本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、および右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側(正面側)、後側(背面側)、上側、下側、左側、および右側とする。
図1を参照して、パチンコ機1の概略構成を説明する。パチンコ機1には、遊技盤2が設けられている。遊技盤2は、正面視で略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機(図示外)に遊技球(図示外)を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿10が設けられている。下皿10の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル11が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射機によって発射された遊技球は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される画像表示装置(図示外)の表示画面(図示外)が後方から露出可能な表示開口7が設けられる。画像表示装置は、遊技者が大量の賞球を獲得可能な大当たり遊技を生起するか否かの大当たり判定の結果を報知するためのデモ図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では三つ)のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。表示開口7の下方(遊技領域4の下側)には、入賞口15、大入賞口16、およびアウト口17が上方から下方の順に並んで設けられる。
板状部材18は、表示開口7の下側部分を前側から覆うように設けられる。板状部材18は透明である。板状部材18の後方には、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70(以下、これら三つの装飾体を総称する場合には「演出装飾体40」ともいう)が左方から右方へ順に配置されている。演出装飾体40は、遊技盤2の後側に取り付けられる演出装置30(図2参照)に、上下動可能に設けられている。演出装置30は、画像表示装置およびスピーカ48等と連動して、演出装飾体40を上下動させ、報知演出等の様々な演出を実行する。演出装置30の構成の詳細は後述する。
さらに、パチンコ機1は、主基板(図示外)、サブ基板(図示外)等を遊技盤2の背面側に備える。主基板とサブ基板とは電気的に接続し、それぞれにCPU、ROM、およびRAM等が設けられる。主基板は、遊技球が入球する入賞口15および大入賞口16の入球口に応じて、遊技者に所定数の遊技球を賞球として付与する。サブ基板は、主基板から送信されるコマンドに従って、演出装置30等を動作させ、演出等の総合的な制御を行う。
図2〜図6を参照し、演出装置30の詳細な構成について説明する。以下の説明では、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70が最も低い位置を下降位置といい、最も高い位置を上昇位置という。上昇位置は、演出装飾体40が後述する軸部材45(図3参照)から上方向に最も離間する位置である。図2〜図4に示す第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70は、各々、下降位置に位置している。
図2〜図4に示すように、演出装置30は、支持部材35と、駆動部20と、軸部材45と、第一移動機構100と、第二移動機構200と、第三移動機構300とを備える。支持部材35は、正面視で左右方向に長い略矩形状の板状部材である。支持部材35は、駆動部20、軸部材45、第一移動機構100、第二移動機構200、および第三移動機構300を支持する。
図5に示すように、支持部材35は、平板部36と、板状部37と、貫通孔31,32,33とを備える。平板部36は、正面視で左右方向に長い略矩形状である。板状部37は、平板部36の下端部から前方へ延び、さらに下方へ折れ曲がる。板状部37には、回路基板49(図2参照)が前方から取り付けられている。板状部37は、壁部38と、隆起部41,42,43とを有する。壁部38は、左側面視で略矩形状の板状部材である。壁部38は、板状部37の左端部から前方へ向かって延びる。壁部38の後側部には、壁部38を左右方向に貫通する貫通孔(図示外)が設けられる。隆起部41,42,43は、壁部38よりも右側で、左方から右方へ向けて順に並んで設けられる。隆起部41,42,43は、前方へ向かって隆起している。隆起部43の右壁部43Aには、右壁部43Aを左右方向に貫通する貫通孔43Bが設けられる。
貫通孔31,32,33は、左方から右方へ向けて順に並んで設けられる。貫通孔31,32,33は、互いに同じ形状である。貫通孔31は、第一貫通孔31Aと、第二貫通孔31Bとから形成される。第一貫通孔31Aは、平板部36を前後方向に貫通する貫通孔であり、正面視で上下方向に長い略矩形状である。第二貫通孔31Bは、隆起部41の上壁部41Aを上下方向に貫通する貫通孔であり、平面視で略矩形状である。第二貫通孔31Bの後端部は、第一貫通孔31Aの下端部と接続している。貫通孔32,33の形状の説明は、貫通孔31の説明と重複するので省略する。
図3および図4に示すように、駆動部20は、カバー部材21と、モータ22と、ギア39とを備える。カバー部材21は、右側が開口する略箱状であり、壁部38(図2参照)の左側面に固定されている。モータ22は、正逆回転自在であり、カバー部材21の左側面に固定されている。軸部材45は、平板部36の下方で左右方向に延びる。軸部材45は、壁部38の貫通孔(図示外)および右壁部43Aの貫通孔43B(図5参照)によって回転自在に支持されている。ギア39は、軸部材45の左端部に固定されている。ギア39は、モータ22の出力軸に固定されるギア(図示外)と噛み合っている。これにより、モータ22は軸部材45を回転自在である。
第一移動機構100、第二移動機構200、および第三移動機構300は、左右方向に沿って配置されている。第一移動機構100は支持部材35の左側部に配置され、第二移動機構200は支持部材35の左右略中央部に配置され、第三移動機構300は支持部材35の右側部に配置される。
第一移動機構100は、第一装飾体50を上下動させる機構である。第一移動機構100は、カム部材181と、二つの軸保持部111と、案内軸110と、コイルバネ115と、移動部材120と、ピニオン130と、固定ラック160(図5参照)と、第一装飾体50と、移動ラック155とを備える。
図6に示すように、カム部材181は、軸部材45を中心とする扇形形状に形成されている。カム部材181は、軸部材45の左右方向略中央部よりも左側部に固定されている。カム部材181のカム面は、カム面181A,181B,181C,181Dによって形成される。カム面181Aは、カム部材181のカム面のうち、軸部材45から最も離間する面(領域)であって、軸部材45を中心とする回転方向と平行に延び且つ湾曲する面(領域)である。カム面181Aが、軸部材45を中心に回転移動する場合に描く軌跡は、貫通孔31(図5参照)を通過する。
カム面181Bは、カム部材181のうち、軸部材45を中心とする回転方向において左側面視で反時計回り方向(以下、一方向という)側の端面である。また、カム面181Cは、カム部材181のうち、軸部材45を中心とする回転方向において左側面視で時計回り方向(以下、他方向という)側の端面である。カム面181Bおよびカム面181Cは、各々、平面状に形成されており、カム面181Aと接続している。カム面181Dは、カム部材181のうち、軸部材45に対してカム面181Aと反対側に形成される面であり、軸部材45を中心とする回転方向と平行に湾曲する面である。カム面181Dは、カム面181Bおよびカム面181Cと接続している。
図3に示すように、二つの軸保持部111は、左右方向に延びる略棒状部材である。二つの軸保持部111は、各々、第一貫通孔31A(図5参照)の上側部および下側部を左右方向に跨ぐ位置で、平板部36の背面に固定される。案内軸110は、上下方向に延びる。案内軸110の上端部および下端部は、各々、二つの軸保持部111によって保持されている。コイルバネ115は、上下方向に延びる軸線(図示外)を中心に螺旋状に形成される。コイルバネ115の内側には、案内軸110が挿通されている。コイルバネ115は、案内軸110の下端部を保持する軸保持部111に上方から当接している。
移動部材120は、案内軸110に沿って上下動自在な部材である。以下の説明では、移動部材120が最も低い位置を下位位置といい、最も高い位置を上位位置という(後述する移動部材220,320についても同様とする)。
図5に示すように、移動部材120は、基部121と、一対の摺動部122と、当接部124とを備える。基部121は、正面視で上下方向に長い略矩形状の板状部材である。基部121の前側部の上下方向略中央には、前方へ向かって延びる支軸(図示外)が設けられている。基部121は、第一貫通孔31Aよりも後側に位置する。一対の摺動部122(図5では一方のみを図示)は、基部121の背面部に、上下方向に沿って設けられる。一対の摺動部122は、各々、平面視で後方へ向けて湾曲する略半円形の板状部材である。一対の摺動部122には、各々、上下方向に貫通する丸孔122Aが設けられる。二つの丸孔122Aには、案内軸110(図4参照)が挿通されている。従って、一対の摺動部122は案内軸110に沿って摺動自在である。つまり、案内軸110は移動部材120を上下方向に案内可能である。
一対の摺動部122のうち下側にある摺動部122は、コイルバネ115に上方から当接している(図3参照)。コイルバネ115は移動部材120を上方向へ向けて付勢している。これにより、移動部材120は、下位位置にてコイルバネ115によって支持されている。当接部124は、基部121の下端部から前方へ向かって突出し、且つ左側面視で下方へ向かって円弧状に湾曲している。当接部124の下側面には当接面124Aが形成されている。当接面124Aには、カム面181Dが下側(上方向とは反対側)から当接している(図4参照)。尚、図5においては、図面を見易くするために、上位位置にある移動部材120を図示している(後述する移動部材220,320についても同様である)。また、図5においては、案内軸110および軸保持部111などの部材の図示を省略している。
ピニオン130は、基部121の支軸に回転自在に設けられる。ピニオン130は、第一貫通孔31Aの周縁部内側に位置する。固定ラック160は、上下方向(上方向と平行な方向)に長い板状部材である。固定ラック160は、第一貫通孔31Aの右縁部の下部に形成され、固定されている。固定ラック160は、軸部材45(図4参照)から上方向に離間しており、且つピニオン130の右方に位置する。固定ラック160の左側縁部には、上下方向に連続して延びる第一歯部160Aが形成されている。第一歯部160Aは、ピニオン130と噛み合っている。本実施形態では、固定ラック160は、平板部36と一体になって形成されている。固定ラック160は、平板部36と別体に形成されていてもよい。
図4に示すように、第一装飾体50は、略直方体状である。第一装飾体50は軸部材45から上方向に離間している。第一装飾体50の背面部の左右方向略中央には、スライドレール151が設けられる。スライドレール151は、第一レール部材151Aと、第二レール部材151Bと、複数の回転体(図示外)とから形成される。第一レール部材151Aおよび第二レール部材151Bは、背面視で上下方向に長い略矩形状である。第一レール部材151Aは、第一装飾体50の背面部に固定されている。第二レール部材151Bは、複数の回転体を介して第一レール部材151Aに設けられる。第二レール部材151Bは、第一レール部材151Aに対して上下動自在である。第二レール部材151Bは、平板部36(図5参照)のうち、第一貫通孔31A(図5参照)よりも左側部に固定される。これにより、第一装飾体50は平板部36に対して上下動自在となっている。
移動ラック155は、背面視で上下方向に長い板状部材である。移動ラック155は、第一装飾体50の背面部の下側部分のうち、スライドレール151よりも右側の部分から、下方へ向かって延びる。また、移動ラック155は、第一装飾体50の背面部と一体的に形成されている。さらに、移動ラック155は、ピニオン130の左方に位置する。移動ラック155の右側部には、上下方向に連続して延びる第二歯部155Aが形成されている。第二歯部155Aは、第一歯部160A(図5参照)とは反対側からピニオン130と噛み合っている。つまり、移動ラック155と固定ラック160とは、ピニオン130を挟んで、左右方向に対向している(図8参照)。尚、移動ラック155は、第一装飾体50の背面部と別体に形成されていてもよい。
次に、第二移動機構200の構成について説明する。第二移動機構200は、第二装飾体60を上下動させる機構である。第二移動機構200の構成は、第一移動機構100の構成と略同様である。従って、以下の説明では、第二移動機構200が備えるカム部材281および移動部材220についてのみ説明する。
図6に示すように、カム部材281は、軸部材45を中心とする扇形形状に形成されており、軸部材45の左右方向略中央部に固定される。カム部材281のカム面はカム面281A,281B,281C,281Dによって形成される。カム面281Aは、カム部材281のカム面うち、軸部材45から最も離間する面(領域)であり、軸部材45を中心とする回転方向と平行に延び且つ湾曲する面(領域)である。カム面281Aが、軸部材45を中心に回転移動する場合に描く軌跡は、貫通孔32(図5参照)を通過する。
カム面281Bは、カム部材281のうち一方向側の端面であり、カム面281Cは、他方向側の端面である。カム面281B,281Cは、各々、平面状に形成されており、カム面281Aと接続する。カム面281Dは、カム部材281のうち、軸部材45に対してカム面281Aと反対側の面であり、軸部材45を中心とする回転方向と平行に湾曲する面である。カム面281Dは、カム面281B,281Cと接続している。
図5に示すように、移動部材220の形状は、移動部材120と同様である。移動部材220は移動部材120よりも右側で、下位位置と上位位置との間を上下動自在である。移動部材220は当接部224を有する。当接部224の当接面224Aには、カム面281Dが下側から当接している(図4参照)。
次に、第三移動機構300(図6参照)の構成について説明する。第三移動機構300は、第三装飾体70を上下動させる機構である。第二移動機構200の構成の説明と同様、以下の説明では、第三移動機構300が備えるカム部材381(図6参照)および移動部材320についてのみ説明する。
図6に示すように、カム部材381は、軸部材45を中心とする扇形形状に形成されており、カム部材281の右方で、軸部材45に固定されている。カム部材381のカム面はカム面381A,381B,381C,381Dによって形成される。カム面381Aは、カム部材381のカム面のうち、軸部材45から最も離間する面(領域)であり、平面状に形成される面(領域)である。カム面381Aは左右方向に長い略矩形状である。カム面381Aの短手方向における長さは短い。このため、カム面381Aは、軸部材45を中心とする回転方向と略平行である。言い換えると、カム面381Aは、軸部材45を中心とする回転方向と略平行に延びる。カム面381Aが、軸部材45を中心に回転移動する場合に描く軌跡は、貫通孔32(図5参照)を通過する。尚、カム面381Aはカム面181A,281Aと同様に湾曲して形成されていてもよい。
カム面381Bは、カム部材381のうち一方向側の端面であり、カム面381Cは、他方向側の端面である。カム面381B,381Cは、各々、平面状に形成されており、カム面381Aと接続する。カム面381Dは、カム部材381のうち、軸部材45に対してカム面381Aと反対側の面であり、軸部材45を中心とする回転方向と平行に湾曲している。カム面381Dは、カム面381B,381Cと接続している。
図5に示すように、移動部材320の形状は、移動部材120と同様である。移動部材320は移動部材220よりも右側で、下位位置と上位位置との間を上下動自在である。移動部材320は当接部324を有する。当接部324の当接面324Aには、カム面381D(図6参照)が下側から当接している(図4参照)。
ここで、カム面181A,281A,381Aの位置関係について説明する。カム面181A,281A,381Aの各々と、軸部材45との離間距離は、互いに略同じである。また、カム面181A,281A,381Aの、軸部材45を中心とする回転方向における長さは、互いに異なる。さらに、カム面181A,281A,381Aの一方向側の端部は、軸部材45を中心とする回転方向において、互いに異なる位置に配置される。つまり、カム面181B,281B,381Bは、軸部材45を中心とする回転方向において、互いに異なる位置に配置される。また、カム面181A,281A,381Aの他方向側の端部は、軸部材45を中心とする回転方向において、互いに同じ位置に配置される。つまり、カム面181C,281C,381Cは、軸部材45を中心とする回転方向において、互いに同じ位置に配置される。
次に、演出装置30の動作について説明する。第一移動機構100、第二移動機構200、および第三移動機構300が、各々、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を上下動させる動作は、互いに同様である。従って、以下の説明では、第一移動機構100が第一装飾体50を上下動させる動作について詳しく説明し、第二移動機構200および第三移動機構300の動作については簡略化して説明する。尚、演出装置30の動作前においては、演出装飾体40は下降位置に位置し、移動部材120,220,320は下位位置に位置するものとする(図7(a)、図9(a)、図11(a)、および図12(a)参照)。
まず、図7〜図10を参照し、モータ22が、軸部材45を一方向へ向けて回転させる場合について説明する。図7に示すように、モータ22が軸部材45を一方向へ回転させると、カム部材181,281,381は、軸部材45を中心に一方向へ向けて回転移動する(図7(a)、(b)参照)。カム部材181が回転移動することで、カム面181Bが、カム面181Dに代わって当接面124Aと下側から当接する。カム面181Bの回転移動する方向(一方向)は、移動部材120の上位位置へ近接する方向である。従って、回転移動するカム面181Bは、当接面124Aと摺動しながら、当接部124を上方向へ押し上げる。これにより、移動部材120は、下位位置から案内軸110に沿って上方向へ移動する。さらに、カム部材181が回転移動することで、カム面181Aが、カム面181Bに代わって、当接面124Aと下側から当接し、当接部124をさらに上方向へ押し上げる(図7(b)参照)。これにより、移動部材120は上位位置に到達する(図7(b)参照)。カム面181Aが、当接面124Aと摺動している間は、移動部材120は上位位置に位置し続ける。
ここで、移動部材120が下位位置から上位位置へと移動する間、コイルバネ115(図3参照)が移動部材120を上方向へ向けて付勢する。従って、移動部材120を押し上げるカム部材181が、当接部124から受ける荷重は低減される。
図8に示すように、下位位置にある移動部材120が上方向へ移動する場合、ピニオン130は移動部材120と共に移動する。同時に、ピニオン130は、第一歯部160Aおよび第二歯部155Aと噛み合いながら、正面視で時計回り方向(以下、第一方向という)へ回転する。これにより、ピニオン130は、第一歯部160Aの下側部から上側部へ移動する。第二歯部155Aは、ピニオン130が第一方向へ回転することで、上方向へ移動させられる。これにより、移動ラック155は上方向へ移動する。尚、図8においては、支持部材35(図2参照)および第一装飾体50(図4参照)の図示を省略している(図10も同様)。
図9に示すように、下降位置にあった第一装飾体50は、移動ラック155と共に上方向へ移動する。そして、移動部材120が上位位置に到達するときに、第一装飾体50は上昇位置に到達する(図9(b)参照)。これにより、第一移動機構100(図7参照)は、第一装飾体50を下降位置から上昇位置へと移動させる。
ここで、ピニオン130の上方向への移動量は、カム部材181(図7参照)が移動部材120を上方向へ押し上げて移動させる移動量(以下、押上移動量という)と同じである。そして、移動するピニオン130は、第一方向へ回転することで第二歯部155Aを上方向へ移動させる。これにより、移動ラック155は、移動するピニオン130に対して、上方向へ相対移動する。従って、移動ラック155の上方向への移動量は、押上移動量よりも大きくなる。よって、演出装置30は、第一装飾体50の移動量を増大させることができる。
図7および図9に示すように、モータ22が軸部材45をさらに一方向へ回転させることで、回転移動するカム面281Bおよびカム面281Aが、カム面281Dに代わって順に当接面224Aと下側から当接する(図7(b)、(c)参照)。結果、移動部材220は下位位置から上位位置に到達し、第二装飾体60は下降位置から上昇位置に到達する(図9(b)、(c)参照)。これにより、第二移動機構200は第二装飾体60を下降位置から上昇位置へと移動させる。尚、第二装飾体60が移動する間、回転移動するカム面181Aは当接面124Aと摺動しており、第一装飾体50は上昇位置に位置し続ける。
モータ22が軸部材45をさらに一方向へ回転させると、回転移動するカム面381Bおよびカム面381Aが、カム面381Dに代わって順に当接面324Aと下側から当接する(図7(c)、(d)参照)。これにより、第三移動機構300は、第三装飾体70を下降位置から上昇位置に到達させる(図9(c)、(d)参照)。尚、第三装飾体70が移動する間、回転移動するカム面181A,281Aは、各々、当接面124A,224Aと摺動しており、第一装飾体50および第二装飾体60は、上昇位置に位置し続ける。
モータ22が軸部材45をさらに一方向へ回転させると、カム面181Aが当接面124Aから離間し、回転移動するカム面181Cがカム面181Aに代わって当接面124Aと当接する。この場合におけるカム面181Cの回転移動する方向(一方向)は、移動部材120の上位位置および第一装飾体50の上昇位置から離間する方向である。カム面181Cが回転移動することで、上昇位置にあった第一装飾体50は、自重により移動ラック155と共に下方向に移動する。
図10に示すように、移動ラック155が下方向へ移動することで、ピニオン130は、第一歯部160Aおよび第二歯部155Aと噛み合ったまま、正面視で反時計回り方向(以下、第二方向という)へ回転する。これにより、ピニオン130は、第一歯部160Aの上側部から下側部へ移動する。また、移動部材120は、第二方向へ回転するピニオン130と共に、当接面124Aがカム面181C(図7参照)と当接する状態を保ったまま、自重により下方向へ向けて移動する。これにより、上位位置にあった移動部材120は、案内軸110に沿って、下方向へ移動する。
そして、図7に示すように、回転移動するカム面181Dが、カム面181Cに代わって当接面124Aと当接することで、移動部材120は下位位置に戻り(図7(a)参照)、第一装飾体50は下降位置に戻る(図9(a)参照)。これにより、第一移動機構100は第一装飾体50を上昇位置から下降位置へと移動させる。
ここで、カム面181Cが、カム面181Aに代わって当接面124Aと当接すると同時に、カム面281Cは、カム面281Aに代わって当接面224Aと当接し、カム面381Cは、カム面381Aに代わって当接面324Aと当接する。この結果、移動部材220,320が、上位位置から下位位置へと移動し、第二装飾体60および第三装飾体70は、上昇位置から下降位置へと移動する。そして、カム面181Dが当接面124Aと当接すると同時に、カム面281Dは当接面224Aと当接し、カム面381Dは当接面324Aと当接する(図7(a)参照)。これにより、第一移動機構100が第一装飾体50を上昇位置から下降位置へと移動させると同時に、第二移動機構200および第三移動機構300は、各々、第二装飾体60および第三装飾体70を、上昇位置から下降位置へと移動させる(図9(a)参照)。
以上の動作を繰り返すことで、演出装置30は、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を、互いに異なるタイミングで下降位置から上昇位置に到達させ、且つ第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を、同時に上昇位置から下降位置に到達させる。
次に、図11、図12を参照し、モータ22が軸部材45を他方向へ向けて回転させる場合について説明する。演出装置30が演出装飾体40を上下動させる動作は、軸部材45が一方向へ向けて回転する場合と同様である。従って、以下の説明では、演出装置30の動作を簡略化して説明する。
図11、図12に示すように、モータ22が軸部材45を他方向へ回転させることで、カム部材181,281,381は、軸部材45を中心に他方向へ向けて回転移動する。(図11(a)、(b)参照)。この場合、カム面181Dに代わってカム面181Cが当接面124Aと当接する。同時に、カム面281Dに代わってカム面281Cが当接面224Aと当接し、カム面381Dに代わってカム面381Cが当接面324Aと当接する。これにより、移動部材120,220,320は、同時に下位位置から上位位置へと移動し、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70は、同時に上昇位置へ向かって移動する。
モータ22が軸部材45をさらに他方向へ回転させることで、カム面181Aは、カム面181Cに代わって当接面124Aと当接する(図11(b)参照)。同時に、カム面281Aが、カム面281Cに代わって当接面224Aと当接し、カム面381Aが、カム面381Cに代わって当接面324Aと当接する(図11(b)参照)。これにより、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70は、同時に上昇位置に到達する(図12(b)参照)。
モータ22が軸部材45をさらに他方向へ回転させることで、カム面381Aは当接面324Aから離間し、カム面381Bおよびカム面381Dがカム面381Aに代わって順に当接面324Aと当接する(図11(c)参照)。この結果、第三移動機構300は、第三装飾体70を上昇位置から下降位置へと移動させる(図12(c)参照)。尚、第三装飾体70が下降位置へと移動する間、第一装飾体50および第二装飾体60は、上昇位置に位置し続ける。
モータ22が軸部材45をさらに他方向へ回転させることで、カム面281Bおよびカム面281Dは、カム面281Aに代わって順に当接面224Aと当接する(図11(d)参照)。結果、第二移動機構200は、第二装飾体60を上昇位置から下降位置へと移動させる(図12(d)参照)。尚、第二装飾体60が下降位置へと移動する間、第一装飾体50は上昇位置に位置し続け、第三装飾体70は下降位置に位置し続ける。
さらに、モータ22が軸部材45を他方向へ回転させることで、カム面181Bおよびカム面181Dは、カム面181Aに代わって順に当接面124Aと当接する(図11(a)参照)。これにより、第一移動機構100は、第一装飾体50を上昇位置から下降位置へと移動させる(図12(a)参照)。尚、第一装飾体50が下降位置へと移動する間、第二装飾体60および第三装飾体70は、下昇位置に位置し続ける。
以上の動作を繰り返すことで、演出装置30は、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を、同時に下降位置から上昇位置に到達させ、且つ、第三装飾体70、第二装飾体60、および第一装飾体50の順に、各装飾体を上昇位置から下降位置に到達させる。
以上、説明したように、第一移動機構100の固定ラック160と移動ラック155は、ピニオン130を挟んで左右方向に対向する。そして、軸部材45に固定されるカム部材181は、移動部材120に下側から当接部124と当接する。従って、第一装飾体50を上下方向に往復移動させるための部材である、固定ラック160、移動ラック155、ピニオン130、軸部材45、およびカム部材181は、特定の方向に並んで配置されることがない。つまり、演出装置30は、左右方向および上下方向におけるスペースを有効に活用して、第一装飾体50を上下方向に往復移動させるための部材を配置できる。従って、演出装置30は、小型化できる。また、ピニオン130が上方向へ移動しながら第一方向へ回転する場合、移動ラック155は、ピニオン130に対して上方向へ相対移動する。これにより、第一装飾体50の移動量は、押上移動量よりも大きくなる。よって、演出装置30は第一装飾体50の移動量を確保しつつ、小型化できる。
また、演出装置30は、軸部材45を一方向へ回転させることで、互いに異なるタイミングで、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を、下降位置から上昇位置に到達させる。従って、演出装置30は、遊技内容を多様化できる。
また、演出装置30は、軸部材45を他方向へ回転させることで、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を、同時に下降位置から上昇位置に到達させることができる。つまり、演出装置30は、軸部材45を回転させる方向を変更することで、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70が上昇位置に到達するタイミングを、異ならせることも、揃えることもできる。よって、演出装置30は、遊技内容をさらに多様化できる。
また、移動部材120が上位位置に到達した後に、カム部材181がさらに回転移動すると、移動部材120は自重により下位位置まで戻り、第一装飾体50は下降位置まで戻る。これにより、移動部材120は、移動ラック155を上方向へ再び移動させることができる状態となる。従って、演出装置30は、第一装飾体50を上下方向に往復移動させることができる。同様に、演出装置30は、第二装飾体60および第三装飾体70を、上下方向に往復移動させることができる。よって、演出装置30は、演出装飾体40を上下方向に往復移動させることができるので、遊技内容をさらに多様化できる。また、演出装飾体40は、上方向へ移動した後、自重により下方向へ移動する。従って、演出装置30は、演出装飾体40を下方向へ移動させるための駆動源を、モータ22以外に備える必要がない。よって、演出装置30は、演出装飾体40を往復移動させる機構を簡易化できる。
また、コイルバネ115は、第一装飾体50を上方向へ向けて付勢する。従って、移動部材120を上方向へ移動させるカム部材181が、当接部124から受ける荷重(移動部材120の自重に起因する荷重)は低減される。同様に、カム部材281、381が、各々、当接部224,324から受ける荷重は、低減される。よって、移動部材120,220,320が押し上げられる場合に、モータ22が要する駆動力は低減される。よって、演出装置30は、安定して演出装飾体40を上方向へ移動させることができる。
また、案内軸110は、コイルバネ115の内側を上下方向に通過して延びる。案内軸110が、コイルバネ115の内側に設けられることで、コイルバネ115の内側の空間が有効に活用できる。よって、演出装置30は、さらに小型化できる。
尚、上記実施形態において、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当し、モータ22が本発明の「駆動源」に相当し、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70が本発明の「装飾体」に相当し、第一移動機構100、第二移動機構200、および第三移動機構300が本発明の「移動機構」に相当し、カム面181A,281A,381Aが本発明の「特定領域」に相当し、左右方向が本発明の「延設方向」に相当する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での変更が可能である。上記実施形態では、演出装置30は、演出装飾体40を上下動させているが、これに限られない。例えば、演出装置30は、左右方向、前後方向、または正面視で上下方向および左右方向に対して傾斜する方向に、演出装飾体40を往復移動させてもよい。
また、軸部材45は、左右方向に延びるがこれに限られない。例えば、軸部材45は、前後方向に延びていてもよい。この場合、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70は、前後方向に並んで配置される。
また、上記実施形態では、第一移動機構100は、移動部材120を上方向へ付勢する弾性部材として、コイルバネ115を備えるがこれに限られない。例えば、演出装置30は、コイルバネ115の代わりに、移動部材120を上方へ付勢する引っ張りスプリングを支持部材35に設けてもよい。また、引っ張りスプリングの代わりに、トーションスプリングまたは板バネ等が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、演出装置30は、装飾体を三つ(第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70)を備えるがこれに限られない。例えば、演出装置30は、装飾体を一つまたは二つ備えていてもよいし、四つ以上備えていてもよい。
また、上記実施形態では、演出装置30は、軸部材45を一方向へ回転させる場合に、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を、順に、下降位置から上昇位置へと移動させるが、これに限られない。第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70を上昇位置へと移動させる順番は、どのような順番であってもよい。この場合、カム部材181,281,381の配置位置を適宜変更させれば、各装飾体が移動する順番は変更できる。例えば、軸部材45を一方向へ回転させる場合に、第三装飾体70、第二装飾体60、および第一装飾体50を順に上昇位置に到達させる場合には、カム部材181とカム部材381との配置位置を入れ替えればよい。
また、上記実施形態では、カム面181B,281B,381Bは、軸部材45を中心とする回転方向において、互いに異なる位置に配置され、カム面181C,281C,381Cは、互いに同じ位置に配置されているが、これに限られない。例えば、カム面181B,281B,381Bは、軸部材45を中心とする回転方向において、互いに同じ位置に配置され、カム面181C,281C,381Cは、互いに異なる位置に配置されてもよい。この場合、演出装置30が、軸部材45を、左側面視で反時計回り方向に回転させる場合に、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70は、同時に下降位置から上昇位置に到達する。そして、演出装置30が、軸部材45を、左側面視で時計回り方向に回転させる場合に、第一装飾体50、第二装飾体60、および第三装飾体70は、互いに異なるタイミングで、下降位置から上昇位置に到達する。
また、上記実施形態では、移動ラック155、ピニオン130、および固定ラック160は、左右方向に並んで設けられるが、これに限られない。例えば、移動ラック155、ピニオン130、および固定ラック160は、前後方向に並んで設けられていてもよい。また、上記実施形態では、移動ラック155、ピニオン130、および固定ラック160は、軸部材45に対して上側に配置されるが、これに限られない。例えば、移動ラック155、ピニオン130、および固定ラック160は、軸部材45に対して下側に配置されていてもよい。この場合、移動部材120は、基部121の下端部から軸部材45の下側まで延びる延設部をさらに備え、該延設部にピニオン130を回転自在に設け、ピニオン130の左右両側に移動ラック155および固定ラック160を配置すればよい。
また、上記実施形態では、当接部124は、基部121の下端部から前方へ向かって突出しているが、これに限られない。当接部124は、基部121の下端部から後方へ向かって突出していてもよい。また、上記実施形態では当接部124は、基部121の下端部に設けられているがこれに限られない。当接部124は、基部121の上下方向略中央部に設けられていてもよい。さらに、上記実施形態では、当接部124は、左側面視で下方へ向かって円弧状に湾曲しているが、これに限られない。当接部124は、基部121の下端部から前方斜め下方へ向かって直線状に延びていてもよい。また、当接部124は、基部121の下端部から後方へ向かって直線状に延びていてもよい。
また、上記実施形態では、当接部124は、カム部材181に常に当接しているが、これに限られない。例えば、支持部材35にストッパー部材を設けることで、移動部材120の下位位置を、カム面181Aのみが当接部124と当接可能となる位置に調整してもよい。この場合、カム部材181は、カム面181Aが当接部124と当接しない場合には、移動部材120から離間する。
また、上記実施形態では、カム部材181,281,381は、軸部材45を中心とする扇形形状であるが、これに限られない。例えば、図13に示す変形例に係るカム部材481のように、湾曲するカム面481A,481Bを有する形状であってもよい。カム面481Aは、カム部材481のカム面のうち、軸部材45から最も離間する面(領域)であって、軸部材45を中心とする回転方向と平行に延び且つ湾曲する面(領域)である。カム面481Bは、カム面481Aの軸部材45を中心とする回転方向における両端部と接続する面である。カム面481Bは、軸部材45を中心とする回転方向に沿って、軸部材45との離間距離が漸増または漸減するように形成されている。カム部材481が、軸部材45を中心に回転移動する場合に、カム面481Bが当接面124Aと当接している間は、第一装飾体50(図2参照)は、僅かに上下動を繰り返す。そして、回転移動するカム面481Aが、カム面481Bに代わって当接面124Aと当接する場合に、第一装飾体50は、上昇位置に到達する。
また、上記例示した各要素に限らず、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、単一であっても複数であってもよく、適宜配置の変更が行われてもよい。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。更には、請求項、明細書および図面に記載される要素を各々別体で構成するか、適宜一体的に構成するか、或いはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、当業者であれば何れも容易に考えられる事項である。従って、その範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、実施例に記載がされていないからといって採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。