JP5787578B2 - 記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録ヘッドの製造方法及び記録ヘッドに関する。
記録動作に用いられる代表的な記録ヘッドとしては、液体を吐出して記録動作を行う液体吐出ヘッド(インクジェット用の記録ヘッドとも称する)や、熱転写方式のサーマル記録ヘッドが挙げられる。
このような記録ヘッドに用いられるエネルギー発生素子は、通電することで発熱する発熱抵抗層と該発熱抵抗層に通電するために用いられる一対の電極とで設けられている。インクジェット用記録ヘッドにおいては、一対の電極に電圧を印加して発熱抵抗層が発熱することで液体が発泡し、この気泡の圧力で液体を吐出口から吐出して記録動作が行われる。
このようなエネルギー発生素子は絶縁性材料からなる絶縁層で被覆されており、さらに絶縁層の上には機械的な衝撃や化学的作用からエネルギー発生素子を保護するために、タンタルからなる保護層を設けることが知られている。
タンタルの結晶構造には、インクジェットの分野で広く用いられている体心立方晶(β相とも称する)のほかにも、最密立方晶(α相とも称する)がある。α相のタンタル層は、β相のタンタル層に比べ熱伝導性・電気伝導性が良く、結晶的に安定であるため保護層として使用することが検討されている。またα相のタンタル膜は、スパッタ法などで成膜すると膜の凹凸が大きくかつクラックが入りやすいため、β相のタンタル層を相転移させてα相の層を設ける必要があることが知られている。
特許文献1には、β相のタンタル層の上に、膜応力の大きいチタンタングステンからなる層を積層することで、β相をα相に相転移させて液体吐出ヘッドを製造する方法が開示されている。
特開2008−302625号公報
しかしながら特許文献1に開示される方法では、チタンタングステンの成膜条件によっては部分的に膜応力のばらつきが生じ、チタンタングステンが積層された領域全てを相転移させることができない可能性がある。エネルギー発生素子に対応する領域に位置する保護層において、β相の領域とα相の領域とが混在すると、熱の伝わり方にばらつきが生じ所望の記録画像を形成できないという懸念がある。
本発明は上記課題を鑑みて発明されたものであり、エネルギー発生素子の上側に位置するタンタルからなる保護層を、β相からα相へと相転移させ、信頼性の高い記録ヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の記録ヘッドの製造方法は、通電により発熱する材料からなる発熱抵抗層と、該発熱抵抗層に接するように設けられ、通電に用いられる一対の電極と、前記発熱抵抗層と前記一対の電極とを覆い、絶縁性材料からなる絶縁層と、を備える基体を用意する工程と、
前記絶縁層の前記一対の電極の間に対応する領域を少なくとも覆うように、β相のタンタルからなる保護層と、ガスバリア性を有する透過防止層と、をこの順に形成する工程と、
前記一対の電極の間に通電して前記一対の電極の間に対応する前記発熱抵抗層を駆動し、前記保護層を加熱して、該加熱された領域のβ相のタンタルをα層のタンタルへと相変化させる工程と、を有することを特徴とする。
以上のように、保護層の上に透過防止層を設け、酸素を遮断した状態でエネルギー発生素子の発生する熱を用いて保護層を熱処理することで、エネルギー発生素子に対応する領域の保護層を確実にβ相からα相に相転移させることができる。これにより液体へ熱を均等に伝導させることができる、信頼性の高い記録ヘッドを設けることができる。
本発明に記載の液体吐出ヘッドを用いることができる液体吐出装置およびヘッドユニットの一例である。 本発明に記載の液体吐出ヘッドの斜視図及び断面図を模式的に示したものである。 本発明に記載の液体吐出ヘッドの一部の上面模式図である。 第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を説明する図である。 第2の実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を説明する図である。
記録ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、この記録ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど種々の被記録媒体に記録を行うことができる。
本明細書内で用いられる「記録」とは、文字や図形などの意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を付与することも意味することとする。
以下の説明では,同一の機能を有する構成には図面中同一の番号を付与し、その説明を省略する場合がある。なお、本実施形態においてはインクを吐出することで記録動作を行う液体吐出ヘッド(インクジェット記録ヘッド)を例に説明を行うが、熱転写方式の記録ヘッドにおいても同様に用いることができる。
本明細書内で使用する「液体」及び「インク」とは広く解釈されるべきものであり、被記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、被記録媒体の加工、或いはインクまたは被記録媒体の処理に供される液体を言うものとする。ここで、インクまたは被記録媒体の処理としては、例えば、被記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化による定着性の向上や、記録品位ないし発色性の向上、画像耐久性の向上などのことを言う。
(液体吐出装置)
図1(a)は、本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載可能な液体吐出装置を示す概略図である。
図1(a)に示すように、リードスクリュー5004は、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転する。キャリッジHCはヘッドユニットを載置可能であり、リードスクリュー5004の螺旋溝5005に係合するピン(不図示)を有しており、リードスクリュー5004が回転することによって矢印a,b方向に往復移動される。このキャリッジHCには、ヘッドユニット40が搭載されている。
(ヘッドユニット)
図1(b)は、図1(a)のような液体吐出装置に搭載可能なヘッドユニット40の斜視図である。液体吐出ヘッド41(以下、ヘッドとも称する)はフレキシブルフィルム配線基板43により、液体吐出装置と接続するコンタクトパッド44に導通している。また、ヘッド41は、インクタンク42と接合されることで一体化されヘッドユニット40を構成している。ここで例として示しているヘッドユニット40は、インクタンク42とヘッド41とが一体化したものであるが、インクタンクを分離できる分離型とすることも出来る。
(液体吐出ヘッド)
図2(a)に本発明に係る液体吐出ヘッド41の斜視図を示す。また、図2(b)は、図2(a)のA−A’に沿って基板5に垂直に液体吐出ヘッド41を切断した場合の切断面の状態を模式的に示す断面図である。図3は、このような液体吐出ヘッド41の一部を拡大した上面模式図である。
液体吐出ヘッド41は、液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生するエネルギー発生素子12を備えた液体吐出ヘッド用基板5と、液体吐出ヘッド用基板5の上に設けられた流路形成部材14と、を有している。エネルギー発生素子の配列密度は約1200dpiである。流路形成部材14は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物で設けることができ、液体を吐出するための吐出口13と、吐出口13に連通する流路46の壁14aとを有している。この壁14aを内側にして、流路形成部材14が液体吐出ヘッド用基板5に接することで流路46が設けられている。流路形成部材14に設けられた吐出口13は、供給口45に沿って所定のピッチで列をなすように設けられている。供給口45から供給された液体は流路46に運ばれ、さらにエネルギー発生素子12の発生する熱エネルギーによって液体が膜沸騰することで気泡が生じる。このときに生じる圧力により液体が、吐出口13から吐出されることで、記録動作が行われる。さらに、液体吐出ヘッド41は、流路46に液体を送るために液体吐出ヘッド用基板5を貫通して設けられる供給口45と、外部、例えば液体吐出装置、との電気的接続を行う端子17と、を有している。外部から端子17に電圧を供給することで、エネルギー発生素子12に通電を行うことができ、液体を吐出することができる。
液体吐出ヘッド41の断面は、図2(b)に示されるように、トランジスタ等の駆動素子が設けられたシリコンからなる基体1の上に、シリコン化合物からなる蓄熱層4が設けられている。蓄熱層4の上に、通電することで発熱する材料(例えばTaSiNやWSiNなど)からなる発熱抵抗層6が設けられ、発熱抵抗層6に接するように発熱抵抗層6より抵抗の低いアルミニウムなどを主成分とする材料からなる一対の電極7が設けられている。一対の電極7の間に電圧を供給し、発熱抵抗層6の一対の電極7の間に位置する部分を発熱させることで、発熱抵抗層6の部分をエネルギー発生素子12として用いる。これらの発熱抵抗層6と一対の電極7は、インクなどの吐出に用いられる液体との絶縁を図るために、SiN等のシリコン化合物などの絶縁性材料からなる絶縁層8で被覆されている。さらに吐出のための液体の発泡、収縮に伴うキャビテーション衝撃などからエネルギー発生素子12を保護するために、エネルギー発生素子12の部分に対応する絶縁層8の上に耐キャビテーション層として用いられるタンタルからなる保護層10が設けられている。保護層10のうち、エネルギー発生素子12の上側に対応する領域は、α相からなるタンタル(以下、α―Taとも称する)の領域10aであり、それ以外の領域は、β相からなるタンタル(以下、β―Taとも称する)の領域10bとなっている。ここでβ―Taは、体心立方晶の準安定層であり、α―Taは、最密立法晶の安定層であり、α―Taの層はβ―Taの層に比べ熱伝導性・電気伝導性が良い。そのため、エネルギー発生素子12の上に対応する保護層を、選択的に熱伝導特性の高いα―Taとし、他の領域をα―Taに比べると伝熱しにくいβ―Taとすることで、領域10aから必要以上に熱が拡散することを防止できる。これにより液体を吐出するための気泡を生じる有効発砲領域への効率的に熱の伝搬と適度な放熱とを実現することができ、高速吐出を行うために高い駆動周波数を用いたとしても信頼性高い記録動作を行うことができる。
またβ―Taからなる層は1GPa程度の圧縮応力を有し、α−Taからなる層は100MPa程度の引張応力を有することがわかっている。つまりβ−Taの層のみでは、成膜条件によっては、液体吐出ヘッドが変形する可能性もあり、また、α−Taの層に全面を変化させると基板から剥離してしまう可能性もある。そのためα―Taの領域とβ―Taの領域とを混在させることで、液体吐出ヘッド全体の応力を緩和し、ヘッドの変形や膜の剥離等を防止することができる。
エネルギー発生素子12に対応する領域の保護層10のみが選択的にα‐Taにする方法としては、保護層10を酸素に触れないようにした状態でエネルギー発生素子12を駆動して熱処理する方法がある。
保護層10の上には、このような熱処理を行う際に酸素を透過させないためのガスバリア性を有する透過防止層11を設けてある。透過防止層11に用いられる材料としては、金属の単体、合金、シリコン化合物等を用いることができ、このような材料からなる層を単層または複数種類積層させて設けてもよい。なかでもSiN、SiC、SiCNなどのアモルファスシリコンからなるシリコン化合物は、結晶粒界を有さないためガスバリア性が高く、バリアメタル材料として知られるTiW、TaN、TiN等の合金もガスバリア性が高いことが知られている。
またアモルファスシリコンからなるシリコン化合物は、使用するインク種によっては徐々に溶出する材料もある。そのため、このような溶出する材料を用いた場合には、記録動作中にインクの有機成分等が炭化したり析出したりすることで透過防止層11の表面に発生するいわゆるコゲーションも、透過防止層11の溶出に伴い除去することができる。これによりエネルギー発生素子12から液体への熱効率の低下を抑制することが可能となる。さらにアモルファスシリコン化合物は、樹脂材料との密着性が良いため流路形成部材14との密着力を向上させることができる。
一方金属材料に関しては、酸素を透過しにくいガスバリア性という性質に加え、耐熱性、耐キャビテーション性、インク耐性を具備する材料を用いることにより、ヘッドの耐久性を向上させることもできる。
以下に、図面を参照してこのような液体吐出ヘッドの製造方法の製造工程について具体的に説明する。
(第一の実施形態)
図4は、図2(a)のA−A’に沿って基板5に垂直に液体吐出ヘッド41を切断した場合の各工程での切断面の状態を模式的に示す断面図である。
エネルギー発生素子12を駆動するために用いられるMOSトランジスタ等の駆動素子(不図示)等が設けられたシリコンからなる基体1を用意する。さらに基体1の上に、CVD法等を用いて膜厚約0.5〜3μmで形成された酸化シリコン(SiO2)からなる蓄熱層4を設ける。蓄熱層4の上には、膜厚約10nm〜50nmのTaSiNまたはWSiN等の通電により発熱する材料からなる発熱抵抗層6と、一対の電極7となる膜厚約0.1〜1umのアルミニウムを主成分とする導電層をスパッタリング法により形成する。さらにRIE法などのドライエッチング技術を用いて発熱抵抗層6と導電層とをパターン形状に加工し、さらに導電層の一部をウェットエッチング技術で除去して一対の電極7を設ける。導電層を除去した部分に対応する発熱抵抗層6が、エネルギー発生素子12として用いられる(図4(a))。
次に発熱抵抗層6や一対の電極7を覆うように、基板全面にCVD法等を用いて窒化シリコン(SiN)等からなる絶縁性を有する膜厚約100nm〜1μmの絶縁層8を設ける(図4(b))。
次に、絶縁層8の上に、液体の発泡、収縮に伴うキャビテーション衝撃などから保護可能な耐久性を有する保護材料層としてタンタル(Ta)を、真空マグネトロンスパッタリング法を用いて膜厚50nm〜500nm形成する。このとき、保護材料層は準安定なβ―Taとなっている。さらに保護材料層を形成した後に、酸素を透過しにくガスバリア性を有する材料からなるガスバリア層(透過防止層)を膜厚約50nm〜200nm設ける。このような層の材料としては、金属の単体、合金、シリコン化合物等を用いることができ、このような材料からなる層を複数種類積層させて設けてもよい。さらにドライエッチング技術を用いて、保護材料層とガスバリア層とのパターニングを行い、エネルギー発生素子12に対応する位置に保護層10と透過防止層11を形成する。(図4(c))。なお保護材料層の表面に酸素や水分が付着すると、熱処理を行った際にβ―Taからα―Taへの結晶の構造変化を阻害することもあるため、透過防止材料層を成膜する際は、保護材料層を形成した後に真空状態を維持して連続して設けることが好ましい。
次に、液体吐出ヘッド用基板5の面に溶解可能な樹脂をスピンコート法を用いて形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングして流路46となる部分に型材15を形成する。具体的には、ポリメチルイソプロペニルケトン等を用いることができる。さらに、型材15の上に、カチオン重合型エポキシ樹脂をスピンコート法を用いて形成し、その後ホットプレートを用いてベークを行い硬化させることで、流路形成部材14を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて吐出口13となる部分の流路形成部材14を除去する(図4(d))。
次に、基体1のエネルギー発生素子12が設けられた面の裏面から、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(TMAH溶液)等を用いてシリコンからなる基体1をエッチングして供給口45となる貫通口を形成する。基体1は表面の結晶方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いることにより、アルカリ性の溶液(例えばTMAH溶液)を用いた結晶異方性エッチングで供給口45を設けることができる。このような基体では、(111)面のエッチングレートが他の結晶面のエッチングレートに比べ非常に遅いためシリコン基板平面に対して約54.7度という角度をなす供給口45を設けることができる。その後型材を除去して、エネルギー発生素子12と供給口45とが設けられた液体吐出ヘッド用基板5の上に、吐出口13と流路46の壁14aとを有する流路形成部材を完成させる(図4(e))。なお供給口45を形成する方法としては、ウェットエッチング法のみならず、ドライエッチング法を用いて設けても良い。
次に、一対の電極7に電圧を印加してエネルギー発生素子を駆動することで、保護層10を加熱する。このとき保護層10が210℃以上、700℃以下程度に加熱されることが好ましい。210℃に加熱した液体吐出ヘッドにおいて相転移が起きていることが、SIM観察により確認されており、700℃より高温に加熱するとエネルギー発生素子12を被覆する絶縁層8にピンホールが生じて電流リークが生じてしまう可能性があるためである。
透過防止層11が設けられていることにより、保護層10が酸素に接することなく加熱を行うことができ、β−Taを安定層であるα―Taへと変化させることができる(図4(f))。エネルギー発生素子を用いて加熱することで、エネルギー発生素子に対応する領域のみを選択的にβ―Taからα―Taへと構造変化させることができる。これにより、液体が発泡する透過防止層11表面の有効発泡領域への効率的に熱の伝搬と適度な放熱とを実現することができ、高速吐出を行うために高い吐出周波数を用いたとしても信頼性高い記録動作を行うことができる。さらに、エネルギー発生素子を用いて加熱することにより、他の手段を用いる必要がなく、製造コスト削減できる。なお、ここではインク22が設けられた図を用いて説明したがインク22を設けずに加熱しても良い。
また、β−Taで成膜された層を相転移してα−Taとすることにより有効発泡領域を平坦に保つことができ、流路46におけるインクの流抵抗を小さくすることができる。これにより高速でインクのリフィルを行うことが必要な、高い吐出周波数で記録動作に対応することもできる。
なお記録動作を行うために液体を発泡させるためにエネルギー発生素子の表面温度は、300℃以上となり相転移を起こすことができるため、β―Taの状態で液体吐出ヘッドを出荷して、記録動作を開始するときに構造変化が起こすように設けておくこともできる。
(実施例)
β相のタンタルからなる保護層10を約250nm設け、CVD法で設けた窒化シリコンからなる透過防止層11を約100nmを設け、保護層が約400℃となるように熱処理を行った液体吐出ヘッド41において、タンタルの結晶状態の確認をおこなった。
SIM (Scanning Ion Microscopy) 像によるチャネリングコントラスト観察を行った。エネルギー発生素子12の上に対応する保護層の領域10aのみがα−Taとなっており、それ以外の領域10bは、β―Taとなっていることを確認できた。またSIM像により、結晶相転移後のα−Taは、1つの結晶粒サイズが約3μm以上となっており、β−Taの結晶粒サイズは約1μm以下となっていることが確認された。
スパッタ法などの成膜条件を調整することで、最初からα―Taとなるように設けた場合には、結晶粒サイズは最大100μm程度であるため、本実施例のように設けることにより結晶粒界が少ない構造を設けることができた。結晶粒界が少ないことで熱伝導性はさらに向上するため、効率的に熱の伝搬と適度な放熱とを実現できる液体吐出ヘッドを提供できることがわかった。
(第二の実施形態)
第1の実施形態では流路形成部材14を形成した後に、エネルギー発生素子12を発熱させて保護層のタンタルを相転移させるが、本実施形態は流路形成部材14を設ける前にタンタルの相転移を行う点が異なる。保護層10及び透過防止層11を設ける工程は(図4(a)〜図4(c))は、第一の実施形態と同様であるため省略する。
図4(c)のように設けた一対の電極7に電圧を印加してエネルギー発生素子を駆動することで、保護層10を加熱する。加熱する温度としては、210℃〜700℃程度が好ましい。透過防止層11が設けられていることにより保護層10は酸素に接することなく加熱を行うことができるため、β−Taが安定層であるα―Taへと変化させることができる(図5(a))。エネルギー発生素子を用いて加熱することで、エネルギー発生素子に対応する領域のみを選択的にβ―Taからα―Taへと構造変化させることができる。これにより、液体が発泡する透過防止層11表面の有効発泡領域への効率的に熱の伝搬と適度な放熱とを実現することができ、高速吐出を行うために高い吐出周波数を用いたとしても信頼性高い記録動作を行うことができる。さらに、エネルギー発生素子を用いて加熱することにより、他の手段を用いる必要がなく、製造コスト削減できる。
次に、液体吐出ヘッド用基板5の面に溶解可能な樹脂をスピンコート法を用いて形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングして流路46となる部分に型材15を形成する。さらに、型材15の上に、カチオン重合型エポキシ樹脂をスピンコート法を用いて形成し、その後ホットプレートを用いてベークを行い硬化させることで、流路形成部材14を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて吐出口13となる部分の流路形成部材14を除去する(図5(b))。
次に、基体1のエネルギー発生素子12が設けられた面の裏面から、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(TMAH溶液)等を用いてシリコンからなる基体1をエッチングして供給口45となる貫通口を形成する。その後型材15を除去して、エネルギー発生素子12と供給口45とが設けられた液体吐出ヘッド用基板5の上に、吐出口13と流路46の壁14aとを有する流路形成部材を設け、液体吐出ヘッドを完成させる(図2(b))。
また、β−Taで成膜された層を相転移してα−Taとすることにより有効発泡領域を平坦に保つことができ、流路46におけるインクの流抵抗を小さくすることができる。これにより高速でインクのリフィルを行うことが必要な、高い吐出周波数で記録動作に対応することもできる。
5 液体吐出ヘッド用基板
6 発熱抵抗層
7 一対の電極
8 絶縁層
10 保護層
11 透過防止層
12 エネルギー発生素子
13 吐出口
14 流路形成部材
41 液体吐出ヘッド
46 流路

Claims (5)

  1. 通電により発熱する材料からなる発熱抵抗層と、該発熱抵抗層に接するように設けられ、通電に用いられる一対の電極と、前記発熱抵抗層と前記一対の電極とを覆い、絶縁性材料からなる絶縁層と、を備える基体を用意する工程と、
    前記絶縁層の前記一対の電極の間に対応する領域を少なくとも覆うように、β相のタンタルからなる保護層と、ガスバリア性を有する透過防止層と、をこの順に形成する工程と、
    前記一対の電極の間に通電して前記一対の電極の間に対応する前記発熱抵抗層を駆動し、前記保護層を加熱して、該加熱された領域のβ相のタンタルをα層のタンタルへと相変化させる工程と、
    を有することを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
  2. 前記保護層と前記透過防止層とは真空状態を維持して連続して形成される請求項1に記載の記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護層の加熱によって、前記保護層210℃以上、700℃以下とする請求項1または請求項2に記載の記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記透過防止層は、金属の単体、金属の合金、シリコン化合物のいずれかからなる層の単層またはこれらを複数積層して設けられた層である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録ヘッドの製造方法。
  5. 前記保護層は、マグネトロンスパッタリング方法を用いて形成される請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の記録ヘッドの製造方法。
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