JP6224712B2 - 高分子量および均一性の新規エステル化セルロースエーテル - Google Patents

高分子量および均一性の新規エステル化セルロースエーテル Download PDF

Info

Publication number
JP6224712B2
JP6224712B2 JP2015528529A JP2015528529A JP6224712B2 JP 6224712 B2 JP6224712 B2 JP 6224712B2 JP 2015528529 A JP2015528529 A JP 2015528529A JP 2015528529 A JP2015528529 A JP 2015528529A JP 6224712 B2 JP6224712 B2 JP 6224712B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose ether
esterified cellulose
group
esterified
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015528529A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015529727A (ja
Inventor
オリヴァー・ペーターマン
マティアス・スプレヘ
マインオルフ・ブラックハーゲン
スティーブン・ジェイ・ギラウド
Original Assignee
ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=49029252&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6224712(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー, ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー filed Critical ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
Publication of JP2015529727A publication Critical patent/JP2015529727A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6224712B2 publication Critical patent/JP6224712B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08BPOLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
    • C08B11/00Preparation of cellulose ethers
    • C08B11/20Post-etherification treatments of chemical or physical type, e.g. mixed etherification in two steps, including purification
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/30Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
    • A61K47/36Polysaccharides; Derivatives thereof, e.g. gums, starch, alginate, dextrin, hyaluronic acid, chitosan, inulin, agar or pectin
    • A61K47/38Cellulose; Derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/2004Excipients; Inactive ingredients
    • A61K9/2022Organic macromolecular compounds
    • A61K9/205Polysaccharides, e.g. alginate, gums; Cyclodextrin
    • A61K9/2054Cellulose; Cellulose derivatives, e.g. hydroxypropyl methylcellulose
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/28Dragees; Coated pills or tablets, e.g. with film or compression coating
    • A61K9/2806Coating materials
    • A61K9/2833Organic macromolecular compounds
    • A61K9/286Polysaccharides, e.g. gums; Cyclodextrin
    • A61K9/2866Cellulose; Cellulose derivatives, e.g. hydroxypropyl methylcellulose
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/48Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
    • A61K9/4833Encapsulating processes; Filling of capsules
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/48Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
    • A61K9/50Microcapsules having a gas, liquid or semi-solid filling; Solid microparticles or pellets surrounded by a distinct coating layer, e.g. coated microspheres, coated drug crystals
    • A61K9/5005Wall or coating material
    • A61K9/5021Organic macromolecular compounds
    • A61K9/5036Polysaccharides, e.g. gums, alginate; Cyclodextrin
    • A61K9/5042Cellulose; Cellulose derivatives, e.g. phthalate or acetate succinate esters of hydroxypropyl methylcellulose
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08BPOLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
    • C08B13/00Preparation of cellulose ether-esters

Description

本発明は、新規のエステル化セルロースエーテル、そのようなエステル化セルロースエーテルにおける活性成分の固体分散物、ならびに、そのようなエステル化セルロースエーテルを含む液体組成物、コーティングされた剤形およびカプセルに関連する。
セルロースエーテルのエステル、それらの使用およびそれらを調製するプロセスは、当該技術分野では一般的に知られている。様々な公知のエステル化セルロースエーテルが医薬剤形のための腸溶性ポリマーとして有用であり、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である。腸溶性ポリマーは、胃の酸性環境で溶解に対して耐性を有するものである。そのようなポリマーをコーティングした剤形は、酸性環境において薬剤を不活性化または分解から保護し、または、薬剤による胃の刺激を阻止する。
US特許第4,365,060号で、素晴らしい腸溶性の挙動を有すると言われる腸溶性カプセルが開示される。腸溶性カプセルは、酸性サクシニル基および脂肪族一価アシル基でエステル化したセルロースエーテルのエステルと一緒に形作られる。エステル化のために使用するセルロースエーテルは、十分な可塑性を得るために、約5000〜200,000の範囲である分子量を有することが推奨される。
Wuら(Wu S.H.W.、Wyatt D.M.およびAdams M.W.1997;Chemistry and applications of cellulosic polymers for enteric coatings of solid dosage forms;McGinity J.W.(編集)、Aqueous Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker)、ニューヨーク、pp.385−418中)が、市販の異なるグレードのHPMCASの分子量を開示している。HPMCASグレードAS−Lは、93,000のM、46,000のM(双方は、ポリエチレンオキシドによって較正した、ゲル浸透クロマトグラフィー方法によって測定される)、および2.0のM/Mを有し;HPMCASグレードAS−Mは、80,000のM、44,000のMおよび1.8のM/Mを有し;ならびに、HPMCASグレードAS−Hは、55,000のM、33,000のMおよび1.7のM/Mを有する。現在、信越化学工業社(Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd)(日本、東京)から市販される、商標「AQOAT」で知られるHPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−MおよびHPMCASグレードAS−Hは、より高い平均分子量Mを有するが、高い多分散性も有する。高い多分散性は、エステル化セルロースエーテルの分子量分布における多少の不均一性を意味する。エステル化セルロースエーテルを医薬剤形のための腸溶性ポリマーとして使用する場合、分子量分布における不均一性は、各剤形の特性の可変性の増大および再現性の低下にしばしばつながり、これは、剤形の効率の予測性を低下させる。US特許第4,226,981号では、エステル化触媒としてのアルカリカルボン酸塩および反応媒体としての酢酸の存在下でヒドロキシプロピルメチルセルロースを無水コハク酸および無水酢酸でエステル化することで、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)といったセルロースエーテルの混合エステルを調製するプロセスが開示されている。基礎材料であるセルロースエーテルを、全てセルロースエーテルの100重量部あたりで表される、反応媒体としての約100〜2,000重量部のカルボン酸および触媒としての約20〜200重量部のアルカリカルボン酸塩と一緒に反応容器に導入し、次いで、所定の量の無水コハク酸および脂肪族モノカルボン酸の無水物をさらに導入し、得られた混合物を60〜110℃で2〜25時間加熱する。実施例では、250gの酢酸および50gの酢酸ナトリウムをヒドロキシプロピルメチルセルロース50gあたりで用いる。15〜60gの無水コハク酸および25〜80gの無水酢酸を添加し、反応混合物を、撹拌を伴いながら3時間、85℃で加熱する。
欧州特許出願EP第0 219 426号で、セルロースエーテルの腸溶性酸性ジカルボン酸エステルを生産するプロセスが開示されており、ここでは、(a)エーテル形成基としてヒドロキシプロポキシル基を有し、その2重量%の水性溶液が20℃で少なくとも5センチポアズの粘度を有するセルロースエーテルを、(b)ジカルボン酸無水物またはそれの脂肪族モノカルボン酸の無水物との混合物と、(c)アルカリ金属酢酸塩および酢酸の組み合わせの存在下で反応させる。EP第0 219 426号は、少なくとも6センチポワズの粘度を有するセルロースエーテルから生産される酸性ジカルボン酸エステルは、疑似胃液に対する耐性を有した、錠剤の腸溶性フィルムでコートした物質を提供した。比較の酸性ジカルボン酸エステルをたった3センチポワズの粘度を有するセルロースエーテルから生産した場合、かなりの数の錠剤が疑似胃液で分解した。酸性ジカルボン酸エステルを生産するための同等のプロセスおよびレシピパラメーターを適用する場合、より高い粘度を有するセルロースエーテルから生産した酸性ジカルボン酸エステルは、より低い粘度のセルロースエーテルから生産したものよりも高い分子量を有する。
現在知られる多くの薬剤は、水に対して低溶解性を有し、したがって、剤形を調製するために複雑な技術が必要とされる。公知の方法の1つに、そのような薬剤を、水と混合されてもよい有機溶媒に、薬剤的に許容される水溶性ポリマーと一緒に溶解し、その溶液をスプレー乾燥することが含まれる。別の方法は溶融抽出として知られ、溶融抽出では、薬剤を、粉末混合物として、薬剤的に許容される水溶性ポリマーと混合し、その粉末混合物を、軟化または部分的もしくは完全な溶融状態で加熱および激しく混合し、その溶融物を鎖状、フィルム、小錠剤、錠剤またはカプセルを形作るダイに動かす。薬剤的に許容される水溶性ポリマーは、薬剤の結晶化度を緩和して、それによって薬剤の溶解に必要な活性化エネルギーを最小にすること、ならびに、薬剤分子周辺に親水性状態を確立し、それによって薬剤そのものの溶解性を向上し、その生物学的利用性、すなわち、摂取後の個体によるインビボ吸収を増加することを目的とする。
国際特許出願WO第2005/115330号で、特定の組み合わせの置換レベルを伴うヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート(HPMCA)ポリマーおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)ポリマーが開示される。HPMCASポリマーは、少なくとも0.02のサクシノイル基の置換度(DOS)、少なくとも0.65のアセチル基の置換度(DOSAc)、少なくとも0.85のDOSAcおよびDOSの合計を有する。HPMCAポリマーは、少なくとも0.15のアセチル基の置換度(DOSAc)を有する。WO第2005/115330号では、増加したアセテート置換はスプレー乾燥溶液の活性剤の溶解性の増大を可能にする一方で、増加したサクシネート置換は水性溶液のポリマーの溶解性を増加することが開示される。
国際特許出願WO第2011/159626号は、1.45以下のメトキシ基の置換度(DS)および1.25以上のアセチル基(DSAc)およびサクシノイル基(DS)を合わせた置換度(DSAc+DS)を有する活性成分およびHPMCASを開示する。
しかし、薬剤の大きな多様性の側面から、アセチル基およびサクシノイル基の高い置換度を有する、限られた種類のエステル化セルロースエーテルが、全てのニーズを満たすことができないのは、明白である。Edgarら、Cellulose(2007)、14:49−64、Cellulose esters in drug delivery」は、彼らの調査論文の結論で、こう述べる:「セルロースエステルの基礎的な特性は、薬剤送達を向上するのに良く適している。・・・近年、薬剤送達システムを向上するためによく研究されたセルロースエステルの適用において大きな発展がなされている。構造特性関係は薬剤適用に関連するため、特に構造特性関係の掘り下げた研究によって、進歩の余地はさらにある。新規医薬賦形剤の市場への道は現在、困難であり、時間がかかり、不確実性を伴い、経費がかかるため、この尽力における完全な成功には相当な展望が必要とされるだろう。」
したがって、新しいエステル化セルロースエーテルを提供することは、本発明の目的の1つである。上記の通り、Wuらによって説明されるHPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−MおよびHPMCASグレードAS−Hよりも高い分子量を有するが、現在、商標「AQOAT」で市販されるHPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−MおよびHPMCASグレードAS−Hよりも低い多分散性を有する新規のエステル化セルロースエーテルを提供することが、本発明の好ましい目的である。
本発明の態様の1つは、
i)エステル基として、脂肪族一価アシル基、または、脂肪族一価アシル基および式−C(O)−R−COOAの基の組み合わせを有し、ここで、Rは二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは水素またはカチオンであり、
ii)80,000ダルトン〜350,000ダルトンの重量平均分子量Mを有し、
iii)1.3〜4.1の多分散性M/Mを有し、ならびに、
iv)20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される、最大4.0mPasの粘度を有する、エステル化セルロースエーテルである。
本発明の別の態様は、液体希釈剤、および、少なくとも1つの上記エステル化セルロースエーテルを含む組成物である。
本発明のさらに別の態様は、上記エステル化セルロースエーテルの少なくとも1つに、少なくとも1つの活性成分を含む、固体分散物である。
本発明のさらに別の態様は、a)少なくとも1つの上記エステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、およびc)1つ以上の任意の添加剤を混合する工程、ならびにその混合物を押出成型する工程を含む、固体分散物を生産するためのプロセスである。
本発明のさらに別の態様は、a)少なくとも1つの上記エステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、c)1つ以上の任意の添加剤、およびd)液体希釈剤を混合して液体組成物を調製する工程、ならびに前記液体希釈剤を取り除く工程を含む、固体分散物を生産するためのプロセスである。
本発明のさらに別の態様は、上述のエステル化セルロースエーテルをコーティングした剤形である。
本発明のさらに別の態様は、上述のエステル化セルロースエーテルを含む、カプセルシェルである。
エステル化セルロースエーテルは、本発明の文脈では無水グルコース単位と呼ばれる、β−1,4グリコシド結合D−グルコピラノース反復単位を有するセルロース主鎖を有する。エステル化セルロースエーテルは、好ましくはエステル化アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースまたはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。これは、本発明のエステル化セルロースエーテルにおいて、無水グルコース単位のヒドロキシル基の少なくとも一部分は、アルコキシル基もしくはヒドロキシアルコキシル基またはアルコキシルおよびヒドロキシアルコキシル基の組み合わせによって置換されることを意味する。ヒドロキシアルコキシル基は一般的に、ヒドロキシメトキシル、ヒドロキシエトキシルおよび/またはヒドロキシプロポキシル基である。ヒドロキシエトキシルおよび/またはヒドロキシプロポキシル基が好まれる。一般的に、1または2種類のヒドロキシアルコキシル基がエステル化セルロースエーテルに存在する。好ましくは、単一の種類のヒドロキシアルコキシル基、さらに好ましくは、ヒドロキシプロポキシルが存在する。アルコキシル基は通常、メトキシル、エトキシルおよび/またはプロポキシル基である。メトキシル基が好ましい。上記で定義されたエステル化セルロースエーテルの実例は、エステル化メチルセルロース、エチルセルロースおよびプロピルセルロースといったエステル化アルキルセルロース;エステル化ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロースといったエステル化ヒドロキシアルキルセルロース;および、エステル化ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、およびヒドロキシブチルエチルセルロースといったエステル化ヒドロキシアルキルアルキルセルロース;ならびに、エステル化ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロースといった、2つ以上のヒドロキシアルキル基を有するものである。最も好ましくは、エステル化セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースといった、エステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロースである。
無水グルコース単位のヒドロキシル基のヒドロキシアルコキシル基による置換度は、ヒドロキシアルコキシル基のモル置換、MS(ヒドロキシアルコキシル)によって表される。MS(ヒドロキシアルコキシル)は、エステル化セルロースエーテルの無水グルコース単位あたりのヒドロキシアルコキシル基の平均モル数である。ヒドロキシアルキル化反応の間、セルロース主鎖に結合したヒドロキシアルコキシル基のヒドロキシル基は、アルキル化剤、たとえばメチル化剤、および/または、ヒドロキシアルキル化剤によってさらにエーテル化され得ることが理解される。無水グルコース単位の同一炭素原子の位置に関してヒドロキシアルキル化エーテル化反応を引き続き複数行うと、側鎖がもたらされ、ここで、複数のヒドロキシアルコキシル基はエーテル結合によって互いに共有結合し、各側鎖は全体でセルロース主鎖へのヒドロキシアルコキシル置換基を形成する。
したがって、「ヒドロキシアルコキシル基」という語句は、MS(ヒドロキシアルコキシル)の文脈では、ヒドロキシアルコキシル置換基の構成単位としてのヒドロキシアルコキシル基を指すと解釈されなくてはならず、これは、単一のヒドロキシアルコキシル基または上述の側鎖のいずれかを含み、ここで、2つ以上のヒドロキシアルコキシ単位はそれぞれエーテル結合で共有結合する。この定義内では、ヒドロキシアルコキシル置換基の末端ヒドロキシル基がさらにアルキル化、たとえば、メチル化されるかどうかは重要ではなく;アルキル化および非アルキル化ヒドロキシアルコキシル置換基の双方がMS(ヒドロキシアルコキシル)の決定のために含まれる。本発明のエステル化セルロースエーテルは一般的に、0.05〜1.00、好ましくは0.08〜0.90、さらに好ましくは0.12〜0.70、最も好ましくは0.15〜0.60、および特に0.20〜0.50の範囲のヒドロキシアルコキシル基のモル置換を有する。
無水グルコース単位あたりの、メトキシル基といったアルコキシル基によって置換されるヒドロキシル基の平均数は、アルコキシル基の置換度、DS(アルコキシル)として示される。上で示したDSの定義では、「アルコキシル基によって置換されるヒドロキシル基」という語句は、本発明内において、セルロース主鎖の炭素原子に直接結合したアルキル化ヒドロキシル基だけでなく、セルロース主鎖に結合したヒドロキシアルコキシル置換基のアルキル化ヒドロキシル基も含むように解釈される。本発明にしたがうエステル化セルロースエーテルは、好ましくは、1.0〜2.5、さらに好ましくは1.1〜2.4、最も好ましくは1.2〜2.2、および特に1.6〜2.05の範囲のDS(アルコキシル)を有する。
最も好ましくは、エステル化セルロースエーテルは、DS(アルコキシル)に関して上記された範囲内のDS(メトキシル)およびMS(ヒドロキシアルコキシル)に関して上記された範囲内のMS(ヒドロキシプロポキシル)を有するエステル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
本発明のエステル化セルロースエーテルは、脂肪族一価アシル基または脂肪族一価アシル基および式−C(O)−R−COOAの組み合わせを有し、ここで、Rは二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは水素またはカチオンである。カチオンは好ましくは、NH といったアンモニウムカチオン、または、ナトリウムまたはカリウムイオン、さらに好ましくはナトリウムイオンといったアルカリ金属イオンである。最も好ましくは、Aは水素である。
脂肪族一価アシル基は好ましくは、アセチル、プロピオニルおよびn−ブチリルまたはi−ブチリルといったブチリルから成る群から選択される。
式−C(O)−R−COOAの好ましい基は、
−C(O)−CH−CH−COOHもしくは−C(O)−CH−CH−COONaといった−C(O)−CH−CH−COOA、
−C(O)−CH=CH−COOHもしくは−C(O)−CH=CH−COONaといった−C(O)−CH=CH−COOA、または
−C(O)−C−COOHもしくは−C(O)−C−COONaといった−C(O)−C−COOAである。
式−C(O)−C−COOAの基において、カルボニル基およびカルボキシル基は好ましくはオルト位に配置される。
好ましいエステル化セルロースエーテルは、
i)HPMCXYおよびHPMCXであり、ここで、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、XはA(アセテート)、もしくはXはB(ブチレート)、もしくはXはPr(プロピオネート)であり、YはS(サクシネート)、もしくはYはP(フタレート)、もしくはYはM(マレエート)であり、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートマレエート(HPMCAM)、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート(HPMCA)であり;または、
ii)ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPCAS)、ヒドロキシブチルメチルセルロースプロピオネートサクシネート(HBMCPrS)、ヒドロキエチルヒドロキシプロピルセルロースプロピオネートサクシネート(HEHPCPrS);およびメチルセルロースアセテートサクシネート(MCAS)である。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)が、最も好ましいエステル化セルロースエーテルである。
エステル化セルロースエーテルは一般的に、0.05〜1.75、好ましくは0.10〜1.50、さらに好ましくは0.15〜1.25、および最も好ましくは0.20〜1.00の、アセチル、プロピオニルまたはブチリル基といった脂肪族一価アシル基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは一般的に、0〜1.6、好ましくは0.05〜1.30、さらに好ましくは0.05〜1.00、および最も好ましくは0.10〜0.70または0.10〜0.60もの、サクシノイルといった式−C(O)−R−COOAの基の置換度を有する。
i)脂肪族一価アシル基の置換度およびii)式−C(O)−R−COOAの基の置換度の合計は通常、0.05〜2.0、好ましくは0.10〜1.4、さらに好ましくは0.20〜1.15、最も好ましくは0.30〜1.55および具体的には0.40〜1.00である。
アセテートおよびサクシネートエステル基の含有量を、「Hypromellose Acetate Succinate, United States Pharmacopia and National Formulary、NF 29、pp.1548−1550」にしたがって決定する。報告値を揮発性物質に関して校正する(上記HPMCASモノグラフのセクション「乾燥の際の損失」で記載される通りに決定する)。類似したやり方でその方法を使用し、プロピオニル、ブチリル、フタリルおよび他のエステル基の含有量を決定し得る。
エステル化セルロースエーテルにおけるエーテル基の含有量を、United States Pharmacopeia and National Formulary、USP35、pp 3467〜3469の「ヒプロメロース」に関して記載されるのと同じやり方で決定する。
上記分析によって得られたエーテルおよびエステル基の含有量を、下記の式にしたがって、各置換基のDSおよびMS値に変換する。式を類似したやり方で使用して、他のセルロースエーテルエステルの置換基のDSおよびMSを決定してもよい。
Figure 0006224712
従来、重量パーセントは、全置換基を含むセルロース反復単位の総重量に基づいた平均重量パーセンテージである。メトキシル基の含有量は、メトキシル基(すなわち、−OCH)の質量に基づいて報告される。ヒドロキシアルコキシル基の含有量は、ヒドロキシアルコキシル基(すなわち、−O−アルキレン−OH)の質量に基づいて報告され;たとえば、ヒドロキシプロポキシル(すなわち、−O−CHCH(CH)−OH)である。脂肪族一価アシル基の含有量は、アセチル基(−C(O)−CH)といった、Rが一価脂肪族基である−C(O)−Rの質量に基づいて報告される。式−C(O)−R−COOHの基の含有量は、この基の質量、たとえば、サクシノイル基(すなわち、−C(O)−CH−CH−COOH)の質量に基づいて報告される。
本発明のエステル化セルロースエーテルは、80,000〜350,000ダルトン、好ましくは90,000〜300,000ダルトン、さらに好ましくは90,000〜275,000ダルトン、最も好ましくは100,000〜250,000ダルトン、および特に110,000〜200,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する。
本発明のエステル化セルロースエーテルは、少なくとも1.3、好ましくは少なくとも1.5、およびさらに好ましくは少なくとも2.0または少なくとも2.3または少なくとも2.5の多分散性M/Mを有する。さらに、本発明のエステル化セルロースエーテルは、最大4.1、好ましくは最大3.9、および最も好ましくは最大3.7の多分散性を有する。
多分散性M/Mを、重量平均分子量Mおよび数平均分子量Mの決定に基づいて計算する。
本発明のエステル化セルロースエーテルは一般的に23,000〜150,000ダルトン、好ましくは25,000〜80,000ダルトン、さらに好ましくは25,000〜70,000ダルトンの数平均分子量Mを有する。
エステル化セルロースエーテルは一般的に、300,000〜2,000,000ダルトン、さらに好ましくは500,000〜1,8000,000ダルトンのz平均分子量、Mを有する。
40体積部のアセトニトリルならびに50mMのNaHPOおよび0.1MのNaNOを含む60体積部の水性緩衝液の混合物を移動相として用いて、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743にしたがってMw、およびMを測定する。移動相をpH8.0に調節する。M、MおよびMの測定を実施例でさらに詳細に説明する。
本発明のエステル化セルロースエーテルは、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される、最大4.0mPas、好ましくは最大3.6mPas、さらに好ましくは最大3.2mPasの粘度を有する。一般的に粘度は、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される、少なくとも2.4mPas、通常少なくとも2.5mPasである。エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液は、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary、NF 29、pp.1548−1550」で記載される通りに調製され、次いで、DIN51562−1:1999−01(1999年1月)にしたがってウベローデ粘度測定を行う。
本発明のエステル化セルロースエーテルは、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定されるその粘度に基づいて予測され得るよりも高い重量平均分子量Mを有する。理論に縛られることは望まないが、より高いこの分子量は、疎水性/親水性鎖結合および/または架橋結合反応によって作り出されていると考えられる。
90,000〜350,000ダルトンの高い重量平均分子量M、1.3〜4.1の適度に低いM/M、および、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される最大4.0mPasの低粘度の組み合わせにより、本発明のエステル化セルロースエーテルは、医薬剤形のための腸溶性ポリマーとして非常に好適である。エステル化セルロースエーテルの高分子量は、胃液に対して強化された体制を提供する。本発明のエステル化セルロースエーテルの適度に低いM/Mは、エステル化セルロースエーテルの、非常に均一な分子量分布を意味する。適度に高い均一性は医薬剤形のための腸溶性ポリマーにとって好ましく、各剤形の特性の再現性を増大し、これは、剤形の効率の予測性を最大化する。
さらに、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される最大4.0mPasの低粘度であるエステル化セルロースエーテルは、効率的に生産され得る。0.43重量%水性NaOHのエステル化セルロースエーテルの粘度は、エステル化セルロースエーテルを生産するための出発材料として有用なセルロースエーテルの粘度と実質的に対応することがわかっている。出発材料として使用される低粘度セルロースエーテルは、本発明のエステル化セルロースエーテルを生産するために使用される反応混合物の良好な混和性を可能にし、均質な反応混合物をもたらす。
さらに、低粘度セルロースエーテルから生産されるエステル化セルロースエーテルは、高せん断に供せられる際に、同一反応条件を適用するより高い粘度のセルロースエーテルから生産したエステル化セルロースエーテルと比較して、溶液においてより低い粘度を示すことも分かっている。この特性は、エステル化セルロースエーテルを、たとえば活性成分およびエステル化セルロースエーテルを含む固体分散物を調製するためにスプレー乾燥に供するときに、非常に好都合である。
本発明のエステル化セルロースエーテルを生産するために、好ましくは、上記の通りのエーテル基の種類およびエーテル基の置換度(複数可)を有するセルロースエーテルを使用する。セルロースエーテルは好ましくは、ASTM D2363−79(再承認、2006)にしたがって20℃の2重量%水性溶液として測定される、2.4〜5mPas、さらに好ましくは2.5〜4mPas、および最も好ましくは2.5〜3.8mPasの粘度を有するヒドロキシアルキルメチルセルロースが使用される。そのような粘度のセルロースエーテルは、より高い粘度のセルロースエーテルを部分的脱重合プロセスにかけることで、得ることができる。部分的脱重合プロセスは当該技術分野で公知であり、たとえば、欧州特許出願EP第1,141,029号;EP第210,917号;EP第1,423,433号;およびUS特許第4,316,982号で説明される。または、部分的脱重合は、たとえば酸素または酸化剤の存在によって、セルロースエーテルの生産の間に達成され得る。
セルロースエーテルを、i)脂肪族モノカルボン酸無水物またはii)脂肪族モノカルボン酸無水物およびジカルボン酸無水物の組み合わせと反応させる。好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は、無水酢酸、無水酪酸および無水プロピオン酸から成る群から選択される。好ましいジカルボン酸無水物は、無水コハク酸、無水マレイン酸および無水フタル酸から成る群から選択される。脂肪族モノカルボン酸無水物およびジカルボン酸無水物を組み合わせて使用する場合は、2つの無水物は同時に反応容器内に導入してもよく、または、別々に次から次へ導入してもよい。反応容器内に導入される各無水物の量を、最終生成物で得られるエステル化の所望する度合いによって決定し、通常は、エステル化による無水グルコース単位の所望するモル置換度の計算量の1〜10倍である。脂肪族モノカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は、一般的に0.9/1以上、および好ましくは1/1以上である。脂肪族モノカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は一般的に8/1以下、好ましくは6/1以下、さらに好ましくは4/1以下である。ジカルボン酸の無水物を使用する場合、ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は一般的に0.1/1以上、およびさらに好ましくは0.13以上である。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は一般的に1.5/1以下、および好ましくは1/1以下である。本発明のプロセスで用いられるセルロースエーテルの無水グルコース単位のモル数を、DS(アルコキシル)およびMS(ヒドロキシアルコキシル)から置換無水グルコース単位の平均分子量を計算することで、出発材料として使用されるセルロースエーテルの重量から決定し得る。
セルロースエーテルのエステル化は好ましくは、酢酸、プロピオン酸または酪酸といった、反応希釈剤としての脂肪族カルボン酸中で実行される。反応希釈剤は、室温では液体であり、セルロースエーテルと反応しない、ベンゼン、トルーエン、1,4−ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン;またはジクロロメタンまたはジクロロメチルエーテルといったハロゲン化C−C誘導体といった、芳香族または脂肪族溶媒といった他の溶媒または希釈剤を少量含み得るが、脂肪族カルボン酸の量は、反応希釈剤の総重量に基づき、好ましくは50%超、さらに好ましくは少なくとも75%、および、よりさらに好ましくは少なくとも90%である。
最も好ましくは、反応希釈剤は、脂肪族カルボン酸から成る。モル比(脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は通常、(4.9/1.0)〜(11.5/1.0)、好ましくは(5.0/1.0)〜(10.0/1.0)、および、さらに好ましくは(5.5/1.0)〜(9.0/1.0)である。
エステル化反応は通常エステル化触媒の存在下、好ましくは、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムといったアルカリ金属カルボン酸塩の存在下で行われる。モル比(アルカリ金属カルボン酸塩/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は通常、(0.4/1.0)〜(3.8/1.0)、および好ましくは(1.5/1.0)〜(3.5/1.0)である。
最も好ましくは、モル比(脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は、(4.9/1.0)〜(11.5/1.0)であり、モル比(アルカリ金属カルボン酸塩/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は、(0.4/1.0)〜(3.3/1.0)であり、モル比(脂肪族モノカルボン酸の無水物/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は(0.9/1)〜(3.0/1)であり、および、モル比(ジカルボン酸の無水物/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は(0.1/1)〜(0.6/1)である。
特に好ましくは、モル比(脂肪族モノカルボン酸の無水物/ジカルボン酸の無水物)は、(3.5/1)〜(8.8/1)であり、モル比(脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位)は(4.9/1.0)〜(11.5/1.0)である。
反応混合物は通常60℃〜110℃、好ましくは70〜100℃で、反応を完全にするのに十分な期間、すなわち、一般的に2〜25時間、さらに一般的には2〜8時間の間、加熱する。出発材料としてのセルロースエーテルは、必ずしも脂肪族カルボン酸に溶解性であるとは限らないが、特にセルロースエーテルの置換度が比較的小さいときは脂肪族カルボン酸によってのみ分散または膨潤し得る。しかし、反応混合物を徹底的に混合し、均質な反応混合物を提供すべきである。エステル化反応がすすむにつれて、反応下のセルロースエーテルは通常反応希釈剤に溶解する。
エステル化反応が完全になった後、反応生成物を、たとえば、US特許第4,226,981号、国際特許出願WO第2005/115330号または欧州特許出願EP第0 219 426号で説明されるような、大きい体積の水に接触させることによって、公知の方法で反応混合物から沈殿させ得る。しかし、本発明の好ましい実施形態では、反応生成物混合物を、エステル化に使用されるセルロースエーテルの重量部あたりの、5〜400、好ましくは8〜300、さらに好ましくは10〜100および最も好ましくは12〜50重量部の水と接触させる。重量比(水/水を含まない反応生成物混合物)は通常、1/1〜10/1、好ましくは1.4/1〜5/1、さらに好ましくは2/1〜3/1である。本発明の好ましい実施形態では、水および反応生成物混合物の組み合わせを、少なくとも800s−1、好ましくは少なくとも1500s−1、さらに好ましくは少なくとも3000s−1、および最も好ましくは少なくとも8000s−1のせん断速度に供する。せん断速度は一般的に最大600,000s−1および通常最大500,000s−1である。そのようなせん断速度を本発明のプロセスに適用することは、反応生成物混合物からの沈殿および分離の際に非粘着性であり微細な粒径であるセルロースエーテルのエステルを提供するのに役立つ。公知の沈殿プロセスにしたがうと、そのような非粘着性および微細な粒子は達成されない。このせん断速度は、ローター−ステーターミキサーもしくはホモジナイザーとしても知られる高せん断ミキサー、高せん断ミルまたは高せん断ポンプといった高せん断デバイスで取得され得る。高せん断デバイスは通常、ステーターまたはハウジングといった、「固定」とも呼ばれるせん断デバイスの固定部と組み合わせたローターを含む。固定はローターとそれ自身との間にわずかな隙間を作り、この隙間内に材料の高せん断領域を形成する。固定は、ある種のせん断頻度および増加した乱流エネルギーを誘発するために、単一または複数の列の開口、隙間または歯を含み得る。混合の度合いまたは徹底さの計量の1つに、高速の先端速度を有する混合デバイスによって生じるせん断力がある。流体の一部の領域が近接の領域と比較して異なる速度で進む際に、流体はせん断を受ける。ローターの先端速度は、次の式にしたがった、回転によって生じた運動エネルギーの尺度である:先端速度=ローターの回転速度×ローターの周径。せん断速度は、ローターと、通常ステーターまたはハウジングと呼ばれるせん断デバイスの固定部との間の隙間距離間の逆相関関係に基づく。高せん断デバイスがステーターを装備していない場合は、沈殿容器の内壁がステーターの役目を果たす。適用する式:せん断速度=先端速度/ローターおよびステーショナリーの外径間の隙間距離。高せん断デバイスは通常少なくとも4m/s、好ましくは少なくとも8m/s、さらに好ましくは少なくとも15m/s、および最も好ましくは少なくとも30m/sの先端速度で運転する。先端速度は一般的に最大320m/s、通常最大280m/sである。
分散したエステル化セルロースエーテルを次いで、遠心分離または濾過といった公知の方法で、またはデカンテーションによる沈殿の際に混合物の残りから分離し得る。回収したエステル化セルロースエーテルを水で洗浄して不純物を取り除き、乾燥してエステル化セルロースエーテルを乾燥後粉末の形態で生産し得る。
本発明の別の態様は、液体希釈剤および上記のエステル化セルロースエーテルを1つ以上含む組成物である。本明細書で使用される「液体希釈剤」という語句は、25℃および気圧で液体である希釈剤のことである。希釈剤は水もしくは有機液体希釈剤または水および有機液体希釈剤の混合物であり得る。好ましくは、液体希釈剤の量は、スプレー乾燥といった所望する使用法のために十分な流動性および加工性を組成物に提供するのに十分な量である。
本明細書で使用される「有機液体希釈剤」という語句は、有機溶媒または2つ以上の有機溶媒の混合物を意味する。好ましい有機液体希釈剤は、酸素、窒素または塩素のようなハロゲンといったヘテロ分子を1つ以上で有する極性有機溶媒である。さらに好ましい有機希釈剤は、たとえば、グリセロールといった多機能アルコール、または、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはn−プロパノールなどの単機能アルコールといったアルコール;テトラヒドロフランといったエーテル、アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルイソブチルケトといったケトン;酢酸エチルのようなアセテート;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;またはアセトニトリルのようなニトリルである。さらに好ましくは、有機液体希釈剤は1〜6、最も好ましくは1〜4の炭素原子を有する。少量の水と混合してもよい好ましい有機液体希釈剤の具体的な例は:メタノール、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、80〜95重量パーセントのメタノールおよび20〜5重量パーセントの水の混合物、80〜95重量パーセントのテトラヒドロフランおよび20〜5重量パーセントの水の混合物、55〜85重量パーセントのアセトンおよび45〜15重量パーセントの水の混合物、15〜85重量パーセントのアセトンおよび85〜15重量パーセントのメタノールの混合物、15〜85重量パーセントのメチルエチルケトンおよび85〜15重量パーセントのメタノールの混合物、30〜50重量パーセントのアクリロニトリルおよび70〜50重量パーセントのメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはn−プロパノールといったC1−4−モノアルコールの混合物;30〜50重量パーセントのメタノールおよび70〜50重量パーセントのテトラヒドロフランまたは酢酸エチルの混合物、または、70〜90重量パーセントのエタノールおよび10〜30重量パーセントのテトラヒドロフランまたは酢酸エチルの混合物である。
一実施形態では、本発明の組成物は、液体希釈剤として、有機希釈剤を単独または少量の水と混合して含む。この実施形態では、本発明の組成物は好ましくは、有機液体希釈剤および水の総重量に基づいて、50超、さらに好ましくは少なくとも65、および最も好ましくは少なくとも75重量パーセントの有機液体希釈剤、ならびに、好ましくは50未満、さらに好ましくは最大35、および最も好ましくは最大25重量パーセントの水を含む。本発明のこの実施形態は、本発明が乏しい水溶性の活性成分を含む場合に特に有用である。
別の実施形態では、本発明の組成物は液体希釈剤として、水を単独または少量の上記有機液体希釈剤と混合して含む。この実施形態では、本発明の組成物は好ましくは、有機液体希釈剤および水の総重量に基づいて、少なくとも50、さらに好ましくは少なくとも65、および最も好ましくは少なくとも75重量パーセントの水、ならびに、好ましくは最大50、さらに好ましくは最大35、および最も好ましくは最大25重量パーセントの有機液体希釈剤を含む。本発明のこの実施形態は、本発明のエステル化セルロースエーテルを含む水性組成物からコーティングまたはカプセルを提供するのに特に有用である。水性溶液を調製する場合、式−C(O)−R−COOAの基の少なくとも一部分はそれらの塩形態であることが好ましい。
液体希釈剤および1つ以上の上記エステル化セルロースエーテルを含む本発明の組成物は、活性成分のための賦形剤系として有用であり、肥料、除草剤または殺虫剤といった活性成分、または、ビタミン、ハーブおよびミネラルサプリメントならびに薬剤といった生物学的活性成分の賦形剤系を調製するための中間体として有用である。したがって、本発明の組成物は、好ましくは1つ以上の活性成分、最も好ましくは1つ以上の薬剤を含む。「薬剤」という語句は、従来の意味であり、動物、特にヒトに投与された際に有益な予防および/または治療上の特性を有する化合物を意味する。好ましくは、薬剤は「低溶性薬剤」であり、その薬剤は、約0.5mg/mL以下の生理学的に適切なpH(たとえばpH1〜8)で水溶解性を有するという意味である。本発明は、薬剤の水溶解性が低下するほど大きな有用性を見出す。したがって、本発明の組成物は、0.1mg/mL未満または0.05mg/mL未満または0.02mg/mL未満または0.01mg/mL未満までもの水溶解性を有する低溶解性薬剤に関して好まれ、ここで、水溶解性(mg/mL)とは、USPで疑似した胃および腸緩衝液を含む、任意の生理学的に適切な水性溶液(たとえば、1と8との間のpHを有するもの)で観察される最小値である。活性成分は、本発明から利益を受けるために低溶解性活性成分である必要はないが、低溶解性活性成分は本発明との使用に関して好ましい種類である。所望する使用環境でかなりの水溶解性を示す活性成分は、最大1〜2mg/mL、または、20〜40mg/mLと同じくらいまでの水溶解性を有し得る。有用な低溶解性薬剤は、国際特許出願WO第2005/115330号、17〜22頁に列挙される。
本発明の組成物は好ましくは、組成物の総重量に基づいて、1〜40重量パーセント、さらに好ましくは2.5〜30重量パーセント、最も好ましくは5〜25重量パーセント、および具体的には7〜20%の上記エステル化セルロースエーテルを少なくとも1つ、40〜99重量パーセント、さらに好ましくは54.9〜97.4重量パーセント、最も好ましくは、65〜94.5重量パーセントおよび具体的には70〜92%の上記液体希釈剤、ならびに、0〜40パーセント、好ましくは0.1〜40パーセント、最も好ましくは0.5〜25パーセント、および具体的には1〜15%の活性成分を含む。
本発明の一態様では、少なくとも1つの上記エステル化セルロースエーテル、1つ以上の活性成分および任意で1つ以上の補助剤を含む組成物は、液体形態、たとえば、懸濁物、スラリー、スプレー可能組成物またはシロップの形態で使用され得る。液体組成物は、たとえば、経口、眼、局所、直腸または経鼻適用に有用である。液体希釈剤は通常、上記の通り、水と混合してもよい、エタノールまたはグリセロールといった、薬剤的に許容されるべきである。
本発明の別の態様では、本発明の液体組成物を、上記の薬剤といった少なくとも1つの活性成分、少なくとも1つの上記エステル化セルロースエーテルおよび任意で1つ以上の補助剤を含む固体分散物を生産するために使用する。固体分散物を、組成物から液体希釈剤を取り除くことによって生産する。
液体組成物から液体希釈剤を取り除く方法の1つは、液体組成物をフィルムまたはカプセルに流し込むこと、または、液体組成物を、次に活性成分を構成し得る固体担体上に適用することである。固体分散物を生産するための好ましい方法は、スプレー乾燥によってである。「スプレー乾燥」という語句は、液体混合物を小滴に分解し(噴霧)、小滴からの溶媒の蒸発のために強力な推進力が存在するスプレー乾燥装置で混合物から溶媒を素早く取り除くことに関するプロセスを指す。スプレー乾燥プロセスおよびスプレー乾燥装備は、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、20−54〜20−57頁(第6版、1984)で大まかに記載されている。スプレー乾燥プロセスおよび装備に対する詳細はさらにMarshall、「Atomization and Spray−Drying」、50 Chem.Eng.Prog.Monogr.シリーズ2(1954)およびMasters,Spray Drying Handbook(第4版、1985)で概説されている。有用なスプレー乾燥プロセスは、国際特許出願WO第2005/115330号、34頁7行〜35頁25行で説明される。
または、本発明の固体分散物は、i)a)少なくとも1つの上記エステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分およびc)1つ以上の任意の添加剤を混合すること、およびii)その混合物を押出成型することによって調製され得る。本明細書で使用される「押出成型」という語句は、射出成型、溶解鋳造および圧縮成型として知られるプロセスを含む。薬剤といった活性成分を含む組成物を押出成型、好ましくは溶融押出成型する技術は公知であり、Joerg Breitenbach、Melt extrusion:from process to drug delivery technology、European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 54(2002)107−117または欧州特許出願EP第0 872 233号で説明される。上記の成分a)、b)および任意のc)は好ましくは粒子の形態で、さらに好ましくは粉末の形態で混合される。成分a)、b)および任意のc)を、混合物を押出成型のために使用されるデバイスに送る前に事前に混合し得る。押出成型に有用なデバイス、具体的には有用な押出機は、当該技術分野で公知である。または、成分a)、b)および任意のc)を、押出機に別々に送り、加熱工程の前または間にデバイス内で混合し得る。好ましくは、成分a)、b)および任意のc)を、押出機フィーダーで事前に混合し、そこから押出機に送り得る。押出機に送り出された組成物または成分(複数可)を、組成物またはその成分の少なくとも1つ以上を溶融または軟化する温度の押出機の加熱領域に通し、活性成分が全体に分散した混合物を形成する。混合物を押出成型、好ましくは溶融押出成型に供し、押出機から出るようにする。一般的な押出成型温度は、押出機加熱ゾーン(複数可)の設定によって決定される、50〜210℃、好ましくは70〜200℃、さらに好ましくは90〜190℃である。加工の間に組成物の活性成分および他の成分の分解または解体を最小化にする、運転温度範囲を選択すべきである。単一または複数のスクリュー押出機、好ましくはツインスクリュー押出機を押出成型プロセスで使用し得る。押出機で得た溶融または軟化した混合物を、1つ以上のノズルまたはダイといった1つ以上の出口用開口部を通して押し出す。溶融または軟化した混合物は次いでダイまたは1つまたは複数の開口部を有する他のそのような要素を通って抜け出し、この時に、押出成型された混合物(ここから押出成型物と呼ぶ)は硬化し始める。押出成型物は、ダイを出る際にはまだ軟化状態であるので、押出成型物を簡単に、形作る、鋳造する、刻む、ビーズ状に球形化する、鎖状に切る、錠剤化する、またはそうでなければ所望する物理的形態に加工し得る。押出成型物を冷やして硬化させ、粉末形態にすりつぶしてもよい。
本発明の固体分散物は好ましくは、エステル化セルロースエーテルa)および活性成分b)の総重量に基づいて、20〜99.9パーセント、さらに好ましくは30〜98パーセント、および最も好ましくは60〜95パーセントの上記エステル化セルロースエーテルa)、ならびに、好ましくは0.1〜80パーセント、さらに好ましくは2〜70パーセント、および最も好ましくは5〜40パーセントの活性成分b)を含む。エステル化セルロースエーテルa)および活性成分b)の組み合わせた量は、固体分散物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも70パーセント、さらに好ましくは少なくとも80パーセント、および最も好ましくは少なくとも90パーセントである。残った量は、存在する場合、下記の1つ以上の補助剤c)である。固体分散物は、1つ以上のエステル化セルロースエーテルa)、1つ以上の活性成分b)および任意で1つ以上の補助剤c)を含み得るが、それらの合計量は、一般的に上記の範囲内である。
少なくとも1つの活性成分を少なくとも1つのエステル化セルロースエーテルに含む固体分散物を一度形成すると、複数の加工操作を用いて分散物の剤形への組み込みを促進し得る。これらの加工操作には、乾燥、顆粒化および製粉が含まれる。固体分散物における任意の補助剤の封入は、組成物を剤形に製剤化するために有用であり得る。本発明の固体分散物は様々な形態であり得、たとえば、鎖状、小錠剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプレット、微粒子、カプセルもしくは射出成型カプセルの中身の形態、または、粉末、フィルム、ペースト、クリーム、懸濁物またはスラリーの形態であり得る。
剤形における活性成分の量は、剤形の総重量に基づいて、通常少なくとも0.1パーセント、好ましくは少なくとも1パーセント、さらに好ましくは少なくとも3パーセント、最も好ましくは少なくとも5パーセント、および、一般的に最大70パーセント、好ましくは最大50パーセント、さらに好ましくは最大30パーセント、最も好ましくは最大25パーセントである。
本発明の別の態様では、液体希釈剤および1つ以上の上記エステル化セルロースエーテルを含む本発明の組成物を、錠剤、顆粒剤、小錠剤、カプレット、舐剤、座剤、膣坐剤または埋め込み型剤形といったコーティング剤形のために使用し、コーティングされた組成物を形成し得る。本発明の組成物が薬剤といった活性成分を含む場合、薬剤の層化を達成し得、すなわち、剤形およびコーティングは、様々な最終使用者のため、および/または、様々な放出動態を有するために、様々な活性成分を含み得る。
本発明のさらに別の態様では、液体希釈剤および1つ以上の上記エステル化セルロースエーテルを含む本発明の組成物を、カプセルの製造のために、液体組成物を浸漬ピン(dipping pin)に接触させる工程を含むプロセスにおいて使用し得る。
本発明の液体組成物および固体分散物はさらに、着色剤、色素、乳白剤、風味および味質向上剤、酸化剤、ならびにそれらの任意の組み合わせといった、任意の補助剤を含み得る。任意の補助剤は、好ましくは薬剤的に許容される。1つ以上の任意の補助剤の有用な量および種類は、当該技術分野で大まかに知られており、本発明の液体組成物または固体分散物の意図した最終用途次第である。
次の実施例は、例示的な目的のためだけであり、本発明の範囲を制限することは意図されていない。
別で指示されない限り、全ての部およびパーセンテージは重量で表される。実施例では、次の試験手順が用いられる。
エーテルおよびエステル基の含有量
エステル化セルロースエーテルのエーテル基の含有量は、「Hypromellose」、United States Pharmacopeia and National Formulary、USP 35、pp3467−3469に関して記載されるのと同じやり方で決定される。
アセチル基(−CO−CH)とのエステル置換およびサクシノイル基(−CO−CH−CH−COOH)とのエステル置換を、Hypromellose Acetate Succinate、United States Pharmacopia and National Formulary、NF 29、pp.1548−1550」にしたがって決定する。エステル置換に関する報告値を揮発性物質に関して校正する(上記HPMCASモノグラフのセクション「乾燥の際の損失」で記載される通りに決定する)。
w、およびMの決定
別で明記しない限り、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743にしたがってMw、MnおよびMzを測定する。移動相は、40体積部のアセトニトリルならびに50mMのNaH2PO4および0.1MのNaNO3を含む60体積部の水性緩衝液の混合物であった。移動相をpH8.0に調節した。セルロースエーテルエステルの溶液を、孔径0.45μmの注射器フィルターを通してHPLC小瓶内に濾過した。
さらに具体的に、使用した化学物質および溶媒は:
ポリエチレンオキシド標準物質(PEOX 20 KおよびPEOX 30 Kと省略される)をアジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies,Inc.)、カリフォルニア、パロアルト、カタログ番号PL2083−1005およびPL2083−2005から購入した。
アセトニトリル(HPLCグレード99.9%以上、CHROMASOL plus)、カタログ番号34998、水酸化ナトリウム(半導体グレード、99.99%、微量金属ベース)、カタログ番号306576、水(HPLCグレード、CHROMASOLV Plus)カタログ番号34877および硝酸ナトリウム(99,995%、微量金属ベース)カタログ番号229938を、シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich)、スイスから購入した。
リン酸二水素ナトリウム(99.999%以上のTraceSelect)カタログ番号71492をフルカ社(FLUKA)、スイスから購入した。
重量をはかった量のポリマーを小瓶に添加し、それを測定済みの体積の移動相で溶解することで、5mg/mLのPEOX20 Kの標準化溶液、2mg/mLのPEOX30 Kの標準溶液、および2mg/mLのHPMCASの試料溶液を調製した。全溶液を、PTFEでコーティングした磁気撹拌子で撹拌しながら、室温で24時間、キャップ付きの小瓶で溶解させた。
標準化溶液(PEOX 20k、単一調製、N)および標準溶液(PEOX30 K、二重調製、S1およびS2)を孔径0.02μmおよび直径25mmの注射器フィルター(Whatman Anatop 25、カタログ番号6809−2002)、ワットマン社(Whatman)を通してHPLC小瓶内に濾過した。
試験試料溶液(HPMCAS、二通りで調製、T1、T2)および実験室標準物(HPMCAS、単一調製、LS)を、孔径0.45μmの注射器フィルター(Nylon、たとえば、Acrodisc 13mm VWR、カタログ番号514−4010)を通してHPLC小瓶内に濾過した。
クロマトグラフィーの条件および実行順番を、Chen,R.ら;Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743−748)によって説明される通りに実施した。SEC−MALLS器具のセットアップには、カリフォルニア、パロアルトのアジレント・テクノロジー社の、HP1100 HPLCシステム;双方ともカリフォルニア、サンタ・バーバラのワイアット・テクノロジー社(Wyatt Technologies, Inc)の、DAWN Heleos II 18アングルレーザー光散乱検出器およびOPTILAB rex示差屈折率検出器が含まれた。分析用サイズ排除カラム(TSK−GEL(登録商標)GMPWXL、300×7.8mm)をトーソー・バイオサイエンス社(Tosoh Bioscience)から購入した。OPTILABおよびDAWNの双方を35℃で操作した。分析用SECカラムを室温(24±5℃)で操作した。移動相は、以下のように調製された、40体積部のアセトニトリルならびに50mMのNaH2PO4および0.1MのNaNO3を含む60体積部の水性緩衝液の混合物であった:
水性緩衝液:7.20gのリン酸二水素ナトリウムおよび10.2gの硝酸ナトリウムを、溶解するまで撹拌しながら、2Lの透明なガラス製ボトル中の1.2Lの精製水に添加した。
移動相:800mLのアセトニトリルを上で調製した1.2Lの水性緩衝液に添加し、良好な混合物を達成し、温度が周囲温度まで釣り合うまで、撹拌した。
移動相を10MのNaOHでpH8.0まで調節し、0.2mのナイロン膜フィルターを通して濾過した。流速は、インラインのガス抜きを伴って、0.5mL/分であった。注入体積は、100μLおよび分析時間は35分であった。
MALLSデータを回収し、HPMCASの0.120mL/gのdn/dc値(屈折率増大)を用いてWyatt ASTRAソフトウェア(バージョン5.3.4.20)で処理した。検知器の光散乱シグナル(番号1〜4、17および18)は分子量計算には用いなかった。クロマトグラフィーの代表的な実行順番は次の通りである:B、N、LS、S1(5×)、S2、T1(2×)、T2(2×)、T3(2×)、T4(2×)、S2、T5(2×)など、S2、LS、Wであり、ここで、Bは、移動相のブランク注入を表し、N1は標準化溶液を表し;LSは実験室標準物HPMCASを表し;S1およびS2は標準溶液1および2をそれぞれ表し;T1、T2、T3、T4およびT5は試験試料溶液を表し、ならびに、Wは水注入を表す。(2×)および(5×)は、同じ溶液の注入数を意味する。
OPTILABおよびDAWNの双方を、製造業者の推奨手順および頻度にしたがって定期的に較正した。それぞれの実行順番に関して、90度検出器に対して全アングル光散乱検出器を標準化するために、5mg/mLのポリエチレンオキシド標準物(PEOX20 K)を100μL注入した。
この単分散ポリマーの使用は、決定されるOPTILABとDAWNとの間の体積の遅れ(volume delay)も可能にし、光散乱シグナルの屈折率シグナルに対する適切な配列を可能にした。これは、各データスライスに関する重量平均の分子量(Mw)の計算に必要である。
実施例1〜10のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)の生産
氷酢酸、無水酢酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、無水コハク酸および酢酸ナトリウム(水なし)を下記表1で列挙される量で、徹底的な撹拌下で反応容器内に導入した。
HPMCは、下記表2に列挙されるメトキシルおよびヒドロキシプロポキシル置換、ならびに、ASTM D2363−79(再承認、2006)にしたがい、20℃の水中2%溶液として測定された約3mPasの粘度を有した。HPMCは、Methocel E3 LV Premiumセルロースエーテルとして、ダウ・ケミカル・カンパニー社(Dow Chemical Company)から市販されている。
下記表1で列挙される通り、混合物を3または3.5時間の撹拌を伴って、85℃で加熱し、エステル化をもたらした。x Lの水を撹拌下でリアクターに添加し、HPMCASを沈殿させた。5200rpmで運転するUltra−Turrax攪拌機S50−G45を用いた高せん断混合を利用することで、沈殿した生成物をリアクターから取り除き、y Lの水で洗浄した。水xおよびyの数は下記表1に列挙される。生成物を濾過によって単離し、50℃で一晩乾燥した。
比較実施例AおよびBのHPMCASの生産
比較実施例AおよびBにしたがったHPMCASの生産を、氷酢酸、無水酢酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、無水コハク酸および酢酸ナトリウム(水なし)の重量比が欧州特許出願EP第0219 426 A2の実施例2で開示される通りに使用された点以外は、実施例1〜10の通りに実行した。使用した量を下記表1に記載する。
比較実施例AおよびBで使用したそれぞれのHPMCは、ASTM D2363−79(再承認、2006)にしたがって20℃の水中2%溶液として測定された、約6mPasおよび約3mPasの粘度をそれぞれ有した。各HPMCは、約10重量%のヒドロキシプロポキシル基および約29重量%のメトキシル基を含んでいた。これらのHPMCは、それぞれMethocel E6 LV PremiumセルロースエーテルおよびMethocel E3 LV Premiumセルロースエーテルとして、ダウ・ケミカル・カンパニー社から市販されている。
混合物を3.5時間の撹拌を伴って85℃で加熱し、エステル化をもたらした。x Lの水を撹拌下でリアクターに添加し、HPMCASを沈殿させた。5200rpmで運転するUltra−Turrax攪拌機S50−G45を用いた高せん断混合を利用することで、沈殿した生成物をリアクターから取り除き、y Lの水で洗浄した。水xおよびyの数は下記表1に列挙される。生成物を濾過によって単離し、55℃で12時間乾燥した。生成物を次いで、実施例1〜10で記載される通りに、再度徹底的に洗浄および乾燥した。
比較実施例Cの生産
比較実施例CにしたがったHPMCASの生産を、氷酢酸、無水酢酸、HPMC、無水コハク酸および酢酸ナトリウム(水なし)の重量比がUS特許第5,776,501号の比較実施例3で開示される通りに使用された点以外は、実施例1〜10の通りに実行した。US特許第5,776,501号の比較実施例3で使用されたHPMCは、水中の2%溶液で測定された8.9mPasの粘度を有した。しかし、HPMC粘度の違いがHPMCASの分子量に影響を及ぼすことを避けるため、比較実施例Cで実施例1〜10と同一のHPMCを使用した。
使用された量は下記表1に列挙される。混合物を5時間の撹拌を伴って85℃で加熱し、エステル化をもたらした。252.86gの水を撹拌下でリアクターに添加し、次いで、70.71gの濃塩酸(37重量%の濃度)を添加した。反応混合物を撹拌下(200rpm)で3.0Lの水に添加することで、沈殿した生成物を得た。5200rpmで運転するUltra−Turrax攪拌機S50−G45を用いた高せん断混合を利用することで、粗生成物を11Lの水で洗浄した。生成物を濾過によって単離し、12時間55℃で乾燥した。
比較実施例A〜Cの反復
比較実施例AおよびBで得られたエステル置換%アセチルおよび%サクシノイルは、欧州特許出願EP第0219 426 A2号の実施例2で開示されたものとは著しく異なった。比較実施例Cでは、得られるエステル置換%アセチルおよび%サクシノイルは、US特許第5,776,501号の比較実施例3で報告されたエステル置換とある程度良好に適合した。
したがって、比較実施例A〜Cを繰り返した。比較実施例A〜Cの繰り返したセットで得られたエステル置換%アセチルおよび%サクシノイルは、比較実施例A〜Cの1番目のセットと実質的に同じであった。表2の結果は、比較実施例A、BおよびCの2つのセットの平均を示す。
比較実施例D〜Hの生産
比較実施例D〜HにしたがったHPMCASの生産を、氷酢酸、無水酢酸、HPMC、無水コハク酸および酢酸ナトリウム(水なし)の重量比がUS特許第4,226,981号の実施例1、表I、試料番号1〜5で開示される通りに使用された点以外は、実施例1〜10の通りに実行した。使用された量は下記表1に列挙される。US特許第4,226,981号には、使用したHPMCの粘度が記載されていない。HPMC粘度の違いがHPMCASの分子量に影響を及ぼすことを避けるため、比較実施例D〜Hで実施例1〜10と同一のHPMCを使用した。x Lの水を撹拌下でリアクターに添加し、HPMCASを沈殿させた。5200rpmで運転するUltra−Turrax攪拌機S50−G45を用いた高せん断混合を利用することで、沈殿した生成物をリアクターから取り除き、y Lの水で洗浄した。水xおよびyの数は下記表1に列挙される。
比較実施例IおよびJの生産
比較実施例IおよびJにしたがったHPMCASの生産を、氷酢酸、無水酢酸、HPMC、無水コハク酸および酢酸ナトリウム(水なし)の重量比が国際特許出願WO第2005/115330号、51および52頁、ポリマー1および3で開示される通りに使用された点以外は、実施例1〜10の通りに実行した。国際特許出願WO第2005/115330号で記載される通りに、生成物を得て、分離および洗浄した。反応混合物を2.4Lの水にクエンチし、ポリマーを沈殿させた。実施例Iのみに関して、1Lの水をさらに使用して沈殿を完全にした。ポリマーを次いで単離し、3×300mLの水で洗浄した。次いで、ポリマーを600mLのアセトンに溶解し、再び2.4Lの水に沈殿させた。沈殿を完全にするために、もう1Lの水を添加した。
比較実施例K〜M
国際特許出願WO第2011/159626号の1および2頁に開示される通り、HPMCASは現在、商標「AQOAT」として知られ、信越化学工業社(日本、東京)から市販される。信越化学工業社は、異なる置換レベルの組み合わせを有して様々なpHレベルでの胃保護を提供する、3つのグレードのAQOATポリマー、AS−L、AS−MおよびAS−Hを提供し、これらには通常、AS−LFまたはAS−LGというように、良好には「F」または「G」といった記号表示が続く。これらの販売明細書は以下の通りである。
[表]
Figure 0006224712
市販の材料の試料を、上記した通りに分析した。
比較実施例N、O−1、O−2、P−1およびP−2
国際公開第2011/159626号の34および35頁に記載される通りにHPMCAS試料を生産した。比較実施例Nで、HPMCAS−K(1)のレシピを正確に繰り返した。比較実施例O−1およびO−2では、HPMCAS−K(2)のレシピを、比較実施例P−1およびP−2では、HPMCAS−K(3)のレシピを正確に繰り返した。DOSAcおよびDOSに関する比較実施例O−1およびP−1の結果が、HPMCAS−K(2)およびHPMCAS−K(3)に関して国際公開第2011/159626号で報告された結果から逸脱していたため、比較実施例OおよびPをそれぞれ2回実施し、O−1、O−2、P−1およびP−2としてそれぞれ報告した。
実施例1〜10ならびに比較実施例A〜Jにしたがって生産されたHPMCASの特性および市販の比較実施例K〜Mの特性が下記表2に列挙される。
下記表2では、省略文字は次の通りの意味を有する:
DS=DS(メトキシル):メトキシル基との置換度;
MSHP=MS(ヒドロキシプロポキシル):ヒドロキシプロポキシル基とのモル置換;
DOSAc:アセチル基の置換度;
DOS:サクシノイル基の置換度。
Figure 0006224712
Figure 0006224712
上記表2の結果は、本発明のエステル化セルロースエーテルが、医薬剤形に適切な腸溶性ポリマーとなる重量平均分子量、および、適度に高い均一性、すなわち、適度に低い多分散性M/Mの組み合わせを有することを示す。また、生産したHPMCASの測定した重量平均分子量Mは、出発材料として使用されたHPMCのMに基づいて予測され得るよりも高かった。HPMCのMは、約20,000ダルトンであった。アセチルおよびサクシノイル基による重量増加を考慮し、約25,000ダルトン(25kDa)のMが予測され得た。
比較実施例Aは、実施例1〜10と直接的には比較可能でなく、なぜなら比較実施例AのHPMCASは、より高粘度のHPMCから生産されているからである。アセトン中の、比較実施例AのHPMCASの1.5重量%溶液でさえ、ゲルのようであった。そのようなHPMCASは、スプレー乾燥といった、少なくとも7重量パーセント、より一般的には少なくとも10重量パーセントのエステル化セルロースエーテルを含む溶液から出発する最終用途には役立たないであろう。
比較実施例B〜JのHPMCASは、好ましくないほど低いMを有する。
実施例1〜10のHPMCASは全て、比較実施例K〜MのMwと同じ範囲のMwを有するが、比較実施例K〜Mより低い多分散性Mw/Mnを有する。高い重量平均分子量M、1.3〜4.1の適度に低いM/M、および、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される低粘度の組み合わせにより、本発明のエステル化セルロースエーテルは、医薬剤形のための腸溶性ポリマーとして、非常に好適である。
実施例1〜10のHPMCASもまた、比較実施例N、P−1およびP−2よりも顕著に低い多分散性Mw/Mnを有する。
実施例1〜10および比較実施例A〜Nの全てにおけるMw、MnおよびMzの決定のために使用されたHPLC方法において、大変良好な回収率(=[HPLCカラムから回収されたHPMCASの重量/HPLCカラムに導入されたHPMCASの重量]×100)が達成され、Mw、MnおよびMzの確実な決定を可能にした。しかし、比較実施例O−1およびO−2では、回収率が低すぎてある程度確実なMw,nおよびMzの決定はできなかった。
本開示は以下も包含する。
[1] エステル化セルロースエーテルであって、
i)エステル基として、脂肪族一価アシル基、または、脂肪族一価アシル基および式−C(O)−R−COOAの基の組み合わせを有し、ここで、Rは二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは水素またはカチオンであり、
ii)80,000ダルトン〜350,000ダルトンの重量平均分子量M w を有し、
iii)1.3〜4.1の多分散性M w /M n を有し、ならびに、
iv)20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される、最大4.0mPa sの粘度を有する、前記エステル化セルロースエーテル。
[2] 前記脂肪族一価アシル基が、アセチル、プロピオニルまたはブチリル基であり、前記式−C(O)−R−COOAの基が、−C(O)−CH 2 −CH 2 −COOA、−C(O)−CH=CH−COOAまたは−C(O)−C 6 4 −COOAである、上記態様1に記載のエステル化セルロースエーテル。
[3] エステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロースである、上記態様1または2に記載のエステル化セルロースエーテル。
[4] ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである、上記態様1〜3のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテル。
[5] 110,000ダルトン〜200,000ダルトンの重量平均分子量M w を有する上記態様1〜4のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテル。
[6] 2.0〜3.9の多分散性M w /M n を有する、上記態様1〜5のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテル。
[7] 液体希釈剤、および、少なくとも1つの、上記態様1〜6のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテルを含む、組成物。
[8] 少なくとも1つの活性成分および任意で1つ以上の補助剤をさらに含む、上記態様7に記載の組成物。
[9] 少なくとも1つの、上記態様1〜6のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテルに、少なくとも1つの活性成分を含む、固体分散物。
[10] 鎖状、小錠剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプレット、微粒子、カプセルもしくは射出成型カプセルの中身の形態、または、粉末、フィルム、ペースト、クリーム、懸濁物またはスラリーの形態である、上記態様9に記載の固体分散物。
[11] 上記態様9または10に記載の固体分散物を生産するプロセスであって、a)少なくとも1つの、上記態様1〜6のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、およびc)1つ以上の任意の添加剤を混合する工程、ならびにその混合物を押出成型する工程を含む、前記プロセス。
[12] 上記態様9または10に記載の固体分散物を生産するプロセスであって、a)少なくとも1つの、上記態様1〜6のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、c)1つ以上の任意の添加剤、およびd)液体希釈剤を混合して液体組成物を調製する工程、ならびに前記液体希釈剤を取り除く工程を含む、前記プロセス。
[13] 前記液体組成物をスプレー乾燥に供する、上記態様12に記載のプロセス。
[14] 上記態様1〜6のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテルがコーティングされている、剤形。
[15] 上記態様1〜6のいずれかに記載のエステル化セルロースエーテルを含む、カプセルシェル。

Claims (10)

  1. エステル化セルロースエーテルであって、
    i)エステル基として、脂肪族一価アシル基、または、脂肪族一価アシル基および式−C(O)−R−COOAの基の組み合わせを有し、ここで、Rは二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは水素またはカチオンであり、
    ii)80,000ダルトン〜350,000ダルトンの重量平均分子量Mwを有し、
    iii)1.3〜3.9の多分散性Mw/Mnを有し、ならびに、
    iv)DIN51562−1:1999−01にしたがうウベローデ測定にしたがって、20℃の0.43重量%水性NaOH中の、エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定される、最大4.0mPasの粘度を有し、
    ここで、MwおよびMnは、40体積部のアセトニトリル、ならびに、50mMのNaH2PO4および0.1MのNaNO3を含む60体積部の水性緩衝液の混合物を移動相として用いるSEC−MALLSによって測定される、前記エステル化セルロースエーテル。
  2. 前記脂肪族一価アシル基が、アセチル、プロピオニルまたはブチリル基であり、前記式−C(O)−R−COOAの基が、−C(O)−CH2−CH2−COOA、−C(O)−CH=CH−COOAまたは−C(O)−C64−COOAである、請求項1に記載のエステル化セルロースエーテル。
  3. ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである、請求項1または2に記載のエステル化セルロースエーテル。
  4. 2.0〜3.9の多分散性Mw/Mnを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテル。
  5. 液体希釈剤、および、少なくとも1つの、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテルを含む、組成物。
  6. 少なくとも1つの、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテルに、少なくとも1つの活性成分を含む、固体分散物。
  7. 請求項6に記載の固体分散物を生産するプロセスであって、a)少なくとも1つの、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、およびc)任意に1つ以上の添加剤を混合する工程、ならびにその混合物を押出成型する工程を含む、前記プロセス。
  8. 請求項6に記載の固体分散物を生産するプロセスであって、a)少なくとも1つの、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、c)任意に1つ以上の添加剤、およびd)液体希釈剤を混合して液体組成物を調製する工程、ならびに前記液体希釈剤を取り除く工程を含む、前記プロセス。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテルがコーティングされている、錠剤、顆粒剤、小錠剤、カプレット、舐剤、座剤、膣坐剤及び埋め込み型物品からなる群から選択される、物品
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル化セルロースエーテルを含む、カプセルシェル。
JP2015528529A 2012-08-24 2013-08-15 高分子量および均一性の新規エステル化セルロースエーテル Expired - Fee Related JP6224712B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261692931P 2012-08-24 2012-08-24
US61/692,931 2012-08-24
PCT/US2013/055038 WO2014031419A1 (en) 2012-08-24 2013-08-15 Novel esterified cellulose ethers of high molecular weight and homogeneity

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015529727A JP2015529727A (ja) 2015-10-08
JP6224712B2 true JP6224712B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=49029252

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015528529A Expired - Fee Related JP6224712B2 (ja) 2012-08-24 2013-08-15 高分子量および均一性の新規エステル化セルロースエーテル

Country Status (8)

Country Link
US (2) US20150202301A1 (ja)
EP (1) EP2888290B1 (ja)
JP (1) JP6224712B2 (ja)
KR (1) KR102138545B1 (ja)
CN (2) CN104755504A (ja)
BR (1) BR112015002056A2 (ja)
MX (1) MX2015002429A (ja)
WO (1) WO2014031419A1 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6267239B2 (ja) 2013-03-07 2018-01-24 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 極めて低粘度の新規エステル化セルロースエーテル
US9890220B2 (en) 2013-03-07 2018-02-13 Dow Global Technologies Llc Esterified cellulose ethers of very high molecular weight
WO2015126576A1 (en) * 2014-02-20 2015-08-27 Dow Global Technologies Llc Novel esterified cellulose ethers of high molecular weight and homogeneity
WO2016148973A1 (en) * 2015-03-16 2016-09-22 Dow Global Technologies Llc Water-soluble esterified cellulose ethers
EP3270972B1 (en) * 2015-03-16 2019-01-09 Dow Global Technologies LLC Process for preparing an esterified cellulose ether in the presence of an aliphatic carboxylic acid
BR112017018367A2 (pt) 2015-03-16 2018-04-10 Dow Global Technologies Llc gelificação de éteres de celulose esterificados
MX2017011096A (es) * 2015-03-16 2017-11-10 Dow Global Technologies Llc Solucion acuosa de un eter de celulosa esterificado.
BR112017018260A2 (pt) * 2015-03-16 2018-04-10 Dow Global Technologies Llc éteres de celulose esterificados solúveis água tendo um baixo grau de neutralização
US20180030157A1 (en) * 2015-03-16 2018-02-01 Dow Global Technologies Llc Process for fractionating an esterified cellulose ether
BR112017024993A2 (pt) * 2015-06-05 2018-08-07 Dow Global Technologies Llc ?método para produção de éter tipo metilcelulose em forma de pó?.
CN107667121A (zh) * 2015-06-05 2018-02-06 陶氏环球技术有限责任公司 纤维素醚粉末
JP6426876B2 (ja) * 2015-07-28 2018-11-21 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー エステル化セルロースエーテルを含む分散体
KR20180090834A (ko) * 2015-12-08 2018-08-13 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 셀룰로오스 에테르 및 수용성 에스테르화된 셀룰로오스 에테르를 포함하는 조성물
WO2017146853A1 (en) * 2016-02-24 2017-08-31 Dow Global Technologies Llc Aqueous composition comprising water-soluble esterified cellulose ethers
JP6683561B2 (ja) * 2016-07-12 2020-04-22 信越化学工業株式会社 腸溶性硬カプセル用組成物及び腸溶性硬カプセルの製造方法
BR112019007136A2 (pt) 2016-10-18 2019-07-02 Dow Global Technologies Llc processo eficiente para preparação de um éter de celulose esterificado
FI128918B (en) * 2017-02-10 2021-03-15 Teknologian Tutkimuskeskus Vtt Oy Use of molecular weight controlled cellulose

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2994857B2 (ja) 1992-06-05 1999-12-27 信越化学工業株式会社 カルボン酸エステル系セルロース誘導体の製造方法
DK0901786T3 (da) * 1997-08-11 2007-10-08 Pfizer Prod Inc Faste farmaceutiske dispersioner med foröget biotilgængelighed
EP1114134B1 (en) * 1998-09-15 2006-10-25 The Procter & Gamble Company Rinse-added fabric care compositions comprising low molecular weight linear polyamines
US20010053778A1 (en) 2000-03-16 2001-12-20 Hoover Dennis J. Pharmaceutical compositions of glycogen phosphorylase inhibitors
CN1829501A (zh) * 2003-05-30 2006-09-06 Arc药品有限公司 涉及使用多种药物抑制纤维粘连的药用组合物和方法
JP3983210B2 (ja) * 2003-08-29 2007-09-26 信越化学工業株式会社 ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの絶対分子量及び分子量分布分析法
SE526356C2 (sv) * 2003-12-15 2005-08-30 Akzo Nobel Nv Associativa vattenlösliga cellulosaetrar
MXPA06013891A (es) 2004-05-28 2007-01-26 Pfizer Prod Inc Composiciones farmaceuticas con comportamiento potenciado.
EP1844078B1 (en) * 2005-02-03 2016-09-28 Bend Research, Inc Pharmaceutical compositions with enhanced performance
CN101225115A (zh) * 2007-12-20 2008-07-23 北京理工大学 纤维素类固体肠溶包衣材料的沉析改进方法
KR101705204B1 (ko) 2009-09-11 2017-02-09 롯데정밀화학 주식회사 장용성 경질 캡슐용 수성 조성물, 장용성 경질 캡슐의 제조방법 및 장용성 경질 캡슐
KR101682466B1 (ko) * 2010-02-01 2016-12-05 롯데정밀화학 주식회사 아세틸화 셀룰로오스 에테르 및 이를 포함하는 물품
CA2870134C (en) * 2012-05-02 2020-04-28 Capsugel France SAS Aqueous dispersions of hydroxypropyl methylcellulose acetate succinate (hpmcas)
WO2014031446A1 (en) 2012-08-24 2014-02-27 Dow Global Technologies Llc Process of preparing an esterified cellulose ether in the presence of an alkali metal carboxylate and an aliphatic carboxylic acid

Also Published As

Publication number Publication date
KR20150045511A (ko) 2015-04-28
EP2888290A1 (en) 2015-07-01
WO2014031419A1 (en) 2014-02-27
CN107602710A (zh) 2018-01-19
US20150202301A1 (en) 2015-07-23
CN104755504A (zh) 2015-07-01
MX2015002429A (es) 2015-06-22
BR112015002056A2 (pt) 2017-07-04
EP2888290B1 (en) 2018-12-26
KR102138545B1 (ko) 2020-07-28
JP2015529727A (ja) 2015-10-08
US20190184020A1 (en) 2019-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6224712B2 (ja) 高分子量および均一性の新規エステル化セルロースエーテル
JP6215945B2 (ja) 新規ヒドロキシアルキルメチルセルロースアセテートサクシネート
JP6224711B2 (ja) 部分架橋結合型エステル化セルロースエーテル
CN105007903B (zh) 具有极高分子量的酯化纤维素醚
US20180319898A1 (en) Novel esterified cellulose ethers of low viscosity and high molecular weight
JP6420520B2 (ja) 新規の高分子量及び高均一性のエステル化セルロースエーテル
US10377835B2 (en) Water-soluble esterified cellulose ethers

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150918

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170814

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6224712

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees