JP2010247202A - 金属インゴットの溶製装置および同装置を用いた金属インゴットの溶製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面欠陥が抑制され直線性に優れた金属インゴットを、高い生産性を維持しつつ溶解することができる金属インゴットの溶製装置およびこれを用いた金属インゴットの溶製方法を提供する。
【解決手段】真空チャンバーと、金属原料の供給手段と、金属原料を溶解する電子ビーム照射手段と、溶湯を保持する溶解ハースと、溶湯を注ぎ込む鋳型と、鋳型内に形成されるインゴットの引き抜き手段とを備えたハース式電子ビーム溶解炉において、溶解ハースから鋳型への排出口であるハースリップを複数設けた金属インゴットの溶製装置。また、この溶製装置を用いた金属インゴットの溶製方法であって、溶解ハースに保持された溶湯を、複数のハースリップを経由して鋳型に注ぎ込む溶製方法。
【選択図】図1
【解決手段】真空チャンバーと、金属原料の供給手段と、金属原料を溶解する電子ビーム照射手段と、溶湯を保持する溶解ハースと、溶湯を注ぎ込む鋳型と、鋳型内に形成されるインゴットの引き抜き手段とを備えたハース式電子ビーム溶解炉において、溶解ハースから鋳型への排出口であるハースリップを複数設けた金属インゴットの溶製装置。また、この溶製装置を用いた金属インゴットの溶製方法であって、溶解ハースに保持された溶湯を、複数のハースリップを経由して鋳型に注ぎ込む溶製方法。
【選択図】図1
Description
本願発明は、ハース式電子ビーム溶解炉を採用した金属インゴット溶製装置および同溶製装置を用いた金属インゴットの溶製方法に係り、特に、溶解ハースから鋳型内に溶湯を均一に注入する装置構成とこの構成を用いたインゴットの溶製方法に関する。
金属チタンは、近年にない需要の増加に追われているが、その一方で品質に対する要求も年々高まっている。金属チタンは、クロール法で製造されたスポンジチタンを、所定の大きさに破砕・整粒した後、これをプレス成型してロッド状の電極に加工し、次いで、真空アーク溶解炉にて電極に電圧を印加してアーク放電させ、溶湯を鋳型に保持してチタンインゴットに溶製している。
また、他の方法として、スポンジチタン等の溶解原料を溶解ハースに供給し、電子ビームによってこれを溶解して鋳型に流し込む電子ビーム溶解炉を用いたチタンインゴットの溶製方法も知られている。電子ビーム溶解炉では、真空アーク溶解炉に比較して溶解原料の形態に自由度があるため、最近では、電子ビーム溶解炉を用いたチタンインゴットの溶製方法について注目されている。
このような電子ビーム溶解炉においては、溶解ハースから排出された溶湯が鋳型内に保持された溶融プールに達した場合に発生する溶湯スプラッシュにより、溶解ハース近傍にスプラッシュが固化して付着を形成する場合がある。このような付着が溶解ハースの溶湯排出口(以降、「ハースリップ」と呼ぶ。)近傍に固着して、鋳型に溶湯をうまく排出できないという事態を招来する場合がある。この現象は、特に溶解ハースにおける原料の溶解速度が大きい場合に、その傾向が顕著となる。
前記の溶湯スプラッシュは、ハースリップから鋳型内に保持されている溶融プールまでの距離を縮めることで発生をある程度抑制することができる。しかしながら、ハースリップから溶融プールまでの距離を縮めると、溶融プールの一部の部位が溶解ハースまたはハースリップの下方に隠れてしまい、溶融プールへの電子ビームを照射できない部位が生成して好ましくなく、最適なハースリップから鋳型プールまでの距離の設定基準が望まれている。
また、ハースリップの形状や断面積については、特に溶解速度を高めた場合の溶解ハースからの溶湯の溢れの問題を回避する点から十分な検討が必要とされる。
更に、このような電子ビーム溶解炉で溶製されるインゴットは従来断面が円形であったが、最近では、断面が矩形のインゴットを溶製する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。断面が矩形のインゴットの場合には、その後の熱間鍛造工程や圧延工程において断面が円形のインゴットに比べて取り扱いの点や加工性の点で有利であると考えられている。
しかしながら、当該矩形鋳型を用いたインゴットを溶製する場合においては、円形鋳型の場合とは異なり溶解ハースから鋳型に注入された溶湯の温度分布が短辺方向と長辺方向で不均一となり、その結果、インゴットに反りが生じたりインゴット表面にしわ状の欠陥が形成されることが知られている。
前記課題のうち表面欠陥については、矩形鋳型に溶湯を注入する溶解ハースを矩形鋳型の幅方向に往復動させることで、鋳型内に形成される溶融チタンプールの温度を均一化し、表面欠陥のないインゴットを溶製する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、高温の溶湯を保持した溶解ハースに対して周期的な往復動等の動作をさせるには、装置構成が複雑となってしまい、また、その動作機構の保守や点検の必要性もあるので、前記公報に記載されている技術を実操業に利用するには、解決すべき課題が残されているものと考えられる。
また、鋳型内に保持した溶融チタンプールに照射する電子ビーム密度に分布を持たせてプール温度を均一に改善する方法も考えられるが、この方法は、鋳型内の溶融チタンプールの表面近傍を加熱するには効果的な手段であるものの、溶融チタンプールの深部まで加熱するには応答性が悪く、矩形鋳型の短辺方向と長辺方向の抜熱特性の差異を相殺するのは困難であり、改善の余地が残されている。
さらに、溶解ハースにて原料を溶解することができる最大の溶解速度は、溶解ハースから溶湯がオーバーフローしない範囲内にいて排出可能な最大溶湯排出速度により律速される。よって、前記ハースリップが溶解ハース壁に占める断面積を増やすことにより、最大溶湯排出速度を高めることができるが、金属の溶湯は、粘性が高いために円滑に溶湯を鋳型に排出可能な溶解ハースの形状も併せて慎重に見極めていく必要がある。
このように、電子ビーム溶解炉を用いて金属インゴットを溶製する場合に想定されるハースリップへのスプラッシュ、溶製されるインゴットの品質あるいは、ハースリップの形状の最適化の問題等を効果的に解決できる装置構成およびこれを用いた品質の優れた金属インゴットの溶製方法が望まれている。
本願発明は、金属溶製用の電子ビーム溶解炉およびこれを用いた金属インゴットの溶製方法において、表面欠陥が抑制され直線性に優れた金属インゴットを、高い生産性を維持しつつ溶解することができる金属インゴットの溶製装置およびこれを用いた金属インゴットの溶製方法の提供を目的としている。
かかる実情に鑑み前記課題について鋭意検討を進めてきたところ、ハース式電子ビーム溶解炉において、溶解ハースに複数のハースリップを設けることで、前記課題を効果的に解決できることを見出して本願発明を完成するに至った。
即ち、本願発明に係る金属インゴットの溶製装置は、真空チャンバーと、金属原料の供給手段と、金属原料を溶解する電子ビーム照射手段と、溶湯を保持する溶解ハースと、溶湯を注ぎ込む鋳型と、鋳型内に形成されるインゴットの引き抜き手段とを備えたハース式電子ビーム溶解炉において、溶解ハースから鋳型への排出口であるハースリップを複数設けたことを特徴とするものである。
本願発明に係る金属インゴットの溶製装置は、ハースリップの下端から鋳型内に形成される溶融プール面までの距離が、鋳型内幅よりも小さいことを好ましい態様としている。
本願発明に係る金属インゴットの溶製装置は、ハースリップを有する側の溶解ハース壁面全体の投影面積に対するハースリップの占める面積比(「リップ断面積比」と定義する。)が、10〜30%の範囲であることを好ましい態様としている。
本願発明に係る金属インゴットの溶製方法は、上記の金属インゴットの溶製装置を用いた金属インゴットの溶製方法であって、溶解ハースに保持された溶湯を、複数のハースリップを経由して鋳型に注ぎ込むことを特徴としている。
本願発明に係る金属インゴットの溶製装置および溶製方法においては、溶製に用いる金属がチタン、チタン合金、シリコンまたはタンタルであることを好ましい態様としている。
前記した金属インゴットの溶製装置および溶製方法により溶製された金属インゴットの表面には、表面欠陥の発生が抑制され、しかも直線性に優れているため、溶製された金属インゴットの表面切削や矯正工程が不要となり、前記切削操作による歩留まり低下も効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
本願発明の好ましい実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
A.金属インゴットの溶製装置
図1は、ハース式電子ビーム溶解炉を用いた本願発明の金属インゴットの溶製装置の構成を示す概略図である。チタン等の溶製する対象の金属原料12は、例えばアルキメデス缶等の原料供給手段10によって供給され、振動フィーダ等の原料運搬手段11を経て溶解ハース13に投入され、電子ビーム照射手段14によって溶解されて溶湯20となる。
A.金属インゴットの溶製装置
図1は、ハース式電子ビーム溶解炉を用いた本願発明の金属インゴットの溶製装置の構成を示す概略図である。チタン等の溶製する対象の金属原料12は、例えばアルキメデス缶等の原料供給手段10によって供給され、振動フィーダ等の原料運搬手段11を経て溶解ハース13に投入され、電子ビーム照射手段14によって溶解されて溶湯20となる。
溶湯20は、溶解ハース13の下流側に流れて、溶解ハース13の下流側に設けられた排出口(ハースリップ)15から排出され、その下方に設けられた水冷銅で構成された鋳型30に供給されて、溶融プール21を形成する。この溶融プール21は、鋳型30の壁面によって冷却凝固され、金属インゴット22が得られる。金属インゴット22は、引き抜き手段31を下方に動作させるとともに溶湯20を供給し続けることにより、連続的に溶製することができる。
図2は、図1において溶解ハース13および鋳型30を方向Aから見た側面図である。本願発明においては、図2に示すように、溶解ハース13に複数のハースリップ15を形成させることを特徴としている。前記のような構成とすることで、溶解ハース13で生成した溶湯20は複数箇所から排出されることとなり、単独のハースリップを設けた場合と比較して排出抵抗を低下させることができて好ましい。
また、前記のような複数のハースリップ15を形成することで、溶湯の排出抵抗が低下し、その結果、溶解ハース13での溶解原料12の溶解速度を高めることができ、結果的にインゴットの生産性を高めることができるという効果を奏するものである。
更には、溶解ハース13に複数のハースリップ15を設けることで、溶融プール21に供給される溶湯が均一化され、溶融プール21の平面方向の温度分布が平滑化されるという効果を奏するものである。その結果、鋳型30内にて生成されるインゴットの品質も高いレベルに維持することができるという効果を奏するものである。
特に、鋳型30が矩形鋳型である場合は、複数のハースリップ15が鋳型の長辺方向に沿って配置されていると、溶融プールの長辺方向の温度分布が均一化されて好ましい。溶融プール21における温度分布が均一化されると、鋳型30内で形成されるインゴット22の長手方向の反りや結晶組織の不均一化も効果的に抑制できるという効果を奏するものである。
本願発明の溶製装置においては、ハースリップ15を有する側の溶解ハース13壁面全体の面積(図2および3に示される方向での溶解ハース13の投影面積)に対するハースリップ15の占める断面積比(「リップ断面積比」と定義する)は、電子ビーム出力を最大に維持した場合に達成される溶解原料の最大溶解速度において、溶解ハース13から溶湯20がオーバーフローしない範囲内で最小の範囲となるように構成することが好ましい。
前記のような溶解ハース構成とすることで、溶解ハース13内の滞留させる溶湯20量を最大限に保持させることができるという効果を奏するものである。その結果、溶解ハース13内に供給された溶解原料12が未溶解の状態で溶解ハース13から鋳型30に排出されるバイパスを効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
本願発明の溶製装置においては、前記リップ断面積比を10〜30%の範囲とすることが、好ましい。前記のような範囲に構成することで、溶解ハース1内での溶解原料のバイパスを抑制しつつ、溶解ハース13内での溶解原料の溶解速度を最大に維持することができるという効果を奏するものである。
B.金属インゴットの溶製方法
本願発明に係る金属インゴットの溶製方法は、前記したような溶解ハース13および鋳型30を好ましい範囲に配置した電子ビーム溶解炉を用いて、特に、溶解ハース13から排出された溶湯20が溶融プール21に達した場合に形成されるスプラッシュを最小に維持しつつ金属インゴットを溶製することを特徴とするものである。
本願発明に係る金属インゴットの溶製方法は、前記したような溶解ハース13および鋳型30を好ましい範囲に配置した電子ビーム溶解炉を用いて、特に、溶解ハース13から排出された溶湯20が溶融プール21に達した場合に形成されるスプラッシュを最小に維持しつつ金属インゴットを溶製することを特徴とするものである。
また、複数のハースリップ15を配設した溶解ハース13を用いることで、溶解ハース13からの溶湯排出速度を高いレベルに維持しつつ、鋳型30内に形成される溶融プール21の温度を均一化することができ、その結果、鋳型30内で溶製されるインゴット22の品質を高いレベルに維持することができるという効果を奏するものである。
更には、複数のハースリップ15より溶融プール21に溶湯を排出することにより、単一のハースリップ15から溶湯を排出する場合に比べて、溶湯流れが分散され、その結果、スプラッシュの発生も抑制することができるいという効果を奏するものである。
更には、前記したハースリップ15のリップ断面積比を前記した適切な範囲に選択することで、未溶解原料の混入しない組成の均一なインゴットを溶製することができるという効果を奏するものである。
図3は、本願発明に係る溶解ハース13と鋳型30との相対配置を表している。本願発明においては、ハースリップ15の下端から鋳型30内に形成される溶融プール21までの距離h(「溶解ハース高さ」と定義する。)は、鋳型の内径wよりも小さい範囲に設定することが好ましい。
前記の範囲に溶解ハース高さを設定することで、溶融プール21におけるスプラッシュの発生を効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
以上説明したように、本願発明に係る金属インゴットの溶製装置および溶製方法を用いることで、インゴットの内部組織が均一化されるのみならず、インゴットの直線性が良好で表面欠陥の抑制された健全なインゴットを溶製することができ、その結果、表面切削による生成インゴットの歩留まり低下を効果的に抑制することができるという効果を奏するものである。
なお、本願発明では、溶製される金属としてチタンを例に説明を行ったが、それ以外にもチタン合金、シリコン、ニオブ、タンタル等にも同様に本願発明を適用することが可能である。
[実施例1]
1.溶解原料:スポンジチタン
2.溶解装置:
1)電子ビーム出力
溶解ハース側:1100kW
鋳型側:800kW
2)矩形鋳型:
大きさ:厚さ260mm×幅1100mm
構成:水冷銅
3)溶解ハース
大きさ:幅500mm×長さ2000mm
構成:水冷銅
ハースリップ配置側の壁面積:500cm2
4)ハースリップ:
数:3個
断面積:50cm2
総断面積:150cm2
溶解ハース高さ:100mm
5)溶解速度:1.5t/hr
1.溶解原料:スポンジチタン
2.溶解装置:
1)電子ビーム出力
溶解ハース側:1100kW
鋳型側:800kW
2)矩形鋳型:
大きさ:厚さ260mm×幅1100mm
構成:水冷銅
3)溶解ハース
大きさ:幅500mm×長さ2000mm
構成:水冷銅
ハースリップ配置側の壁面積:500cm2
4)ハースリップ:
数:3個
断面積:50cm2
総断面積:150cm2
溶解ハース高さ:100mm
5)溶解速度:1.5t/hr
図1に示した装置構成にて、2個のハースリップを有する溶解ハースを用いて、スポンジチタンを溶解して、長さ3000mmのインゴットを溶製した。溶製されたインゴットを観察したが、シワや傷は、確認されなかった。また、前記インゴットを定盤の上に寝かせて、定盤との隙間の最大値を測定したところ、21mmであった。このように、本願発明に係る溶解ハースを用いることで、表面欠陥がなく、また直線性の優れたインゴットを溶製できることが確認された。
[比較例1]
実施例1において、ハースリップの数を1個にした以外は同じ条件でチタンインゴットを溶製した。
実施例1において、ハースリップの数を1個にした以外は同じ条件でチタンインゴットを溶製した。
溶製されたインゴットの概観を観察したところ、表面欠陥の発生は見られなかったが、定盤にインゴットを載置して計測された隙間の最大値は、35mmであった。
[実施例2]
実施例1において、リップの数は変更しないで、リップの断面積を変化させて、リップの総断面積を変えてリップ断面積比を変化させ、それぞれの場合に溶製されたインゴットの内質を観察して、未溶解物の有無について調査した。調査したインゴットに対して観察した100個の視野に対して未溶解物の数の比を欠陥率(%)とし、100から前記欠陥率を引いた数値を健全率とし整理した。
実施例1において、リップの数は変更しないで、リップの断面積を変化させて、リップの総断面積を変えてリップ断面積比を変化させ、それぞれの場合に溶製されたインゴットの内質を観察して、未溶解物の有無について調査した。調査したインゴットに対して観察した100個の視野に対して未溶解物の数の比を欠陥率(%)とし、100から前記欠陥率を引いた数値を健全率とし整理した。
一方、それぞれのリップ断面積比における最大溶解速度を、コールドモデルにて、オーバーフローする最大の溶解速度を簡易的に測定した。表1では、NO.3の最大溶解速度を100として相対値で示した。
下表に示すように、リップ断面積比が10〜30%の範囲において最大溶解速度およびインゴットの健全率の両者が好ましい範囲にあることが確認された。
[比較例2]
実施例1において、溶解ハース高さを鋳型内幅よりも大きい範囲に設定した以外は同じ条件下にてチタンインゴットを溶製した。しかしながら、溶解途中でハースリップの近傍にスプラッシュが付着成長し、溶解ハースから鋳型への溶湯排出が困難となった。そこで、溶解ハースへの原料供給を一旦中断して。ハースリップ近傍に成長したスプラッシュに電子ビームを照射して溶解させてハースリップの湯道を確保した後、溶解操作を再開した。
実施例1において、溶解ハース高さを鋳型内幅よりも大きい範囲に設定した以外は同じ条件下にてチタンインゴットを溶製した。しかしながら、溶解途中でハースリップの近傍にスプラッシュが付着成長し、溶解ハースから鋳型への溶湯排出が困難となった。そこで、溶解ハースへの原料供給を一旦中断して。ハースリップ近傍に成長したスプラッシュに電子ビームを照射して溶解させてハースリップの湯道を確保した後、溶解操作を再開した。
以上の実施例および比較例により、溶解ハースに設けるハースリップの数および断面積による効果や溶解ハース高さの効果の好ましい範囲が確認された。
本願発明は、電子ビーム溶解炉を用いて金属インゴットを溶製する場合において、表面の傷が抑制され、また直線性に優れた金属インゴットを効率よく製造することができる。
10…原料供給手段、11…原料運搬手段、12…金属原料、13…溶解ハース、14…電子ビーム照射手段、15…排出口(ハースリップ)、20…溶湯、21…溶融プール、22…金属インゴット、30…鋳型、31…引き抜き手段。
Claims (6)
- 真空チャンバーと、金属原料の供給手段と、上記金属原料を溶解する電子ビーム照射手段と、溶湯を保持する溶解ハースと、上記溶湯を注ぎ込む鋳型と、上記鋳型内に形成されるインゴットの引き抜き手段とを備えたハース式電子ビーム溶解炉において、
上記溶解ハースから上記鋳型への排出口であるハースリップを複数設けたことを特徴とする金属インゴットの溶製装置。 - 前記ハースリップの下端から前記鋳型内に形成される溶融プール面までの距離が、鋳型内幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の金属インゴットの溶製装置。
- 前記ハースリップを有する側の溶解ハース壁面全体の投影面積に対するハースリップの占める面積比が、10〜30%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属インゴットの溶製装置。
- 前記金属が、チタン、チタン合金、シリコンまたはタンタルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属インゴットの溶製装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の金属インゴットの溶製装置を用いた金属インゴットの溶製方法であって、溶解ハースに保持された溶湯を、複数のハースリップを経由して鋳型に注ぎ込むことを特徴とする金属インゴットの溶製方法。
- 前記金属が、チタン、チタン合金、シリコンまたはタンタルであることを特徴とする請求項5に記載の金属インゴットの溶製方法。
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JP2013245398A (ja) * | 2012-05-29 | 2013-12-09 | Toho Titanium Co Ltd | チタンインゴットの製造方法 |
WO2014148683A1 (ko) * | 2013-03-20 | 2014-09-25 | 한국에너지기술연구원 | 실리콘 잉곳 제조 장치 |
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