JP6232516B1 - バルブ駆動装置およびダイヤフラムバルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】より一層円滑な動きが得られ、製造コストも低減されたバルブ駆動装置を提供する。【解決手段】中心軸線Ctを中心に回転自在に保持され、カム溝42と当該カム溝42の両端部に連続して形成された係止溝43,44とを含む溝部41を外周面40aに有するステム40と、溝部41に係合可能なボール60と、操作部材9に連結され、中心軸線Ct周りの回転が規制され、中心軸線Ct方向に進退可能に案内され、中心軸線Ctに直交する方向に形成されかつボール60を収容可能な収容孔52を有する可動部材50と、ボール60を収容孔52から突出させつつステム40の溝部41に係合させて当該ボール60が当該溝部41と収容孔52によって保持されるように当該ボール60を当該ステム40に向けて付勢するコイルばね70と、を有する。【選択図】図2A

Description

本発明は、バルブの駆動装置およびダイヤフラムバルブに関する。
従来のダイヤフラムバルブとして、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。このダイヤフラムバルブは、手動バルブであって、流路を画定するバルブボディ、バルブボディに形成されたバルブシートに対して移動可能に設けられて流路を開閉するダイヤフラム、ダイヤフラムを押圧するダイヤフラム押え、および、ダイヤフラム押えを開閉方向に駆動する駆動機構を有する。駆動機構は、バルブボディ上に設けられたケーシング内に収められ、当該ケーシングに回転自在に保持されたステムと、ケーシング内で回転を規制されつつバルブ開閉方向に移動自在に案内されカム溝が形成されるとともにダイヤフラム押えと連結されたカム筒とを有し、ステムに設けられたカムピンがカム筒のカム溝にローラを介して係合することにより、ハンドルを用いてステムを回転させることでステムの回転方向に応じてカム筒が開方向又は閉方向に移動し、ダイヤフラムが操作される。
また、開位置および閉位置でカム筒の回転位置を維持するために、ステムに形成したボール収容孔にボールとばねを設けボールが部分的に突出するようにボール収容孔の入口を加締める。そして、全開時にボールをカム溝の全閉域側の端部に当接させ、あるいは、全閉時にボールをカム溝の全開域側の端部に当接させることにより、ボールに作用するばねの付勢力によりステムの回転を規制し、ダイヤフラムバルブを全開位置あるいは全閉位置に安定的に保持する。
特許第3570620号
上記のダイヤフラムバルブでは、カム筒に貫通孔からなるカム溝の加工には、エンドミルが使用される。この際、エンドミルの側面切削でカム溝の壁面を加工するが、加工した形状はガイドローラとの接触が均一ではなく、均一に接触させるためには形状の制限や加工方法の変更から高価なものになる。現状の設計では溝形状とローラとの接触は線または不定形状で接触しており、カム溝を移動するローラの動きが円滑でなくなるという問題が存在した。また、ダイヤフラムバルブの全閉時はダイヤフラムを本体に一定の力で押しつけることが必要であり、保持力や押し付け力を維持する構造が求められる。
また、上記のダイヤフラムバルブでは、ステムにボール収容孔を形成し、この収容穴にばねとボールを収容し、さらに収容穴の入口を加締める必要があり、工数が相対的に多く、製造コストが高いという問題もある。
本発明は、上記点に鑑み鋭意なされたものであって、その目的の一つは、より一層円滑な動きが得られ、製造コストも低減されたバルブ駆動装置を提供することにある。
本発明のバルブ駆動装置は、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムを操作する操作部材を開閉方向に駆動させるバルブ駆動装置であって、
所定の軸線を中心に回転自在に保持され、カム溝と当該カム溝の両端部に連続して形成された係止溝とを含む溝部を外周面に有するステムと、
前記溝部に係合可能なボールと、
前記操作部材に連結され、前記所定の軸線周りの回転が規制され、前記所定の軸線方向に進退可能に案内され、前記所定の軸線に直交する方向に形成されかつ前記ボールを収容可能な収容孔を有する可動部材と、
前記ボールを前記収容孔から突出させつつ前記ステムの溝部に係合させて当該ボールが当該溝部と収容孔によって保持されるように当該ボールを当該ステムに向けて付勢するばね部材と、を有することを特徴とする。
好適には、前記カム溝は、前記ボールが適合するように断面が円弧状又は半円状に形成され、
前記係止溝は、前記ボールが適合するように半球状部分又は球殻状部分を有するように形成され、かつ、前記ステムの半径方向において前記カム溝よりも深い位置に形成されている、構成を採用できる。
本発明のダイヤフラムバルブは、上記構成のバルブ駆動装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、カム溝をステムに形成する構成を採用したことにより、形状精度が確保されたカム溝をより容易に加工することが可能になる。特に、ボールエンドミルを用いてカム溝をステムに加工することで、加工精度を確保しつつ加工時間を大幅に短縮できる。
また、本発明によれば、カム溝と一体的に係止溝を形成し、この係止溝に係合するボールに作用するばね部材の付勢力でバルブの全開位置又は全閉位置でステムの回転を規制するので、構造を簡素化できる。
さらに、本発明によれば、ボールを介在させてステムのカム溝から可動部材へカム作用を及ぼすため、カム機構に非常に円滑な動きが得られる。
本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブの縦断面図であって、バルブ全開状態を示す図。 図1の駆動装置の分解斜視図。 ステム以外は点線で示した駆動装置の正面図であって、バルブ全開における状態を示す図。 図1の駆動装置の正面図であって、図2Bの状態からステムを90度回転させてバルブ全閉における状態を示す図。 カム溝及び係止溝を含む溝部の展開図。 図3Aの3B−3B線におけるカム溝の断面図。 図3Aの3C−3C線における係止溝の断面図。 図1のダイヤフラムバルブの縦断面図であって、バルブ全閉状態を示す図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に本発明の一実施形態に係るダイヤフラムバルブ1を示す。ダイヤフラムバルブ1は、流路2aを画定するバルブボディ2、可撓性を有する金属、樹脂あるいはこれらの組み合わせから形成されたダイヤフラム5、ケーシング7、キャップ8、ダイヤフラム押え9、調整ネジ10、ハンドル20およびバルブ駆動装置30を有する。
バルブボディ2は、上部に開口部3と、開口部3の近傍に形成されたバルブシート4を有する。
ダイヤフラム5は、開口部3を塞ぐようにバルブボディ2とケーシング7との間で固定されている。
ケーシング7は、バルブボディ2に固定され、ケーシング7の上端部の外周にはキャップ8が螺合固定されており、内部にダイヤフラム押え9およびこれと連結されたバルブ駆動装置30を収容している。ケーシング7とキャップ8との間は、OリングORでシールされている。ケーシング7の上端の開口部には、円筒状の調整ネジ10が螺合しており、この調整ネジによりバルブ駆動装置30の上下方向A1,A2の位置を調整可能となっている。すなわち、調整ネジ10によりダイヤフラム押え9の可動範囲が調整される。
バルブ駆動装置30のステム40は、調整ネジ10を貫通しており、ステム40の調整ネジ10の上側位置にはC形止め輪11が装着され、C形止め輪11はシートリング12を介して調整ネジ10の上端面により保持されている。これにより、ステム40は、ケーシングにより中心軸線Ctを中心に回転自在に保持されている。
ステム40のC形止め輪11より上方側には、OリングORが装着され、このOリングによりキャップ8とステム40との間はシールされている。
ステム40の上端部には、ハンドルが装着され、このハンドル40を、中心軸線Ctを中心に旋回させることで、ステム40を回転させることができる。
図2に駆動装置30の分解斜視図を示す。
駆動装置30は、ステム40、可動部材50、ボール60、コイルばね70、ばね押えピン80、ガイドピン90を有する。
ステム40の外周面40aには、鋼球等からなるボール60が係合可能な溝部41が形成されている。溝部41は、ステム40の外周面40aの回転対称な2カ所に形成されている。
図3A〜図3Cに溝部41の構造を示す。溝部41は、カム溝42と、カム溝42の上端に連続して形成された上側係止溝43と、カム溝42の下端に連続して形成された下側係止溝44とを含む。
図3Bに示すように、カム溝42の断面は、半径R1の半円状となっている。なお、カム溝42の断面は、図3Bよりも浅い円弧状にすることもできる。
図3Cに示すように、上側係止溝43は、半径R1の半球状部分が、ステム40の外周面40aから深さdの位置に形成されている。上側係止溝43の半球状部分は、図3Cよりも浅い球殻状にすることも可能である。下側係止溝44については図示しないが、上側係止溝43と同様の構造である。
カム溝42、上側係止溝43および下側係止溝44の加工には、工具として、例えば、ボールエンドミルを使用できる。ボールエンドミルの先端のR部の半径を半径R1に合わせて加工すれば、エンドミルの側面切削の場合と比べて、加工精度および加工時間の両方を大幅に改善できる。
可動部材50は、ステム40の外周面40aが挿入される円筒部51を有する。円筒部51には、中心軸線Ctに関して回転対称な2カ所の位置に半径方向に延びる貫通孔からなる収容孔52が形成されている。また、円筒部51には、上端面で開口し下方に向けて延びるピン穴53が中心軸線Ctに関して回転対称な2カ所の位置に形成されている。各ピン穴53は、対応する収容孔52と交差するように形成されている。
収容孔52は、ボール60の直径よりも若干大きな直径に形成され、収容孔52はボール60を移動自在、転動自在に保持する。
収容孔コイルばね70は、収容孔52内に収容されたボール60の背後から収容孔52内に収容される。
ばね押えピン80は、ピン穴53に挿入され、収容孔52内にボール60およびコイルばね70が収容された状態で圧縮されたコイルばね70を押えて、収容孔52の外に飛び出すのを防ぐ。
可動部材50の筒状部51の底面より下方位置には、可動部材50を直径方向に貫通するガイドピン孔54が形成されている。このガイドピン孔54にガイドピン90が挿入され、ガイドピン90の両端部は、可動部材50の外周面から突出する。ガイドピン90が上記したケーシング7に中心軸線Ctの方向A1,A2に沿って形成された図示しないガイド溝に嵌ることにより、可動部材50の中心軸線Ct周りの回転が規制されるとともに、中心軸線Ct方向A1,A2に進退可能にガイドされる。
図2Bにダイヤフラムバルブ1の全開状態の際のバルブ駆動装置30を示し、図2Cにダイヤフラムバルブ1の全開状態の際のバルブ駆動装置30を示す。
図2Bに示すように、ダイヤフラム1の全開状態では、各ボール60は、対応する上側係止溝43に位置付けられている。すなわち、各ボール60は、収容孔52からステム40側に一部が突出した状態で、コイルばね70の復元力によりステム40の半径方向に付勢されている。この付勢力を超える力(上側係止溝43とカム溝42との間の段差を乗り越える力)がステム40の溝部41からボール40に作用しない限り、図2Bに示す回転位置にステム40は保持される。
図2Bに示す状態から、図示しないハンドル20を操作して、中心軸線Ctを中心にステム40を回転させると、ボール60は付勢力に抗って上側係止溝43から外れ、カム溝42に移動する。このボール60の移動は、上側係止溝43およびカム溝42がボールに適合しており、かつ、ボール42は拘束されることなく自由に転動又は摺動するため、ハンドル20の操作は円滑に行われる。
ボール60が上側係止溝43から外れ、カム溝42に移動すると、ボール40を介在させてステム40のカム溝42から可動部材50へカム作用が及び、可動部材50が下方向A2に移動する。これにより、ダイヤフラム押え9がダイヤフラム5をバルブシート4に向けて押圧する。カム溝42からボール60を介して可動部材50にカム作用が及ぶ際に、
カム溝42はボール60が適合するように形成され、加えて、ボール60は転動および摺動が自在であるため、カム溝42から可動部材50へ非常に円滑に力が作用する。
ステム40が図2Bに示す状態から、90度回転すると、コイルばね70の復元力により、ボール60がカム溝42から下側係止溝44に落ち込み、図2Cに示す状態となる。この状態では、ダイヤフラム5がバルブシート4に押し付けられ、ダイヤフラムバルブ1が全閉状態となる。図4は、ダイヤフラムバルブ1の全閉状態を示している。
ダイヤフラム1の全閉状態では、各ボール60は、対応する下側係止溝44に位置付けられ、各ボール60は、収容孔52からステム40側に一部が突出した状態で、コイルばね70の復元力によりステム40の半径方向に付勢されている。この付勢力を超える力(下側係止溝44とカム溝42との間の段差を乗り越える力)がステム40の溝部41からボール40に作用しない限り、図2Cに示す回転位置にステム40は保持される。
本実施形態によれば、カム溝42をステム40に形成する構成を採用したことにより、形状精度が確保されたカム溝42をより容易に加工することが可能になる。特に、ボールエンドミルを用いてカム溝をステムに加工することで、加工精度を確保しつつ加工時間を大幅に短縮できる。
また、本実施形態によれば、カム溝42と一体的に上側係止溝43および下側係止溝44を形成し、上側係止溝43および下側係止溝44に係合するボール60に作用するコイルばね70の付勢力でダイヤフラムバルブ1の全開位置又は全閉位置でステム40の回転を規制するので、構造を簡素化できる。
さらに、本実施形態よれば、ボール40を介在させてステム40のカム溝42から可動部材50へカム作用を及ぼすため、カム機構に非常に円滑な動きが得られる。
上記実施形態では、カム溝42と上側係止溝43および下側係止溝44とをボール40の半径R1に適合するように形成したが、これに限定されるわけではなく、例えば、カム溝42ついては、V溝等の他の形状を採用してもよいし、上側係止溝43および下側係止溝44の構造も回転を係止する機能を発揮できれば、他の構造を採用することも可能である。
上記実施形態では、ステム40に2条の溝部41を形成した場合について例示したが、これに限定されるわけではなく、例えば、回転対称な位置に4条を形成してもよく、1条のみ形成することも可能である。
上記実施形態では、弾性部材としてコイルばねを使用したが、これに限定されるわけではなく、他の弾性部材を使用可能である。
上記実施形態では、円滑なカム動作が得られるため、手動バルブだけでなく、流体駆動、電動等の他の自動バルブに本発明のバルブ駆動装置を採用可能である。
1 ダイヤフラムバルブ
2 バルブボディ
2a 流路
3 開口部
4 バルブシート
5 ダイヤフラム
7 ケーシング
8 キャップ
9 ダイヤフラム押え(操作部材)
10 調整ねじ
11 C形止め輪
12 シートリング
20 ハンドル
30 バルブ駆動装置
40 ステム
41 溝部
42 カム溝
43 上側係止溝
44 下側係止溝
50 可動部材
51 円筒部
52 収容孔
53 ピン穴
54 ガイドピン孔
60 ボール
70 コイルばね
80 ばね押えピン
90 ガイドピン
OR Oリング
Ct 中心軸線

Claims (3)

  1. ダイヤフラムバルブのダイヤフラムを操作する操作部材を開閉方向に駆動させるバルブ駆動装置であって、
    所定の軸線を中心に回転自在に保持され、カム溝と当該カム溝の両端部に連続して形成された係止溝とを含む溝部を外周面に有するステムと、
    前記溝部に係合可能なボールと、
    前記操作部材に連結され、前記所定の軸線周りの回転が規制され、前記所定の軸線方向に進退可能に案内され、前記所定の軸線に直交する方向に形成されかつ前記ボールを収容可能な収容孔を有する可動部材と、
    前記ボールを前記収容孔から突出させつつ前記ステムの溝部に係合させて当該ボールが当該溝部と収容孔によって保持されるように当該ボールを当該ステムに向けて付勢する弾性部材と、を有することを特徴とするバルブ駆動装置。
  2. 前記カム溝は、前記ボールが適合するように断面が円弧状又は半円状に形成され、
    前記係止溝は、前記ボールが適合するように半球状部分又は球殻状部分を有するように形成され、かつ、前記ステムの半径方向において前記カム溝よりも深い位置に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のバルブの駆動装置。
  3. 請求項1又は2に記載のバルブ駆動装置を備えたことを特徴とするダイヤフラムバルブ。

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