実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100の構成を概略的に示すブロック図である。なお、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、日本国内において使用されているARIB規格に対応するものとする。
図1に示すように、デジタル放送受信装置100は、チャンネルスキャンや番組提示をするために参照及び更新するデータベースである記憶部110と、チャンネルスキャンを行うブロックであるチャンネルスキャン部130と、ユーザに番組を提示するためのブロックである番組提示部150と、ユーザの操作を受け付ける入力部170とを備える。なお、図1の括弧内の符号は、実施の形態2〜4における構成を示す。
記憶部110は、デジタル放送受信装置100で行う処理に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部110は、放送地域情報111と、隣接地域情報112と、選局情報113と、チャンネル情報114とを記憶する。
放送地域情報111は、複数の放送局の各々における複数の物理チャンネルの各々の送信出力の値を含む情報である。例えば、放送地域情報111は、デジタル放送受信装置100が対応する放送規格によって、デジタル放送が行われている放送地域毎に、当該放送地域に含まれる放送局と、各放送局で使用されている物理チャンネルと、当該物理チャンネルの送信出力とを示す。例えば、放送地域情報111は、図2に示す放送地域テーブルBATLのようなテーブル形式の情報である。図2に示すように、放送地域テーブルBATLは、放送地域欄BATL1と、放送局欄BATL2と、物理チャンネル毎の送信出力欄BATL3とを有する。
放送地域欄BATL1は、放送地域を識別するための地域識別情報を格納する。ここで、地域識別情報は、TS(Transport Stream:トランスポート・ストリーム)から抽出可能な情報のうち、放送地域を一意に特定できる情報である。例えば、日本のARIB規格による放送の場合、送信するネットワークに関する情報であるNIT(Network Information Table)及び各TSで放送されているサービスの属性を定義するSDT(Service Description Table)が存在する。NITの地上分配システム記述子に含まれるエリアコード、又は、SDTに含まれるサービスIDの上位ビットである地域識別と呼ばれるユニークな値によってTSの放送地域を特定することができる。言い換えると、ARIB規格による放送の場合は、予め定められた地域識別コードが、NITに含まれるエリアコード又はSDTに含まれる地域識別の値として格納されているため、この地域識別コードを、地域識別情報として用いることができる。なお、放送地域欄BATL1には、放送が行われている全地域の地域識別情報が格納されていてもよく、また、その一部の地域の地域識別情報が格納されていてもよい。
図3は、地上デジタル放送におけるサービスID180のビット構成を示す概略図である。図3に示すように、サービスID180は、地域識別180aを含む。
図4は、地上デジタル放送における地域識別の分類を示す分類表181である。分類表181に示されているように、ARIB規格による放送の場合は、地域識別の値「0〜9」は、広域放送であることを示し、地域識別の値「10〜63」は、県域放送であることを示す。
図5は、地上デジタル放送における地域識別の値に対する地域の割り当てを示す割当表182である。NIT又はSDTから得られる地域識別情報について、例えば、図5の割当表182を用いることで、地域識別情報に対応する放送地域を取得することができる。
図2の説明に戻り、放送局欄BATL2は、放送地域欄BATL1で識別される放送地域に含まれる放送局を識別するための放送局識別情報を格納する。本実施の形態においては、放送局識別情報は、ARIBで定義されている全国の放送局にユニークに付けられた送信所IDである。ここでの放送局には、送信所及び中継局も含まれる(以下、放送局とのみ記載する場合がある)。
物理チャンネル毎の送信出力欄BATL3は、放送局欄BATL2で識別される放送局で使用され得る物理チャンネルを識別するための物理チャンネル識別情報毎に、当該物理チャンネル識別情報で識別される物理チャンネルでの送信出力を格納する。ここでは、物理チャンネルを識別するための識別情報として、物理チャンネル番号が用いられる。送信出力が「0」の物理チャンネルは、その放送局では使用されていない物理チャンネルを示す。
図2に示されている例では、地域識別の値「41」で識別される「京都」の放送地域において、放送局の一つとして「比叡山」の放送局が存在する。この「比叡山」の放送局では、「13」、「14」、「15」、「16」及び「17」の物理チャンネル識別番号で識別される物理チャンネルを用いて放送が行われており、各物理チャンネルの送信出力は、それぞれ、「60」、「60」、「55」、「55」及び「60」である。また、「京都」の放送地域にはさらに「伏見桃山」の放送局が存在する。この「伏見桃山」の放送局では、「13」、「15」及び「17」の物理チャンネル識別番号で識別される物理チャンネルを用いて放送が行われており、各物理チャンネルの送信出力は、「30」、「30」及び「35」である。
図1の説明に戻り、隣接地域情報112は、放送地域毎に、当該放送地域に隣接する放送地域である隣接地域を示す情報である。例えば、隣接地域情報112は、図6に示す隣接地域テーブルNATLのようなテーブル形式の情報である。図6に示すように、隣接地域テーブルNATLは、放送地域欄NATL1と、隣接地域欄NATL2とを有する。
放送地域欄NATL1は、放送地域を識別するための地域識別情報を格納する。
隣接地域欄NATL2は、放送地域欄NATL1で識別される放送地域の隣接地域を識別するための地域識別情報を格納する。ここでは、放送地域欄NATL1で示される放送地域内において、他の放送地域に含まれる放送局からの放送電波を受信することができる場合に、当該他の放送地域を隣接地域とする。言い換えると、隣接地域は、放送地域欄NATL1で示される放送地域に被る放送範囲を有する放送局を含む放送地域である。但し、隣接地域を正確に調査することは、一般に手間がかかり困難であるため、隣接地域情報112を作成する場合には、例えば、各々の地域識別情報に対応する、地図上の放送地域の境界が接している他の放送地域を隣接地域としてもよい。
図6に示すように、例えば、「40(大阪)」の地域識別の値で識別される放送地域に対して、「41(京都)」、「42(兵庫)」、「44(奈良)」及び「43(和歌山)」の地域識別の値で識別される放送地域が、隣接地域になっている。言い換えると、現在地域が「40(大阪)」の地域識別の値で識別される放送地域である場合には、「40(大阪)」の地域識別の値で識別される放送地域内の放送局から送信される放送だけではなく、「41(京都)」、「42(兵庫)」、「44(奈良)」及び「43(和歌山)」の地域識別の値で識別される放送地域内の放送局から送信される放送も受信できる可能性がある。
図1の説明に戻り、放送地域情報111及び隣接地域情報112は、予めデジタル放送受信装置100内の記憶部110に記憶されていてもよく、また、外部の記録媒体に記録されており、チャンネルスキャン処理開始時等に、記憶部110に読み込まれるようにしてもよい。なお、ARIB規格の場合は、放送電波から放送地域毎の放送局及び使用する物理チャンネル等の情報を含んだ周波数リストをダウンロードすることで、例えば、制御部135が、放送地域情報111を自動的に生成することもできる。
放送局と送信出力との関係は、図7に示すようなビット配列によって、周波数リストに格納されている。
選局情報113は、デジタル放送受信装置100が存在する放送地域において受信することのできる放送電波から取得することのできるTSの情報である。例えば、選局情報113は、デジタル放送受信装置100が存在する放送地域において受信することのできる放送電波から抽出されたTS毎に、物理チャンネル、TS_IDの他、TS中の各サービスを示すサービスIDを含む。なお、選局情報113は、チャンネルスキャン処理で、デマルチプレクス部134で分離された番組情報に基づいて、制御部135内の番組情報分離確認処理部138により生成され、又は更新される。
チャンネル情報114は、デジタル放送が行われている複数の放送地域各々において、当該放送地域が、デジタル放送受信装置100が現在所在している地域である現在地域になっている可能性の高低を示す放送地域在域指数と、当該複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々において、当該放送局の電波が届く範囲に存在する可能性の高さを示す放送局域在域指数と、当該放送局における複数の物理チャンネルの各々において、当該物理チャンネルの送信出力を離散化した送信出力指数と、以上の放送地域在域指数、放送局域在域指数及び放送出力指数を加味して算出した、放送電波を受信することのできる受信可能性の高低を示す受信可能指数とを示す情報である。例えば、チャンネル情報114は、図8に示す放送地域データBAVLのような配列形式の情報である。
図8は、チャンネル情報114としての放送地域データの第1の例を示す概略図である。
図8に示されている放送地域データBAVLは、放送地域欄BAVL1と、放送地域在域指数欄BAVL2と、放送局欄BAVL3と、放送局域在域指数欄BAVL4と、物理チャンネル欄BAVL5とを備える。
放送地域欄BAVL1は、放送地域を識別するための地域識別情報を格納する。放送地域欄BAVL1は、図2に示されている放送地域テーブルBATLの放送地域欄BATL1に対応する。
放送地域在域指数欄BAVL2は、放送地域欄BAVL1で識別される放送地域の放送地域識別指数を格納する。
放送局欄BAVL3は、放送地域欄BAVL1で識別される放送地域に含まれる放送局を識別するための放送局識別情報を格納する。放送局欄BAVL3は、図2に示されている放送地域テーブルBATLの放送局欄BATL2に対応する。
放送局域在域指数欄BAVL4は、放送局欄BAVL3で識別される放送局の放送局域在域指数を格納する。
物理チャンネル欄BAVL5は、物理チャンネル毎に、送信出力欄(以下、TO欄ともいう)BAVL51と、送信出力指数欄(以下、TOI欄ともいう)BAVL52と、個別受信可能指数欄(以下、RPI欄ともいう)BAVL53と、合計欄BAVL54とを備える。
TO欄BAVL51は、放送局欄BAVL3で識別される放送局で使用される物理チャンネル毎の送信出力を格納する。TO欄BAVL51に格納される値は、図2に示されている放送地域テーブルBATLの送信出力欄BATL3に格納されている値に対応する。
TOI欄BAVL52は、放送局欄BAVL3で識別される放送局で使用される物理チャンネル毎の送信出力指数を格納する。送信出力指数は、TO欄BAVL51に格納された送信出力の値に比例した数値である。ここでは、仮に、TO欄BAVL51に格納された送信出力の値を「200」で割った値がセットされている。
RPI欄BAVL53は、放送局欄BAVL3で識別される放送局で使用される物理チャンネル毎の個別受信可能指数を格納する。個別受信可能指数は、放送地域在域指数欄BAVL2、放送局域在域指数欄BAVL4及びTOI欄BAVL52に格納された値に基づいて算出された値である。ここでは、仮に、放送地域在域指数欄BAVL2、放送局域在域指数欄BAVL4及びTOI欄BAVL52に格納された値の積を、個別受信可能指数としている。なお、個別受信可能指数は、放送地域、放送局及び物理チャンネルの組み合わせにおいて、放送電波を受信することのできる可能性の高さに応じて大きな値となる。
合計欄BAVL54は、物理チャンネル毎の受信可能指数を格納する。なお、合計欄BAVL54は、RPI欄BAVL53に格納された個別受信可能指数を物理チャンネル毎に集計した値である。
図1の説明に戻り、チャンネルスキャン部130は、デジタル放送受信装置100におけるチャンネルスキャンを行う。図示するように、チャンネルスキャン部130は、受信部131と、デマルチプレクス部134と、制御部135とを備える。
受信部131は、アンテナ101で受信された電波からストリームを抽出する。受信部131は、チューナ部132と、復調部133とを備える。
チューナ部132は、アンテナ101に接続され、アンテナ101から得られる信号より、受信信号を抽出する。なお、チューナ部132は、制御部135からの同調指示に従って、指示された物理チャンネルに基づいて放送局の選局を行い、この放送局からの受信信号を抽出する。また、チューナ部132は、抽出した受信信号を復調部133に与える。
復調部133は、チューナ部132より与えられた受信信号の復調処理及び誤り訂正処理を行い、ストリームのデジタル信号としてのTSを抽出する。そして、復調部133は、抽出したTSをデマルチプレクス部134に与える。また、復調部133は、復調処理の結果に応じて、フレームロック検出信号又はフレームアンロック検出信号を制御部135に与える。
デマルチプレクス部134は、復調部133より与えられたTSに対して、デマルチプレクス処理を行う。例えば、デマルチプレクス部134は、TSから番組特定情報(PSI:Program Specific Information)及び番組配列情報(サービス情報:SI:Service Information)等のサービス(番組)を選択するために必要な情報を含む番組情報を分離する。
制御部135は、チャンネルスキャン処理を制御する。なお、チャンネルスキャン処理は、入力部170がユーザからの操作入力を受けたとき、又は、デジタル放送受信装置100内部での自動判断によって実行されればよい。チャンネルスキャン処理を制御する場合は、制御部135は、記憶部110に記憶されている選局情報113に基づいて、チューナ部132、復調部133及びデマルチプレクス部134を制御して、チャンネルスキャン対象となる番組の放送電波を受信して、この受信電波より、選局に必要な情報を収集する。
例えば、制御部135は、予め定められた複数の放送地域の各々に自装置が存在する可能性と、複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々からの放送電波が届く範囲に自装置が存在する可能性と、複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々における複数の物理チャンネルの各々の送信出力の強さと、から放送電波を受信できる受信可能性の高さを物理チャンネル毎に決定し、このようにして決定された受信可能性の高い物理チャンネルから順に、受信部131及びデマルチプレクス部134を制御して、番組情報を分離することができるか否かを確認する。ここで、受信可能性は、予め定められた複数の放送地域の各々に自装置が存在する可能性が高いほど、複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々からの放送電波が届く範囲に自装置が存在する可能性が高いほど、及び、複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々における複数の物理チャンネルの各々の送信出力の強さが強いほど、高い可能性となる。
制御部135は、在域指数初期化処理部136と、受信可能指数特定処理部137と、番組情報分離確認処理部138と、在域指数更新処理部139とを含む。
在域指数初期化処理部136は、放送地域在域指数及び放送局域在域指数の値を初期化する。在域指数初期化処理部136により初期化された在域指数がチャンネルスキャン処理における初期値となる。また、在域指数初期化処理部136は、デマルチプレクス部134により分離された番組情報に基づいて、チャンネル情報114を生成する。
受信可能指数特定処理部137は、物理チャンネルにおいて放送電波を受信できる可能性の高さを示す受信可能指数の値を算出する。例えば、受信可能指数特定処理部137は、複数の放送地域の各々に自装置が存在する可能性の高さに応じて大きな値となる放送地域在域指数と、複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々からの放送電波が届く範囲に自装置が存在する可能性の高さに応じて大きな値となる放送局域在域指数と、複数の放送局の各々における複数の物理チャンネルの各々の送信出力の強さに応じて大きな値となる送信出力指数と、を用いて、複数の放送地域、複数の放送局及び複数の物理チャンネルの各々の組み合わせ毎に、この組み合わせにおいて放送電波を受信することのできる可能性の高さに応じて大きな値となる個別受信可能指数を算出し、このようにして算出された個別受信可能指数を物理チャンネル毎に集計することで、放送電波を受信できる受信可能性の高さを示す受信可能指数を算出する。ここで、個別受信可能指数は、その算出に用いられる放送地域在域指数、放送局域在域指数及び送信出力指数の値が大きいほど大きな値になる。そして、受信可能指数特定処理部137は、受信可能指数が最も大きい物理チャンネルを確認対象として特定する。
番組情報分離確認処理部138は、受信可能指数特定処理部137により特定された物理チャンネルにおいて、放送電波を受信することができるか否か、言い換えると、番組情報を分離することができるか否かを確認する確認処理を行う。
在域指数更新処理部139は、番組情報分離確認処理部138での確認処理の結果に応じて、在域指数を更新する。また、在域指数更新処理部139は、デマルチプレクス部134により分離された番組情報に基づいて、記憶部110に記憶されているチャンネル情報114を更新する。
番組提示部150は、ユーザに番組を提示する。
図示するように、番組提示部150は、受信部151と、デマルチプレクス部154と、デコード部155と、サービスリスト生成部156と、視聴チャンネル制御部157とを備える。
受信部151は、アンテナ102で受信された電波からストリームを抽出する。受信部151は、チューナ部152と、復調部153とを備える。
チューナ部152は、アンテナ102に接続され、アンテナ102で受信された電波より、受信信号を抽出する。なお、チューナ部152は、視聴チャンネル制御部157からの同調指示に従って、指示された物理チャンネルに基づいて放送局の選局を行い、この放送局からの受信信号を抽出する。また、チューナ部152は、抽出した受信信号を復調部153に与える。
復調部153は、チューナ部152より与えられた受信信号の復調処理及び誤り訂正処理を行い、デジタル信号としてのTSを抽出する。そして、復調部153は、抽出したTSをデマルチプレクス部154に与える。また、復調部153は、復調処理の結果に応じて、フレームロック検出信号又はフレームアンロック検出信号を視聴チャンネル制御部157に与える。
デマルチプレクス部154は、復調部153より与えられたTSに対して、デマルチプレクス処理を行う。例えば、デマルチプレクス部154は、TSから番組特定情報及び番組配列情報等のサービスを選択するために必要な情報を含む番組情報を分離する。さらに、デマルチプレクス部154は、分離されたPSI/SIより検出された、映像TSパケット及び音声TSパケットのPIDの値に基づいてTSをフィルタリングし、映像TSパケット及び音声TSパケットを分離する。そして、デマルチプレクス部154は、分離された映像TSパケット及び音声TSパケットをデコード部155に与える。
デコード部155は、デマルチプレクス部154から与えられた映像パケット及び音声パケットをデコード(復号)して、映像信号及び音声信号をそれぞれ抽出する。そして、デコード部155は、抽出された映像信号及び音声信号を、出力装置103に与える。
サービスリスト生成部156は、入力部170がユーザからの操作入力を受けたときに、記憶部110に記憶されている選局情報113より、そのときに映像信号と音声信号を出力可能な選局先の情報を取得し、この情報に基づいて、出力装置103に、選局可能なサービスを示したサービスリストを表示させる。
視聴チャンネル制御部157は、出力装置103に表示されたサービスリストからユーザが選局操作を行ったときに、入力部170を介してユーザからの操作入力を受けて、選局処理を制御する。選局処理を制御する場合は、視聴チャンネル制御部157は、記憶部110に記憶されている選局情報113に基づいて、チューナ部152、復調部153、デマルチプレクス部154及びデコード部155を制御して、視聴対象となる番組の放送電波を受信させて、この受信電波より映像信号及び音声信号を抽出させて、外部に出力させる。ここで、選局処理では、視聴チャンネル制御部157は、記憶部110に記憶されている選局情報113より、選局先の情報を取得し、この情報に基づいて、チューナ部152に同調指示を送る。
また、視聴チャンネル制御部157は、デマルチプレクス部154で分離された番組情報に基づいて、選局情報113を生成し、又は更新する。
入力部170は、ユーザの操作を受け付ける。例えば、入力部170は、デジタル放送受信装置100のユーザより、選局操作やチャンネルスキャン操作の入力を受け付ける。具体的には、入力部170は、リモコンにより実現することができる。
次に、制御部135が行うチャンネルスキャン処理について説明する。チャンネルスキャン処理は、通常、一つの物理チャンネルに対する確認処理を複数の物理チャンネルに対して繰り返し行うことで実行される。
図9は、制御部135の番組情報分離確認処理部138が行う確認処理を示すフローチャートである。
特定の物理チャンネルに対して確認処理を行う場合には、まず、番組情報分離確認処理部138は、今回確認処理の対象となる物理チャンネルを示す同調指示をチューナ部132に与える(S10)。チューナ部132は、与えられた同調指示で示される物理チャンネルの周波数範囲に対してチューニング処理を行う。そして、チューナ部132は、チューニング処理の結果として抽出された、特定周波数帯域の受信信号を、復調部133に与える。復調部133は、与えられた受信信号に対して復調処理を行う。そして、復調部133は、TSを正常に抽出できる場合にはフレームロック検出信号を、TSを正常に抽出することができない場合にはフレームアンロック検出信号を番組情報分離確認処理部138に与える。
次に、番組情報分離確認処理部138は、復調部133からフレームロック検出信号が得られたか否かを判断する(S11)。番組情報分離確認処理部138は、フレームロック検出信号が得られた場合(S11:Yes)には、処理をステップS12に進め、フレームロック検出信号が得られなかった場合(S11:No)には、今回確認処理の対象となった物理チャンネルの確認処理を終了する。例えば、番組情報分離確認処理部138は、復調部133よりフレームアンロック信号を得た場合には、フレームロック検出信号が得られなかったと判断する。なお、復調部133からフレームロック検出信号が得られると、デマルチプレクス部134は、TSから番組情報を分離することができ、復調部133からフレームアンロック検出信号が得られると、デマルチプレクス部134は、TSから番組情報を分離することができない。
ステップS12では、番組情報分離確認処理部138は、デマルチプレクス部134に対してSIフィルタリングの指示を行う(S12)。例えば、番組情報分離確認処理部138は、NIT及びSDTのPIDを指定して、デマルチプレクス部134にこれらのフィルタリング処理を開始させる。デマルチプレクス部134は、NIT及びSDTの記述されたTSパケットを検出すると、これらのテーブル情報を番組情報分離確認処理部138に与える。番組情報分離確認処理部138は、これらのテーブル情報が与えられると、デマルチプレクス部134にフィルタリング処理の終了を指示し、選局情報113に、NIT及びSDTから得られるTSの情報を保存する。なお、長時間待ってもSIが受信できないケースに対応するため、フィルタリング処理を行う時間に予め制限をかけ、この制限時間経過時には、番組情報分離確認処理部138がフィルタリング処理を自動で終了するようにしてもよい。
図10は、実施の形態1において、制御部135が制御するチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるチャンネルスキャン処理は、デジタル放送受信装置100の存在する現在地域がどの放送地域(放送県域)及び放送局域であるのかをチャンネルスキャン処理中に限定せず、現在までのチャンネルスキャン処理の結果に基づいて放送地域(放送県域)及び放送局域を推定し、その推定結果を放送地域在域指数と放送局域在域指数によって特定する。放送地域在域指数は、各地域がどの程度現在地域である可能性が高いのかを示す指数であり、放送局域在域指数は、どの程度各放送局が送信する電波を受信している可能性が高いのかを示す指数である。言い換えると、放送局域在域指数は、各放送局の電波が届く範囲に、デジタル放送受信装置100が存在する可能性の高さを示す指数である。また、実施の形態1におけるチャンネルスキャン処理では、各物理チャンネルで、どの程度放送電波を受信できる可能性を有するかを、受信可能指数を用いて特定する。受信可能指数は、放送地域在域指数と、放送局域在域指数と、放送局の各物理チャンネルの送信出力とを元に計算される値であり、確認処理が行われる毎に計算され、記憶部110のチャンネル情報114に記憶される。
チャンネルスキャン処理の開始時には、まず、制御部135の在域指数初期化処理部136は、放送地域在域指数と放送局域在域指数の値を初期化する(S20)。チャンネルスキャン処理の開始時では、現在地域は不明であり、言い換えれば、全ての地域が等しく現在地域でありうる。このため、放送地域在域指数の初期値は、全放送地域で等しいものとし、「0」ではない適当な値がセットされる。ここでは、例えば、全放送地域のそれぞれの放送地域在域指数の値として、仮に「1.0」がセットされるものとする。また、放送局域在域指数の初期値も同様に、全放送局で等しいものとし、「0」ではない適当な値がセットされる。ここでは、例えば、全放送局のそれぞれの放送局域在域指数の値として、仮に「1.0」がセットされるものとする。なお、制御部135は、放送地域在域指数及び放送局域在域指数の値を、記憶部110に記憶させておく。例えば、チャンネル情報114には、図8に示されている放送地域データBAVLのような配列形式のデータが記憶されている。在域指数初期化処理部136は、図8に示されているように、放送地域データBAVLの放送地域在域指数欄BAVL2及び放送局域在域指数欄BAVL4に格納されている値を全て「1.0」にする。
制御部135の受信可能指数特定処理部137は、各放送地域の各放送局において、放送地域在域指数と放送局域在域指数と送信出力指数とに基づいて、物理チャンネル毎に個別受信可能指数を計算する。この計算を全ての放送局に対して行い、物理チャンネル毎に個別受信可能指数を集計することで、受信可能指数を算出する(S21)。ここで、受信可能指数特定処理部137は、計算した個別受信可能指数を、図8に示されている放送地域データBAVLのRPI欄BAVL53に格納する。そして、受信可能指数特定処理部137は、物理チャンネル毎の受信可能指数を、図8に示されている放送地域データBAVLの合計欄BAVL54に格納する。
次に、受信可能指数特定処理部137は、未だステップS23の確認処理を行っていない物理チャンネルの内、受信可能指数が最も高い物理チャンネルの物理チャンネル番号を特定する(S22)。図8の例では、17チャンネルの受信可能指数が「1.1」で最大になっているため、17チャンネルが特定される。なお、制御部135は、受信可能指数が等しい複数の物理チャンネルがある場合には、予め定められた順番、例えば、物理チャンネル番号の小さいもの順、又は、物理チャンネル番号の大きいもの順に、物理チャンネル番号を特定する。
そして、制御部135の番組情報分離確認処理部138は、ステップS22で特定された物理チャンネル番号の物理チャンネルに対して、確認処理を行う(S23)。このステップS23での処理は、図9を用いて説明した処理である。これにより、現在時点で最も受信可能性が高いと推測された物理チャンネルの受信確認が実行される。
次に、番組情報分離確認処理部138は、全ての物理チャンネルに対して確認処理を行ったか否かを判断する(S24)。そして、制御部135は、全ての物理チャンネルに対して確認処理が行われておらず、確認処理を行っていない物理チャンネルが存在する場合(S24:No)には、ステップS25に処理を進め、全ての物理チャンネルに対して確認処理が行われ、確認処理を行っていない物理チャンネルが存在しない場合(S24:Yes)には、チャンネルスキャン処理を終了する。
ステップS25では、番組情報分離確認処理部138は、番組情報、特に、SI情報の取得に成功したか否かを判断する(S25)。そして、番組情報分離確認処理部138は、SI情報の取得に成功した場合(S25:Yes)には、ステップS26の処理に進み、SI情報の取得に失敗した場合(S25:No)には、ステップS28の処理に進む。
ステップS26では、制御部135の在域指数更新処理部139は、SI情報中のNIT及びSDTから地域識別情報を抽出して、この地域識別情報で示される放送地域を推定し、この推定された放送地域の隣接地域を隣接地域情報から特定する。地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域は、デジタル放送受信装置100が存在する現在地域である可能性が高いので、在域指数更新処理部139は、記憶部110に記憶されている、推定された放送地域及びその隣接地域の放送地域在域指数を上げる。この際、推定された放送地域には、その隣接地域よりも上げ幅を大きくするようにしておく。ここでは、例えば、推定された放送地域に「1.5」、その隣接地域に「1.3」を乗じるものとする。
図11は、チャンネル情報114としての放送地域データの第2の例を示す概略図である。図11に示されている放送地域データBAVL#は、図10のチャンネルスキャン処理により更新された後の例である。この例では、番組情報分離確認処理部138がSI情報の取得に成功し、在域指数更新処理部139は、SI情報中のNIT及びSDTから地域識別情報を抽出して、この地域識別情報で示される放送地域が「41(京都)」である場合を示している。「41(京都)」の放送地域在域指数は、推定された放送地域の放送地域在域指数なので、仮に、更新前の値の「1.0」に「1.5」を乗じた「1.5」になる。また、「40(大阪)」と「45(滋賀)」は、「41(京都)」の隣接地域なので、各々の放送地域在域指数は、仮に、更新前の値の「1.0」に「1.3」を乗じた「1.3」になる。
図10の説明に戻り、ステップS27では、制御部135の在域指数更新処理部139は、放送局域在域指数を更新する。ここでは、在域指数更新処理部139は、ステップS23で行った確認処理で使用した物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を上げる。図8の例では、ステップS22で17チャンネルが特定され、ステップS25でSI情報の取得に成功したため、図11の例では、17チャンネルの送信出力が「0」でない放送局、即ち、17チャンネルを使用する放送局の放送局域在域指数は、仮に、更新前の値の「1.0」に「1.5」を乗じて「1.5」になる。そして、制御部135は、ステップS21に処理を戻す。
一方、ステップS28では、制御部135の在域指数更新処理部139は、現在地域では、確認処理の対象となった物理チャンネルが使用されていない確率が高いため、放送地域情報111を参照して、記憶部110に記憶されている、確認処理の対象となった物理チャンネルが使用されていない放送局の放送局域在域指数を上げる。上げ幅は任意に調整できるが、ここでは仮に「1.3」を乗じるものとする。そして、制御部135は、ステップS21に処理を戻す。
以上のように、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、物理チャンネル毎の確認処理の結果に基づいて、各放送地域が現在地域である可能性の高低を示す放送地域在域指数と、各放送局の電波が届く範囲に存在する可能性の高さを示す放送局域在域指数を更新することで、これまでの確認処理の結果に従って定量的に現在地域と放送局域を推定することができる。さらに、放送局の物理チャンネル毎の送信出力を加味して算出した各物理チャンネルの受信可能性の高低を示す受信可能指数を更新することで、各時点で受信可能性の高い物理チャンネルを優先的に確認処理の対象とすることができる。
なお、図10のステップS26では、推定された現在地域及びその隣接地域の放送地域在域指数が増加されたが、推定された現在地域の放送地域在域指数だけが増加されてもよい。
また、図10のステップS28では、確認処理の対象となった物理チャンネルが使用されていない放送地域の放送局域在域指数が増加されたが、例えば、図12のステップS29に示すように、対象物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を減少させてもよい。なお、図12では、ステップS28及びステップS29の両方の処理が行われているが、ステップS28の代わりにステップS29の処理だけが行われるようにしてもよい。
使用頻度順のチャンネルスキャン処理では、推定された放送局の物理チャンネルが全て受信できない場合には全ての物理チャンネルをチャンネルスキャンするため、隣接地域からの影響等を受けやすくチャンネルスキャン時間が長くなりやすい。言い換えると、使用頻度順のチャンネルスキャン処理では、最初に受信できたストリームを送信している放送局が現在地域の放送局ではなく隣接地域の放送局であった場合、より受信可能性が高い現在地域の放送局の物理チャンネルを確認処理の対象から除外してしまうため、チャンネルスキャン時間が延びてしまう。さらに、使用頻度順のチャンネルスキャン処理では、最初に受信できたストリームを送信している放送局の推定に失敗した、或いはチャンネルスキャン中に電波状況が変化した等の理由で、推定した放送局の全放送物理チャンネルのストリームを受信できなかった場合には、未確認の物理チャンネルを全て確認処理の対象とすることになり、結局は基本的なチャンネルスキャン処理と同等のチャンネルスキャン時間を要する。これに対して、実施の形態1のチャンネルスキャン処理では、隣接地域の影響を考慮してチャンネルスキャン対象の放送地域を絞り込むため、受信可能な物理チャンネルを候補から外すことなく、高速にチャンネルスキャン処理を行うことができる。
使用頻度順のチャンネルスキャン処理では、16チャンネル及び19チャンネルのように、使用頻度が等しく「1」であるような物理チャンネルに対して優先度を付けられず、最悪の場合は使用頻度が「1」以上の物理チャンネルの中で最後にチャンネルスキャンした物理チャンネルが、最初にストリームを取得することのできる物理チャンネルとなる場合がある。これに対して、実施の形態1のチャンネルスキャン処理では、これまでのチャンネルスキャン結果に応じて各物理チャンネルの受信可能性を推定するため、使用頻度が同じような物理チャンネルが多く存在しても、その中から受信可能性の高いものを優先的に確認することができる。従って、実施の形態1のチャンネルスキャン処理は、使用頻度の低い物理チャンネルのみを使用して放送しているような地域において、他のチャンネルスキャン処理よりも特に高速にチャンネルスキャン処理を行うことができる。
以上のように、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、物理チャンネル毎の確認処理の結果に基づいて、各放送地域が現在地域である可能性の高低を示す放送地域在域指数を更新することで、これまでの確認処理の結果に従って定量的に現在地域を推定することができる。また、各放送局の電波が届く範囲に存在する可能性の高さを示す放送局域在域指数を更新することで、これまでの確認処理の結果に従って定量的に現在局域を推定することができる。さらに、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、推定された放送地域在域指数と放送局域在域指数に、放送局の送信出力を加味して算出した各物理チャンネルの受信可能性の高低を示す受信可能指数を更新することで、最初にSI情報が取得される前において現在地域が不明であるような場合でも、各時点で受信可能性の高い物理チャンネルを優先的に確認することができる。この結果、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100では、最初に受信可能な物理チャンネルを発見するまでの所要時間を短くすることができる。その結果、サービスリストに受信可能なサービスを早く表示することができ、ユーザが視聴できるようになるまでに待たされる時間が短縮される。
また、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、放送地域在域指数と放送局域在域指数と送信出力指数を演算して受信可能指数を求めることにより、現在地域がどこの放送地域かという推定結果と、ある物理チャンネルがどの放送局で使用されているかいう使用状況と、各放送局の送信出力に基づき、複合的に受信可能性の高い物理チャンネルを求めることができる。
また、特許文献1に記載されているような使用頻度順のチャンネルスキャン処理では、使用頻度の低い物理チャンネルのみを使用して放送を行っているような放送局が存在する場合、使用頻度順のチャンネルスキャンではチャンネルスキャン順序が後のほうになるため、チャンネルスキャン時間が長くなってしまう。これに対して、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、SI情報の取得に失敗した物理チャンネルが使用されていない放送局の放送局域在域指数を上げることで、ストリームが受信できなかった場合にも間接的に現在地域の絞込みを行うことができる。これによって、使用頻度の低い物理チャンネルのみを放送している地域が現在地域であったとしても、使用頻度の高い物理チャンネルでSI情報の取得が失敗となることにより、相対的に放送局域在域指数が上昇するため、実施の形態1のチャンネルスキャン処理では、使用頻度順のチャンネルスキャン処理と比較して、早く受信可能な物理チャンネルを見つけ出すことができる。
また、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、SI情報の取得に成功した場合に、SI情報に含まれる地域識別情報から取得された放送地域及びその隣接地域の放送地域在域指数を上げることで、以降のチャンネルスキャン処理において、これらの地域に含まれる放送局で使用されている物理チャンネルを優先的に確認することができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1と同じく、日本において使用されているARIB規格が適用されていることを前提とする。
図1に示すように、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置200は、チャンネルスキャン部230と、記憶部110と、番組提示部150と、入力部170とを備える。
実施の形態2に係るデジタル放送受信装置200は、チャンネルスキャン部230において、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100と異なっている。実施の形態2におけるチャンネルスキャン部230は、受信部131と、デマルチプレクス部134と、制御部235とを備える。実施の形態2におけるチャンネルスキャン部230は、制御部235において実施の形態1におけるチャンネルスキャン部130と異なっている。
実施の形態2における制御部235は、在域指数初期化処理部136と、受信可能指数特定処理部137と、番組情報分離確認処理部238と、在域指数更新処理部239とを備える。実施の形態2における制御部235は、番組情報分離確認処理部238及び在域指数更新処理部239での処理の点において、実施の形態1における制御部135と異なっている。
実施の形態2における番組情報分離確認処理部238は、チャンネルスキャン処理を行う際に、受信可能指数が「0」ではない物理チャンネルの全てについて確認処理が終了した場合には、チャンネルスキャン処理を終了する点において、実施の形態1における番組情報分離確認処理部138と異なっている。
また、実施の形態2における在域指数更新処理部239は、チャンネルスキャン処理においてSI情報を取得することができた場合には、SI情報に記述されている放送地域及びその隣接地域以外の地域の放送地域在域指数を「0」にする点において、実施の形態1における在域指数更新処理部139と異なっている。
図13は、本実施の形態2におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。図13において、図10に示されている実施の形態1におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートと同様の処理については、図10と同じ符号が付されている。
図13に示されているステップS20〜S23の処理については、図10に示されているステップS20〜S23の処理と同様である。但し、ステップS23の後は、処理はステップS30に進む。
ステップS30では、制御部235の番組情報分離確認処理部238は、チャンネル情報114を参照することにより、受信可能指数が「0」でない全ての物理チャンネルに対して確認処理が行われたか否かを判断する。そして、番組情報分離確認処理部238は、そのような物理チャンネルの全てが確認されておらず、未確認の物理チャンネルが存在する場合(S30:No)には、ステップS25に処理を進め、そのような物理チャンネルの全てが確認されており、未確認の物理チャンネルが存在しない場合(S30:Yes)には、チャンネルスキャン処理を終了する。
図13に示されているステップS25〜S28の処理については、図10に示されているステップS25〜S28の処理と同様である。但し、ステップS26の後は、処理はステップS31に進む。
ステップS31では、制御部235の在域指数更新処理部239は、SI情報中のNIT及びSDTから地域識別情報を抽出して、この地域識別情報で示される放送地域を推定し、この推定された放送地域の隣接情報を隣接地域情報から特定する。地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域以外は、デジタル放送受信装置100が存在する現在地域である可能性が低いので、制御部235は、記憶部110に記憶されている放送地域在域指数を「0」にする。この結果、ステップS21では、受信可能指数特定処理部137は、放送地域在域指数、放送局域在域指数及び送信出力指数に基づいて、物理チャンネル毎に受信可能指数を計算すると、地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域以外の全ての地域の全ての物理チャンネルの個別受信可能指数は「0」になる。このため、地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域で使用されていない物理チャンネルの受信可能指数は、「0」になる。
図14は、実施の形態2におけるチャンネルスキャン処理の変形例を示すフローチャートである。図14では、図12と同様に、ステップS28の後に、ステップS29の処理が追加されている。なお、ステップ28とステップ29の処理は、何れか一方のみが行われてもよい。
以上のように、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置200は、チャンネルスキャン処理の終了条件を、受信可能指数が「0」ではない全ての物理チャンネルのチャンネルスキャンを行ったかどうかとする。これにより、現在地域の可能性が高い地域に含まれる放送局が使用している物理チャンネルの確認処理が終了した時点でチャンネルスキャン処理が終了されるため、チャンネルスキャン処理に要する時間を短縮することができる。その結果、例えば、走行途中で受信可能なサービスが出てきたときに、サービスリストに早く表示することができ、ユーザが視聴できるようになるまでに待たされる時間が短縮される。また、走行途中でサービスリストに載っているサービスが受信できなくなったときに、サービスリストから早く消すことができ、ユーザが選択したサービスが視聴できない機会を減少させることができる。
実施の形態1のチャンネルスキャン処理と比較すると、実施の形態2のチャンネルスキャン処理は、より短時間でチャンネルスキャン処理を終了することができる一方で、地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域以外の地域から受信可能な物理チャンネルが存在する場合に、受信可能な物理チャンネルを確認せずにチャンネルスキャン処理を終了してしまう可能性がある。このため、最終的なチャンネルスキャン処理の結果における物理チャンネルの検出率は低くなることがある。従って、実施の形態2のチャンネルスキャン処理は、地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域以外の放送電波の影響が無視できるほど小さいと考えられる場合において、実施の形態1のチャンネルスキャン処理よりも有用である。
ここで、地域識別情報から推定された放送地域及びその隣接地域以外の地域から受信可能な物理チャンネルが存在する具体例を説明する。例えば、群馬県と茨城県とは接していないものの、群馬県南東部で茨城県に最も近いところでは3kmほどしか離れていない。このため、群馬県邑楽郡板倉町の一部では、茨城県古河市の古河中継局の電波を受信できる。また、大阪府と三重県は接していないものの、三重県伊賀市の一部では、大阪府東大阪市の生駒送信所の電波を受信できる。
また、実施の形態2のチャンネルスキャン処理では、特定の条件が満たされた場合にチャンネルスキャン処理は自動的に終了される。この際、GUI画面上にメッセージを出す等して視聴者に対してチャンネルスキャン処理を継続するか終了するかの確認を行い、視聴者がチャンネルスキャン処理の継続を選択した場合には、未確認の物理チャンネルに対して、チャンネルスキャン処理を継続するようにしてもよい。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。なお、実施の形態3でも、実施の形態1及び実施の形態2と同じく、日本において使用されているARIB規格が適用されていることを前提とする。
図1に示すように、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置300は、チャンネルスキャン部330と、記憶部110と、番組提示部150と、入力部170とを備える。実施の形態3に係るデジタル放送受信装置300は、チャンネルスキャン部330において、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100と異なっている。実施の形態3におけるチャンネルスキャン部330は、受信部131と、デマルチプレクス部134と、制御部335とを備える。実施の形態3におけるチャンネルスキャン部330は、制御部335において、実施の形態1におけるチャンネルスキャン部130と異なっている。
実施の形態3における制御部335は、在域指数初期化処理部136と、受信可能指数特定処理部137と、番組情報分離確認処理部338と、在域指数更新処理部139とを備える。実施の形態3における制御部335は、番組情報分離確認処理部338での処理の点において、実施の形態1における制御部135と異なっている。
実施の形態3における番組情報分離確認処理部338は、チャンネルスキャン処理を行う際に、受信可能指数が予め定められた閾値以上の全ての物理チャンネルについて確認処理が終了した場合には、チャンネルスキャン処理を終了する点において、実施の形態1における番組情報分離確認処理部138と異なっている。
図15は、本実施の形態3におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。図15において、図10に示されている実施の形態1におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートと同様の処理については、図10と同じ符号が付されている。
図15に示されているステップS20〜S23の処理については、図10に示されているステップS20〜S23の処理と同様である。但し、ステップS23の後は、処理はステップS40に進む。
ステップS40では、制御部335の番組情報分離確認処理部338は、チャンネル情報114を参照することにより、受信可能指数が予め定められた閾値以上の全ての物理チャンネルに対して確認処理が行われたか否かを判断する。そして、番組情報分離確認処理部338は、そのような物理チャンネルの全てが確認されておらず、未確認の物理チャンネルが存在する場合(S40:No)には、ステップS25に処理を進め、そのような物理チャンネルの全てが確認されており、未確認の物理チャンネルが存在しない場合(S40:Yes)には、チャンネルスキャン処理を終了する。
ステップS25〜S28の処理については、図10に示されているステップS25〜S28の処理と同様である。
図16は、実施の形態3におけるチャンネルスキャン処理の変形例を示すフローチャートである。図16では、図12と同様に、ステップS28の後に、ステップS29の処理が追加されている。なお、ステップ28とステップ29の処理は、何れか一方のみが行われてもよい。
以上のように、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置300は、チャンネルスキャン処理の終了条件を、受信可能指数が閾値以上の全ての物理チャンネルの確認処理を行ったかどうかとする。言い換えると、受信できる可能性が高い物理チャンネルの確認処理が終了した時点でチャンネルスキャン処理を終了するため、チャンネルスキャン処理に要する時間を短縮することができる。その結果、例えば、走行途中で受信可能なサービスが出てきたときに、サービスリストに早く表示することができ、ユーザが視聴できるようになるまでに待たされる時間が短縮される。また、走行途中でサービスリストに載っているサービスが受信できなくなったときに、サービスリストから早く消すことができ、ユーザが選択したサービスが視聴できない機会を減少させることができる。
実施の形態1のチャンネルスキャン処理と比較すると、実施の形態3のチャンネルスキャン処理は、より短時間でチャンネルスキャン処理を終了することができる。一方で、受信可能指数は低いが、受信可能な物理チャンネルが存在する場合に、受信可能な物理チャンネルを確認せずにチャンネルスキャン処理を終了してしまう可能性があるため、最終的なチャンネルスキャン処理の結果における物理チャンネルの検出率は低くなることがある。このため、実施の形態3のチャンネルスキャン処理は、設定する受信可能指数の閾値が受信可能なチャンネルを全て含む最も大きい値である場合において、実施の形態1のチャンネルスキャン処理よりも有用である。
また、実施の形態3のチャンネルスキャン処理では、特定の条件が満たされた場合にチャンネルスキャンを自動的に終了する。この際にGUI画面上にメッセージを出す等して視聴者に対してチャンネルスキャン処理を継続するか終了するかの確認を行い、視聴者がチャンネルスキャン処理の継続を選択した場合には、未確認の物理チャンネルに対して、チャンネルスキャン処理を継続するようにしてもよい。
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。なお、実施の形態4でも、実施の形態1〜3と同じく、日本において使用されているARIB規格が適用されることを前提とする。
図1に示すように、実施の形態4に係るデジタル放送受信装置400は、チャンネルスキャン部430と、記憶部110と、番組提示部150と、入力部170とを備える。実施の形態4に係るデジタル放送受信装置400は、チャンネルスキャン部430において、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100と異なっている。実施の形態4におけるチャンネルスキャン部430は、受信部431と、デマルチプレクス部134と、制御部435とを備える。実施の形態4に係るデジタル放送受信装置400は、受信部431及び制御部435において、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100と異なっている。
実施の形態4における受信部431は、チューナ部432と、復調部133とを備える。実施の形態4における受信部431は、チューナ部432において、実施の形態1における受信部131と異なっている。
実施の形態4におけるチューナ部432は、実施の形態1におけるチューナ部132と同様の処理を行うほか、チューニング時に電波の受信強度を計測し、この受信強度を制御部435に通知する。
実施の形態4における制御部435は、在域指数初期化処理部136と、受信可能指数特定処理部137と、番組情報分離確認処理部138と、在域指数更新処理部439とを備える。実施の形態4における制御部435は、在域指数更新処理部439での処理において、実施の形態1における制御部135と異なっている。
実施の形態4における在域指数更新処理部439は、チャンネルスキャン処理において、SI情報の取得に失敗した場合には、チューナ部432からの受信強度を確認する。そして、在域指数更新処理部439は、受信強度が予め定められた閾値以上である場合には、SI情報の取得に失敗した物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を増加させる。一方、在域指数更新処理部439は、受信強度が予め定められた閾値未満である場合には、SI情報の取得に失敗した物理チャンネルを使用していない放送局の放送局域在域指数を増加させる。
図17及び図18は、実施の形態4におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。図17において、図10に示されている実施の形態1におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートと同様の処理については、図10と同じ符号が付されている。
図17に示されているステップS20〜S27の処理については、図10に示されているステップS20〜S27の処理と同様である。但し、ステップS25において、SI情報の取得に失敗した場合(S25:No)には、処理は図18のステップS50に進む。
図18のステップS50では、制御部435の在域指数更新処理部439は、チューナ部432から通知された受信強度を予め定められた閾値と比較し、その大小を判断する。そして、在域指数更新処理部439は、受信強度が閾値以上である場合(S50:Yes)には、ステップS51に処理を進め、受信強度が閾値未満である場合(S50:No)には、ステップS52に処理を進める。
ステップS51では、在域指数更新処理部439は、確認処理の対象となった物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を増加させる。ここで増加させる値については予め定めておく。そして、在域指数更新処理部439は、図17のステップS21に処理を進める。
一方、ステップS52では、在域指数更新処理部439は、確認処理の対象となった物理チャンネルを使用していない放送局の放送局域在域指数を増加させる。ここで増加させる値についても予め定めておく。そして、在域指数更新処理部439は、図17のステップS21に処理を進める。
ステップS50〜S52のような処理を行う理由は下記の通りである。SI情報が取得できなかった場合の要因は、主に2つある。第1は、そもそも現在地域で確認処理の対象となった物理チャンネルが使用されていない場合であり、第2は、当該物理チャンネルは使用されているが受信強度の不足によりSI情報の取得に至らなかった場合である。第1の場合には受信強度が低いレベルに留まり、第2の場合にはある程度以上の受信強度が得られる可能性が高い。従って、受信強度が特定の閾値以上かどうかを判断することで、SI情報が取得できなかった場合の要因をある程度特定することができる。判断の結果、受信強度が閾値以上の場合には、SI情報は取得できなかったものの現在地域で放送が行われている可能性が高いため、このような物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数は加点される。
また、図18に示されているステップS50〜S52の処理の代わりに、図19に示されているステップS60〜S64の処理が行われてもよい。
図19は、実施の形態4におけるチャンネルスキャン処理の変形例を示すフローチャートである。
図19のステップS60では、制御部435の在域指数更新処理部439は、チューナ部432から通知された受信強度を予め定められた閾値と比較し、その大小を判断する。そして、在域指数更新処理部439は、受信強度が閾値以上である場合(S60:Yes)には、ステップS61に処理を進め、受信強度が閾値未満である場合(S60:No)には、ステップS63に処理を進める。
ステップS61では、在域指数更新処理部439は、確認処理の対象となった物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を増加させる。ここで増加させる値については予め定めておく。
そして、在域指数更新処理部439は、確認処理の対象となった物理チャンネルを使用していない放送局の放送局域在域指数を減少させる(S62)。ここで減少させる値については予め定めておく。そして、在域指数更新処理部439は、図17のステップS21に処理を進める。
一方、ステップS63は、在域指数更新処理部439は、確認処理の対象となった物理チャンネルを使用していない放送局の放送局域在域指数を増加させる。ここで増加させる値についても予め定めておく。
そして、在域指数更新処理部439は、確認処理の対象となった物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を減少させる(S64)。ここで減少させる値については予め定めておく。そして、在域指数更新処理部439は、図17のステップS21に処理を進める。
なお、図19において、ステップS61の処理とステップS62の処理とは、何れか一方のみが行われてもよく、また、ステップS63の処理とステップS64の処理とは、何れか一方のみが行われてもよい。
以上のように、実施の形態4に係るデジタル放送受信装置400は、SI情報の取得に失敗した場合に、チューナ部432から得られる受信強度を参照して、それが閾値以上であれば、確認対象となった物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を増加させ、それが閾値未満であればこのような物理チャンネルを使用していない放送局の放送局域在域指数を増加させることで、より正確に現在地域の絞込みを行うことができる。
なお、実施の形態4のチャンネルスキャン処理では、実施の形態1のチャンネルスキャン処理において、SI情報の取得に失敗した場合には、チューナ部432からの受信強度を確認して、受信強度が予め定められた閾値以上か否かによって、放送局域在域指数を増減する処理を追加したが、同等の処理を、実施の形態2及び実施の形態3のチャンネルスキャン処理に対しても適用してもよい。
実施の形態5.
次に、実施の形態5について説明する。なお、実施の形態5でも、実施の形態1〜4と同じく、日本において使用されているARIB規格が適用されることを前提とする。
図20は、実施の形態5に係るデジタル放送受信装置500の構成を概略的に示すブロック図である。図示するように、デジタル放送受信装置500は、受信部131と、デマルチプレクス部134と、デコード部555と、記憶部110と、制御部535と、サービスリスト生成部556と、入力部170とを備える。ここで、受信部131は、チューナ部132及び復調部133を備える。実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100は、チャンネルスキャンを行うためのブロックであるチャンネルスキャン部130と、ユーザに番組を提示するためのブロックである番組提示部150を備えており、これらの各ブロック130、150が受信部131、151を有しているのに対して、実施の形態5に係るデジタル放送受信装置500は、受信部131を1つだけ有している点で異なっている。このため、実施の形態5に係るデジタル放送受信装置500は、制御部535の構成の点、並びに、デコード部555及びサービスリスト生成部556を備える点において、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100と異なっている。
実施の形態5における制御部535は、在域指数初期化処理部136と、受信可能指数特定処理部137と、番組情報分離確認処理部138と、在域指数更新処理部139と、視聴チャンネル制御部557とを備える。実施の形態5における制御部535は、視聴チャンネル制御部557をさらに備える点において、実施の形態1における制御部135と異なっている。
視聴チャンネル制御部557は、出力装置103に表示されたサービスリストからユーザが選局操作を行ったときに、入力部170を介してユーザからの操作入力を受けて、選局処理を制御する。選局処理を制御する場合は、視聴チャンネル制御部157は、記憶部110に記憶されている選局情報113に基づいて、チューナ部132、復調部133、デマルチプレクス部134及びデコード部555を制御して、視聴対象となる番組の放送電波を受信させて、この受信電波より映像信号及び音声信号を抽出させて、外部に出力させる。ここで、選局処理では、視聴チャンネル制御部557は、記憶部110に記憶されている選局情報113より、選局先の情報を取得し、この情報に基づいて、チューナ部132に同調指示を送る。
また、視聴チャンネル制御部557は、デマルチプレクス部134で分離された番組情報に基づいて、選局情報113を生成し、又は更新する。
デコード部555は、デマルチプレクス部134から与えられた映像パケット及び音声パケットをデコード(復号)して、映像信号及び音声信号をそれぞれ抽出する。そして、デコード部555は、抽出された映像信号及び音声信号を、出力装置103に与える。
サービスリスト生成部556は、入力部170がユーザからの操作入力を受けたときに、記憶部110に記憶されている選局情報113より、そのときに映像信号と音声信号を出力可能な選局先の情報を取得し、この情報に基づいて、出力装置103に、選局可能なサービスを示したサービスリストを表示させる。
実施の形態5に係るデジタル放送受信装置500は、受信部131が1つしかないため、番組を視聴しているときは、チャンネルスキャンができないという制約はあるものの、実施の形態1〜4におけるチャンネルスキャン処理の実施は可能であり、同等の効果を得ることができる。
また、実施の形態5に係るデジタル放送受信装置500は、受信部131とデマルチプレクス部134が1つであるため、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100よりもコストを下げることができる。
実施の形態1〜5の変形例.
以上に記載した実施の形態1〜5では、日本において使用されているARIB規格に対応したデジタル放送受信装置100〜500について説明した。しかしながら、本発明は、ARIB規格だけではなく、他の国で使用されている他の放送規格にも対応することができる。なお、放送規格によってチャンネルスキャン対象となるチャンネルの個数、周波数範囲及び変調方式等の差異はあるが、チャンネルスキャン処理の流れについては、上述したフローと差異はない。
実施の形態1で述べた地域識別コードは、日本の放送規格に固有の定義であり、他の放送規格では用いることができない。従って、各放送規格のSI情報又はこれに類する情報の中で地域識別情報に相当するものを利用すればよい。
放送規格が、主に欧州で用いられるDVB−T(Digital Video Broadcasting−Terrestrial)規格の場合、NITに記述されるネットワーク名(network_name)又はネットワークID(network_id)によって放送ネットワークが一意に特定される。しかしながら、放送ネットワークと地域情報との対応関係をどう定義するかは、国によって異なる。
例えば、イギリスの場合、放送ネットワークは日本のように特定の放送地域に対応付けられているため、ネットワーク名又はネットワークIDをそのまま地域識別情報として利用することができる。図21及び図22は、それぞれ、ネットワークIDを地域識別情報として利用した場合の放送地域テーブルBATL#及び隣接地域テーブルNATL#の一例を示す。
以上のように、各放送規格に合わせて地域識別情報を定義し、放送地域情報111及び隣接地域情報112を規格に応じて切り換えながら使用することで、実施の形態1〜5に記載のチャンネルスキャン処理を実行することが可能となる。例えば、イギリスのようにDVB−T規格に準拠したデジタル放送受信装置100〜500においても実施の形態1〜5と同等の効果を得ることができる。
また、イギリス以外の場合でも、例えば、ドイツ等ではNIT中の情報として、放送範囲をセルと呼ばれる矩形で表現した場合のセルID(cell_id)と、該当するセルの境界となる緯度及び経度の値とが含まれている。従って、この場合はセルIDを地域識別情報として用いることができる。例えば、放送地域情報111は、セル毎に、当該セルで使用されている物理チャンネルを示す情報とし、隣接地域情報112は、セル毎に、当該セルの隣接セルを示す情報とすればよい。
さらに、NIT等に記述されるtarget_region_descriptorが運用されている場合には、primary_region_code、secondary_region_code及びtertiary_region_codeの組み合わせによって表される地域の集合が放送地域となる。従って、この場合は上記の情報を地域識別情報として用いることができる。
以上のように、各放送規格に合わせて地域識別情報を定義し、放送地域情報111及び隣接地域情報112を規格に応じて切り換えながら使用することで、実施の形態1〜3に記載のチャンネルスキャン処理を実行することが可能となり、イギリス以外のDVB−Tに準拠し、Cell_idを使用した海外向けのデジタル放送受信装置100〜500においても実施の形態1〜5と同等の効果を得ることができる。
また、放送規格が、中国で用いられるCMMB(China Multimedia Mobile Broadcasting)規格の場合、CMMBの規格で定義されたNITに記載のネットワークレベルとネットワークIDとを組み合わせることでユニークになる。このため、これらの情報が中国国内における特定の放送地域に対応する。従って、CMMB規格に対応する場合には、ネットワークレベルとネットワークIDを組み合わせたものを地域識別情報として用いることができる。さらに、NITには、隣接地域のネットワークレベルとネットワークIDも記載されているので、隣接地域のネットワークレベルとネットワークIDを組み合わせたものを隣接地域情報として用いることができる。
以上のように、各放送規格に合わせて地域識別情報を定義し、放送地域情報111及び隣接地域情報112を規格に応じて切り換えながら使用することで、実施の形態1〜5に記載のチャンネルスキャン処理を実行することが可能となり、中国のようにCMMB規格に準拠した海外向けのデジタル放送受信装置100〜500においても実施の形態1〜5と同等の効果を得ることができる。
さらに、放送規格が、韓国で用いられるT−DMB(Terrestrial−Digital Media Broadcasting)規格の場合、FIC(Fast Information Channel)情報に含まれるFIG0/11(Fast Information Groupのtype0、extension11)に各放送地域における放送局のリスト及び放送範囲の情報が含まれ、各放送地域はRegionId(Region identifier)によって区別される。従って、T−DMB規格に対応する場合には、RegionIdを地域識別情報として用いることができる。
以上のように、各放送規格に合わせて地域識別情報を定義し、放送地域情報111及び隣接地域情報112を規格に応じて切り換えながら使用することで、実施の形態1〜5に記載のチャンネルスキャン処理を実行することが可能となり、韓国のようにT−DMB規格に準拠した海外向けのデジタル放送受信装置100〜500においても実施の形態1〜5と同等の効果を得ることができる。
また、放送規格が、中南米やフィリピンで用いられるISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)規格の場合、ISDB−T規格で定義されたNITの地上分配システム記述子に記載されたエリアコードによってTSの放送地域を特定することができる。従って、ISDB−T規格に対応する場合は、エリアコードを地域識別情報として用いることができる。
以上のように、各放送規格に合わせて地域識別情報を定義し、放送地域情報111及び隣接地域情報112を規格に応じて切り換えながら使用することで、実施の形態1〜5に記載のチャンネルスキャン処理を実行することが可能となり、中南米のようにISDB−T規格に準拠した海外向けのデジタル放送受信装置100〜500においても実施の形態1〜5と同等の効果を得ることができる。
以上に記載した実施の形態1〜5に係るデジタル放送受信装置100〜500は、表示装置及び音声出力装置を備えていないが、これらを備えていてもよい。
実施の形態6.
次に、実施の形態6について説明する。なお、実施の形態6では、実施の形態1と同じく、日本において使用されているARIB規格が適用されていることを前提とする。
実施の形態1〜5に係るデジタル放送受信装置100〜500は、受信可能性の高い物理チャンネルを見つける手段として受信可能指数を使用しており、受信可能指数の計算には放送地域在域指数を使用している。放送地域在域指数は、自装置が存在している現在地域の確度を示す数値であり、NIT又はSDTから得られる地域識別情報に基づいて設定されている。
図5に示されているように、地域識別情報は地域識別の値に対して地域が割り当てられているが、地域識別の値「0〜9」は複数の県で構成された広域という地域が定義されている。言い換えると、広域は、複数の県(放送地域)を含む放送地域である。また、以下において、広域以外の県に対応する放送地域を県域(狭域)ともいう。
図23は、どの県域がどの広域に属しているかを示す概略図である。例えば、NIT又はSDTから得られる地域識別が3の場合、対象広域が3と記されている愛知、三重、岐阜が中京広域に属する県域になる。
受信された放送信号の放送地域が広域の場合、この広域に含まれる2以上の県域の放送地域在域指数が増加されることになるので、受信可能指数が大きくなる物理チャンネルが多くなる。この結果、全ての受信可能な物理チャンネルの抽出にかかる時間が長くなるおそれがある。実施の形態6は、この問題点を解決するデジタル放送受信装置600を提案する。
実施の形態1で説明したように、ARIB規格の場合は、放送信号から放送地域毎の送信所及び使用する物理チャンネル等の情報を含んだ周波数リストをダウンロードすることで、放送地域情報111を自動的に生成することができる。そして、その周波数リストの一部は、図7に示されている。
図24は、周波数リストの全体構造を示す概略図である。周波数リストFL0の各レコードFL1は、図5及び図23の地域(放送地域)の各々に対応する。1つの放送地域では複数のTSを受信することができることから、1つのレコードFL1には、q個のTS情報FL2が割り当てられる。更に、q個(qは2以上の整数)のTS情報FL2に含まれる個々のTS情報には、そのTS情報が属する放送局系列を識別するための1個の系列識別FL3と、r個(rは1以上の整数)の送信所情報FL4とが割り当てられる。送信所情報FL4は、図7に示されている、送信所を識別する送信所IDと、送信所の所在地を示す郵便番号と、送信に使用する物理チャンネル番号と、送信する電波の送信出力とを含む。このように、レコードFL1は複数のTS情報を持ち、各TS情報は系列識別FL3を持っている。
図25は、周波数リストFL0の系列識別FL3の定義を示す概略図である。日本の放送事業者は、一部を除いて東京を中心とした関東広域圏を放送対象地域とするキー局と呼ばれる放送事業者の系列に属している。この系列を示す番号が系列識別(Affiliation IDとも呼ばれる)である。系列に属していない放送事業者は、独立UHF放送局と称し、これを示す番号7も定義されている。従って、日本の全ての放送事業者に系列識別が割り当てられている。
図26は、広域を構成する県域において、その一つの県域を唯一の放送地域とする放送事業者の有無を示す概略図である。図26では、「○」が記されている県域において、その県域を唯一の放送地域とする放送事業者が存在することを示している。
例えば、東京の場合、NHK総合、NHK教育及びテレビ東京は、関東広域に属する複数の県を放送地域としている。このため、NIT又はSDTに含まれている地域識別コードは関東広域であるので、これらは、広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする放送事業者に該当しない。
一方、独立UHF放送局系列である東京メトロポリタンテレビは、東京だけを放送地域としているため、地域識別コードは東京である。従って、東京メトロポリタンテレビは、広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする放送事業者に該当する。
図26に示されているように、広域に含まれる全ての県域について、NHK総合、NHK教育、テレビ東京及び独立UHF放送局の4つの系列の中に、広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする1つ以上の放送事業者が存在する。
図26に示されている情報に従って、図24に示されている周波数リストを参照することにより、広域に含まれている県域に含まれている放送局で使用されている物理チャンネルの内、その一つの県域を唯一の放送地域する放送局系列(放送事業者)が使用している物理チャンネルを特定することができる。従って、放送局及び物理チャンネルの組み合わせ毎に、放送信号を送信する放送地域が広域なのか県域なのかを特定することができる。
実施の形態6では、受信された放送信号の放送地域が広域の場合に、広域を放送地域とする場合よりも、広域に含まれる県域を唯一の放送地域とする場合の重み付け(以下、この重み付けを県域放送局指数又は狭域放送局指数という)を大きくすることで、県域の特定を早くする。
図27は、実施の形態6に係るデジタル放送受信装置600の構成を概略的に示すブロック図である。図27に示すように、実施の形態6に係るデジタル放送受信装置600は、記憶部610と、チャンネルスキャン部630と、番組提示部150と、入力部170とを備える。
実施の形態6に係るデジタル放送受信装置600は、記憶部610及びチャンネルスキャン部630において、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置100と異なっている。
実施の形態6における記憶部610は、放送地域情報111と、隣接地域情報112と、選局情報113と、チャンネル情報614とを備える。実施の形態6における記憶部610は、チャンネル情報614において実施の形態1における記憶部110と異なっている。
実施の形態6におけるチャンネル情報614は、デジタル放送が行われている複数の放送地域の各々において、当該放送地域が、デジタル放送受信装置600が現在所在している地域である現在地域になっている可能性の高低を示す放送地域在域指数と、当該複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々において、当該放送局の電波が届く範囲に存在する可能性の高さを示す放送局域在域指数と、当該放送局における複数の物理チャンネルの各々において、当該物理チャンネルの送信出力を離散化した送信出力指数と、当該放送局における複数の物理チャンネルの各々において、当該物理チャンネルが広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする放送局系列(放送事業者)が使用するものか否かを示す県域放送局指数と、以上の放送地域在域指数、放送局域在域指数及び放送出力指数を加味して算出された受信可能指数、又は、以上の放送地域在域指数、放送局域在域指数、放送出力指数及び県域放送局指数を加味して算出された修正受信可能指数とを示す情報である。チャンネル情報614には、県域放送局指数が入っている点において、実施の形態1におけるチャンネル情報114と異なっている。
図28は、チャンネル情報614としての放送地域データの第3の例を示す概略図である。
図28に示されている放送地域データBAVL#2は、放送地域欄BAVL1#2と、放送地域在域指数欄BAVL2#2と、放送局欄BAVL3#2と、放送局域在域指数欄BAVL4#2と、物理チャンネル欄BAVL5#2とを備える。
放送地域欄BAVL1#2、放送地域在域指数欄BAVL2#2、放送局欄BAVL3#2及び放送局域在域指数欄BAVL4#2は、図8に示されている対応する欄と同様である。
物理チャンネル欄BAVL5#2は、物理チャンネル毎に、送信出力欄(以下、TO欄ともいう)BAVL51#2と、送信出力指数欄(以下、TOI欄ともいう)BAVL52#2と、県域放送局指数欄(以下、PBI欄ともいう)BAL55#2と、個別受信可能指数欄(以下、RPI欄ともいう)BAVL53#2と、合計欄BAVL54#2とを
備える。物理チャンネル欄BAVL5#2には、PBI欄BAL55#2がさらに追加されている点において、実施の形態1におけるチャンネル情報114と異なっている。なお、TO欄BAVL51#2及びTOI欄BAVL52#2については、図8の対応する欄と同様である。
PBI欄BAL55#2は、放送局欄BAVL3#2で識別される放送局及び対応する物理チャンネルが、広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする放送事業者が使用するものか否かを示す県域放送局指数を格納する。実施の形態6では、県域放送局指数は、放送局及び物理チャンネルの組み合わせにおける放送地域が広域であるか否かで異なる重み付けの値を示す。例えば、県域放送局指数には、放送局及び物理チャンネルの組み合わせにおける放送地域が、他の放送地域を含まない県域(狭域)である場合には、「1.0」がセットされており、放送局及び物理チャンネルの組み合わせにおける放送地域が、他の放送地域を含む広域である場合には、「0」がセットされている。
RPI欄BAVL53#2は、放送局欄BAVL3#2で識別される放送局で使用される物理チャンネル毎の個別受信可能指数又はこの個別受信可能指数を県域放送局指数で修正した修正個別受信可能指数を格納する。個別受信可能指数は、実施の形態1と同様、放送地域在域指数欄BAVL2#2、放送局域在域指数欄BAVL4#2及びTOI欄BAVL52#2に格納された値に基づいて算出された値である。一方、修正個別受信可能指数は、放送地域在域指数欄BAVL2#2、放送局域在域指数欄BAVL4#2、TOI欄BAVL52#2及びPBI欄BAVL55#2に格納された値に基づいて算出された値である。ここでは、仮に、放送地域在域指数欄BAVL2#2、放送局域在域指数欄BAVL4#2、TOI欄BAVL52#2及びPBI欄BAVL55#2に格納された値の積を、修正個別受信可能指数としている。言い換えると、修正個別受信可能指数は、個別受信可能指数に対して県域放送局指数で重み付けを行った値である。
合計欄BAVL54#2は、物理チャンネル毎の受信可能指数又は修正受信可能指数を格納する。なお、受信可能指数は、実施の形態1と同様に、RPI欄BAVL53#2に格納された個別受信可能指数を物理チャンネル毎に集計した値である。一方、修正受信可能指数は、RPI欄BAVL53#2に格納された修正個別受信可能指数を物理チャンネル毎に集計した値である。
図27の説明に戻り、実施の形態6におけるチャンネルスキャン部630は、受信部131と、デマルチプレクス部134と、制御部635とを備える。実施の形態6におけるチャンネルスキャン部630は、制御部635において実施の形態1におけるチャンネルスキャン部130と異なっている。
図29は、実施の形態6における制御部635の構成を概略的に示すブロック図である。実施の形態6における制御部635は、在域指数初期化処理部136と、受信可能指数特定処理部137と、番組情報分離確認処理部138と、在域指数更新処理部639と、狭域特定処理部としての県域特定処理部640とを備える。実施の形態6における制御部635は、在域指数更新処理部639での処理の点において、及び、県域特定処理部640がさらに追加されている点において、実施の形態1における制御部135と異なっている。
実施の形態6における在域指数更新処理部639は、取得したSI情報中のNIT及びSDTから地域識別情報を抽出して、この地域識別情報で示される放送地域が広域の場合には、処理を県域特定処理部640に委ねる点において、実施の形態1における在域指数更新処理部139と異なっている。
また、実施の形態6における県域特定処理部640は、分離された番組情報に基づいて現在の放送地域を特定し、特定された放送地域が県域を示す番組情報が分離されるまで、複数の物理チャンネルから選択を行って確認処理を繰り返す。県域特定処理部640での処理は、受信された物理チャンネルの放送地域が広域の場合に実行される。
図30は、県域特定処理部640の構成を概略的に示すブロック図である。図30に示されているように、県域特定処理部640は、広域地域確認部641と、修正受信可能指数特定処理部642と、修正番組情報分離確認処理部643と、修正在域指数更新処理部644とを備える。
広域地域確認部641は、SI情報中のNIT及びSDTから地域識別情報を抽出して、この地域識別情報で示される放送地域が広域か否かを確認する。
修正受信可能指数特定処理部642は、分離された番組情報から特定された放送地域が広域である場合に、その物理チャンネルにおいて放送電波を受信できる可能性の高さを、放送地域が広域であるか否かで重み付けを行った修正受信可能指数の値を算出する。例えば、修正受信可能指数特定処理部642は、複数の放送地域の各々に自装置が存在する可能性の高さに応じて大きな値となる放送地域在域指数と、複数の放送地域の何れかに含まれる複数の放送局の各々からの放送電波が届く範囲に自装置が存在する可能性の高さに応じて大きな値となる放送局域在域指数と、複数の放送局の各々における複数の物理チャンネルの各々の送信出力の強さに応じて大きな値となる送信出力指数と、当該物理チャンネルが、広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする放送事業者の放送を送信する放送局が使用するものか否かで異なる重み付けの値を示す県域放送局指数と、を用いて、複数の放送地域、複数の放送局及び複数の物理チャンネルの各々の組み合わせ毎に、この組み合わせにおいて放送電波を受信することのできる可能性の高さに応じて大きな値となる個別受信可能指数を修正した修正個別受信可能指数を算出し、このようにして算出された修正個別受信可能指数を物理チャンネル毎に集計することで、修正受信可能指数を算出する。ここで、修正個別受信可能指数は、その算出に用いられる放送地域在域指数、放送局域在域指数及び送信出力指数の値が大きいほど大きな値になるが、県域放送局指数を乗じることによって、放送地域が広域である放送局及び物理チャンネルの組み合わせにおける修正受信可能指数は「0」になる。そして、修正受信可能指数特定処理部642は、修正受信可能指数が最も大きい物理チャンネルを確認対象として特定する。
修正番組情報分離確認処理部643は、修正受信可能指数特定処理部642により特定された物理チャンネルにおいて、放送電波を受信することができるか否か、言い換えると、番組情報を分離することができるか否かを確認する確認処理を行う。
修正在域指数更新処理部644は、修正番組情報分離確認処理部643での確認処理の結果に応じて、在域指数を更新する。また、修正在域指数更新処理部644は、デマルチプレクス部134により分離された番組情報に基づいて、記憶部610に記憶されているチャンネル情報614を更新する。
図31及び図32は、本実施の形態6におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートである。なお、図31において、図12に示されている実施の形態1におけるチャンネルスキャン処理を示すフローチャートと同様の処理については、図12と同じ符号が付されている。
図31に示されているステップS20〜S25の処理については、図12に示されているステップS20〜S25の処理と同様である。但し、SI情報の取得に成功したか否かを判断するステップS25で、SI情報の取得に成功した場合(S25:Yes)には、処理は、図32のステップS70の処理に進む。
図32のステップS70では、県域特定処理部640の広域地域確認部641は、取得されたSI情報中のNIT及びSDTから地域識別情報を抽出して、この地域識別情報で示される放送地域が広域であるか否かを判断する。そして、広域地域確認部641は、放送地域が広域である場合(S70:Yes)には、ステップS71に処理を進め、放送地域が県域である場合(S70:No)には、図31のステップS26に処理を進める。
ステップS71では、県域特定処理部640の修正受信可能指数特定処理部642は、各放送地域の各放送局において、放送地域在域指数と、放送局域在域指数と、送信出力指数と、県域放送局指数とに基づいて、物理チャンネル毎に修正個別受信可能指数を計算する。この計算を全ての放送局に対して行い、物理チャンネル毎に修正個別受信可能指数を集計することで、修正受信可能指数を算出する。
ここで、修正受信可能指数特定処理部642は、計算した修正個別受信可能指数を、図28に示されている放送地域データBAVL#2のRPI欄BAVL53#2に格納する。そして、修正受信可能指数特定処理部642は、物理チャンネル毎の修正受信可能指数を、図28に示されている放送地域データBAVL#2の合計欄BAVL54#2に格納する。
次に、ステップS72では、修正受信可能指数特定処理部642は、未だステップS73の確認処理を行っていない物理チャンネルの内、修正受信可能指数が最も高い物理チャンネルの物理チャンネル番号を特定する。図28の例では、15チャンネルの修正受信可能指数が「1.3」で最大になっているため、15チャンネルが特定される。なお、制御部635は、修正受信可能指数が等しい複数の物理チャンネルがある場合には、予め定められた順番、例えば、物理チャンネル番号の小さいもの順、又は、物理チャンネル番号の大きいもの順に、物理チャンネル番号を特定する。
そして、ステップS73では、修正番組情報分離確認処理部643は、ステップS72で特定された物理チャンネル番号の物理チャンネルに対して、確認処理を行う。このステップS73での処理は、図9を用いて説明した処理と同様である。これにより、現在時点で最も受信可能性が高いと推測された物理チャンネルの受信確認が実行される。
次に、ステップS74では、修正番組情報分離確認処理部643は、全ての物理チャンネルに対して確認処理を行ったか否かを判断する。そして、県域特定処理部640は、全ての物理チャンネルに対して確認処理が行われておらず、確認処理を行っていない物理チャンネルが存在する場合(S74:No)には、ステップS75に処理を進め、全ての物理チャンネルに対して確認処理が行われ、確認処理を行っていない物理チャンネルが存在しない場合(S74:Yes)には、図31に戻り、チャンネルスキャン処理を終了する。
ステップS75では、修正番組情報分離確認処理部643は、番組情報、特に、SI情報の取得に成功したか否かを判断する。そして、修正番組情報分離確認処理部643は、SI情報の取得に成功した場合(S75:Yes)には、ステップS70の処理に戻り、SI情報の取得に失敗した場合(S75:No)には、ステップS76の処理に進む。
ステップS76では、県域特定処理部640の修正在域指数更新処理部644は、現在地域では、確認処理の対象となった物理チャンネルが使用されていない確率が高いため、放送地域情報111を参照して、記憶部610に記憶されている、確認処理の対象となった物理チャンネルが使用されていない放送局の放送局域在域指数を増加させる。
さらに、ステップS77に示すように、対象物理チャンネルを使用している放送局の放送局域在域指数を減少させてもよい。なお、図32では、ステップS76及びステップS77の両方の処理が行われているが、何れか一方のみが行われてもよい。
以上のように、実施の形態6に係るデジタル放送受信装置600は、県域放送局指数を加えて修正受信可能指数を計算することによって、地域識別情報で示される放送地域が広域の場合には、当該放送局の物理チャンネルの修正受信可能指数を「0」にすることができる。このため、放送地域が県域である物理チャンネルの修正受信可能指数を相対的に高めることができる。その結果、放送地域が県域である物理チャンネルの受信確認を優先することができ、県域の特定が早まり、受信可能なサービスをサービスリストに早く表示することができる。従って、ユーザが視聴できるようになるまでに待たされる時間が短縮される。また、走行途中でサービスリストに載っているサービスが受信できなくなったときに、サービスリストから早く消すことができ、ユーザの選択したサービスが視聴できない機会を減少させることができる。
また、県域放送局指数は、広域に含まれる一つの県域を唯一の放送地域とする放送事業者の放送を送信する放送局及び物理チャンネルの組み合わせの場合は「1.0」、そうでない場合は「0」とされている。そして、個別受信可能指数の算出において、放送地域在域指数、放送局域在域指数、送信出力指数、及び、県域放送局指数を乗算することで、放送地域が広域である物理チャンネルの修正個別受信可能指数が「0」になるため、県域の特定を早めることができ、チャンネルスキャンの対象チャンネルを絞ることができる。
以上に記載した実施の形態1〜6では、チャンネルスキャン処理の開始時には、まず、制御部135の在域指数初期化処理部136は、放送地域在域指数と放送局域在域指数の値を初期化するが、チャンネルスキャン処理の開始時では、現在地域は不明であり、言い換えれば、全ての地域が等しく現在地域でありうるとした。しかし、2回目以降のチャンネルスキャン処理であれば、チャンネル情報114に記憶されている放送地域在域指数と放送局域在域指数とを初期値として利用しても良い。また、デジタル放送受信装置の電源投入後、初回のチャンネルスキャン処理であっても、放送地域在域指数と放送局域在域指数とが記憶されているチャンネル情報114が不揮発メモリ上にあれば、電源切断前に行った最後のチャンネルスキャンによって更新された放送地域在域指数と放送局域在域指数とがチャンネル情報114に残っているので、この値を初期値として利用しても良い。
前回のチャンネルスキャンからあまり時間が経っていない場合には、移動距離が短いため、放送波の受信状況が大きく変化しない。そのため、最新の放送地域在域指数と放送局域在域指数とを初期値とする方が、全ての地域が等しい値にするよりもスキャン時間が短くなる可能性が高い。