JP6231740B2 - 成形品とその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の成形品に用いることができるシート状プリプレグ(A)には、一方向に引き揃えられて平面状に配列された炭素繊維に熱可塑性樹脂が含浸されてなるシート状プリプレグ(A)を用いることが必要である。シート状プリプレグ(A)に含まれる炭素繊維は、20〜60体積%が好ましく、さらに好ましくは30〜50体積%である。この範囲内である事で、特定方向の強度に優れた成形品を得る事が可能となる。シート状プリプレグ(A)の厚さは、特に制限は無いが、賦形性と強度向上効果を兼ね備える観点から、50〜300μmが好ましく、さらに好ましくは100〜200μmである。
本発明の成形品に用いることができシート状プリプレグ(A)に用いことができる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ABS、ASA、AES等のスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリスルフォン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体等のα−オレフィンと各種単量体との共重合体類;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体等の脂肪族ポリエステル系樹脂;生分解性セルロース、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、澱粉、カラギーナン、キチン・キトサン質等の生分解性樹脂が挙げられる。強度と加工性の観点から、結晶性樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂である。さらに必要に応じて、種々の樹脂添加剤を配合する事ができる、樹脂添加剤としては、例えば着色剤、酸化防止剤、金属不活性剤、カーボンブラック、造核剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐衝撃性改質剤、溶融張力向上剤、難燃剤等が挙げられる。
本発明の成形品に用いることができシート状プリプレグ(A)に用いことができる炭素繊維は、表面処理、特に電解処理されたものが好ましい。表面処理剤としては、例えば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤、オレフィン系サイジング剤等が挙げられる。表面処理することによって、引張り強度、曲げ強度が向上するという利点が得られる。プリプレグ(A)の製造方法としては、一方向に引き揃えられた炭素繊維に、不織布状、フィルム状、シート状などの熱可塑性樹脂を重ね、加熱加圧する事で含浸する方法が挙げられる。
本発明の成形品に用いることができるフィラー強化熱可塑性樹脂(B)に用いるフィラーとしては、特に限定はないが、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状フィラー、タルク、マイカ、黒鉛などの板状フィラー、炭酸カルシウム、シリカなどの粒状フィラーなどが挙げられる。好ましくは繊維状フィラーまたは板状フィラーであり、さらに好ましくは繊維状フィラーである。異方性のあるフィラーの方が、特定方向の強度を上げやすい。これらのフィラーは、複数を同時に用いても構わない。
本発明の成形品の製造方法としては、シート状プリプレグ(A)および/またはフィラー強化熱可塑性樹脂(B)の軟化点以上で加熱加圧して一体化する方法が挙げられる。具体的には、シート状プリプレグ(A)を配置した金型内に、フィラー強化熱可塑性樹脂(B)を射出成形する方法や、シート状プリプレグ(A)と、フィラー強化熱可塑性樹脂(B)を積層した後に、加熱圧縮成形する方法が好ましい。
(曲げ強さ)
成形品から繊維配向方向に長さ80mm、幅10mmに切り出したものを用いて、ISO178に準じて、支点間距離64mm、半径5mmの圧子を用いた三点曲げ試験を、試験速度2mm/minで測定を行った。
シート状プリプレグ(A)を製造する際に使用した炭素繊維の質量を、成形品の質量で割り返し、100をかけることにより、その割合を求めた。
炭素繊維(三菱レイヨン製、製品名:TR50S)を、単位面積当たりに含まれる炭素繊維の質量(以下、FAWという。)が97g/m2となるように一方向に引き揃え、40μm厚さの酸変性ポリプロピレンフィルム2枚と重ね合わせて、加熱加圧する事で、炭素繊維を40体積%含有するシート状プリプレグを製造した。このシート状プリプレグの厚さは、134μmであった。
FAW 72g/m2とする以外は、参考例1と同様に炭素繊維を33体積%含有するシート状プリプレグを製造した。このシート状プリプレグの厚さは、120μmであった。
内寸が、たて100mm×よこ100mm×高さ3mm、90mmのフィルムゲートである一対の金型のうち、片面に前記参考例1の炭素繊維を40体積%含有するシート状プリプレグをたて99mm×よこ99mmに切断したものを1枚配置し、金型の温度を80℃とし、そこに、ガラス長繊維強化ポリプロピレン(日本ポリプロ製、製品名:ファンクスターLR24A、ガラス繊維の含有量:40質量%)をシリンダー内で、温度230℃に加熱したものを射出し、成形することで、厚さ2.9mmの成形品を得た。結果を表1に示す。
参考例1記載の炭素繊維40体積%含有プリプレグを配置しない以外は、実施例1と同様にして、厚さ2.9mmの成形品を得た。結果を表1に示す。
実施例1記載の金型を金型温度120℃とし、そこに、炭素繊維強化ポリアミド(三菱レイヨン製、製品名:パイロフィルペレット NXMR−C40B、炭素繊維の含有量:40質量%)をシリンダー内で、温度290℃に加熱したものを射出して成形し、厚さ3.0mmの成形品を得た。結果を表1に示す。
参考例2のシート状プリプレグと、比較例1で得た成形品を重ねて、200℃で2分間加熱し、さらに、200℃、2MPaの圧力で30秒間プレスし、引き続き、40℃、2MPaの圧力で2分間プレスし、厚み2.9mmの成形品を得た。結果を表1に示す。
参考例2のシート状プリプレグと、比較例2で得られた成形品を重ねて、
260℃で2分間加熱し、さらに、260℃、2MPaの圧力で30秒間プレスし、引き続き、40℃、2MPaの圧力で2分間プレスし、厚み2.9mmの成形品を得た。結果を表1に示す。
参考例2のシート状プリプレグを17枚重ねて、230℃で5分間加熱し、さらに、230℃、2MPaの圧力で7分間プレスし、引き続き、40℃、2MPaの圧力で7分間プレスし、厚さ2.0mmの成形品を得た。結果を表1に示す。
比較例1においては、シート状プリプレグ(A)を用いていないために、実施例1〜2に比べて曲げ強さに劣る。
比較例2においては、シート状プリプレグ(A)を用いていないために、実施例3に比べて曲げ強さに劣る。
比較例3においては、フィラー強化熱可塑性樹脂(B)を用いていないために、連続繊維比率が高い。
Claims (3)
- 一方向に引き揃えられて平面状に配列された炭素繊維と熱可塑性樹脂組成物を含むシート状プリプレグ(A)と
フィラーと熱可塑性樹脂組成物を含むフィラー強化熱可塑性樹脂(B)からなり、
シート状プリプレグ(A)に含まれる炭素繊維が30〜50体積%であり、シート状プリプレグ(A)の厚さが100〜200μmであり、シート状プリプレグ(A)を製造する際に使用した炭素繊維の質量を、成形品の質量で割り返し、100をかけることにより求めた連続繊維比率が2.3質量%以下である成形品。 - 一方向に引き揃えられて平面状に配列された炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含み、炭素繊維が30〜50体積%であり、厚さが100〜200μmであるシート状プリプレグ(A)を金型内に配置し、金型に、フィラーと熱可塑性樹脂組成物を含むフィラー強化熱可塑性樹脂(B)を溶融したものを射出することで、シート状プリプレグ(A)を製造する際に使用した炭素繊維の質量を、成形品の質量で割り返し、100をかけることにより求めた連続繊維比率が2.3質量%以下である成形品を得る成形品の製造方法。
- フィラーと熱可塑性樹脂組成物を含むフィラー強化熱可塑性樹脂(B)からなる成形品と、一方向に引き揃えられて平面状に配列された炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含み、炭素繊維が30〜50体積%であり、厚さが100〜200μmであるシート状プリプレグ(A)を積層した後に、圧縮成形することで、シート状プリプレグ(A)を製造する際に使用した炭素繊維の質量を、成形品の質量で割り返し、100をかけることにより求めた連続繊維比率が2.3質量%以下である成形品を得る成形品の製造方法。
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