以下、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ送信装置およびファクシミリ受信装置を有するファクシミリ装置(ファクシミリ送受信装置)について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置の内部構成を示すブロック図である。
ファクシミリ装置1は、例えば、ファクシミリ機能の他に、コピー機能、プリンター機能、及びスキャナー機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機である。図1に示すように、ファクシミリ装置1は、装置本体2と、装置本体2の上方に配置された画像読取部10と、画像読取部10と装置本体2との間に設けられた連結部3とから概略構成される。
画像読取部10は、原稿搬送部6と、原稿搬送部6により搬送されてくる原稿又は不図示のコンタクトガラスに載置された原稿を光学的に読み取るスキャナーとを有するADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部10は、ファクシミリ送信対象の原稿を1枚ずつ読み取ることで、ファクシミリ送信対象となる画像データを取得する。
画像メモリー20は、画像読取部10によって読み取られた原稿の画像データ等のファクシミリ送信の対象となる画像データを一時的に記憶する領域である。また、画像メモリー20は、他のファクシミリ装置からファクシミリ通信により送信され、後述するファクシミリ通信部70を介して受信された画像データを一時的に記憶する領域としても機能する。当該画像データは、画像形成部30の印刷対象となる。
画像形成部30は、画像メモリー20に記憶されている画像データを読み出し、当該画像データを用いて給紙部4から供給される用紙に画像を形成(印刷)する。印刷済みの用紙は、排出トレイ5に排出される。
表示部40は、ファクシミリ装置1の前面側に配置され、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイを含んで構成される。図3に示すように、表示部40には、ファクシミリ送信やファクシミリ受信に関する設定を受け付けるための設定画面等が表示される。
操作部50は、例えば、ファクシミリ送信の開始や原稿の読み取りの開始を指示するためのスタートキー、メニュー画面を構成するGUIに対して確定操作を行う決定キー(エンターキー)、数値入力を行うための数値入力キー等を備え、表示部40に表示されるメニュー画面に対する操作をユーザーから受け付ける。
記憶部60は、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量の記憶装置である。
ファクシミリ通信部70は、不図示の符号化/復号化部、変復調部、およびNCU(Network Control Unit)等を備える。ファクシミリ装置1は、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆回線網)を介して、ファクシミリ装置1と同様の構成からなる他のファクシミリ装置1aと接続されている。ファクシミリ通信部70は、後述する制御ユニット100の通信制御部102による制御の下、他のファクシミリ装置1aとの間でPSTNを用いたファクシミリ送信およびファクシミリ受信を行う。
ファクシミリ装置1は、更に、制御ユニット100を備えている。制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM
(Read Only Memory)等から構成される。制御ユニット100は、上記のROM又は記憶部60に記憶されたファクシミリ制御プログラムが上記のCPUに実行されることにより、制御部101、通信制御部102、および受付部103として機能する。なお、制御ユニット100の制御部101、通信制御部102、および受付部103は、前述のファクシミリ制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
制御部101は、ファクシミリ装置1の全体的な動作制御を司る。制御部101は、画像読取部10、画像メモリー20、画像形成部30、表示部40、操作部50、記憶部60、およびファクシミリ通信部70等と接続されており、接続されている上記各機構の動作制御や、各機構との間での信号又はデータの送受信を行う。
通信制御部102は、ファクシミリ通信部70を介して、予め定められたファクシミリ通信プロトコルでの通信信号を用いたファクシミリ通信によるデータの送受信を制御する。
受付部103は、表示部40に表示された設定画面に基づいて操作部50等を用いて入力されるユーザー操作に応じて、ファクシミリ通信に関する指示等を受け付ける。
次に、ファクシミリ通信におけるファクシミリ制御信号の送受信について説明する。図4は、T.30プロトコルに基づくファクシミリ通信時における送信側及び受信側間でのファクシミリ制御信号の送受信を示すタイミングチャートである。
送信側(発呼側)のファクシミリ装置1は、受付部103が受け付けたファクシミリ送信指示(ファクシミリ送信ジョブ)に基づき、受信側(被呼側)となるファクシミリ装置1aに対してダイヤリングを行い、呼び出し信号であるCNG信号を送信する(♯1)。
受信側のファクシミリ装置1aは上記CNG信号を受信すると、これに対する応答信号としてのCED信号と、自身が有するオプション機能を表す非標準機能識別信号としてのNSF信号と、受信側の装置機能(CCITT仕様等)を知らせるDIS信号を送信側のファ
クシミリ装置1に送り返す(♯2)。NSF信号は、固有の標準方式ではない特殊ファシリティを通知するためのT.30プロトコルによるメッセージ信号である。
CED信号、NSF信号およびDIS信号を受信した送信側のファクシミリ装置1は、送信側の装置機能(CCITT仕様等)を知らせるDCS信号と、NSF信号に応答する非標準機能識別信号としてのNSS信号と、モデムトレーニング用のTCF信号とを、受信側のファクシミリ装置1aに対して送信する(♯3)。すなわち、受信側のファクシミリ装置1aからNSF信号により特殊ファシリティが通知されているため、自身が当該特殊ファシリティに対応する機能を有している場合には、対応可能である旨を送信側のファクシミリ装置1から受信側のファクシミリ装置1aに対してNSS信号により通知する。本実施形態では、当該NSF信号及びNSS信号に、後述する予約情報の送信に必要な情報が付加されて通信される。
上記DCS信号、NSS信号及びTCF信号を受信した受信側のファクシミリ装置1aは、受信成功を示すCFR信号を送信側のファクシミリ装置1に返信する(♯4)。
送信側のファクシミリ装置1がCFR信号を受信すると、ファクシミリ送信ジョブにおいて送信対象とする圧縮・符号されたデータ(PIX)の第1ページ目のデータを、受信側のファクシミリ装置1aに対して送信する(♯5)。さらに、送信側のファクシミリ装置1は、送信対象とする他ページのデータが存在する場合は、他ページのデータが存在することを示すMPS信号を受信側のファクシミリ装置1aに送信する。
受信側のファクシミリ装置1aは、受信した第1ページ目のデータを画像メモリーに一時的に記憶させる。そして、受信側のファクシミリ装置1aは、第1ページ目のデータを正しく受信したことを示すMCF信号を送信側のファクシミリ装置1に対して送信する(♯6)。
送信側のファクシミリ装置1は、受信側のファクシミリ装置1aからMCF信号を受信すると、送信対象の次ページのデータがある限り次ページのデータおよびMPS信号を受信側のファクシミリ装置1aに送信する。この場合、受信側のファクシミリ装置1aでは、受信したページのデータを画像メモリーに一時的に記憶させてMCF信号を送信側のファクシミリ装置1に送信する♯6の処理を繰り返す。以降、送信側のファクシミリ装置1が送信対象とする全ページのデータを受信先のファクシミリ装置1aに送信完了するまで、♯5及び♯6の処理が繰り返される。
そして、送信側のファクシミリ装置1が送信対象とする最終ページのデータを受信側のファクシミリ装置1aに送信したときには、データ送信を終了することを示すEOP信号を受信側のファクシミリ装置1aに送信する(♯7)。受信側のファクシミリ装置1aは、最終ページのデータを受信したことを示すMCF信号を送信側のファクシミリ装置1に返信する(♯8)。
送信側のファクシミリ装置1は、EOP信号を送信した後に受信側のファクシミリ装置1aから上記のMCF信号を受信すると、受信側のファクシミリ装置1aにDCN信号を送信して回線を遮断する(♯9)。
本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置1では、受付部103がファクシミリ送信ジョブを受け付けた場合に、通信制御部102が当該ファクシミリ送信ジョブに関する予約情報を生成する。予約情報には、予約情報を識別するための予約ID(識別番号)、予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間、および、当該ファクシミリ送信ジョブに示される画像データのページ数が含まれる。通信制御部102は、当該生成した予約情報の送信に必要な情報をNSF信号及びNSS信号に付加してファクシミリ通信部70に送信させる。また、通信制御部102は、当該生成した予約情報をT.30プロトコルでの通信信号における送信対象の圧縮・符号されたデータ(PIX)としてファクシミリ通信部70に送信させる。
図5は、予約情報の送信時における送信側及び受信側間でのファクシミリ制御信号の送受信を示すタイミングチャートである。予約情報の送信時において、受信側のファクシミリ装置1aは、NSF信号に予約情報送信モード対応フラグの情報を付加して送信側のファクシミリ装置1へ送信する。予約情報送信モード対応フラグは、予約情報送信モードに対応する機能を有しているか否かを示すフラグである。図5に示す例では、「予約情報送信モード対応フラグ=ON」の情報がNSF信号に付加されて送信側のファクシミリ装置1へ送信されている(♯2)。送信側のファクシミリ装置1は、このNSF信号を受信することで、受信側のファクシミリ装置1aが予約情報送信モードに対応する機能を有していることを知る。
また、予約情報の送信時において、送信側のファクシミリ装置1は、NSS信号に、予約情報送信モードフラグ、予約即時通信指定フラグ、および予約IDの情報を付加して受信側のファクシミリ装置1aに送信する。予約情報送信モードフラグは、予約情報を圧縮・符号されたデータ(PIX)として送信するか否かを示すフラグである。予約即時通信指定フラグおよび予約IDの詳細な内容については後述する。図5に示す例では、「予約情報送信モードフラグ=ON」の情報、「予約即時通信指定フラグ=OFF」の情報、および「予約ID=NULL」の情報がNSS信号に付加されて受信側のファクシミリ装置
1aへ送信されている(♯3)。受信側のファクシミリ装置1aは、このNSS信号を受信することで、送信側のファクシミリ装置1から予約情報が圧縮・符号されたデータ(PIX)として送信されることを知る。
図5に示す例では、受信側のファクシミリ装置1aが予約情報送信モードに対応する機能を有しているため、送信側のファクシミリ装置1は、CFR信号の受信後に、予約情報を圧縮・符号されたデータ(PIX)として受信側のファクシミリ装置1aへ送信する(♯5)。
その後、送信側のファクシミリ装置1は、EOP信号を送信した後に受信側のファクシミリ装置1aから上記のMCF信号を受信すると、受信側のファクシミリ装置1aにDCN信号を送信して回線を遮断する(♯7)。
続いて、受信側のファクシミリ装置1aにおいて、予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行要求指示を受付部103が受け付けた場合におけるファクシミリ制御信号の送受信について説明する。
図6は、ファクシミリ送信ジョブの実行要求の送信時における送信側及び受信側間でのファクシミリ制御信号の送受信を示すタイミングチャートである。予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行要求指示を受付部103が受け付けた場合において、受信側のファクシミリ装置1aは、送信側のファクシミリ装置1に対してダイヤリングを行い、呼び出し信号であるCNG信号を送信する(♯1)。
送信側のファクシミリ装置1は、NSF信号に予約情報送信モード対応フラグの情報を付加して受信側のファクシミリ装置1aへ送信する。図6に示す例では、「予約情報送信モード対応フラグ=ON」の情報がNSF信号に付加されて受信側のファクシミリ装置1aへ送信されている(♯2)。
受信側のファクシミリ装置1aは、NSF信号を受信した後、NSS信号に、予約情報送信モードフラグ、予約即時通信指定フラグ、および予約IDの情報を付加して送信側のファクシミリ装置1に送信する。予約即時通信指定フラグは、送信側のファクシミリ装置1に予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行を要求するか否かを示すフラグである。予約IDは、予約即時通信指定フラグがONの場合に、送信側のファクシミリ装置1が実行すべきファクシミリ送信ジョブを示す予約情報を識別するための識別子である。図6に示す例では、「予約情報送信モードフラグ=OFF」の情報、「予約即時通信指定フラグ=ON」の情報、および「予約ID=1」の情報がNSS信号に付加されて送信側のファクシミリ装置1へ送信されている(♯3)。送信側のファクシミリ装置1は、このNSS信号を受信することで、受信側のファクシミリ装置1aから予約ID=1の予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行が要求されていることを知る。
その後、送信側のファクシミリ装置1は、受信側のファクシミリ装置1aにDCN信号を送信して回線を遮断する(♯4)。回線の遮断後、送信側のファクシミリ装置1は、予約ID=1の予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブを実行して、ファクシミリ送信ジョブの送信対象の画像データを受信側のファクシミリ装置1aへ送信する。
次に、送信側のファクシミリ装置1と受信側のファクシミリ装置1aの具体的な動作の流れについて説明する。図7は、予約情報の送信時における送信側のファクシミリ装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
送信側のファクシミリ装置1の受付部103は、操作部50等を用いて入力されるユーザー操作に応じて、予約情報送信指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS10)。
図8(A)は、受付部103が予約情報送信指示を受け付ける際に、表示部40に表示される設定画面の一例を示す図である。図8(A)に示す例では、制御部101による制御のもと、表示部40にボタンd1およびボタンd2を含む設定画面D1が表示されている。受付部103は、ユーザー操作によりボタンd1が選択された場合に、予約情報を送信しない通常のファクシミリ送信モードの選択を受け付ける。一方、受付部103は、ユーザー操作によりボタンd2が選択された場合に、予約情報を送信する予約情報送信モードの選択を受け付ける。
予約情報を送信する予約情報送信モードの選択を受け付け後、受付部103は、操作部50等を用いて入力されるユーザー操作に応じて、予約情報の送信宛先、予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間、および、当該ファクシミリ送信ジョブに示される画像データのページ数を受け付ける。図8(B)は、受付部103がファクシミリ送信ジョブの実行予定時間等を受け付ける際に、表示部40に表示される設定画面の一例を示す図である。図8(B)に示す例では、制御部101による制御のもと、表示部40に入力欄d3、d4、d5を含む設定画面D2が表示されている。受付部103は、ユーザー操作により、入力欄d3、d4、d5にファクシミリ送信ジョブの実行予定時間等の情報が入力され、「OK」のボタンが選択された場合に、当該入力欄d3、d4、d5に入力された情報を、予約情報の送信宛先、ファクシミリ送信ジョブの実行予定時間、および画像データのページ数として受け付ける。
予約情報送信指示を受け付けた場合(ステップS10においてYES)、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70を介して、受信側のファクシミリ装置1aを呼び出す(ステップS11)。
通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に、受信側のファクシミリ装置1aからNSF信号を受信させる(ステップS12)。
NSF信号の受信後、通信制御部102は、NSF信号に含まれる予約情報送信モード対応フラグがONであるか否かを判定する(ステップS13)。
予約情報送信モード対応フラグがONの場合(ステップS13においてYES)、通信制御部102は、予約情報送信モードフラグをONとするNSS信号を生成して、当該生成したNSS信号をファクシミリ通信部に、受信側のファクシミリ装置1aへ送信させる(ステップS14)。
NSS信号の送信後、通信制御部102は、受付部103が受け付けたファクシミリ送信ジョブに関する予約情報を生成し、当該生成した予約情報を圧縮・符号されたデータ(PIX)としてファクシミリ通信部70に送信させる(ステップS15)。予約情報は、予約情報を識別するための予約ID、予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間、および、当該ファクシミリ送信ジョブに示される画像データのページ数が含まれる。予約IDは、当該予約情報に固有の番号が通信制御部102により設定される。また、ファクシミリ送信ジョブの実行予定時間および画像データのページ数は、ステップS10の処理において受付部103により受け付けられる情報である。
一方、予約情報送信モード対応フラグがOFFの場合(ステップS13においてNO)、制御部101は、表示部40に予め定められた報知画面を表示させる(ステップS17)。この予め定められた報知画面とは、受信側のファクシミリ装置1aが予約情報送信モードに対応する機能を有していないことをユーザーに報知するための画面である。
ステップS15またはステップS17の処理後、通信制御部102は、受信側のファクシミリ装置1aにDCN信号を送信して回線を遮断する(ステップS16)。
なお上記では、通信制御部102が、予約情報のみを送信するために受信側のファクシミリ装置1aを呼び出し、予約情報のみを受信側のファクシミリ装置1aに送信する場合について説明したが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。
通信制御部102は、未送信の予約情報に示される送信宛先と同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブに示される画像データをファクシミリ通信部70に送信させる場合に、当該同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブに示される画像データとともに未送信の予約情報をファクシミリ通信部70に送信させてもよい。
図9は、同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブに示される画像データとともに未送信の予約情報を送信する場合の送信側のファクシミリ装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
受付部103は、操作部50等を用いて入力されるユーザー操作に応じて、予約情報を送信しない通常のファクシミリ送信指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS20)。通常のファクシミリ送信指示を受け付けた場合(ステップS20においてYES)、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70を介して、受信側のファクシミリ装置1aを呼び出す(ステップS21)。そして、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に、受信側のファクシミリ装置1aからNSF信号を受信させる(ステップS22)。
NSF信号の受信後、通信制御部102は、NSF信号に含まれる予約情報送信モード対応フラグがONであるか否かを判定する(ステップS23)。予約情報送信モード対応フラグがONの場合(ステップS23においてYES)、通信制御部102は、記憶部60に記憶されているデータを読み出し、未送信の予約情報があるか否かを判定する(ステップS24)。
未送信の予約情報がある場合(ステップS24においてYES)、通信制御部102は、未送信の予約情報に、送信宛先を当該ファクシミリ送信指示に示される送信宛先と同じ宛先とするものがあるか否かを判定する(ステップS25)。
当該ファクシミリ送信指示に示される送信宛先と同じ宛先の未送信の予約情報がある場合(ステップS25においてYES)、通信制御部102は、予約情報送信モードフラグをONとするNSS信号を生成して、当該生成したNSS信号をファクシミリ通信部70に、受信側のファクシミリ装置1aへ送信させる(ステップS26)。
NSS信号の送信後、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に、未送信の予約情報を、同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブにおける1ページ目の圧縮・符号されたデータ(送信対象データ)として、受信側のファクシミリ装置1aへ送信させる(ステップS27)。
ステップS27の処理後、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信対象の画像データを、同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブにおける2ページ目以降の圧縮・符号されたデータ(送信対象データ)として、受信側のファクシミリ装置1aへ送信させる(ステップS28)。
一方、予約情報送信モード対応フラグがOFFの場合(ステップS23においてNO)、未送信の予約情報がない場合(ステップS24においてNO)、またはファクシミリ送信指示に示される送信宛先と同じ宛先の未送信の予約情報がない場合(ステップS25においてNO)、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に、ファクシミリ送信ジョブの送信対象の画像データを1ページ目の圧縮・符号されたデータ(送信対象データ)として、受信側のファクシミリ装置1aへ送信させる(ステップS29)。
ステップS28またはステップS29の処理後、通信制御部102は、受信側のファクシミリ装置1aにDCN信号を送信して回線を遮断する(ステップS30)。
続いて、受信側のファクシミリ装置1aの動作について説明する。図10は、予約情報を受信する際の受信側のファクシミリ装置1aの動作の流れを示すフローチャートである。
通信制御部102は、送信側のファクシミリ装置1aからの呼び出しを検出した場合(ステップS80においてYES)、予約情報送信モード対応フラグをONとするNSF信号を生成して、当該生成したNSF信号をファクシミリ通信部70に送信側のファクシミリ装置1へ送信させる(ステップS81)。NSF信号の送信後、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に送信側のファクシミリ装置1からのNSS信号を受信させる(ステップS82)。
NSS信号の予約情報送信モードフラグがONの場合(ステップS83においてYES)、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に圧縮・符号されたデータ(PIX)を受信させる(ステップS84)。ステップS84の処理後、通信制御部102は、送信側のファクシミリ装置1aからのDCN信号をファクシミリ通信部70に受信させる(ステップS85)。これにより回線が遮断される。
回線の遮断後、通信制御部102は、受信した圧縮・符号されたデータ(PIX)の1ページ目のデータを予約情報であると特定し、受信した圧縮・符号されたデータ(PIX)の2ページ目以降のデータを印刷対象の画像データであると特定する(ステップS86)。
その後、制御部101は、ステップS86の処理で特定された予約情報の一覧を示す一覧画面(図12参照)を表示部40に表示させる(ステップS87)。また、画像形成部30は、制御部101の制御のもと、ステップS86の処理で特定された印刷対象の画像データを印刷する(ステップS88)。
一方、NSS信号の予約情報送信モードフラグがOFFの場合(ステップS83においてNO)、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に、圧縮・符号されたデータ(PIX)を受信させ(ステップS89)、その後、送信側のファクシミリ装置1aからのDCN信号を受信させる(ステップS90)。
そして回線の遮断後、画像形成部30は、制御部101の制御のもと、ステップS89の処理で受信した圧縮・符号されたデータ(PIX)を印刷する(ステップS91)。
受信側のファクシミリ装置1aは、上記の処理により受信した予約情報に応答してファクシミリ送信ジョブの実行要求等を送信側のファクシミリ装置1へ送信する。図11は、予約情報に応答してファクシミリ送信ジョブの実行要求等を送信する場合における受信側のファクシミリ装置1aの動作の流れを示すフローチャートである。
受付部103は、ファクシミリ通信部70が予約情報を受信したか、または、操作部50等を用いて入力されるユーザー操作に応じて、予約情報の一覧画面を表示させる旨の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS40)。
予約情報を受信または予約情報の一覧画面を表示させる指示を受け付けた場合(ステップS40においてYES)、制御部101は、受信側のファクシミリ装置1aが保有している予約情報の一覧を示す一覧画面を表示部40に表示させる(ステップS41)。図12は、表示部40に表示される予約情報の一覧画面の一例を示す図である。図12に示す例では、制御部101による制御のもと、予約情報の送信元宛先、予約情報を受信した時間を示す予約情報受信時間、予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間、および当該ファクシミリ送信ジョブに示される画像データのページ数等の予約情報の内容が表示された複数の表示欄d6〜d9を含む一覧画面D3が表示部40に表示されている。受付部103は、例えば、ユーザー操作により表示欄d6が選択された場合に、送信元宛先がA社である予約情報に対するファクシミリ送信ジョブの実行要求指示、ファクシミリ送信ジョブのキャンセル要求指示、予約情報の送信宛先の変更要求指示、または予約情報の送信宛先の追加要求指示等の指示を受け付ける。
受付部103が予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行要求指示を受け付けた場合(ステップS42においてYES)、通信制御部102は、ステップS43およびS44の処理において、送信側のファクシミリ装置1の呼び出しおよびNSF信号の受信を行う。NSF信号の受信後、通信制御部102は、予約即時通信指定フラグをONとし、予約IDをステップS40の処理で受付部103が受け付けた予約情報のIDとするNSS信号を生成して、当該生成したNSS信号をファクシミリ通信部70に、送信側のファクシミリ装置1へ送信させる(ステップS45)。
受付部103が予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブのキャンセル要求指示を受け付けた場合(ステップS46においてYES)、通信制御部102は、ステップS47およびS48の処理において、送信側のファクシミリ装置1の呼び出しおよびNSF信号の受信を行う。NSF信号の受信後、通信制御部102は、予約キャンセル指定フラグをONとし、予約IDをステップS40の処理で受付部103が受け付けた予約情報のIDとするNSS信号を生成して、当該生成したNSS信号をファクシミリ通信部70に、送信側のファクシミリ装置1へ送信させる(ステップS49)。ここで、予約キャンセル指定フラグは、送信側のファクシミリ装置1に予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブのキャンセルを要求するか否かを示すフラグである。送信側のファクシミリ装置1は、この予約キャンセル指定フラグを参照することで、受信側のファクシミリ装置1aからファクシミリ送信ジョブのキャンセルが要求されているか否かを知る。
受付部103が予約情報の送信宛先の変更要求指示を受け付けた場合(ステップS50においてYES)、通信制御部102は、ステップS51およびS52の処理において、送信側のファクシミリ装置1の呼び出しおよびNSF信号の受信を行う。NSF信号の受信後、通信制御部102は、予約宛先変更指定フラグをONとし、変更後宛先をステップS40の処理で受付部103が受け付けた宛先とし、予約IDをステップS40の処理で受付部103が受け付けた予約情報のIDとするNSS信号を生成して、当該生成したNSS信号をファクシミリ通信部70に、送信側のファクシミリ装置1へ送信させる(ステップS53)。ここで、予約宛先変更指定フラグは、予約情報の送信宛先の変更を要求するか否かを示すフラグである。また変更後宛先とは、送信宛先の変更を要求する際の変更後の宛先を示す情報である。送信側のファクシミリ装置1は、この予約宛先変更指定フラグおよび変更後宛先を参照することで、受信側のファクシミリ装置1aから予約情報の送信宛先の変更が要求されているか否かを知る。
受付部103が予約情報の送信宛先の追加要求指示を受け付けた場合(ステップS54においてYES)、通信制御部102は、ステップS55およびS56の処理において、送信側のファクシミリ装置1の呼び出しおよびNSF信号の受信を行う。NSF信号の受信後、通信制御部102は、予約宛先追加指定フラグをONとし、追加宛先をステップS40の処理で受付部103が受け付けた宛先とし、予約IDをステップS40の処理で受付部103が受け付けた予約情報のIDとするNSS信号を生成して、当該生成したNSS信号をファクシミリ通信部70に、送信側のファクシミリ装置1へ送信させる(ステップS57)。ここで、予約宛先追加指定フラグは、予約情報の送信宛先の追加を要求するか否かを示すフラグである。また追加宛先とは、送信宛先の追加を要求する際の追加する宛先を示す情報である。送信側のファクシミリ装置1は、この予約宛先追加指定フラグおよび追加宛先を参照することで、受信側のファクシミリ装置1aから予約情報の送信宛先の追加が要求されているか否かを知る。
ステップS45、ステップS49、ステップS53、またはステップS57の処理後、通信制御部102は、送信側のファクシミリ装置1にDCN信号を送信して回線を遮断する(ステップS58)。
送信側のファクシミリ装置1は、上記の処理により送信されたファクシミリ送信ジョブの実行要求等に応じた処理を行う。図13は、ファクシミリ送信ジョブの実行要求等を受信した場合における送信側のファクシミリ装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
通信制御部102は、受信側のファクシミリ装置1aからの呼び出しを検出した場合(ステップS60においてYES)、予約情報送信モード対応フラグをONとするNSF信号を生成して、当該生成したNSF信号をファクシミリ通信部70に受信側のファクシミリ装置1aへ送信させる(ステップS61)。NSF信号の送信後、通信制御部102は、ファクシミリ通信部70に受信側のファクシミリ装置1aからのNSS信号を受信させる(ステップS62)。
NSS信号の予約即時通信指定フラグがONの場合(ステップS63においてYES)、通信制御部102は、NSS信号の予約IDに示される予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブを実行して、ファクシミリ送信ジョブの送信対象の画像データを受信側のファクシミリ装置1aへ送信する(ステップS64)。
NSS信号の予約キャンセルフラグがONの場合(ステップS65においてYES)、通信制御部102は、NSS信号の予約IDに示される予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブをキャンセルする(ステップS66)。
NSS信号の予約宛先変更指定フラグがONの場合(ステップS67においてYES)、通信制御部102は、NSS信号の予約IDに示される予約情報の送信宛先を変更する(ステップS68)。具体的には通信制御部102は、NSS信号の変更宛先に示される宛先を送信宛先として予約情報をファクシミリ通信部70に送信させる。その一方、通信制御部102は、当該NSS信号の送信元のファクシミリ装置を送信宛先とする予約情報をキャンセルする。
NSS信号の予約宛先追加指定フラグがONの場合(ステップS69においてYES)、通信制御部102は、NSS信号の予約IDに示される予約情報の送信宛先を追加する(ステップS70)。具体的には通信制御部102は、NSS信号の追加宛先に示される宛先を送信宛先として予約情報をファクシミリ通信部70に送信させる。
以上のように、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置1は、通信制御部102が、受付部103がファクシミリ送信ジョブを受け付けた場合に、当該ファクシミリ送信ジョブに関する予約情報を生成し、ファクシミリ通信部70に、当該予約情報を予め定められたファクシミリ通信プロトコルでの通信信号を用いて他のファクシミリ装置へ送信させ、その後当該他のファクシミリ装置からの予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行要求を受信したときに、ファクシミリ送信ジョブを実行して、ファクシミリ通信部70にファクシミリ送信ジョブに示される画像データを他のファクシミリ装置へ送信させる。
上記の構成によれば、ファクシミリ送信ジョブを受け付けた場合に、当該ファクシミリ送信ジョブに示される画像データを送信する前に、当該ファクシミリ送信ジョブに関する予約情報を送信している。そして、他のファクシミリ装置から予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行要求を受信することを条件にファクシミリ送信ジョブに示される画像データを送信しているため、ファクシミリ送信ジョブがキャンセルされた場合であっても、その際に生じるファクシミリ通信における通信コストや時間の無駄が一般の装置と比較して少ない。
また、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置1は、通信制御部102が、他のファクシミリ装置からの予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブのキャンセル要求を受信した場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの実行をキャンセルする。
上記の構成によれば、予約情報を受信した受信側のファクシミリ装置からファクシミリ送信ジョブの実行をキャンセルすることができる。これにより、受信側のファクシミリ装置において必要のない印刷が行われることを防止することができる。
また、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置1は、通信制御部102が、予約情報として、予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間を含む情報をファクシミリ通信部70に送信させ、実行予定時間までに他のファクシミリ装置からのファクシミリ送信ジョブの実行要求を受信しない場合に、ファクシミリ送信ジョブの実行をキャンセルする。
上記の構成によれば、ユーザーが意図した実行予定時間を過ぎてファクシミリ送信ジョブが実行される事態を回避することができる。また、実行予定時間までに受信側のファクシミリ装置からファクシミリ送信ジョブの実行要求が送信されないということは、受信側のファクシミリ装置おいて当該ファクシミリ送信ジョブに示される画像データを受信することが必要とされていない可能性が高い。このため、受信の必要性が低い画像データを送信することによりファクシミリ通信における通信コストや時間の無駄が生じる事態を回避することができる。
また、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置1は、通信制御部102が、予約情報を送信しない通常のファクシミリ送信ジョブに示される画像データをファクシミリ通信部70に送信させる際に、記憶部60に当該通常のファクシミリ送信ジョブの送信宛先と同じ送信宛先の未送信の予約情報が記憶されている場合には、当該通常のファクシミリ送信ジョブに示される画像データとともに未送信の予約情報をファクシミリ通信部70に送信させる。
また、通信制御部102は、画像データとともに未送信の予約情報を送信させる場合において、ファクシミリ通信部70に、同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブにおける1ページ目の送信対象データとして未送信の予約情報を送信させ、同じ送信宛先のファクシミリ送信ジョブにおける2ページ目以降の送信対象データとして画像データを送信させる。
上記の構成によれば、予約情報を送信する際に余分に生じる通信コストや時間を低減することができる。
また、本発明の一実施形態にかかるファクシミリ装置1は、通信制御部102が、他のファクシミリ装置からの送信宛先の変更または追加要求を受信した場合に、ファクシミリ通信部70に、予約情報を当該変更または追加要求に示された送信宛先の他のファクシミリ装置へ送信させる。
上記の構成によれば、予約情報を受信した受信側のファクシミリ装置から予約情報の宛先の追加または変更を行うことができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。
例えば、通信制御部102は、受付部103がファクシミリ送信ジョブを受け付けた場合に、予約情報を送信させようとする時間から予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間までの間隔と、予め定められた閾値とを比較し、当該間隔が閾値以上であることを条件に予約情報を送信させるとしてもよい。これにより、予約情報を他のファクシミリ装置に送信したものの、相手側に気づかれないまま実行予定時間に達するといった事態が発生する可能性を低減することができる。なお、予約情報を送信させようとする時間から予約情報に対応するファクシミリ送信ジョブの実行予定時間までの間隔が閾値未満である場合には、通信制御部102は、予約情報を送信させずにファクシミリ送信ジョブを実行して、ファクシミリ通信部70にファクシミリ送信ジョブに示される画像データを他のファクシミリ装置へ送信させる。
また、通信制御部102は、予約情報を生成したタイミングで1つの予約情報を送信させるのではなく、生成した予約情報を記憶部60に記憶させ、当該記憶部60に同じ送信宛先の未送信の予約情報が予め定められた数だけ記憶されたタイミングで、ファクシミリ通信部70に、当該予め定められた数の未送信の予約情報を送信させるとしてもよい。これにより、予約情報を送信する際に余分に生じる通信コストや時間を低減することができる。
また、上記の実施の形態では、ファクシミリ通信部70がPSTNを用いたファクシミリ送信およびファクシミリ受信を行う場合について説明したが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。ファクシミリ通信部70がLANチップ等の通信モジュールを備え、通信制御部102による制御の下、インターネット網を用いたファクシミリ通信およびファクシミリ受信を行うとしてもよい。