JP6234257B2 - ポンプおよび耐水モータ - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプおよびポンプに用いる耐水モータに関する。
排水用のポンプは、一端側が吸込水槽内に配管され、他端側が下流側の吐出槽に連通する吐出管に接続されるポンプケーシングを備える。ポンプケーシング内には、吸込水槽内の液体を排水するための羽根車が配設され、この羽根車に主軸が連結されている。主軸には駆動用のモータが接続され、このモータによって回転駆動される。
津波の発生または局地的な降雨の集中により排水可能な水量を超え、排水できない水が建屋に流れ込むと、ポンプを駆動するためのモータが水没する可能性がある。この場合、水没したモータの分解整備を行う必要があるため、復旧に長い時間を要するという問題がある。
そこで、特許文献1の立軸ポンプは、水没しても運転を実行可能な耐水モータを用いている。耐水モータとしては、水冷式と自然空冷式の2つのタイプが記載されている。水冷式の耐水モータは、密閉したモータケーシングの外側にジャケットが配設され、モータケーシングとジャケットとの間に冷却水を用いる冷却機構が配設されている。自然空冷式の耐水ポンプは、ウォータジャケットの代わりに、複数のフィンを放射状に突出させたヒートシンクが配設されている。
特許文献1のポンプは、想定外の水によりポンプが水没しても、モータを分解整備することなく直ぐに運転できる。しかし、水冷式の耐水モータは、構造が複雑で部品点数も多いため高価であり、ポンプ自体の製造コストが高くなる。また、自然空冷式の耐水ポンプは、構造が簡素であるため製造コストの問題はないが、冷却効率が悪いため大容量のポンプには使用できない。
特開2013−83242号公報
本発明は、コストの増加を抑えつつ、確実に水没対策できるポンプおよび耐水モータを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の耐水モータは、液密に閉塞されたモータケーシングと、前記モータケーシングから外方へ一端側が突出され、前記モータケーシング内に他端が配置され、前記一端側に駆動対象部材が連結される回転軸と、前記モータケーシングから外方へ一端側が突出され、前記モータケーシング内に他端が配置され、この他端が前記モータケーシング内で前記回転軸の他対向して配置された連動軸と、前記モータケーシング外に位置する前記連動軸の一端側に連結され、前記連動軸を軸として回転可能な外扇と、前記外扇の回転抵抗が設定値より小さいときに前記回転軸の回転に連動した前記連動軸の回転を可能とする一方、前記外扇の回転抵抗が設定値より大きいときに前記回転軸の回転に連動した前記連動軸の回転を不可能とする軸継手とを備え、前記軸継手は、前記モータケーシング内に位置する前記回転軸の他端と前記連動軸の他端に配置され、これらの連結媒体として流体を用いたもので、前記外扇が気中にある場合には前記外扇によって空冷可能で、前記外扇が水中にある場合には前記外扇を回転させることなく水冷可能である
また、本発明のポンプは、ポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に配設された羽根車と、前記羽根車を回転駆動させるための耐水モータとを備える。そして、耐水モータの回転軸には、駆動対象部材である前記羽根車または前記羽根車に連結した主軸が連結される。
耐水モータは、外扇の送風によりモータケーシングを自己空冷できるため、大容量のポンプであっても使用できる。そして、外扇は、回転軸に連動して回転可能な連動軸を設け、この連動軸に配設した簡素な構成であるため、コストの増加を抑えることができる。一方、回転軸と連動軸とは、外扇の回転抵抗の大小により回転不可能または回転可能とする軸継手によって連結されている。そのため、建屋に水が流入して耐水モータが水没した時には、回転抵抗が大きくなった外扇は回転させることなく、回転軸によって羽根車だけを確実に回転させ、排水を実行できる。なお、この際には流入した水によって耐水モータが冷却されるため、外扇により自己空冷しなくても運転に影響を及ぼすような発熱は生じない。そして、建屋内の水が無くなると、軸継手を自動復帰または手動復帰させることで、再び過剰な発熱を抑えながら、通常運転を実行できる。よって、通常運転時の出力を十分確保しつつ、確実な水没対策を実現できる。
前記軸継手は、前記回転軸に連結された駆動側連結部と、前記連動軸に連結され、前記駆動側連結部に対向配置され連動側連結部と、前記駆動側連結部の回転を前記連動側連結部に伝達する液状の連結媒体とを有する。または、前記回転軸に連結され、前記回転軸の回転により軸方向外向きに送風可能な駆動側ファンと、前記連動軸に連結され、前記駆動側ファンに対向配置され連動側ファンとを有し、前記駆動側ファンが送風する空気を連結媒体として前記連動側ファンが回転するようにしている。このようにすれば、外扇の回転抵抗が小さいときに確実に連動軸を回転軸に連動させて外扇を回転させ、外扇の回転抵抗が大きいときに連動軸と回転軸との連動を遮断して外扇を停止させることができる。また、外扇の回転抵抗が大きい状態で外扇を無理に回転させないため、外扇、連動軸および軸継手等の冷却ユニットの破損を防止できる。よって、建屋の水が無くなった際には簡単かつ確実に復帰させることができる。
前記外扇を含む前記モータケーシングの外周部を覆う外装ケースを備えることが好ましい。また、前記モータケーシングは、外向きに突出するフィンを有することが好ましい。このようにすれば、耐水モータの冷却効率を向上できるため、確実に大容量のポンプに使用できる。
さらに、前記回転軸に配設され前記回転軸の回転により前記モータケーシング内の気体を循環させる内部循環ファンと、前記内部循環ファンによる内部冷却気体を前記外扇による外部冷却気体によって冷却する熱交換器とを備えることが好ましい。このようにすれば、耐水モータの冷却効率を更に向上できるため、更に大容量のポンプに使用できる。
本発明は、全閉外扇式の耐水モータを用いるため、構造は簡素であり、大容量のポンプであっても使用できる。また、外扇を連結した連動軸と回転軸とは軸継手によって連結され、軸継手は外扇の回転抵抗が大きい場合には連動軸を連動させないため、耐水モータが水没した時には、回転軸を介して羽根車だけを回転させて、排水を実行できる。よって、通常運転時の出力を十分確保しつつ、確実な水没対策を実現できる。
本発明の第1実施形態のポンプを示す断面図。 本発明の第1実施形態のポンプを用いたポンプ設備を示す断面図。 第1実施形態のポンプに用いる耐水モータを示す概略図。 第2実施形態のポンプに用いる耐水モータを示す概略図。 第3実施形態のポンプに用いる耐水モータを示す概略図。 第4実施形態のポンプを示す断面図。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のポンプである立軸渦巻ポンプ10を示す。この立軸渦巻ポンプ10は、ポンプケーシング11と耐水モータ30とを備えるモータ一体型のポンプであり、ポンプ設備の建屋1の地下に設置される。本発明のポンプは、通常運転時には、耐水モータ30が外扇55によって空冷される全閉外扇式として動作し、ポンプ設備の建屋1に浸水が生じた時には、耐水モータ30が外扇55を停止して全閉外被水冷式として動作する。
図2に示すように、ポンプ設備の建屋1は、汚水や下水である揚水を貯留する吸込水槽2と、この吸込水槽2と隔壁3を隔てて隣接するポンプ室4とを備える。吸込水槽2とポンプ室4とは地下に設けられ、ポンプ室4内に立軸渦巻ポンプ10が設置されている。ポンプ室4には、一端側が吸込水槽2内で開口し、他端側がポンプ室4内に位置する吸入管5が配管されている。また、ポンプ室4には、一端側がポンプ室4内に位置し、他端側が下流側の吐出槽(図示せず)に接続された吐出管6が配管されている。
図1に示すように、立軸渦巻ポンプ10のポンプケーシング11は立軸渦巻型であり、吸込ベンド12と、この吸込ベンド12の上部に接続される渦巻ケーシング14とを備える。吸込ベンド12は、一端に吸入管5に接続される吸込口13を備える。渦巻ケーシング14は、渦巻き状のボリュート通路15を備え、このボリュート通路15の外側端に吐出管6に接続される吐出口16を備える。
渦巻ケーシング14には、ボリュート通路15の内側端に、吸込ベンド12の他端(下流側端部)に接続する接続口17が形成されている。また、接続口17の軸線に沿った上側にはモータ取付口18が形成されている。これら接続口17とモータ取付口18との間に位置するように、渦巻ケーシング14内にはインペラ(羽根車)19が配設されている。このインペラ19は、接続口17に配設された下側プロテクタ20と、モータ取付口18に配設された上側プロテクタ21との間に、回転可能に支持されている。
耐水モータ30は、渦巻ケーシング14のモータ取付口18の上部に液密に固定されている。図3に示すように、耐水モータ30は、駆動対象部材であるインペラ19を回転させるためのモータ本体45と、モータ本体45を冷却するための冷却ユニット51とを備える。これらは、冷却ユニット51の外扇55を除き、モータケーシング31の内部に配設されている。
モータ本体45は、インペラ19を回転させるモータ軸(回転軸)46と、モータ軸46に固定された回転子49と、回転子49の外周部に配設された固定子50とを備える。通電により固定子50に対して回転子49が回転駆動することにより、モータ軸46を介してインペラ19が回転される。
冷却ユニット51は、回転自在な連動軸52と、連動軸52に連結された外扇55と、連動軸52をモータ軸46に対して連動可能に連結する軸継手56とを備える。何の異常もなく外扇55の回転抵抗が小さい通常運転時には、軸継手56を介して連動軸52をモータ軸46に連動して回転させ、外扇55によってモータケーシング31の外側からモータ本体45を冷却する。また、建屋1が浸水することにより水によって外扇55の回転抵抗が大きくなった時には、軸継手56によって連動軸52を連動させることなく、モータ軸46だけを回転させる。
具体的には図1に示すように、モータケーシング31は、軸方向の両端を開口した筒状のケーシング本体32を備える。このケーシング本体32は、ポンプケーシング11に固定される図中下側の開口が第1閉塞部材34によって液密に閉塞され、逆側に位置する図中上側の開口が第2閉塞部材36によって液密に閉塞されている。これら閉塞部材34,36により密閉されたモータケーシング31の内部には空気が充填されている(乾式)。また、ケーシング本体32の外周部には、径方向外向きに突出するフィン33が周方向に所定間隔をあけて一体的に設けられている。
第1閉塞部材34には、渦巻ケーシング14のモータ取付口18へ液密に装着するための固定座35が更に配設されている。第2閉塞部材36は有底筒状をなし、上端開口を液密に閉塞する蓋部材37を備える。第2閉塞部材36の底壁38には、ケーシング本体32内に連通する貫通孔39が設けられている。また、第2閉塞部材36の外周部には、ケーシング本体32のフィン33と直線状に位置するように、径方向外向きに突出するフィン40が周方向に所定間隔をあけて一体的に設けられている。
外扇55を含むモータケーシング31の外周部は外装ケース41により覆われている。この外装ケース41は筒状であり、下端が第1閉塞部材34の外向きに突出したフランジ部34aに位置決めされている。このフランジ部34aには、モータ本体45を冷却した外気を排出する連通部34bが設けられている。外装ケース41の上端は、第1閉塞部材34から第2閉塞部材36を越えて延び、カバー部材42によって覆われている。カバー部材42は、モータケーシング31と外装ケース41との間に外気を取り入れるための外気流入路43を備える。この外気流入路43には、外気に含まれる塵埃を取り除くフィルタ44が配設されている。なお、フィルタ44は、使用条件によっては配設する必要はない。
モータ本体45は、ケーシング本体32の内部に配設されている。モータ軸46は、インペラ19に連結する一端側が、第1閉塞部材34および固定座35を貫通して外方へ突出されている。また、モータ軸46の他端側は、第2閉塞部材36の底壁38を貫通し、第2閉塞部材36内に配置されている。このモータ軸46は、第1閉塞部材34および第2閉塞部材36に配設した軸受け47A,47Bによって回転自在に支持されている。第1閉塞部材34と固定座35との間には、渦巻ケーシング14内の液体(揚水)がモータ軸46との隙間から流入することを防止するメカニカルシール48が配設されている。そして、ケーシング本体32内に位置するように、モータ軸46に回転子49が配設され、ケーシング本体32に固定子50が配設されている。
冷却ユニット51は、モータ本体45の軸線に沿って外側に位置するように配設されている。連動軸52は、モータ軸46と同一軸線上に延びるように配設される。連動軸52の一端側は、蓋部材37を貫通して外方へ突出され、この突出端に外扇55が連結される。また、連動軸52の他端側は、第2閉塞部材36内においてモータ軸46の端部に対向配置されている。連動軸52は、蓋部材37に配設した軸受け53によって回転自在に支持されている。また、蓋部材37には、浸水時に液体が連動軸52との隙間を通して流入することを防止するメカニカルシール54が配設されている。
外扇55は、連動軸52を軸として、モータケーシング31の外部にて回転自在である。この外扇55は、ポンプ運転時のモータ軸46の回転に連動して連動軸52が同方向に回転すると、外気流入路43から吸い込んだ空気を蓋部材37側へ送風する。なお、この送風は、モータケーシング31と外装ケース41との間を通って第1閉塞部材34側へ流動し、連通部34bから外装ケース41外へ排出される。
軸継手56は、外扇55の回転抵抗が設定値より小さい通常運転時に、モータ軸46の回転に連動した連動軸52の回転を可能とし、外扇55の回転抵抗が設定値より大きい時にモータ軸46の回転に連動した連動軸52の回転を不可能とする。具体的には、軸継手56は、外扇55の回転抵抗によってモータ軸46と連動軸52の連結状態を切り換える流体クラッチ(トルクリミッタ)である。外扇55の一部でも水が浸かると、外扇55の回転抵抗が大きくなるため、モータ軸46と連動軸52の連結が解除される(滑って連動しない)ように設定している。
図3に示すように、軸継手56は、モータ軸46に連結される駆動側連結部57と、連動軸52に連結される連動側連結部58とを備える。これら連結部57,58は対向配置され、その間には駆動側連結部57の回転を連動側連結部58に伝達する流体状の連結媒体(図示せず)が充填されている。駆動側連結部57は、連結媒体に所定の流れを発生させるポンプインペラである。連動側連結部58は、連結媒体の流れを受けるタービンランナである。流体状連結媒体は、気体および液体の両方を含むが、専用油等の所定の粘性を有する液体であることが好ましい。
本実施形態の耐水モータ30は、モータケーシング31内の昇温を抑制するための内部循環ファン59を備える。この内部循環ファン59は、ケーシング本体32内の第2閉塞部材36側に位置するように、モータ軸46に連結されている。これにより、モータ軸46の回転により内部循環ファン59が連動して回転し、モータケーシング31内の空気を循環させることで、モータ軸46、回転子49および固定子50等の昇温を抑制する。なお、内部循環ファン59は、モータ軸46の代わりに回転子49に配設してもよい。
この立軸渦巻ポンプ10の運転時には、モータ本体45のモータ軸46が回転されることによりインペラ19が回転される。これにより、吸入管5を介して吸込水槽2内の揚水が吸い込まれ、ポンプケーシング11内および吐出管6を介して下流側の吐出槽へ排水される。
建屋1に何の異常も発生していない通常運転時には、冷却ユニット51の周囲は空気であり、外扇55の回転抵抗は殆どない。そのため、軸継手56を介して連動軸52がモータ軸46に連動して回転し、外扇55が外装ケース41外の空気を吸い込んでモータケーシング31側へ送風する。この送風は、モータケーシング31のフィン33,40と外装ケース41との間を通り、モータケーシング31の熱を吸着して外装ケース41外へ排出される。よって、耐水モータ30は、外扇55の送風によりモータケーシング31(モータ本体45)が自己空冷される。
津波や集中豪雨等によって建屋1内に水が流入し、耐水モータ30が水没した時には、冷却ユニット51の周囲は水が充満しているため、外扇55の回転抵抗は設定値より大きくなる。そのため、軸継手56によって連動軸52は連動されることなく、モータ本体45のモータ軸46によってインペラ19だけが回転し、排水が実行される。この状態でモータ本体45は、外扇55による送風ではなく、周囲の水によって冷却される。
このように、本発明のポンプ10は、通常運転時には、耐水モータ30が外扇55によりモータ本体45を自己空冷し、モータ本体45の昇温を防止する。また、外扇55が動作できない時には、モータ本体45が周囲の水によって冷却され、モータ本体45の昇温を防止する。即ち、いずれの状態でも運転に影響を及ぼすような発熱を抑えることが簡単な構造でできるため、使用可能なポンプ容量の範囲を広げることができる。
また、冷却ユニット51は、モータ軸46に連動して回転可能な連動軸52を設け、この連動軸52に外扇55を配設した簡素な構成であるため、コストの増加を抑えることができる。また、回転抵抗が大きい状態で外扇55を無理に回転させないため、インペラ19を回転させるための動力が過大になり、無駄に電力を消費することを防止できる。しかも、外扇55、連動軸52および軸継手56等の冷却ユニット51の破損を防止できる。そして、建屋1内の水が無くなると、流体クラッチからなる軸継手56を自動復帰または手動復帰させることで、再びモータ本体45の発熱を抑えながら、通常運転を実行できる。よって、通常運転時の出力を十分確保しつつ、確実な水没対策を実現できる。
(第2実施形態)
図4は第2実施形態の立軸渦巻ポンプ10に用いる耐水モータ30を示す。この第2実施形態では、モータ軸46に連動軸52を連動可能に連結するための軸継手56として、一対のファン60,61を有する流体クラッチ(ファンカップリング)を用いた点で、第1実施形態と相違する。
具体的には、モータ本体45のモータ軸46には、回転により連動軸52側である軸方向外向きに送風可能な駆動側ファン60が配設されている。冷却ユニット51の連動軸52は、第1実施形態と同様にモータ軸46と同一軸線上に延びるように配設され、駆動側ファン60と対向する端部に連動側ファン61が配設されている。連動側ファン61は、駆動側ファン60に対して所定間隔をあけて位置し、駆動側ファン60の送風を受けて回転する。連動側ファン61の回転方向は、連動軸52の外側端部に連結した外扇55が、外装ケース41外の空気を吸い込んでモータケーシング31側へ送風できる方向であれば、駆動側ファン60と同一方向であってもよいし逆方向であってもよい。なお、駆動側ファン60の風を受けて回転する連動側ファン61の回転速度が低い場合には、変速機を配設して外扇55の回転速度を高くできるようにしてもよい。
このようにした第2実施形態は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、軸継手56が空気を連結媒体とする一対のファン60,61からなり、水没時の運転には余計な負荷は加わらないため、排水に必要な動力の損失を確実に防止できる。
(第3実施形態)
図5は第3実施形態の立軸渦巻ポンプ10に用いる耐水モータ30を示す。この第3実施形態では、内部循環ファン59によって循環させるモータケーシング31内の内部冷却気体(以下「内気」という。)を、外扇55によって送風する外部冷却気体(以下「外気」という。)によって冷却し、使用可能なポンプ容量の範囲を更に広げるようにした点で、第1実施形態と相違する。
具体的には、モータケーシング31の径方向外側には熱交換器62が配設され、この熱交換器62を含めた外周部を覆うように外装ケース41が設けられている。熱交換器62は、モータケーシング31の内気を通す内気通路63と、外扇55による外気を通す外気通路64とを備え、これらが区画して設けられている。これら通路63,64は、例えば熱伝導度が高い金属材料からなるフィンによって連結される。これにより、各通路63,64内を通過する気体が互いに熱交換される。また、モータケーシング31と熱交換器62との間には、一対の連通路65a,65bが設けられている。
ポンプ10が運転されると、モータ軸46の回転に連動して内部循環ファン59が回転する。これによりモータケーシング31の内気は、上側の連通路65aから流出され、熱交換器62の内気通路63を通過する際に、外気通路64を通過する外気によって冷却される。その後、下側の連通路65bからモータケーシング31内に流入され、モータ軸46、回転子49および固定子50を冷却する。なお、モータケーシング31の内気は、下側の連通路65bから熱交換器62へ流出させ、上側の連通路65aから流入させてもよい。
このようにした第3実施形態では、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、熱交換器62によってモータケーシング31内の内気を冷却できるため、通常運転時の耐水モータ30の冷却効率を更に向上できる。よって、更に大容量のポンプ10に使用できる。
(第4実施形態)
図6は第4実施形態のポンプである立軸ポンプ70を示す。この第4実施形態では、インペラ19を主軸77に連結し、この主軸77にモータ軸46を連結するようにした点で、第1実施形態と大きく相違する。具体的には、立軸ポンプ70を設置する建屋1は、吸込水槽2の上部にポンプ室4と区画する隔壁(ポンプ床)3が設けられ、この隔壁3にポンプ挿通孔7が設けられている。
立軸ポンプ70のポンプケーシング71は、ポンプ挿通孔7に上側から差し込まれた状態で隔壁3に固定されている。このポンプケーシング71は、ポンプ挿通孔7から鉛直下向きに延びる揚水管72と、この揚水管72上に配置される吐出エルボ75とを備える。
揚水管72の下端にはベーンケーシング73が連結され、このベーンケーシング73内にインペラ19が回転自在に配設されている。ベーンケーシング73の下端には、下向きに漸次拡径した略円錐筒状の吸込ベルマウス74が連結されている。この吸込ベルマウス74は、下端開口からなる吸込口74aが吸込水槽2の底に所定の距離を隔てて対向配置される。
吐出エルボ75は、揚水管72を通した垂直方向の水流を水平方向に変えるように90度湾曲した曲がり管である。この吐出エルボ75の上端である下流側フランジ部に、吐出槽に連通する吐出管6が接続されている。吐出エルボ75には、揚水管72の軸線に沿って上向きに突出するモータ台76が設けられている。
ポンプケーシング71には、揚水管72の軸線に沿って駆動対象部材である主軸77が配設されている。この主軸77は、吐出エルボ75内からベーンケーシング73内にかけて延び、その下端側にインペラ19が連結されている。なお、主軸77は軸受け78によってポンプケーシング71内に回転自在に支持されている。
ポンプケーシング71のモータ台76には、第1実施形態と同様の耐水モータ30が配設されている。モータケーシング31から突出したモータ軸46の端部は、吐出エルボ75を貫通して主軸77の上端に対向配置されている。そして、モータ軸46と主軸77とがカップリング79によって一体的に回転可能に連結されている。
このようにした第4実施形態においても、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。また、立軸ポンプ70は、吐出エルボ75上に耐水モータ30を一体的に配設した1床式に限らず、隔壁(ポンプ床)3上に更にモータ床を設けて、このモータ床に耐水モータ30を配設するとともに、モータ軸46と主軸77とを中間軸を介して連結する2床式としても、同様の作用および効果を得ることができる。
なお、本発明のポンプ10,70および耐水モータ30は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、第4実施形態では、第1実施形態と同様の耐水モータ30を用いたが、第2および第3実施形態の耐水モータ30を用いてもよい。また、第1から第3実施形態の耐水モータ30は、連動軸52の軸線をモータ軸46の軸線と同一軸線上に位置するように配設したが、平行または所定角度で交差するように配設してもよい。即ち、連動軸52とモータ軸46とは、軸継手56で連結できる範囲で配設すればよい。また、熱交換器62を設けた第3実施形態は、一対の連結部57,58を有する第1実施形態と同様の軸継手56を用いたが、一対のファン60,61を有する第2実施形態と同様の軸継手56を用いてもよい。
本発明は、コストの増加を抑えつつ、駆動手段であるモータ30が水没してもポンプの運転を実行可能とすることに特徴を有する。そのため、ポンプは、各実施形態に示す立軸のポンプ10,70に限らず、インペラ19または主軸77の軸線を横向きに延びるように配置した横軸ポンプにも適用できる。また、本発明は、外扇55の回転抵抗に応じてモータ軸46と連動軸52との連結状態を切換可能とした軸継手56を用いた耐水モータ30に特徴を有する。そして、この耐水モータ30は、ポンプ設備に限らず、駆動手段が必要な設備であればいずれでも使用可能である。
10…立軸渦巻ポンプ(ポンプ)
11…ポンプケーシング
19…インペラ(羽根車)
30…耐水モータ
31…モータケーシング
33,40…フィン
41…外装ケース
46…モータ軸(回転軸)
49…回転子
50…固定子
51…冷却ユニット
52…連動軸
55…外扇
56…軸継手
57…駆動側連結部
58…連動側連結部
59…内部循環ファン
60…駆動側ファン
61…連動側ファン
62…熱交換器
70…立軸ポンプ(ポンプ)
71…ポンプケーシング
77…主軸
79…カップリング

Claims (7)

  1. ポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に配設された羽根車と、前記羽根車を回転駆動させるための耐水モータとを備えたポンプであって、
    前記耐水モータは、
    液密に閉塞されたモータケーシングと、
    前記モータケーシングから外方へ一端側が突出され、前記モータケーシング内に他端が配置され、前記一端側に前記羽根車または前記羽根車に連結した主軸が連結され回転軸と、
    前記モータケーシングから外方へ一端側が突出され、前記モータケーシング内に他端が配置され、このが前記モータケーシング内で前記回転軸の他対向して配置された連動軸と、
    前記モータケーシング外に位置する前記連動軸の一端側に連結され、前記連動軸を軸として回転可能な外扇と、
    前記外扇の回転抵抗が設定値より小さいときに前記回転軸の回転に連動した前記連動軸の回転を可能とする一方、前記外扇の回転抵抗が設定値より大きいときに前記回転軸の回転に連動した前記連動軸の回転を不可能とする軸継手と
    を備え
    前記軸継手は、前記モータケーシング内に位置する前記回転軸の他端と前記連動軸の他端に配置され、これらの連結媒体として流体を用いたもので、
    前記外扇が気中にある場合には前記外扇によって前記耐水モータを空冷可能で、前記外扇が水中にある場合には前記外扇を回転させることなく前記耐水モータを水冷可能であることを特徴とするポンプ。
  2. 前記軸継手は、
    前記回転軸に連結された駆動側連結部と、
    前記連動軸に連結され、前記駆動側連結部に対向配置され連動側連結部と、
    前記駆動側連結部の回転を前記連動側連結部に伝達する液状の連結媒体と
    を有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記軸継手は、
    前記回転軸に連結され、前記回転軸の回転により軸方向外向きに送風可能な駆動側ファンと、
    前記連動軸に連結され、前記駆動側ファンに対向配置され連動側ファンと
    を有し、
    前記駆動側ファンが送風する空気を連結媒体として前記連動側ファンが回転することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
  4. 前記外扇を含む前記モータケーシングの外周部を覆う外装ケースを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポンプ。
  5. 前記モータケーシングは、外向きに突出するフィンを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポンプ。
  6. 前記回転軸に配設され、前記回転軸の回転により前記モータケーシング内の気体を循環させる内部循環ファンと、
    前記内部循環ファンによる内部冷却気体を前記外扇による外部冷却気体によって冷却する熱交換器と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポンプ。
  7. 液密に閉塞されたモータケーシングと、
    前記モータケーシングから外方へ一端側が突出され、前記モータケーシング内に他端が配置され、前記一端側に駆動対象部材が連結される回転軸と、
    前記モータケーシングから外方へ一端側が突出され、前記モータケーシング内に他端が配置され、この他端が前記モータケーシング内で前記回転軸の他対向して配置された連動軸と、
    前記モータケーシング外に位置する前記連動軸の一端側に連結され、前記連動軸を軸として回転可能な外扇と、
    前記外扇の回転抵抗が設定値より小さいときに前記回転軸の回転に連動した前記連動軸の回転を可能とする一方、前記外扇の回転抵抗が設定値より大きいときに前記回転軸の回転に連動した前記連動軸の回転を不可能とする軸継手と
    を備え
    前記軸継手は、前記モータケーシング内に位置する前記回転軸の他端と前記連動軸の他端に配置され、これらの連結媒体として流体を用いたもので、
    前記外扇が気中にある場合には前記外扇によって空冷可能で、前記外扇が水中にある場合には前記外扇を回転させることなく水冷可能であることを特徴とする耐水モータ。
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