JP6233145B2 - ロータリ圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機や冷凍機などに用いられるロータリ圧縮機に関する。
従来、密閉容器内に、電動機部と、180度の位相差を有する二つの偏心部を設けたクランク軸で前記電動機部に連結する圧縮機構部とを備え、その圧縮機構部は二つの圧縮要素を備え、それぞれの圧縮要素を構成する2個のシリンダは仕切り板を介して連結し、前記シリンダと前記仕切り板と前記シリンダを閉塞する閉塞部を備えて前記クランク軸を支持する主ベアリング及び副ベアリングとで二つの圧縮室を構成し、これら二つの圧縮室内を前記偏心部に嵌合されたローラが偏心回動して圧縮作用をなすようにした密閉型2シリンダロータリ圧縮機において、前記副ベアリングに嵌入される副ベアリング嵌入部の外径を前記主ベアリングに嵌入される主ベアリング嵌入部の外径よりも小さくし、前記二つの偏心部における反偏心軸側の外周面を前記主ベアリング嵌入部の外周面よりへこませ、前記二つの偏心部を連接する連接部に前記主ベアリング嵌入部の外径より小径の部分を設けると共に、その小径部分の長さを主ベアリング側の前記ローラの高さ以上にして、前記ローラを前記副ベアリング嵌入部側から偏心部に嵌合させる密閉型2シリンダロータリ圧縮機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、主軸受に枢支される主軸部、副軸受に枢支される副軸部、主軸部と副軸部との間に偏心して設けられ、それぞれにローラが嵌合する複数のクランク軸部、隣接するクランク軸部相互を連結する連結部、を備えた回転軸と、この回転軸におけるそれぞれのクランク軸部と前記ローラを、偏心回転自在に収容する複数のシリンダ室とを具備し、上記回転軸における上記主軸部の半径をRm、上記副軸部の半径をRs、上記クランク軸部の半径をRc、上記クランク軸部の偏心量をeとしたとき、
Rc<Rm+e ・・・(1)
Rc≧Rs+e ・・・(2)
が成立し、上記主軸部側に設けられる第1のクランク軸部と上記副軸部側に設けられる第2のクランク軸部とを連結する上記連結部は、上記第2のクランク軸部の反偏心側周面に、第2のクランク軸部の外周面と同一、もしくは第2のクランク軸部の外周面よりも内側に位置するとともに、前記副軸部の半径Rsより大なる半径のA周面を備え、上記第1のクランク軸部の反偏心側周面に、第1のクランク軸部の外周面と同一、もしくは第1のクランク軸部の外周面よりも内側に位置するとともに、前記副軸部の半径Rsより大なる半径のB周面を備え、上記連結部の軸方向長さをL、上記第1のクランク軸部に嵌合するローラの軸方向長さをH、第1のクランク軸部に嵌合するローラの内径部に設けられる面取り部の軸方向長さをCr、上記第2のクランク軸部に設けられる面取り部の軸方向長さをCsとしたとき、
H>L≧H−Cr−Cs ・・・(3)
が成立し、上記A周面における第1のクランク軸部側角部とB周面における第2のクランク軸部側角部に、上記第1のクランク軸部に嵌合するローラの内径部に設けられる面取り部に入り込む大きさの肉盛り部をそれぞれ設け、前記ローラを前記副軸部側からクランク軸部に嵌合させる多気筒回転式圧縮機が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−328972号公報 特許第5117503号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の技術によれば、二つの偏心部を連接する連接部に主ベアリング嵌入部の外径より小径の部分を設けると共に、その小径部分の長さを主ベアリング側のローラの高さ以上にするので、連接部の外径が小さく、長さが長くなって剛性が低下し、クランク軸の信頼性が低下する、という問題がある。
また、上記特許文献2に記載された従来の技術によれば、ローラの内周部に設けられる面取り部を大きくする必要があるため、ローラの端面と、主、副軸受及び仕切り板端面との接触シール幅が小さくなって、シール性能が低下するという問題が生じる。また、ローラ内周部及びクランク軸部の高さが小さくなり、接触面積が小さくなって、信頼性が低下する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、第1、第2偏心部間の連接部の長さを長くする必要がなく、ローラ(環状ピストン)の内周部の面取り部を大きくする必要のない、ロータリ圧縮機を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、上部に冷媒の吐出部が設けられ下部に冷媒の吸入部が設けられ密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体の下部に配置され、環状の第1及び第2シリンダと、軸受部及び吐出弁部を有し前記第1及び第2シリンダの端部を閉塞する下、上端板と、前記第1及び第2シリンダ間に配置され両者間を仕切る中間仕切板と、前記軸受部に支持された回転軸の互いに180°の位相差を有する第1及び第2偏心部に嵌合され前記第1及び第2シリンダのシリンダ内周面に沿って該シリンダ内を公転し前記シリンダ内周面との間に第1及び第2作動室を形成する第1及び第2環状ピストンと、前記第1及び第2シリンダに設けられた第1及び第2ベーン溝内から前記第1及び第2作動室内に突出して前記第1及び第2環状ピストンに当接し該第1及び第2作動室を第1及び第2吸入室と第1及び第2圧縮室とに区画する第1及び第2ベーンと、を備え、前記吸入部を通して冷凍サイクルの低圧側から冷媒を吸入し、前記圧縮機筐体内を通して前記吐出部から冷媒を吐出する第1及び第2の圧縮部と、前記圧縮機筐体の上部に設置され、前記回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、を備えるロータリ圧縮機において、前記上端板の主軸受部に軸支される回転軸の主軸部の半径をRm、前記下端板の副軸受部に軸支される回転軸の副軸部の半径をRs、第1及び第2偏心部の半径をRc、第1及び第2偏心部の偏心量をeとするとき、次の(1)式が成立するように前記主軸部の半径Rm、副軸部の半径Rs、第1及び第2偏心部の半径Rc、第1及び第2偏心部の偏心量eを設定すると共に、
Rm>Rc−e≧Rs ・・・(1)
前記主軸部の下部の外周面が前記第2偏心部の反偏心側外周面より外側にはみ出さないように、前記主軸部の下部に切欠き部を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、第1、第2偏心部間の連接部の長さを長くする必要がなく、ローラ(環状ピストン)の内周部の面取り部を大きくする必要のない、ロータリ圧縮機が得られる、という効果を奏する。
図1は、本発明が適用されるロータリ圧縮機を示す縦断面図である。 図2は、第1及び第2の圧縮部の上から見た横断面図である。 図3は、実施例1の回転軸を示す下部側面図である。 図4は、図3のA−A線に沿う横断面図である。 図5は、第2環状ピストンの組立工程を示す工程図である。 図6は、実施例2の回転軸を示す図4と同様の図である。
以下に、本発明にかかるロータリ圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明が適用されるロータリ圧縮機を示す縦断面図であり、図2は、第1及び第2の圧縮部の上から見た横断面図である。
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10の上部に配置され、回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、を備えている。
モータ11のステータ111は、円筒状に形成され、圧縮機筐体10の内周面に焼きばめされて固定されている。モータ11のロータ112は、円筒状のステータ111の内部に配置され、モータ11と圧縮部12とを機械的に接続する回転軸15に焼きばめされて固定されている。
圧縮部12は、第1の圧縮部12Sと、第1の圧縮部12Sと並列に配置され第1の圧縮部12Sの上側に積層された第2の圧縮部12Tと、を備えている。図2に示すように、第1及び第2の圧縮部12S,12Tは、第1及び第2側方張出部122S,122Tに、放射状に第1及び第2吸入孔135S,135T、第1及び第2ベーン溝128S,128Tが設けられた環状の第1及び第2シリンダ121S,121Tを備えている。
図2に示すように、第1及び第2シリンダ121S,121Tには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第1及び第2シリンダ内壁123S,123Tが形成されている。第1及び第2シリンダ内壁123S,123T内には、シリンダ内径よりも小さい外径の第1及び第2環状ピストン125S,125Tが夫々配置され、第1及び第2シリンダ内壁123S,123Tと、第1及び第2環状ピストン125S,125Tとの間に、冷媒ガスを吸入し圧縮して吐出する第1及び第2作動室130S,130Tが形成される。
第1及び第2シリンダ121S,121Tには、第1及び第2シリンダ内壁123S,123Tから径方向に、シリンダ高さ全域に亘る第1及び第2ベーン溝128S,128Tが形成され、第1及び第2ベーン溝128S,128T内に、夫々平板状の第1及び第2ベーン127S,127Tが、摺動自在に嵌合されている。
図2に示すように、第1及び第2ベーン溝128S,128Tの奥部には、第1及び第2シリンダ121S,121Tの外周部から第1及び第2ベーン溝128S,128Tに連通するように第1及び第2スプリング穴124S,124Tが形成されている。第1及び第2スプリング穴124S,124Tには、第1及び第2ベーン127S,127Tの背面を押圧する第1及び第2ベーンスプリング(図示せず)が挿入されている。
ロータリ圧縮機1の起動時は、この第1及び第2ベーンスプリングの反発力により、第1及び第2ベーン127S,127Tが、第1及び第2ベーン溝128S,128T内から第1及び第2作動室130S,130T内に突出し、その先端が、第1及び第2環状ピストン125S,125Tの外周面に当接し、第1及び第2ベーン127S,127Tにより、第1及び第2作動室130S,130Tが、第1及び第2吸入室131S,131Tと、第1及び第2圧縮室133S,133Tとに区画される。
また、第1及び第2シリンダ121S,121Tには、第1及び第2ベーン溝128S,128Tの奥部と圧縮機筐体10内とを、図1に示す開口部Rで連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒ガスを導入し、第1及び第2ベーン127S,127Tに、冷媒ガスの圧力により背圧をかける第1及び第2圧力導入路129S,129Tが形成されている。
第1及び第2シリンダ121S,121Tには、第1及び第2吸入室131S,131Tに外部から冷媒を吸入するために、第1及び第2吸入室131S,131Tと外部とを連通させる第1及び第2吸入孔135S,135Tが設けられている。
また、図1に示すように、第1シリンダ121Sと第2シリンダ121Tの間には、中間仕切板140が配置され、第1シリンダ121Sの第1作動室130S(図2参照)と第2シリンダ121Tの第2作動室130T(図2参照)とを区画、閉塞している。中間仕切板140は、第1シリンダ121Sの上端部と第2シリンダ121Tの下端部を閉塞している。第1シリンダ121Sの下端部には、下端板160Sが配置され、第1シリンダ121Sの第1作動室130Sを閉塞している。また、第2シリンダ121Tの上端部には、上端板160Tが配置され、第2シリンダ121Tの第2作動室130Tを閉塞している。下端板160Sは、第1シリンダ121Sの下端部を閉塞し、上端板160Tは、第2シリンダ121Tの上端部を閉塞している。
下端板160Sには、副軸受部161Sが形成され、副軸受部161Sに、回転軸15の副軸部151が回転自在に支持されている。上端板160Tには、主軸受部161Tが形成され、主軸受部161Tに、回転軸15の主軸部153が回転自在に支持されている。
回転軸15は、互いに180°位相をずらして偏心させた第1偏心部152Sと第2偏心部152Tとを備え、第1偏心部152Sは、第1の圧縮部12Sの第1環状ピストン125Sに回転自在に嵌合し、第2偏心部152Tは、第2の圧縮部12Tの第2環状ピストン125Tに回転自在に嵌合している。
回転軸15が回転すると、第1及び第2環状ピストン125S,125Tが、第1及び第2シリンダ内壁123S,123Tに沿って第1及び第2シリンダ121S,121T内を図2の時計回りに公転し、これに追随して第1及び第2ベーン127S,127Tが往復運動する。この第1及び第2環状ピストン125S,125T及び第1及び第2ベーン127S,127Tの運動により、第1及び第2吸入室131S,131T及び第1及び第2圧縮室133S,133Tの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒ガスを吸入し圧縮して吐出する。回転軸15の詳細については後述する。
図1に示すように、下端板160Sの下側には、下マフラーカバー170Sが配置され、下端板160Sとの間に下マフラー室180Sを形成している。そして、第1の圧縮部12Sは、下マフラー室180Sに開口している。すなわち、下端板160Sの第1ベーン127S近傍には、第1シリンダ121Sの第1圧縮室133Sと下マフラー室180Sとを連通する第1吐出孔190S(図2参照)が設けられ、第1吐出孔190Sには、圧縮された冷媒ガスの逆流を防止するリード弁型の第1吐出弁200Sが配置されている。
下マフラー室180Sは、環状に形成された1つの室であり、第1の圧縮部12Sの吐出側を、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T及び上端板160Tを貫通する冷媒通路136(図2参照)を通して上マフラー室180T内に連通させる連通路の一部である。下マフラー室180Sは、吐出冷媒ガスの圧力脈動を低減させる。また、第1吐出弁200Sに重ねて、第1吐出弁200Sの撓み開弁量を制限するための第1吐出弁押え201Sが、第1吐出弁200Sとともにリベットにより固定されている。第1吐出孔190S、第1吐出弁200S及び第1吐出弁押え201Sは、下端板160Sの第1吐出弁部を構成している。
図1に示すように、上端板160Tの上側には、上マフラーカバー170Tが配置され、上端板160Tとの間に上マフラー室180Tを形成している。上端板160Tの第2ベーン127T近傍には、第2シリンダ121Tの第2圧縮室133Tと上マフラー室180Tとを連通する第2吐出孔190T(図2参照)が設けられ、第2吐出孔190Tには、圧縮された冷媒ガスの逆流を防止するリード弁型の第2吐出弁200Tが配置されている。また、第2吐出弁200Tに重ねて、第2吐出弁200Tの撓み開弁量を制限するための第2吐出弁押え201Tが、第2吐出弁200Tとともにリベットにより固定されている。上マフラー室180Tは、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。第2吐出孔190T、第2吐出弁200T及び第2吐出弁押え201Tは、上端板160Tの第2吐出弁部を構成している。
第1シリンダ121S、下端板160S、下マフラーカバー170S、第2シリンダ121T、上端板160T、上マフラーカバー170T及び中間仕切板140は、複数の通しボルト175等により一体に締結されている。通しボルト175等により一体に締結された圧縮部12のうち、上端板160Tの外周部が、圧縮機筐体10にスポット溶接により固着され、圧縮部12を圧縮機筐体10に固定している。
円筒状の圧縮機筐体10の外周壁には、軸方向に離間して下部から順に、第1及び第2貫通孔101,102が、第1及び第2吸入管104,105を通すために設けられている。また、圧縮機筐体10の外側部には、独立した円筒状の密閉容器からなるアキュムレータ25が、アキュムホルダー252及びアキュムバンド253により保持されている。
アキュムレータ25の天部中心には、冷媒回路の蒸発器に接続するシステム接続管255が接続され、アキュムレータ25の底部に設けられた底部貫通孔257には、一端がアキュムレータ25の内部上方まで延設され、他端が、第1及び第2吸入管104,105の他端に接続される第1及び第2低圧連絡管31S,31Tが固着されている。
冷媒回路の低圧冷媒をアキュムレータ25を介して第1及び第2の圧縮部12S,12Tに導く第1及び第2低圧連絡管31S,31Tは、吸入部としての第1及び第2吸入管104,105を介して第1及び第2シリンダ121S,121Tの第1及び第2吸入孔135S,135T(図2参照)に接続されている。すなわち、第1及び第2吸入孔135S,135Tは、冷媒回路の蒸発器に並列に接続されている。
圧縮機筐体10の天部には、冷媒回路と接続し高圧冷媒ガスを冷媒回路の凝縮器側に吐出する吐出部としての吐出管107が接続されている。すなわち、第1及び第2吐出孔190S,190Tは、冷媒回路の凝縮器に接続されている。
圧縮機筐体10内には、およそ第2シリンダ121Tの高さまで潤滑油が封入されている。また、潤滑油は、回転軸15の下部に挿入される図示しないポンプ羽根により、回転軸15の下端部に取付けられた給油パイプ16から吸上げられ、圧縮部12を循環し、摺動部品の潤滑を行なうと共に、圧縮部12の微小隙間のシールをする。
次に、図1〜図5を参照して、実施例1のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。図3は、実施例1の回転軸を示す下部側面図であり、図4は、図3のA−A線に沿う横断面図(図4には、実際には見えない第2偏心部152Tを二点鎖線で示している)であり、図5は、第2環状ピストンの組立工程を示す工程図である。
図1〜図5に示すように、上端板160Tの主軸受部161Tに軸支される回転軸15の主軸部153の半径をRm、下端板160Sの副軸受部161Sに軸支される回転軸15の副軸部151の半径をRs、第1及び第2偏心部152S,152Tの半径をRc、第1及び第2偏心部152S,152Tの偏心量をeとするとき、次の(1)式が成立するように主軸部153の半径Rm、副軸部151の半径Rs、第1及び第2偏心部152S,152Tの半径Rc、第1及び第2偏心部の偏心量eが設定されている。
Rm>Rc−e≧Rs ・・・(1)
すなわち、主軸部153の半径Rmは、第1及び第2偏心部152S,152Tの半径Rcと第1及び第2偏心部152S,152Tの偏心量eとの差より大きくされている。また、副軸部151の半径Rsは、第1及び第2偏心部152S,152Tの半径Rcと第1及び第2偏心部152S,152Tの偏心量eとの差以下とされている。
また、主軸部153の下部の外周面が第2偏心部152Tの反偏心側外周面より外側にはみ出さないように、主軸部153の下部に切欠き部153mを設けている。図4に示すように、切欠き部153mの外周面は、第2偏心部152Tと同心かつ同一半径Rc以下の円弧面に形成している。それ故、切欠き部153mの外周面の切削加工は、第2偏心部152Tの外周面の切削加工と同一工程で行なうことができる。切欠き部153mの高さh(図5参照)は、第2環状ピストン125Tの高さhと同程度とすればよい。
次に、図5を参照して、実施例1の回転軸15に対する第2環状ピストン125Tの組付け方法を説明する。まず、工程(1)で、回転軸15の上端(ロータ112は、まだ取付けられていない)を第2環状ピストン125Tに通し、第2環状ピストン125Tを切欠き部153mの位置まで下ろし、第2環状ピストン125Tを第2偏心部152Tの偏心側へ寄せる。
工程(2)で、第2環状ピストン125Tを、第2偏心部152Tの上端部に当たるまで下方へ下ろす。工程(3)及び(4)で、第2環状ピストン125Tの上下の内周面取り部121Tmを利用して、第2環状ピストン125Tを、さらに、第2偏心部152Tの偏心側へ寄せると共に、第2偏心部152T及び切欠き部153mに嵌め込む。工程(5)で、第2環状ピストン125Tを、さらに下方へ下ろして第2偏心部152Tに嵌合させる。
(4)及び(5)に示すように、切欠き部153mの高さhの最小値は、第2環状ピストン125Tの高さhから、上下の内周面取り部121Tmの軸方向高さを差引いた高さhである。
実施例1の回転軸15によれば、主軸部153の半径Rmが、第1及び第2偏心部152S,152Tの半径Rcと第1及び第2偏心部152S,152Tの偏心量eとの差より大きくされている場合であっても、第2環状ピストン125Tを主軸部153側から第2偏心部152Tに嵌合させることができる。実施例1の回転軸15は、第2偏心部152Tと第1偏心部152Sとの連接部152Uの長さを長くする必要がなく、第2環状ピストン125Tの内周面取り部121Tmを大きくする必要がない。
図6は、実施例2の回転軸を示す図4と同様の図である。実施例2の回転軸15では、主軸部153の下部の外周面が第2偏心部152Tの反偏心側外周面より外側にはみ出さないように、主軸部153の下部に切欠き部153kを設けている。図6に示すように、切欠き部153kは、主軸部153の反偏心側を、半円柱状に切欠くことにより、切欠き面が平面となっている。切欠き部153kの平面と主軸部153の円周面との交点から第2偏心部152Tの中心までの距離Dを、第2偏心部152Tの半径Rc以下とする。
切欠き部153kを有する実施例2の回転軸15も、切欠き部153mを有する実施例1の回転軸15と同様に、図5に示す第2環状ピストン125Tの組付け方法により、第2環状ピストン125Tを組付けることができる。実施例2の回転軸15は、実施例1の回転軸15と同様の効果を奏する。切欠き部153kは、切欠き面が平面であるので、加工が容易である。
1 ロータリ圧縮機
10 圧縮機筐体
11 モータ
12 圧縮部
15 回転軸
16 給油パイプ
25 アキュムレータ
31S 第1低圧連絡管
31T 第2低圧連絡管
101 第1貫通孔
102 第2貫通孔
104 第1吸入管
105 第2吸入管
107 吐出管(吐出部)
111 ステータ
112 ロータ
12S 第1の圧縮部
12T 第2の圧縮部
121S 第1シリンダ(シリンダ)
121T 第2シリンダ(シリンダ)
122S 第1側方張出部
122T 第2側方張出部
123S 第1シリンダ内壁(シリンダ内壁)
123T 第2シリンダ内壁(シリンダ内壁)
124S 第1スプリング穴
124T 第2スプリング穴
125S 第1環状ピストン(環状ピストン)
125T 第2環状ピストン(環状ピストン)
127S 第1ベーン(ベーン)
127T 第2ベーン(ベーン)
128S 第1ベーン溝(ベーン溝)
128T 第2ベーン溝(ベーン溝)
129S 第1圧力導入路
129T 第2圧力導入路
130S 第1作動室(作動室)
130T 第2作動室(作動室)
131S 第1吸入室(吸入室)
131T 第2吸入室(吸入室)
133S 第1圧縮室(圧縮室)
133T 第2圧縮室(圧縮室)
135S 第1吸入孔(吸入孔)
135T 第2吸入孔(吸入孔)
136 冷媒通路
140 中間仕切板
151 副軸部
152S 第1偏心部(偏心部)
152T 第2偏心部(偏心部)
152U 連接部
153 主軸部
153m、153k 切欠き部
160S 下端板(端板)
160T 上端板(端板)
161S 副軸受部(軸受部)
161T 主軸受部(軸受部)
170S 下マフラーカバー
170T 上マフラーカバー
175 通しボルト
180S 下マフラー室
180T 上マフラー室
190S 第1吐出孔(吐出弁部)
190T 第2吐出孔(吐出弁部)
200S 第1吐出弁(吐出弁部)
200T 第2吐出弁(吐出弁部)
201S 第1吐出弁押さえ(吐出弁部)
201T 第2吐出弁押さえ(吐出弁部)
252 アキュムホルダー
253 アキュムバンド
255 システム接続管
257 底部貫通孔
R 開口部

Claims (2)

  1. 上部に冷媒の吐出部が設けられ下部に冷媒の吸入部が設けられ密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体と、
    前記圧縮機筐体の下部に配置され、環状の第1及び第2シリンダと、軸受部及び吐出弁部を有し前記第1及び第2シリンダの端部を閉塞する下、上端板と、前記第1及び第2シリンダ間に配置され両者間を仕切る中間仕切板と、前記軸受部に支持された回転軸の互いに180°の位相差を有する第1及び第2偏心部に嵌合され前記第1及び第2シリンダのシリンダ内周面に沿って該シリンダ内を公転し前記シリンダ内周面との間に第1及び第2作動室を形成する第1及び第2環状ピストンと、前記第1及び第2シリンダに設けられた第1及び第2ベーン溝内から前記第1及び第2作動室内に突出して前記第1及び第2環状ピストンに当接し該第1及び第2作動室を第1及び第2吸入室と第1及び第2圧縮室とに区画する第1及び第2ベーンと、を備え、前記吸入部を通して冷凍サイクルの低圧側から冷媒を吸入し、前記圧縮機筐体内を通して前記吐出部から冷媒を吐出する第1及び第2の圧縮部と、
    前記圧縮機筐体の上部に設置され、前記回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、
    を備えるロータリ圧縮機において、
    前記上端板の主軸受部に軸支される回転軸の主軸部の半径をRm、前記下端板の副軸受部に軸支される回転軸の副軸部の半径をRs、第1及び第2偏心部の半径をRc、第1及び第2偏心部の偏心量をeとするとき、次の(1)式が成立するように前記主軸部の半径Rm、副軸部の半径Rs、第1及び第2偏心部の半径Rc、第1及び第2偏心部の偏心量eを設定すると共に、
    Rm>Rc−e≧Rs ・・・(1)
    前記主軸部の下部の外周面が前記第2偏心部の反偏心側外周面より外側にはみ出さないように、前記主軸部の下部に切欠き部を設けたことを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 前記切欠き部の外周面は、前記第2偏心部と同心かつ同一半径Rc以下の円弧面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ圧縮機。
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