以下、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る印刷システムに含まれる印刷装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の外観を示す概略斜視図である。図2は、この発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
図1および図2を参照して、デジタル複合機11aは、デジタル複合機11a全体の制御を行うデジタル複合機制御部12と、デジタル複合機11a側から発信する情報やユーザーの入力内容を表示する表示画面21を含み、印刷部数や階調性等の画像形成の条件や電源のオンまたはオフを入力させる操作部13と、セットされた原稿を自動的に読み取り位置へ搬送するADF(Auto Document Feeder)22を含み、原稿の画像を読み取る画像読み取り部14と、手差しでメディアをセットする手差しトレイ28やサイズの異なる複数枚のメディアを収納可能なカセット群29を含み、画像形成部15に供給するメディアをセットするメディアセット部19と、読み取った画像やネットワーク25を介して送信された画像データを基に画像を形成し、トナーにより形成された可視画像をメディアに定着させる画像形成部15と、画像形成部15によりメディアに画像を形成し、定着させた後にメディアを排出するメディア排出部30と、送信された画像データや入力された画像形成条件等の格納を行う格納部としてのハードディスク16と、公衆回線24に接続されており、ファクシミリ送信やファクシミリ受信を行うファクシミリ通信部17と、ネットワーク25と接続するためのネットワークインターフェース部18とを備える。デジタル複合機制御部12は、印刷システム全体を制御するシステム制御部の一部としても作動する。なお、デジタル複合機11aは、画像データの書き出しや読み出しを行うDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を備えるが、これらについては、図示および説明を省略する。また、図2中の矢印は、制御信号や制御、画像に関するデータの流れを示している。なお、図1に示すように、この実施形態においては、カセット群29は、第一のカセット23a、第二のカセット23b、第三のカセット23cの3つから構成されている。すなわち、デジタル複合機11aは、3つのカセット23a〜23cを備える。
ここで、メディアについては、普通紙、薄紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、光沢紙、カラー紙等、印刷において可視画像が形成される媒体をいう。メディアは、その材質や厚み、表面の光沢度合い等によって、複数のタイプに分けられる。また、メディアについては、定着の制御や搬送速度の制御の観点から、坪量といったメディアの重さのレベルでタイプが判別される場合もある。メディアのタイプについては、例えば、坪量の軽い順から、薄紙のような重さレベル1のタイプ、普通紙のような重さレベル2のタイプ、光沢紙のような重さレベル3のタイプ、厚紙のような重さレベル4のタイプといったメディアの重さのタイプ別に規定される場合もある。
デジタル複合機11aは、画像読み取り部14により読み取られた原稿を用いて画像形成部15において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機11aは、ネットワークインターフェース部18を通じて、ネットワーク25に接続されたコンピューター26a、26bから送信された画像データを用いて、画像形成部15において画像を形成してメディアに印刷することにより、プリンターとして作動する。すなわち、画像形成部15は、要求された画像を印刷する印刷部として作動する。また、デジタル複合機11aは、ファクシミリ通信部17を通じて、公衆回線24から送信された画像データを用いて、DRAMを介して画像形成部15において画像を形成することにより、また、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データを、ファクシミリ通信部17を通じて公衆回線24に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。すなわち、デジタル複合機11aは、画像処理に関し、複写機能、プリンター機能、ファクシミリ機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、詳細に設定可能な機能を有する。
この発明の一実施形態に係る印刷システム27は、上記した構成のデジタル複合機11aと、デジタル複合機11aと同様の構成を有する他のデジタル複合機11b、11c、11dと、ネットワーク25を介してデジタル複合機11a〜11dにそれぞれ接続される複数のコンピューター26a、26bとを備える。すなわち、印刷システム27は、4台のデジタル複合機11a、11b、11c、11dと、デジタル複合機11a〜11dとネットワーク25を介して通信可能に接続されている2台のコンピューター26a、26bとを含む。各コンピューター26a、26bはそれぞれ、各デジタル複合機11a〜11dに対して、ネットワーク25を介して印刷要求を行って印刷をすることができる。デジタル複合機11a〜11dとコンピューター26a、26bとは、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いて有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよく、ネットワーク25内には、さらに他のデジタル複合機やコンピューター、サーバー等が接続されている構成でもよい。もちろん、印刷システム27に含まれるコンピューター26aは、一つであってもよい。
ここで、コンピューター26aの構成について、簡単に説明する。コンピューター26aは、コンピューター26a自身を制御するコンピューター制御部31と、コンピューター26aにおける情報を表示する表示画面となるディスプレイ32と、ユーザーからコンピューター26aに対する入力のインターフェースとなるキーボード33およびマウス(図示せず)とを備える。コンピューター制御部31は、印刷システム27全体を制御するシステム制御部の一部としても作動する。ユーザーは、ディスプレイ32に表示される表示画面を見て、キーボード33およびマウスを用いて、コンピューター26aへの動作の実行や数値データの入力等の操作を行う。なお、コンピューター26bについては、コンピューター26aと構成が同じであるため、その説明を省略する。
次に、印刷システム27に備えられるデジタル複合機11aの各部の構成について、詳細に説明する。まず、上記した操作部13の構成について、説明する。図3は、操作部13の概略的な構成を示す外観図である。図3を参照して、操作部13は、印刷部数等を入力させるための0〜9までの数字、および「*」や「#」の記号を入力させるテンキー34と、印刷の開始やファクシミリ送信の開始を指示させるスタートキー35と、デジタル複合機11aの電源のオンまたはオフを入力させる電源キー36と、デジタル複合機11aの有するプリンター機能やコピー機能等の選択を指示させるメニューキー37と、種々の画像形成の条件や使用ユーザーの登録を指示させる登録キー38と、テンキー34等を用いてユーザーにより入力された指示の内容をキャンセルさせるリセットキー39と、上記した表示画面21とを含む。表示画面21は、液晶のタッチパネル機能を有しており、ユーザーの指での押圧等により、表示画面21からも画像形成条件等を入力させると共に、機能の選択等を行うことができる。
次に、メディアセット部19に備えられる第一のカセット23aの構成について説明する。図4は、第一のカセット23aの概略的な構成を示す断面図である。なお、理解の容易の観点から、図4において、部材のハッチングを省略する。また、図4は、上下方向に延びる平面でデジタル複合機11aを切断した場合の断面図である。
図1〜図4を参照して、第一のカセット23aは、第一〜第三のカセット23a〜23cのうちの最も上段に設けられるカセットである。すなわち、第一のカセット23aは、メディア排出部30に最も近い位置に設けられるカセットである。
第一のカセット23aは、その内部に複数枚の印刷用のメディア46を積載するようにしてセットすることができる。第一のカセット23aは、全体の枠を構成する枠部41と、その上に複数枚のメディアを載置可能な底板部42とを含む。枠部41は、上下方向から見た場合に、略矩形状である。枠部41は、長手方向および短手方向にその大きさを変えることができ、最大A3サイズのメディア46を収納可能である。すなわち、A3サイズ以内であれば、様々なサイズのメディア46をセットすることができる。なお、図4においては、底板部42の上に載置された1枚のメディア46を図示している。
第一のカセット23aは、デジタル複合機11aから引き出すことができる。第一のカセット23aを図1中の矢印D1の方向に引き出して、ユーザーは第一のカセット23aの内部にメディア46をセットする。底板部42は、第一のカセット23aがデジタル複合機11aにセットされた際に、左側の端部43aを支点として、右側の端部43bが図4中の矢印R1の方向である上側に所定の角度だけ持ち上げられる。
第一のカセット23aは、底板部42が所定の角度だけ持ち上げられた際に、底板部42に載置されたメディア46のうち、一番上にあるメディア46と当接してメディア46を第一のカセット23aから送り出すピックアップローラー44と、ピックアップローラー44によって送り出されたメディア46を画像形成部15側へ搬送する一対の搬送ローラー45a、45bとを含む。ピックアップローラー44によって送り出されたメディア46は、一対の搬送ローラー45a、45bの設けられた位置まで搬送され、さらには、一対の搬送ローラー45a、45b等によって画像形成部15側まで搬送される。
デジタル複合機11aは、カセット23aの所定の位置に設けられ、メディア46のタイプを検出するメディアセンサー61を備える。具体的には、メディアセンサー61は、メディアの搬送を阻害しない箇所であって、ピックアップローラー44と、一対の搬送ローラー45a、45bとの間に設けられている。メディアセンサー61は、メディア46に対して光を発光する発光素子62と、メディア46からの反射光を受光する第一の受光素子63aと、メディア46を透過する透過光を受光する第二の受光素子63bと、第一および第二の受光素子63a、63bにより受光した光の光量および検出時間等からメディア46のタイプ、具体的には、メディア46の材質およびメディア46の厚みを検出する検出部64とを含む。なお、メディアセンサー61については、図4において、二点鎖線で概略的に示している。
メディアセンサー61は、カセット23aに収容されているメディア46に対して、発光素子62から光を照射する。照射した光を受けてメディア46から反射される反射光、およびメディア46を透過する透過光の光量を第一および第二の受光素子63a、63bによって受光する。受光したそれぞれの光量および受光素子63a、63bによって受光した時間等から、検出部64によって、メディアの材質およびメディアの厚みを検出する。そして、メディア46のタイプ、例えば、普通紙であるか、厚紙であるか等を検出する。また、メディアセンサー61によって、メディア46の重さレベルの検出もできる。すなわち、検出したメディア46の厚み等により、メディア46の重さを概算し、メディア46のタイプが、重さレベル1〜重さレベル4のいずれに該当するかを判別することができる。この場合、メディアセンサー61が第一のカセット23aから搬送されたメディア46を検出していれば、第一のカセット23aにセットされたメディア46のタイプが、メディアセンサー61によって検出されたメディア46のタイプであることを検出する。
デジタル複合機11aは、メディア46への印刷において、メディア46のタイプに応じて印刷速度を設定させる印刷速度設定部を含む。図5は、印刷速度を設定する際の操作部13の表示画面21の一例を示す図である。図5を参照して、表示画面21には、「印刷速度設定画面」との表示66と、「各メディアの印刷速度を設定してください。」とのメッセージ67と、「重さレベル1」のタイプのメディアの印刷速度を設定させるための複数の選択キーがタッチキーとして画面上に配列された領域68aと、「重さレベル2」のタイプのメディアの印刷速度を設定させるための複数の選択キーがタッチキーとして画面上に配列された領域68bと、「重さレベル3」のタイプのメディアの印刷速度を設定させるための複数の選択キーがタッチキーとして画面上に配列された領域68cと、「重さレベル4」のタイプのメディアの印刷速度を設定させるための複数の選択キーがタッチキーとして画面上に配列された領域68dとが表示されている。
具体的には、領域68a内には、「重さレベル1」のメディアの印刷時において印刷速度を全速とするよう設定する選択キー69aと、「重さレベル1」のメディアの印刷時において印刷速度を3/4速とするよう設定する選択キー69bと、「重さレベル1」のメディアの印刷時において印刷速度を半速とするよう設定する選択キー69cと、「重さレベル1」のメディアの印刷時において印刷速度を全速、3/4速、半速以外であるその他の印刷速度とするよう設定する選択キー69dとが表示されている。領域68b、68c、68dのそれぞれについても、同様の選択キーが表示されている。なお、選択キー69dを押下すると、さらに別の表示画面に移行し、数値等で印刷速度を設定する画面が表れ、この設定画面に対しては、テンキー34等を用いて任意の印刷速度の入力が可能となる。ここで、印刷速度が全速とは、デジタル複合機11aにおいて最も速い印刷速度である。3/4速とは、全速の印刷速度に対して、3/4の印刷速度である。半速とは、全速の印刷速度に対して、半分の印刷速度である。
ユーザーは、これらの選択キー69aの押下等により、メディア46のタイプ毎に印刷速度を設定することができる。ここで、デジタル複合機制御部12、操作部13等は、メディア毎に印刷速度を設定させる印刷速度設定部として作動する。なお、図5中のハッチングで示す選択キー69a等は、押下された状態を示している。
ここで、印刷システム27に備えられる各デジタル複合機11a〜11dにおいて、メディア毎に設定された印刷速度の設定内容について説明する。図6は、この発明の一実施形態に係る印刷システム27の全体を示す図である。
図6を参照して、各デジタル複合機11a〜11dは、それぞれに設けられた印刷速度設定部により、メディア46の重さレベルに応じて、印刷速度をそれぞれ設定されている。デジタル複合機11aの印刷速度設定70aについては、メディア46のタイプが重さレベル1の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル2の場合、印刷速度が3/4速となり、メディア46のタイプが重さレベル3の場合、印刷速度が半速となり、メディア46のタイプが重さレベル4の場合、印刷速度が半速となるよう設定されている。
同様に、デジタル複合機11bの印刷速度設定70bについては、メディア46のタイプが重さレベル1の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル2の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル3の場合、印刷速度が3/4速となり、メディア46のタイプが重さレベル4の場合、印刷速度が半速となるよう設定されている。デジタル複合機11cの印刷速度設定70cについては、メディア46のタイプが重さレベル1の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル2の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル3の場合、印刷速度が3/4速となり、メディア46のタイプが重さレベル4の場合、印刷速度が3/4速となるよう設定されている。デジタル複合機11dの印刷速度設定70dについては、メディア46のタイプが重さレベル1の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル2の場合、印刷速度が全速となり、メディア46のタイプが重さレベル3の場合、印刷速度が半速となり、メディア46のタイプが重さレベル4の場合、印刷速度が半速となるよう設定されている。
なお、第二のカセット23bは、第一のカセット23aの下部側に設けられている。第三のカセット23cは、第二のカセット23bの下部側に設けられている。第三のカセット23cは、最下段に設けられるカセットである。なお、第二のカセット23b、第三のカセット23cの構成については、第一のカセット23aと基本的に同様の構成であるため、それらの説明を省略する。すなわち、それぞれのカセット23a〜23cにおいて、メディアセンサー61が設けられている。
第一〜第三のカセット23a〜23cには、それぞれ異なるタイプのメディアを収納することができる。メディアのサイズについても同様に、それぞれ異なるサイズのメディアを収納することができる。もちろん、第一〜第三のカセット23a〜23cについて、同じタイプのメディア、同じサイズのメディアを収納することもできる。
次に、デジタル複合機11aに備えられる画像形成部15の構成について説明する。図7は、デジタル複合機11aの概略的な構成を示す断面図である。なお、理解の容易の観点から、図7において、部材のハッチングを省略する。また、図7は、上下方向に延びる平面でデジタル複合機11aを切断した場合の断面図である。
図1〜図7を参照して、画像形成部15は、それぞれ感光体51a、51b、51c、51dを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各4色に対応する4つの作像ユニット52a、52b、52c、52dを含む作像器53と、画像読み取り部14によって読み取った画像を基に、4つの作像ユニット52a〜52dにそれぞれ露光する露光ユニットとしてのLSU(Laser Scanner Unit)54と、作像ユニット52a〜52dによって形成されたトナーによる可視画像をメディアに転写する前に一時的に転写される中間転写体としての転写ベルト55と、転写ベルト55上に転写された可視画像をメディアに転写する転写ローラー56と、転写ローラー56によってトナーによる可視画像が転写されたメディアに対し、熱および圧力によってメディアにトナーを定着させる定着装置57と、転写ベルト55上に残存したトナーをブレード等によって除去する転写ベルトクリーニングユニット(図示せず)とを備える。LSU54については、一点鎖線で概略的に示している。定着装置57についても、一点鎖線で概略的に示している。画像形成部15は、いわゆる4連タンデム形式の現像方式である。
転写ベルト55は、無端状であって、一対の駆動ローラー58a、58bによって一方方向に回転しながら、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色の作像ユニット52a〜52dにより形成された可視画像を転写される。転写ベルト55の回転方向は、図7中の矢印D2で示される。なお、転写ベルト55の回転方向において、作像ユニット52a〜52dのうち、イエローの作像ユニット52dが最も上流側に配置されており、ブラックの作像ユニット52aが最も下流側に配置されている。
画像形成部15には、メディア搬送路47を介して、第一〜第三のカセット23a〜23d側からメディア46が搬送される。この場合、一対の搬送ローラー45a、45b側から搬送されたメディア46は、一対の搬送ローラー48a、48b側から転写ローラー56まで搬送される。そして、転写ベルト55の表面59上に形成されたトナーによる可視画像が、転写ローラー56により転写され、転写ローラー56の上側に位置する定着装置57まで搬送される。定着装置57において熱および圧力によってトナーによる可視画像がメディア46に定着された後、メディア排出部30にメディア46が排出される。
なお、画像形成部15までのメディア46の搬送の経路は異なるが、手差しトレイ28にセットされたメディア46についても、画像形成時には画像形成部15に搬送される。そして、転写ローラー56によって転写ベルト55の表面59上に形成されたトナーによる可視画像がメディア46に転写された後、定着装置57によって定着され、メディア排出部30に排出される。
次に、この発明の一実施形態に係る印刷システム27を用いて、印刷する場合について説明する。図8は、この発明の一実施形態に係る印刷システム27によって印刷する場合の処理の流れを示すフローチャートである。この場合、印刷システム27に含まれるコンピューター26aによって印刷の要求を行うものとする。
図1〜図8を参照して、印刷システム27において、ユーザーは、印刷を要求するメディア46のタイプを指定すると共に、コンピューター26aからデジタル複合機11a〜11dのいずれかにおける印刷を要求する。この場合、コンピューター26aに備えられるコンピューター制御部31により、ネットワーク25に接続されたデジタル複合機11a〜11dのいずれかに対して、印刷する画像データを送信すると共に、メディア46のタイプを指定させ、印刷を実行するよう命令する。
図9は、コンピューター26aから印刷の要求をする場合のディスプレイ32の表示画面71の一例を示す図である。図9を参照して、コンピューター26aに接続されたディスプレイ32の表示画面71には、「印刷設定」の表示72と、「印刷するメディアを指定してください。」とのメッセージ73aと、印刷を要求するメディアのタイプとして「重さレベル1」を指定させるアイコン74aと、印刷を要求するメディアのタイプとして「重さレベル2」を指定させるアイコン74bと、印刷を要求するメディアのタイプとして「重さレベル3」を指定させるアイコン74cと、印刷を要求するメディアのタイプとして「重さレベル4」を指定させるアイコン74dと、「印刷する画像データを入力してください。」とのメッセージ73bと、印刷する画像データを入力させる画像データ入力部75と、「印刷」と表記され、クリックにより印刷の実行を開始するアイコン76とが表示されている。
ユーザーは、メディア46への印刷に先立ち、まず、この印刷設定用の表示画面71をディスプレイ32に表示させるよう命令する。コンピューター26aは、命令に応じて、印刷設定用の表示画面71をディスプレイ32に表示する(図8において、ステップS11、以下、「ステップ」を省略する)。
ユーザーは、キーボード33およびマウスを用いて、これらの指定や入力を行う。具体的には、アイコン74a〜74dのうちのいずれかをマウスにより、クリックして指定する。また、印刷する画像データのファイル名を、マウスやキーボード33を用いて入力部75に入力する。次に、「印刷」と表記されたアイコン76をクリックして、印刷を要求する。なお、ここでは、アイコン74cをクリックし、「重さレベル3」のメディアのタイプを指定したとする。
メディアの指定および画像データの入力により、コンピューター26aは、コンピューター制御部31において、印刷の要求を受け付ける(S12)。ここで、コンピューター制御部31、ディスプレイ32等は、ユーザーからの印刷の要求を入力させる入力部、および入力部によって入力された印刷の要求をするメディアのタイプを指定させるメディア指定部として作動する。
次に、コンピューター制御部31は、ネットワーク25に接続された各デジタル複合機11a〜11dにおけるメディア毎の印刷速度の情報を取得する(S13)。ここで、コンピューター制御部31は、印刷速度情報取得部として作動する。具体的には、コンピューター制御部31は、印刷速度設定70a〜70dの情報を、ネットワーク25を介して取得する。
その後、コンピューター制御部31は、取得したメディア46毎の印刷速度の情報から、指定されたメディア46のタイプにおいて、最も印刷速度の速いデジタル複合機を選択する(S14)。ここで、コンピューター制御部31は、選択部として作動する。
この場合、「重さレベル3」のメディアのタイプが指定されている。したがって、取得した印刷速度設定70a〜70dの情報の中から各デジタル複合機11a〜11dの「重さレベル3」の印刷速度の情報を抽出して比較する。この場合、デジタル複合機11a〜11dの中から、「重さレベル3」において最も印刷速度の速いデジタル複合機として、デジタル複合機11dを選択する。
次に、選択されたデジタル複合機11dにおいて、指定されたメディア46がセットされているカセットがあるか否かを判断する(S15)。ここで、コンピューター制御部31は、判断部として作動する。
この場合、コンピューター制御部31は、メディアセンサー61により検出された検出結果の情報を、ネットワーク25を介して取得する。そして、この取得した検出結果を基に、デジタル複合機11dに備えられる3つのカセット23d、23e、23fの中に、メディアタイプとして「重さレベル3」のメディア46がセットされているか否かを判断する。
デジタル複合機11dに備えられるカセット23d〜23fの中に、メディアタイプとして「重さレベル3」のメディアがセットされていると判断すれば(S15において、YES)、そのカセットを印刷用のカセットとして選択する(S17)。すなわち、指定されたメディアがセットされているカセットを選択する。ここでは、カセット23eに「重さレベル3」のメディア46がセットされているとする。そうすると、カセット23eが選択される。
その後、選択されたカセット23eにセットされたメディア46で印刷を行う(S18)。すなわち、カセット23eにセットされた「重さレベル3」のメディアを用いて、入力部に入力された画像データを基に画像を形成し、印刷する。この場合、デジタル複合機11dは、「重さレベル3」のメディアの印刷速度が全速と設定されているため、デジタル複合機11dにおける全速の印刷速度で印刷が行われる。印刷されたメディア46は、メディア排出部30に排出される。ユーザーは、メディア排出部30に排出された印刷物を手に入れる。
なお、S15において、デジタル複合機11dに備えられるカセット23d〜23fの中に、メディアタイプとして「重さレベル3」のメディアがセットされていないと判断すれば(S15において、NO)、次に印刷速度の速いデジタル複合機11a〜11cを選択する(S16)。この場合、「重さレベル3」において次に印刷速度の速いデジタル複合機として、いずれも「重さレベル3」のメディアの印刷速度が3/4速で設定されているデジタル複合機11bかデジタル複合機11cのいずれかを選択する。そして、S15〜S17と同様の処理を行う。このデジタル複合機11a〜11dの選択は、指定されたメディアがセットされているカセットがあると判断するまで行われる。
このように構成することにより、印刷の要求時において指定したメディアを用いた印刷を迅速に行うことができる。したがって、このような印刷システムによると、ユーザーが印刷するメディアを指定して早期に印刷物を入手したい場合に、ユーザーの要望に沿った印刷を実行することができる。すなわち、生産性の高い印刷を優先して行うことができる。
なお、上記の実施の形態においては、選択されたデジタル複合機において、指定されたメディアのタイプがセットされているカセットが一つであったが、指定されたメディアのタイプがセットされているカセットが複数あった場合、最もメディア排出部に近いカセットを選択するようにしてもよい。
図10は、この場合における処理の流れを示すフローチャートである。図10を参照して、この発明の他の実施形態に係る印刷システムにおいて、S21、S22、S23、S24、S25におけるNO、およびS26の処理は、図8に示すフローチャートにおけるS11、S12、S13、S14、S15におけるNO、およびS16の処理と同じであるため、それらの説明を省略する。
そして、S25において、指定されたメディアがセットされているカセットがあれば(S25において、YES)、該当するカセットが一つであるか否かを判断する(S27)。
そして、S27において、該当するカセットが一つであると判断すれば(S27において、YES)、指定されたメディアがセットされているカセットを選択する(S28)。一方、該当するカセットが一つでないと判断すれば(S27において、NO)、すなわち、該当するカセットが複数あると判断すれば、最もメディア排出部30に近いカセットを選択する(S29)。具体的には、例えば、上記した場合において、デジタル複合機11dに備えられるカセット23dと、カセット23eの双方に、「重さレベル3」のメディアがセットされていれば、最もメディア排出部30に近いカセットであるカセット23dを選択する。なお、カセット23d〜23fについて、メディア排出部30に近い順序の情報については、ネットワーク25を介して、コンピューター制御部31に取得されるものである。
その後は、図8に示す場合と同様に、選択されたカセットにセットされているメディアを用いて印刷し(S30)、出力する。
このように構成することにより、ファーストプリントの速度を速くして、より速くユーザーが印刷物を入手することができる。
また、上記の実施の形態においては、最も印刷速度が速く設定されているデジタル複合機11dが一つの場合について説明したが、最も印刷速度が速く設定されているデジタル複合機が複数あった場合には、以下のように構成することにしてもよい。すなわち、各デジタル複合機11a〜11dは、メディアのタイプ毎にメディアの残量を検出する残量検出センサーを含む構成とする。そして、最も印刷速度が速いデジタル複合機11a〜11dが複数あれば、残量検出センサーによって、指定されたメディアの残量が最も多いと検出されたデジタル複合機を選択するよう構成してもよい。
図11は、この場合における処理の流れを示すフローチャートである。図11を参照して、この発明のさらに他の実施形態に係る印刷システムにおいて、S31、S32、S33、およびS34の処理は、図8に示すフローチャートにおけるS11、S12、S13、およびS14の処理と同じであるため、それらの説明を省略する。
そして、S35において、最も印刷速度が速く設定されているデジタル複合機11a〜11dが複数あると判断すれば(S35において、YES)、該当するデジタル複合機11a〜11dにおいて、デジタル複合機11a〜11dに備えられている残量検出センサーを用いて、指定されたメディアに相当するメディアの残量を検出する(S36)。この場合、具体的には、コンピューター制御部31は、それぞれのデジタル複合機11a〜11dに備えられた残量検出センサーにより検出されたメディアの残量の情報を、ネットワーク25を介して取得する。そして、最も印刷速度が速く設定されているデジタル複合機11a〜11dの中から、最もメディアの残量の多いデジタル複合機を選択する(S37)。
その後、指定されたメディアがセットされているカセットを選択する(S38)。そして、選択されたカセットにセットされたメディアで印刷を行う(S39)。
こうすることにより、複数枚のメディアの印刷を要求した場合に、印刷の途中でメディアがなくなってしまうおそれを低減することができる。したがって、よりユーザーの望む印刷における早期の印刷物の入手を実現することができる。
なお、この場合、例えば、選択されたデジタル複合機において、指定されたメディアが複数のカセットにセットされているとすれば、一つのカセットにセットされているメディアがなくなったとしても、他のカセットにセットされているメディアを用いて印刷することができる。
また、図8に示す場合において、デジタル複合機11bとデジタル複合機11cのいずれかを選択する段階において、メディアの残量の多い方のデジタル複合機を選択するようにしてもよい。すなわち、印刷速度の設定が同じである場合、メディアの残量の多い方を選択するようにしてもよい。
なお、上記の実施の形態において、選択対象となる最も印刷速度が速いデジタル複合機が複数あった場合、コンピューターとの距離が最も近いデジタル複合機を選択するよう構成してもよい。こうすることによっても、ユーザーの要望に沿った印刷を行うことができる。
また、上記の実施の形態においては、コンピューター制御部が、印刷速度情報取得部、選択部、判断部、および制御部を備えることとしたが、これに限らず、印刷速度情報取得部、選択部、判断部、および制御部のうちの少なくともいずれか一つは、ネットワークに接続された複数のデジタル複合機のうちのいずれかに備えられるデジタル複合機制御部に備えられる構成としてもよい。こうすることにより、コンピューター側の処理の負荷の軽減を図ることができる。
なお、上記の実施の形態においては、カセット23aの所定の位置にメディアセンサーを設けることとしたが、これに限らず、メディア搬送路47上の所定の位置に設けることとしてもよい。具体的には、例えば、図7に示す場合において、一対の搬送ローラー48a、48bと転写ローラー56との間のメディア搬送路47上に、メディアセンサー49を設けるようにしてもよい。こうすることにより、メディアセンサー49を設ける数を少なくすることができる。なお、この場合、メディアセンサー49により検出された各カセット23a〜23cにセットされているメディア46のタイプの情報については、ハードディスク16等によって一時的に格納される。
また、上記の実施の形態において、メディアセンサーは、メディアの材質およびメディアの厚みを検出することによりメディアの重さといったメディアのタイプを検出することとしたが、これに限らず、メディアセンサーは、メディアの材質およびメディアの厚みのうちの少なくともいずれか一方を検出する構成としてもよい。
なお、上記の実施の形態においては、トナーを用いた可視画像をメディアに印刷する場合について説明したが、これに限らず、インク等を用いたプリンターを含む印刷装置においても適用されるものである。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。