実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。図1に示されるデジタル放送受信装置は、チューナ・復調部1と、デマルチプレクス部2と、映像/音声デコード部3と、映像表示部4と、音声出力部5と、受信不可検出部6と、選局制御部7と、系列局記憶部8とを有する。
チューナ・復調部1は、デジタル放送の放送局から送出された放送信号をアンテナで受信した信号が入力され、選局、復調、誤り訂正を行い、TS(トランスポートストリーム)を出力する。上記の選局は、入力手段による指定に応じて、或いは、後述する系列局記憶部8に記憶されたチャンネル情報に基づいて、或いは後述のようにチャンネルサーチして検出された情報に基づいて行われる。チューナ・復調部1はまた、選局している番組の受信信号の受信レベル情報、受信C/N比情報(Carrier−to−Noise ratio:搬送波電力対雑音電力比)、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報などの各種情報の少なくとも一つを出力する。
デマルチプレクス部2は、入力されるTSから番組特定情報(PSI:Program Specific Information)及び番組配列情報(サービス情報:SI:Service Information)を抽出し、それらの情報をメモリに保存させる。尚、この場合のメモリは、後述する系列局記憶部8でもよいし、他の記憶部でもよい。
デマルチプレクス部2は更に、抽出されたPSI及び/又はSI(以下「PSI/SI」と記載することがある)から、TS中の映像TSパケット及び音声TSパケットのPID(TSパケット識別子:Packet Identifier)の値を検出し、TSを各PIDでフィルタリングして映像TSパケット及び音声TSパケットを分離させて抽出し、映像/音声デコード部3に出力すると共に、番組アソシエーション(統合)・テーブル(PAT(Program Association Table))断絶情報(途絶情報)、番組対応テーブル(PMT(Program Map Table))断絶情報(途絶情報)、TS同期はずれ(同期ロスト))情報、TSパケットの損失情報(パケットロスト情報)の各種情報のうちの少なくとも一つを出力する。
上記のうち、PAT断絶情報は、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合に発せられる。PMT断絶情報は、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合に発せられる。TS同期はずれ情報(通知)は、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合に発せられる。TSパケットの損失情報(通知)は、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際に発せられる。
映像/音声デコード部3は、映像パケット及び音声パケットから映像のデコード(復号)及び音声のデコードを行い、映像パケットの復号された映像信号は映像表示部4に出力し、音声パケットの復号された音声信号は音声出力部5に出力すると共に、デコードエラー検出情報、デコードエラー率情報の各種情報のうちの少なくとも一つを出力する。
映像表示部4は、入力した映像パケットの復号された映像信号に基づいて画面に映像を表示させる。音声出力部5は、入力した音声パケットの復号された音声信号に基づいてスピーカから音声を出力させる。
受信不可検出部6は、例えば、車等の移動体に搭載されるか携帯されるデジタル放送受信装置では、デジタル放送受信装置の受信位置が移動することから、受信位置が視聴中の番組の放送局のサービス地域外になる場合や、地上の構造物による搬送波の遮断や減衰等の影響等を受けた場合があり、そのような場合には視聴中の番組の放送局からの番組を受信することが不可となるが、その場合を検出する。
そのため、受信不可検出部6は、チューナ・復調部1、デマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3から出力される上記の各種情報の少なくとも一つに基づいて受信信号が「現状受信不可状態」であることを検出する。
例えば、チューナ・復調部1からの受信レベル情報により、受信レベルが所定値未満となった場合には、「現状受信不可」と判断する。
同様に、チューナ・復調部1からの受信C/N比情報により、C/N比が所定値未満となった場合には、「現状受信不可」と判断する。
同様に、チューナ・復調部1からのPLLロック情報により、PLLロックがはずれたと判断されるときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、チューナ・復調部1からのフレームロック情報により、フレームロックがはずれたと判断されるときは、「現状受信不可」と判断する。
同様にチューナ・復調部1からの誤り率情報により誤り率が所定値を超えると判断されたときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、デマルチプレクス部2からのPAT(Program Association Table)断絶情報により、PAT断絶が検出されときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、デマルチプレクス部2からのPMT(Program Map Table)断絶情報により、PMT断絶が検出されときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、デマルチプレクス部2からのTS同期はずれ情報により、TS同期はずれが検出されたときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、デマルチプレクス部2からのTSパケットの損失情報により、TSパケットの損失が検出されたときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、映像/音声デコード部3からのデコードエラー検出情報によりデコードエラーが検出されたときは、「現状受信不可」と判断する。
同様に、映像/音声デコード部3からのデコードエラー率情報によりデコードエラー率が所定値を超えると判断されたときは、「現状受信不可」と判断する。
受信不可検出部6は、上記した入力情報又は入力通知に基づいて、受信信号が「現状受信不可状態」であるか否かを判断するが、この際、現状では受信可能であっても、「受信不可直前状態」、即ち、「現状では受信可能であっても、信号レベルが受信不可に近く、近いうちに受信が不可能になるおそれがある場合には、「現状受信不可状態」であるとして処理する。
判断の結果、受信信号が「現状受信不可状態」であると判断した場合、「受信不可通知」を選局制御部7に送出する。すなわち、受信不可検出部6は、視聴中の番組の放送局からの受信信号から得られる各種情報に基づき、その放送局からの視聴中の番組の受信信号を受信することが不可能な状態になったことを検出して受信不可通知を出力する。
選局制御部7は、視聴中の番組の放送局の少なくともチャンネル情報を系列局記憶部8又は他の記憶部に記憶させる。
選局制御部7は又、受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合に、後述する系列局記憶部8から系列放送局(系列局)のチャンネル情報を検索し、デジタル放送受信装置の現在位置で当該デジタル放送受信装置が受信できる可能性のある系列局が記憶されていた場合には、その系列局のチャンネル情報に基づく受信信号が「現状受信可状態」か否かを判断し、「現状受信可状態」の場合に当該系列局の番組を視聴させ(選局により映像を表示させ、音声を出力させ)、デジタル放送受信装置の現在位置で当該デジタル受信装置が受信できる可能性のある系列局が記憶されていない場合には、系列局をチャンネルサーチするようにチューナ・復調部1に指示を出力する。この選局制御部7のチャンネルサーチの指示は、後述する図2の状態遷移図に従う動作となるように出力される。
又、系列局記憶部8に複数の系列局が記憶されている場合には、受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合に、放送局からの視聴中の番組の受信信号から得られるサービスIDの地域識別値で特定される地域の隣接地域を求め、系列局記憶部8に記憶された複数の系列局のうち、視聴中の番組の受信信号の放送局のサービス地域の隣接地域に配置される放送局を、近い順に選局し「現状受信可状態」か否かを判断する。
系列局記憶部8は、視聴中の番組の放送局の少なくともチャンネル情報を記憶すると共に、視聴中の番組の放送局の系列局がチャンネルサーチで検出された場合に、その系列局の少なくともチャンネル情報を前記視聴中の番組の放送局の少なくともチャンネル情報と系列関係があるものとして関連付けて記憶させる。この系列局記憶部8には、複数の系列局が記憶される場合がある。
図2は、図1のデジタル放送受信装置における選局制御部7の選局動作を示す状態遷移図である。
図2において「放送局A視聴51」は、デジタル放送受信装置がデジタル放送局Aの番組を視聴している状態であることを示している。「系列局サーチ52」は、デジタル放送受信装置が放送局A又はBと同一系列に属する放送局を検索するために、例えば物理周波数の低いチャンネルから昇順に選局していき系列局をチャンネルサーチしている状態であることを示している。「放送局B視聴53」は、デジタル放送受信装置がデジタル放送局Bの番組を視聴している状態であることを示している。尚、放送局Aと放送局Bは、互いに同一系列に属するデジタル放送局である。同一系列に属するデジタル放送局では、一般的に同時刻には同じ番組を放送する確率が高いが、一部の時間帯ではそのデジタル放送局の位置する地域のみの特有の番組を放送する場合がある。
遷移条件は、図示したように「放送局A視聴51」の状態では、系列局(放送局B)が検出済みで「受信不可通知」が入力された場合に「放送局B視聴53」の状態に遷移し(51A)、系列局が未検出で「受信不可通知」が入力された場合に「系列局サーチ52」の状態に遷移する(51B)。
同様に、「放送局B視聴53」の状態では、系列局(放送局A)が検出済みで「受信不可通知」が入力された場合に「放送局A視聴51」の状態に遷移し(53A)、系列局が未検出で「受信不可通知」が入力された場合に「系列局サーチ52」の状態に遷移する(53B)。
更に「系列局サーチ52」の状態では、サーチ結果として系列局が検出された時に、上記した遷移元の「放送局A視聴51」又「放送局B視聴53」の何れか一方とは異なる方の状態に遷移する(52A)。つまり遷移元が「放送局A視聴51」の状態であれば、サーチ結果の系列局である「放送局B視聴53」の状態に遷移し(52A)、遷移元が「放送局B視聴53」の状態であれば、サーチ結果の系列局である「放送局A視聴51」の状態に遷移する(52B)。
図3及び図4は、図1のデジタル放送受信装置における選局制御部7の動作を示すフローチャートである。
以下に、図2、図3及び図4を用いて選局制御部7の動作について説明する。
まずデジタル放送受信装置が、選局制御部7の指示により一つの放送局(例えば図2に示された2つの放送局の一方の放送局A)を視聴している状態(例えば、図2の「放送局A視聴51」の状態)であるとする(S1)。
この場合、選局制御部7は、その視聴中の番組の放送局の少なくともチャンネル情報を系列局記憶部8又は他の記憶部に記憶させる(S2)。
上記したステップS1の状態で選局制御部7は、受信不可検出部6から「受信不可通知」を受信したか否か、即ち、「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S3)。
現状受信可状態である(「受信不可通知」を受信していない)場合(S3でYES)には、ステップS1に戻って同じ局の視聴を継続する。
ステップS3で、「現状受信不可状態」である(「受信不可通知」を受信している)場合(S3でNO)には、系列局記憶部8に同じ系列の他の放送局のチャンネル情報が記憶されているか否かを判断する(S4)。
ステップS4において、系列局記憶部8に同じ系列の他の放送局のチャンネル情報が記憶されていた場合(S4でYES)には、選局制御部7は、その同系列の放送局の番組を選局し(S5)、受信不可検出部6から「受信不可通知」を受信したか否か、即ち、当該系列局の番組が「現状受信可状態」か否かを判断する(S6)。
系列記憶部8に同じ系列の複数の放送局のチャネル情報が記憶されている場合には、ステップS5においては、上記複数のチャネル情報のうちの優先度の高いもの、即ち、優先順位が1番目のものを選局する。この場合、例えば、視聴していた放送局からの番組の受信信号から得られるサービスIDの地域識別値で特定される地域の隣接地域の地域識別コードを求め、系列局記憶部8に記憶された複数の系列局のうち、視聴中の番組の受信信号の放送局の隣接地域(求められた地域識別コードで特定される)に配置された放送局のうちの最も近いものの優先順位を1番目とし、他のものは近さの順に優先順位を決める。
ステップS6で「現状受信可状態」である場合(S6でYES)には、その系列局の番組を視聴させる(S7)。
これは、例えば、図2の「放送局A視聴51」の状態から「放送局B視聴53」の状態への遷移51Aに相当する。
ステップS6で「現状受信不可状態」場合(S6でNO)には、その受信不可と判断された系列局)を除外し(S17)、それ以外に系列記憶部8に同じ系列局の放送局のチャンネル情報が記憶されているかどうかの判定を行う(S4)。
ステップS17を経た後のステップS4でYESであれば、ステップS5に進むが、この場合、ステップS17の処理で除外された系列局以外の系列局の中で優先順位の最も高いものを選択する。
複数の系列局のすべてについて、ステップS6における判定の結果、答えがすべてNOであった場合には、その次に行われるステップS4の判定で答えがNOとなる。最初のステップS4の判定で、系列局が1つしか記憶されていない場合には、その後ステップS5、S6、S17を経て最初にステップS4の判定を行う際、答えがNOとなる。
ステップS7で選択された放送局の番組の視聴中にも、その放送局の番組が「現状受信可状態」であるか否かの判定を継続して(繰り返し)行う(S8)。
「現状受信不可状態」である場合(S8でNO)には、ステップS4に戻り、以後同様の処理を行う。
ステップS4でNOの場合には、系列局サーチ・視聴の処理(S18)を行う。この処理S18は、例えば図4に示されるように行なわれるものであり、図2の「系列局サーチ52」及びサーチにより検出された放送局の番組の視聴(「放送局A視聴51」及び「放送局B視聴52のいずれか)に相当するものである。
選局制御部7は、チューナ・復調部1に指示してまず、その帯域のチャンネルのうち、チャンネル番号が最小値のチャンネルを選局し(S9)、選局された放送局からの信号を検査する(S10)。信号中に含まれる情報から、選局した放送局が系列局かどうかの判定を行う(S11)。例えば、デマルチプレクス部2で検出されるTS中の番組配列情報(SI)のブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT(Broadcaster Information Table):ブロードキャスタの単位や、ブロードキャスタ単位毎のSI伝送パラメータ等の指定)セクションにおける系列事業者識別(affiliation_id)のフィールド値により、その値が視聴中の番組と選局された放送局のチャンネルの番組で同一であれば、同じ系列の放送局であると判断するようにすればよい。
そして、検査された放送局が同系列の放送局ではない場合(S11でNO)には、更に選局したチャンネルがその帯域のチャンネルのうち、チャンネル番号が最大値のチャンネルになっているか否かを判断する(S12)。
選局したチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルではない場合(S12でNO)には、選局するチャンネルの番号を一つ繰り上げ(S13)、ステップS10に戻る。
ステップS12で、選局したチャンネルがチャンネル番号が最大値のチャンネルである場合(S12でYES)には、ステップS9に戻り、ステップS9以下の処理を繰り返す。
ステップS11で系列局が検出された場合(S11でYES)には、選局制御部7は、検出された系列局のチャンネル情報と、ステップS2で記憶された視聴中の番組の放送局のチャンネル情報とを同系列の放送局であるとして関連付けて系列局記憶部8に記憶させる(S14)と共に、検出された系列局の番組を視聴させる(S15)。
この処理は、例えば図2の「系列局サーチ52」の状態から「放送局B層視聴53」の状態への遷移52Aに相当する。
ステップS15において、ステップS11で検出された系列局の番組の視聴中にも、その系列局の番組が「現状受信可状態」であるか否かの判定を繰り返し行う(S16)。
「現状受信不可状態」である場合(S16でNO)には、ステップS4に戻り、以後同様の処理を行う。
従来のデジタル放送受信装置では、視聴中の放送局の番組が受信不可になった場合に、全チャンネル帯域をサーチして同系列の放送局を検出していた。しかし、本実施の形態におけるその場合には、まず系列局記憶部8の過去の受信記録(チャンネル情報)を参照して同系列の放送局を直接に選局するので、例えばステップS6或いはステップS16で受信可であった放送局の番組の視聴が不可となった場合には、同系列の放送局(これにはステップS1で視聴していた放送局も含まれる)の番組の視聴が可能である場合には、改めて全チャンネル帯域をサーチする場合に比べて、同じ番組の画像を表示させるまでの時間を短くすることができる。
言い換えれば、従来は、例えば図2の「放送局A視聴51」の状態で視聴が不可になった場合には、全ての場合で「系列局サーチ52」の状態に遷移させてから、「放送局B視聴53」の状態に遷移させていたが、本実施の形態では、系列局記憶部8に過去の系列局の受信記録(チャンネル情報)があれば、その場合には、「放送局A視聴51」の状態から直接に「放送局B視聴53」の状態に遷移させることができる。従って、同じ番組の画像を表示させるまでの時間を短くすることができる。
系列局記憶部8に、複数の系列局が記憶されている場合には、上記のように、記憶されている系列局に優先順位を付ける必要があるが、その場合には、上記のように、現在受信中の放送局への近さの順に優先順位が付けられる。
そのような優先順位の付与のために、デジタル放送受信装置で現在視聴中の番組の放送局の識別情報、各デジタル放送局毎に分割されたサービス地域の割り当て情報(隣接情報を含む)、地域毎の識別情報等が必要になる。図5は、地上デジタル放送におけるサービスIDのビット構成を示す図であり、図6は、地上デジタル放送におけるサービスIDの地域識別フィールドの分類を示す図であり、図7は、地上デジタル放送における地域識別フィールドの地域割り当て状況を示す図である。
まず、現在視聴中の番組の放送局の識別情報、即ち、デジタル放送受信装置の現在位置がどの放送局のサービス地域内であるかを推定する。図5のサービスIDのビット配置では、16ビットの構成でビット15からビット10までが地域識別コードのフィールドとなっており、その地域識別コードの値は全国の各放送局毎にユニークな値が割り当てられている。つまり、現在選局している放送局からの受信信号中からサービスIDを抽出し、さらに地域識別コードのフィールドの6ビットの値を抽出することで64種類の地域識別値の何れかが得られる。
次に抽出された地域識別値の判断であるが、例えば図6を用いることにより、0から9が広域放送であり、10から63が県域(県内局)放送であることがわかる。さらに具体的には、例えば図7を用いることにより、地域識別コードが割り当てられている各地域を検出することができる。
本実施の形態では、図5〜図7を用いてデジタル放送受信装置で現在視聴中の番組の放送局の地域識別コードから、そのデジタル放送受信装置の現在位置が現在視聴中の番組の放送局のサービス地域内であることを推定し、次に、例えば図7の地域割り当て状況から、現在位置の放送局のサービス地域に隣接するサービス地域の地域識別コードを検出する。そして、系列局記憶部8に記憶された複数の系列局のサービスIDから、隣接するサービス地域を表す地域識別コードを含むサービスIDを有する放送局を検索する。又、その検索された放送局が複数である場合には、例えば検索された順に選局して、「現状受信可状態」であるか否かを判断し、「現状受信可状態」である系列局を視聴させる。
以上のように本実施の形態では、視聴中の番組の放送局の番組のチャンネル情報を記録しておき、その番組が視聴不可(受信不可)になったことからチャンネルサーチで系列局の番組を検出した場合に、その系列局の番組のチャンネル情報を、視聴中であった放送局の番組のチャンネル情報と系列関係であるものとして関連付けて記録しておく。その後、視聴中の番組の放送局の番組が再度視聴不可になった場合には、記録された系列局をチャンネル情報で選局し、逆に系列局の番組が視聴不可になった場合には、記録された元の放送局をチャンネル情報で選局することも有り得る。
従って、一旦選局されて系列関係が記録された放送局とその系列局の受信時には、「現状受信不可状態」になった場合に記録を自動的に参照することで従来のような受信周波数の全帯域をスキャンして系列局をチャンネルサーチする時間を省略することができ、番組視聴が中断される時間を短縮することができ、番組の継続視聴性を改善することができる。
特に、車等の移動体で相互に系列関係にある放送局のサービス地域の境界付近を移動する場合に、短時間で自動的に系列局に切り替えて従来のように系列局のチャンネルサーチを頻繁に実施しないようにできるので、番組の視聴中断時間を顕著に短縮でき、番組の継続視聴性も顕著に改善することができる。
又、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、車等の移動体が移動した結果視聴中の番組が「現状受信不可状態」になった時に、使用者が操作することなしに自動的に系列局を選局することができる。
又、受信不可検出部6における検出の方法によっては受信不可になる直前等に他の系列局を自動的に選局することができる。
又、本実施形態のデジタル放送受信装置では、選局制御部7が、例えば、デマルチプレクス部2で検出されるTS中の番組配列情報(SI)のブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT)セクションにおける系列事業者識別(affiliation_id)のフィールド値を用いて同系列の放送局をチャンネルサーチするので、受信不可になり視聴できなくなった番組と同一の番組が放送されている可能性が高い系列局を選局することができるので、同一番組を継続して視聴できる可能性を高くすることができる。
又、本実施形態のデジタル放送受信装置では、系列局記憶部8に複数の系列局が記録されている場合、系列局を検索する際に、現在視聴中の番組のサービスIDから現在視聴中の番組の放送局の地域識別コードを抽出してサービス地域を検出する。そしてそのサービス地域に隣接するサービス地域となるサービスIDを有する系列局のみを選局する。この処理により本実施形態のデジタル放送受信装置では、現在視聴中の番組の放送局のサービス地域にサービス地域が隣接していない無駄な系列局を検索して「現状受信可状態」であるか判断する時間を省略することができ、「現状受信可状態」である系列局の検出を短時間にすることができる。
実施の形態2.
上記した実施の形態1のデジタル放送受信装置では、受信不可になった場合に番組視聴が中断される時間を短縮して番組の継続視聴性を改善することができたが、例えば、トンネル等の電波の到達できない環境や電波が受信不良となる環境に移動した場合に、選局制御部7では受信レベルが低下したと判断し、系列局記憶部8に記憶された系列局への切替或いは系列局のチャンネルサーチを行ってしまうと言う問題がある。
例えばトンネル内などのように電波の到達できない環境に移動した場合に、全放送局が受信できないにもかかわらず、系列局記憶部8に記憶された系列局への切替或いは系列局のチャンネルサーチが行われる。その場合、例えば、系列局をチャンネルサーチしている最中にトンネルから出て、トンネルに入る前に視聴していた番組の放送局の電波が十分受信出来る環境であった場合には、系列局のチャンネルサーチでそのトンネルに入る前に視聴していた番組の放送局を検出するまでの時間が必要になる。
つまりチャンネルサーチを実施しないでトンネルに入る前の状態を維持していれば、トンネルから出てすぐに元の放送局の電波を受信して視聴を再開できたのが、チャンネルサーチで元の放送局が検出されるまでは視聴を再開できないことになり、余分な時間を要してしまうことになる。本実施の形態2では、このような無駄な動作を防止するものである。
図8は、この発明の実施の形態2に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
図8のデジタル放送受信装置の基本的な構成は図1に示した実施の形態1の構成と同様であるが、位置検出部9が追加されている点が異なる。
位置検出部9は、例えば、GPS(Global Positioning System)の受信装置であり、GPSアンテナで受信された複数のGPS衛星からの電波信号が入力されて、その入力した電波信号に基づいてデジタル放送受信装置の現在位置を検出するものであり、その検出された現在位置を選局制御部7に出力したり、地図データ上に表示させることができる。
さらに本実施の形態の位置検出部9では、現在位置を検出するのみでなく、例えば、現在位置が、どの放送局の電波も受信できないようなトンネル内や、電波の受信強度に影響を与える(低下させる)構造物の影響範囲内であると判別した場合、選局制御部7に、デジタル放送受信装置の現在位置が受信不可地域にあること、即ち「受信不可の位置にあること」を通知することができる。
本実施の形態の選局制御部7は、位置検出部9から「受信不可の位置であること」の通知が受信されない場合には、図3及び図4に示した実施の形態1と同様な動作を行う。
しかし、位置検出部9から「受信不可の位置であること」の通知が受信された場合には、受信不可検出部6から「現状受信不可状態」の通知があっても、選局制御部7は、図3及び図4の動作における系列局の自動選局を行わないように動作する。つまり、受信不可の位置である場合には、選局制御部7は、系列局が未検出であってもチューナ・復調部1で系列局をチャンネルサーチを実施せず、又、系列局が検出済みであっても、系列局記憶部8から系列局を検索して選局する動作を実施しない。
このように本実施の形態のデジタル放送受信装置では、GPS衛星からの電波を受信し現在位置を把握するようにしたので、例えばトンネル内などのように電波の到達できない環境に移動したとき、全放送局が受信できないにもかかわらず、系列局のサーチや検出済みの系列局への切替えが行われてしまう無駄な動作を防ぐことができる。より具体的には、トンネル等の電波の到達できない環境や電波が受信不良となる環境に移動した場合には、系列局が未検出であっても系列局をチャンネルサーチを実施せず、又系列局が検出済みであっても系列局を検索して選局する動作を実施しないで、視聴していた番組の選局状態を維持するので、電波の受信環境が良好な場所に移動した際に、電波の受信環境が悪くなる前に視聴していた番組の視聴を短時間で復帰させることができる。
実施の形態3.
従来のデジタル放送受信装置では、受信不可通知の入力時に、チャンネルサーチして系列局を検出し、受信できなくなった番組の番組タイトルと同じ番組タイトルの番組、又は、受信できなくなった番組のジャンルと同じジャンルの番組、又は、受信できなくなった番組の番組識別番号と同じ番組識別番号の番組を選局するようにしている。
しかし、番組タイトルや番組のジャンルや番組識別番号だけでは、何れも受信不可通知の入力前と同じ番組を特定するためには十分な情報ではないので、受信不可通知の入力前と同じ番組を選局できない場合がある。
地上波のデジタル放送では、地域毎の特色が有る番組や、その地域限定情報を放送する場合があるので、系列局であってもニュースや天気予報等は必ずしも同一番組が同時刻に放送されているとは限らず、例えば、各放送局のサービス地域に限定のニュースを放送する場合がある。従って、従来のデジタル放送受信装置では、番組の名称は「昼のニュース」等で同じで、番組のジャンルも、「ニュース番組」で同じであっても、系列局をサーチする前に視聴していた番組と異なる場合がある。
番組識別番号は、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)の地上デジタルテレビジョン放送運用規定TR−B14におけるevent_idに対応するものであり、1サービス地域内で一意的に割り当てられるものであるので、放送局が異なれば違う番組であっても同じevent_idが割り振られるケースもあり得る。つまり、同じ番組識別番号の系列局を選んでも、同じ番組を選局できない場合が有る。
視聴中だった放送局の番組と、受信不可通知により選局された系列局の番組が同一であるかの判断は、従来は、例えば、番組のPSIの中から番組の名称(タイトル)で判断しており、上記した実施の形態1ではブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT)セクションにおける系列事業者識別(affiliation_id)のフィールド値により系列放送局であるか否かの判断をし、間接的に番組が同一であるかを判断している。本実施の形態では番組の同一性の判断をより確実に行うことができるようにしたものである。
図9は、この発明の実施の形態3のデジタル放送受信装置における選局制御部7の選局動作の状態遷移図である。
実施の形態3におけるデジタル放送受信装置では、実施の形態2の図8の構成における選局制御部7の動作が、図2に示した状態遷移の動作ではなく、図9に示した状態遷移の動作となる点が異なっている。
図9において、「番組A視聴61」の状態と「番組B視聴62」の状態は、同系列ではあるが各々別の放送局(チャンネル)で同一時刻に放送されている同一番組を視聴している状態を示している。図9の「番組A視聴61」の状態の場合で、実施の形態1と同様に受信不可検出部6が「現状受信不可状態」であることを検出した場合には、選局制御部7に「受信不可通知」が入力される。
選局制御部7では、視聴中の番組のSIの中から予めイベント・インフォメーション・テーブル(EIT(Event Information Table))セクションの情報(番組の名称、放送日時、内容の説明等の番組に関する情報)を検出しておき、検出された各系列局のSIから、現在視聴中だったその番組のEITと同一のフィールド値を有する系列局が存在するか否かを判断し、存在する場合に該当チャンネルを選局して同一番組を視聴させる。このようにして「番組B視聴62」の状態に遷移する(61A)。
「番組B視聴62」の状態の場合でも同様の処理、判断により、「番組A視聴61」の状態に遷移する(62A)。
即ち、状態61と状態62の間の遷移61A、62Aの条件は、現在の状態(61又は62)において、現状受信不可であり、番組Aと番組Bが同一番組であること、即ち、両番組の番組詳細情報が同一で、同一時刻の番組であることである。
ここでPSI/SIを用いて同一番組を判別するためには、例えば、EITセクション中の短形式イベント記述子におけるevent_name_char(番組名)のフィールド値、text_char(番組記述)のフィールド値を比較することにより判別される。番組名のフィールド値の比較では、番組名が比較されることで同一番組が判別され、さらにPSI/SI中の番組記述(番組の概要説明や、出演者等)が比較されることにより、同一番組をより高い精度で判別することができる。
又、実施の形態2の図8のように位置検出部9を有し、その位置検出部9により現在位置が受信不可地域であることが検出された場合には、選局制御部7は、図9の状態遷移図において、「番組A視聴61」と「番組B視聴62」間の同一番組への状態遷移(自動選局)は実施されないように動作する。
以上のように本実施の形態では、視聴中の番組が受信できなくなった場合か受信できなくなると判断された場合に、予め検出された各放送局のPSI/SI中の番組記述(番組の概要説明や、出演者等)を利用して、視聴できなくなった番組と同じPSI/SIを有する番組(同一番組)を選局するため、番組タイトルや番組ジャンル及び番組識別を使用し同一番組を検出する場合に比べて、同一番組を検出する精度を高めることができる。
例えば、番組がニュースや天気予報等の場合には、系列外の放送局とタイトルが類似する場合も多く、毎日同じタイトルで放送されることが多いので、タイトルだけでは各々を区別できないケースがある。そのような場合でも本実施の形態では、PSI/SIに含まれる登場人物や概要説明を用いるので番組の同一性の判断が正確になり、系列局の検出精度を改善することができる。
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
図10のデジタル放送受信装置の基本的な構成は図1に示した実施の形態1の構成と同様であるが、本実施の形態のデジタル放送受信装置は、固定受信機向けに意図されてノイズやマルチパスには弱いが画質、音質が良い弱階層伝送の番組の受信信号と、移動体に搭載され、又は使用者に携帯されるデジタル放送受信機向けに意図されてノイズやマルチパスに強い強階層伝送の番組の受信信号の双方の信号を受信し、選局制御部7から番組を受信する信号の強階層/弱階層の切替指示がデマルチプレス部2と映像/音声デコード部3に供給される点が異なる。
強階層伝送の番組の受信信号は、ノイズやマルチパスへの耐性があるがビットレートが低く、伝送されるコンテンツは、簡易動画及び簡易音声の形式で伝送される。一方、弱階層伝送の番組の受信信号は、本来固定受信機向けのものでビットレートが高く、高画質の動画、高音質の音声が伝送される。強階層伝送と弱階層伝送では映像/音声圧縮方式は各々異なっている。
例えば、強階層に相当する1セグ放送では、動画圧縮方式としてはH.264/AVC(MPEG−4 Part10:Advanced Video Coding: MPEGはMoving Picture Experts Group)の符号化方式が採用され、音声圧縮方式としてはAAC(Advanced Audio Coding)+SBR(Spectral Band Replication:スペクトル再生)の方式が採用されている。
一方、固定受信機向けの弱階層の放送では、動画圧縮方式としては、MPEG2の符号化方式が採用され、音声圧縮方式としては、AACが採用されている。
図10における映像/音声デコード部3は、上記したような強階層又は弱階層で伝送される動画圧縮方式及び音声圧縮方式に対応する復号が可能であるように構成される。
チューナ・復調部1からは、同一チャンネル内の弱階層伝送用データと強階層伝送用データが多重化されたデータがデマルチプレクス部2に出力される。
チューナ・復調部1では、同一チャンネル内の強階層伝送の番組と弱階層伝送の番組を切り替える選局は実施されないが、視聴するサービスについては使用者の指定により強階層伝送の番組と弱階層伝送の番組で切り替える必要があるため、選局制御部7からデマルチプレクス部2には、強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示が通知される。その結果、デマルチプレクス部2からは、映像/音声デコード部3に対して、使用者に指定された階層伝送に含まれる映像ストリーム/音声ストリームが出力される。
映像/音声デコード部3では、入力する映像ストリーム/音声ストリームに対して、選局制御部7からの強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示により、対応する映像ストリーム/音声ストリームの各データの復号処理を行い、映像表示部4に復号された映像信号データを出力すると共に、音声出力部5に復号された音声信号データを出力し、映像表示部4で映像を表示させ、音声出力部5で音声を出力させる。
受信不可検出部6には、チューナ・復調部1から受信レベル、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報等が通知される。
さらにデマルチプレクス部2からは、PAT、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合に、PAT途絶通知、及びPMT途絶通知が受信不可検出部6に通知される。又、TSから188バイト毎に同期バイトが検出されない場合には、同期はずれの通知が通知される。さらに、TSパケットのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際に、パケット損失の通知がなされる。
又、映像/音声デコード部3からは、デコードエラー検出時にエラー通知、もしくはエラー率が所定値未満となったことが受信不可検出部6に通知される。
これらの通知された情報から受信不可検出部6は、「現状受信不可状態」であるか否かを判断し、「現状受信不可状態」であると判断した場合、選局制御部7に受信不可通知を行う。選局制御部7は、以下に示す図11の状態遷移の動作となるように、チューナ・復調部1への選局指示を出力し、デマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示を出力する。
図11は、この発明の実施の形態4における選局制御部7の選局動作の状態遷移図である。
図11において、「放送局Aの弱階層視聴71」の状態は、放送局Aの弱階層伝送番組を視聴している状態であり、「放送局Aの強階層視聴72」の状態は、放送局Aの強階層伝送番組を視聴している状態である。「放送局Bの弱階層視聴73」の状態は、放送局Bの弱階層伝送番組を視聴している状態であり、「放送局Bの強階層視聴74」の状態は、放送局Bの強階層伝送番組を視聴している状態である。
又、放送局Aと放送局Bは互いに系列局の関係であり、各放送局で視聴される番組は、全て同一時刻に放送されている同一番組である。
「系列局サーチ75」の状態は、放送局A又はBの系列局を、例えば物理周波数の低いチャンネルから順にチャンネルサーチして系列局を選局している状態である。
「放送局Aの弱階層視聴71」の状態から「放送局Aの強階層視聴72」の状態への遷移71Aの条件は、放送局Aの弱階層伝送の番組が「現状受信不可状態」であることである。
「放送局Aの強階層視聴72」の状態から「放送局Bの弱階層視聴73」の状態への遷移72Aの条件は、放送局Aの強階層伝送の番組が「現状受信不可状態」であり、かつ系列局として放送局Bが検出済みであることである。
「放送局Aの強階層視聴72」の状態から「系列局サーチ75」の状態への遷移72Bの条件は、放送局Aの強階層伝送の番組が「現状受信不可状態」であり、かつ系列局が未検出であることである。
「放送局Aの強階層視聴72」の状態から「放送局Aの弱階層視聴71」の状態への遷移72Cの条件は、受信状況が改善して、放送局Aの弱階層伝送の番組が「現状受信可状態」となったことである。
「放送局Bの弱階層視聴73」の状態から「放送局Bの強階層視聴74」の状態への遷移73Aの条件は、放送局Bの弱階層伝送の番組が「現状受信不可状態」であることである。
「放送局Bの強階層視聴74」の状態から「放送局Aの弱階層視聴71」の状態への遷移74Aの条件は、放送局Bの強階層伝送の番組が「現状受信不可状態」であり、かつ系列局として放送局Aが検出済みであることである。
「放送局Bの強階層視聴74」の状態から「系列局サーチ75」の状態への遷移74Bの条件は、放送局Bの強階層伝送の番組が「現状受信不可状態」であり、かつ系列局が未検出であることである。
「放送局Bの強階層視聴74」の状態から「放送局Bの弱階層視聴73」の状態への遷移74Cの条件は、受信状況が改善して、放送局Bの弱階層伝送の番組が「現状受信可状態」となったことである。
「系列局サーチ75」の状態から、「放送局Bの弱階層視聴73」の状態への遷移75Aの条件は、系列局サーチにより放送局Bが系列局として検出され、「現状受信可状態」であることである。
「系列局サーチ75」の状態から、「放送局Aの弱階層視聴71」の状態への遷移75Bの条件は、系列局サーチにより放送局Aが系列局として検出され、「現状受信可状態」であることである。
図12、図13及び図14は、この発明の実施の形態4における選局制御部7の動作フロー図である。
以下に、図12、図13及び図14を用いて選局制御部7の動作を説明する。
まず、デジタル放送受信装置が、選局制御部7の指示により一つの放送局(例えば図11に示された2つ放送局の一方の放送局A)の弱階層伝送の番組を視聴している状態(例えば図11の「放送局Aの弱階層視聴71」の状態)であるとする(S21)。
この場合、選局制御部7は、その視聴中の番組の放送局の少なくともチャンネル情報を系列局記憶部8又は他の記憶部に記憶させる(S22)。
上記したステップS21の状態で選局制御部7は、受信不可検出部6から「受信不可通知」を受信したか否か、即ち、「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S23)。「現状受信可状態」である(「受信不可通知」を受信していない)場合(S23でYES)には、ステップS21に戻って同じ局の弱階層伝送の番組の視聴を継続する。
現状受信不可状態である(「受信不可通知」を受信している)場合(S23でNO)には、同じ局の強階層伝送の番組を視聴させる(S24)。これは、例えば図11の「放送局Aの弱階層視聴71」の状態から「放送局Aの強階層視聴72」の状態への遷移71Aに相当する。
強階層視聴中にも、選局制御部7は、受信不可検出部6から「受信不可通知」を受信したか否か、即ち、「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S25)。
強階層伝送の番組が「現状受信可状態」である場合(S25でYES)には、選局制御部7は、ステップS34に進んで同じ局の弱階層伝送の番組の受信が可能であるか否か、即ち、「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S34)。同じ局の弱階層伝送の番組の受信が可能である場合(S34でYES)には、ステップS21に戻って当該同じ局の弱階層伝送の番組を視聴させる。
ステップS34で、弱階層伝送の番組の受信が不可である場合(S34でNO)には、ステップS24に戻って強階層伝送の番組の視聴を継続させる。
ステップS25で強階層伝送の番組が、「現状受信不可状態」である場合(S25でNO)には、選局制御部7は、系列局記憶部8に同じ系列の他の放送局のチャンネル情報が記憶されているか否かを判断する(図13のS26)。
ステップS25において、系列局記憶部8に同じ系列の他の放送局のチャンネル情報が記憶されていた場合(S26でYES)には、選局制御部7は、その同系列の放送局を選局させる(S27)。そして、受信不可検出部6から当該放送局の弱階層伝送の番組が「受信可状態」かどうか、即ち該番組について「受信不可通知」を受信したか否かを判断する(S28)。
系列記憶部8に同じ系列の複数の放送局のチャネル情報が記憶されている場合には、ステップS27においては、上記複数のチャネル情報のうちの優先度の高いもの、即ち、優先順位が1番目のものを選局する。この場合、例えば、視聴していた放送局からの番組の受信信号から得られるサービスIDの地域識別値で特定される地域の隣接地域の地域識別コードを求め、系列局記憶部8に記憶された複数の系列局のうち、視聴中の番組の受信信号の放送局の隣接地域(求められた地域識別コードで特定される)に配置された放送局のうちの最も近いものの優先順位を1番目とし、他のものは近さの順に優先順位を決める。
ステップS28で「現状受信可状態」である場合(S28でYES)には、その系列局の弱階層伝送の番組を視聴させる(S29)。
これは、例えば、図11「放送局Aの強階層視聴72」の状態から「放送局Bの弱階層視聴73」の状態への遷移72Aに相当する。
選局制御部7は、その放送局の弱階層伝送の番組を視聴中にも受信不可検出部6から「受信不可通知」を受信したか否かの判断を継続して(繰り返し)行う(S30)。
ステップS30で、視聴中の放送局の弱階層伝送の番組の受信が不可である場合(S30でNO)には、同じ局の強階層伝送の番組を視聴させる(S31)。
これは、例えば図11の「放送局Bの弱階層視聴73」の状態から「放送局Bの強階層視聴74」の状態への遷移73Aに相当する。
ステップS28で「現状受信不可状態」である場合(S28でNO)にも、ステップS31に進み、選局制御部7は、同じ放送局の強階層伝送の番組を視聴させる。
選局制御部7は、その放送局の強階層伝送の番組を視聴中にも受信不可検出部6から受信不可通知を受信したか否か、即ち、「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S32)。
「現状受信可状態」である場合(S32でYES)には、同じ放送局の弱階層伝送の番組の受信が「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S33)。「現状受信不可状態」である場合(S33でNO)には、ステップS31に戻って、その放送局の強階層伝送の番組の視聴を継続する。
「現状受信可状態」である場合(S33でYES)には、ステップS29に戻って、その放送局の弱階層伝送の番組を視聴させる。
ステップS32で「現状受信不可状態」場合(S32でNO)には、その受信不可と判断された系列局)を除外し(S46)、それ以外に系列記憶部8に同じ系列局の放送局のチャンネル情報が記憶されているかどうかの判定を行う(S26)。
ステップS46を経た後のステップS26でYESであれば、ステップS27に進むが、この場合、ステップS46の処理で除外された系列局以外の系列局の中で優先順位の最も高いものを選択する。
複数の系列局のすべてについて、ステップS32の判定における答えがすべてNOであった場合には、その次に行われるステップS26の判定で答えがNOとなる。最初のステップS26の判定で、系列局が1つしか記憶されていない場合には、その後ステップS28〜S32を経て最初にステップS26の判定を行う際、答えがNOとなる。
ステップS26でNOの場合には、「系列局サーチ・視聴」の処理S48を行う。この処理S48は、例えば図14に示されるように行なわれるものであり、図11の「系列局サーチ75」及びサーチにより検出された放送局の番組の視聴に相当するものである。
選局制御部7は、図11のチューナ・復調部1に指示してまず、その帯域のチャンネルのうち、チャンネル番号が最小値のチャンネルを選局させ(S35)、選局された放送局からの信号に含まれる情報を検査する(S36)。信号中に含まれる情報から、選局した放送局が系列局かどうかの判定を行う(S37)。この判定は、例えば実施の形態1と同様な方向で行い得る。
そして、検査した放送局が同系列の放送局ではない場合(S37でNO)には、次に選局したチャンネルがその帯域のチャンネルのうち、チャンネル番号が最大値のチャンネルになっているか否かを判断する(S38)。
選局したチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルではない場合(S38でNO)には、選局するチャンネルを一つ繰り上げ(S39)、ステップS36に戻る。
ステップS38で、選局したチャンネルがチャンネル番号が最大値のチャンネルである場合(S38でYES)には、ステップS35に戻り、ステップS35以下の処理を繰り返す。
ステップS37で系列局が検出された場合(S37でYES)には、選局制御部7は、検出された系列局のチャンネル情報と、ステップS22で記憶された視聴中の番組の放送局のチャンネル情報とを同系列の放送局であるとして関連付けて系列局記憶部8に記憶させる(S40)と共に、検出された系列局の弱階層伝送の番組を視聴させる(S41)。
この処理は、例えば、図11の「系列局サーチ75」の状態から「放送局Bの弱階層視聴73」の状態への遷移75Aに相当する。
ステップS41で弱階層伝送の番組の視聴中にも、その同じ放送局の弱階層伝送の番組が「現状受信可状態」である否かを判断を継続して(繰り返し)行う(S42)。
ステップS42で「現状受信不可状態」である場合(S42でNO)には、同じ放送局の強階層伝送の番組を視聴させる(S43)。
これは、例えば図11の「放送局Bの弱階層視聴73」の状態から「放送局Bの強階層視聴74」の状態への遷移73Aに相当する。
そして、選局制御部7は、強階層伝送の番組を視聴中にも「現状受信可状態」であるか否かを判断を継続して(繰り返し)行う(S44)。
「現状受信可状態」である場合(S44でYES)には、同じ放送局の弱階層伝送の番組の受信が「現状受信可状態」であるか否かを判断する(S45)。
ステップS45で「現状受信不可状態」である場合(S45でNO)には、ステップS43に戻って、強階層伝送の番組の視聴を継続させる。
ステップS45で、「現状受信可状態」である場合(S45でYES)には、ステップS41に戻って、その放送局の弱階層伝送の番組を視聴させる。
この処理は例えば、図11の「放送局Bの強階層視聴74」の状態から「放送局Bの弱階層層視聴73」の状態への遷移74Cに相当する。
ステップS44で「現状受信不可状態」である場合(S44でNO)には、図13のステップS26に戻る。
本実施の形態では、「放送局Aの弱階層視聴71」の状態である場合に、実施の形態4に記載したのと同様に受信不可検出部6が「現状受信不可状態」を検出した場合には、受信不可通知が選局制御部7に送信される。
受信不可検出部6から受信不可通知を受信した選局制御部7は、デマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示を通知し、図11の「放送局Aの強階層視聴72」の状態に遷移させて、放送局Aの強階層伝送による番組を視聴させる。図11の「放送局Aの強階層視聴72」の状態で、更に受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合で、系列局が未検出の場合には、選局制御部7は「系列局サーチ75」の状態に遷移し、系列局のサーチを行う。系列局の検出においては、実施の形態1と同様に、例えば、デマルチプレクス部2で検出されるTS中の番組配列情報(SI)のブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT)セクションにおける系列事業者識別(affiliation_id)のフィールド値が同一であれば系列局と判断すればよい。
図11の「系列局サーチ75」の状態で系列局の検出ができた場合には、選局制御部7は放送局Aと放送局Bが系列局であることを図10の系列局記憶部8に記録し、「放送局Bの弱階層視聴73」の状態に遷移する。「放送局Bの弱階層視聴73」の状態において受信不可通知を受信した場合、選局制御部7は、デマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示を通知し、図11の「放送局Bの強階層視聴74」の状態に遷移させて、放送局Bの強階層伝送を視聴させる。
この「放送局Bの強階層視聴74」の状態で受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合、選局制御部7は、放送局Bの系列局は放送局Aであることが、系列局記録部8を参照することによりわかるため、再度「系列局サーチ75」を実施するのではなく、系列局である放送局Aを選局し、「放送局Aの弱階層視聴71」の状態に直接に遷移する。
その後、「放送局Aの弱階層視聴71」の状態になっても放送局Aが受信できない場合には、「放送局Aの強階層視聴72」の状態に遷移し、この「放送局Aの強階層視聴72」の状態で受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合には、系列局が未検出の場合には「系列局サーチ75」の状態に遷移させて、改めて系列局サーチを実施する。
また、系列局記憶部8に複数の系列局が記録されていた場合、実施の形態1と同様に現在視聴中だったサービスIDに含まれる地域識別値で特定される地域に隣接する地域の地域識別コードを求め、求めた地域識別コードを含むサービスIDを持つ放送局を系列局記憶部8から検索する。その後、検索された放送局を順に選局し「現状受信可状態」の系列局を視聴させる。
また、図11の強階層伝送番組を視聴している「放送局Aの強階層視聴72」の状態及び「放送局Bの強階層視聴74」状態において、チューナ・復調部1からの受信レベル情報、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率の情報、デマルチプレクス部2からのPAT、PMT途絶通知、TS同期はずれ、及びパケット損失通知、さらに映像/音声デコード部3からのエラー通知もしくはエラー率が受信不可検出部6に通知され、その各通知から、受信不可検出部6は受信状況が改善されたことを検出することができる。その受信状況の改善が検出された場合には、受信不可検出部6は選局制御部7に受信改善通知を送信する。
この受信改善通知が受信されることにより選局制御部7は、強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示をデマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に送信し、弱階層伝送番組を視聴させるように動作する。
その結果、放送局Aの強階層視聴状態から放送局Aの弱階層視聴状態へ、又は放送局Bの弱階層視聴から放送局Bの弱階層視聴状態にそれぞれ遷移する。
本実施の形態では、視聴中だった弱階層伝送の番組が視聴できないと判断した場合には、よりノイズ、マルチパスによる影響の少ない強階層伝送番組に自動的に切替え、簡易映像、音声を視聴させることで同一番組を継続して視聴できる確率を高くすることができる。
また、強階層伝送と弱階層伝送で伝送される番組は、通常、チューナ・復調部1から一つのTSに多重されて出力されるため、弱階層伝送と強階層伝送間の切替は、チューナ・復調部1を制御して受信放送局を切り替える必要がないため、番組切替時間を短くでき、視聴が中断される時間を短縮することができる。
また、強階層伝送の番組も「現状受信不可状態」になった場合には、上記した各実施の形態と同様に受信していた放送局の系列局を自動で選局することができる。上記した実施の形態で説明したように、系列局の番組は、「現状受信不可状態」になり視聴できなくなった番組と同一の番組である可能性が高いので、同一番組を継続して視聴できる可能性も高くすることができる。
また、弱階層伝送の番組が「現状受信不可状態」となり強階層伝送の番組を選局している場合であっても、受信状況の改善を常時検出しており、改善された場合には、再度、弱階層伝送の高画質、高音質の番組を自動的に視聴できる。従って、強階層伝送の番組を選局中に受信状況が改善し、高画質、高音質で番組視聴できるにもかかわらず、強階層伝送の番組の視聴を続けてしまう事態を防止することができる。
このように本実施の形態では、上記した実施の形態1〜3の系列局の自動選局に、弱階層伝送の番組と強階層伝送の番組の自動切替を組み合わせて、自動的に系列局の選局と階層の切替を行うので、番組の視聴中断時間を実施の形態1よりも短縮できる。
特に、車等の移動体で相互に系列関係にある放送局のサービス地域の境界付近を移動する場合には、番組の視聴中断時間を実施の形態1よりも短縮でき、番組の継続視聴性もより改善することができる。
実施の形態5.
上記した実施の形態4のデジタル放送受信装置では、受信不可になった場合に番組視聴が中断される時間を実施の形態1よりも短縮して番組の継続視聴性を改善することができたが、例えば、トンネル等の電波の到達できない環境や電波が受信不良となる環境に移動した場合に、選局制御部7では受信レベルが低下したと判断し、系列局をチャンネルサーチしてしまうなどの問題を解決することができなかった。
この電波の到達できない環境や電波が受信不良となる環境で系列局のチャンネルサーチなどを行ってしまうと言う問題については、実施の形態1に対しては実施の形態2で改善していた。以下に、実施の形態4に対して上記問題を改善する実施の形態5のデジタル放送受信装置について説明する。
図15は、この発明の実施の形態5に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
図15のデジタル放送受信装置の基本的な構成は図10に示した実施の形態4の構成と同様であるが、位置検出部9が追加されている点が異なる。
位置検出部9の構成及び動作については、実施の形態2に詳しく説明しているのでここでは説明を省略する。
本実施の形態の選局制御部7は、位置検出部9から「受信不可の位置であること」の通知が受信されない場合には、図12、図13及び図14に示した実施の形態4と同様な動作を行う。
しかし、位置検出部9から「受信不可の位置であること」の通知が受信された場合には、受信不可検出部6から「現状受信不可状態」の通知があっても、選局制御部7は、図12、図13及び図14の動作における「放送局Aの弱階層視聴71」の状態、「放送局Aの強階層視聴72」の状態、「放送局Bの弱階層視聴73」の状態、「放送局Bの強階層視聴74」の状態、「系列局サーチ75」の状態から、それぞれ自動では状態遷移を行わないように動作する。つまり、図11における階層の変更となる状態遷移も系列局の自動選局の状態遷移も行わないように動作する。つまり、受信不可の位置である場合には、選局制御部7は、弱階層伝送の番組に「現状受信不可状態」の通知があって強階層伝送の番組に状態遷移せず、系列局が未検出であってもチューナ・復調部1で系列局をチャンネルサーチを実施せず、又、系列局が検出済みであっても、系列局記憶部8から系列局を検索して選局する動作を実施しない。
このように本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態2と同様に全放送局が受信できないにもかかわらず、同放送局の受信信号の階層の変更や、系列局のサーチが行われてしまう無駄な動作を防ぐことができ、電波の受信環境が良好な場所に移動した際に、電波の受信環境が悪くなる前に視聴していた番組の視聴を短時間で復帰させることができる。
実施の形態6.
実施の形態6のデジタル放送受信装置をブロック図で表すと図10のようになる。
図16は、この発明の実施の形態6における選局制御部7の選局動作の状態遷移図である。
図16において、「放送局Aの弱階層視聴81」の状態は、放送局Aの弱階層伝送番組を視聴している状態であり、「放送局Aの強階層視聴82」の状態は、放送局Aの強階層伝送番組を視聴している状態である。「放送局Bの弱階層視聴83」の状態は、放送局Bの弱階層伝送番組を視聴している状態であり、「放送局Bの強階層視聴84」の状態は、放送局Bの強階層伝送番組を視聴している状態である。又、放送局Aと放送局Bは互いに系列局の関係であり、各放送局で視聴される番組は、全て同一時刻に放送されている同一番組である。
本実施の形態は、実施の形態4に示された放送局A又はBの系列局をチャンネルサーチして選局する「系列局サーチ」の状態が無い点で異なっている。
本実施の形態では、「放送局Aの弱階層視聴81」の状態である場合に、実施の形態4に記載したのと同様に受信不可検出部6が「現状受信不可状態」を検出した場合には、受信不可通知が選局制御部7に送信される。
受信不可検出部6から受信不可通知を受信した選局制御部7は、デマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示を通知し、図16の「放送局Aの強階層視聴82」の状態に遷移させて(81A)、放送局Aの強階層伝送による番組を視聴させる。図16の「放送局Aの強階層視聴82」の状態で、更に受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合には、選局制御部7は、予め、SI情報中のEIT(Event Information Table)セクションから取得しておいたフィールド値の中から、視聴中だった放送局の弱階層伝送の番組と同一のEITセクションのフィールド値を有する弱階層伝送の番組が現在の時点で検出できれば、放送局Aと放送局Bが系列局であることを図10の系列局記憶部8に記録し、該当サービスを選局する。つまり、「放送局Bの弱階層視聴83」の状態に遷移する(82A)。
「放送局Bの弱階層視聴83」の状態でさらに受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合は、選局制御部7は、デマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示を通知し、図16の「放送局Bの強階層視聴84」の状態に遷移させて(83A)、放送局Bの強階層伝送を視聴させる。
この「放送局Bの強階層視聴84」の状態で受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合、選局制御部7は、放送局Bの系列局は放送局Aであることが、系列局記録部8を参照することによりわかるため、系列局である放送局Aを選局し、「放送局Aの弱階層視聴81」の状態に遷移する(84A)。
ここで同一番組を判別するのに用いるSIのフィールド値としては、例えば、EITセクション中の短形式イベント記述子におけるevent_name_char(番組名)のフィールド値、text_char(番組記述)のフィールド値を用いて、その各フィールド値を比較して一致をチェックすることにより判別すればよい。この比較ではPSI/SIの番組名だけでなく番組記述についても一致がチェックされるため、番組の概要説明や出演者等についても一致することになり、系列局の番組が同一番組である確率を高めることができる。
又、系列局記憶部8に複数の系列局が記録されていた場合、実施の形態1と同様に現在視聴中だったサービスIDに含まれる地域識別値で特定される地域に隣接する地域の地域識別コードを求め、求めた地域識別コードを含むサービスIDを持つ放送局を系列局記憶部8から検索する。その後、検索された放送局を順に選局し「現状受信可状態」な系列局を視聴させる。
又、図16の強階層伝送番組を視聴している「放送局Aの強階層視聴82」の状態及び「放送局Bの強階層視聴84」状態において、チューナ・復調部1からの受信レベル情報、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率の情報、デマルチプレクス部2からのPAT、PMT途絶通知、TS同期はずれ、及びパケット損失通知、さらに映像/音声デコード部3からのエラー通知もしくはエラー率が受信不可検出部6に通知され、その各通知から、受信不可検出部6は受信状況が改善されたことを検出することができる。その受信状況の改善が検出された場合には、受信不可検出部6は選局制御部7に受信改善通知を送信する。
この受信改善通知が受信されることにより選局制御部7は、強階層伝送/弱階層伝送の番組切替指示をデマルチプレクス部2及び映像/音声デコード部3に送信し、弱階層伝送番組を視聴させるように動作する。その結果、放送局Aの強階層視聴状態から放送局Aの弱階層視聴状態へ、又は、放送局Bの弱階層視聴から放送局Bの弱階層視聴状態にそれぞれ遷移する(82B,84B)。
又、図15に示した実施の形態5のように位置検出部9を有しており、その位置検出部9が現在位置が受信不可地域であることを検出した場合には、図16の状態遷移図による動作において、他の状態の同一番組への自動選局(即ち、他の状態への遷移)を実施しないように動作する。
このように本実施の形態では、SIのEITセクション中のフィールド値により階層の異なる同一番組や同系列局の同一番組を自動的に選局できるため、番組タイトルや番組のジャンルや番組識別番号だけで同一番組と判別する場合に比べて正確に同一番組であることを判別できる。特に、ニュースや天気予報等ではタイトルだけでは同一番組であるか判別できない場合があり、SIのEITセクション中のフィールド値に含まれる登場人物や概要説明を利用することで同一番組の判別の正確性を高めることができる。
実施の形態7.
図1に示された実施の形態1では、受信不可となった時点で系列局サーチを実施し、その結果、受信不可になったTSの系列局情報と同一の系列局情報を含むTSを送信(放送)している新規の系列局が検出できた場合、受信不可になったTSの系列局情報と、新規に検出された系列局のTSのチャンネル番号又は送信周波数とを関連づけて、系列局記憶部8に保存していた。又、実施の形態1では、系列局情報に、例えば、日本国内の地上デジタル放送のISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)の場合なら、ブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT)セクション及び周波数リストで伝送されるブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT)セクションにおける系列事業者識別(affiliation_id)のフィールドの値を使用して、この値が同一であるか否かで判断している。しかし、ブロードキャスター・インフォーメーション・テーブル(BIT)セクションにおける系列事業者識別(affiliation_id)のフィールドの値のみを用いた判断では、系列局を選局できる確率が十分でない場合があった。
そのため、以下に説明する本発明の実施の形態7では、実施の形態1の系列事業者識別(affiliation_id)のフィールドの値に加えて、さらに、系列局記憶部8に保存するTSの選局成功回数を示すヒットカウント値、すなわち、検出した系列局の検出回数も検出して保存しておき、その検出回数も用いることで系列局を選局できる確率を高めるようにしている。
実施の形態7に係るデジタル放送受信装置の構成及び動作は、基本的には、図1に示した実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の構成及び動作と同様であるが、上記したように、自動選局してTSが受信できた場合に、そのTSの受信成功回数を示すヒットカウント値を系列局記憶部8に保存しておき、受信不可になった時には、この保存された情報(受信成功回数を示すヒットカウント値:検出した系列局の検出回数の情報)を利用して自動選局する点が異なっている。
以下に上記保存された情報(受信成功回数を示すヒットカウント値:検出した系列局の検出回数の情報)について説明する。
選局制御部7は、受信不可検出部6が視聴していたTSが受信環境の悪化により受信不可になったことを検出した場合に、系列局記憶部8を検索する。その結果、正常にTSを受信できた場合には、選局制御部7は、そのTSに対応するヒットカウントの値を1増加させてから、系列局記憶部8にTSの系列局情報と共に保存する。又、選局制御部7は、放送周波数領域をチャンネルサーチして系列局を検出し、正常にTSを受信できた場合にも、そのTSに対応するヒットカウント値を1増加させてから、系列局記憶部8にTSの系列局情報と共に保存する。
その後、受信環境が悪化して、受信不可検出部6が、視聴していたTSの受信不可を検出した場合、選局制御部7は、まず、系列局記憶部8内の系列局のチャンネル情報から、現在位置が「受信サービス地域内である」TSか「受信サービス地域内であると推定される」TSを検索する。その検索されたTSが複数存在していた場合には、ヒットカウント値の情報を参照し、そのヒットカウント値の大きい順にチューナ・復調部1に対して選局指示を出力し、チューナ・復調部1で選局された系列局が受信可能か否かを判断する。ただし、その際に、受信不可となったTSについては、選局対象から外しても良い。
つまり、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、選局制御部7は、系列局記憶部8に系列局を関連づけて記憶させる際に、検出した系列局の検出回数を検出し、その検出回数も系列局に関連づけて系列局記憶部8に記憶させておく。そして、その後の、受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合に、系列局記憶部8から系列局のチャンネル情報を検索する。その検索結果で、現在位置で受信できる可能性のある系列局が複数局記憶されていた場合には、選局制御部7は、系列局の検出回数値が大きい系列局から順に選択する。そして、選局制御部7は、選択された系列局のチャンネル情報に基づく受信信号が「現状受信可状態」か否かを判断し、「現状受信可状態」の場合に前記系列局の番組を視聴させる。又、選局制御部7は、系列局記憶部8に系列局が記憶されていないか、又は記憶されていた全ての系列局が「現状受信不可状態」の場合には、系列局をチャンネルサーチするように指示を出力する。
なお、上記した例では、ヒットカウント値が大きい系列局を優先して選択しているが、系列局が検出する度にその系列局が選択される優先順位を一つ上げることとしても良い。
また、最も最近検出された系列局の優先順位を(それまでの優先順位に拘わらず)1番(最も早いもの)として、他の系列局の優先順位を必要に応じて一つずつ下げる(即ち、最も最近検出された系列局の変更前の優先順位よりも早い優先順位にあった他の系列局の優先順位を一つずつ下げる)こととしても良い。この場合、選局制御部7は、系列局記憶部8に系列局を関連づけて記憶させる際に、検出した系列局の優先順位を最も早い順位とし、当該検出された系列局の変更前の優先順位よりも早い優先順位にあるものして系列局記憶部8に記憶されていたその他の系列局の優先順位を、それまでの優先順位よりも一つずつ下げ、変更後の優先順位を系列局に関連づけて、系列局記憶部8に記憶させておき、次に視聴中の放送局が受信不可になって自動選局を行う際に、上記した変更後の優先順位を用いることとしても良い。即ち、受信不可検出部6から次に受信不可通知を受信した場合に、系列局記憶部8から系列局のチャンネル情報を検索し、現在位置で受信できる可能性のある系列局が複数局記憶されていた場合には、系列局の選局の優先順位が早い系列局から順に選択し、選択された系列局のチャンネル情報に基づく受信信号が「現状受信可状態」か否を判断し、「現状受信可状態」の場合に系列局の番組を視聴し、系列局が記憶されていないか、又は記憶されていた全ての系列局が「現状受信不可状態」の場合には、系列局をチャンネルサーチするように指示を出力するようにしてもよい。
以上のように本実施の形態では、系列局関係にあるTSが検出できたときにそのTSに関するチャンネル情報に関連させてそのTSのヒットカウント値を記憶させ、そのTSが検出できる度にヒットカウント値を1だけ増加させて記憶するようにしたので、日常頻繁に走行する地域における系列局のTSについてはヒットカウント値が他より大きくなる。そして、ヒットカウント値が他より大きいことで、そのTSについては系列局検索時に優先順位を早い順位とされる。従って、その検出されたTSが、受信不可時の系列局の自動選局(自動検索)において選局される確率が高くなり、かつ、高速に選局できることになる。またGPSなどの位置特定のためのハードウエア(H/W)を用いないでも受信不可時の系列局の自動選局において選局される確率を高くすることができ、デジタル放送受信装置のコストを低減できる。
実施の形態8.
本発明の実施の形態8に係るデジタル放送受信装置の構成及び動作も、基本的には、図1に示した実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の構成及び動作と同様であるが、動作上で、受信不可時に自動選局してTSが受信できた場合に、そのTSが受信不可になったTSに対してMFN(Multi Frequency Network)の関係にあるか否かを系列局記憶部8に保存しておく。そして、その後に受信不可になった時には、保存されたMFN情報を利用して、その受信不可TSとMFN関係のTSを自動選局する点が異なっている。
尚、MFN(Multi Frequency Network)とは、互いに一部が重なる複数のサービス地域にそれぞれ異なる送信所(中継局)から同一の放送局の同一番組が放送される場合に、送信所(中継局)ごとに異なる周波数を割り当てたネットワークであり、送信所の一つが親局である場合もある。従って、MFNの関係にあるTSは、内容が同一で、異なる周波数で送信されたTSである。
本実施の形態のデジタル放送受信装置は、受信不可となった時点で系列局記憶部8内のMFN情報を参照して、受信不可になったTSとMFN関係にあるTSを検索する。そして、MFN関係にあるTSが複数検索された場合には、その各TSを順番にチューナ・復調部1で選局してみることで受信可能か否かを判別する。その結果、新規に受信可能なMFN関係にあるTSが検出できた場合、その検出されたTS(系列局TS)に対してそのチャンネル番号または送信周波数と関連づけて系列局記憶部8に保存する。ISDB−Tの場合のMFNのTSのチャンネル番号及び周波数情報は、PSI中の「NIT(Network Information Table)セクション」の「伝送される地上分配システム記述子」に含まれる「frequencyフィールド」、又は、「周波数リストの記述子」に含まれる「physical_chフィールド」、及び、「new_physical_chフィールド」から得ることができる。また、欧州のデジタル放送規格DVB(Digital Video Broadcasting)の場合では、NITセクションの「伝送されるfrequency list記述子」に含まれる「centre_frequencyフィールド」、又は、「cell_frequency_list記述子」に含まれる「transposer_frequencyフィールド」から得ることができる。
本実施の形態では上記MFN情報に加えて、さらに上記実施の形態7で説明した系列局記憶部8に保存した各TSの選局成功回数を示すヒットカウント値も保存する。このヒットカウント値は、受信環境の悪化により受信不可検出部6が視聴していたTSの受信不可を検出した場合に、選局制御部7が系列局記憶部8を検索した結果、検出された系列局からのTSが正常に受信できた場合にそのTSに対するヒットカウントの値を1増加させる。また同様に選局制御部7が、放送周波数領域をチャンネルサーチして検出した系列局からのTSが正常に受信できた場合にもそのTSに対するヒットカウント値を1増加させる。
受信環境の悪化により受信不可検出部6が視聴していたTSの受信不可を検出した場合に、選局制御部7はまず受信不可となったTSで伝送されたMFN情報を参照し、MFN関係にあるTSが複数あった場合に、系列局記憶部8から、それらのTSのチャンネル情報を検索する。それらのTSが複数記憶されていた場合には、ヒットカウント値の大きいTSから先にチューナ・復調部1に選局指示を出し受信可能か判断する。ただし元々視聴していた受信不可となったTSは自動選局対象から外しても良い。
つまり、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、選局制御部7からの指示出力によりチャンネルサーチして検出された放送局又は入力手段により指定された放送局からのデジタル放送番組の受信信号を受信して選局、復調、誤り訂正を行い、選局された番組の受信信号のTSを出力するチューナ・復調部1を備え、選局制御部7は、系列局記憶部8に系列局を関連づけて記憶させる際に、チューナ・復調部1で視聴中の番組を伝送するTSと同一のTSが検出された場合に、その検出されたTSがMFNの関係であることを検出し、その検出されたMFN関係にあるTSの少なくともチャンネル情報と視聴中の番組を伝送するTSの少なくともチャンネル情報とをMFN関係があるものとして関連付けて系列局記憶部8に記憶させておき、受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合に、系列局記憶部8からMFN関係にあるTSを検索し、現在位置で受信できる可能性のあるMFN関係にあるTSのチャンネル情報に基づく受信信号が「現状受信可状態」か否かを判断し、「現状受信可状態」の場合にMFN関係にあるTSが伝送する番組を視聴させ、MFN関係にあるTSが記憶されていないか、又は記憶されていた全ての前記MFN関係にあるTSが伝送する番組が「現状受信不可状態」の場合には、系列局をチャンネルサーチするように指示を出力する。
なお、MFN関係にあるTSが記憶されていないか、又は記憶されていた全ての前記MFN関係にあるTSが伝送する番組が「現状受信不可状態」の場合に、系列局をチャンネルサーチする前に、系列局記憶部を参照して、実施の形態1乃至6などと同様に今まで視聴していた放送局の系列局があるかどうかの判定を行い、系列局が検出された場合には、検出された系列局からの受信信号が「現状受信可状態」かどうかの判定を行うようにしても良い。
さらに本実施の形態では、選局制御部7は、検出されたTSの検出回数を検出し、MFN関係であることと共に検出回数も系列局に関連づけて系列局記憶部8に記憶させておき、受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合に、系列局記憶部8からMFN関係にあるTSを検索する。選局制御部7は、現在位置で受信できる可能性のあるMFN関係にあるTSが複数記憶されていた場合には、MFN関係にあるTSの検出回数値が大きい系列局から順に選択し、選択されたTSのチャンネル情報に基づく受信信号が「現状受信可状態」か否かを判断し、「現状受信可状態」の場合にMFN関係にあるTSが伝送する番組を視聴させる。
以上のように本実施の形態では、MFN関係にあるTSが検出できたときに、そのTSに関するチャンネル情報を保存するので、受信不可時の検索時にMFN関係にあるTSが伝送する番組が優先的に選局される。さらに、それと共に、実施の形態7と同様にヒットカウント値を1増加させて保存するようにしているので、日常頻繁に走行する地域におけるMFNのTSに対してはヒットカウント値が他より大きくなり、受信不可時のMFN検索時に優先的に選局される。従って、日常良く受信するTSを高速に自動選局することができる。またGPSなどの位置特定のための追加ハードウエア(H/W)が不要なため、受信不可時の検索する機能のコストを低減させることができる。
実施の形態9.
実施の形態9に係るデジタル放送受信装置では、実施の形態7、8の構成と同一であるがヒットカウント値による選局順の決定ではなく、以下のようなアルゴリズムで選局順を決定する点が異なる。
実施の形態8に示したように系列局記憶部8には、系列局情報、又は、MFN情報が格納されるが、本実施の形態では、さらに系列局記憶部8に、互いに同一の系列局関係にあるTSの選局順情報、及び、互いにMFN関係にあるTSの選局順情報も格納される。この選局順情報は、受信不可検出部6が、受信環境の悪化によって視聴していたTSの受信が不可になったことを検出した場合に、選局制御部7が、系列局記憶部8を検索し、系列局関係またはMFN関係にあるTSを選局した結果、チューナ1でその選局したTSが正常に受信できた場合にそのTSに対する選局順が最優先になるように設定する。また同様に選局制御部7が、放送周波数領域をチャンネルサーチし系列局関係またはMFN関係にあるTSを検出し正常に受信できた場合にも、そのTSに対する選局順が最優先になるように設定する。その結果、それ以外のTSの選局の優先順位を必要に応じて1つずつ下げる(即ち、系列局関係またはMFN関係にあるものとして検出されたTSの変更前の優先順位よりも早い優先順位にあったTSの優先順位を1つずつ下げる)。
図17(a)、(b)は、この発明の実施の形態9における系列局が受信出来た場合、即ち新規TSが検出された場合の優先順位変更(即ち次回の選局の優先順位の決定)のためのアルゴリズムを示す図である。
更に詳しくは、図17(a)は、受信不可が検出された時の自動選局において、系列局記憶部8に保存された各TS(A)、TS(B)、TS(C)で選局する場合の系列局記憶部8内の選局の優先順位(旧選局順、即ち変更前の選局順)を示し、
図17(b)は、図17(a)の選局順では選局できなかった場合に、周波数を順にスキャンする系列局サーチにより、新規に系列局関係にあるTS(D)が検出され、系列局記憶部8に無い新規のMFN関係にあるTS(D)が選局された場合に、系列局記憶部8内の選局の優先順位(選局順)が更新された場合の系列局記憶部8内の選局の優先順位(新選局順、即ち変更後の選局順)を示す図である。
図17(a)及び(b)でTS(A)、TS(B)、TS(C)、TS(D)は互いに系列局又はMFNの関係にあるものとする。
まず、図17(a)、(b)を用いて、選局順が入れ替えられる様子を説明する。図17(a)に示されたTS状態は、例えば、系列局記憶部8に記憶されるA,B,Cの3つの系列局の関係、又は、MFN関係にあるTSであるTS(A)、TS(B)、TS(C)が保存されている状態であるとする。同図において数字の小さいほうが選局の優先順位が高く、つまり、レベル1のものが最優先順位で選局されることを示している。受信環境悪化により受信不可検出部6が視聴していたTSの受信不可を検出した場合に、選局制御部7が、系列局記憶部8内の系列関係またはMFN関係にあるTSであるTS(A)、TS(B)、TS(C)のいずれも選局できなかった場合には、系列サーチを行いその結果、新規に系列局関係にあるTSであるTS(D)が選局できたとき、系列局記憶部8にTS(D)の選局情報が記憶されると共に、TS(D)の次回選局時の優先順位を最優先のレベル1に設定する。その結果、これまでの旧選局順で設定されていたレベル1のTS(A)、レベル2のTS(B)、レベル3のTS(C)の選局順は、それぞれ優先順位が一つずつ低下する。図17(a)及び図17(b)では、TS(A)はレベル1からレベル2に、TS(B)はレベル2からレベル3に、TS(C)はレベル3からレベル4にそれぞれ優先順位が下げられている。
また、図17(b)では、系列局記憶部8内に受信不可となったTSとMFNの関係にあるTS(D)が存在しない図17(a)の場合に、受信不可となったTSが伝送するMFN情報にTS(D)が記載されており、そこに記載されていたTS(D)が伝送するチャンネルを選局した結果、TS(D)を用いた放送が受信できた際に、新規TS(D)の選局に必要な情報を系列局記憶部8に保存すると共に、その選局の優先順位をレベル1として保存する様子を示している。
図18(a)、(b)は、この発明の実施の形態9における系列局記憶部8内に保存された系列局またはMFNのTSが受信できた場合、即ち系列局記憶部内のTSで選局できた場合の優先順位変更(次回の選局の優先順位の決定)のためのアルゴリズムを示す図である。
更に詳しくは、図18(a)は、受信不可が検出された時の自動選局において、系列局記憶部8に保存されたレベル2のTS(A)、レベル3のTS(B)、レベル4のTS(C)、レベル1のTS(D)の内のレベル2のTS(A)により、系列局またはMFN関係のTSが選局できた場合の系列局記憶部8内の選局の優先順位(旧選局順)を示し、図18(b)は、レベル2のTS(A)で選局できたことから系列局記憶部8内のTS(A)の選局における優先順位(選局順)をレベル1に上げて更新した場合の系列局記憶部8内の選局の優先順位(新選局順)を示す図である。
図18(a)及び(b)でも、TS(A)、TS(B)、TS(C)、TS(D)は互いに系列局又はMFNの関係にあるものとする。
図18(a)は、系列局記憶部8に(A),(B),(C),(D)の4つの系列局の関係、又は、MFN関係にあるTSが選局優先度の高い方からレベル1のTS(D)、レベル2のTS(A)、レベル3のTS(B)、レベル4のTS(C)の順で保存されている状態とする。受信環境悪化により、受信不可検出部6が、視聴していたTSの受信不可を検出した場合に、選局制御部7が、系列局記憶部8内の系列関係またはMFN関係にあるTSを検索し、選局順がレベル2のTS(A)のTSの受信ができた場合、選局できたTS(A)の選局の優先順位を最高のレベル1として設定し、これに伴いそれ以外のTSのうち、変更前の選局の優先順位において、選局出来たレベル2のTS(A)よりも上位にあったTSの優先順位を1ずつ下げる。即ち、図18(b)に示すようにTS(D)がこれに相当してレベル1からレベル2に選局順を下げ、レベル3のTS(B)、レベル4のTS(C)については、旧選局順においてレベル2のTS(A)よりも優先順位が低いので選局の優先順位の変更は行われない。
次に、受信環境の悪化により受信不可検出部6が視聴していたTSの受信不可を検出した場合には、選局制御部7は、系列局記憶部8から、受信できなくなったTSと系列局またはMFNの関係にあるTSのチャンネル情報を検索する。この検索結果で、系列局またはMFN関係にあるTSが複数存在していた場合には、選局制御部7は、系列局記録部8に保存しておいた選局順に従って選局を行い、選局された放送が受信可能か否かの判断を行い、系列局またはMFNを検索する。但し、元々視聴していたTSは、受信不可時の自動選局対象から外しても良い。
つまり、本実施の形態では、選局制御部7は、検出されたTSの検出回数を検出し、検出されたMFN関係にあるTSの次回のMFN関係にあるTSのチャンネル情報の検索時に選局される優先順位を最も早い順位とし、他のMFN関係にあるTSの次回のチャンネル情報の検索時に選局される優先順位がそれまでの優先順位以下に低下するように系列局記憶部8に記憶させておき、受信不可検出部6から受信不可通知を受信した場合に、系列局記憶部8からMFN関係にあるTSのチャンネル情報を検索する。選局制御部7は、現在位置で受信できる可能性のあるMFN関係にあるTSが複数あるものとして記憶されていた場合には、MFN関係にあるTSの選局の優先順位が早い方から順にTSを選択し、選択されたMFN関係にあるTSのチャンネル情報に基づく受信信号が「現状受信可状態」か否かを判断し、「現状受信可状態」の場合にMFN関係にあるTSが伝送する番組を視聴させるように指示を出力する。
以上のように、本実施の形態では、系列局関係またはMFN関係にあるTSが検出できたときに、そのTSに関するチャンネル情報と共に、次回の受信不可時において系列局またはMFN関係にあるTSの選局の優先順位を保存し、この選局の優先順位の決定方法を受信不可時の自動選局の結果、受信できたTSに対する次回の選局の優先順位を上げるか最優先するようにしたので、日常頻繁に走行していない地域に移動した際にも、2回目以降の受信不可発生時の系列局またはMFNのTSの自動選局を高速に実施することができる。また日常頻繁に走行している地域に戻った場合には、系列局記憶部8に保存された選局優先順位は比較的高速になる値が保存されているため、比較的高速な自動選局を実施できる。またGPSなどの位置特定のための追加ハードウエア(H/W)が不要なため、受信不可時の検索する機能のコストを低減させることができる。
実施の形態10.
実施の形態10に係るデジタル放送受信装置では、実施の形態1における構成と同一であるが、以下の点が異なる。
受信不可検出部6では、チューナ・復調部1からの電界レベル(受信信号レベル)、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、デマルチプレクス部2からのPAT及びPMTの途絶情報、TS同期はずれ情報、TSヘッダ内の連続性カウンタ値の異常発生情報、映像/音声デコード部3からのデコードエラー情報等の内のいずれかの情報の履歴を収集する。受信不可検出部6がその収集情報から受信不可を検出した場合で、選局制御部7による系列局記憶部8の検索やチャンネルサーチにより系列局関係又はMFN関係にあるTSが検出できた場合には、選局制御部7は、検出できたTSのチャンネル選局情報を系列局記憶部8に保存すると共に、受信不可が発生する直前の所定期間におけるこれら受信異常履歴情報も保存する。尚、ここで所定期間とは、例えば、デジタル放送受信装置は、上記したような各種のステータス情報を、常時、例えば数秒程度の一定のサンプリング周期毎に収集しているが、その「一定のサンプリング周期」を意味する。
その後、次に受信不可検出部6が受信不可を検出した場合、選局制御部7は、そのときの各種情報の変化パターンと同一または類似の過去の変化パターンを表す受信異常履歴情報を系列局記憶部8から検索する。選局制御部7は、変化パターンが同一または類似の受信異常履歴情報が検出されると、検出された受信異常履歴情報に関係付けて記憶されているチャンネル選局情報に基づいて選局を行う。即ち、変化パターンが同一又は類似の受信異常履歴情報が得られたときに、選択され、受信が可能であった系列局関係にある局又はMFN関係にある局を、選局させる。
つまり、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、デジタル放送番組の受信信号を受信して選局、復調、誤り訂正を行い、選局された番組の受信信号のTSを出力すると共に、その番組の受信信号の受信レベル情報、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率の各種情報の少なくとも一つを出力するチューナ・復調部1と、TSから映像/音声ストリームを分離抽出して出力し、TSからPSI/SIを抽出してそのPSI/SIを保存すると共に、PAT断絶情報、PMT断絶情報、TS同期はずれ情報、TSパケットの損失情報の各種情報の少なくとも一つを出力するデマルチプレクス部2と、映像/音声ストリームから映像の復号及び音声の復号を行い復号された映像信号及び音声信号を出力すると共に、デコードエラー検出情報、デコードエラー率情報の各種情報の少なくとも一つを出力する映像/音声デコード部3を備えている。
そして、受信不可検出部6が、各種情報の少なくとも一つに基づいて番組の受信信号が「現状受信不可状態」であることを検出した場合には、選局制御部7は、系列局記憶部8内の検索又はチャンネルサーチにより系列局の関係又はMFN関係にあるTSが検出できた場合に、検出できたTSのチャンネル局情報を系列局記憶部8に記憶させておくと共に、「現状受信不可状態」が発生する直前の所定期間の上記各種情報の変化パターンを受信異常履歴情報として、検出できたTSのチャンネル局情報に関連づけて系列局記憶部8に記憶させておく。
そして、その後、受信不可検出部6が「現状受信不可状態」を検出した時には、選局制御部7は、系列局記憶部8に記憶された受信異常履歴情報からその際の(検出された)受信異常履歴情報の変化パターンと同一又は類似の変化パターンを表す受信異常履歴情報を検索し、変化パターンが同一又は類似の受信履歴情報が検出されたときは、検出された受信異常履歴情報に関連して記憶されている系列局関係又はMFN関係にあるTSのチャンネル選局情報を選局に用いる。
以上のように本実施の形態では、選局制御部7は、系列局関係またはMFN関係にあるTSの自動選局ができたときにそのTSに関するチャンネル情報と共に受信不可発生直前の受信異常履歴情報を保存するようにし、次回以降、受信不可時において保存した受信異常履歴情報の中から、そのときの受信異常情報の変動パターンと類似のものを検索し、そのTSを自動選局するようにしたので、過去に受信できなかった同一地点で自動選局できたTSが受信できる可能性を高めることができ、そのTSを最初に選局することで、高速な自動選局ができる可能性を高めることができる。またGPSなどの位置特定のための追加ハードウエア(H/W)が不要なため、受信不可時の検索する機能のコストを低減させることができる。
実施の形態11.
実施の形態11に係るデジタル放送受信装置では、実施の形態1における構成と同一であるが、以下の点が異なる。
受信不可検出部6では、チューナ・復調部1からの電界レベル(受信信号レベル)、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、デマルチプレクス部2からのPAT及びPMTの途絶情報、TS同期はずれ情報、TSヘッダ内の連続性カウンタ値の異常発生情報、映像/音声デコード部3からのデコードエラー情報等の内のいずれかの情報の履歴を収集する。受信不可検出部6がその収集情報から受信不可を検出した場合で、選局制御部7による系列局記憶部8の検索やチャンネルサーチにより系列局関係又はMFN関係にあるTSが検出できた場合には、選局制御部7は、検出できたTSのチャンネル選局情報を系列局記憶部8に保存すると共に、受信不可が発生する直前の所定期間におけるこれら受信異常履歴情報も保存する。
その後、次に受信不可検出部6が受信不可を検出した場合に、選局制御部7は、その受信不可が発生する直前の所定期間に取得した受信異常履歴情報において、例えば、電界レベルの変化が急峻に悪化するようなケースでは、トンネル内環境のような、どのチャンネルも受信できないような環境に入ったと判断し、自動的な系列局関係またはMFN関係にあるTSのサーチ、選局動作の実施を中止させる。
つまり、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態10と同様に、デジタル放送番組の受信信号を受信して選局、復調、誤り訂正を行い、選局された番組の受信信号のTSを出力すると共に、その番組の受信信号の受信レベル情報、受信C/N比情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率の各種情報の少なくとも一つを出力するチューナ・復調部1と、TSから映像/音声ストリームを分離抽出して出力し、TSからPSI/SIを抽出してそのPSI/SIを保存すると共に、PAT断絶情報、PMT断絶情報、TS同期はずれ情報、TSパケットの損失情報の各種情報の少なくとも一つを出力するデマルチプレクス部2と、映像/音声ストリームから映像の復号及び音声の復号を行い復号された映像信号及び音声信号を出力すると共に、デコードエラー検出情報、デコードエラー率情報の各種情報の少なくとも一つを出力する映像/音声デコード部3を備えている。
そして、受信不可検出部6が、各種情報の少なくとも一つに基づいて番組の受信信号が「現状受信不可状態」であることを検出した場合には、選局制御部7は、系列局記憶部8内の検索又はチャンネルサーチにより系列局の関係又はMFN関係にあるTSが検出できた場合に、検出できたTSのチャンネル局情報を系列局記憶部8に記憶させておくと共に、「現状受信不可状態」が発生する直前の所定期間の上記各種情報の変化パターンを受信異常履歴情報として、検出できたTSのチャンネル局情報に関連づけて系列局記憶部8に記憶させておく。このとき、どの放送局からの番組もすべて「現在受信不可状態」であるときは、そのことも当該受信異常履歴情報に関連付けて記憶させておく。
そして、その後、受信不可検出部6が「現状受信不可状態」を検出した時には、そのときの各種情報の変化パターンと同一又は類似の過去の変化パターンを表す受信異常履歴情報を系列局記憶部8から検索する。選局制御部7は、変化パターンが同一または類似の受信異常履歴情報が検出されると、検出された受信異常履歴情報に関係付けて記憶されているチャンネル選局情報に基づいて選局を行う。即ち、変化パターンが同一又は類似の受信異常履歴情報が得られたときに選択され、受信が可能であった系列局関係にある局又はMFN関係にある局を、選局させる。また、検出された受信異常履歴情報に関連付けて、どの放送局の番組も「現在受信不可状態」であったとの情報が記憶されている場合には、選局や放送局の切替えを実施しない。このようにするのは、検出された各種情報の変化パターンは、デジタル放送受信装置が、どのチャンネルも選局できない位置にあることを表すと考えられるからである。
以上のように本実施の形態では、受信不可発生直前の受信異常情報の変化パターンにより全くどのチャンネルも受信出来ないような環境であるか判別してその場合は選局を中止するため、トンネル内などで自動選局が動作させないためトンネルから抜けた際に、元々受信していたTSの再受信が短時間でできるようになる。またGPSなどの位置特定のための追加ハードウエア(H/W)が不要なため、受信不可時の検索する機能のコストを低減させることができる。
実施の形態12.
図19は、この発明の実施の形態12に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。図19において第1のチューナ部100及び第2のチューナ部102はそれぞれ、アンテナからの信号を受信し、そこから特定の周波数の信号を抽出する。どの周波数の信号を抽出するかは、選局制御部7が制御することができる。又、第1のチューナ部100及び第2のチューナ部102はそれぞれ受信レベル情報を出力する。
復調部101は第1のチューナ部100からの信号の復調、誤り訂正を行い、TSを出力する。又、復調部101は、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の中から少なくとも1つを出力する。
図19の第1のチューナ部100と復調部101をあわせたものが、図1のチューナ・復調部1に相当する。
なお、第1のチューナ部100、及び第2のチューナ部102のいずれか、または両方については、本受信装置を移動体用として使用する場合等では、複数のアンテナ出力を複数のチューナ部でそれぞれ受信するダイバーシティ構成のものであってもよい。一方、本受信装置を家庭用の固定受信機として使用する場合等では、第1のチューナ部100、及び第2のチューナ部102はそれぞれ一つのアンテナ出力を一つのチューナ部で受信するものであってもよい。
本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成は、実施の形態1とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、第1及び第2のチューナ部100、102のようにチューナ部が複数設けられている。また本実施の形態では、受信不可検知部6は、実施の形態1で受け取ることができる情報の他、第2のチューナ部102から受信レベル情報を受け取ることができる。また、本実施の形態では、選局制御部7は、第1のチューナ部100と第2のチューナ部102を制御し、それぞれ別々の放送局を選局することができる。
以下、本実施の形態のデジタル放送受信装置の動作について説明する。まず、第1のチューナ部100である放送局(放送局A)を選局している場合を考える。このとき、復調部101とデマルチプレクス部2と映像音声デコード部3と映像表示部4と音声出力部5は、放送局Aの映像、音声 (コンテンツ)を表示、出力するために動作している。
一方、選局制御部7は第2のチューナ部102を用いて図20のフローチャートの動作を行なう。まず、デジタル放送で利用されているチャンネルのうち、チャンネル番号が最小値のチャンネルを第2のチューナ部102で選局する(S100)。次に、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報を系列局記憶部8又は他の記憶部(図示しない)に記録する(S101)。次に、系列局記憶部8又は他の記憶部に記録された受信レベル情報を元に、系列局記憶部8に記録されている系列局の優先度を算出し、系列局記憶部8に記録する(S102)。優先度については、例えば受信レベルの高い系列局ほど高い優先度を設定する。次に、第2のチューナ部102で選局しているチャンネルがデジタル放送で利用されているチャンネルのうち、チャンネル番号が最大値のチャンネルであるかどうか判定する(S103)。第2のチューナ部102で選局しているチャンネルのチャンネル番号が最大値のチャンネルであれば(S103でYES)、デジタル放送で利用されているチャンネルのうち、チャンネル番号が最小値のチャンネルを第2のチューナ部102で選局し(S100)、ステップ101に進む。一方、第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルでなければ(S103でNO)、第2のチューナ部102で次のチャンネルを選局し(S104)、ステップS101に進む。なお、本フローチャートに示される動作は、受信レベル監視の為、常時実行される。
次に、受信状態が変化し、視聴していた放送局(放送局A)を受信できなくなった場合を考える。このとき、第1のチューナ部100、復調部101、デマルチプレクス部2、映像/音声デコード部3からの出力情報を受け、受信不可検出部6が受信不可通知を送出する。選局制御部7はこの受信不可通知を受け、第1のチューナ部100を用いて図21のフローチャートの動作を行なう。まず、放送局Aと同一系列の放送局が系列局記憶部8に記録されているかどうかを調べる(S110)。同一系列の放送局が記録されていれば(S110でYES)、その中で優先度の最も高い放送局を第1のチューナ部100で選局する(S111)。次に、第1のチューナ部100で選局した放送局が受信可状態であるか否かを判定する(S112)。受信可状態であれば(S112でYES)処理を終了する。受信不可状態であれば(S112でNO)、系列局記憶部8に記録されている放送局Aと同一系列の放送局の中で、まだ選局を行なっていない放送局が残っているかどうかを調べる(S113)。放送局Aと同一系列の放送局が残っていれば(S113でYES)、次に優先度の高い放送局を第1のチューナ部100で選局し(S114)、ステップS112へ進む。
ステップS110で放送局Aと同一系列の放送局が系列局記憶部8に記録されていない場合、及びステップS113で系列局記憶部8に記録されている放送局Aと同一系列の放送局の中で、まだ選局を行なっていない放送局が残っていない場合、ステップS115へ進む。
ステップS115では、デジタル放送で利用されているチャンネルのうち、チャンネル番号が最小値のチャンネルを第1のチューナ部100で選局する。次に、第1のチューナ部100で選局しているチャンネルが、放送局Aと同一系列の放送局か否かを判定する(S116)。放送局Aと同一系列の放送局であれば(S116でYES)、第1のチューナ部100で選局しているチャンネルを放送局Aの系列局として、系列局記憶部8に記録し(S119)、ステップS112へ進む。放送局Aと同一系列の放送局でなければ(S116でNO)、ステップS117へ進む。ステップS117では、第1のチューナ部100で選局しているチャンネルが、デジタル放送で利用されているチャンネルのうちのチャンネル番号が最大値のチャンネルか否かを判定し、第1のチューナ部100で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルであれば(S117でYES)、ステップS115に進み、第1のチューナ部100で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルでなければ(S117でNO)、第1のチューナ部100で次のチャンネルを選局し(S118)、ステップS116へ進む。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図20のフローチャートで系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルに対しても優先度を設定し、図21のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態1のデジタル放送受信装置では、系列局記憶部8に放送局Aと同一系列の放送局が複数記録されていた場合、複数の放送局から1つを選択する基準として、その時点の放送局の受信レベル情報を用いていない。よって、受信状態の悪い放送局を最初に選択する恐れがある。また、実施の形態1のデジタル放送受信装置では、隣接地域を推定するためにサービスIDの値を用いているが、サービスIDの値が図5〜図7の運用が行なわれていない場合(例えば欧州などで運用されているDVB規格のデジタル放送の場合)、隣接地域を推定することができず、受信状態の悪い放送局を最初に選局する可能性が高くなる。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報を受信し、この受信レベル情報を元に系列局の優先度を常時更新するため、受信状態のよい系列局を最初に選局する可能性が高くなる。よって、放送局Aが受信不可状態になった場合に、実施の形態1と比較して、より高速に放送局Aと同一系列の放送局に切り替えることができる。さらに本実施の形態のデジタル放送受信装置では、サービスIDの値が図5〜図7の運用が行なわれていないデジタル放送でも、放送局Aと同一系列の放送局が複数記録されていた場合に、受信状態の最も良い放送局を高い可能性で選局することができる。
実施の形態13.
実施の形態13に係るデジタル放送受信装置は、基本的には実施の形態12に係るデジタル放送受信装置と同様の構成、動作であるが、選局制御部7が第2のチューナ部102を用いて行なう動作についてのみ異なる。即ち受信レベル監視用に設けた第2のチューナ部102は、実施の形態12のように全放送帯域に存在する全物理チェンネルの受信レベルを全て調査対象とするのではなく、系列局記憶部8に存在する受信不可となった放送局と同一系列関係にある放送局のみ監視対象とする点が異なる。本実施の形態のデジタル放送受信装置での、選局制御部7が第2のチューナ部102を用いて行なう動作のフローチャートを図22に示す。まず、系列局記憶部8に系列局が記録されているかどうかを確認する(S130)。系列局が記録されていれば(S130でYES)ステップS131に進み、系列局が記録されていなければ(S130でNO)処理を終了する。
ステップS131では、系列局記憶部8に記録されている系列局の中でチャンネル番号が最小値のチャンネルを第2のチューナ部102で選局する。次に、第2のチューナ部102より出力される受信レベル情報を系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する(S132)。次に、系列局記憶部8に記録された受信レベル情報を元に、系列局記憶部8に記録されている系列局の優先度を算出し、系列局記憶部8に記録する(S133)。次に、第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが系列局記憶部8で記録されている系列局のうちチャンネル番号が最大値のチャンネルかどうかを判定する(S134)。第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルであれば(S134でYES)、第2のチューナ部102で系列局記憶部8に記録されているチャンネルのうち、チャンネル番号が最小値のチャンネルを選局し(S131)、ステップ132に進む。一方、第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルでなければ(S134でNO)、第2のチューナ部102で次の系列局を選局し(S135)、ステップS132に進む。なお、系列局記憶部8に系列局が記録されている場合、本フローチャートに示される動作は、受信レベル監視の為、常時実行される。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図22のフローチャートで系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルに対しても優先度を設定し、図21のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
このように、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、系列局記憶部8に記録されている系列局についてのみ、受信レベル情報を取得するため、実施の形態12と比較して、系列局関係に無い放送局を受信レベル監視対象としないので、無駄なチューニング、監視が不要で、意味のある監視対象に絞り込むことにより、複数存在し得る系列局選局候補の全受信レベルを短時間で取得でき、系列局選局優先度に高速に反映することができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置は実施の形態12のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aの受信状態が悪くなった場合に、放送局Aと同一系列の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を最初に選局する可能性が高くなり、高速な系列局への自動切り替えが達成できる。
実施の形態14.
図23は、この発明の実施の形態14に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成は、実施の形態12とほぼ同じであるが、チューナ部選択部105が設けられ、復調部101への入力信号を第1のチューナ部100からの信号とするか第2のチューナ部102からの信号にするか切り替えられる点が異なる。なお、第1及び第2のチューナ部100、102のいずれか、または両方については、本受信装置を移動体用として使用する場合等では、複数のアンテナ出力を複数のチューナ部でそれぞれ受信するダイバーシティ構成のものであってもよい。一方、本受信装置を家庭用の固定受信装置として使用する場合等では、第1及び第2のチューナ部100、102はそれぞれ一つのアンテナ出力を一つのチューナ部で受信するものであってもよい。
以下、本実施の形態のデジタル放送受信装置の動作について説明する。まず、第1のチューナ部100である放送局(放送局A)を選局している場合を考える。このとき、復調部101とデマルチプレクス部2と映像音声デコード部3と映像表示部4と音声出力部5は、放送局Aの映像、音声(コンテンツ)を表示、出力するために動作している。
一方、選局制御部7は第2のチューナ部102を用いて図24のフローチャートの動作を行なう。まず、系列局記憶部8に放送局Aと同一系列の放送局が記録されているかどうかを調べる(S140)。同一系列の放送局が存在すれば(S140でYES)ステップS141に進み、同一系列の放送局が存在しなければ(S140でNO)処理を終了する。ステップS141では、系列局記憶部8に記録されている放送局Aと同一系列の放送局の中でチャンネル番号が最小値のチャンネルを第2のチューナ部102で選局する。次に、第2のチューナ部102から通知される受信レベル情報を系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する(S142)。次に、第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが、系列局記憶部8に記録されている放送局Aと同一系列の放送局の中でチャンネル番号が最大値のチャンネルか否かを判定する(S143)。第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルであれば(S143でYES)ステップS145に進み、第2のチューナ部102で選局しているチャンネルが、チャンネル番号が最大値のチャンネルでなければ(S143でNO)次の系列局を選局し(S144)ステップS142へ進む。
ステップS145では、系列局記憶部8又は他の記憶部に記録された受信レベル情報を元に、放送局Aと同一系列の放送局に対して優先度を算出し、系列局記憶部8に記録する。次に、放送局Aと同一系列の放送局の中から優先度の最も高い放送局を選択し、第2のチューナ部102でその放送局を選局する(S146)。次に、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報を取得し、第2のチューナ部102の受信状態が良好か否かを判定する(S147)。受信状態が良好であれば(S147でYES)ステップS147へ進み、受信状態が悪くなるまで第2のチューナ部102で選局するチャンネルを変化させない。一方、受信状態が良好でなければ(S147でNO)ステップS141へ進む。
次に、受信状態が変化し、視聴していた放送局(放送局A)を受信できなくなった場合を考える。このとき、選局制御部7は、第2のチューナ部102で放送局Aの系列局を選局しているか(S147でYESの状態を保っているか)を判定する。もし、放送局Aの系列局を第2のチューナ部102で選局していれば、復調部101への入力信号を第1のチューナ部100から第2のチューナ部102とするようチューナ部選択部105を操作し、以後第1のチューナ部100と第2のチューナ部102の役割を入れ替える。もし、放送局Aの系列局を第2のチューナ部102で選局していなければ、実施の形態1の系列局サーチと同様の動作を行なう。
このように、復調部101が、第1及び第2のチューナ部100、102の一方(例えば100)からの出力信号の復調、誤り訂正を行っている状態で、選局制御部7が、第1及び第2のチューナ部の他方(102)の信号を用いて、系列局記憶部8に記録されている系列局に優先度をつけておき、第1及び第2のチューナ部の上記一方(100)で選局した放送局が視聴不可となったとき、第1及び第2のチューナ部の上記他方(102)で選局している放送局が視聴可能である場合には、第1及び第2のチューナ部(100,102)の役割が入れ替えられる。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図24のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態12のデジタル放送受信装置では、放送局Aの受信状態が悪くなり、放送局Aと同一系列の放送局を選局する場合、第1のチューナ部100が放送局Aと同一系列の放送局の周波数を合わせるために時間にかかり、放送局Aと同一系列の放送局の映像と音声(コンテンツ)を表示、出力するまでに時間がかかる。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、放送局Aの受信状態が悪くなり、放送局Aと同一系列の放送局を選局する場合、放送局Aを選局していたチューナとは別のチューナが既に放送局Aと同一系列の放送局を選局済みであることが期待できる。その場合、復調部が受信する信号をチューナ部選択部105で第1のチューナ部100から第2のチューナ部102へ切り替えるだけでよく、チューナ部で放送局Aと同一系列の放送局の周波数を選局するための時間をなくすことができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置は、実施の形態12のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aの受信状態が悪くなり、放送局Aと同一系列の放送局を選局する場合に、放送局Aと同一系列の放送局の映像と音声(コンテンツ)を表示、出力するまでにかかる時間を極めて短くすることができる。
実施の形態15.
図25は、この発明の実施の形態15に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成は、実施の形態12とほぼ同じであるが以下の点が異なる。本実施の形態では、複数の復調部、例えば第1及び第2の復調部101、103が設けられている。また本実施の形態では、受信不可検知部6は、実施の形態12で受け取ることができる情報の他、第2の復調部103から出力される、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを受信することができる。なお、第1及び第2のチューナ部100、102のいずれか、または両方については、本受信装置を移動体用として使用する場合等では、複数のアンテナ出力を複数のチューナ部でそれぞれ受信するダイバーシティ構成のものであってもよい。一方、本受信装置を家庭用の固定受信機として使用する場合等では、第1及び第2のチューナ部100、102はそれぞれ一つのアンテナ出力を一つのチューナ部で受信するものであってもよい。
本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の動作は、基本的に実施の形態12の動作とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、まず図20のステップS101の動作が、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報、第2の復調部103から出力される受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する、という動作となる。また、ステップS102の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを用いて優先度を算出するという動作となる。なお、図20のフローチャートに示される動作は、受信レベル監視の為、常時実行される。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図20のフローチャートで系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルに対しても優先度を設定し、図21のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態12のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報のみから優先度を算出しているため、デジタル放送以外の電波(例えばアナログ放送やノイズなど)の存在のために受信レベルが高くなる場合があり、その結果実際はデジタル放送用信号が存在しないにもかかわらず選局優先度が高くなる恐れがある。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報のほかに、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報を優先度算出に用いることができるため、そのチャンネルでデジタル放送が送出されているかどうかを判定することができる。よって、デジタル放送以外の要因で受信レベルが高いチャンネルの優先度を低くすることができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態12のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aの受信状態が悪くなった場合に、放送局Aと同一の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を最初に選局する可能性が高くなる。
実施の形態16.
実施の形態16に係るデジタル放送受信装置の内部構成は実施の形態15と同じである。また、本実施の形態に係るデジタル放送受信の動作は基本的には実施の形態13とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、まず図22のステップS132の動作が、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報、第2の復調部103から出力される受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する、という動作となる。また、ステップS133の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを用いて優先度を算出するという動作となる。なお、系列局記憶部8に系列局が記録されている場合、図22のフローチャートに示される動作は、受信レベル監視の為、常時実行される。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図22のフローチャートで系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルに対しても優先度を設定し、図21のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態13のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報のみから優先度を算出しているため、デジタル放送以外の電波(例えばアナログ放送やノイズなど)の存在のために受信レベルが高くなる場合があり、その結果実際はデジタル放送用信号が存在しないにもかかわらず選局優先度が高くなる恐れがある。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報のほかに、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報を優先度算出に用いることができるため、そのチャンネルでデジタル放送が送出されているかどうかを判定することができる。よって、デジタル放送以外の要因で受信レベルが高いチャンネルの優先度を低くすることができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態13のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aの受信状態が悪くなった場合に、放送局Aと同一の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を最初に選局する可能性が高くなる。
実施の形態17.
図26は、この発明の実施の形態17に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成は、実施の形態14とほぼ同じであるが以下の点が異なる。本実施の形態では、複数の復調部、例えば第1及び第2の復調部101、103が設けられている。また本実施の形態では、受信不可検知部6は、実施の形態14で受け取ることができる情報の他、第2の復調部103から出力される、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを受信することができる。また本実施の形態では、復調部選択部106が設けられ、デマルチプレクス部2への入力信号を第1の復調部101からの信号にするか第2の復調部103からの信号にするか切り替えることができる。なお、第1及び第2のチューナ部100、102のいずれか、または両方については、本受信装置を移動体用として使用する場合等では、複数のアンテナ出力を複数のチューナ部でそれぞれ受信するダイバーシティ構成のものであってもよい。一方、本受信装置を家庭用の固定受信機として使用する場合等では、第1及び第2のチューナ部100、102はそれぞれ一つのアンテナ出力を一つのチューナ部で受信するものであってもよい。
また、本実施の形態に係るデジタル放送受信の動作は、実施の形態14とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、まず図24のステップS142の動作が、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報、第2の復調部103から出力される受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する、という動作となる。また、ステップS145の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを用いて優先度を算出するという動作となる。また、ステップS147の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報の各種情報の内、少なくとも1つを用いて受信状態が良好か否かを判断する、という動作となる。また、視聴中の放送局(放送局A)が受信できなくなった場合の動作は、デマルチプレクス部2への入力信号を第1の復調部101から第2の復調部103とするよう復調部選択部105を操作する、という動作になる。
即ち、デマルチプレクス部2が、第1及び第2のチューナ部100、102の一方(例えば100)からの出力信号の復調、誤り訂正を行う復調部(例えば101)の出力を受けている状態で、選局制御部7が、第1及び第2のチューナ部の他方(102)、及び該他方のチューナ部(102)の出力信号の復調、誤り訂正を行う復調部(103)の信号のいずれかを用いて、系列局記憶部8に記録されている系列局に優先度をつけておき、第1及び第2のチューナ部の上記一方(100)で選局した放送局が視聴不可となったとき、第1及び第2のチューナ部の上記他方(102)で選局している放送局が視聴可能である場合には、第1及び第2のチューナ部(100,102)、並びに第1及び第2の復調部(101、103)の役割が入れ替えられる。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図24のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態14のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報のみから優先度を算出しているため、デジタル放送以外の電波(例えばアナログ放送やノイズなど)の存在のために受信レベルが高くなる場合があり、その結果実際はデジタル放送用信号が存在しないにもかかわらず選局優先度が高くなる恐れがある。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、受信レベル情報のほかに、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報を優先度算出に用いることができるため、そのチャンネルでデジタル放送が送出されているかどうかを判定することができる。よって、デジタル放送以外の要因で受信レベルが高いチャンネルの優先度を低くすることができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態14のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aと同一の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を第2のチューナ部102で選局する可能性が高くなる。また、実施の形態14のデジタル放送受信装置では、放送局Aから放送局Aと同一系列の放送局に切り替える際、第1の復調部101が放送局Aと同一系列の放送局の信号をチューナ部から受信し始めてから、放送局Aと同一系列の放送局のTSを出力するまでに時間がかかるため、放送局Aと同一系列の放送局の映像と音声(コンテンツ)を表示、出力するまでに時間がかかる。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、放送局Aから放送局Aと同一系列の放送局に切り替える際、デマルチプレクス部2が受信する信号を第1の復調部101から予め復調処理済みの第2の復調部103からの出力に復調部選択部106で切り替えるだけでよいため、復調部が放送局Aと同一系列の放送局の信号をチューナ部から受信し始めてから、放送局Aと同一系列の放送局のTSを出力するまでの時間をなくすことができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置は、実施の形態14のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aと同一系列の放送局の映像と音声 (コンテンツ)を表示、出力するまでにかかる時間を短くすることができる。
実施の形態18.
図27は、この発明の実施の形態18に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成は、実施の形態15とほぼ同じであるが以下の点が異なる。本実施の形態では、複数のデマルチプレクス部、例えば第1及び第2のデマルチプレクス部2、104が設けられている。また本実施の形態では、受信不可検知部6は、実施の形態15で受け取ることができる情報の他、第2のデマルチプレクス部104から出力される、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の内、少なくとも1つを受信することができる。なお、第1及び第2のチューナ部100、102のいずれか、または両方については、本受信装置を移動体用として使用する場合等では、複数のアンテナ出力を複数のチューナ部でそれぞれ受信するダイバーシティ構成のものであってもよい。一方、本受信装置を家庭用の固定受信機として使用する場合等では、第1及び第2のチューナ部100、102はそれぞれ一つのアンテナ出力を一つのチューナ部で受信するものであってもよい。
本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の動作は、基本的に実施の形態15の動作とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、まず図20のステップS101の動作が、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報、第2の復調部103から出力される受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、第2のデマルチプレクス部104から出力されるPSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の各種情報の内、少なくとも1つを系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する、という動作となる。また、ステップS102の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の各種情報の内、少なくとも1つを用いて優先度を算出するという動作となる。なお、図20のフローチャートに示される動作は、受信レベル監視の為、常時実行される。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図20のフローチャートで系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルに対しても優先度を設定し、図21のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態15のデジタル放送受信装置では、優先度を算出する際にPSI/SI情報を用いていないため、放送局Aと異なる系列の放送局の優先度を高くしてしまう恐れがある。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、PSI/SI情報を優先度算出に用いることができるため、放送局Aと異なる系列の放送局の優先度を低くすることができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態15のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aの受信状態が悪くなった場合に、放送局Aと同一の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を最初に選局する可能性が高くなる。
実施の形態19.
実施の形態19に係るデジタル放送受信装置の内部構成は実施の形態18と同じである。また、本実施の形態に係るデジタル放送受信の動作は基本的には実施の形態16とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、まず図22のステップS132の動作が、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報、第2の復調部103から出力される受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、第2のデマルチプレクス部104から出力されるPSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の各種情報の内、少なくとも1つを系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する、という動作となる。また、ステップS133の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の各種情報の内、少なくとも1つを用いて優先度を算出するという動作となる。なお、系列局記憶部8に系列局が記録されている場合、図22のフローチャートに示される動作は、受信レベル監視の為、常時実行される。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図22のフローチャートで系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルに対しても優先度を設定し、図21のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態16のデジタル放送受信装置では、優先度を算出する際にPSI/SI情報を用いていないため、放送局Aと異なる系列の放送局の優先度を高くする恐れがある。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、PSI/SI情報を優先度算出に用いることができるため、放送局Aと異なる系列の放送局の優先度を低くすることができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、実施の形態16のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aの受信状態が悪くなった場合に、放送局Aと同一の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を最初に選局する可能性が高くなる。
実施の形態20.
図28は、この発明の実施の形態20に係るデジタル放送受信装置の概略の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るデジタル放送受信装置の内部構成は、実施の形態17とほぼ同じであるが以下の点が異なる。本実施の形態では、複数のデマルチプレクス部、例えば第1及び第2のマルチプレクス部2、104が設けられている。また本実施の形態では、受信不可検知部6は、実施の形態17で受け取ることができる情報の他、第2のデマルチプレクス部104から出力される、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の内、少なくとも1つを受信することができる。また本実施の形態では、デマルチプレクス部選択部107が設けられ、映像/音声デコード部3への入力信号を第1のデマルチプレクス部2からの信号にするか第2のデマルチプレクス部104からの信号にするか切り替えることができる。
また、本実施の形態に係るデジタル放送受信の動作は、実施の形態17とほぼ同じであるが、以下の点が異なる。本実施の形態では、まず図24のステップS142の動作が、第2のチューナ部102から出力される受信レベル情報、第2の復調部103から出力される受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、第2のデマルチプレクス部104から出力される、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の内、少なくとも1つを系列局記憶部8又は他の記憶部に記録する、という動作となる。また、ステップS145の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の各種情報の内、少なくとも1つを用いて優先度を算出するという動作となる。また、ステップS147の動作が、受信レベル情報、受信C/N情報、PLLロック情報、フレームロック情報、誤り率情報、PSI/SI情報、PATが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、PMTが所定の時間間隔で到来しなかった場合の途絶通知、TSにおいて188バイト毎に同期バイトが検出されない場合の同期はずれの通知、TSのヘッダ中に存在する連続性カウンタ値の不連続を検出した際のパケット損失の通知の各種情報の内、少なくとも1つを用いて受信状態が良好か否かを判断する、という動作となる。また、視聴中の放送局(放送局A)が受信できなくなった場合の動作は、映像/音声デコード部3への入力信号を第1のデマルチプレクス部2から第2のデマルチプレクス部104とするようデマルチプレクス部選択部107を操作する、という動作になる。
即ち、映像/音声デコード部3が、第1及び第2のチューナ部100、102の一方(例えば100)からの出力信号の復調、誤り訂正を行う復調部(101)の出力を受けているデマルチプレクス部(2)の出力を受けている状態で、選局制御部7は、第1及び第2のチューナ部の他方(102)、及び該他方のチューナ部(102)の出力信号の復調、誤り訂正を行う復調部(103)、及び該復調部(103)の出力を受けるデマルチプレクス部(104)の信号のいずれかを用いて、系列局記憶部8に記録されている系列局に優先度をつけておき、第1及び第2のチューナ部の上記一方(100)で選局した放送局が視聴不可となったとき、第1及び第2のチューナ部の上記他方(102)で選局している放送局が視聴可能である場合には、第1及び第2のチューナ部(100,102)、並びに第1及び第2の復調部(101、103)、並びに第1及び第2のデマルチプレクス部(2、104)の役割が入れ替えられる。
なお、系列局記憶部8に、系列局のチャンネルだけではなくMFNのチャンネルも記録し、図24のフローチャートで放送局Aと同一系列のチャンネル及び放送局AとMFNの関係にあるチャンネルの両者が系列局記憶部8に記録されている場合は、MFNのチャンネルを優先的に選局し、MFNのチャンネルが受信できない場合に系列局のチャンネルを選局してもよい。
実施の形態17のデジタル放送受信装置では、優先度を算出する際にPSI/SI情報を用いていないため、放送局Aと異なる系列の放送局の優先度を高くするおそれがある。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、PSI/SI情報を優先度算出に用いることができるため、放送局Aと異なる系列の放送局の優先度を低くすることができる。よって、本実施のデジタル放送受信装置では、実施の形態17のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aと同一の放送局の中で受信状態の最も良い放送局を第2のチューナ部102で選局する可能性が高くなる。また、実施の形態17のデジタル放送受信装置では、放送局Aから放送局Aと同一系列の放送局に切り替える際、第1のデマルチプレクス部2が放送局Aと同一系列の放送局のTSを受信し始めてから、放送局Aと同一系列の放送局のTSをデマルチプレクスするまでに時間がかかるため、放送局Aと同一系列の放送局の映像と音声 (コンテンツ)を表示、出力するまでに時間がかかる。一方、本実施の形態のデジタル放送受信装置では、放送局Aから放送局Aと同一系列の放送局に切り替える際、映像/音声デコード部が受信する信号を第1のデマルチプレクス部2からの出力信号から第2のデマルチプレクス部104からの出力信号にデマルチプレクス部選択部107で切り替えるだけなので、デマルチプレクス部が放送局Aと同一系列の放送局のTSを受信し始めてから、放送局Aと同一系列の放送局のTSをデマルチプレクスするまでの時間をなくすことができる。よって、本実施の形態のデジタル放送受信装置は、実施の形態17のデジタル放送受信装置と比較して、放送局Aと同一系列の放送局の映像と音声 (コンテンツ)を表示、出力するまでにかかる時間を短くすることができる。