JP6233081B2 - ゲート絶縁膜、組成物、硬化膜、半導体素子、半導体素子の製造方法および表示装置 - Google Patents

ゲート絶縁膜、組成物、硬化膜、半導体素子、半導体素子の製造方法および表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、ゲート絶縁膜、組成物、硬化膜、半導体素子、半導体素子の製造方法および表示装置に関する。
液晶や有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた表示装置は、薄型で低消費電力であるという特徴を有し、様々な分野で用いられるようになっている。特に、画素ごとに半導体素子である薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transister)を設けてスイッチング素子とするアクティブマトリクス型の表示装置は、高精細の画像表示が可能で、高いコントラスト比を有する等、表示品位に優れている。そのため、アクティブマトリクス型の表示装置は、テレビ、モニタ、ノートパソコン等に用いられ、また、スマートフォン等の携帯情報機器の表示装置に用いられるようになっており、近年特にその市場規模が拡大している。
アクティブマトリクス型の表示装置に用いられるアレイ基板上には、複数の走査線と、これらの走査線に絶縁膜を介して交差する複数の信号線とが形成されており、走査線と信号線との交差部近傍に、画素をスイッチングするスイッチング素子となるTFTが設けられている。
従来のアクティブマトリクス型の表示装置に用いられるTFTにおいては、絶縁性の基板上に走査信号線(ゲート線)、その上部にゲート絶縁膜、その上部に半導体層、半導体層上にはドレイン電極(データ線)およびソース電極があり、ソース電極には透明な画素電極が接続されており、ドレイン電極(データ線)には映像信号電圧が供給されている。基板上にまずゲート電極が形成されているTFT構造は、一般に逆スタガ構造(ボトムゲート構造)と呼ばれている。
尚、ドレイン電極とソース電極と半導体層とを設けた後、半導体層の上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を重畳するTFT構造は、正スタガ構造(トップゲート構造)と呼ばれている。
このように、従来のアクティブマトリクス型の表示装置に用いられるTFTにおいては、トランジスタ特性を確保するため、ゲート絶縁膜が重要な構成要素となっている。そして、ゲート絶縁膜の性能が、TFTのトランジスタ特性に大きな影響を与えることがある。
従来、ゲート絶縁膜の形成には、無機材料である、酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)等が用いられてきた。この中で、窒化珪素は、緻密な高い耐性の膜を形成することができ、高い絶縁性が求められるゲート絶縁膜に好ましい材料とされる。
しかし、窒化珪素は、酸化珪素等に比べて高い誘電率特性を有する材料である。したがって、これを用いてゲート絶縁膜を形成すると、TFTにおいて配線遅延(RC遅延)が懸念される場合がある。
また、そのような懸念に対し、窒化珪素を用いたゲート絶縁膜を厚膜化して対応しようとする場合、ゲート絶縁膜形成の工程が長時間化し、TFTの生産性を低下させる懸念があった。
そのため、例えば、2種の異なる材料を用いた2層絶縁構造化を実現して、トランジスタ特性や、ゲート電極とソース・ドレイン電極間の電気的短絡の防止能の向上を図る技術が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)
また、2層構造のゲート絶縁膜においては、1層を窒化珪素からなる膜とし、もう1層を、より低誘電率の酸化珪素からなる膜とする技術が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。このような構成材料の選択を行うことにより、ゲート絶縁膜の誘電率特性を制御しながら厚膜化を実現し、その結果、短絡防止能を向上させるとともに配線遅延の増大を防止することができる。
特願昭62−219544号公報 特開平6−61490号公報 特開平10−233514号公報
以上のように、アクティブマトリクス型の表示装置に用いられるTFT等の半導体素子においては、ゲート絶縁膜が重要な構成要素であり、その性能の向上には、2種の異なる材料を用いたゲート絶縁膜の2層構造化が有効な技術となる。
しかしながら、2種の異なる材料を用いてゲート絶縁膜を2層構造化することは、ゲート絶縁膜の製造工程数の増大を招くことになる。その結果、半導体素子の生産性、ひいてはそれを用いた表示装置の生産性が低下する。
そのため、製造工程数を増大させることなく、1層構造のゲート絶縁膜により、その誘電特性の制御と絶縁性を実現する技術が求められている。すなわち、誘電特性の制御されたゲート絶縁膜が求められ、それに好適な絶縁性の材料からなる硬化膜をパターニングしてゲート絶縁膜を形成する技術が求められている。そして、その誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子が求められ、その半導体素子を有する表示装置が求められている。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、誘電特性の制御されたゲート絶縁膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、パターニング性を備えて、誘電特性の制御された絶縁性の硬化膜を形成する組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、パターニング性を有する組成物から形成されて、半導体素子のゲート絶縁膜となる誘電特性の制御された硬化膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子を提供することにある。
また、本発明の目的は、誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子を有する表示装置を提供することにある。
本発明の第1の態様は、半導体層とゲート電極とを有する半導体素子の該半導体層と該ゲート電極との間に配置されるゲート絶縁膜であって、
[A]ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む加水分解性化合物の加水分解縮合体、並びに
[B]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、バリウムおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物である金属酸化物粒子
を含有する組成物を用いて形成されることを特徴とするゲート絶縁膜に関する。
本発明の第1の態様において、組成物は、さらに、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の第1の態様において、組成物の[A]加水分解縮合体が、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合体であることが好ましい。
Figure 0006233081
(式(1)中、R1aは、各々独立に、水素または炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。R1bは、各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは0〜3の整数である。)
本発明の第2の態様は、[A]ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む加水分解性化合物の加水分解縮合体、
[B]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、バリウムおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物である金属酸化物粒子、並びに
[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤
を含有し、
半導体層と、ゲート電極と、その半導体層とそのゲート電極との間に配置されたゲート絶縁膜とを有する半導体素子のゲート絶縁膜の形成に用いられることを特徴とする組成物に関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の組成物を用いて形成される硬化膜であって、
半導体層と、ゲート電極と、その半導体層とそのゲート電極との間に配置されたゲート絶縁膜とを有する半導体素子のそのゲート絶縁膜に用いられることを特徴とする硬化膜に関する。
本発明の第4の態様は、ゲート電極と、本発明の第1の態様のゲート絶縁膜と、半導体層とが、この順で基板上に配置されて、ボトムゲート構造を有することを特徴とする半導体素子に関する。
本発明の第4の態様において、半導体層が、In−Ga−Zn酸化物から形成されていることが好ましい。
本発明の第5の態様は、ゲート電極と本発明の第1の態様のゲート絶縁膜と、半導体層とを、この順で基板上に設けることを特徴とする半導体素子の製造方法に関する。
本発明の第6の態様は、本発明の第4の態様の半導体素子を有することを特徴とする表示装置に関する。
本発明の第1の態様によれば、誘電特性の制御されたゲート絶縁膜が得られる。
本発明の第2の態様によれば、パターニング性を備えて、誘電特性の制御された絶縁性の硬化膜を形成する組成物が得られる。
本発明の第3の態様によれば、パターニング性を有する組成物から形成されて、半導体素子のゲート絶縁膜となる誘電特性の制御された硬化膜が得られる。
本発明の第4の態様によれば、誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子が得られる。
本発明の第5の態様によれば、誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子の製造方法が得られる。
本発明の第6の態様によれば、誘電特性の制御された硬化膜をゲート絶縁膜とする半導体素子を有する表示装置が得られる。
本発明の実施形態の半導体素子の構造を模式的に説明する断面図である。 本実施形態の有機EL表示装置の主要部の構造を模式的に説明する断面図である。
本発明の半導体素子は、半導体層とゲート電極とを有して構成され、その半導体層とゲート電極との間にゲート絶縁膜が配置された構造の半導体素子である。
そして、ゲート絶縁膜は、
[A]加水分解縮合体、並びに、
[B]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、バリウムおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物である金属酸化物粒子を含有する組成物を用いて形成されたものである。そして、その組成物では、さらに、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤を含有することが好ましい。
以下で、本発明の半導体素子について説明し、次いで、その主要な構成要素であるゲート絶縁膜を形成するのに用いられる本発明の組成物について詳細に説明する。
尚、本発明において、露光に際して照射される「放射線」には、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線および荷電粒子線等が含まれる。
実施形態1.
<半導体素子>
図1は、本発明の実施形態の半導体素子の構造を模式的に説明する断面図である。
図1に示す本発明の実施形態の半導体素子は、アクティブマトリクス型の表示装置の各画素に付設されたスイッチング素子として好適なTFT3とすることがきる。すなわち、マトリクス状に形成された複数の画素を有するアクティブマトリクス型の表示装置、例えば、有機EL表示装置や液晶表示装置の各画素に設けられたTFT3とすることがきる。
TFT3は、基板2上に、走査信号線(図示されない)の一部をなすゲート電極4と、ゲート電極4を被覆する1層構造のゲート絶縁膜5と、ゲート電極4上にそのゲート絶縁膜5を介して配置された半導体層6とを有する。
すなわち、TFT3は、半導体層6と、ゲート電極4と、半導体層6とゲート電極4との間に配置された1層構造のゲート絶縁膜5とを有する構造の半導体素子である。また、TFT3は、基板2上に、ゲート電極4とゲート絶縁膜5と半導体層6とをこの順で積層して構成されたボトムゲート構造を有する。
そして、TFT3は、映像信号線(図示されない)の一部をなして半導体層6に接続する第1のソース−ドレイン電極7と、半導体層6に接続する第2のソース−ドレイン電極8とを有して構成されている。
ゲート電極4は、基板2上に、蒸着法やスパッタ法等により金属薄膜を形成し、エッチングプロセスを利用したパターニングを行って形成することができる。また、金属酸化物導電膜、または、有機導電膜をパターニングして用いることも可能である。
ゲート電極4を構成する金属薄膜の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、金(Au)、タングステン(W)および銀(Ag)等の金属、それら金属の合金、およびAl−NdおよびAPC合金(銀、パラジウム、銅の合金)等の合金を挙げることができる。そして、金属薄膜としては、AlとMoとの積層膜等、異なる材料の層からなる積層膜を用いることも可能である。
ゲート電極4を構成する金属酸化物導電膜の材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムドープ酸化錫)および酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜を挙げることができる。
また、有機導電膜の材料としては、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびポリピロ−ル等の導電性の有機化合物、またはこれらの混合物を挙げることができる。
ゲート電極4の厚みは、10nm〜1000nmとすることが好ましい。
ゲート電極4を覆うように配置されたゲート絶縁膜5は、本発明の実施形態の組成物を用い、パターニングをして形成された硬化膜からなる。この硬化膜は、本発明の実施形態の組成物を用いて形成されて、誘電特性である誘電率が所望の値に制御されている。この硬化膜からななるゲート絶縁膜5の膜厚としては、50nm〜10μmが好ましい。TFT3のゲート絶縁膜5の形成に用いられる本発明の実施形態の硬化膜およびその形成に用いられる本発明の実施形態の組成物については、後に詳細に説明する。
半導体層6と接続する第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8は、それらの電極を構成する導電膜を、印刷法やコーティング法の他、スパッタ法やCVD法、蒸着法等の方法を用いて形成した後、フォトリソグラフィ法等を利用したパターニングを施して形成することができる。第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8の構成材料としては、例えば、Al、Cu、Mo、Cr、Ta、Ti、Au、WおよびAg等の金属、それら金属の合金、並びにAl−NdおよびAPC等の合金を挙げることができる。また、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の導電性の金属酸化物や、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびポリピロ−ル等の導電性の有機化合物を挙げることができる。そして、それらの電極を構成する導電膜としては、TiとAlとの積層膜等の異なる材料の層からなる積層膜を用いることも可能である。
第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8の厚みは、10nm〜1000nmとすることが好ましい。
半導体層6は、例えば、非晶質状態のa−Si(アモルファス−シリコン)、またはa−Siをエキシマレーザまたは固相成長等により結晶化して得られるp−Si(ポリシリコン)等、シリコン(Si)材料を用いることによって形成することができる。
半導体層6にa−Siを用いる場合、半導体層6の厚みは、30nm〜500nmとすることが好ましい。また、半導体層6と、第1のソース−ドレイン電極7または第2のソース−ドレイン電極8との間には、オーミックコンタクトを取るための図示されないn+Si層が10nm〜150nmの厚さで形成されることが好ましい。
また、TFT3の半導体層6は、酸化物を用いて形成することができる。その半導体層6に適用可能な酸化物としては、単結晶酸化物、多結晶酸化物、およびアモルファス酸化物、並びにこれらの混合物が挙げられる。多結晶酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)等を挙げることができる。
半導体層6に適用可能なアモルファス酸化物としては、インジウム(In)、亜鉛(Zn)および錫(Sn)の少なくとも1種類の元素を含み構成されるアモルファス酸化物を挙げることができる。
半導体層6に適用可能なアモルファス酸化物の具体的例としては、Sn−In−Zn酸化物、In−Ga−Zn酸化物(IGZO:酸化インジウムガリウム亜鉛)、In−Zn−Ga−Mg酸化物、Zn−Sn酸化物(ZTO:酸化亜鉛錫)、In酸化物、Ga酸化物、In−Sn酸化物、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物(IZO:酸化インジウム亜鉛)、Zn−Ga酸化物、Sn−In−Zn酸化物等を挙げることができる。尚、以上の場合、構成材料の組成比は必ずしも1:1である必要はなく、所望の特性を実現する組成比の選択が可能である。
アモルファス酸化物を用いた半導体層6は、例えば、それがIGZOやZTOを用いて形成される場合、IGZOターゲットやZTOターゲットを用いてスパッタ法や蒸着法により膜形成が行われ、フォトリソグラフィ法等を利用して、レジストプロセスとエッチングプロセスによるパターニングを行って形成される。アモルファス酸化物を用いた半導体層6の厚みは、1nm〜1000nmとすることが好ましい。
以上で例示した酸化物を用いることにより、移動度の高い半導体層6を低温で形成することができ、優れた性能のTFT3を提供することができる。
そして、TFT3の半導体層6を形成するのに特に好ましい酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化亜鉛錫(ZTO)および酸化インジウム亜鉛(ZIO)を挙げることができる。
これら酸化物を用いることによりTFT3は、移動度に優れた半導体層6をより低温で形成して有し、高ON/OFF比を示すことが可能となる。
尚、TFT3の半導体層6においては、半導体層6の上部面の第1のソース−ドレイン電極7および第2のソース−ドレイン電極8の形成されないチャネル領域に、例えば、5nm〜80nmの厚みのSiOからなる保護層(図示されない)を設けることができる。この保護層はエッチング停止層、または、ストップ層等と称されることもある。こうした保護層は、半導体層6に上述の酸化物を用いる場合において、特に好ましい構成要素となる。
また、TFT3の上には、TFT3を被覆するように、無機絶縁膜19を設けることができる。無機絶縁膜19は、例えば、SiO等の金属酸化物やSiN等の金属窒化物を用い、それらを単独でまたは積層して形成することができる。無機絶縁膜19は、半導体層6を保護し、例えば、湿度によって影響されるのを防ぐために設けられる。そして、本実施形態のTFT3では、無機絶縁膜19を設けない構造とすることも可能である。その場合、図示されない画素電極等とTFT3との間に設けられる有機材料からなる層間絶縁膜を兼用することができる。
さらに、図1に示したTFT3は、上述したように、ボトムゲート構造を有するが、本実施形態の半導体素子は、ボトムゲート構造のみに限られず、正スタガ構造(トップゲート構造)のTFTとすることも可能である。その場合、本実施形態の半導体素子であるTFTは、基板上に半導体層と、その半導体層にそれぞれ接続する一対の第1のソース−ドレイン電極および第2のソース−ドレイン電極とを設けた後、半導体層の上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を重畳して構成される。このとき、ゲート絶案膜は、上述のTFT3のゲート絶縁膜5と同様のものとなる。また、半導体層としては、p−Siを用いたものを好適に適用できる。そして、p−Siを用いた半導体層には、リン(P)またはボロン(B)等の不純物をドープして半導体層のチャネル領域を挟んで、ソース領域およびドレイン領域を形成することが好ましい。また、半導体層のチャネル領域とソース領域およびドレイン領域との間には、LDD(Lightly Doped Drain)層を形成することが好ましい。
以上の構造を有する図1のTFT3は、1層構造のゲート絶縁膜により、その誘特性の制御と絶縁性を実現している。したがって、2種の異なる材料を用いてゲート絶縁膜を2層構造化する必要がなく、ゲート絶縁膜の製造工程数を増大させることはない。その結果、半導体素子の生産性、ひいてはそれを用いた表示装置の生産性を向上することができる。
実施形態2.
<組成物>
本発明の実施形態の組成物は、[A]加水分解縮合体、および、[B]金属酸化物粒子を含有してなる組成物である。そして、本発明の実施形態の組成物は、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤を含有し、感放射線性を有することが好ましい。すなわち、本発明の実施形態の組成物は、感放射線性樹脂組成物であることが好ましい。
さらに、本発明の実施形態の組成物は、必要に応じて[D]分散剤およびその他の任意成分を含有することができる。
本実施形態の組成物は、上述した本発明に実施機形態の半導体素子のゲート絶縁膜の形成用に好適に用いることができる。以下、本実施形態の組成物に含有される成分について説明する。
[A]加水分解縮合体
本実施形態の組成物の[A]成分である[A]加水分解縮合体は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む加水分解縮合体である。この[A]加水分解縮合体は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む加水分解性化合物の加水分解縮合物からなる。ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素は、同一の加水分解縮合物に含まれていてもよいし、異なる加水分解縮合物に含まれて、その混合物としてA]加水分解縮合体を構成してもよい。
[A]加水分解縮合体としては、下記式(2)と下記式(3)とにより表される結合の少なくとも一方を含むものが好ましい。
Figure 0006233081
(式中、Xは、酸素、窒素または炭素である。)
Figure 0006233081
(式中、Mは、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛またはスズである。Xは酸素、窒素または炭素である。)
尚、[A]加水分解縮合体において、上記式(2)で表される結合と、上記式(3)で表される結合とが、一加水分解縮合物(1分子)内に含有されてもよいし、または、[A]加水分解縮合体は、それぞれの結合を含む加水分解縮合物が混合されたものでもよい。
分子内に上記式(2)で表される結合を有する加水分解縮合物としては、シロキサン結合(−Si−O−)を有する化合物、シラザン結合(−Si−N−)を有する化合物、カルボシラン結合(−Si−C−)を有する化合物等が挙げられるが、半導体素子のゲート絶縁膜形成用の組成物としての成形性や、取扱性等の点から、シロキサン結合を有する化合物が好ましい。また、分子内に上記式(3)で表される結合を有する加水分解縮合物としては後述する各金属アルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。
そして、半導体素子のゲート絶縁膜形成用の組成物としての成形性や、取扱性等の点から、[A]加水分解縮合体としては、例えば、シロキサンポリマーを好適に用いることができる。
また、[A]加水分解縮合体は、ケイ素のほか、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を有することができる。このようにケイ素以外の他の金属元素を含むことにより、[A]加水分解縮合体の性質や特性の制御が容易となる。
例えば、このようにケイ素以外の他の金属元素を含むことにより、他の金属元素を含まない加水分解縮合体と異なり、[A]加水分解縮合体から得られる硬化膜の誘電率を高める制御が可能となる。すなわち、[A]加水分解縮合体が、ケイ素とともに他の金属元素を有することにより、それから得られる硬化膜の誘電率を、シロキサンポリマーと比べて高めることができる。また、[A]加水分解縮合体が、ケイ素以外の他の金属元素のみを有することにより、それから得られる硬化膜の誘電率を、シロキサンポリマーと比較して格段に高めることができる。
[A]加水分解縮合体は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を有する加水分解性化合物に由来する部分を含むことが好ましい。
そして、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を有する加水分解性化合物としては、下記式(4)で表される加水分解性化合物を挙げることができる。
Figure 0006233081
(式中、Mは、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛またはスズである。R2aは各々独立に、水素または炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。R2bは、各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。pは元素Mの価数である。mは0から3の整数であり、p−m≧1である。)
尚、本発明における加水分解性化合物の「加水分解性の基」とは、通常、無触媒、且つ、過剰の水の共存下、室温(約25℃)〜約100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解してシラノール基や−M−OH基(Mは、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛またはスズである。)を生成することができる基、または、縮合物を形成することができる基を指す。それに対して、「非加水分解性の基」とは、そのような加水分解条件下で、加水分解または縮合を起こさず、安定に存在する基を指す。
上記式(4)で表される加水分解性化合物は、例えば、金属元素Mがチタンである場合は、4個の加水分解性基で置換されたチタン化合物、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物、2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物、3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物、またはそれらの混合物を挙げることができる。
このような上記式(4)で表される加水分解性チタン化合物の具体例としては、
4個の加水分解性基で置換されたチタン化合物として、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラフェノキシチタン、テトラベンジロキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン等;
1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物として、メチルトリメトキシチタン、メチルトリエトキシチタン、メチルトリ−i−プロポキシチタン、メチルトリブトキシチタン、エチルトリメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、エチルトリ−i−プロポキシチタン、エチルトリブトキシチタン、ブチルトリメトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン、フェニルトリエトキシチタン、ビニルトリメトキシチタン、ビニルトリエトキシチタン、ビニルトリ−n−プロポキシチタン等;
2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物として、ジメチルジメトキシチタン、ジフェニルジメトキシチタン、ジブチルジメトキシチタン等;
3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物として、トリブチルメトキシチタン、トリメチルメトキシチタン、トリメチルエトキシチタン、トリブチルエトキシチタン等をそれぞれ挙げることができる。
これらの上記式(4)で表される加水分解性チタン化合物のうち、4個の加水分解性基で置換されたチタン化合物(添え字m=0)、および1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたチタン化合物(m=1)が好ましく、4個の加水分解性基で置換されたチタン化合物(m=0)が特に好ましい。好ましい加水分解性チタン化合物の具体例としてはテトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、メチルトリエトキシチタン、メチルトリ−i−プロポキシチタン、メチルトリブトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン、エチルトリメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、エチルトリ−i−プロポキシチタン、エチルトリブトキシチタン、ブチルトリメトキシチタンが挙げられる。
その他、上記式(4)で表される加水分解性化合物は、
金属元素Mがアルミニウムであるものとして、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、エチルジエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム等、
金属元素Mがジルコニウムであるものとして、テトラエトキシジルコニウム、メチルトリメトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等、
金属元素Mが亜鉛であるものとして、ジメトキシ亜鉛、ジエトキシ亜鉛、ジプロポキシ亜鉛、ジブトキシ亜鉛等、
金属元素Mがスズであるものとして、テトラエトキシスズ、メチルトリメトキシスズ、テトラブトキシスズ等が挙げられる。
以上のような加水分解性化合物は、1種単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上述の加水分解性化合物における、ケイ素を有する加水分解性化合物としては、
下記式(1)で表される加水分解性化合物を挙げることができる。
Figure 0006233081
(式(1)中、R1aは、各々独立に、水素または炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。R1bは、各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは0〜3の整数である。)
尚、以下、ケイ素を有する加水分解性化合物を加水分解性シラン化合物ということがある。そして、本発明における加水分解性シラン化合物とは、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(約25℃)〜約100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解してシラノール基を生成することができる基、または、シロキサン縮合物を形成することができる「加水分解性の基」を有する化合物を指す。また、その場合の「非加水分解性の基」とは、上述したように、そのような加水分解条件下で、加水分解または縮合を起こさず、安定に存在する基を指す。
上記式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解反応においては、一部の加水分解性基が未加水分解の状態で残っていてもよい。また、ここで言う「加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物」は、加水分解されたシラン化合物の一部のシラノール基同士が反応・縮合した加水分解縮合物を意味する。
上記式(1)のR1aで表される炭素数が1〜20である非加水分解性の有機基としては、炭素数1〜20の無置換、もしくはビニル基、(メタ)アクリロイル基またはエポキシ基で1個以上置換されたアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、または環状であってよく、同一分子内に複数のR1aが存在するときはこれらの組み合わせであってもよい。また、R1aは、ヘテロ原子を有する構造単位を含んでいてもよい。そのような構造単位としては、例えばエーテル、エステル、スルフィド等が挙げられる。
上記式(1)のR1bで表される基としては、加水分解の容易性の観点から、水素または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
また、上記式(1)中のnは0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1であり、最も好ましくは1である。nが0〜2の整数である場合には、加水分解・縮合反応の進行がより容易となり、その結果、[A]加水分解縮合体の硬化反応の速度がさらに大きくなり、ひいては当該組成物の現像後の加熱工程における耐メルトフロー性を向上させることができる。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物としては、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、またはそれらの混合物を挙げることができる。
このような上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、
4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等;
1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等;
2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等;
3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、トリブチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等をそれぞれ挙げることができる。
これらの上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物のうち、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物(n=0)、および1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物(n=1)が好ましく、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物(n=1)が特に好ましい。この好ましい加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。このような加水分解性シラン化合物は、1種単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解・縮合させる条件は、上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。水の使用量は、上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解性基(−OR1b)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1モル〜3モル、より好ましくは0.3モル〜2モル、さらに好ましくは0.5モル〜1.5モルの量である。このような量の水を用いることによって、加水分解・縮合の反応速度を最適化することができる。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に使用することができる溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類が挙げられる。これらの溶剤の中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたは3−メトキシプロピオン酸メチルが、特に好ましい。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合反応は、好ましくは酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸)、塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジン等の含窒素化合物;塩基性イオン交換樹脂;水酸化ナトリウム等の水酸化物;炭酸カリウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム等のカルボン酸塩;各種ルイス塩基)、または、アルコキシド(例えば、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド)等の触媒の存在下で行われる。例えば、アルミニウムアルコキシドとしては、テトラ−i−プロポキシアルミニウムを用いることができる。触媒の使用量としては、加水分解・縮合反応の促進の観点から、加水分解性シラン化合物のモノマー1モルに対して、好ましくは1×10−6モル〜2×10−1モルであり、より好ましくは1×10−5モル〜1×10−1モルである。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合における反応温度および反応時間は、適宜に設定される。例えば、下記の条件が採用できる。反応温度は、好ましくは40℃〜200℃、より好ましくは50℃〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1時間〜12時間である。このような反応温度および反応時間とすることによって、加水分解・縮合反応を最も効率的に行うことができる。この加水分解・縮合においては、反応系内に加水分解性シラン化合物、水および触媒を一度に添加して反応を一段階で行ってもよく、あるいは、加水分解性シラン化合物、水および触媒を、数回に分けて反応系内に添加することによって、加水分解および縮合反応を多段階で行ってもよい。尚、加水分解・縮合反応の後には、脱水剤を加え、次いでエバポレーションにかけることによって、水および生成したアルコールを反応系から除去することができる。
尚、上記式(4)で表される加水分解性化合物からその加水分解縮合物を得る方法についても、上述した加水分解性シラン化合物の場合と同様に行うことができる。
上記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算の数平均分子量として測定することができる。そして、加水分解縮合物の数平均分子量は、500〜10000の範囲内の値とするのが好ましく、1000〜5000の範囲内の値とするのがより好ましい。
また、上記式(4)で表される加水分解性化合物の加水分解縮合物の数平均分子量も、同様に、500〜10000の範囲内の値とするのが好ましく、1000〜5000の範囲内の値とするのがより好ましい。
加水分解縮合物の数平均分子量の値を500以上とすることによって、それらからなる[A]加水分解縮合体を含有する本実施形態の組成物において、その塗膜の成膜性を改善することができる。一方、加水分解縮合物の数平均分子量の値を10000以下とすることによって、本実施形態の組成物が感放射線性を有する場合、その感放射線性の低下を防止することができる。
[B]金属酸化物粒子
本実施形態の組成物の[B]成分である[B]金属酸化物粒子は、組成物中に含有されることで、得られる硬化物の誘電特性である誘電率を制御することができる。例えば、本実施形態の組成物を用いて形成される、本実施形態の硬化膜の通電率を、半導体素子のゲート絶縁膜に用いられるのに好ましい、4〜7に制御することができる。その結果、本実施形態の組成物を用いて形成される硬化膜からなるゲート絶縁膜を有する本実施形態の半導体素子は、短絡防止能を確保しながら配線遅延が増大するのを防止することができる。
本実施形態の組成物の[B]成分である[B]金属酸化物粒子は、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、バリウムおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物である金属酸化物粒子である。
そして、この群の中でもジルコニウム、チタニウムまたは亜鉛の酸化物粒子が好ましく、ジルコニウムまたはチタニウムの酸化物粒子やチタン酸バリウム(BaTiO)が特に好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、[B]金属酸化物粒子としては、上述の金属の複合酸化物粒子であってもよい。この複合酸化物粒子としては例えば、ATO(antimoy−tin oxide)、ITO(indium−tin oxide)、IZO(indium−zinc oxide)等が挙げられる。これらの金属酸化物粒子としては、市販のもの、例えば、シーアイ化成(株)のナノテック(登録商標)等を使用することができる。
また、本実施形態の組成物は、[B]金属酸化物粒子として上記種類の粒子を用いることで、高いパターニング性を有するポジ型の感放射線性特性を発揮することができる。上記種類の金属酸化物粒子を用いることで、ポジ型の感放射線特性を有するメカニズムについては、例えば、紫外線等の放射線の照射によって上述の金属酸化物粒子の表面が光触媒的に作用し、金属酸化物粒子を覆うシロキサンポリマー等の[A]加水分解縮合体が分解を起こし、組成物の塗膜の一部が溶融すること等が考えられる。
また、上述の好ましい酸化物粒子(ジルコニウム、チタニウムおよび亜鉛の酸化物粒子(チタン酸バリウムを含む。))を用いた際にポジ型のパターニング性がさらに高まる理由としては、例えば、これらの金属酸化物の光触媒能の高さが影響すると考えられる。また、特に好ましい金属として、ジルコニウムやチタニウムを用いた場合は、ポジ型のパターニング性をより高めることができる。
[B]金属酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、動的光散乱法で求めた[B]金属酸化物粒子の数平均粒子径は5nm〜200nmが好ましく、5nm〜100nmがさらに好ましく、10nm〜80nmが特に好ましい。[B]金属酸化物粒子の数平均粒子径が5nm未満であると、組成物を用いて得られる硬化膜の硬度が低下するおそれがあり、200nmを超えると硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
[B]金属酸化物粒子の配合量としては、特に限定されないが、上述の[A]シロキサンポリマー100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部が好ましく、1質量部〜20質量部がより好ましい。金属酸化物粒子の配合量が0.1質量部未満であると、得られる硬化膜の誘電率を所望とする範囲内に制御することができない。逆に、金属酸化物粒子の配合量が50質量部を超えると塗布性が低下し、また、得られる硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
[B]金属酸化物粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、10m/g〜1000m/gが好ましく、100m/g〜500m/gがより好ましい。[B]金属酸化物粒子の比表面積が上述の範囲にあることで、上述した光触媒的な作用が効果的に発現し、さらに高い所望の感放射線特性が発揮される。
[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤
本実施形態の組成物は、[C]成分を含有することが好ましい。[C]成分としての[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤は、放射線を照射することにより、上述の[A]加水分解縮合体を縮合・硬化反応させる際の触媒として作用する酸性活性物質または塩基性活性物質を放出することができる化合物と定義される。尚、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤を分解し、酸性活性物質のカチオンまたは塩基性活性物質のアニオンを発生するために照射する放射線としては、上述したように、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線および荷電粒子線等を挙げることができる。これらの放射線の中でも、一定のエネルギーレベルを有し、大きな硬化速度を達成可能であり、しかも照射装置が比較的安価かつ小型であることから、紫外線を使用することが好ましい。
尚、本実施形態の組成物によれば、[B]金属酸化物粒子として上述したものを用いることで、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤として特定のものを用いることなく、ポジ型の高いパターニング性を発揮することができる。特に、通常、ポジ型のポリシロキサン型感放射線性樹脂組成物としては、酸発生剤として、キノンジアジド化合物が多用されるが、本実施形態の組成物によれば、上述のように[B]金属酸化物粒子として所定のものを用いることで、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤に特定のものを用いることなく、ポジ型の高いパターニング性を発揮させることができる。
[C]成分の感放射線性酸発生剤としては、オキシムスルホネート化合物、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等のオニウム塩、スルホンイミド化合物が挙げられる。尚、キノンジアジド化合物も放射線によりカルボン酸を発生する感放射線性酸発生剤である。しかし、発生する酸が酸性度の低いカルボン酸であり、縮合・硬化反応させる際の触媒としては十分ではない。従って、[C]成分の感放射線性酸発生剤としては、キノンジアジド化合物以外であることが好ましい。
上述のオキシムスルホネート化合物としては、下記式(5)で表されるオキシムスルホネート基を含む化合物が好ましい。
Figure 0006233081
上記式(5)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフルオロアルキル基、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基、またはこれらのアルキル基、脂環式炭化水素基およびアリール基が有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された基である。
上記式(5)のRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。この炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基は置換基により置換されていてもよく、上記置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基、7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基等の有橋式脂環基を含む脂環式基等が挙げられる。炭素数1〜12のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプチルフルオロプロピル基等が挙げられる。
上記式(5)のRで表される脂環式炭化水素基としては、炭素数4〜12の脂環式炭化水素基が好ましい。この炭素数4〜12の脂環式炭化水素基は置換基により置換されていてもよく、上述の置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(5)のRで表されるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基がより好ましい。上述のアリール基は置換基により置換されていてもよく、上記置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(5)で表されるオキシムスルホネート基を含有する化合物としては、例えば、下記式(5−1)、下記式(5−2)、下記式(5−3)で表されるオキシムスルホネート化合物等が挙げられる。
Figure 0006233081
上記式(5−1)、上記式(5−2)、および、上記式(5−3)中、Rは、上記式(1)と同義である。上記式(5−1)および上記式(5−2)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12にフルオロアルキル基である。
上記式(5−3)中、Lは、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子である。m1は、0〜3の整数である。但し、Lが複数の場合、複数のLは互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記式(5−3)のLで表されるアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。上記Lで表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルコキシ基が好ましい。上記Lで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子が好ましい。m1としては、0または1が好ましい。上記式(5−3)においては、m1が1であり、Lがメチル基であり、Lの置換位置がオルトである化合物がより好ましい。
上記式(5−3)で表されるオキシムスルホネート化合物としては、例えば、下記式(5−3−1)〜下記式(5−3−5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006233081
上記式(5−3−1)〜上記式(5−3−5)で表される化合物は、それぞれ(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(カンファースルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−オクチルスルフォニルオキシイミノ)−(4−メトキシフェニル)アセトニトリルであり、市販品として入手できる。
上述のその他の感放射線性酸発生剤であるジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等のオニウム塩、スルホンイミド化合物の例としては、例えば、日本国特許公報特開2012−226181号報、特開2012−155226号報等に記載の感放射線性酸発生剤を用いることができる。
これらの[C]成分の感放射線性酸発生剤の中でも、本実施形態の組成物の放射線感度およびそれを用いて得られる本実施形態の硬化物の基板等との密着性の向上の観点から、オキシムスルホネート化合物、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、スルホンイミド化合物が好ましく用いられる。この中でも特に、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホン酸、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミドが好ましく用いられる。
[C]成分である感放射線性塩基発生剤の例としては、コバルト等の遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルバメート類、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類等を挙げることができる。
上述のその他の感放射線性塩基酸発生剤の例としては、例えば、日本国特許公報特開2012−155226号報等に記載の感放射線性塩基発生剤を用いることができる。
[C]である成分感放射線性塩基発生剤のその他の例としては、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、O−カルバモイルヒドロキシアミド、O−カルバモイルヒドロキシアミド等が挙げられる。
[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤は、酸または塩基のいずれかが使用され、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤の使用量は、[A]加水分解縮合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜20質量部、より好ましくは1質量部〜10質量部である。[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤の使用量を0.1質量部〜20質量部とすることによって、放射線感度、および、形成される硬化物の密着性のバランスが良い、優れた組成物を得ることができ、また、塗膜の形成工程において析出物の発生を防止し、塗膜形成を容易にすることが可能となる。
[D]分散剤
本実施形態の組成物は、[A]加水分解縮合体、[B]金属酸化物粒子、および、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤に加え、[D]分散剤を含有することができる。
本実施形態の組成物は、[D]分散剤をさらに含有することにより、その内部に均一に[B]金属酸化物粒子を分散させることができ、塗布性を高めることができる。そして、本実施形態の組成物は、それを用いて得られる硬化膜の基板等への密着性を高め、誘電率が一様に所望の値となるように制御することができる。
[D]分散剤としては、ノニオン系分散剤、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤等を挙げることができるが、ポジ型の感放射線特性およびパターニング性の向上の観点からは、ノニオン系分散剤が好ましい。本実施形態の組成物が、[D]分散剤として、ノニオン系分散剤を用いることによる、ポジ型の感放射線特性およびパターニング性の向上については、例えば、以下のメカニズムが考えられる。
ノニオン系分散剤は、分極している共有結合部分を有する。上述の[B]金属酸化物粒子は、ノニオン系分散剤の分極している共有結合部分が、放射線および金属酸化物の光触媒的作用によって切断されやすいため、放射線の照射の際にポジ型として組成物の露光部分が溶融し、高いパターニング性を示す。
[D]分散剤に好適なノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、エチレンジアミンPO−EO縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたは脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましい。
上述の分散剤の好適な例としては、例えば、日本国特許公報特開2012−128469号報等に記載の分散剤を用いることができる。
本実施形態の組成物において、[D]分散剤の配合量としては、特に限定されないが、[B]金属酸化物粒子100質量部に対して、0.1質量部〜100質量部が好ましく、10質量部〜60質量部がより好ましい。[D]分散剤の配合量が0.1質量部より小さいと、[B]金属酸化物属粒子の分散性が低下することによって、組成物の塗布性の低下が生じるとともにパターニング性が低下するおそれがある。逆にこの配合量が100質量部を超えると、ポジ型の感放射線特性が低下するおそれがある。また、分散剤の配合が多すぎることによって、本実施形態の組成物を用いて得られる硬化物の基板等への密着性が低下するおそれがある。
[その他の任意成分]
本実施形態の組成物は、[A]加水分解縮合体および[B]金属酸化物粒子に加え、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤や[D]分散剤の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の任意成分を含有することができる。その他の任意成分としては、[E]分散媒や、[F]界面活性剤等を含有することができる。以下、本実施形態の組成物のその他の任意成分である、[E]分散媒および[F]界面活性剤について説明する。
[E]分散媒
[E]成分である[E]分散媒は、[B]金属酸化物粒子を均一に分散可能であれば、特に限定されない。[E]分散媒は、[C]成分であるノニオン系分散剤を効果的に機能させ、[B]金属酸化物粒子を均一に分散させることができ、分散媒の種類によっては、その他の[A]加水分解縮合体等の溶媒としても機能する。
[E]分散媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
[E]分散媒は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
[E]分散媒の配合量としては、用途に応じて適宜設定できるが、[B]金属酸化物粒子100質量部に対して、100質量部〜100000質量部が好ましく、200質量部〜10000質量部がより好ましい。
[F]界面活性剤
[F]成分である[F]界面活性剤は、本実施形態の組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。尚、この[F]界面活性剤には、[C]成分のノニオン系分散剤は含まれないものとする。好ましい[F]界面活性剤の例としては、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
<組成物の調製>
本発明の実施形態の組成物は、上述した[A]加水分解縮合体および[B]金属酸化物粒子、さらに必要に応じて、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤、[D]分散剤、その他の任意成分を所定の割合で混合することで調製される。通常、本実施形態の組成物は、[B]金属酸化物粒子と[D]分散剤と[E]分散媒とを所定の割合で混合し、分散液とした上で、この分散液と、[A]加水分解縮合体、さらに必要に応じて、[C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤や任意成分とを混合することで、分散液状態の本実施形態の組成物として調製をすることができる。
尚、上述の分散液を調製する際の分散は、ペイントシェーカ、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等を用いて周速5m/s〜15m/sで、粒径の低下が観察されなくなるまで継続することによって行われるとよい。この継続時間としては、数時間とすることが好ましい。また、この分散の際に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが好ましい。このビーズ径は特に限定されないが、好ましくは0.05mm〜0.5mm、より好ましくは0.08mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.08mm〜0.2mmである。
実施形態3.
<硬化膜およびその形成>
上述した本実施形態の組成物を用いて形成される本実施形態の硬化膜およびそれを形成する方法について説明する。以下の説明では、本発明の実施形態の組成物が感放射線性を有し、感放射線性樹脂組成物である場合の実施形態について説明する。そして、得られた本実施形態の硬化膜は、例えば、上述した本実施形態の半導体素子のゲート絶縁膜として好適に用いることができる。
本実施形態の硬化膜の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)本発明の実施形態の組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程(現像工程)、および
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程(加熱工程)
次に、上述の工程(1)〜工程(4)の各工程について、より詳しく説明する。
(1)組成物の塗膜を基板上に形成する工程
上述の工程(1)において、基板上に、上述した本発明の実施形態の組成物を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより溶剤を除去して、塗膜を形成する。
使用できる基板の例としては、ガラス、石英、シリコン、樹脂等を挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体およびその水素添加物等を挙げることができる。
そして、本実施形態の硬化膜が、上述した本実施形態の半導体素子のゲート絶縁膜として用いられる場合、基板としては、上述のガラスや樹脂等からなる基板上に、ゲート電極(走査信号線)の形成された基板とすることができる。
本実施形態の組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法またはスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、好ましくは70℃〜120℃で1分間〜10分間程度とすることができる。
(2)塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程
上述の工程(2)では、工程(1)で形成された基板上の塗膜の少なくとも一部を露光する。この場合、塗膜の一部を露光する際には、例えば、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。本実施形態の硬化膜が、上述した本実施形態の半導体素子のゲート絶縁膜として用いられる場合、フォトマスクのパターンは、ゲート絶縁膜のパターンに対応するものとなる。
露光に使用される放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
本工程における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100J/m〜10000J/m、より好ましくは500J/m〜6000J/mである。
(3)現像工程
上述の工程(3)では、工程(2)による露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(ポジ型の場合は、放射線の照射部分。ネガ型の場合は、放射線の非照射部分。)を除去して、所定のパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、好ましくは0.1質量%〜5質量%とすることができる。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、本実施形態の組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒間〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、例えば、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
(4)加熱工程
上述の工程(4)では、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、パターニングされた膜を比較的高温で加熱することによって、本実施形態の組成物の[A]加水分解縮合体の縮合反応を促進し、硬化膜を得ることができる。そして、その所定形状にパターニングされた硬化膜を、本実施形態の半導体素子のゲート絶縁膜として用いることができる。
本工程における加熱温度は、例えば、120℃〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱工程を行う場合には5分間〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合には30分間〜90分間とすることができる。また、2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして、目的とするパターン状の硬化膜を基板の表面上に形成することができる。
形成された本実施形態の硬化膜は、樹脂からなって絶縁性である。そして、本実施形態の硬化膜は、本実施形態の組成物を用いて形成されてパターニングが可能であり、また、高い透明性を有するとともに、誘電特性である誘電率が所望の値に制御されている。本実施形態の組成物を用いて形成される本実施形態の硬化膜は、誘電率としては、各成分の配合比等によって異なるが、4〜7の値を有することができる。
実施形態4.
<表示装置>
本発明の実施形態の表示装置として、本実施形態の有機EL表示装置の例を用い、それについて図面を用いて説明する。
図2は、本実施形態の有機EL表示装置の主要部の構造を模式的に説明する断面図である。
本実施形態の有機EL表示装置1は、マトリクス状に形成された複数の画素を有するアクティブマトリクス型の有機EL表示装置である。有機EL表示装置1は、トップエミッション型、ボトムエミッション型のいずれでもよい。有機EL表示装置1は、基板2上の各画素部分において、上述した図1の、本発明の実施形態の半導体素子であるTFT3を配置して有する。したがって、図2に示す本実施形態の有機EL表示装置1において、図1のTFT3と共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
有機EL表示装置1の基板2については、有機EL表示装置1がボトムエミッション型である場合、基板2は透明であることが求められるため、基板2の材料の例として、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等の透明樹脂や無アルカリガラス等のガラス等が用いられる。一方、有機EL表示装置1がトップエミッション型の場合には、基板2は透明である必要はないので、基板2の材料として任意の絶縁体を用いることができる。ボトムエミッション型と同様、無アルカリガラス等、ガラス材料を用いることも可能である。
TFT3は、上述したように、基板2上に、走査信号線(図示されない)の一部をなすゲート電極4と、ゲート電極4を被覆する1層構造のゲート絶縁膜5と、ゲート電極4上にゲート絶縁膜5を介して配置された半導体層6と、映像信号線(図示されない)の一部をなして半導体層6に接続する第1のソース−ドレイン電極7と、半導体層6に接続する第2のソース−ドレイン電極8とを有して構成されている。
そして、TFT3は、半導体層6とゲート電極4とが、1層構造のゲート絶縁膜5を介して重畳する構造を有する半導体素子である。また、TFT3は、基板2上、ゲート電極4とゲート絶縁膜5と半導体層6とをこの順で積層して構成されたボトムゲート構造を有する。
有機EL表示装置1においては、基板2上のTFT3の上方を被覆するよう、無機絶縁膜19の上に第1の絶縁膜10が配置されている。この第1の絶縁膜10は、基板2上に形成されたTFT3による凹凸を平坦化する機能を備える。第1の絶縁膜10は、感放射線性の樹脂組成物を用いて形成された絶縁性の膜とすることができる。すなわち、第1の絶縁膜10は、有機材料を用いて形成された有機膜とすることができる。第1の絶縁膜10は、平坦化膜としての優れた機能を有することが好ましく、この観点から厚く形成されることが好ましい。例えば、第1の絶縁膜10は、1μm〜6μmの膜厚で形成することができる。第1の絶縁膜10は、公知の方法に従い、塗布の後、露光と現像によるパターニングを行い、硬化を行って形成することができる。
第1の絶縁膜10上には、画素電極をなす陽極11配置される。陽極11は、導電性の材料からなる。陽極11の材料は、有機EL表示装置1が、ボトムエミッション型かトップエミッション型かによって異なる特性のものを選択することが好ましい。ボトムエミッション型の場合には、陽極11が透明であることが求められるので、陽極11の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化スズなどが選択される。一方、有機EL表示装置1がトップエミッション型の場合には、陽極11に光反射性が求められ、陽極11の材料としては、APC合金(銀、パラジウム、銅の合金)やARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等が選択される。陽極11の厚さは、100nm〜500nmとすることが好ましい。
第1の絶縁膜10上に配置された陽極11が第2のソース−ドレイン電極8と接続するため、第1の絶縁膜10には、第1の絶縁膜10を貫通するスルーホール12が形成されている。スルーホール12は第1の絶縁膜10の下層にある無機絶縁膜19も貫通するように形成される。第1の絶縁膜10は、上述したように、感放射線性の樹脂組成物を用いて形成することができる。したがって、上述した形成方法に従い、感放射線性の樹脂組成物の塗膜に放射線を照射して所望形状の貫通孔を有する第1の絶縁膜10を形成した後、この第1の絶縁膜10をマスクとして無機絶縁膜19に対してドライエッチングを行うことにより、スルーホール12を完成することができる。尚、TFT3上に無機絶縁膜19が配置されていない構造の場合、第1の絶縁膜10に放射線を照射して形成される貫通孔がスルーホール12を構成する。その結果、陽極11は、第1の絶縁膜10の少なくとも一部を覆うとともに、第1の絶縁膜10を貫通するよう第1の絶縁膜10に設けられたスルーホール12を介して、TFT3に接続する第2のソース−ドレイン電極8と接続することができる。
有機EL表示装置1において、第1の絶縁膜10上の陽極11の上には、有機発光層14の配置領域を規定する隔壁となる第2の絶縁膜13が形成されている。第2の絶縁膜13は、上述した第1の絶縁膜10と同様、感放射線性の樹脂組成物を用いて形成することができる。すなわち、感放射線性の樹脂組成物を用い、上述したのと同様の形成方法に従って塗膜をパターニングし、硬化膜として形成することができる。第2の絶縁膜13は、例えば、平面視で格子状の形状を有することができる。この第2の絶縁膜13に規定される領域内には、電界発光する有機発光層14が配置されている。有機EL表示装置1において、第2の絶縁膜13は、有機発光層14の周囲を包囲する障壁となって、互いに隣接する複数画素のそれぞれを区画する。
有機EL表示装置1において、第2の絶縁膜13の高さ(第2の絶縁膜13の上面と有機発光層14の配置領域での陽極11の上面との距離)は、0.1μm〜2μmであることが好ましく、0.8μm〜1.2μmであることがより好ましい。第2の絶縁膜13の高さが2μm以上であった場合、第2の絶縁膜13の上方で封止基板20とぶつかる恐れがある。また、第2の絶縁膜13の高さが0.1μm以下であった場合、第2の絶縁膜13によって規定された領域内に、インクジェット法によってインク状の発光材料組成物を塗布しようとするときに、発光材料組成物が第2の絶縁膜13から漏れ出すおそれがある。
有機EL表示装置1の第2の絶縁膜13は、上述したように、感放射線性の樹脂組成物を用い、上述した形成方法に従って、その塗膜にパターニング等を施すことによって硬化膜として形成することができる。すなわち、第2の絶縁膜13は、樹脂を含んで構成することができる。第2の絶縁膜13は、インクジェット法によってインク状の発光材料組成物を塗布する場合には、有機発光材料を含むインク状の発光材料組成物が塗布される領域を規定することから、濡れ性が低いことが好ましい。第2の絶縁膜13の濡れ性を特に低く制御する場合には、第2の絶縁膜13をフッ素ガスでプラズマ処理することが可能であり、また、第2の絶縁膜13を形成する感放射線性の樹脂組成物に撥液剤を含有させてもよい。プラズマ処理は有機EL表示装置1の他の構成部材に悪影響を与えることがあるので、第2の絶縁膜13を形成する感放射線性の樹脂組成物に撥液剤を含有させるほうが好ましい場合がある。
尚、本発明の実施形態の有機EL表示装置1において、第1の絶縁膜10を形成する感放射線性の樹脂組成物には、上述した、本発明の実施形態の組成物を用いることができる。また、第2の絶縁膜13を形成する感放射線性の樹脂組成物には、上述した、本発明の実施形態の組成物を用いることができる。
第2の絶縁膜13に規定される領域内には、電界を印加されて発光する有機発光層14が配置されている。有機発光層14は、電界発光する有機発光材料を含む層である。
有機発光層14に含まれる有機発光材料は低分子有機発光材料であっても、高分子有機発光材料であってもよい。例えば、Alq、BeBq等の基材母体にキナクリドンやクマリンをドープした材料を用いることができる。また、インクジェット法による有機発光材料の塗布法を用いる場合には、それに好適な高分子有機発光材料であることが好ましい。高分子有機発光材料としては、例えば、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリアセチレン(Poly acetylene)およびその誘導体、ポリフェニレン(Poly phenylene)およびその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Poly para phenylene ethylene)およびその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly 3−hexyl thiophene(P3HT))およびその誘導体、ポリフルオレン(Poly fluorene (PF))およびその誘導体等を選択して用いることができる。
有機発光層14は、第2の絶縁膜13によって規定された領域内で陽極11上に配置される。有機発光層14の厚さは50nm〜100nmであることが好ましい。ここで有機発光層14の厚さとは陽極11上の有機発光層14の底面から、陽極11上の有機発光層14の上面までの距離を意味する。
尚、陽極11と有機発光層14との間には、正孔注入層および/または中間層が配置されていてもよい。陽極11と有機発光層14との間に、正孔注入層および中間層が配置される場合、陽極11上に正孔注入層が配置され、正孔注入層上に中間層が配置され、そして中間層上に有機発光層14が配置される。また、陽極11から有機発光層14へ効率的に正孔を輸送できる限り、正孔注入層および中間層は省略されてもよい。
有機EL表示装置1では、有機発光層14を覆い、画素区画のための第2の絶縁膜13を覆って陰極15が形成されている。陰極15は、複数の画素を共通に覆って形成され、有機EL表示装置1の共通電極をなす。
本実施形態の有機EL表示装置1は、有機発光層14上に陰極15を有し、陰極15は、導電性部材からなる。陰極15の形成に用いる材料は、有機EL表示装置1がボトムエミッション型か、トップエミッション型かによって異なる。トップエミッション型の場合には、陰極15は、可視光透過性の電極を構成するITO電極やIZO電極等であることが好ましい。一方、有機EL表示装置1がボトムエミッション型の場合には陰極15が可視光透過性である必要はない。その場合、陰極15の構成材料は、導電性であれば他は特に限定されないが、例えば、バリウム(Ba)、酸化バリウム(BaO)、アルミニウム(Al)およびAlを含む合金等を選択することも可能である。
尚、陰極15と有機発光層14との間には、例えば、バリウム(Ba)、フッ化リチウム(LiF)等からなる電子注入層が配置されていてもよい。
陰極15の上には、パッシベーション膜16を設けることができる。パッシベーション膜16は、SiNや窒化アルミニウム(AlN)等の金属窒化物等を用い、それらを単独でまたは積層して形成することができる。パッシベーション膜16の作用により、有機EL表示装置1内への水分や酸素の浸入を抑制することができる。
このように構成された基板2の、有機発光層14が配置された主面は、外周端部付近に塗布されたシール剤(図示されない)を用い、封止層17を介して、封止基板20により封止することが好ましい。封止層17は、乾燥された窒素ガス等の不活性なガスの層とするか、または、接着剤等の充填材料の層とすることができる。また、封止基板20としては、無アルカリガラス等のガラス基板を用いることができる。
以上の構造を有する本実施形態の有機EL表示装置1は、構成要素であるTFT3のゲート絶縁膜5が、パターニング性を備えた本発明の実施形態の組成物を用いて形成されて、1層構造を有する。そして、ゲート絶縁膜5は、誘電率が4〜7の範囲に制御され、所望の誘電特性を有するように制御されている。
したがって、本実施形態の有機EL表示装置1は、そのTFT3において、製造工程数を増大させることなく、1層構造のゲート絶縁膜により、その誘電特性の制御と絶縁性を実現することができる。
以下、実施例に基づき本発明の実施形態を詳述するが、この実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
以下の合成例から得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、下記の仕様によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803およびGPC−KF−804(昭和電工(株)製)を結合したもの
移動相:テトラヒドロフラン
[A]加水分解縮合体の合成
[合成例1]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル144質量部を仕込み続いて、テトラブトキシチタン(TBT)21質量部、メチルトリメトキシシラン(MTMS)19質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水7質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル25質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水および加水分解縮合で発生したアルコールを除去した。以上により加水分解縮合体(A−1)を得た。得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)は2500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例2]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル144質量部を仕込み続いて、メチルトリメトキシシラン(MTMS)13質量部、およびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)5質量部、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)6質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水7質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル25質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水および加水分解縮合で発生したアルコールを除去した。以上により、[A]成分であるシロキサンポリマー(加水分解縮合体(A−2))を得た。得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)は2500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例3]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル144質量部を仕込み続いて、メチルトリメトキシシラン(MTMS)13質量部、及びテトラメトキシシラン(TMOS)11質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水7質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで、脱水剤としてオルト蟻酸メチル25質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水および加水分解縮合で発生したアルコールを除去した。以上により、[A]成分であるシロキサンポリマー(加水分解縮合体(A−3))を得た。得られた加水分解縮合体の数平均分子量(Mn)は2500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[比較合成例1]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸15質量部、メタクリル酸グリシジル45質量部、スチレン10質量部およびメタクリル酸ベンジル30質量部を仕込んで窒素置換し、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(a−1)を含有する溶液を得た(固形分濃度=31.3質量%)。共重合体(a−1)は、Mw=12000であった。
組成物の調製
[実施例1]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン92質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−1)ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子(一時粒径20nm〜40nm))5.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−1)を含む溶液(加水分解縮合体(A−1)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−1)光酸発生剤である1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート3.5質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[実施例2]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン90質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−2)チタン酸化物粒子(TiO粒子(一時粒径20nm〜40nm))7.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−2)を含む溶液(加水分解縮合体(A−2)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−2)である5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(IRGACURE(登録商標) PAG 103、BASF製)2.0質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[実施例3]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン92質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−2)チタニウム酸化物粒子(TiO粒子(一時粒径20nm〜40nm))5.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−1)を含む溶液(加水分解縮合体(A−1)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−1)光酸発生剤である1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート3.0質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[実施例4]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン92質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−3)チタン酸バリウム粒子(BaTiO粒子(一時粒径20nm〜40nm))5.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−2)を含む溶液(加水分解縮合体(A−2)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−2)である5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(IRGACURE(登録商標) PAG 103、BASF製)2.0質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[実施例5]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン92質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−1)ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子(一時粒径20nm〜40nm))2.0質量部および(B−4)シリコン酸化物粒子(SiO粒子(一時粒径20nm〜40nm))3.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−3)を含む溶液(加水分解縮合体(A−3)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−3)光塩基発生剤である2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート3.5質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[実施例6]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン93.5質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−1)ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子(一時粒径20nm〜40nm))3.5質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−3)を含む溶液(加水分解縮合体(A−3)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−3)光塩基発生剤である2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート3.5質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[実施例7]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン91質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−2)チタン酸化物粒子(TiO粒子(一時粒径20nm〜40nm))2.0質量部および(B−4)シリコン酸化物粒子(SiO粒子(一時粒径20nm〜40nm))4.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−2)を含む溶液(加水分解縮合体(A−2)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、[C]成分として(C−1)光酸発生剤である1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート3.0質量部、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[比較例1]
[A]成分として、合成例2で得られた酸解離性基を有しないシロキサンポリマー(加水分解縮合体(A−2))を含む溶液(加水分解縮合体(A−2)100質量部(固形分)に相当する量)を用いた。これに、キノンジアジド化合物(d−1)(下記に示す化合物)35質量部を混合し、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルに溶解させた後、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、その後、口径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性を有する組成物を調製した。
Figure 0006233081
[比較例2]
[D]成分の分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、[E]成分の分散媒としてメチルエチルケトン92質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[B]成分の金属酸化物粒子として(B−1)ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子(一時粒径20nm〜40nm))5.0質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。粒子添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーを、SCミルを用いて分散し、[B]成分の分散液を得た。
[A]成分として合成例で得られた加水分解縮合体(A−2)を含む溶液(加水分解縮合体(A−2)100質量部(固形分)に相当する量)に、上記の[B]成分の分散液100質量部、キノンジアジド化合物(d−1)(上記に示す化合物)35質量部を混合し、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、感放射線性を有する組成物を調製した。
[比較例3]
[A]成分として、合成例2で得られた酸解離性基を有しないシロキサンポリマー(加水分解縮合体(A−2))を含む溶液(加水分解縮合体(A−2)100質量部(固形分)に相当する量)を用いた。これに、[C]成分として(C−1)光酸発生剤:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート3.0質量部を混合し、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、その後、口径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性を有する組成物を調製した。
[比較例4]
[A]成分として、比較合成例1で得られた共重合体(a−1)を含む溶液(100質量部(固形分)に相当する量)を用いた。これに、比較例2と同様にして金属酸化物粒子として(B−1)ジルコニウム酸化物粒子を加え、[C]成分として(C−1)光酸発生剤:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート3.0質量部を混合し、[F]成分として、シリコン系界面活性剤であるSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、その後、口径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性を有する組成物を調製した。
以上の実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例3における、[A]成分〜[C]成分等の主な成分の種類および含有量は、表1にまとめて示した。尚、表1中の成分は以下の通りである。また、表1において、組成成分欄における空欄(「−」と記載)は、該当する成分を使用しておらず、該当する成分の含有量が0質量部であることを示す。
(B−1)ZrO粒子(一時粒径20nm〜40nm)
(B−2)TiO粒子(一時粒径20nm〜40nm)
(B−3)BaTiO粒子(一時粒径20nm〜40nm)
(B−4)SiO粒子(一時粒径20nm〜40nm)
(C−1)光酸発生剤:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート
(C−2):5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル(IRGACURE(登録商標) PAG 103、BASF製)
(C−3)光塩基発生剤:2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート
物性評価
上記の方法で調製した、実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例3の組成物を使用し、以下のように組成物および硬化膜としての各種の特性を評価した。評価結果は、表1にまとめて示す。
〔硬化膜の透過率の評価〕
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例3の組成物を用い、ガラス基板上に、スピンナを用いて各組成物を塗布した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークして塗膜を形成し、ガラス基板上に膜厚が1μmの膜をそれぞれ形成した。その後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより硬化膜を得た。この硬化膜が形成されたガラス基板の光線透過率を、分光光度計「150−20型ダブルビーム」((株)日立製作所製)を用いて400nm〜800nmの範囲の波長で測定した。最低光線透過率が90%以上の時、光線透過率は良好であると言える。尚、光線透過率の評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、そのための現像工程を省略し、塗膜形成の工程、放射線照射の工程および加熱工程のみを行い評価に供した。
〔硬化膜の誘電率の評価〕
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例3の組成物を用い、研磨したSUS304製基板上に、スピンナを用いて各組成物を塗布した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークすることにより膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた各塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、積算照射量が3000J/mとなるようにそれぞれ露光を行った後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより、基板上に硬化膜を形成した。この硬化膜上に、蒸着法によりPt/Pd電極パターンを形成し、誘電率測定用サンプルを作成した。得られたサンプルにつき、横河・ヒューレットパッカード(株)製HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用い、CV法により、周波数1kHzの周波数における誘電率を測定した。結果を表1に示す。尚、比誘電率の評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、現像工程を省略し、塗膜形成の工程、放射線照射の工程および加熱工程のみを行い評価に供した。
〔硬化膜の密着性の評価〕
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例3の組成物を用い、基板としてその表面にITO膜の形成されたITO膜付き基板を用い、基板上に形成された硬化膜の密着性の評価を行った。
評価方法としては、ITO付基板を用いた以外は、上述の「硬化膜の透過率の評価」と同様の方法により、硬化膜をそれぞれ形成し、各硬化膜についてプレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った。その後、JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、保護膜のITO密着性を評価した。各硬化膜について、碁盤目100個中で残った碁盤目の数は表1にまとめて示す。碁盤目100個中で残った碁盤目の数が多いほど良好な密着性を示し、80個以下の場合、密着性は不良と言える。
〔TEG(Test Element Group)の評価〕
実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例4の組成物を用い、銅を用いたゲート線であって一部がゲート電極となるゲート線の形成されたガラス基板上に、スピンナを用いて各組成物を塗布した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークすることにより膜厚100nmの塗膜を形成した。得られた各塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、積算照射量が3000J/mとなるようにそれぞれ露光を行った後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより、基板上に硬化膜を形成した。
この硬化膜上に、蒸着法により酸化物半導体(IGZO)を形成して半導体層を形成した。さらに蒸着法により銅を用いてソース電極およびドレイン電極を形成し、上述の硬化膜をゲート絶縁膜とするTEG測定用サンプルを作成した。ソース・ドレイン電極間の距離は6μm、電極幅は30μmとした。
得られたサンプルにつき、Vector Semicon製Probe statiоnおよびKEITHLEY4200を用い、10Vのドレイン電圧のもと、−20V〜20Vのゲート電圧におけるドレイン電流を測定し、閾値電圧Vthを算出した。測定後の基板を高温高湿(60℃、90%RH)槽で72時間曝露させ同様の測定を実施し、Vthを算出した。高温高湿曝露前後の閾値電圧の差を算出し、その絶対値をΔVthとした。結果を表1に示す。尚、TEG評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、現像工程を省略し、塗膜形成の工程、放射線照射の工程および加熱工程のみを行い評価に供した。
Figure 0006233081
表1に示すように、実施例1〜実施例7の組成物を用いて形成された硬化膜は、比較例1〜比較例4と比べて、高い透過率(透明性)および密着性を示し、TEG評価において良好な結果を示した。さらに、誘電率4〜7の所望とする誘電特性を有する。実施例1〜実施例7の組成物を用いて形成された硬化膜は、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置や液晶表示装置の有する、TFT等の半導体素子のゲート絶縁膜に利用するのに好適であることがわかった。
本発明の組成物は、液晶表示装置および有機EL表示装置等の表示装置の有する半導体素子の層間絶縁膜の形成に好適である。この表示装置の半導体素子の層間絶縁膜は、従来、酸化珪素や窒化珪素等の無機膜が多用されてきたが、本発明の組成物から形成された層間絶縁膜は、それらを代替し、より簡便な層間絶縁膜の形成を可能とする。
また、本発明の半導体素子は、本発明の組成物を用いた硬化膜からなるゲート絶縁膜を有して構成され、生産性に優れ、また、高い信頼性を有する。したがって、本発明の半導体素子は、大型液晶テレビや、スマートフォン等の携帯情報機器の表示装置等の用途に好適である。
1 有機EL表示装置
2 基板
3 TFT
4 ゲート電極
5 ゲート絶縁膜
6 半導体層
7 第1のソース−ドレイン電極
8 第2のソース−ドレイン電極
10 第1の絶縁膜
11 陽極
12 スルーホール
13 第2の絶縁膜
14 有機発光層
15 陰極
16 パッシベーション膜
17 封止層
19 無機絶縁膜
20 封止基板

Claims (7)

  1. In−Ga−Zn酸化物から形成されている半導体層とゲート電極とを有する半導体素子の該半導体層と該ゲート電極との間に配置されるゲート絶縁膜であって、
    [A]ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む加水分解性化合物の加水分解縮合体、並びに
    [B]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、バリウムおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物である金属酸化物粒子
    [C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤から選ばれる少なくとも1種、
    を含有する組成物を用いて形成されることを特徴とするゲート絶縁膜。
  2. 前記組成物の[A]加水分解縮合体が、下記式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合体であることを特徴とする請求項に記載のゲート絶縁膜。
    Figure 0006233081
    (式(1)中、R1aは、各々独立に、水素または炭素数1〜20の非加水分解性の有機基である。R1bは、各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは0〜3の整数である。)
  3. [A]ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛およびスズからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む加水分解性化合物の加水分解縮合体、
    [B]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、バリウムおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物である金属酸化物粒子、並びに
    [C]感放射線性酸発生剤または感放射線性塩基発生剤
    を含有し、
    In−Ga−Zn酸化物から形成されている半導体層と、ゲート電極と、該半導体層と該ゲート電極との間に配置されたゲート絶縁膜とを有する半導体素子の該ゲート絶縁膜の形成に用いられることを特徴とする組成物。
  4. 請求項に記載の組成物を用いて形成される硬化膜であって、
    In−Ga−Zn酸化物から形成されている半導体層と、ゲート電極と、該半導体層と該ゲート電極との間に配置されたゲート絶縁膜とを有する半導体素子の該ゲート絶縁膜に用いられることを特徴とする硬化膜。
  5. ゲート電極と、請求項1または2に記載のゲート絶縁膜と、In−Ga−Zn酸化物から形成されている半導体層とが、この順で基板上に配置されて、ボトムゲート構造を有することを特徴とする半導体素子。
  6. ゲート電極と、請求項1または2に記載のゲート絶縁膜と、In−Ga−Zn酸化物から形成されている半導体層とを、この順で基板上に設けることを特徴とする半導体素子の製造方法。
  7. 請求項に記載の半導体素子を有することを特徴とする表示装置。
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