JP6230847B2 - アルミ溶解保持炉 - Google Patents
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Description
また、渦溶解室にスクラップが投入されると、アルミ溶湯の温度が降下してアルミ溶湯の粘度が増加する。そのため、渦溶解室と昇温保持室との間でアルミ溶湯を流動させて、保持されている高温のアルミ溶湯と混合撹拌してアルミ溶湯の温度を昇温させていた。
特許文献1の溶解保持炉は、図6の横断面図に示すように、材料投入部3に溶解材料を投入し溶解して、隣接する炉体1へ隔壁5の連結部2を介して、炉体1へ導入される。また、連結部2を介して材料投入部3へ溶湯が循環する溶解保持炉100が記載されている。
また、隔壁の連通孔に凝固物が付着して連通孔の孔径を小さくするので、これらの蓄積物や凝固物を除去する作業は極めて困難で、溶解能力の低下や品質の劣化を起こすという問題があった。
さらに、隔壁の連通孔は、炉床付近に設けられているので、溶解室と保持室の間で、アルミ溶湯の循環が不十分であり、熱の均一性に欠けるという問題もあった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、渦溶解室と昇温保持室との間のアルミ溶湯の循環流れを促進させて、渦溶解室でのスクラップの溶解性を向上させてアルミ溶湯の温度を低下させることなく、メンテナンス性に優れたアルミ溶解保持炉を提供することを目的とする。
外部から投入されるスクラップとアルミ溶湯とを渦流撹拌して混合する渦溶解室と、
前記渦溶解室と仕切板の連通部を介して連通して加熱装置を有した昇温保持室と、
を備えたアルミ溶解保持炉であって、
前記仕切板は、略矩形状に形成され、
その一方の側辺の中間部に中間連通部を開口させ、
他方の側辺の下部に下連通部を開口させ、
前記仕切板に形成された中間連通部の中間連通部下辺を斜辺状にして、
中間連通部下辺と中間連通部内方側辺とのなす角θ1を90°を超え120°以下の鈍角とし、
下連通部の下連通部上辺を斜辺状にして、
下連通部上辺と下連通部内方側辺とのなす角θ2を90°を超え140°以下の鈍角とし、
前記渦溶解室に貯留されているアルミ溶湯を前記下連通部を通して前記昇温保持室の下部に供給するとともに、
前記昇温保持室の上部で加熱されたアルミ溶湯を前記中間連通部を通して前記渦溶解室の上部に循環させるようにすることを特徴とする。
(2)本発明のアルミ溶解保持炉は、上記(1)において、
前記仕切板が黒鉛質又は窒化ケイ素質の板であることを特徴とする。
これにより、アルミ溶湯がアルミ酸化物(ドロス)などとして炉内に付着、蓄積してアルミ溶湯の流れが阻害されたり、溶解原料の多量投入による渦溶解室中の金属溶湯が急激に冷却されることで金属溶湯の凝固が生じたりすることがなく、アルミ溶解保持炉内の均熱性を保つことができ、メンテナンス性に優れたアルミ溶解保持炉を提供することできる。
また、仕切板として、熱伝導性のよい黒鉛質又は窒化ケイ素質の板を用いることにより、渦溶解室と保持炉との間で溶湯温度の均一性を向上させることができる。
さらに、仕切板を取り外し可能にしたことによって、消耗品である仕切板の交換などのメンテナンスを、炉の運転を停止して冷却を待つことなく、時間短縮できる。
図1は、本発明の実施形態に係るアルミ溶解保持炉を備えたアルミ溶解システムを示す平面図である。
図2は、本発明の実施形態に係るアルミ溶解保持炉の渦溶解室及び昇温保持室の詳細平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るアルミ溶解保持炉の渦溶解室及び昇温保持室の縦断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係るアルミ溶解保持炉の仕切板の正面図(a)及び側面図(b)である。
図5は、本発明の実施形態に係るアルミ溶解保持炉の移送樋に設けられたオーバーフロー堰の形態を示す説明図である。
渦溶解室21は、高温のアルミ溶湯を貯留する耐火材で内張りされた耐火物構造体であり、その内部に貯留されるアルミ溶湯に渦流を形成させる渦流発生装置(図示せず)を備えており、仕切板26を介して、昇温保持室22と一体的に構成されている。
昇温保持室22に備えられた加熱装置(ガスバーナ)は、ガス燃料を空気中の酸素と混合して燃焼させる燃焼装置であり、温度センサからの信号を受けて溶湯温度を制御できるようになっている。
なお、この回転子23aに備えられたパイプを通して、窒素やアルゴンなどの不活性ガスをアルミ溶湯に吹き込むことで、脱ガス処理をさらに促進させることができる。
アルミスクラップには改良処理元素が添加されており、これらの酸化物は溶解後の溶湯中に多く分散し、溶湯の清浄度を低下させる要因となる。
また、機械加工の際に発生するアルミ切削屑(アルミスクラップの一種として用いる場合がある)は、その表面積が大きいため、酸化物の他にも酸化皮膜も多量に有している。これら複合酸化物の比重はアルミ溶湯の比重より大きいため炉底部に堆積しやすく、堆積した酸化物はフラックス処理や脱ガス処理により除去することができる。
昇温保持室22から供給されて脱ガス室23に貯留されるアルミ溶湯の貯留量は、ろ過室24に設けられた溶湯レベルセンサ23bにより常時検出することができるようになっている。
溶湯レベルセンサ23bとしては、例えば、ろ過室24上部からのレーザ照射などによりその反射位置を検出する反射型センサや、ろ過室24側壁に設けた接点とアルミ溶湯との導通による電気信号を検出する浸漬型センサなどを適用することができる。
また、移送樋からの出湯をオーバーフロー形態にすれば同様の効果が得られる。
ろ過鎮静室24では、溶湯成分が均一化されるとともに、セラミックフィルタで清浄化されたアルミ溶湯が、その出側に設けられた移送樋24aからオーバーフロー堰28を介してインゴットケースなどに出湯される。
なお、移送樋24aに設けられているオーバーフロー堰28は、図5に示すように、
板状の中央部をV字状に角度をもって切り欠いてあり、この切欠き部28aを通って出湯されるようになっている。
これによって、渦溶解室21、昇温保持室22、脱ガス室23、ろ過鎮静室24の四者を一体化したアルミ溶解保持炉20において、ろ過鎮静室24の溶湯レベルが基準値に対して増減した場合に、アルミ溶湯の供給量を的確に制御して、ろ過鎮静室24からの出湯量を基準範囲内に自動制御させることができ、自動化に有利なアルミ溶解システムを構築することができる。
すなわち、渦溶解室21と昇温保持室22とは、その境界に設けられた仕切板26により互いに区画されるとともに、仕切板26に開口した中間連通部26a、下連通部26bを介して互いに連通している。
この仕切板26は、図4に示すように、略矩形状に形成され、その一方の側辺26cの中間部に中間連通部26aを開口させ、他方の側辺26dの下部に下連通部26bを開口している。
これにより、図2、図3に示すように、渦溶解室21で形成させた渦流により付勢されたアルミ溶湯を下連通部26bを通して昇温保持室22の下部に供給するとともに、昇温保持室22の上部からガスバーナ等の加熱装置で加熱されたアルミ溶湯を、中間連通部26aを通して渦溶解室21の上部に循環させるようにして、昇温保持室22と渦溶解室21との間でアルミ溶湯の循環流を形成させている。
このため、渦溶解室21に外部から投入されるアルミスクラップを、予め貯留しているアルミ溶湯と混合して、昇温保持室22へ供給して溶解することができる。
また、アルミ溶湯の上レベルは中間連通部26aよりも上方に位置させるようにしている。
このように、角θ1を90°以上に大きくすることで、中間連通部内方側辺26eと中間連通部下辺26fとで形成される角での亀裂の発生を防止できる。特に、アルミ溶湯による加熱、冷却を原因とする膨張・収縮の繰り返しによる亀裂の発生を防止する効果がある。
同様に、下連通部26bの他方の側辺26dの縦幅を大きくして、下連通部上辺26hを波線で示すような斜辺状にして、下連通部上辺26hと下連通部内方側辺26gとのなす角θ2を140°まで拡大することができる。
これにより、渦溶解室に投入されたアルミスクラップをアルミ溶湯に効率よく混合して昇温保持室に循環させて高温のアルミ溶湯とすることができる。
従って、アルミ溶湯がアルミ酸化物などとして炉内に付着、蓄積してアルミ溶湯の流れが阻害されたり、溶解原料の多量投入による溶解炉中の金属溶湯が冷却による凝固が生じたりすることがなく、アルミ溶解保持炉内の均熱性を保つことができ、メンテナンス性に優れたアルミ溶解保持炉を提供することできる。
また、仕切板として、熱伝導性のよい黒鉛質又は窒化ケイ素質の板を用いることにより、渦溶解室と保持炉との間で溶湯温度の均一性を向上させることができる。
さらに、仕切板を取り外し可能にしたことによって、消耗品である仕切板の交換などのメンテナンスを容易にすることができ、産業上の利用可能性が極めて高い。
21 渦溶解室
22 昇温保持室
23 脱ガス室
23a 回転子
23b 溶湯レベルセンサ
24 ろ過鎮静室
24a 移送樋
26 仕切板
26a 中間連通部
26b 下連通部
26c 一方の側辺
26d 他方の側辺
26e 中間連通部内方側辺
26f 中間連通部下辺
26g 下連通部内方側辺
26h 下連通部上辺
27 メタルライン
28 オーバーフロー堰
28a 切欠き部
29 仕切板
30 仕切板
31 供給フィーダ
Claims (2)
- 外部から投入されるスクラップとアルミ溶湯とを渦流撹拌して混合する渦溶解室(21)と、
前記渦溶解室(21)と仕切板(26)の連通部を介して連通して加熱装置を有した昇温保持室(22)と、
を備えたアルミ溶解保持炉(20)であって、
前記仕切板(26)は、略矩形状に形成され、
その一方の側辺(26c)の中間部に中間連通部(26a)を開口させ、
他方の側辺(26d)の下部に下連通部(26b)を開口させ、
前記仕切板(26)に形成された中間連通部(26a)の中間連通部下辺(26f)を斜辺状にして、
中間連通部下辺(26f)と中間連通部内方側辺(26e)とのなす角θ1を90°を超え120°以下の鈍角とし、
下連通部(26b)の下連通部上辺(26h)を斜辺状にして、
下連通部上辺(26h)と下連通部内方側辺(26g)とのなす角θ2を90°を超え140°以下の鈍角とし、
前記渦溶解室(21)に貯留されているアルミ溶湯を前記下連通部(26b)を通して前記昇温保持室(22)の下部に供給するとともに、
前記昇温保持室(22)の上部で加熱されたアルミ溶湯を前記中間連通部(26a)を通して前記渦溶解室(21)の上部に循環させるようにすることを特徴とするアルミ溶解保持炉。 - 前記仕切板(26)が黒鉛質又は窒化ケイ素質の板であることを特徴とする請求項1に記載のアルミ溶解保持炉。
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