JP6226360B2 - 流体圧式アクチュエータおよび湾曲駆動装置 - Google Patents

流体圧式アクチュエータおよび湾曲駆動装置 Download PDF

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Description

本発明は流体圧式アクチュエータに関し、具体的には、マッキベン型の流体圧式アクチュエータに関する。
従来、流体圧式アクチュエータの一形態としてマッキベン型の流体圧式アクチュエータが知られている(特許文献1:特開2003−301807号公報)。一般的なマッキベン型流体圧式アクチュエータの構造および動作原理を簡単に説明する。
図15は、一般的なマッキベン型流体圧式アクチュエータを示す図である。
流体圧式アクチュエータ10は、
径方向に膨張可能な細長い筒体であるインナーチューブ2と、
インナーチューブ2の外周を覆うメッシュスリーブ3と、を有する。
メッシュスリーブ3は、伸縮性を持たない素材をメッシュ状に編んだものである。メッシュスリーブ3は、インナーチューブ2の両端部でインナーチューブ2に固着されている。インナーチューブ2の一端(図15で左端)は封止され、インナーチューブ2の他端(図15で右端)は、加圧管路5を介してポンプ4からの空気(流体)が給排されるようになっている。
さて、図15(a)の状態においてインナーチューブ2の内部に空気を送り込む。すると、インナーチューブ2は、径方向に膨張することになる。インナーチューブ2が膨張すると、インナーチューブ2からの圧力を受けてその外側にあるメッシュスリーブ3も径が大きくなる(図15(b))。
ここで、メッシュスリーブ3の素材は伸縮性を持たないので、メッシュスリーブ3は編み角を大きくすることによって径方向に太る。メッシュスリーブ3の編み角が大きくなると、その分、メッシュスリーブ3の長さが縮む。このようにして、インナーチューブ2の径方向の膨張を長手方向の収縮に変換することができる。すなわち、インナーチューブ2に空気を送り込むことによって、流体圧式アクチュエータ10の収縮という駆動力を得る。
流体圧式アクチュエータは、ロボット関節や内視鏡の屈曲力を得るのに利用されている(特許文献2、3、4、5)。
特開2003−301807号公報 特開2006−10904号公報 特開2008−82554号公報 米国特許4733603号 国際公開WO2011/013425号
内視鏡としては、配管等の内部を観察するような工業用途のものの他、胃や腸を観察または治療するための医療用途のものがある。
工業用の内視鏡では、流体圧式アクチュエータのようなアクチュエータを内蔵し、アクチュエータの動力で屈曲力を得るものがあった。
しかし、医療用の内視鏡では、ワイヤの牽引で内視鏡の曲がり具合を制御するものが多かった。これは、医療用内視鏡は、人体に挿入するためにできる限り小型化、特に、細径化する必要があったためである。すなわち、アクチュエータを内視鏡に組み込もうとするとどうしても内視鏡の径が太くなってしまうという問題があった。流体圧式アクチュエータを単純に細くすること自体はできるかもしれないが、単純に流体圧式アクチュエータを細くしただけでは十分な駆動力が得られなかったり、耐久性に問題が生じたりしてくる。したがって、医療用の内視鏡に利用できるぐらい、十分に細径化でき、かつ、十分な駆動力および耐久性を有する流体圧式アクチュエータが求められている。
なお、このような問題は医療用内視鏡の他、小型、細径化が必要な湾曲駆動装置に共通する問題である。
本発明の流体圧式アクチュエータは、
流体が供給・排出されることにより膨張・収縮するインナーチューブと、
前記インナーチューブの外周を覆い、前記インナーチューブの膨張に追随してその径が大きくなるとともに長さが収縮するメッシュスリーブと、を備えた流体圧式アクチュエータであって、
前記インナーチューブは、断面において、相対的に肉厚の領域と相対的に肉薄の領域とを有する
ことを特徴とする。
本発明では、
前記インナーチューブは、外周が円形で、内周が楕円形である
ことが好ましい。
また、本発明では、
最も肉厚の領域と最も肉薄の領域とで互いの肉厚の差が1.5倍以上である
ことが好ましい。
本発明の流体圧式アクチュエータは、
流体が供給・排出されることにより膨張・収縮するインナーチューブと、
前記インナーチューブの外周を覆い、前記インナーチューブの膨張に追随してその径が大きくなるとともに長さが収縮するメッシュスリーブと、を備えた流体圧式アクチュエータであって、
前記インナーチューブは、断面において、相対的に高硬度の材料で形成された領域と、相対的に低硬度の材料で形成された領域と、を有する
ことを特徴とする。
本発明では、
最も高硬度の領域と最も低硬度の領域とで互いの硬度の差が10度以上である
ことが好ましい。
さらに、本発明では、
さらに、コンプレッサからの流体を送る前記インナーチューブに送る加圧管路を備え、
前記加圧管路は、前記コンプレッサから前記インナーチューブに向かうに従ってその内径が段階的に小さくなる
ことが好ましい。
そして、本発明の湾曲駆動装置は、前記流体圧式アクチュエータを備えたことを特徴とする。
湾曲駆動装置を示す図。 湾曲駆動装置が屈曲する様子を示す図。 アクチュエータの断面を示す図。 インナーチューブが膨張した状態を示す図。 フレキシブルチューブの断面を示す図。 アクチュエータの断面を示す図。 課題を説明するための図。 二重になったメッシュスリーブを示す図。 メッシュスリーブの素線の断面形状を示す図。 メッシュスリーブの編み角の変化を説明するための図。 湾曲駆動装置が屈曲する様子を示す図。 メッシュスリーブの編み角の変化を説明するための図。 変形例を説明するための図。 変形例を説明するための図。 一般的なマッキベン型流体圧式アクチュエータを示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、湾曲駆動装置100を示す図である。図1においては、構造を分かり易く示すために、途中の一部を破断している。
湾曲駆動装置100は、
細長い筒状であって自在に屈曲可能なフレキシブルチューブ200と、
フレキシブルチューブの後端に連続して接続されており、やや剛性を有する筒体である胴体部103と、
フレキシブルチューブ200を外側から覆う外カバー120と、
フレキシブルチューブ200を屈曲させる動力源としてのアクチュエータ300と、
アクチュエータ300に加圧流体を送り込むための加圧管路410と、
流体を加圧管路410に押し出すコンプレッサ450と、を備える。
フレキシブルチューブ200は、蛇腹管状の管である。すなわち、フレキシブルチューブ200は、その外周面において長手方向に山と谷とを繰り返す形状である。フレキシブルチューブ200は、薄肉の樹脂で形成されるものであるが、その形状を蛇腹管状にしていることで自在に湾曲できるようになっている。
フレキシブルチューブ200の内側には例えば各種の医療用関連器具が内挿されてもよい。
医療用関連器具とは、例えば、各種医療用機器を通すためのチューブ、気体や液体を送るためのチューブ、気体や液体を吸引するためのチューブ、各種医療用機器に送電するための電源ケーブル等である。
フレキシブルチューブ200は、その外側面において複数の溝条210、210、210、210を有する。
これら溝条210には後述のアクチュエータ300が挿通されるので、これら溝条を挿通部210と称することとする。本実施形態では、挿通部210は4本設けられている。挿通部210は、フレキシブルチューブ200の長手方向に沿った長さを有し、その断面形状が略U字形である。
外カバー120は、フレキシブルチューブ200の外径と略同じ内径を有する。挿通部210、210、210、210にアクチュエータ300、300、300、300を挿入した後、外カバー120をフレキシブルチューブ200の外側に装着する。すると、アクチュエータ300が挿通部210から脱落する恐れが無くなる。
また、外カバー120により、フレキシブルチューブ200の蛇腹が患者の内蔵内壁に直接接触することを防止する。
続いて、アクチュエータ300について説明する。
アクチュエータ300は、基本的には、マッキベン型の流体圧式アクチュエータである。アクチュエータ300は、挿通部210内に配置される。ここでは、フレキシブルチューブ200の断面で見たときに90度ごとに4本配置されている。4本あるアクチュエータ300、300、300、300のうちの一つ、二つまたは三つを収縮駆動させれば、例えば図2のように、湾曲駆動装置100が屈曲することになる。
湾曲駆動装置100を例えば医療用内視鏡に適用することを考慮し、各アクチュエータ300の設計条件として、例えば、全長を150mmとし、出力ストロークを28mm(収縮率18%)とし、出力(収縮力)を1.4kgfとしたいとする。
アクチュエータ300は、
径方向に膨張可能な細長い筒体であるインナーチューブ310と、
インナーチューブ310の外周を覆うメッシュスリーブ330と、を有する。
まずインナーチューブ310について説明する。
インナーチューブ310は、細長い筒であり、径方向に弾性的に膨張可能である。インナーチューブ310は、例えば、シリコーンゴムや天然ゴムで形成されている。流体圧式アクチュエータ300を例えば医療用の内視鏡に組み込むことを考えた場合、アクチュエータ300を細径化することが肝要である。アクチュエータ300の細径化にあたっては、インナーチューブ310を細径化する必要がある。
具体的には、膨張したときでもその外径(外周の直径)が4mm以下とすることが好ましい。
さらに具体的には次のようにすることが例として挙げられる。
膨張前:内径を0.9mm、外径を1.3mm。
膨張時:内径を2.7mm、外径を3.1mm。
(膨張方向のコントロール)
ここで、アクチュエータ300を単純に細径化するというだけでなく、さらに、挿通部210という限られたスペースにアクチュエータ300を収納するための工夫が必要になる。流体圧式アクチュエータ300は、インナーチューブ310を膨張させることで収縮力を得るわけであるから、インナーチューブ310が膨張した際でもアクチュエータ300が挿通部210に無理なく収まっていなければならない。
そこで、本発明者らは、アクチュエータ300の膨張方向をコントロールすることを考案した。
具体方法としては、次のように二つの方法がある。
一つ目の方法は、インナーチューブ310の断面において肉厚に差を設けるというものである。
図3は、アクチュエータの断面を示す図である。
(なお、図3において、メッシュスリーブ330が二重になっている点については後述する)
図3に示すように、インナーチューブ310の断面において、外周311は円形であるが、内周312を楕円とする。これにより、肉厚の部分と、肉薄の部分と、ができる。肉厚の部分と肉薄の部分とでは硬さ(柔らかさ)に差が生じるので、肉薄の部分の方が肉薄の部分に比べて変形しやすくなる。(図3においては、各方向における変形のし易さを矢印の長さで表現した。)すると、インナーチューブ310に流体を送り込んでインナーチューブ310を径方向に膨張させると、図4のように、肉薄の部分の方がより大きく変形することになる。すなわち、膨張前は円形であった外周311が、膨張後は楕円状に扁平になる。
このようにアクチュエータ300の断面において膨張方向をコントロールすることには医療用内視鏡を考えた場合に大きな利点がある。
フレキシブルチューブ200の内側には必要な医療関係器具110を収納するためにそれ相応のスペースを確保しなければならず、かつ、フレキシブルチューブ200の外側には外カバー120が装着される。そして、先に説明したように、アクチュエータ300はフレキシブルチューブ200の外側面に設けられた溝条(挿通部210)に配置されている。
アクチュエータ300が膨張できるスペースは挿通部210の内側だけとなるので、アクチュエータ300が径方向に均一に膨張するとなると、挿通部210の深さをそれ相応に深めにとっておく必要が生じる。挿通部210の深さを大きくすると、それだけ湾曲駆動装置100の径が大きくなるのは当然である。しかも、アクチュエータ300を90度ごとに4本設けるとなると対角方向に二つのアクチュエータ300が存在するわけであるから、挿通部210の深さが湾曲駆動装置100の径大に与える影響はかなり大きい。
なお、インナーチューブ310の膨張率を小さくすれば湾曲駆動装置100の径は小さくはなるが、望むだけの出力(駆動力)を得ることが難しくなるのは当然である。
この点、インナーチューブ310の膨張が扁平に生じるようにすると、インナーチューブ310はフレキシブルチューブ200の周方向に広がるようにできる。挿通部210の断面形状もそれにあわせてフレキシブルチューブ200の周方向に広さをとるようにすればよい。
例えば、図5は、フレキシブルチューブ200の断面を示す図である。ここで、挿通部210をフレキシブルチューブ200の周方向にやや広げている。挿通部210をフレキシブルチューブ200の周方向に広げたとしても、湾曲駆動装置100の外径は大きくならない。したがって、インナーチューブ310の膨張率の大きさを維持しつつ、すなわち、アクチュエータ300の出力(駆動力)の大きさを維持しつつも湾曲駆動装置100を細径化することに資するのである。
さらに、インナーチューブ310の外周の形状についても当初から楕円形にしておいてもよいことはもちろんである。
なお、肉厚の差は、1.5倍以上、さらには、2倍以上にすることが例として挙げられる。
アクチュエータ300の膨張方向をコントロールするための二つ目の方法は、インナーチューブ310の断面において材料に違いを設け、これによりインナーチューブ310の断面において領域ごとに硬度が違うようにするというものである。例えば、図6はインナーチューブ310の断面を示す。このインナーチューブ310は、硬度が高い材料313、313と硬度が低い材料314、314とで構成されている。ここでは、インナーチューブ310の断面において、上側の領域と下側の領域とが高硬度の材料313で構成され、左右の領域が低硬度の材料314で構成されている。
このような構成によれば、低硬度の材料314で構成された左右の領域が変形しやすい(伸びやすい)ことは明らかであろう。
インナーチューブ310の内圧を高めると、左右の領域が伸び、結果としてインナーチューブ310は左右に広がるように変形する。(図6においては変形の大きさを矢印の長さで表現した。)したがって、このような構成によっても、インナーチューブ310の膨張率の大きさを維持しつつも湾曲駆動装置100を細径化することに資するのはご理解頂けるであろう。
硬度の差は、10度以上、さらには、20度以上にすることが好ましい。断面において材料に違いを設けるにあたっては、例えば、射出成型の金型に複数の流入通路を設けておくことが例として挙げられる。
(耐久性と収縮率との両立)
次に、メッシュスリーブについて説明する。
本実施形態においては、粗く編んだメッシュスリーブ330、330を二重にして用いている。
この理由を説明する。
流体圧式アクチュエータのよく知られた課題としてインナーチューブの破裂がある。アクチュエータを駆動させる際にはインナーチューブの内側に流体を送り込んでインナーチューブを膨張させるわけあるが、インナーチューブの外側には伸縮性を持たないメッシュスリーブがあるので、メッシュスリーブがインナーチューブに食い込むことになる。
図7は米国特許4733603号で用いられている図である。
この図7に典型的に示されているように、インナーチューブが膨張するとインナーチューブがメッシュスリーブの編み目の隙間から膨出する。加圧が大き過ぎたり、加圧が大きくなくても通常のアクチュエータの駆動を繰り返したりすれば、インナーチューブが破裂することがあり、耐久性の点で問題が生じる。この問題を解決するため従来いくつかの方法が採られてきた。
例えば、メッシュスリーブの編み目の隙間を小さくすることが考えられる。
メッシュスリーブを編むにあたって打ち数を多くする、すなわち、編み目の一辺を短くするというやり方もあるし、または、メッシュスリーブの素線を太くしたり、素線を複数本束ねて使用するという方法もある。
こうすれば、インナーチューブがメッシュスリーブの編み目に食い込んで破れるという事故は少なくはなる。しかし、これらの方法でメッシュスリーブの編み目を細かくすると、径方向の膨張を長手方向の収縮に変換しにくくなるという問題が生じる。
従って、望む出力(駆動力)が得にくくなる。
もちろん、インナーチューブを硬質ゴムで形成するという考え方もあるが、その分インナーチューブの膨張率が小さくなるのは当然である。
本実施形態では、細径化することを主目的とするところ、インナーチューブの径が細くなり、おまけに、インナーチューブの膨張率が小さくなったのでは、アクチュエータの出力ストロークが小さくなり過ぎる。
そこで、本実施形態においては、メッシュスリーブの編み目は粗くし、メッシュスリーブを二重にすることとした。すなわち、図8に示すように、粗く編んだメッシュスリーブ330、330を互いにずらして重ねる。
図8において、実線のメッシュスリーブ330が外側にあり、破線のメッシュスリーブ330がその内側にあると解釈されたい。
(ずらす方向は、長手方向でも周方向でも同じことである。要は、互いに半ピッチずれるように重ねればよい。)
このようにすることで、メッシュの粗さを維持することで収縮率は高く維持し、かつ、編み目からインナーチューブ310が膨出することを極力防止できる。
さらには、図9に示すように、メッシュスリーブ330の素線331の断面形状を円形ではなく楕円形にするとよい。
(図9では、素線の断面形状がよく見えるように素線を太めに描いているが、実際には素線は極めて細いものである。)すなわち、メッシュスリーブ330の素線331の断面形状を扁平にすることで素線331がインナーチューブ310に接触する面積を増やす。これにより、素線331がインナーチューブ310にできる限り食い込みにくくする。
なお、メッシュスリーブの編み目を粗くするというのは、例えば、打ち数を16以下とすることが例として挙げられる。
(収縮動作のコントロール)
次に、本実施形態において、メッシュスリーブ330は一様に編まれているわけではなく、部分的に編み角を変化させている。
流体圧式アクチュエータ300は、インナーチューブ310の膨張によってメッシュスリーブ330の編み角が大きくなることで長手方向の収縮を得るものであるということは既に説明した(背景技術)。従って、小さい編み角でメッシュスリーブ330を編んでおき、インナーチューブ310の膨張時に編み角が立ち上がる余地(編み角が大きくなる余地)を十分にとっておけば、収縮率を大きく稼げ、出力ストロークが大きくなるということになる。
流体圧式アクチュエータ300を使って対象物(例えばロボット関節や工業用内視鏡)を単純に曲げ伸ばしするだけであれば、全体的に一様に小さい編み角でメッシュスリーブを編んでおけばよいとも考えられる。
しかし、例えば医療用内視鏡に流体圧式アクチュエータ300を組み込むような場合を考えると、細やかで繊細な制御動作が求められる。
例えば、湾曲駆動装置100を屈曲させるにあたっては、同じ曲がるにしても、狙ったところだけが敏捷かつ敏感に曲がるといった操作性が求められる。
(例えば、図2に示した例では先端に行くほど曲がりが大きくなっており、このような湾曲の仕方は望ましい曲がり方の一例である。)そこで、本実施形態においては、部分的に編み角を変化させている。
例えば、湾曲駆動装置100には、図10に示すように、先端101寄りで操作性よく屈曲すべき湾曲部102と、やや硬めの剛性を持った胴体部103と、がある。
(本実施形態では、フレキシブルチューブ200が湾曲部102に相当する。)この場合、湾曲部102に相当する部分では、メッシュスリーブ330の編み角θ1をもともと大きめにしておく。一方、胴体部103に相当する部分では、メッシュスリーブ330の編み角θ2を小さめにしておく。
このようにすると次のような動作になる。
インナーチューブ310に加圧流体を送り込むと、インナーチューブ310は膨張しようとする。
この際、まず、胴体部103に相当する部分では、メッシュスリーブ330の編み角θ2をもともと小さめにしてあるので、編み角θ2が立ち上がる余地(編み角が大きくなる余地)が十分にある。したがって、インナーチューブ310は径方向に膨張し、それに合わせてメッシュスリーブ330の編み角θ2が立ち上がり(編み角が大きくなり)、大きな収縮ストロークが得られる。
メッシュスリーブ330は両端部においてインナーチューブ310に固着されているので、メッシュスリーブ330による収縮力は、インナーチューブ310の後端はもちろんインナーチューブ310の先端に作用し、インナーチューブ310の先端101を引っ張る。この力が湾曲駆動装置100の先端101寄りを屈曲させる力になる。
一方、湾曲部102に相当する部分では、メッシュスリーブ330の編み角θ1をもともと大きめにしてあるので、編み角θ1が立ち上がる余地(編み角が大きくなる余地)があまり無い。したがって、湾曲部102に相当する部分では、インナーチューブ310の膨張が抑制され、アクチュエータ300の収縮量は小さくなる。
このような構成によれば、アクチュエータ300のトータルでの収縮ストロークを大きく稼ぐことができ、かつ、湾曲部102をスムースに大きく屈曲させることができる。
この理由を図11を参照しながら説明する。
仮に、湾曲部102に相当する部分でもアクチュエータ300が大きく収縮したとする。すると、図11に図示するように、湾曲部102に相当する部分においてアクチュエータ300が直線化しようとするため、アクチュエータ300は湾曲部の内側に張り出そうとする。
ここで、アクチュエータ300のさらに外側には外カバー120がある。すると、アクチュエータ300が外カバー120に強く接触するようになるので、外カバー120からの摩擦力がアクチュエータ300に掛かるようになり、アクチュエータ300の伸縮運動が阻害されることになる。アクチュエータ300が収縮して湾曲部102の曲がりが大きくなるほど前記摩擦力はますます大きくなってくる。
一方、胴体部103に相当する部分はストレートであるので、この部分ではアクチュエータ300の伸縮運動を阻害するような力が作用しない。
したがって、湾曲部102に相当する部分ではアクチュエータ300の収縮量は小さくしつつ胴体部103に相当する部分でアクチュエータ300の収縮量を稼ぐ方が、全体としてみれば、アクチュエータ300の収縮ストロークを大きく稼ぎ、かつ、湾曲部102をスムースに大きく屈曲させることができるのである。
このような観点から、湾曲部102に相当する部分ではメッシュスリーブ330の編み角θ1をもともと大きめにし、胴体部103に相当する部分ではメッシュスリーブ330の編み角θ2を小さめにしておくと例えば医療用内視鏡に好適なアクチュエータ300とすることができる。
なお、マッキベン型の流体圧式アクチュエータでは、メッシュスリーブの編み角は最大で51°ぐらいまで立ち上がるとされているが、本実施形態のようにインナーチューブ310もメッシュスリーブ330も細径化した場合、編み角の立ち上がりの最大角は40°程度までしかいかないことが分かった。
(インナーチューブ310に加圧流体を無理にでも送り込めばメッシュスリーブ330の編み角は40°以上になるかもしれないが、40°を超えると収縮力がほぼ最大値に達してしまい、あまり意味が無く、インナーチューブ310が破裂してしまう恐れもある。)
したがって、編み角が立ち上がる余地(編み角が大きくなる余地)を十分に残しておくには、メッシュスリーブ330の編み角をもともと20°以下、例えば、10°〜18°程度にしておくことが例として挙げられる。
また、湾曲部102に相当する部分ではメッシュスリーブ330の編み角θ1をもともと大きめにしておくのであるが、その場合でもメッシュスリーブ330の編み角θ1を35°程度、例えば、30°〜35°程度にしておくことが例として挙げられる。
このように、長手方向においてメッシュスリーブ330の編み角を部分的に変えることにより、湾曲駆動装置100の操作性が向上する。
さらに、長手方向においてメッシュスリーブ330の編み角を変えるのみならず、長手方向に対して直角に切断した際の断面においてメッシュスリーブ330の編み角を部分的に変えてもよい。
例えば、図12のように、断面において、編み角が小さい領域333と編み角が大きい領域332とを設けてもよい。
インナーチューブ310の断面において変形し易い領域と、変形し難い領域と、があるとする。
この場合、断面においてインナーチューブの変形し易い領域に相当する領域では、メッシュスリーブの編み角を小さめにしておく。
一方、断面においてインナーチューブの変形し難い領域に相当する領域では、メッシュスリーブの編み角を小さめにしておく。こうすれば、インナーチューブ310の膨張変形とメッシュスリーブ330の変形とが整合し、効率良く出力(収縮力)を得ることができる。
(管路の工夫)
次に、加圧管路について説明する。
本実施形態においてはアクチュエータを極限まで細径化したので、当然にインナーチューブ310の内径が小さくなった。
このように内径が小さくなったインナーチューブ310に加圧流体を圧送すると、局所的に大きな圧力が発生し、大きな圧力を受けやすいところでインナーチューブ310が破裂し易くなる。そこで、本実施形態においては、加圧管路410を段階的に絞っていくようにした。すなわち、コンプレッサ450に近いところでは内径が大きい第1管路411を使用する。そして、第1管路411よりやや内径が小さい第2管路412を第1管路411に接続し、さらに、第2管路412とインナーチューブ310とを第3管路413で繋ぐ。
第3管路413の内径は第2管路412の内径とインナーチューブ310の内径との中間である。段階的に管路を狭めていくことで圧力の緩衝部分を設け、これにより、コンプレッサ450からの圧力がインナーチューブ310に直撃に作用しないようにした。
特に、インナーチューブ310の後端(加圧流体の流入口)には大きな圧が掛かりやすいが、加圧管路410の内径を段階的に絞るようにしたことで局所的に大きな圧力が掛かることを防止し、アクチュエータ300の耐久性を向上させる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
アクチュエータの全体に渡ってメッシュスリーブを二重にするのみならず、部分的に二重にしてもよい。
例えば、インナーチューブ310が破れやすいところだけメッシュスリーブを二重にしてもよい。
具体的には、図13に示すように、加圧管路413とインナーチューブ310との繋ぎ目近辺だけメッシュスリーブ330を二重にしてもよい。
加圧管路413とインナーチューブ310との繋ぎ目近辺には局所的に高い圧力が掛かり易いからである。
また、インナーチューブ310の膨張率に変化が生じるところでメッシュスリーブを二重にしてもよい。
インナーチューブ310の膨張率に変化が生じるところでは局所的に高い圧力が掛かり易いからである。
例えば、図10で説明した例では、メッシュスリーブの編み角を変えているため、胴体部103に相当する箇所と湾曲部102に相当する箇所とでインナーチューブ310の膨張率に差が生じる。したがって、胴体部103に相当する箇所から湾曲部102に相当する箇所への遷移部分だけメッシュスリーブ330を二重にしてもよい(図13参照)。
また、図10の例でいえば、湾曲部102に相当する箇所においてメッシュスリーブを二重にしてもよい。膨張する上に湾曲するということはこの湾曲部においてインナーチューブ310に掛かる負荷が大きい。したがって、破損防止のため湾曲部においてメッシュスリーブを二重にすることには意味がある。
また、インナーチューブ310の膨張を抑制する箇所においてメッシュスリーブを二重にしてもよい。図10の例でいえば、メッシュスリーブの編み角をもともと大きくしているところではメッシュスリーブが広がらないのでインナーチューブの膨張が抑制される。このような箇所では、インナーチューブがメッシュスリーブの編み目から膨出し易い。したがって、インナーチューブ310の膨張を抑制する箇所、例えば、メッシュスリーブの編み目をもともと大きくしている箇所において、メッシュスリーブを二重にしてもよい。
インナーチューブ310の断面において肉厚の差を設けるにあたっては、外周も内周もともに楕円形にしておいてもよい(図14(A))。
また、インナーチューブ310の断面において材料に違いを設けるにあたっては、図14(B)のように、一部分だけについてのみ材料を違えるようにしてもよい。
100…湾曲駆動装置、102…湾曲部、103…胴体部、110…医療器具、120…外カバー、200…フレキシブルチューブ、210…挿通部、300…アクチュエータ、310…インナーチューブ、330…メッシュスリーブ、331…素線、410…加圧管路、411…第1管路、412…第2管路、413…第3管路、450…コンプレッサ。

Claims (6)

  1. 流体が供給・排出されることにより膨張・収縮するインナーチューブと、
    前記インナーチューブの外周を覆い、前記インナーチューブの膨張に追随してその径が大きくなるとともに長さが収縮するメッシュスリーブと、を備えた流体圧式アクチュエータであって、
    前記インナーチューブは、断面において、相対的に肉厚の領域と相対的に肉薄の領域とを有し、
    前記インナーチューブは、外周が円形で、内周が楕円形である
    ことを特徴とする流体圧式アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の流体圧式アクチュエータにおいて、
    最も肉厚の領域と最も肉薄の領域とで互いの肉厚の差が1.5倍以上である
    ことを特徴とする流体圧式アクチュエータ。
  3. 流体が供給・排出されることにより膨張・収縮するインナーチューブと、
    前記インナーチューブの外周を覆い、前記インナーチューブの膨張に追随してその径が大きくなるとともに長さが収縮するメッシュスリーブと、を備えた流体圧式アクチュエータであって、
    前記インナーチューブは、断面において、相対的に高硬度の材料で形成された領域と、相対的に低硬度の材料で形成された領域と、を有する
    ことを特徴とする流体圧式アクチュエータ。
  4. 請求項に記載の流体圧式アクチュエータにおいて、
    最も高硬度の領域と最も低硬度の領域とで互いの硬度の差が10度以上である
    ことを特徴とする流体圧式アクチュエータ。
  5. 請求項1から請求項にいずれかに記載の流体圧式アクチュエータにおいて、
    さらに、コンプレッサからの流体を送る前記インナーチューブに送る加圧管路を備え、
    前記加圧管路は、前記コンプレッサから前記インナーチューブに向かうに従ってその内径が段階的に小さくなる
    ことを特徴とする流体圧式アクチュエータ。
  6. 請求項1から請求項のいずれかに記載の流体圧式アクチュエータを備えた湾曲駆動装置。
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