JP6230290B2 - 液体吐出ヘッド用基板、液体吐出ヘッド、及び液体吐出ヘッド用基板の製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド用基板、液体吐出ヘッド、及び液体吐出ヘッド用基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出ヘッド用基板、液体吐出ヘッド、及び液体吐出ヘッド用基板の製造方法に関する。
熱エネルギーを利用したインクジェット記録方式においては、インクジェット記録ヘッド用基板(液体吐出ヘッド用基板)に配列された発熱素子によって発生される熱エネルギーを利用してインク(液体)を膜沸騰させる。これにより被記録媒体にインクを吐出することで記録動作を行う。インクに直接接触する熱作用部は、発泡、消泡の繰り返しによる機械的衝撃(キャビテーション)を受ける。また、数μsecという極めて短い時間に、数100度という温度変化によりヒートストレスの影響を受ける。また、インクに接しているため、インクによる化学的作用を受ける。
これらの影響から発熱素子を保護するために、インクジェット記録ヘッド用基板には、発熱素子に対応して熱作用部を有する保護層(保護膜)が設けられている。この保護層として、キャビテーションによる衝撃やインクによる化学的作用に対して比較的強いタンタル膜を0.2〜0.5μm程度の厚さに形成する構成が知られている。
近年の高速化、高画質化の要望により、ヘッドの耐久性がより重視されるようになっている。特許文献1には、保護層を形成する材料としてタンタルより化学的に安定で、かつ機械的強度に優れたイリジウム、白金等の白金族元素を用いることが開示されている。
特開平5−301345号公報
しかし、イリジウム、白金等の白金族元素はタンタルよりも熱伝導率が高いため、これらの材料で保護層を形成した場合には熱が周囲に逃げ易くなり、発熱素子のうち膜沸騰に寄与する有効発泡領域の面積が小さくなってしまう。
一方で、熱の逃げを抑えるために保護層の厚みを薄くすると、機械的強度が低下して所望の耐久性が得られず、ヘッドの寿命が短くなる可能性がある。
そこで、本発明は、有効発泡領域の面積の減少を抑えるために保護層の厚みを薄くしても、十分な耐久性を有する保護層を備えた液体吐出ヘッド用基板及び液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
本発明の液体吐出ヘッド用基板は、基体と、前記基体の上に設けられ、液体を吐出するための熱エネルギーを発生する素子と、少なくとも前記素子を覆う位置に設けられ、イリジウムを含む保護層と、を有する液体吐出ヘッド用基板において、前記イリジウムの密度は21.0g/cm以上22.7g/cm以下であることを特徴とする。
本発明によると、有効発泡領域の面積の減少を抑えるために保護層の厚みを薄くしても、十分な耐久性を有する保護層を備えた液体吐出ヘッド用基板及び液体吐出ヘッドを提供することができる。
インクジェット録装置およびインクジェット記録ヘッドユニットを示す斜視図である。 本発明に係るインクジェット記録ヘッドを示す斜視図、断面図及び上面図である。 第2の実施例のインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、この液体吐出ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど種々の被記録媒体に記録を行うことができる。
本明細書内で用いられる「記録」とは、文字や図形などの意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を付与することも意味することとする。
さらに「インク」とは広く解釈されるべきものであり、被記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、被記録媒体の加工、或いはインクまたは被記録媒体の処理に供される液体を言うものとする。ここで、インクまたは被記録媒体の処理としては、例えば、被記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化による定着性の向上や、記録品位ないし発色性の向上、画像耐久性の向上などのことを言う。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では,同一の機能を有する構成には図面中同一の番号を付与し、その説明を省略する場合がある。
(インクジェット記録装置)
図1(a)は、インクジェット記録装置(液体吐出装置)を示す概略斜視図である。
インクジェット記録装置に設けられたリードスクリュー5004が、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転する。インクジェット記録装置に設けられたキャリッジHCは、リードスクリュー5004の螺旋溝5005に係合するピン(不図示)を有しており、このキャリッジHCは、リードスクリュー5004が回転することによって矢印a,b方向に往復移動される。キャリッジHCには、図1(b)に示すインクジェット記録ヘッドユニット40(ヘッドユニット)が搭載される。
(ヘッドユニット)
図1(b)は、インクジェット記録装置に搭載可能な液体吐出ヘッドユニットとしてのヘッドユニット40の斜視図である。ヘッドユニット40に設けられた液体吐出ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド41(ヘッド)は、フレキシブルフィルム配線基板43を介してインクジェット記録装置と接続するコンタクトパッド44に導通している。なお、図1(b)に示すヘッドユニット40は、ヘッド41とインクタンク42とが一体化した構成となっているが、インクタンクを分離できる分離型とすることも出来る。
(インクジェット記録ヘッド)
図2(a)に本発明に係るインクジェット記録ヘッド41の斜視図を示す。また、図2(b)は、図2(a)のA−A’線に沿って液体吐出ヘッド41を切断した模式的断面図である。また、図2(c)はインクジェット記録ヘッド用基板5のエネルギー発生素子12を含む周辺をその上方、すなわち基体1のエネルギー発生素子12が設けられた側から見た上面図である。
インクジェット記録ヘッド41は、液体吐出ヘッド用基板としてのインクジェット記録ヘッド用基板5と、ヘッド用基板5の上に設けられた流路壁部材14と、を有している。
ヘッド用基板5には、インクを吐出するために利用される熱エネルギーを発生するエネルギー発生素子12が設けられている。また、ヘッド用基板5には、インクを供給する供給口45やインクジェット記録装置といった外部との電気接続のための端子17が設けられている。
流路壁部材14は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物で設けることができ、液体を吐出するための吐出口13と、吐出口13に連通する流路46の壁14aとを有している。この壁14aを内側にして、流路壁部材14がヘッド用基板5に接することで流路46が設けられている。流路壁部材14に設けられた吐出口13は、ヘッド用基板5に設けられた供給口45に沿って所定のピッチで列をなすように設けられている。
供給口45から供給されたインクは流路46に運ばれ、さらにエネルギー発生素子12の発生する熱エネルギーによってインクが膜沸騰して気泡が生じる。この気泡によってインクが吐出口13から吐出されることで、記録動作が行われる。
図2(b)に示されるように、トランジスタ等の駆動素子が設けられたシリコンからなる基体1の上に、基体1の一部を熱酸化して設けた熱酸化層2と、シリコン化合物からなる蓄熱層4とが設けられている。蓄熱層4の上に、通電することで発熱する材料(例えばTaSiNやWSiNなど)からなる発熱抵抗層6が設けられ、発熱抵抗層6に接するように、発熱抵抗層より抵抗の低いアルミニウムなどを主成分とする材料からなる一対の電極7が設けられている。端子17を介して一対の電極7の間に電圧を供給し、発熱抵抗層6の一対の電極7の間に位置する部分を発熱させてこの部分をエネルギー発生素子12として用いる。これらの発熱抵抗層6と一対の電極7は、インクとの絶縁を図るために、SiN等のシリコン化合物などの絶縁性材料からなる絶縁層8で被覆されている。なお、発熱抵抗層6と一対の電極7との積層順が逆であってもよい。
また、基体1のエネルギー発生素子12が設けられている面とは反対側の面には、供給口45を形成する際のエッチング工程時にマスクとして用いる熱酸化層22が残されている。
さらに、気泡の発生、収縮に伴うキャビテーション衝撃などからエネルギー発生素子12を保護するために、エネルギー発生素子12の部分に対応する絶縁層8の上には耐キャビテーション層として用いられるイリジウムを含む保護層10が設けられている。
成膜されたイリジウム膜をドライエッチングにより加工して、各エネルギー発生素子12に対応する保護層10(保護膜)が形成される。
なお、保護層10と絶縁層8の間に両者の密着性向上や保護層10の結晶成長を促進するためのタンタル膜等の中間層を設けてもよい。また、保護層10の上側にタンタル膜等の別の保護層を設けてもよい。すなわち、エネルギー発生素子12の側からタンタル膜、イリジウム膜の順で保護層を設けた構成や、タンタル膜、イリジウム膜、タンタル膜の順で保護層を設けた構成であってもよい。
また、絶縁層8と流路壁部材14との密着性を向上させるために、絶縁層8と流路壁部材14との間にポリエーテルアミド樹脂などからなる密着層を設けてもよい。
(第1の実施例)
SiNからなる絶縁層8の上に表1に示す成膜条件(1)〜(7)でDCマグネトロンスパッタによりイリジウムで保護層10を成膜し、上述したインクジェット記録ヘッド41を作製した。なお、各成膜条件についてイリジウム膜厚が5nm、10nm、15nm、20nm、200nm、500nmの試料を得た。その際、成膜レートからそれぞれのイリジウム膜厚に対応する成膜時間を計算し、成膜を行った。
Figure 0006230290
電子顕微鏡を用いて得られたイリジウム膜を観察したところ、膜厚5nmに相当する成膜時間で成膜した試料については、島状の結晶成長が観察され、連続膜となっていなかった。一方、10nm以上に相当する成膜時間で成膜した試料については、連続膜が観察された。連続膜が得られた10nm以上の膜厚の試料について、イリジウム膜の密度をX線反射率測定で解析した。この結果を表2に示す。なお、イリジウム単結晶の密度は22.7g/cmであるため、イリジウム膜の密度がこれを超すことはない。
Figure 0006230290
成膜されたイリジウム膜をドライエッチングにより加工し、保護層10を形成したところ、膜厚500nmの試料ではイリジウムの膜剥がれが生じた。膜厚が厚いため応力が大きくなり、密着性が乏しくなったためと考えられる。したがって、膜厚500nm以外の試料でインクジェット記録ヘッドを作製した。
上記の通り作製したインクジェット記録ヘッドの吐出耐久試験を行った。作成したインクジェット記録ヘッドにキヤノン製インクBCI−7eMを満たし、電圧24V、パルス幅0.8μs、繰返し周期15kHzの条件で電圧パルスを発熱抵抗層6に印加してインクを吐出させた。その試験結果を表3に示す。
Figure 0006230290
なお、表3では、電圧パルスを5.0×10回印加した後もインク吐出が継続されたものについては◎、4.0×10回印加した後もインク吐出が継続され、5.0×10回印加する前にインクが吐出されなくなったものについては○としている。また、電圧パルスを1.0×10回印加する前にインクが吐出されなくなったものについては×としている。
表3に示すように成膜条件(1)〜(7)で成膜したイリジウム膜の膜厚5nmの各試料と、成膜条件(1)で成膜したイリジウム膜の膜厚10nm〜200nmの各試料は、電圧パルスを1.0×10回印加する前にインクが吐出されなくなった。試験後のヘッドを解析したところ、絶縁層8と発熱抵抗層6がキャビテーション衝撃により破壊されていた。
また、イリジウム膜の膜厚10〜200nmの試料のうち、条件(2)〜(4)の成膜条件でイリジウム膜を成膜した各試料については、電圧パルスを4.0×10回印加した後でもインク吐出が継続され、それまでは記録品位に劣化は見られなかった。その後、5.0×10パルス印加までにインクが吐出されなくなった。表2に示すように、これらの試料のイリジウム膜の密度は21.0g/cm以上22.0g/cm未満である。試験後のヘッドを解析したところ、イリジウム膜である保護層10がキャビテーション衝撃により破壊されており、その下の絶縁層8と発熱抵抗層6もキャビテーション衝撃により破壊されていた。
また、イリジウム膜の膜厚10〜200nmの試料のうち、条件(5)〜(7)でイリジウム膜を成膜した各試料については、電圧パルスを5.0×10回印加した後もインク吐出が継続され、記録品位に劣化は見られなかった。表2に示すように、これらの試料のイリジウム膜の密度は22.0g/cm以上22.7g/cm以下である。試験後のヘッドを解析したところ、イリジウム膜である保護層10は破壊されることなく存在していた。
以上の試験結果によると、インクジェット記録ヘッドの保護層10として所望の耐久性を有するイリジウム膜の密度の好ましい範囲は、21.0g/cm以上22.7g/cm以下であることがわかった。本実施例の構成の場合では、膜厚10nm以上200nm以下の試料については、イリジウム膜の密度が上述の範囲内であれば、保護層10はその膜厚に依存せず、十分な耐久性を有していることがわかった。したがって、イリジウム膜の密度を上述の範囲内とすると、有効発泡領域の面積の減少を抑えるために保護層10の厚みを薄くしても、十分な耐久性を有する保護層10を得ることができる。
さらに、イリジウム膜の密度が22.0g/cm以上22.7g/cm以下であるとより好ましいことがわかった。
なお、保護層10はDCスパッタ法の成膜条件と得られるイリジウム膜の密度には下記の関係があることがわかった。成膜圧力は低圧力ほど密度が向上する。低圧力ほどスパッタ粒子の平均自由行程が大きくなり、スパッタ粒子の運動エネルギーの損失が少なくなるため、結晶成長に寄与するエネルギーを得ることができるからである。具体的には1.2Pa以下で設定することが好ましい。
基板温度は、高温ほど密度が向上する。基板に到達したスパッタ粒子の結晶成長に寄与する熱エネルギーをより多く得ることができるからである。具体的には100℃以上で設定することが好ましい。DCパワー密度は、高パワー密度ほどスパッタ粒子の運動エネルギーが増大するため、膜の密度が向上する傾向があるが、同時に成膜速度が速くなるため、十分な結晶成長が行われないまま膜が形成されることで膜の密度が低下する要因にもなる。したがって、DCパワー密度と膜の密度の関係は一定ではない。具体的には1.0W/cmから4.0W/cm程度で設定することが好ましい。
(第2の実施例)
本実施例は、図3に示すように、SiNからなる絶縁層8とイリジウム膜である保護層10との間に金属層としてのタンタル膜11が形成された構成である。特に記載のない点については上述の実施例と同様である。
上述の方法で形成した基板のSiNからなる絶縁層8の上に、基板温度150℃、成膜圧力0.6Pa、DCパワー密度1.4W/cmの成膜条件により50nmのタンタル膜11を堆積した。引き続き表1に示す成膜条件により、イリジウム膜をDCマグネトロンスパッタにより堆積した。
X線回折法により解析したところ、イリジウム膜の膜厚に依らずイリジウム膜およびタンタル膜11はそれぞれ、(111)面と(001)面に配向していた。したがって格子間隔から計算される格子不整合は2.2%である。
得られたイリジウム膜を電子顕微鏡により観察したところ、膜厚5nmの水準でも連続膜となっていることが確認された。これは、タンタル膜が結晶性の膜であり、イリジウム膜との格子不整合が2.2%と小さいため、より薄い領域からイリジウムの連続膜が得られるからである。このように保護層10との格子不整合が2.2%以下であれば、上述の実施例よりも薄い膜厚の連続膜を得ることができる。得られたイリジウム膜の密度をX線反射率測定で解析し、表4に示す結果を得た。
Figure 0006230290
成膜されたイリジウム膜をドライエッチングにより加工し、保護層10を形成したところ、膜厚500nmの試料では、イリジウムの膜剥がれが生じた。膜厚が厚いため応力が大きくなり、密着性が乏しくなったためと考えられる。したがって、膜厚500nm以外の水準でインクジェット記録ヘッドを作製した。
上記の通り作製したインクジェット記録ヘッドの吐出耐久試験を行った。インクジェット記録ヘッドをキヤノン製インクBCI−7eMで満たし、電圧24V、パルス幅0.8μs、繰返し周期15kHzの条件で電圧パルスを発熱抵抗層6に印加してインクを吐出させた。その結果について表5に示す。なお、表5に示す評価結果の判定基準は表3と同様である。
Figure 0006230290
表5に示すように、成膜条件(1)で成膜したイリジウム膜の膜厚5nm〜200nmの試料は、電圧パルスを1.0×10回印加する前にインクが吐出されなくなった。試験後のヘッドを解析したところ、絶縁層8と発熱抵抗層6がキャビテーション衝撃により破壊されていた。
また、条件(2)〜(4)の成膜条件で成膜したイリジウム膜の膜厚5nm〜200nmの試料は、電圧パルスを4.0×10回印加した後でもインク吐出が継続され、それまでは記録品位に劣化は見られなかった。その後、5.0×10パルス印加までにインクが吐出されなくなった。試験後のヘッドを解析したところ、イリジウム膜である保護層10がキャビテーション衝撃により破壊されており、その下の絶縁層8と発熱抵抗層6もキャビテーション衝撃により破壊されていた。
また、条件(5)〜(7)の成膜条件で成膜したイリジウム膜の膜厚5nm〜200nmの試料は、電圧パルスを5.0×10回印加した後もインク吐出が継続され、記録品位に劣化は見られなかった。試験後のヘッドを解析したところ、イリジウム膜である保護層10は破壊されることなく存在していた。
以上の試験結果によると、インクジェット記録ヘッドの保護層10として所望の耐久性を有するイリジウム膜の密度の好ましい範囲は、21.0g/cm以上22.7g/cm以下であることがわかった。本実施例の構成の場合では、膜厚5nm以上200nm以下の試料については、イリジウム膜の密度が上述の範囲内であれば、保護層10はその膜厚に依存せず、十分な耐久性を有していることがわかった。したがって、イリジウム膜の密度を上述の範囲内とすると、有効発泡領域の面積の減少を抑えるために保護層10の厚みを薄くしても、十分な耐久性を有する保護層10を得ることができる。
さらに、イリジウム膜の密度が22.0g/cm以上22.7g/cm以下であるとより好ましいことがわかった。
1 基体
5 インクジェット記録ヘッド用基板(液体吐出ヘッド用基板)
10 保護層
12 エネルギー発生素子

Claims (17)

  1. 基体と、
    前記基体の上に設けられ、液体を吐出するための熱エネルギーを発生する素子と、
    少なくとも前記素子を覆う位置に設けられ、イリジウムを含む保護層と、
    を有する液体吐出ヘッド用基板において、
    前記イリジウムの密度は21.0g/cm以上22.7g/cm以下であることを特徴とする液体吐出ヘッド用基板。
  2. 前記イリジウムの密度は22.0g/cm以上である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  3. 前記保護層の厚さは10nm以上200nm以下である、請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  4. 前記素子の上に設けられた絶縁層と、
    前記絶縁層と前記保護層との間に設けられ、前記保護層との格子不整合が2.2%以下である金属層と、
    を有する、請求項1または請求項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  5. 前記保護層の厚さは5nm以上200nm以下である、請求項4に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  6. 前記金属層はタンタルを含む、請求項4または請求項5に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  7. 前記素子の上に設けられた絶縁層と、
    前記絶縁層と前記保護層との間に設けられたタンタルを含む層と、
    を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  8. 前記保護層の上に設けられたタンタルを含む層をさらに有する、請求項7に記載の液体吐出ヘッド用基板。
  9. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板と、
    吐出口に連通する流路を前記液体吐出ヘッド用基板と共に形成する部材と、
    を有し、
    前記保護層が前記流路に面する位置に設けられている液体吐出ヘッド。
  10. 請求項7に記載の液体吐出ヘッド用基板と、
    吐出口に連通する流路を前記液体吐出ヘッド用基板と共に形成する部材と、
    を有し、
    前記タンタルを含む層は前記基体と前記部材との間に位置する部分を有する、液体吐出ヘッド。
  11. 前記保護層は前記部材と接していない、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法において、
    前記素子が設けられた前記基体の、少なくとも前記素子を覆う位置に、圧力を1.2Pa以下としてDCマグネトロンスパッタによりイリジウムを成膜し、前記保護層を形成する液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  13. 前記基体の温度を100℃以上として前記保護層を形成する請求項12に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  14. DCパワー密度を1.0W/cm 以上4.0W/cm 以下として前記保護層を形成する、請求項13に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  15. 請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法において、
    前記素子が設けられた前記基体の、少なくとも前記素子を覆う位置に、圧力を0.6Pa以下としてDCマグネトロンスパッタによりイリジウムを成膜し、前記保護層を形成する液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  16. 前記基体の温度を250℃以上として前記保護層を形成する請求項15に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  17. DCパワー密度を1.0W/cm 以上1.5W/cm 以下として前記保護層を形成する、請求項16に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
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