本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、および右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側(正面側)、後側(背面側)、上側、下側、左側、および右側とする。
図1を参照して、パチンコ機1の概略構成を説明する。パチンコ機1には、遊技盤2が設けられている。遊技盤2は、正面視で略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機(図示外)に遊技球(図示外)を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿10が設けられている。下皿10の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル11が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射機によって発射された遊技球は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される画像表示装置8の表示画面8Aが後方から露出可能な表示開口7が設けられる。画像表示装置8は、遊技者が大量の賞球を獲得可能な大当たり遊技を生起するか否かの大当たり判定の結果を報知するためのデモ図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では三つ)のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。表示開口7の下方(遊技領域4の下側)には、入賞口15、大入賞口16、およびアウト口17が上方から下方の順に並んで設けられる。
表示開口7の後方、且つ画像表示装置8の前方には、第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60(以下、これら三つの装飾体を総称する場合、演出装飾体20ともいう)が配置されている。演出装飾体20は、遊技盤2の後側に取り付けられる演出装置30(図2参照)に、上下方向に往復移動可能に設けられている。演出装置30は、画像表示装置8およびスピーカ48等と連動して、演出装飾体20を上下動させることで、報知演出等の様々な演出を実行する。演出装置30が演出装飾体20を最も低い位置である下降位置に移動させる場合、第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60は、表示画面8Aの前方にて正面視で上下方向に並ぶ。以下、この演出装置30の状態を第一状態という。また、演出装置30が演出装飾体20を最も高い位置である上昇位置に移動させる場合、第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60は、前後方向に重なる(図11参照)。以下、この演出装置30の状態を第二状態という。演出装置30の構成の詳細は後述する。
さらに、パチンコ機1は、主基板(図示外)、サブ基板(図示外)等を遊技盤2の背面側に備える。主基板とサブ基板とは電気的に接続し、それぞれにCPU、ROM、およびRAM等が設けられる。主基板は、遊技球が入球する入賞口15および大入賞口16の入球口に応じて、遊技者に所定数の遊技球を賞球として付与する。サブ基板は、主基板から送信されるコマンドに従って、演出装置30等を動作させ、演出等の総合的な制御を行う。尚、演出装置30は、大当たり遊技が実行される場合に第二状態から第一状態へと変化し、大当たり遊技が終了すると第一状態から第二状態へと変化する。
図2〜図5を参照し、第一状態にある演出装置30の構成について詳細に説明する。尚、図3においては前側支持部材82(後述)の図示を省略し、図4においては支持部材101(後述)の前側部の図示を省略している。図2に示すように、演出装置30は、右側移動機構80と、左側移動機構100と、支持部材120と、演出装飾体20とを備える。
まず、右側移動機構80の構成について説明する。図2および図3に示すように、右側移動機構80は、支持部材81と、スライドレール85と、右側移動ラック92とを備える。支持部材81は上下方向に長い略箱状である。支持部材81は、前側支持部材82と、後側支持部材83とを有する。前側支持部材82は支持部材81の前側部を形成し、後側支持部材83は後側部を形成する。前側支持部材82の前面部82Aの上下方向略中央部には、右側モータ79が固定される。右側モータ79は正逆回転可能である。右側モータ79は、出力軸(図示外)と、ギア79A(図8参照)とを有する。出力軸は、前面部82Aを貫通して支持部材81の内部まで前後方向に延びる。ギア79Aは、出力軸の先端部に設けられる。尚、右側モータ79は、支持部材81の背面部に固定されていてもよい。
図3に示すように、後側支持部材83の前面には、平面部83Aが形成されている。平面部83Aは上下方向に長い略矩形状である。スライドレール85は、固定レール86と、可動レール87と、複数の転動体88と、可動部89とを備える。固定レール86は上下方向に長い板状部材であり、平面部83Aに固定される。固定レール86は平面視で逆U字状に形成されている。固定レール86の左右両側壁部の内側には、上下方向に長い溝部86Aが形成されている。可動レール87は、上下方向に長い板状部材であり、溝部86Aに上下動可能に設けられる。可動レール87は平面視で逆U字状に形成されている。可動レール87の左右両側壁部の内側には、上下方向に長い溝部87Aが形成されている。複数の転動体88は、可動レール87の左右両側壁部の各々に、上下方向に沿って設けられる。
可動部89は、上下方向に長い板状部材であり、溝部87Aに設けられる。可動部89は平面視でU字状の板状部材である。可動部89の左右両側壁部の外面は、各々、複数の転動体88に当接している。これにより、可動部89は可動レール87に対して上下動可能である。可動部89の前面89Aには、上下方向に並ぶ二つのネジ孔89Bが設けられる。二つのネジ孔89Bは前面89Aを前後方向に貫通する。
右側移動ラック92は、正面視で上下方向に長い略矩形状であり、右側歯部93と、支持軸94と、軸部95と、二つの挿通孔96とを備える。右側歯部93は、右側移動ラック92の右端部に形成されており、上下方向に連続して延びる。右側歯部93はギア79A(図8参照)と噛合している。支持軸94は右側移動ラック92の前面部上側に設けられる。支持軸94は前後方向に延びる円筒状である。支持軸94には筒孔94Aが形成されている。軸部95は、支持軸94の下方で前後方向に延びる円柱状である。支持軸94および軸部95は、上下方向に並ぶ状態で、右側移動ラック92の前面部から前方へ向かって突出している。支持軸94の外径と軸部95の外径は略等しい。尚、支持軸94は円柱状であってもよく、軸部95は円筒状であってもよい。
二つの挿通孔96は、支持軸94および軸部95の左方にて、上下方向に並んで設けられる。二つの挿通孔96は、右側移動ラック92を前後方向に貫通する丸孔である。二つの挿通孔96は、各々、二つのネジ孔89Bと対向する。ネジ(図示外)が、挿通孔96に前方から挿通され、さらにネジ孔89Bに締め付けられることで、右側移動ラック92は、可動部89の前面89Aに固定される。これにより、右側移動ラック92は、右側モータ79の正逆回転に伴って、スライドレール85に沿って上下動可能である。
図2および図4を参照し、左側移動機構100の構成について説明する。左側移動機構100の構成は右側移動機構80の構成と同様である。従って、右側移動機構80の構成の説明と重複する事項については簡略化して以下説明する。左側移動機構100は、支持部材101と、スライドレール105と、左側移動ラック112とを備える。支持部材101は上下方向に長い略箱状である。支持部材101の前面部には、左側モータ99(図2参照)が設けられる。左側モータ99の出力軸(図示外)に設けられるギア99A(図8参照)は、支持部材101の内部に配置される。左側モータ99はギア99Aを正逆回転可能である。尚、左側モータ99は、支持部材101の背面部に固定されていてもよい。
図4に示すように、支持部材101の内部には、前後方向に延びる二つの支軸101A,101Bが設けられる。支軸101Aは支軸101Bよりも上方に位置する。支軸101Aにはギア106が設けられ、支軸101Bにはギア107が設けられる。ギア106は、ギア107およびギア99A(図8参照)と噛合する。スライドレール105は、支持部材101の内部であって、ギア106,107の右方に設けられる。
左側移動ラック112は正面視で上下方向に長い略矩形状である。左側移動ラック112は、スライドレール105の可動部105Aに固定されることで、上下動可能である。左側移動ラック112は、右側移動ラック92と左右方向に離間している。左側移動ラック112は、左側歯部113と、突出部114,115とを備える。左側歯部113は、左側移動ラック112の左端部に形成されており、上下方向に連続して延びる。左側歯部113はギア107と噛合する。これにより、左側移動ラック112は、左側モータ99の正逆回転に伴って、スライドレール105に沿って上下動可能である。突出部114,115は、左側移動ラック112の前面部から前方へ向かって突出し、且つ外径が互いに略等しい円筒状である。突出部114は突出部115の上方に位置する。突出部114,115には、各々、筒孔114A,115Aが形成される。突出部114,115の外径は、支持軸94および軸部95の外径と略等しい。尚、突出部114,115は円柱状であってもよい。
図5および図6を参照し、支持部材120について説明する。支持部材120は、板状部121と、二つの隆起部122とを備える。板状部121は正面視で左右方向に長い略矩形状である。二つの隆起部122は、板状部121のうち左右両端部よりも内側にある部分が前方へ向かって隆起することで形成される。二つの隆起部122には、各々、貫通孔122Aが設けられる。貫通孔122Aは、正面視で上下方向に長い略矩形状であり、隆起部122を前後方向に貫通する。
板状部121は、第一板状部123と、二つの第二板状部124とを有する。第一板状部123は、板状部121のうち二つの隆起部122の間に形成される。二つの第二板状部124は、板状部121の左右両端部に形成される。板状部121の右側および左側の各々に配置される、隆起部122および第二板状部124は、左右方向に隣接している。第一板状部123は、平板部(図示外)と、長孔123Bとを有する。平板部は、第一板状部123の左右方向略中央部に形成され、正面視で上下方向に長い略矩形状である。平板部にはスライドレール129が前方から取り付けられる。スライドレール129の構成は、スライドレール85(図3参照)の構成と同様なので、詳細な説明は省略する。長孔123Bは、第一板状部123のうちスライドレール129よりも左側部に設けられる。長孔123Bは、上下方向に長い長孔であり、第一板状部123を前後方向に貫通する。
図5を参照し、二つの第二板状部124について説明する。二つの第二板状部124はスライドレール129に対して左右対称であるので、ここでは右側にある第二板状部124についてのみ説明する。第二板状部124には周壁部125が設けられる。周壁部125は、第二板状部124の上端部、右端部、および下端部に設けられる。周壁部125は前後方向に延びる。周壁部125の下側部には下壁部125Aが形成される。また、第二板状部124の前方には収容部127が形成される。収容部127は、第二板状部124、隆起部122、および周壁部125によって囲まれることで形成される空間である。収容部127は正面視で上下方向に長い略矩形状である。
図2〜図6を参照し、演出装飾体20について説明する。尚、図5および図6では、図面を見易くするために、上昇位置にある第三装飾体60を図示している。図2に示すように、演出装飾体20は、ロボットの胸部から頭部までを模した形状に形成される。具体的には、第一装飾体40はロボットの胸部を、第二装飾体50は顔部を、第三装飾体60は頭部を模した形状に形成される。
図3および図4に示すように、第一装飾体40は左右方向に長い。後述するように第一装飾体40は、長手方向が左右方向と略一致する姿勢(以下、適正姿勢という)から、長手方向が左右方向に対して傾斜する姿勢(以下、傾斜姿勢という)へ変化できる。以下の第一装飾体40の構成についての説明では、第一装飾体40は適正姿勢にあるものとする。第一装飾体40は、隆起部42と、右側板状部43と、左側板状部44とを備える。隆起部42は、第一装飾体40の左右方向中央部に形成され、前方へ向かって隆起している。隆起部42の後側部には、第一規制部45(図7参照)が設けられる。第一規制部45は隆起部42の背面部から後方へ向かって突出する。第一規制部45は平面視で略矩形状の板状部材である。
右側板状部43は第一装飾体40の右端部を形成する。右側板状部43は正面視で上下方向に長い略矩形状である。右側板状部43は、丸孔43Aと、長孔43Bとを備える。丸孔43Aおよび長孔43Bは、右側板状部43を前後方向に貫通する。丸孔43Aは右側板状部43の上側部に設けられる。長孔43Bは丸孔43Aの下方に設けられる。長孔43Bは左右方向に長い。
丸孔43Aには支持軸94が後方から挿入され、長孔43Bには軸部95が挿入される。支持軸94の前端が丸孔43Aよりも前方に位置する状態で、ネジ(図示外)が筒孔94Aに締め付けられる。これにより、第一装飾体40は、支持軸94を中心として回転可能となる状態で、右側移動ラック92に設けられる。
左側板状部44は第一装飾体40の左端部を形成する。左側板状部44は正面視で上下方向に長い略矩形状である。左側板状部44は、上側貫通孔44Aと、下側貫通孔44Bとを備える。上側貫通孔44Aおよび下側貫通孔44Bは、左側板状部44を前後方向に貫通する左右方向に長い長孔である。上側貫通孔44Aは左側板状部44の上側部に設けられる。下側貫通孔44Bは上側貫通孔44Aの下方に設けられる。上側貫通孔44Aには突出部114が後方から挿入され、下側貫通孔44Bには突出部115が挿入される。そして、突出部114,115の前端が上側貫通孔44Aおよび下側貫通孔44Bよりも前方に位置する状態で、二つのネジ(図示外)が、各々、筒孔114A,115Aに締め付けられる。これにより、第一装飾体40は左側移動ラック112に設けられる。従って、第一装飾体40は、右側モータ79および左側モータ99が駆動することで、上下動可能である。
ここで、丸孔43A、長孔43B、上側貫通孔44A、および下側貫通孔44Bの大きさおよび位置関係について説明する。丸孔43Aの中心位置および上側貫通孔44Aの中心位置は、略同じ高さ(第一装飾体40の移動方向において略同じ位置)に配置される。また、長孔43Bの中心位置は、丸孔43Aの中心位置よりも下側、且つ下側貫通孔44Bの中心位置よりも上側に配置されている。丸孔43Aに対する離間距離については、長孔43B、上側貫通孔44A、および下側貫通孔44Bの順に、離間距離が長くなる。長孔43B、上側貫通孔44A、および下側貫通孔44Bの短手方向(上下方向)における長さは、丸孔43Aの内径よりも僅かに大きい。また、長手方向(左右方向)における長さは、上側貫通孔44A、長孔43B、および下側貫通孔44Bの順に長くなる。つまり、長孔43Bの長手方向の長さは、上側貫通孔44Aの長手方向の長さよりも長く、下側貫通孔44Bの長手方向の長さは、長孔43Bの長手方向の長さよりも長い。
図5および図6に示すように、第二装飾体50は支持部材120に設けられる。第二装飾体50は第一装飾体40に対して後方斜め上方に配置される(図7(a)参照)。第二装飾体50は、支持部53と、基部51とを備える。支持部53は正面視で上下方向に長い略矩形状の板状部材である。支持部53は、長孔53Aと、突出部53Bとを備える。長孔53Aは、板状部54の上下方向略中央部から下端部までを前後方向に貫通する。突出部53Bは、板状部54の背面部の上部から後方へ向かって突出する略円筒状である。突出部53Bには筒孔53Cが形成される。突出部53Bが長孔123Bに前方から挿入された状態で、ネジ(図示外)が後方から筒孔53Cに締め付けられる。そして、突出部53Bが長孔123Bの下縁部と当接することによって、支持部53は支持部材120によって支持される。突出部53Bは、長孔123Bに沿って上方へスライド可能である。
基部51は略直方体状である。基部51は、突出部55と、当接部51Aとを備える。突出部55は、基部51の背面部の左側上部から後方へ向かって突出する。突出部55は上下方向に長い。突出部55の上端部および下端部は、各々、ネジ孔55Aが形成されている。長孔53Aに突出部55が前方から挿入された状態で、ネジ(図示外)が後方からネジ孔55Aに締め付けられる。
そして、突出部55が長孔53Aの下縁部に当接することで、基部51は支持部53に支持される。これにより、第二装飾体50は下降位置にて支持部材120によって支持される。突出部55は長孔53Aに沿ってスライド可能である。当接部51Aは、基部51の底面部にて平板状に形成される。当接部51Aは第一規制部45の前端部の上方に位置する(図7参照)。
また、基部51の背面部の左右方向略中央部は、スライドレール129に固定される。これにより、第二装飾体50は上下方向に往復移動自在である。尚、第二装飾体50の可動領域は、第一装飾体40の可動領域の上側部と前後方向に重なる(図7参照)。また、基部51の上端部には第二規制部52が設けられる。第二規制部52は、基部51から前方へ向かって突出する。第二規制部52は平面視で略矩形状の板状部材である。
図5に示すように、第三装飾体60は正面視で略逆三角形状の板状部材である。第三装飾体60は、第一装飾体40の後側、且つ第二装飾体50の前側に配置される(図7参照)。第三装飾体60の上端部60Aには、当接部61と、二つのストッパー部62と、二つのスライド部63とが設けられる。当接部61は、上端部60Aの左右方向略中央部から後方へ向かって突出する平面視で略矩形状の板状部材である。当接部61の前端部は、第二規制部52の上方に位置する(図7参照)。二つのストッパー部62は、各々、上端部60Aの左右両端部から後方へ向かって突出する平面視で略矩形状の板状である。二つのストッパー部62は、各々、二つの収容部127に前方から進入している。二つのストッパー部62が、下壁部125Aと上方から当接することで、第三装飾体60は下降位置にて支持部材120によって支持される。
二つのスライド部63は、各々、二つのストッパー部62と当接部61との間に設けられる。二つのスライド部63は、上端部60Aから後方へ向かって突出する正面視で上下方向に長い長円状である。二つのスライド部63は、各々、前方から貫通孔122Aに挿通された状態で、後方から取付部63A(図6参照)が固定される。これにより、スライド部63は、貫通孔122Aに沿ってスライド可能である。つまり、第三装飾体60は上下方向に往復移動自在である。尚、第三装飾体60の可動領域は、第一装飾体40および第二装飾体50の可動領域の上側部と前後方向に重なる(図7参照)。
次に、図7〜図12を参照し、演出装置30が演出装飾体20を上下動させる動作について説明する。尚、図7および図12では演出装飾体20を簡略化して図示している。また、図7(a)、(b)、(c)、および(d)は、各々、図8、図9、図10、および図11に対応する。同様に、図12(a)、(b)、(c)、および(d)は、各々、図11、図10、図9、および図8に対応する。
まず、演出装置30が第一状態から第二状態へ変化する場合について説明する。図7および図8に示すように、右側モータ79(図2参照)がギア79Aを逆転方向に回転させ、左側モータ99(図2参照)がギア99Aを正転方向に回転させる。ここで、正転方向とは、モータの出力軸側(本実施形態では演出装置30の背面側と同じ)からみて出力軸を中心とした時計回り方向をいい、逆転方向とは正転方向と反対の方向をいう。
ギア79Aが回転することで右側移動ラック92は上方へ移動し、ギア99A、ギア106,107が回転することで左側移動ラック112は上方へ移動する。右側移動ラック92が上方へ移動することで、支持軸94および軸部95は、各々、丸孔43Aの上縁部および長孔43Bの上縁部を介して、右側板状部43を上方へ移動させる。同時に、左側移動ラック112が上方へ移動することで、突出部114,115は、各々、上側貫通孔44Aの上縁部および下側貫通孔44Bの上縁部を介して、左側板状部44を上方へ移動させる。右側板状部43および左側板状部44は、互いの位置関係を一定に保ったまま、連動して上方へ移動する。この結果、第一装飾体40は、適正姿勢を保ったまま移動する。このようにして、第一装飾体40は、支持軸94、軸部95、および突出部114,115によって支持されながら、下降位置から上方へ移動する(図7(a)、(b)参照)。
図7(b)および図9に示すように、第一装飾体40が、下降位置にある第二装飾体50の前方まで移動すると、第一規制部45が当接部51Aと下方から当接する。言い換えると、第一装飾体40が、第二装飾体50と前後方向に重なる位置まで移動すると、第一規制部45が第二装飾体50と下方から接触する。これにより、第二装飾体50は、第一規制部45によって支持され、下方向への移動が制限される。そして、第一装飾体40が上方へさらに移動することで、第二装飾体50は、第一規制部45によって上方へ移動させられる。尚、この場合、突出部55(図6参照)が長孔53A(図6参照)の下縁部から上方へ離間し、長孔53Aに沿って移動する。その後、突出部55が長孔53Aの上縁部に下方から当接し、さらに上方へ移動する。これにより、支持部53(図6参照)は長孔123Bに沿って上方へ移動させられる。この結果、第二装飾体50は、第一装飾体40と前後方向に重なる状態で、スライドレール129に沿って上方へ移動する。
図7(c)および図10に示すように、第二装飾体50の下側部が、下降位置にある第三装飾体60の後方まで移動すると、第二規制部52が当接部61と下方から当接する。言い換えると、第二装飾体50が第三装飾体60と前後方向に重なる位置まで移動すると、第二規制部52が第三装飾体60と下方から接触する。これにより、第三装飾体60は、第二規制部52によって支持され、下方向への移動が制限される。そして、第一装飾体40および第二装飾体50が上方へさらに移動することで、第三装飾体60は第二規制部52によって上方へ移動させられる。この結果、第三装飾体60は、第二装飾体50と前後方向に重なる状態で、二つの貫通孔122Aに沿って上方へ移動する。
図7(d)および図11に示すように、演出装飾体20が上昇位置に到達すると、右側モータ79(図2参照)および左側モータ99(図2参照)は、駆動を停止する。これにより、演出装飾体20は上昇位置へと到達する。演出装置30は、第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60が前後方向に重なる状態で、演出装飾体20を上昇位置にて収容し、第一状態から第二状態へ変化できる。尚、上昇位置へ移動した演出装飾体20は、表示画面8A(図1参照)よりも上側に位置する。
ここで、第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60が前後方向に重なっているので、第二状態となった演出装飾体20の上下方向における長さは短くなる。従って、演出装飾体20を収容するスペースは縮小化される。
次に、図8〜図12を参照し、演出装置30が第二状態から第一状態へ変化する場合について説明する。図11および図12(a)に示すように、まず、右側モータ79(図2参照)がギア79Aを正転方向に回転させ、左側モータ99(図2参照)がギア99Aを逆転方向に回転させる。これにより、第一装飾体40は、支持軸94、軸部95、および突出部114,115によって支持されながら、適正姿勢を保ったまま上昇位置から下方へ移動する。第一装飾体40が下方へ移動することで、上昇位置にある第二装飾体50は、当接部51Aが第一規制部45に当接する状態のまま、自重により下方へ移動する。
また、第二装飾体50が自重により下方へ移動することで、上昇位置にある第三装飾体60は、当接部61が第二規制部52と当接する状態のまま、自重により下方へ移動する。
図10および図12(b)に示すように、演出装飾体20が下方へ移動することで、ストッパー部62が下壁部125Aと上方から当接し、第三装飾体60は下降位置に到達する。第二装飾体50が第一装飾体40と共にさらに下方へ移動することで、第二規制部52は当接部61から離間する(図12(b)、(c)参照)。そして下方へ移動する突出部53Bが、長孔123Bの下縁部と上方から当接した後、突出部55は長孔53Aの上縁部から離間して下方へ移動する(図6参照)。
図9および図12(c)に示すように、第一装飾体40および第二装飾体50がさらに下方へ移動すると、突出部55が長孔53Aの下縁部に上方から当接する(図6参照)。これにより、第二装飾体50は下降位置に到達する。
図8および図12(d)に示すように、第一装飾体40がさらに下方へ移動すると、第一規制部45は当接部51Aから離間する。その後、第一装飾体40は下降位置に到達し、右側モータ79(図2参照)および左側モータ99(図2参照)は駆動を停止する。これにより、演出装飾体20は上昇位置から下降位置へ移動し、演出装置30は第二状態から第一状態へ変化できる。
ここで、下降位置へと移動した第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60は、表示画面8A(図1参照)の略半分以上と正面視で重なる。表示画面8Aよりも上側にあった演出装飾体20が下降位置へと移動することで、表示画面8Aの視認のし易さが大きく変化する。従って、パチンコ機1は、表示画面8Aの前方でなされる視覚的な演出のインパクトを強くできる。
また、第二装飾体50は、第一装飾体40によって上方へ移動させられ、自重により下方へ移動する。同様に、第三装飾体60は、第二装飾体50によって上方へ移動させられ、自重により下方へ移動する。従って、演出装置30は、第二装飾体50および第三装飾体60を上下動させるために、右側モータ79および左側モータ99以外の駆動源を備える必要がない。よって、演出装置30の大型化は抑制される。また、演出装置30は複数の装飾体を上下動させるので、遊技内容を多様化できる。
次に、図13を参照し、第一装飾体40が適正姿勢から傾斜姿勢へ変化する場合について説明する。第一装飾体40は、適正姿勢を保ったまま原則上下動する。しかしながら、右側モータ79の駆動力が右側歯部93へ伝達するまでの時間と、左側モータ99の駆動力が左側歯部113へ伝達するまでの時間とに大きな差異が生じる場合がある。この場合、右側板状部43と左側板状部44とが互いに連動せずに上下動してしまい、上下方向における互いの位置関係が変化してしまう。その結果、第一装飾体40は適正姿勢から傾斜姿勢へ変化する。この他に、左側モータ99および右側モータ79の一方の故障または誤作動等により、右側板状部43と左側板状部44とが互いに連動しない場合にも、第一装飾体40は傾斜姿勢へ変化する。
図13に示すように、丸孔43Aの中心位置が上側貫通孔44Aの中心位置よりも下方へ移動する程度に、右側板状部43が左側板状部44よりも下方へ移動する場合、第一装飾体40は、支持軸94を中心に正面視で時計回り方向へ揺動する。第一装飾体40の揺動に伴って、長孔43Bは軸部95に対して左方向へ移動し、上側貫通孔44Aは突出部114に対して右方向へ移動し、下側貫通孔44Bは突出部115に対して左方向へ移動する。これにより、第一装飾体40は、右側板状部43が左側板状部44よりも下側となるように傾斜できる。
従って、右側板状部43と左側板状部44との上下方向における位置関係が変化する場合であっても、第一装飾体40は歪むことなく、傾斜姿勢のまま上下方向に往復移動できる。尚、第一装飾体40が支持軸94を中心に正面視で反時計回り方向へ揺動する場合も、長孔43B、上側貫通孔44A、および下側貫通孔44Bは、各々、軸部95、突出部114,115に対して左右方向に移動する。
ここで、適正姿勢であった第一装飾体40が丸孔43Aを中心に揺動可能な角度の範囲について説明する。上側貫通孔44Aが丸孔43Aの左方に位置し、長孔43Bが丸孔43Aの下方に位置する。このため、第一装飾体40が丸孔43Aを中心に揺動する角度である揺動角度θが比較的小さい場合、長孔43Bの方が上側貫通孔44Aよりも、丸孔43Aに近接するにも関わらず、長孔43Bの左右方向における移動量は、上側貫通孔44Aの左右方向における移動量を上回る。この場合であっても、長孔43Bの長手方向における長さが、上側貫通孔44Aの長手方向における長さよりも長いので、揺動角度θが比較的小さいときに、軸部95が長孔43Bの周縁部に当接し第一装飾体40の揺動が制限されることはない。従って、演出装置30は、第一装飾体40の揺動可能な角度の範囲を大きくできる。よって、演出装置30は、右側板状部43と左側板状部44との上下方向における位置関係の変化に対する許容度を向上できる。それ故、演出装置30は、第一装飾体40の往復移動をさらに安定化できる。
また、下側貫通孔44Bは、上側貫通孔44Aよりも丸孔43Aから離間している。従って、第一装飾体40が揺動する場合の下側貫通孔44Bの左右方向における移動量は、上側貫通孔44Aの左右方向における移動量を上回る。この場合であっても、下側貫通孔44Bの長手方向における長さが、上側貫通孔44Aの長手方向における長さよりも長いので、演出装置30は、第一装飾体40の揺動可能な角度の範囲をさらに大きくできる。よって、演出装置30は、右側板状部43と左側板状部44との上下方向における位置関係の変化に対する許容度をさらに向上できる。それ故、演出装置30は、第一装飾体40の往復移動をさらに安定化できる。
以上説明したように、第一装飾体40は、支持軸94、軸部95、および突出部114,115によって支持された状態で、上下方向に往復移動する。第一装飾体40の自重が大きくなる場合であっても、演出装置30にかかる負荷は、支持軸94、軸部95、および突出部114,115に分散される。よって、演出装置30は、往復移動する第一装飾体40に対する耐荷重性を向上できる。
また、右側板状部43と左側板状部44との上下方向における位置関係が変化する場合、第一装飾体40は、支持軸94を中心に揺動し、適正姿勢から傾斜姿勢へと変化する。これにより、第一装飾体40は、位置関係の変化に伴って歪むことはない。よって、演出装置30は、第一装飾体40の往復移動を安定化できる。
また、演出装置30は、第一装飾体40に加えて第二装飾体50を上下動させる。従って、演出装置30は遊技内容を多様化できる。また、演出装置30は、第一装飾体40および第二装飾体50を前後方向に重なる状態で、上昇位置にて収容できる。従って、第一装飾体40および第二装飾体50を収容するスペースは縮小化される。以上より、演出装置30は、第一装飾体40および第二装飾体50を収容するスペースを縮小化しつつ、遊技内容を多様化できる。
また、演出装置30は、第一装飾体40および第二装飾体50に加えて、第三装飾体60を上下動させる。従って、演出装置30は遊技内容をさらに多様化できる。また、演出装置30は、第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60が前後方向に重なる状態で、演出装飾体20を上昇位置にて収容できる。従って、演出装飾体20を収容するスペースは縮小化される。以上より、演出装置30は、演出装飾体20を収容するスペースを縮小化しつつ、遊技内容をさらに多様化できる。
なお、上記実施形態において、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当し、右側モータ79が本発明の「第一駆動源」に相当し、左側モータ99が本発明の「第二駆動源」に相当し、右側移動ラック92が本発明の「第一移動部」に相当し、左側移動ラック112が本発明の「第二移動部」に相当し、左右方向が本発明の「所定方向」に相当し、前後方向が本発明の「直交方向」に相当する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での変更が可能である。上記実施形態では、演出装置30は、装飾体として第一装飾体40、第二装飾体50、および第三装飾体60の三つの装飾体を備えるが、これに限られない。例えば、演出装置30は、第一装飾体40だけを備えていてもよいし、第一装飾体40および第二装飾体50だけを備えていてもよい。さらに、演出装置30は、四つ以上の装飾体を上下動させてもよい。
また、上記実施形態では、支持軸94、軸部95、および突出部114,115は、前後方向に延びるが、これに限られない。支持軸94、軸部95、および突出部114,115の延設方向は、左右方向であってもよい。この場合、演出装置30は、右側移動ラック92および左側移動ラック112の代わりに、前側移動ラックおよび後側移動ラックを備える。前側移動ラックおよび後側移動ラックは、各々、左側面視で上下方向に長い板状部材であり、第一装飾体40の前端部および後端部に設けられる。
また、上記実施形態では、丸孔43Aおよび長孔43Bは右側板状部43に設けられ、支持軸94および軸部95は右側移動ラック92に設けられるが、これに限られない。例えば、丸孔43Aおよび長孔43Bは右側移動ラック92に設けられ、支持軸94および軸部95は右側板状部43に設けられてもよい。同様に、上側貫通孔44Aおよび下側貫通孔44Bは左側移動ラック112に設けられ、突出部114,115は左側板状部44に設けられてもよい。
上記実施形態では、丸孔43Aと上側貫通孔44Aが同じ高さ位置に配置され、長孔43Bが丸孔43Aよりも下側且つ下側貫通孔44Bの上側に配置され、下側貫通孔44Bがこれら四つの貫通孔のうち最も下側に配置されているが、これに限られない。例えば、四つの貫通孔のうち、丸孔43Aが上下方向において最も低い位置に配置されていてもよいし、長孔43Bが最も低い位置に配置されていてもよい。また、上側貫通孔44Aおよび下側貫通孔44Bが、丸孔43Aよりも上側に配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、長手方向における長さが、上側貫通孔44A、長孔43B、および下側貫通孔44Bの順に長くなるが、これに限られない。長手方向における長さの順番は、どのような順番であってもよい。例えば、長手方向における長さが、下側貫通孔44B、長孔43B、および上側貫通孔44Aの順で長くなってもよい。
また、上記実施形態では、第一装飾体40、第三装飾体60、および第二装飾体50の順に、前側から後側へ配置されているが、これに限られない。これら三つの装飾体の配置関係は如何様にも変形可能である。例えば、第二装飾体50、第一装飾体40、および第三装飾体60の順に前側から後側へ配置されてもよい。この場合、第一装飾体40に設けられる第一規制部45は、第二装飾体50が配置される前側へ向かって突出し、第二装飾体50に設けられる第二規制部52は、第三装飾体60が配置される後側へ向かって突出する。
また、上記実施形態では、第一規制部45および第二規制部52は、板状部材であるが、これに限られない。第一規制部45および第二規制部52は、円柱状、角筒状、立方体状、又は多角柱状等、どのような形状であってもよい
また、上記実施形態では、第一規制部45は第一装飾体40の下端部から後方へ向けて延びるが、これに限られない。例えば、第一規制部45は、第一装飾体40の下端部から、後方斜め下方へ向けて延びてもよいし、後方斜め上方へ向けて延びてもよい。同様に、第二規制部52は、第二装飾体50の上端部から前方斜め下方へ向けて延びていてもよいし、前方斜め上方へ延びていてもよい。
また、上記実施形態では、第一規制部45は、第一装飾体40の左右方向略中央部に設けられるが、これに限られない。例えば、第一規制部45は、第一装飾体40の左右方向両端部に各々設けられてもよいし、いずれか一方にのみ設けられてもよい。同様に、第二規制部52は、第二装飾体50の左右方向両端部に各々設けられてもよいし、いずれか一方にのみ設けられてもよい。
また、上記実施形態では、第一規制部45および第二規制部52は、各々、第一装飾体40および第二装飾体50に設けられるが、これに限られない。以下、図14を参照し、変形例に係る演出装飾体150について説明する。図14に示す演出装飾体150は、図7(a)に示す演出装飾体20に対応する。演出装飾体150は、第一装飾体110と、第二装飾体220と、第三装飾体330とを備える。第二装飾体220は第一装飾体110の後側に配置され、第三装飾体330は第一装飾体110よりも前側に配置される。第二装飾体220の上下方向略中央部には、前方へ向かって突出する第一規制部221が設けられる。第一規制部221は上方へ向かって緩やかに湾曲している。第一規制部221は第一装飾体110の上方に位置する。第三装飾体330の上端部には、後方へ向かって突出する第二規制部332が設けられる。第二規制部332は、上方へ向かって緩やかに湾曲している。第二規制部332の先端部(後端部)は、第二装飾体220の上方に位置する。この場合、第一装飾体110は、上方へ移動する場合に第一規制部221と下方から当接し、第二装飾体220を上方へ移動させる。そして、上方へ移動する第二装飾体220が第二規制部332と下方から当接することで、第三装飾体330は上方へ移動させられる。
また、上記例示した各要素に限らず、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、単一であっても複数であってもよく、適宜配置の変更が行われてもよい。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。更には、請求項、明細書および図面に記載される要素を各々別体で構成するか、適宜一体的に構成するか、或いはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、当業者であれば何れも容易に考えられる事項である。従って、その範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、実施例に記載がされていないからといって採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。