0.9/1〜1.1/1、好ましくは0.95/1〜1.05/1である。この範囲外の場合ではウレタン樹脂が充分に高分子量にならないことがある。
ウレタン樹脂(B)の数平均分子量は、40,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは50,000〜400,000であり、さらに好ましくは60,000〜300,000である。ウレタン樹脂(B)の数平均分子量が40,000未満では被膜の強度が低くなり、500,000を超えると溶液粘度が高くなって、均一な被膜が得られないことがある。
ウレタン樹脂(B)の数平均分子量は、ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記)を溶剤として用い、ポリオキシプロピレングリコールを標準物質としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される。サンプル濃度は0.25重量%、カラム固定相はTSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの、カラム温度は40℃とすればよい。
ウレタン樹脂(B)は活性水素成分(b1)とイソシアネート成分(b2)を反応させて製造することができる。
例えば、活性水素成分(b1)として高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)を用い、イソシアネート成分(b2)と高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)とを同時に反応させるワンショット法や、高分子ジオール(b11)とイソシアネート成分(b2)とを先に反応させた後に鎖伸長剤(b13)を続けて反応させるプレポリマー法が挙げられる。
また、ウレタン樹脂(B)の製造は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行う場合の適当な溶媒としては、アミド系溶媒[DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記)等]、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族系溶媒(トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものはアミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒及びこれらの2種以上の混合物である。
ウレタン樹脂(B)の製造に際し、反応温度はウレタン化反応に通常採用される温度と同じでよく、溶媒を使用する場合は通常20〜100℃、無溶媒の場合は通常20〜220℃である。
反応を促進させるために必要により、ポリウレタン反応に通常使用される触媒[例えばアミン系触媒(トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等)、錫系触媒(ジブチルチンジラウレート等)]を使用することができる。
また、必要により重合停止剤[例えば1価アルコール(エタノール、イソプロパノール、ブタノール等)、1価アミン(ジメチルアミン、ジブチルアミン等)等]を用いることもできる。
ウレタン樹脂(B)の製造は当該業界において通常採用されている製造装置で行うことができる。また溶媒を使用しない場合はニーダーやエクストルーダー等の製造装置を用いることができる。このようにして製造されるウレタン樹脂(B)は、30重量%(固形分)DMF溶液として測定した溶液粘度が通常1,000〜1,000,000mPa・s/20℃であり、実用上好ましいのは1,500〜500,000mPa・s/20℃であり、実用上より好ましいのは5,000〜100,000mPa・s/20℃である。
ポリエステル樹脂(C)としては、ポリオールとポリカルボン酸の重縮合物等が挙げられる。
ポリオールとしては、ジオール(c1)及び3価以上のポリオール(c2)が、ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(c3)及び3価以上のポリカルボン酸(c4)が挙げられる。これらの中では、ジオール(c1)、ジカルボン酸(c3)とともに3価以上のポリオール(c2)及び/又は3価以上のポリカルボン酸(c4)を用いた非線状のポリエステル樹脂が好ましく、(c1)、(c2)、(c3)、(c4)の4成分からなるポリエステル樹脂がより好ましい。
ジオール(c1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(DEG、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、PEG、ポリオキシプロピレングリコール、PTMG等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(EO、PO、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(EO、PO、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数6以上のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、脂環式ジオールであり、より好ましいものはビスフェノール類のPO、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド付加物、炭素数8以上のアルキレングリコール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF及びこれらの併用である。
3価以上のポリオール(c2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
ジカルボン酸(c3)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数6〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数6〜50のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及びこれらの併用であり、より好ましいものは、炭素数7〜50のアルキレンジカルボン酸、及びこれらと炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の併用であり、さらに好ましいものは、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、及びこれらと炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の併用である。
3価以上のポリカルボン酸(c4)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合物(スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/アクリル酸共重合物、α−オレフィン/マレイン酸共重合物、スチレン/フマル酸共重合物等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、より好ましいものはトリメリット酸である。
なお、ジカルボン酸(c3)又は3価以上のポリカルボン酸(c4)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
また、(c1)、(c2)、(c3)、(c4)とともにヒドロキシカルボン酸(c5)を共重合することもできる。ヒドロキシカルボン酸(c5)としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、より好ましくは1.3/1〜1/1.3である。3価以上のポリオール(c2)及び3価以上のポリカルボン酸(c4)の比率は、(c2)と(c4)のモル数の和が(c1)〜(c4)のモル数の合計に対して、通常0〜40モル%、好ましくは3〜25モル%、より好ましくは、5〜20モル%である。(c2)と(c3)とのモル比は、通常0/100〜100/0、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは、70/30〜30/70である。
ポリエステル樹脂(C)は、2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜45,000、さらに好ましくは5,000〜40,000の数平均分子量を有することが、電解液の吸液の観点で好ましい。
ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量は、GPCにより測定される。ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量の測定に使用されるGPCの条件は、例えば以下の条件である。
装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製液体クロマトグラフ)
カラム:TSK gel Super H4000+TSK gel Super H3000+TSK gel Super H2000(いずれも東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準:ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
ポリエステル樹脂(C)は、ポリカルボン酸とポリオールとを、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、脱水縮合することで得られる。反応末期の反応速度を向上させるために減圧にすることも有効である。
ポリアミド樹脂(D)としては、特に限定されないが、炭素数54の三塩基酸を少なくとも40重量%含有する重合脂肪酸(d1)、炭素数2〜4の脂肪族モノカルボン酸(d2)、及びエチレンジアミンと炭素数3〜9脂肪族ポリアミンとからなるポリアミン(d3)を縮合重合せしめて得られる樹脂が好ましい。
重合脂肪酸(d1)としては、例えばオレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸又はこれらの低級アルキルエステル(炭素数1〜3)を重合した後、利用価値の高い炭素数36の二塩基酸成分を蒸留により採取した後の残渣でトリマー酸とも呼ばれる、例えば下記のごとき組成のものが挙げられる。
炭素数18の一塩基酸:0〜5重量%(好ましくは0〜2重量%、より好ましくは0〜1重量%)
炭素数36の二塩基酸:60重量%未満(好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%未満)
炭素数54の三塩基酸:40重量%以上(好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上)
また、必要により該(d1)の一部を他の三塩基酸もしくは四塩基酸に置き換えても良い。該他の三塩基酸もしくは四塩基酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフエノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸(これらの酸無水物、炭素数1〜3のアルキルエステルを含む)等が挙げられる。
炭素数2〜4の脂肪族系モノカルボン酸(d2)としては、酢酸、プロピオン酸及び酪酸が挙げられ、これらはそれぞれ単独もしくは任意の割合で混合して使用することができる。
(d2)の使用量は、全カルボン酸成分[(d1)+(d2)]に対して通常20〜40当量%、好ましくは24〜36当量%、より好ましくは26〜32当量%である。
ポリアミン(d3)を構成する炭素数3〜9の脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、プロピレンジアミン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。該(d3)は、エチレンジアミンと炭素数3〜9の脂肪族ポリアミンの一種以上の混合物であり、且つ該(d3)に占めるエチレンジアミンの比率は通常60〜85当量%、好ましくは70〜80当量%である。
ポリアミド樹脂(D)の数平均分子量は通常3,000〜50,000、好ましくは5,000〜10,000であり、より好ましくは6,000〜9,000である。
ポリアミド樹脂(D)の数平均分子量は、以下の条件でGPC測定により求めることができる。
装置:HLC−802A(東ソー株式会社製)
カラム:TSK gel GMH6 2本(東ソー株式会社製)
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%DMF溶液
溶液注入量:200μl
検出装置:RI
標準:ポリスチレン(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
ポリアミド樹脂(D)の微量融点測定法(JIS K0064−1992,3.2に規定される融点測定方法に準じ、融点測定装置を用いて測定される)による融点は、電池の耐熱性の観点から好ましくは100〜150℃、より好ましくは120〜130℃である。
ポリアミド樹脂(D)は、通常の重合脂肪酸系ポリアミド樹脂の製造方法と同じ方法で製造することができる。アミド化縮合重合反応の反応温度は、通常160〜250℃、好ましくは180〜230℃である。反応は着色を防止するため窒素ガス等の不活性ガス中で行うことが好ましく、反応末期には反応の完結あるいは揮発性成分の除去を促進するため、反応を減圧下で行ってもよい。また、アミド化縮合重合反応後に、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤で反応生成物を希釈して溶液状にすることもできる。
他の樹脂(E)としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。
樹脂溶液において使用する溶媒としては、上記被覆用樹脂の良溶媒となる溶媒を使用する。
例えば、被覆用樹脂の溶解度が室温(20℃)で10〜200g/100g溶媒となる溶媒を選択することが好ましく、より好ましくは50〜150g/100g溶媒、さらに好ましくは100〜130g/100g溶媒である。
樹脂溶液において使用することのできる溶媒の種類は、被覆用樹脂の種類によって異なるが、例えば、アミド系溶媒(DMF、ジメチルアセトアミド、NMP等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、炭化水素系溶媒(n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒[例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール(以下IPAと略記)、オクタノール等]、水、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
樹脂溶液において使用する被覆用樹脂と良溶媒との好ましい組み合わせとしては、被覆用樹脂としてのビニル樹脂(A)と良溶媒としてのIPAとの組み合わせ[溶解度(20℃)50〜200g/100gIPA]、被覆用樹脂としてのウレタン樹脂(B)と良溶媒としてのDMFとの組み合わせ[溶解度(20℃)50〜200g/100gDMF]、被覆用樹脂としてのポリエステル樹脂(C)と良溶媒としてのDMFとの組み合わせ[溶解度(20℃)50〜200g/100gDMF]、被覆用樹脂としてのポリアミド樹脂(D)と良溶媒としてのNMPとの組み合わせ[溶解度(20℃)50〜200g/100gNMP]等が挙げられる。
樹脂溶液には、被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を添加しておいてもよい。貧溶媒の詳細については後述する。
貧溶媒を添加することによって被覆用樹脂の溶解度が低下して被覆用樹脂が溶液中に析出しやすくなるが、樹脂溶液に貧溶媒を添加しておく場合に、添加される貧溶媒の添加量は樹脂溶液中の被覆用樹脂が析出しない程度とすることが好ましい。
樹脂溶液は、溶媒中に被覆用樹脂を投入して撹拌する等の方法により調製することができ、その調製方法は特に限定されるものではない。
(2)次に、樹脂溶液中にリチウムイオン電池活物質を分散させる。
リチウムイオン電池活物質(Y)としては、正極活物質(Y1)及び負極活物質(Y2)が挙げられる。
正極活物質(Y1)としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられる。
負極活物質(Y2)としては、黒鉛、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiTi12等)等が挙げられる。
リチウムイオン電池活物質自体の導電性が低いものであると、導電性向上の効果が大きく得られるために好ましい。そのため、正極活物質(Y1)としてはリチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)が好ましい。負極活物質(Y2)としてはリチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiTi12等)が好ましい。
リチウムイオン電池活物質は通常は粉末状又は粒子状であるので、樹脂溶液中に投入して(撒いて)樹脂溶液を撹拌することによって樹脂溶液中にリチウムイオン電池活物質が分散した状態とすることができる。
リチウムイオン電池活物質の投入量は、樹脂溶液中に含まれる被覆用樹脂の固形分重量を考慮して、リチウムイオン電池活物質の重量に対する被覆用樹脂の固形分重量の割合が0.05〜10重量%となるように定めることが好ましく、0.5〜10重量%となるように定めることがより好ましく、0.8〜5重量%となるように定めることがさらに好ましく、1〜3重量%となるように定めることが特に好ましい。
樹脂溶液中に活物質が分散するようにするためには、樹脂溶液の量(体積)が活物質の体積よりも充分に多いことが好ましく、活物質がリチウムと遷移金属との複合酸化物である場合、活物質の重量100gに対し、樹脂溶液を200〜700ml使用することが好ましい。
(3)続いて、撹拌下、被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を投入する。
貧溶媒を投入することによって、貧溶媒に対する溶解度が低い被覆用樹脂が溶解しきれなくなって樹脂粒子として析出する。析出した樹脂粒子は、溶媒内に分散しているリチウムイオン電池活物質とファンデルワールス力により結合する。その結果、リチウムイオン電池活物質が樹脂粒子で被覆される。
貧溶媒としては、被覆用樹脂の溶解度が室温(20℃)で0〜2g/100g溶媒となる溶媒を選択することが好ましい。
樹脂溶液において使用することのできる溶媒の種類は、被覆用樹脂の種類によって異なるが、例えば、アミド系溶媒(DMF、ジメチルアセトアミド、NMP等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、炭化水素系溶媒(n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、IPA、オクタノール等)、水及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明において、樹脂溶液のSP値と貧溶媒のSP値との差の絶対値|{樹脂溶液のSP値}−{貧溶媒のSP値}|は、析出する樹脂粒子の粒径の観点から、0.3〜15.0(cal/cm1/2が好ましく、より好ましくは0.5〜13.0(cal/cm1/2、さらに好ましくは4.0〜12.5(cal/cm1/2、特に好ましくは6.0〜12.0(cal/cm1/2である。
樹脂溶液のSP値は、上記の重合体(A1)のSP値と同様にFedors法によって計算した被覆用樹脂のSP値と樹脂溶液の溶媒のSP値との加重算術平均値である。貧溶媒のSP値は上記の重合体(A1)のSP値と同様にFedors法によって計算される。
また、被覆用樹脂の貧溶媒に対する溶解度と、被覆用樹脂の樹脂溶液の溶媒(良溶媒)に対する溶解度とが大きく異なることが好ましく、溶解度の差が、[良溶媒に対する溶解度]−[貧溶媒に対する溶解度]>50g/100g溶媒であることが好ましい。
溶解度の差が大きいと被覆用樹脂の多くを析出させることができる。
被覆用樹脂と貧溶媒の好ましい組み合わせとしては、被覆用樹脂としてのビニル樹脂(A)と貧溶媒としての水の組み合わせ[溶解度(20℃)0〜0.5g/100g水]、被覆用樹脂としてのウレタン樹脂(B)と貧溶媒としてのIPA、水又は酢酸エチルの組み合わせ[溶解度(20℃)0〜0.5g/100gIPA、溶解度(20℃)0〜0.5g/100g水、溶解度(20℃)0〜0.5g/100g酢酸エチル]、被覆用樹脂としてのポリエステル樹脂(C)と貧溶媒としてのIPA、水又は酢酸エチルの組み合わせ[溶解度(20℃)0〜0.5g/100gIPA、溶解度(20℃)0〜0.5g/100g水、溶解度(20℃)0〜0.5g/100g酢酸エチル]、被覆用樹脂としてのポリアミド樹脂(D)と貧溶媒としての水又は酢酸エチルの組み合わせ[溶解度(20℃)0〜0.5g/100g水、溶解度(20℃)0〜0.5g/100g酢酸エチル]等が挙げられる。
被覆用樹脂と良溶媒と貧溶媒の好ましい組み合わせとしては、被覆用樹脂としてのビニル樹脂(A)と良溶媒としてのIPA、貧溶媒としての水の組み合わせ、被覆用樹脂としてのウレタン樹脂(B)と良溶媒としてのDMF、貧溶媒としてのIPA、水又は酢酸エチルの組み合わせ、被覆用樹脂としてのポリエステル樹脂(C)と良溶媒としてのDMF、貧溶媒としてのIPA、水又は酢酸エチルの組み合わせ、ポリアミド樹脂(D)と良溶媒としてのNMP及び貧溶媒としての水又は酢酸エチルの組み合わせ等が挙げられる。
貧溶媒の投入量は被覆用樹脂が充分に析出する量とすることが好ましい。また、貧溶媒の投入速度は特に限定されるものではないが、少量ずつ投入することが好ましい。貧溶媒を少しずつ投入することによって被覆用樹脂が一気に析出することが防止され、被覆用樹脂が小さな粒子として析出しやすくなり、リチウムイオン電池活物質の周囲に小さな樹脂粒子が結合して被覆用樹脂で被覆されたリチウムイオン電池活物質が均一に得られる。
貧溶媒の投入量としては、例えば樹脂溶液の体積に対して0.2〜5倍(体積比)となる量を投入することが好ましく、より好ましくは0.5〜3倍、さらに好ましくは0.7〜2倍、特に好ましくは0.9〜1.5倍となる量である。なお、樹脂溶液を準備する際に貧溶媒を添加していた場合は、貧溶媒の添加量には、樹脂溶液を準備する際に用いた貧溶媒を含む。
貧溶媒の投入方法としては、滴下、注入等の方法が挙げられる。
リチウムイオン電池被覆活物質の均一性の観点から、貧溶媒の投入方法としては、例えば、樹脂溶液100部に対して貧溶媒を、0.08〜3.3部/sの速度で滴下する方法が好ましいといえる。滴下速度は、より好ましくは0.1〜3.0部/s、さらに好ましくは0.5〜2.5部/s、特に好ましくは0.8〜2.1部/sである。
貧溶媒の投入は撹拌下で行う。撹拌条件は特に限定されるものではないが、回転数100〜1,500rpmで撹拌させることが好ましい。
撹拌を行う装置としては、攪拌機、万能混合機、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
(4)続いて、導電助剤を加える。
導電助剤(X)としては、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤(X)は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、さらに好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、特に好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤(X)としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料[上記した(X)のうち金属のもの]をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤(X)の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤(X)の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μm程度であることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電助剤(X)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電助剤を加えると、導電助剤は溶媒内に分散しているリチウムイオン電池活物質とファンデルワールス力により結合する。リチウムイオン電池活物質の周囲には被覆用樹脂も結合しているため、導電助剤と被覆用樹脂が結合することもある。被覆用樹脂の表面は粘性がある、いわゆるネバネバの状態であるので導電助剤が結合しやすくなっている。そのため、リチウムイオン電池活物質の周囲に被覆用樹脂が付着していると、リチウムイオン電池活物質と導電助剤が溶媒中に分散している状態と比べて、多量の導電助剤を結合させることができ、電子伝導性に優れたリチウムイオン電池用被覆活物質を得ることができる。
その結果、リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質を得ることができる。
加える導電助剤の重量の割合は、リチウムイオン電池活物質の重量に対して0.5〜15重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、0.8〜5重量%であることがさらに好ましく、1〜3重量%であることが特に好ましい。
また、導電助剤の投入は、撹拌を継続したままで行うことが好ましい。
また、導電助剤を投入する際に、溶媒に導電助剤を加えたスラリーを調製し、上記溶液を投入するようにしてもよい。溶媒としては被覆用樹脂の貧溶媒を用いることが好ましい。
(5)得られたリチウムイオン電池用被覆活物質を溶媒(貧溶媒及び良溶媒の両方)と分離する。
リチウムイオン電池用被覆活物質と溶媒を分離する方法としては、濾過によりリチウムイオン電池用被覆活物質と溶媒を固液分離した後、リチウムイオン電池用被覆活物質から残存溶媒を除去する方法が好ましい。
なお、リチウムイオン電池用被覆活物質が分散した溶液を加熱乾燥する、減圧乾燥する等の方法により溶媒を除去することも、溶媒の種類によっては可能である。但し、貧溶媒の沸点が良溶媒の沸点よりも低い場合には乾燥により貧溶媒の割合が少なくなるとリチウムイオン電池用被覆活物質の被覆用樹脂が再び良溶媒に溶解してしまうため好ましくない。そのため、溶媒の種類によってリチウムイオン電池用被覆活物質と溶媒を分離する方法を選択する必要がある。
溶媒を除去する際の乾燥条件は、溶媒(良溶媒、貧溶媒)の沸点、飽和蒸気圧特性等を踏まえて決定すればよい。例えば、固液分離した後のリチウムイオン電池用被覆活物質を撹拌しながら50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより脱溶媒を行うことが好ましい。
上記手順により、溶媒が除去されたリチウムイオン電池用被覆活物質を得ることができる。
(6)得られたリチウムイオン電池用被覆活物質を被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤により被覆する工程を繰り返し行ってもよい。
リチウムイオン電池用被覆活物質をさらに被覆することにより、導電助剤の付着量が多くなるとともに導電助剤を含む樹脂層が多層にわたって重なる状態となるので導電助剤による導電パスがつながりやすく、電子伝導性により優れたリチウムイオン電池用被覆活物質が得られる。
被覆工程を繰り返し行う場合には、使用する被覆用樹脂及び導電助剤を繰り返し回数に応じて分けて、複数回に分けて被覆を行うようにすることが好ましい。被覆工程の繰り返し回数としては1〜5回が好ましい。
また、使用する被覆用樹脂の総量としては、リチウムイオン電池活物質の重量に対する被覆用樹脂の固形分重量の割合が0.05〜10重量%となるようにすることが好ましい。
さらに、使用する導電助剤の総量は、リチウムイオン電池活物質の重量に対する導電助剤の重量の割合が0.5〜15重量%となるようにすることが好ましい。
被覆工程を繰り返し行う場合、上記説明中(1)で準備した樹脂溶液に対して貧溶媒を添加して被覆用樹脂の溶解度を低くした樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液中に、得られたリチウムイオン電池用被覆活物質を分散させる工程[上記説明中(2)で示す工程と略同じ]を行うことが好ましい。その後、貧溶媒を投入する工程[上記説明中(3)で示す工程と同じ]、導電助剤を加える工程[上記説明中(4)で示す工程と同じ]、リチウムイオン電池用被覆活物質を溶媒と分離する工程[上記説明中(5)で示す工程と同じ]を行えばよい。
被覆用樹脂の溶解度を低くした樹脂溶液を用いるのは、被覆用樹脂の溶解度の高い樹脂溶液を用いると被覆活物質上の被覆用樹脂が樹脂溶液に溶解してしまうことがあるためである。樹脂溶液に貧溶媒を加えて被覆用樹脂の溶解度を低くし、被覆用樹脂がそれ以上溶解しない飽和溶液に近い樹脂溶液を使用すると、被覆活物質上の被覆用樹脂が溶解しにくくなり、貧溶媒をさらに加えることで樹脂溶液中の被覆用樹脂が被覆活物質上に析出して樹脂層が重なる状態となる。
また、脱溶媒後に、被覆活物質を粉砕しても構わない。粉砕の方法は特に限定されないが、乾式又は湿式が好ましい。乾式粉砕としては、ジェットミル等が挙げられる。湿式粉砕としては、高速せん断型分散機、サンドグラインダー及びビーズミル等が挙げられる。
本発明の製造方法により製造されたリチウムイオン電池用被覆活物質の体積平均粒子径は、1〜80μmが好ましく、1.2〜30μmがより好ましく、1.5〜10μmがさらに好ましい。
本明細書において、リチウムイオン電池用被覆活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
上記リチウムイオン電池用被覆活物質を用いて、リチウムイオン電池用の電極を得ることができる。
さらに、上記リチウムイオン電池用被覆活物質を含む電極を用いて、双極型リチウムイオン電池等のリチウムイオン電池を得ることができる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<製造例1>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、酢酸エチル83部とメタノール17部とを仕込み68℃に昇温した。次いで、メタクリル酸242.8部、メチルメタクリレート97.1部、2−エチルヘキシルメタクリレート242.8部、酢酸エチル52.1部及びメタノール10.7部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.263部を酢酸エチル34.2部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.583部を酢酸エチル26部に溶解した開始剤溶液を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合を4時間継続した。溶媒を除去し、樹脂582部を得た後、イソプロパノールを1,360部加えて、樹脂濃度30%のビニル樹脂(A)溶液を得た。
<製造例2>
撹拌機及び温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量6,000(水酸基価から計算)のPEG[三洋化成工業(株)製]57.4部、エチレングリコール(EG)8.0部、MDI34.7部及びDMF233部を仕込み、乾燥窒素雰囲気下で70℃で10時間反応させて樹脂濃度30%、粘度60,000mPa・s(20℃)のウレタン樹脂(B)溶液を得た。
<製造例3>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物673部、フェノールノボラック樹脂(核体数約5個)のプロピレンオキサイド5モル付加物15部、テレフタル酸157部、無水マレイン酸37部、ドデセニルコハク酸無水物152部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下220℃で8時間反応し、さらに0.001〜0.002MPaの減圧で5時間反応した。次いで、これに無水トリメリット酸32部を加えて180℃常圧で2時間反応させてポリエステル樹脂を得た。その後、DMFを加えて、樹脂濃度30%のポリエステル樹脂(C)溶液を得た。
<製造例4>
温度計、撹拌機、窒素導入管、脱水排気管を備えた四ツ口フラスコに、重合脂肪酸(一塩基酸:1〜2%、二塩基酸:50〜60%、三塩基酸:42〜45%;ユニケマ・インターナショナル製 プリポール1046)203.7部(0.7当量)、酢酸18部(0.3当量)、エチレンジアミン24部(0.8当量)及びヘキサメチレンジアミン11.6部(0.2当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気中、200〜210℃で4時間反応させ淡褐色固体のポリアミド樹脂を得た。その後、NMPを加えて、樹脂濃度30%のポリアミド樹脂(D)溶液を得た。
[リチウムイオン電池用被覆活物質の作製]
<実施例1>
製造例1のビニル樹脂(A)IPA溶液を準備した。
ビニル樹脂(A)溶液中の樹脂固形分含有量が2部となる量のビニル樹脂(A)溶液(6.6部)とIPA300部を混ぜた溶液中に、水300部を加えた溶液を調製して樹脂溶液とし、上記樹脂溶液中に、活物質としてLiCoO粉末(日本化学工業株式会社製、CELLSEED C−20−F2、体積平均粒子径19μm。以降の実施例及び比較例で用いたLiCoO粉末も同様。)96部を投入し、回転数1,000rpmで撹拌して樹脂溶液中にLiCoO粉末を分散させた。
続いて、撹拌下、貧溶媒としての水を600部滴下し、ビニル樹脂(A)を析出させた。滴下速度は5〜10部/sとした。
ビニル樹脂(A)溶液に含まれるビニル樹脂(A)の、IPAに対する溶解度(20℃)は120g/100gIPAであり、水に対する溶解度(20℃)は0.3g/100g水であった。
続いて、水200部に導電助剤としてアセチレンブラックを2部加えた溶液を撹拌下加え、貧溶媒中でリチウムイオン電池用被覆活物質を形成させた。
次いで、濾過を行ってリチウムイオン電池用被覆活物質と溶媒を固液分離した後、リチウムイオン電池用被覆活物質を撹拌しながら30分かけて70℃に昇温し、0.01MPaまで減圧し30分保持した。上記操作により残存溶媒を除去して被覆活物質を得た。
マイクロトラック[日機装(株)製9320−X100、以下同じ。]を用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、28μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<実施例2>
LiCoO粉末を92部、樹脂固形分含有量が4部となる量のビニル樹脂(A)溶液(13.2部)、アセチレンブラックを4部用いた他は実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、25μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<実施例3>
LiCoO粉末を98.9部、樹脂固形分含有量が0.1部となる量のビニル樹脂(A)溶液(0.33部)、アセチレンブラックを1部用いた他は実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、25μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<実施例4>
LiCoO粉末を83部、樹脂固形分含有量が5部となる量のビニル樹脂(A)溶液(16.5部)、アセチレンブラックを12部用いた他は実施例1と同様にして被覆活物質を作製した。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、24μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<実施例5>
製造例2のウレタン樹脂(B)DMF溶液を準備した。
ウレタン樹脂(B)溶液中の樹脂固形分含有量が2部となる量のウレタン樹脂(B)溶液(6.6部)とDMF300部を混ぜた溶液中に、IPA300部を加えた溶液を調製して樹脂溶液とし、上記樹脂溶液中に、活物質としてLiCoO粉末96部を投入し、回転数1,000rpmで撹拌して樹脂溶液中にLiCoO粉末を分散させた。
続いて、撹拌下、貧溶媒としてのIPAを660部滴下し、ウレタン樹脂(B)を析出させた。滴下速度は6〜13部/sとした。
ウレタン樹脂(B)溶液に含まれるウレタン樹脂(B)の、DMFに対する溶解度(20℃)は150g/100gDMFであり、IPAに対する溶解度(20℃)は0.2g/100gIPAであった。
続いて、IPA200部に導電助剤としてアセチレンブラックを2部加えた溶液を撹拌下加え、貧溶媒中でリチウムイオン電池用被覆活物質を形成させた。
その後、実施例1と同様に固液分離と残存溶媒の除去を行って被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<実施例6>
製造例3のポリエステル樹脂(C)DMF溶液を準備した。
ポリエステル樹脂(C)溶液中の樹脂固形分含有量が2部となる量のポリエステル樹脂(C)溶液(6.6部)とDMF300部を混ぜた溶液中に、IPA300部を加えた溶液を調製して樹脂溶液とし、上記樹脂溶液中に、活物質としてLiCoO粉末96部を投入し、回転数1,000rpmで撹拌して樹脂溶液中にLiCoO粉末を分散させた。
続いて、撹拌下、貧溶媒としてのIPAを660部滴下し、ポリエステル樹脂(C)を析出させた。滴下速度は6〜13部/sとした。
ポリエステル樹脂(C)溶液に含まれるポリエステル樹脂(C)の、DMFに対する溶解度(20℃)は100g/100gDMFであり、IPAに対する溶解度(20℃)は0.1g/100gIPAであった。
続いて、IPA200部に導電助剤としてアセチレンブラックを2部加えた溶液を撹拌下加え、貧溶媒中でリチウムイオン電池用被覆活物質を形成させた。
その後、実施例1と同様に固液分離と残存溶媒の除去を行って被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、31μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<実施例7>
製造例4のポリアミド樹脂(D)NMP溶液を準備した。
ポリアミド樹脂(D)溶液中の樹脂固形分含有量が2部となる量のポリアミド樹脂(D)溶液(6.6部)とNMP300部を混ぜた溶液中に、水300部を加えた溶液を調製して樹脂溶液とし、上記樹脂溶液中に、活物質としてLiCoO粉末96部を投入し、回転数1,000rpmで撹拌して樹脂溶液中にLiCoO粉末を分散させた。
続いて、撹拌下、貧溶媒としての水を600部滴下し、ポリアミド樹脂(D)を析出させた。滴下速度は5〜10部/sとした。
ポリアミド樹脂(D)溶液に含まれるポリアミド樹脂(D)の、NMPに対する溶解度(20℃)は250g/100gNMPであり、水に対する溶解度(20℃)は0.5g/100g水であった。
続いて、水200部に導電助剤としてアセチレンブラックを2部加えた溶液を撹拌下加え、貧溶媒中でリチウムイオン電池用被覆活物質を形成させた。
その後、実施例1と同様に固液分離と残存溶媒の除去を行って被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、28μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<比較例1>
実施例1において、樹脂溶液中にLiCoO粉末を分散させた後、貧溶媒の滴下を行わずに、水200部に導電助剤としてアセチレンブラックを2部加えた溶液を撹拌下加え、濾過による固液分離と残存溶媒の除去を行って被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、13μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<比較例2>
実施例1において、樹脂溶液中にLiCoO粉末を分散させた後、貧溶媒の滴下を行う前に、水200部に導電助剤としてアセチレンブラックを2部加えた溶液を撹拌下加え、その後に貧溶媒の滴下を実施例1と同様に行った。続いて濾過による固液分離と残存溶媒の除去を行って被覆活物質を得た。
マイクロトラックを用いて被覆活物質の体積平均粒子径を測定したところ、48μmであった。
この被覆活物質を用いて、下記方法により電子伝導性の評価と電子顕微鏡による観察を行った。その結果を表1に示した。
<比較例3>
樹脂溶液及びアセチレンブラックを使用せず、被覆活物質を作製しなかった。
被覆していない活物質(LiCoO粉末)を用いて、下記方法により電子伝導性の評価を行った。その結果を表1に示した。
[電子伝導性の評価]
電子伝導性の指標として、活物質間の直流抵抗を測定した。なお、以下の説明において、「活物質」とは、実施例1〜7及び比較例1〜2で得た被覆活物質、又は、比較例3で用いた活物質である。
内径が15mm、高さが30mmであるポリプロピレン製円筒の内部に、活物質を30mg入れ、50回タップした。活物質をさらにSUS316製円筒で挟み、100kNの圧力をかけた。円筒を外し、電気化学測定装置(ソーラトロン社製1280C)を使用して、円柱塊状に成形した活物質の上下の抵抗値を測定した。
[電子顕微鏡による観察]
走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジーズ社製S−4800)を使用して、実施例1〜7及び比較例1〜2で得た被覆活物質の粒子の状態を観察した。
Figure 0006348498
表1に示された結果から、リチウムイオン電池活物質の表面を被覆用樹脂及び導電助剤で被覆することにより、活物質間の直流抵抗を低下させることができ、電子伝導性を向上させることができることがわかる。特に、本発明の製造方法でリチウムイオン電池用被覆活物質を製造することにより、被覆用樹脂及び導電助剤をリチウムイオン電池活物質の表面に均一に被覆させることができ、電子伝導性をより向上させることがわかる。
本発明により得られるリチウムイオン電池用被覆活物質は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター及びハイブリッド自動車、電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン二次電池用等の活物質として有用である。

Claims (6)

  1. リチウムイオン電池活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなるリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法であって、
    前記被覆用樹脂を含む樹脂溶液中に、前記リチウムイオン電池活物質を分散させ、撹拌下、前記被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を投入し、その後、前記導電助剤を加える工程を含むことを特徴とするリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
  2. 前記リチウムイオン電池用被覆活物質の体積平均粒子径が1〜80μmである請求項1に記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
  3. 前記リチウムイオン電池活物質の重量に対する前記樹脂溶液中に含まれる被覆用樹脂の固形分重量の割合が0.05〜10重量%である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
  4. 前記リチウムイオン電池活物質の重量に対する前記導電助剤の重量の割合が0.5〜15重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
  5. 前記樹脂溶液の溶解度パラメータと前記貧溶媒の溶解度パラメータとの差の絶対値|{樹脂溶液の溶解度パラメータ}−{貧溶媒の溶解度パラメータ}|が0.3〜15.0(cal/cm1/2である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
  6. 前記被覆用樹脂にとって貧溶媒となる溶媒を、前記樹脂溶液100部に対して0.08〜3.3部/sの速度で滴下する請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法。
JP2015537908A 2013-09-18 2014-09-12 リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法 Active JP6348498B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013193176 2013-09-18
JP2013193176 2013-09-18
PCT/JP2014/074309 WO2015041185A1 (ja) 2013-09-18 2014-09-12 リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015041185A1 JPWO2015041185A1 (ja) 2017-03-02
JP6348498B2 true JP6348498B2 (ja) 2018-06-27

Family

ID=52688835

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015537908A Active JP6348498B2 (ja) 2013-09-18 2014-09-12 リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6348498B2 (ja)
WO (1) WO2015041185A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6585964B2 (ja) * 2015-08-24 2019-10-02 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4330841B2 (ja) * 2002-03-29 2009-09-16 Tdk株式会社 電気二重層キャパシタおよび電気二重層キャパシタの製造方法
JP4636341B2 (ja) * 2008-04-17 2011-02-23 トヨタ自動車株式会社 リチウム二次電池およびその製造方法
JP5445878B2 (ja) * 2010-04-26 2014-03-19 トヨタ自動車株式会社 電極活物質の製造方法
JP2011238354A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 Daido Steel Co Ltd リチウム二次電池用負極の製造方法
JP5900054B2 (ja) * 2012-03-16 2016-04-06 東洋インキScホールディングス株式会社 合材スラリーおよびその製造方法とそれを用いた電極、電池

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2015041185A1 (ja) 2017-03-02
WO2015041185A1 (ja) 2015-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6235028B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法
JP6178493B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質、リチウムイオン電池用スラリー、リチウムイオン電池用負極、リチウムイオン電池、及び、リチウムイオン電池用被覆負極活物質の製造方法
EP3021384B1 (en) Resin for coating lithium-ion-battery active material, resin composition for coating lithium-ion-battery active material, and coated active material for lithium-ion battery
JP6158360B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5320972B2 (ja) リチウム二次電池用正極合剤ペースト
JPWO2016104679A1 (ja) 非水電解質二次電池とその製造方法
JP5287032B2 (ja) 電池用組成物
JP6797734B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質
JP5544699B2 (ja) リチウム二次電池用正極合剤ペースト
CN102106023A (zh) 锂二次电池用正极合剂糊剂
JP7042578B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極電極及びこれを用いたリチウムイオン二次電池
JP5369549B2 (ja) 負極合材およびそれを用いたリチウム二次電池
EP3561910B1 (en) Lithium-ion battery negative electrode
JP2010129528A (ja) 電池用組成物
JP2017188453A (ja) リチウムイオン電池用被覆活物質
JP2017188454A (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質
JP2010146993A (ja) リチウム二次電池用正極合剤ペースト
JP6348498B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆活物質の製造方法
JP2014165005A (ja) 二次電池電極形成用組成物、二次電池電極、及び二次電池
JP5396776B2 (ja) リチウム二次電池用正極合剤ペースト
JP6896477B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質
JP6896479B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質
JP6802745B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質
JP2022094109A (ja) リチウムイオン電池用電極の製造方法
JP2022094119A (ja) リチウムイオン電池用電極の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180522

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180531

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6348498

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250