JP6233015B2 - 電極シート、該電極シートを用いたタッチパネル、該タッチパネルを配置した画像表示装置 - Google Patents
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Description
しかし、ITO薄膜からなる透明導電膜は、インジウムというレアメタル(希土類元素)が使用されるために高価である点、及び、抵抗(表面抵抗率)が大面積化を図るには高抵抗である点で、低コスト化及び大画面化への要求に対応し難い。
一方、金属細線パターン等からなる電極シートは、機能性フィルタや保護用透明ガラス板又は透明プラスチックシート等の透明基材や、電極シート同士、或いは画像表示面等に配置するに際して接着剤層(粘着剤層を含む)を介して配置される。
この種の電極シートとして、銅メッシュ層からなるものが提案されているが銅層と透明基材との密着性が低く銅メッシュ層が基材から剥離し易いこと、及び銅メッシュ層と接着剤層との密着性も低く、特に銅メッシュが透明基材と接合する部分の近傍に於いて接着剤層中に気泡が残留し易いことが課題であった。
しかし、得られる電磁波シールド用透明部材は、特許文献1の図1にも示されているように、パターン部は、透明基材(1)に対して、ニッケル層(2)、銅層(3)の幅が同一で積層されており、後に開口部(非パターン部)に充填される、接着剤層との密着性及び気泡残留等については、課題認識はもとよりその解決手段についても開示も示唆もされていない。
静電容量式タッチパネルは、特定の電極パターンを形成し電極間の静電容量値の変化を検出して、指入力またはペン入力により押圧した位置を特定する構造となっている。この静電容量式の1つの方式は、2面の電極をパターン化し、コントローラーにて押圧位置の微弱な電流を電圧に変換して検出しようとするものである。従って、特に静電容量式のタッチパネルに使用される電極としての導電性フィルムまたは導電性シートは、表面抵抗値が小さくかつ透明性が高いものが要求される。
しかしながら、この特許文献2の積層体によるメッシュ状やストライプ状のパターン状の積層体においても、基材に対する密着層、黒化層及び金属層のパターンの幅は同一であって、特に金属層と粘着剤層との密着が低いことや、これに起因してパターンの隅角部に気泡が残留し、画像表示装置の視認性を低下させるという課題認識はもとより該課題の解決手段についても開示も示唆もされていない。
(1)透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に設けられた導電線条パターンを含む位置検知電極を備えた電極シートであって、該導電線条パターンは、透明基材の一方の面に形成されたニッケル又はその合金よりなる密着層と、該密着層に積層された銅層とを備え、該密着層の線幅を銅層の線幅よりも幅広として銅層の両側に50〜1000nm幅の密着層の延在部を設けてなる、ことを特徴とする電極シート、
(2)前記導電線条パターンの外面の、少なくとも透明基材と反対の面上に黒化層を設けてなる前記(1)に記載の電極シート、
(3)前記黒化層の表面はその5μm×5μmの面積において、3×107〜4×107nm2の表面積を有する粗面である前記(2)に記載の電極シート、
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電極シートを含むタッチパネル、及び
(5)前記(4)に記載のタッチパネルを画像表示パネルの画像表示面上に配置した画像表示装置、
を提供するものである。
なお、以下、膜状乃至層状に形成されたものについて、線条、メッシュ等の特定形状にパターン化されてなる形態を「層」、また、パターン化される前の全面にわたって形成されてなる形態を「膜」と呼称する。
図1は、本発明の電極シートの構成の一実施形態の例を示す模式図であり、(a):概略正断面図、(b):平面図、(c):(a)の部分拡大図である。
図1の構成の電極シート10においては、透明基材1の一方の面(図1上においては上側の面)に位置検知電極2を有する。
電極シート10は、透明基材1と、その一方の面上に設けられた密着層2aと該密着層に積層された銅層2bからなる線条が複数本所定ピッチで配列された導電線条パターン2Lからなる位置検知電極2により電極シート10が形成されている。密着層2aは、透明基材と銅層との密着性を高める機能を有している。また、本発明において当該密着層2aの線幅は、図1(c)に示すように、銅層の線幅より広くして、銅層よりΔLだけ突出した延在部を、銅層の両側に有している。
これら透明基材の厚みは、20〜3000μm程度の範囲から、用途、要求性能、価格等に応じて適宜の厚みを選択する。
ニッケルの合金としては、ニッケル−クロム合金を挙げることができる。
なお、透明基材1への密着膜の形成に先立って、透明基材面を、脱脂洗浄又はコロナ放電、グロー放電、フレーム(炎)、酸化剤等によって、物理的、化学的に前処理する。
密着層の膜厚は、概ね0.0005〜1μm、好ましくは0.001〜0.5μmである。密着層の膜厚が、0.0005〜1μmであれば、透明基体と銅層との高い密着力を確保でき、かつ、透明基体側から視認した場合に、ニッケル層により銅層の赤色が若干黒色を有する灰色(ダークグレイ)に変色できるので好ましい。なお、密着層の膜厚は、0.0005μm未満の場合、銅層(乃至は銅膜)と密着層及び密着層と透明基材との密着力を十分確保できない。
また1μm超過の場合、かかる密着力向上効果は飽和し、余剰の密着層形成による材料費及び加工費の不必要な上昇を招く。
また、密着層の延在部2eは、図1(b)に示すΔLが50〜1000nm、好ましくは100〜800nm、さらに、100〜500nmであることが特に好ましい。延在部ΔLが50〜1000nmであれば、粘着剤層との密着性が不足することなく、また、電極シートの全光線透過率が低下してコントラストに悪影響を及ぼすこともない。
密着層は、透明基材に積層された密着膜のみ前もってフォトエッチング法などの公知の方法でパターニングしてもよいが、密着膜に銅膜を積層した後に、銅膜および密着膜をパターニングして形成することが、延在部2eのΔLを制御する点で好ましい。
なお、密着層は、ニッケルまたはその合金を含む金属のほかに、チタン、クロム、又はそれらの合金であってもよい。
銅層(銅膜)の厚みは0.1〜3μmが好ましく、0.5〜2μmであることがより好ましい。
本発明において、線条パターンには、図1に示す如きストライプ状のパターンに限定されるものではなく、網状、格子状などのメッシュ状パターンも含まれる。
メッシュ状パターンの場合は、タッチパネルの位置検知方式及び設計仕様に応じて、有効検知領域(active area)全面にわたって連続的にメッシュ状パターンが形成される形態、或いは所定の位置関係で配置された長方形、特定対角線方向に連結された菱形等の輪郭形状内にメッシュ状パターンが形成される形態の何れの形態にも本発明の線条パターンを採用することがで出来る。
1面黒化層3aを形成するには、銅膜(乃至これをメッシュ化した銅層)表面の外光反射による赤銅色の光沢が目視で視認されなくさせるに足りる金属からなる材料の中から、加工適正、及び当該電極シートの各種要求物性を満たすものを適宜選択すればよい。
具体的には、銅を含む酸化物が代表的なものであり、CuO(酸化銅(II)、或いは酸化第二銅とも呼称される)、CuO−Cr2O3、CuO−Fe3O4−Mn2O3、CoO−Fe2O3−Cr2O3等が挙げられる。前記材料中には、適宜、許容不純物として、或いは黒色度や要求物性を調整する添加物として、化学式に表記した以外の各種元素を含んでいてもよい。
さらに銅の窒化物による黒化層、または銅の酸化物と窒化物の複合体であってもよい。
また、黒化膜は、前記材料2種以上を含んでいてもよい。
その他、黒色酸化鉄(Fe3O4)、チタンブラックとして知られているチタン及び酸化チタンからなる化合物、微粒子状の銅−コバルト合金等が挙げられる。
1面黒化層を形成するには、透明基材に密着膜、銅膜を積層した後、銅膜上に黒化膜13(図6(c2))を形成する。黒化膜13の成膜方法としては、酸化銅のスパッタリングもしくは蒸着を採用することが好ましい。
具体的には、まず、黒化膜13上にレジスト膜14を設け(図6(d2))、当該レジスト膜をパターン露光および現像して、線条(ストライプ模様)、網目模様又は格子模様にパターニングする(図6(e2))。次に、パターニングされたレジストパターン層4をマスクとして、黒化膜13、銅膜12b、および密着(ニッケル)膜12aをエッチングする。エッチング液として45〜50°ボーメの塩化第2鉄水溶液を用いて35〜45℃でエッチングするのが好ましい。
これにより、黒化膜13から黒化層3aが形成され、銅膜12bから銅層2bが形成される。このようにして、透明基材10上に、密着層2a、銅層2b、および黒化層3aを含んでなる電極10が、所望のパターンで形成される(図6(g2))。
なお、エッチングに用いられるエッチング液としては、前記の塩化第二鉄の外に、燐酸、硝酸および酢酸を含む燐硝酢酸水溶液や、過酸化水素水および硫酸に代表される酸化剤を混合した系、臭化水素酸やハロゲン化水素酸等を挙げることができる。
表面積が3×107〜4×107nm2の範囲であれば、表面の形状が図11や図12のSEM写真に示すような凹凸を有しており、光の乱反射が生じ、表面が一層黒く見える状態を呈する。また、表面凹凸により、粘着剤層との積層において投錨効果により密着強度を向上させることができる。
なお、表面積は、5μm×5μmの大きさについて、AFM(原子間力顕微鏡)を用い測定し、算出される。
マット化処理は、エッチング処理された銅層の上面及び両側面に微細な凹凸層を形成するためのもので、結果として、事後に施される黒化処理液による黒化処理により形成される黒化膜の外面をも粗面化する作用、及び粘着剤層との密着性を更に高める効果を有している。
本発明において、銅層のマット化処理は、公知の化学薬品による化成処理により形成することができる。例えば、処理液BO−7770V(メック社製、処理液商品名)が用いられる。なお、図8(h)にマット化処理表面の模式図を拡大して示す。処理液を用いて、ディッピング(浸漬)法により、液温20〜60℃程度で、15〜45秒間程度浸漬する。マット化処理表面2mを形成した後は、水洗を行ってから乾燥する。
また、短時間における黒色化にすぐれ、かつ低温での処理のため基材への熱ダメージもない。
黒化処理液の温度は、20〜60℃が好ましく、さらに好ましくは30〜50℃である。黒化処理液の温度が、20℃より低いと黒化成分析出が悪くなり、60℃より高いとスズが酸化して黒化処理の仕上げ色が不安定となるから好ましくない。
この黒化処理液(100重量%)中には、テルルは、酸化物換算で、0.01〜0.45重量%の範囲内の量、好ましくは0.05〜0.40重量%の量で含有されている。本発明で用いる黒化処理液は、従来のテルル系の黒化処理液よりもテルル濃度が低いため、黒化層の堆積速度が小さくなり、薄く、金属−黒化層間の密着性が高い黒化層を堆積させることができる。
黒化処理液のテルル含有量が0.45重量%を超える場合、黒化層の堆積速度が大きすぎて、金属表面に堆積する黒化層にはひびが入り、黒化層−金属間の密着性が不十分になるおそれがあり、0.01重量%未満の場合は、黒化層−金属間の密着性は充分だが、黒化層の堆積速度が小さく処理効率に劣るおそれがある。
酸化テルルを溶解する塩酸水溶液は、通常は35%塩酸(以下、単に塩酸とも呼称する。)に水を配合することにより形成される。この塩酸水溶液中のHCl(塩化水素)濃度は、0.05〜8重量%の範囲内にあり、好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.3〜1重量%である。このような濃度の塩酸水溶液を使用することにより、上記酸化テルルを完全に溶解することができる。
かくして、導電線条パターンの3面が黒化された本発明の電極シート10が得られる。
(タッチパネル)
本発明の電極シートは、タッチパネルセンサー(位置検知電極)として好ましく使用することができ、当該タッチパネルセンサーを含むタッチパネルは、携帯用小型端末、電子ペーパー、コンピュータディスプレイ、電子黒板、小型ゲーム機、現金自動支払機の表示面、乗車券自動販売機などの表示面等に装着されるタッチパネルとして好ましく使用することができる。なお、このような表示面の表示装置は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、電場発光(EL)表示装置、陰極線管(CRT)表示装置、電気泳動表示装置等のいずれであってもよい。
電極シートを積層してタッチパネルを構成するには接着剤を介して電極シート同士或いは電極シートとカバーガラス(タッチパネル及び画像表示パネルの表面を保護するガラス板)とを密着させ、固定する。
アクリル系粘着剤としては、例えば、水酸基含有モノマー0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられ、当該水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリル系粘着剤としては、共重合されるアルキル基を有するアクリル系モノマーが使用され、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明の電極シートは、導電性でメッシュ不可視性なので、タッチパネルセンサー以外の用途として、PDPなどの画像表示装置のディスプレイ前面、建築物や乗物の窓に貼付する電磁波シールド材として好ましく使用することができる。
さらに、本発明の電極シートは、透明アンテナ用エレメントとして好ましく使用することができ、当該透明アンテナ用エレメントは、透視性と送受信機能の両機能を具備するため、各種の透明アンテナに利用できる。
当該透明アンテナは、透明性が要求される部位に取付けて好ましく使用することができる。特に携帯電話などモバイル通信機器のディスプレイ前面に取付けて地上波や衛星放送の受信に利用することができ、自動車、バス、トラック、鉄道車両、新交通システムの車両等の窓ガラスに取付けてGPS衛星の位置情報電波、テレビジョン、ラジオ、車輌無線等の電波の受信に使用でき、家屋並びに各種ビル、パーティションにおける窓ガラスに取付けて、地上波や衛星放送を受信するための建築物窓用透明アンテナ等として利用できる。
透明基材1として、連続帯状で無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)11を用意し(図5(a))の表側とする面に、まず、スパッタリング法(DCマグネトロンスパッタリング法による。真空度:0.5Pa、ターゲット:ニッケル、ターゲット印加電圧325V、導入ガス分率:アルゴン100%)にて厚み0.005μmのニッケル膜からなる密着膜12aを形成した(図5(b))。
次いで、抵抗加熱による真空蒸着法(真空度:3×10-3Pa)にて銅蒸着を行い、上記密着膜12aの上に厚み2μmの銅膜12bを形成した(図5(c))。
次いで、上記の密着膜12a/銅膜12b部分に対して、フォトリソグラフィー法を利用した腐食加工で、線条パターン状に加工し、透明基材1上に線条パターン状のニッケルからなる密着層2a及び銅層2bによる導電線条パターン2Lが形成された線条パターン電極シート10を作製した。ここで、『A/B』はA層及びB層をこの順序で積層した積層体を現わすものとする。
まず、該積層体の銅膜12b表面の全体へ、カゼイン系の感光性ネガ型レジストからなる感光性のレジスト膜14(ドライレジストフィルム使用)をラミネートで貼合した(図5(d))。次のステーションへ間歇搬送し、ネガパターン版(フォトマスク)を用いて、水銀灯からの紫外線を照射して、該ネガパターンを該レジスト膜14上に密着露光した(図示略)。
該ネガパターン版は、透明硝子板表面に所定の電極パターンのネガ(陰画)の遮光パターンを形成したものからなる。該電極パターンは、開口部を間に介して長方形が平行配列する平行線群状ストライプターンで、各長方形の内部が正方格子状の導電線条パターンに区画されてなる。該正方格子を構成する導電線条パターンの線条の線幅5μm、線間隔(周期)500μmで50個の単位格子が長方形の短辺方向に平行配列されてなる検知電極パターンを含む。更に、各長方形領域の一端には取出回路パターンが接続されてなる形態とした。
次いで、ステーションを搬送しながら、水洗し、レジストパターン層4を剥離し、洗浄し、さらに60℃で乾燥して、該電極パターン状に残留してなるストライプ状(各長方形の輪郭内に正方格子の導電線条パターンが形成されてなる)に形成された延在部2eを有する密着層2a/銅層2bの積層体を透明基材1上に形成した位置検知用電極シート10を得た(図5(g)、密着層の延在部2eについては図1(b)参照)。
この電極シート2枚とカバーガラスを用い、位置検知電極を透明基材の片面に有する電極シートを2枚積層するタイプの静電容量式タッチパネルセンサー組み立てるべく、線条パターンの開口部にアクリル系粘着剤(リンテック社製、商品名:TA015c )をラミネートで貼合し、粘着剤層(接着層)を形成した。
粘着剤層は、線条パターンの開口部において銅層の底部や密着層との接触部において、気泡は生じていなかった。
次いで、粘着剤層を施した電極シート10を2枚用意し、一方を図1(a)におけるX方向に長方形電極パターンの長辺方向を向けた配置とし、他方をY方向に長方形電極パターンの長辺方向を向けた配置とし、上下2枚の電極シートの電極パターンが平面視した場合に相互にその長辺方向が直交するようにして、上部電極シート側の基材10の導電線条パターンが形成されていない面S2に下部電極シート側の粘着剤層5を接触させて密着させた積層構成とし、更に、上部電極シートの粘着剤層5は、カバーガラス6に密着させて、図13に示す如くの電極シート2枚積層タイプの静電容量式タッチパネル100センサーを組み立てた。
なお、かかるタッチパネル100は図14に示す如く、画像表示パネル200の画面上に粘着劑層5を介して積層されて、画像表示裝置1000を構成することができる。
なお、以上に説明した実施形態においては、図1の如く透明基材1の一方の面にのみ位置検知電極2を形成し、図13の如くこれを2枚積層した構成のタッチパネル100としたが、これ以外の各種実施形態も含まれる。
例えば、透明基材1の両側の面(図示は略すが、図1でいえば、透明基材1の上側の面及び下側の面)に前記した各種形態の位置検知電極2を形成し、一方の面の位置検知電と他方の面の位置検知電極とを互いに電極パターンの長辺を交叉させ、必要に応じて更にカバーガラス6と積層して、タッチパネルパネル100を構成することができる(図示は略)。
或いは、透明基材1の一方の面に、X方向に長方形電極パターンの長辺方向を向けた位置検知電極2とY方向に長方形電極パターンの長辺方向を向けた位置検知電極2とを、互いに電気的に絶縁して形成し、必要に応じて更にカバーガラス6と積層して、タッチパネルパネル100を構成することができる(図示は略)。
実施例1と同様にして、密着膜12aの上に厚み2μmの銅膜12bを形成した(図5(c))後、窒化銅をDCマグネトロンスパッタリング法(真空度:0.1Pa、ターゲット:酸化銅、ターゲット印加電圧500V、導入ガス分率:窒素100%)にて厚み0.05μmの窒化銅による黒化膜13とした(図6(c2))。
次いで、上記の密着膜12a/銅膜12b/黒化膜13部分に対して、レジスト膜14を形成し(図6(d2))、該ネガパターン状のレジストパターン層4を得た(図6(e2))。更に次のステーションへ搬送し、腐食液として50℃、49゜ボーメの塩化第二鉄溶液を用いて、スプレイ法で吹きかけて腐食し、レジストパターン層4の開口部(レジスト層不在部)の黒化膜13、銅膜12b、及び密着膜12aの一部を除去した。当該開口部には図1(b)の如く密着膜12aの延在部2eが残留しており、ΔLは、250nmであった(図6(f2))。
次いで、ステーションを搬送しながら、水洗し、レジストパターン層4を剥離し、洗浄し、さらに60℃で乾燥して、該電極パターン状に残留してなるストライプ状(各長方形の輪郭内に正方格子の導電線条パターンが形成されてなる)に形成された延在部2eを有する密着層2a(延在部2eを含む)/銅層2b/1面黒化層3aの積層体を透明基材1上に形成した位置検知用電極シート20を得た(図6(g2))。
この1面黒化層を有する電極シートに実施例1と同じ粘着剤層を形成し、実施例1と同一構成のタッチパネルを作製した。
実施例1と同様にして、電極が線条パターン状に残留してなるストライプ状に形成された、延在部2eのΔLが250nmの密着層2a(延在部2eを含む)/銅層2bの積層体10を得た(図5(g))。
(マット化処理)
この積層体10にマット化処理液BO−7770V(メック社製、処理液商品名)を用い、ディッピング法により、液温25℃程度で、35秒間浸漬し、マット化処理層を形成した後は、水洗を行い乾燥した(図8(h))。
次いで、金属黒化処理液として、二酸化テルル0.25重量%(テルル濃度として0.2質量%)、塩酸0.45質量%、硫酸20質量%の水溶液を用い、当該処理液にマット化処理済みの上記積層体(図8(h))を処理温度25℃条件下、30〜90秒間浸漬し、マット化処理済の銅が露出している部分に塩化テルル(TeCl2)を含む黒化層3cを被覆形成し、線条パターン状となった密着層2a(延在部2e付き)/銅層2b/及び粗面化3面黒化層3cからなる導電線条パターン2Lからなる電極シート40を得た(図8(g4))。
その後、水洗、乾燥工程を経て、透明基材1/電極40(密着層2a、銅層2b、及び粗面状黒化層3cを3面に有する)導電線条パターンからなる)の積層構成のタッチパネル用電極シート40を得た(図8(g4))。
実施例1において、エッチングの段階で、腐食液として50℃、49゜ボーメの塩化第二鉄溶液を用いて、スプレイ法で吹きかけて腐食するに際して、実施例1に加えて密着層を選択的にエッチングする処理を施し、延在部2eのΔLが40nmの電極シート(比較例1)、及び実施例1より塩化第二鉄のボーメを下げ、銅のサイドエッチングが入りやすいようにコントロールして得た延在部2eのΔLが1500nmの電極シート(比較例2)について、実施例1と同様の静電容量式タッチパネルセンサー組み立てた。
以下に示すように、実施例1〜3、比較例1、2について、透明基材と銅層の密着性、電極シート単体の外光反射率、気泡の混入性、粘着剤層との密着性、視認性を評価した。
(透明基材と銅層の密着性)
クロスカット法を用いて、各実施例及び各比較例の電極シートの銅層側表面に、カッター(ナイフ)で縦10本×横10本の100桝の切れ目を銅層及び透明基材の厚み方向の途中迄の深さで入れ、被試験体をガラスに両面テープで固定する。
その後、ニチバン社製粘着テープ(No.405)24mm幅をクロスカットした部位表面に貼合し、手前45°(ガラス板表面に対する角度)方向に引き剥がす。
該当部位の桝目が全く剥がれなければ評価良好、又桝目が1つでも剥がれれば不良とした。
(電極シート単体の外光反射率)
実施例及び比較例で得られた電極シートについて、電極シート単体の透明基材の導電線条パターンを有していない面に黒色アクリル樹脂板を配置して、入射角5〜65°の外光反射率を分光光度計UV−3100PC(島津製作所製)にて測定した。
(気泡の混入性:電極シートへの粘着剤層形成時の気泡の混入状態)
電極シートの開口部に形成した粘着剤層5において、直径0.5mm以上の気泡が1つでもあれば「×」、直径0.5mm未満の気泡が30個以上であれば「△」、直径0.5mm未満の気泡が10個以上30個未満であれば「○」、直径0.5mm未満の気泡が10個未満であれば「◎」とした。
(視認性)
電極シートを用いて組み立てたタッチパネルを液晶表示装置の表示画面に貼り付け、液晶表示装置を駆動して白色を表示させた際に、線条が目立つかどうかを肉眼で確認した。
本実施例3の電極シートは、粗面状黒化層3cによって銅層の赤味が解消され、表示装置に関しても良好なコントラストで視認でき、特に視認性に優れるものであった。
2 位置検知電極
2a 密着層(ニッケル層)
2b 銅層
2e 密着層延在部
2m 銅層のマット化処理面
2L 導電線条パターン
3a 1面黒化層
3b 3面黒化層
3c 粗面状3面黒化層
4 レジスト層
5 粘着剤層
6 カバーガラス
10、20、30、40 電極シート
11 透明基材膜
12a 密着膜
12b 銅膜
13a 黒化膜
14 レジスト膜
100 タッチパネル
200 画像表示パネル
1000 画像表示装置
Claims (5)
- 透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に設けられた導電線条パターンを含む位置検知電極を備えた電極シートであって、該導電線条パターンは、透明基材の一方の面に形成されたニッケル又はその合金よりなる密着層と、該密着層に積層された銅層とを備え、該密着層の線幅を銅層の線幅よりも幅広として銅層の両側に50〜1000nm幅の密着層の延在部を設けてなる電極シートと、該位置検知電極を備えた電極シートとカバーガラスとを密着固定する透明粘着剤層と、カバーガラスとを含むタッチパネル用積層体。
- 前記電極シートが前記導電線条パターンの外面の、少なくとも前記透明基材と反対の面上に黒化層を設けてなるものである請求項1に記載のタッチパネル用積層体。
- 前記黒化層の表面はその5μm×5μmの面積において、3×107〜4×107nm2の表面積を有する粗面である請求項2に記載のタッチパネル用積層体。
- 請求項1〜3に記載のタッチパネル用積層体を含むタッチパネル。
- 請求項4に記載のタッチパネルを画像表示パネルの画像表示面上に配置した画像表示装置。
Priority Applications (1)
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