JP2005028452A - Al−Mg−Si系合金の連続鋳造方法およびAl−Mg−Si系合金鋳塊、Al−Mg−Si系合金板材の製造方法およびAl−Mg−Si系合金板材、ならびに放熱部材の製造方法および放熱部材 - Google Patents

Al−Mg−Si系合金の連続鋳造方法およびAl−Mg−Si系合金鋳塊、Al−Mg−Si系合金板材の製造方法およびAl−Mg−Si系合金板材、ならびに放熱部材の製造方法および放熱部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 Al−Mg−Si系合金の連続鋳造において鋳造割れを抑制する。
【解決手段】 鋳型1の一端側からAl−Mg−Si系合金からなる溶湯Mを供給して冷却し、凝固した鋳塊Sを他端側から連続的に引き出すことにより鋳塊を連続鋳造する方法において、(a)鋳型1に供給される直前の溶湯温度を670〜720℃とする、(b)鋳型1に供給する溶湯流量を鋳込み面積に対して500kg/(分・m2)以下とする、(c)鋳型1の他端側内部に配置したボトムブロック7上に、鋳込み面積に対して150〜650kg/m2の溶湯Mを供給した時点で該ボトムブロック7を降下させて鋳塊Sを引き出す、のうちのいずれか一以上の条件を満たして鋳塊Sを連続鋳造する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、鋳造割れを抑制しうるAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法、およびこの方法により鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊、ならびに放熱部材の製造方法に関する。
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語はアルミニウムおよびその合金の両者を含む意味で用いられる。
一般に、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、ノート型パーソナルコンピュータ等のシャーシ、メタルベースプリント基板等の放熱部材材料として、軽量かつ高熱伝導性を有するアルミニウムが多用されている。特にエレクトロニクス分野では、製品やパーツの小型化や高密度化が進む中で、発熱量が飛躍的に増大している。このため、放熱部材は、高強度で高熱伝導性を有し、かつ加工性に優れていることが強く要求され、かつ近年においてその性能要求が益々厳しくなっている。
然るに、アルミニウムのなかでも熱伝導性の高い材料としてはJIS A1100、A1050、A1070等の純アルミニウム系合金があるが、これらの合金は強度が低いという欠点がある。一方、高強度合金としてはJIS A5052合金が用いられるが、純アルミニウム系合金に比べて熱伝導性が著しく劣っている。
このような状況にあって、本出願人は高熱伝導性と高強度を兼ね備えたAl−Mg−Si系合金板の製造方法を提案した(特許文献1)。
特許文献1に記載された製造方法は、元来熱伝導性が良好であるAl−Mg−Si系合金を用い、Al−Mg−Si系合金鋳塊の圧延工程において、熱間粗圧延の任意のパスの前後の材料温度とパス上がりの板厚を制御することによって、強度を付与するというものである。これにより高熱伝導性と高強度を兼ね備えたアルミニウム板を得ることができる。
一方、アルミニウムの鋳造方法や鋳造装置に関しても種々の提案がなされている(特許文献2〜4)。
特許文献2においては、JIS A7000系高力合金を対象として、鋳塊の鋳造割れを防止するための半連続鋳造装置用下型が記載されている。
特許文献3においては、JIS A3004合金を対象として、スラブを2段階で冷却することにより鋳造割れを防止する縦型連続鋳造方法が記載されている。
特許文献4においては、鋳造初期に発生するスラブの反りやくびれを抑制するために、二次冷却水を吹き付ける位置を規定する縦型連続鋳造方法が記載されている。
特開2000−87198号公報 特開平5−50186号公報 特開平9−308945号公報 特開平11−179490号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたアルミニウム合金板はAl−Mg−Si系合金であるために溶解鋳造時の鋳造割れ感受性が強く、良好なスラブを製作するためには鋳造条件を厳しく管理する必要があった。
また、Al−Mg−Si系合金に特許文献2〜4に記載された鋳造方法を適用しても、鋳造割れを回避することはできず、確実にAl−Mg−Si系合金鋳塊の鋳造割れを防止しうる鋳造方法が希求されている。
本発明は、上述した技術背景に鑑み、鋳造割れを確実に防止しうるAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法、およびこの方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊、ならびにAl−Mg−Si系合金鋳塊を用いる放熱部材の製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法は(1)〜(5)に記載された構成を有する。
(1) 鋳型の一端側から溶湯を供給して冷却し、凝固した鋳塊を他端側から連続的に引き出すことにより鋳塊を連続鋳造する方法において、
前記溶湯は、Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.6質量%以下、Cu:0.6質量%以下、Ti:0.1質量%以下、Zn:0.2質量%以下、Mn:0.2質量%以下、Cr:0.2質量%以下およびB:0.2質量%以下を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−Mg−Si系合金からなり、
(a)鋳型に供給される直前の溶湯温度を670〜720℃とする、
(b)鋳型に供給する溶湯流量を鋳込み面積に対して500kg/(分・m2)以下とする、
(c)鋳型の他端側内部に配置したボトムブロック上に、鋳込み面積に対して150〜650kg/m2の溶湯を供給した時点で該ボトムブロックを降下させて鋳塊を引き出す、
のうちのいずれか一以上の条件を満たして鋳塊を連続鋳造することを特徴とするAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法。
(2) 前記溶湯温度は、鋳型内に溶湯を供給するスパウト出口における温度である前項1に記載のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法。
(3) 前記溶湯温度を680〜700℃とする前項1または2に記載のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法。
(4) 前記溶湯流量を100〜400kg/(分・m2)とする前項1〜3のいずれか1項に記載のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法。
(5) 前記ボトムブロック上に、鋳込み面積に対して200〜500kg/m2の溶湯を供給した時点で該ボトムブロックを降下させる前項1〜4のいずれか1項に記載のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法。
本発明のAl−Mg−Si系合金鋳塊は(6)に記載された構成を有する。
(6) 前項1〜5のいずれか1項に記載の方法で鋳造されたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金鋳塊。
本発明のAl−Mg−Si系合金板材の製造方法およびAl−Mg−Si系合金板材は(7)(8)に記載された構成を有する。
(7) 前項1〜5のいずれか1項に記載の方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊を圧延して板材を製造することを特徴とするAl−Mg−Si系合金板材の製造方法。
(8) 前項7に記載の方法で製造されたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金板材。
本発明の放熱部材の製造方法および放熱部材は(9)〜(11)に記載された構成を有する。
(9) 前項1〜5のいずれか1項に記載の方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊を成形加工して放熱部材を製造することを特徴とする放熱部材の製造方法。
(10) 前項9に記載の方法で製造されたことを特徴とする放熱部材。
(11) 放熱部材が、プラズマディスプレイのシャーシ、液晶ディスプレイのシャーシ、コンピュータのシャーシ、メタルベースプリント基板のいずれかである前項10に記載の放熱部材。
本発明のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法によれば、鋳造割れ感受性の大きいAl−Mg−Si系合金においても、合金(a)鋳型に供給される直前の溶湯温度、(b)溶湯流量、(c)ボトムブロック降下の開始点に関して規定された条件のいずれか一以上を満たすことによって、鋳造初期における溶湯凝固が促進され、鋳造割れを抑制できる。
前記溶湯温度がスパウト出口における温度である場合には、精度の高い温度制御を行うことができる。
また、前記溶湯温度が680〜700℃である場合には、確実に溶湯凝固が促進されて鋳造割れを抑制することができる。
前記溶湯流量が100〜400kg/(分・m2)である場合は、確実に溶湯凝固が促進されて鋳造割れを抑制することができる。
ボトムブロック降下の開始点が、200〜500kg/m2の溶湯を供給した時点である場合は、確実に溶湯凝固が促進されて鋳造割れを抑制することができる。
本発明のAl−Mg−Si系合金鋳塊は、本発明の鋳造方法により、(a)鋳型に供給される直前の溶湯温度、(b)溶湯流量、(c)ボトムブロック降下の開始点のいずれかが規定され、鋳造初期における溶湯凝固が促進されるため、鋳造割れが抑制されたものである。
本発明のAl−Mg−Si系合金板材の製造方法は、本発明の方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊を圧延して板材を製造するものであるから、高熱伝導性と高強度を兼ね備えたAl−Mg−Si系合金を製造することができる。
本発明のAl−Mg−Si系合金板材は、本発明の方法で製造されたものであるから、高熱伝導性と高強度を兼ね備えたものである。
本発明の放熱部材の製造方法は、本発明の方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊を成形加工して放熱部材を製造するものであるから、高熱伝導性と高強度を兼ね備えた放熱部材を製造することができる。
本発明の放熱部材は、本発明の方法で製造されたものであるから、高熱伝導性と高強度を兼ね備えたものである。
また、放熱部材が、プラズマディスプレイのシャーシ、液晶ディスプレイのシャーシ、コンピュータのシャーシ、メタルベースプリント基板のいずれかである場合には、高熱伝導性と高強度を兼ね備えたものである。
本発明のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法は、Al−Mg−Si系合金に対し、鋳造初期、換言すれば溶湯凝固過程初期において凝固を促進させることによって鋳造割れを抑制するものである。
本発明の連続鋳造方法は、鋳造割れ感受性の大きい合金Al−Mg−Si系合金を対象とし、かかる合金に対しても鋳造割れを抑制することができる。
具体的には、Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.6質量%以下、Cu:0.6質量%以下、Ti:0.1質量%以下、Zn:0.2質量%以下、Mn:0.2質量%以下、Cr:0.2質量%以下およびB:0.2質量%以下を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−Mg−Si系合金を対象とする。前記Al−Mg−Si系合金は、優れた熱伝導性および強度を有する合金である。
前記Al−Mg−Si合金組成について、各元素の添加意義および含有量の限定理由は次のとおりである。
SiおよびMgは強度の発現に必要な元素である。Si含有量が0.2質量%未満あるいはMg含有量が0.3質量%未満では十分な強度を得ることができない。一方、Si含有量が0.8質量%、Mg含有量が1質量%を越えると、鋳塊から板に成形する際に熱間圧延での圧延負荷が高くなって生産性が低下するとともに、耳割れが大きくなって途中工程でトリミングが必要となる。Si含有量の好ましい範囲は0.32〜0.6質量%であり、Mg含有量の好ましい範囲は0.35〜0.55質量%である。
FeおよびCuは、多量に含有すると耐食性が低下して合金の成形加工品としての実用性に欠けるため、含有量をFe:0.6質量%以下、Cu:0.6質量%以下に規制することが好ましい。Fe含有量の好ましい範囲は0.1〜0.5質量%である。また、好ましいCu含有量は0.2質量%以下である。
Tiは鋳塊組織を微細化させるとともに、鋳造割れを抑制する効果がある。Ti含有量が0.1質量%を越えると晶出物量が増大するともに大きな晶出物が形成されるため、鋳塊をさらに成形加工する際の加工性が低下し、かつ熱伝導性が低下する。Ti含有量の好ましい範囲は0.005〜0.05質量%である。
Zn、Mn、Crはいずれも0.2質量%以下を添加することにより、合金の機械的強度を高める効果がある。Zn含有量の特に好ましい範囲は0.1質量%以下である。Mn含有量の特に好ましい範囲は0.1質量%以下である。Cr含有量の特に好ましい範囲は0.1質量%以下である。
Bは、Tiと同様に、鋳塊組織を微細化させるとともに、鋳造割れを抑制する効果があり、0.2質量%以下を添加することが好ましい。B含有量の特に好ましい範囲は0.1質量%以下である。
前記Al−Mg−Si系合金の残部はアルミニウムおよび不純物である。不純物は0.05質量%以下が好ましい。
上述した組成のAl−Mg−Si系合金の連続鋳造において、溶湯凝固を促進させるために、(a)溶湯温度、(b)溶湯流量、(c)ボトムブロック降下の開始点に関する条件を規定し、これらのうちのいずれか一以上の条件を満たした処理を行う。
(a)溶湯温度
鋳型の一端側から供給する溶湯温度は670〜720℃とする。溶湯温度が670℃未満では、流動性が悪くなって溶湯の注入が困難となる。一方、720℃を越えて高くなると、十分に凝固しないままに他端側から引き出されることとなり、収縮時に発生する内部応力の逃げが無くなって鋳造割れを引き起こすおそれがある。また、上記範囲に規定する溶湯温度は鋳型に供給する直前における温度とする。鋳型から離れた位置で溶湯の温度管理を行うと、鋳型まで輸送される間に冷却が進行し、低下した温度のばらつきによって精度の高い溶湯管理が困難となるためである。従って、図1および図2に参照されるように、溶湯(M)を溶湯容器(4)からスパウト(3)を介して鋳型(1)に供給する場合は、スパウト出口(A)における溶湯温度を本発明で規定する溶湯温度とする。スパウト出口(A)は鋳型の直前に位置するため、精度の高い温度制御を行うことができる。 特に好ましい溶湯温度は680〜700℃である。
(b)溶湯流量
鋳型に供給する溶湯流量は鋳込み面積(鋳型内部断面積)に対して500kg/(分・m2)以下とする。鋳造初期における溶湯流量が500kg/(分・m2)を越えると十分に凝固しないままに引き出されることとなり、収縮時に発生する内部応力の逃げが無くなって鋳造割れを引き起こすおそれがある。好ましい溶湯流量は400kg/(分・m2)以下であり、より確実に鋳造割れを抑制できる。本発明は溶湯流量の下限値を定めるものではないが、流量が小さくなると、溶湯を供給するためのスパウト内で固まり易くなるため、100kg/(分・m2)以上が好ましい。さらに好ましい溶湯流量は150〜300kg/(分・m2)である。
溶湯流量の調節方法は限定されず定法により適宜行う。例えば図1および図2に参照されるように、溶湯の供給開始から鋳塊の引き出し開始までの鋳造初期において、開度調節可能なニードル(6)をスパウト(3)内に挿入して所要の開度に設定することによって調節する方法を例示できる。また、図示例のスパウト(3)およびニードル(6)を用いて流量調節を行った場合、引き出し開始後はスパウト(3)の口径あるいはさらにフロート(5)による開度調節とによって流量が調節されるため、ニードル(6)は全開とするかまたは取り外すことができる。
なお、図1および図2の縦型連続鋳装置において、鋳塊の引き出しとは降下である。
(c)ボトムブロック降下の開始点
縦型連続鋳造方法においては、図1に示すように、鋳型(1)の他端側内部にボトムブロック(7)を配置し、この状態で溶湯供給を開始する。そしてボトムブロック(7)上に供給した溶湯量が所定量に達した時点でボトムブロック(7)の降下を開始し、降下させながら溶湯供給を続行して連続鋳造する。
本発明ではボトムブロック(7)降下の開始点をボトムブロック(7)上に供給する溶湯量が鋳込み面積に対して150〜650kg/m2に達した時点とする。150kg/m2未満では溶湯量が少なすぎて凝固収縮および降下によって発生する応力に耐えられず鋳塊が割れるおそれがある。一方、650kg/m2を越えると鋳塊の下端部が十分に凝固していないおそれがある。好ましいボトムブロック(7)降下の開始点は、ボトムブロック(7)上に供給する溶湯量が鋳込み面積に対して200〜500kg/m2に達した時点である。
本発明の連続鋳造方法において、上述した3つの処理条件のうちの1つの処理条件を満足すれば鋳造割れを抑制する効果がある。また、いずれか2つの条件を満足することによって鋳造割れ抑制効果がさらに向上し、3つの条件をすべて満足することによってなお一層鋳造割れ抑制効果が向上する。なお、いずれか2つの条件を組み合わせる場合、(c)ボトムブロック降下の開始点と、他のいずれか一方の条件とを組み合わせた場合に特に鋳造割れ抑制効果がある。
本発明のAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法によれば鋳造割れのない良質の鋳塊を製造でき、ひいては良質のアルミニウム成形加工品を製造することができる。
特に、本発明の方法に従ってAl−Mg−Si系合金鋳塊を連続鋳造し、このAl−Mg−Si系合金鋳塊を圧延することによって高熱伝導性と高強度を兼ね備えたAl−Mg−Si系合金板材を製造することができる。このとき、鋳造以外の条件、例えば鋳塊の均質化処理、圧延条件、圧延パス間の熱処理、圧延後の熱処理等の諸条件は限定されず、公知の処理方法および処理条件を適宜適用できる。また、製造する板材の厚さも限定されない。
また、本発明の方法に従ってAl−Mg−Si系合金鋳塊を連続鋳造し、このAl−Mg−Si系合金鋳塊を所要形状に成形加工することによって高熱伝導性と高強度を兼ね備えた放熱部材を製造することができる。このとき、放熱部材に成形加工する方法や成形加工条件は限定されず、圧延、切削、押出等の公知の方法により適宜成形することができる。また、製造する放熱部材の種類も限定されず、プラズマディスプレイのシャーシ、液晶ディスプレイのシャーシ、ノート型パーソナルコンピュータ等のコンピュータのシャーシ、メタルベースプリント基板等の発熱デバイスを装着または装填する基板やケースを例示できる。
なお、上述した3つの条件以外の工程とその条件は限定されず、定法に従って行えば良い。また、3つの条件のうち、ボトムブロック降下の開始点は縦型連続鋳造法に適用する条件であるが、溶湯温度および溶湯流量に関する条件は水平連続鋳造方法にも適用することができる。
また、図1および図2の鋳造装置は本発明の鋳造方法の説明のために例示したものであって、鋳造方法の詳細を限定するものではない。
図1および図2に示す縦型半連続鋳造装置を用い、表1に示す組成のAl−Mg−Si系合金を材料としてAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造試験を行った。
Figure 2005028452
図1および図2において、(1)は中空部に充填された冷却水(W)によって水冷されるとともに下端部に冷却水(W)の噴出口(2)が設けられた鋳型、(3)は分配鍋(4)内の溶湯(M)を鋳型(1)に注入するためのスパウト、(5)は鋳型(1)内の溶湯レベルを一定に保つとともに溶湯流量を調節するフロート、(6)は上下駆動可能とされスパウト(3)内に差し込まれて開度調節により溶湯流量を調節するニードル、(7)は上下駆動可能とされ鋳塊(S)を受けるボトムブロック、(8)は冷却用プールである。また、(A)はスパウト(3)の出口であり鋳型(1)に供給される直前の溶湯(M)の温度の測定点、(S)は凝固したスラブを示している。
本実施例および比較例において、鋳型(1)として成形孔の断面寸法が435mm×780mm(鋳込み面積0.34m2)のものを用いた。
連続鋳造は下記の工程で行った。
(i) 図1に示すように、ボトムブロック(7)を上昇させて鋳型(1)の下端部内内に配置する。
(ii) ボトムブロック(7)を上昇位置に保持した状態で、スパウト(3)の出口(A)における溶湯温度および鋳型(1)への溶湯流量を表2に示すように調節し、ック(7)を鋳型(1)に供給する。溶湯流量の調節は、ニードル(6)を下降させてスパウト(3)内に挿入し、ニードル(6)の開度を調節することによって行う。また、溶湯(M)およびスラブ(S)の冷却は、鋳型(1)からの冷却によって行われる。
(iii) ボトムブロック(7)上に供給した溶湯(M)が表2に示す量に達した時点で、ボトムブロック(7)降下を開始する。そして、図2に示すようにボトムブロック(7)を下降させながら溶湯供給を行い、長さ4mのスラブ(S)を連続鋳造する。降下開始後はニードル(6)を全開し、スパウト(3)の口径とフロート(5)によって流量調節(表2)を行う。また、溶湯(M)およびスラブ(S)の冷却は、鋳型(1)からの冷却、鋳型(1)の噴出口(2)から吹きつけられる冷却水(W)および冷却用プール(8)への浸漬によって行われる。
上述した方法で多数のスラブを鋳造し、鋳造割れの発生率を調べた。鋳造割れの発生率は、上記スラブを各条件でおよそ100トン鋳造し、割れが発生し不良となった部分の重量割合とした。
鋳造割れの発生率を表2に併せて示す。
Figure 2005028452
表2の結果より、溶湯温度、溶湯流量、ボトムブロック降下の開始点のいずれか一以上の条件を規定することより、鋳造割れ感受性の強いAl−Mg−Si系合金についても鋳造割れを抑制しうることを確認した。
本発明のAl−Mg−Si系合金鋳塊の連続鋳造方法を実施するための縦型連続鋳造装置の一例であり、溶湯供給初期の状態を示す模式的断面図である。 図1の縦型連続鋳造装置において、連続鋳造中の状態を示す模式的断面図である。
符号の説明
1…鋳型
3…スパウト
7…ボトムブロック
A…スパウトの出口(溶湯温度の測定点)
M…溶湯
S…鋳塊

Claims (11)

  1. 鋳型の一端側から溶湯を供給して冷却し、凝固した鋳塊を他端側から連続的に引き出すことにより鋳塊を連続鋳造する方法において、
    前記溶湯は、Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.6質量%以下、Cu:0.6質量%以下、Ti:0.1質量%以下、Zn:0.2質量%以下、Mn:0.2質量%以下、Cr:0.2質量%以下およびB:0.2質量%以下を含有し、残部Alおよび不純物からなるAl−Mg−Si系合金からなり、
    (a)鋳型に供給される直前の溶湯温度を670〜720℃とする、
    (b)鋳型に供給する溶湯流量を鋳込み面積に対して500kg/(分・m2)以下とする、
    (c)鋳型の他端側内部に配置したボトムブロック上に、鋳込み面積に対して150〜650kg/m2の溶湯を供給した時点で該ボトムブロックを降下させて鋳塊を引き出す、
    のうちのいずれか一以上の条件を満たして鋳塊を連続鋳造することを特徴とするAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法。
  2. 前記溶湯温度は、鋳型内に溶湯を供給するスパウト出口における温度である請求項1に記載のAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法。
  3. 前記溶湯温度を680〜700℃とする請求項1または2に記載のAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法。
  4. 前記溶湯流量を100〜400kg/(分・m2)とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法。
  5. 前記ボトムブロック上に、鋳込み面積に対して200〜500kg/m2の溶湯を供給した時点で該ボトムブロックを降下させる請求項1〜4のいずれか1項に記載のAl−Mg−Si系合金の連続鋳造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で鋳造されたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金鋳塊。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊を圧延して板材を製造することを特徴とするAl−Mg−Si系合金板材の製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法で製造されたことを特徴とするAl−Mg−Si系合金板材。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で鋳造されたAl−Mg−Si系合金鋳塊を成形加工して放熱部材を製造することを特徴とする放熱部材の製造方法。
  10. 請求項9に記載の方法で製造されたことを特徴とする放熱部材。
  11. 放熱部材が、プラズマディスプレイのシャーシ、液晶ディスプレイのシャーシ、コンピュータのシャーシ、メタルベースプリント基板のいずれかである請求項10に記載の放熱部材。
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