JP6224670B2 - 直動アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、直動アクチュエータに関する。
従来の直動アクチュエータが特許文献1に開示されている。この直動アクチュエータは、電動モータと、この電動モータが有する中空状のモータ軸に同軸に配設されたボールネジと、を有している。ボールネジは、モータ軸に固定されたナットと、このナットに多数のボールを介して内挿され、モータ軸に進退自在に配されたねじ軸と、を有している。
この直動アクチュエータでは、モータ軸の回転にともなってナットが回転し、このナットの回転によりねじ軸が軸方向に前進または後退するように移動され、これにより、ねじ軸の先端に接続された被接続体が直線移動される。
特開2008−298107号公報
しかしながら、上記被接続体がねじ軸の軸線からずれて配置されていた場合、ねじ軸がたわんで取り付けられるので、このたわみにより、ボールねじにおいてねじ軸の軸心とナットの軸心とを交差させる方向に力が加わって、ボールねじに偏摩耗やかじりなどが生じて劣化を早めるおそれがある。ボールねじに代えて、すべりねじなどの他の種類のねじ機構を採用した構成でも同様である。
そこで、本発明は、ねじ機構の劣化を抑制できる直動アクチュエータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、ステータと、前記ステータとの磁気作用によって軸心を中心に回転される筒状のロータと、前記ロータの軸心と同軸に配置され、前記ロータの回転にともなって回転されるナット部材と、前記ナット部材に螺合され、当該ナット部材の回転により前進または後退されるねじシャフトと、を有し、前記ねじシャフトの前方端部に、被接続体を揺動可能に接続するヘッド部が設けられ、前記ナット部材が、前記ロータの前方端部に配置され、前記ナット部材に、前記ねじシャフトが螺合される雌ねじ部を有しかつ前記ロータの軸心と交差する方向に揺動可能な揺動部が設けられていることを特徴とする直動アクチュエータである。
本発明によれば、ねじシャフトの前方端部に設けられたヘッド部に、被接続体を揺動可能に接続することができるので、被接続体がねじシャフトの軸心からずれて配置されていても、被接続体の姿勢を維持したままヘッド部に接続することができる。そして、被接続体がねじシャフトの軸心からずれて配置されていることにより当該被接続体にねじシャフトがたわんで取り付けられた場合、ねじシャフトのたわみによりナット部材の揺動部に力が加わる。この力により揺動部がロータの軸心と交差する方向に揺動されて、揺動部が有する雌ねじ部の軸心とねじシャフトの軸心とが一致する。これにより、ナット部材やねじシャフトの劣化を抑制できる。
本発明では、前記ナット部材が、球形状に形成されるとともに当該球形状の中心から後方にずれた位置に回転方向に延在する溝が設けられ、前記ナット部材における前記溝より前方寄りの部分が、前記揺動部を構成し、前記揺動部の球面が摺接される球形状の内面で囲われたナット部材収容空間が、前記ロータに設けられていることが好ましい。このようにすることで、ナット部材における上記溝を設けた部分が変形可能に脆弱となって、ナット部材における上記溝より後方寄りの部分の姿勢を変化させることなく、揺動部を揺動させることができる。ナット部材が収容されるナット部材収容空間を囲む球形状の内面に揺動部の球面が接することにより揺動部が位置決めされて、揺動部のぶれを抑制することができる。
本発明では、前記ナット部材における前記溝より後方寄りの部分が、前記ロータに対して当該ロータの軸心を中心とする回転移動が規制された回転受部を構成することが好ましい。このようにすることで、回転受部がその姿勢を変化させることなくロータと結合されて、ロータの回転がより確実に伝達される。
本発明では、前記ナット部材が、前記ロータの前方端部に配置されている。このようにすることで、例えば、ナット部材がロータの中央部や後方端部に配置された構成に比べて、ねじシャフトを最大限前進させたときの当該ねじシャフトにおけるロータからの突出長さをより大きくすることができる。
本発明では、前記ナット部材が、前記ロータの内部に配置され、前記ロータにおける前記ナット部材が配置された箇所を回転可能に軸支する軸受部をさらに有していることが好ましい。このようにすることで、ナット部材がロータを間に挟んで軸受部と対向するので、ナット部材に加わる力の多くがロータに吸収されることなく軸受部に伝わる。そのため、ナット部材に加わる力がロータに吸収されることを抑制し、例えば、ロータにおけるナット部材が配置されていない箇所を軸受部で軸支する構成に比べて、ロータのたわみを抑制することができる。
本発明では、前記ヘッド部が、球形状に形成されるとともに当該球形状の中心から前方にずれた位置に前記ロータの回転方向に延在するヘッド部溝が設けられていることが好ましい。このようにすることで、ヘッド部におけるヘッド部溝を設けた部分が変形可能に脆弱となって、ヘッド部におけるヘッド部溝より前方寄りの部分を揺動可能とすることができる。そのため、ヘッド部におけるヘッド部溝より前方寄りの部分に被接続体を固定した場合でも被接続体の揺動を可能として、被接続体の姿勢維持を阻害することを抑制できる。
本発明の直動アクチュエータは、ねじ機構の劣化を抑制できる。
本発明の一実施形態に係る直動アクチュエータの斜視図である。 図1の直動アクチュエータの正面図である。 図1の直動アクチュエータが有するロータの斜視図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1のIII−III線に沿う断面図である。 図5の一部分を拡大した拡大断面図である。 図1のIV−IV線に沿う断面図である。 図1の直動アクチュエータが有するナット部材の断面図である。 図1の直動アクチュエータが有するねじシャフトの一部分を拡大した図である。 被接続体がロータの軸心上に配置されている場合を説明する図である。 被接続体がロータの軸心からずれて配置されている場合を説明する図である。 図1の直動アクチュエータの変形例の構成を示す断面図である。
以下に、本発明の一実施形態である直動アクチュエータの構成について、図1〜図9を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る直動アクチュエータの斜視図である。図2は、図1の直動アクチュエータの正面図である。図3は、図1の直動アクチュエータが有するロータの斜視図である。図4は、図1のII−II線に沿う断面図である。図5は、図1のIII−III線に沿う断面図である。図6は、図5の一部分を拡大した拡大断面図である。図7は、図1のIV−IV線に沿う断面図である。図8は、図1の直動アクチュエータが有するナット部材の断面図である。図9は、図1の直動アクチュエータが有するねじシャフトの一部分を拡大した図である。
各図に示すように、直動アクチュエータ(以下、単に「アクチュエータ1」という。)は、ケース10と、ロータ20と、ナット部材25と、ステータ30と、ねじシャフト40と、を有している。
ケース10は、図1、図2に示すように、幅方向Xの大きさより高さ方向Zの大きさが小さい直方体の中空箱状に形成されている。ケース10は、図4に示すように、例えばステンレスなどの金属製のケース本体部11と、ボールベアリングからなる前軸受16および後軸受17と、を有している。
ケース本体部11は、図4、図5に示すように、断面長方形の四角筒状の周壁部12と、周壁部12の正面側端部を塞ぐ長方形板状の正面壁部13と、周壁部12の背面側端部を塞ぐ長方形板状の背面壁部14と、を有している。正面壁部13は周壁部12と一体であり、背面壁部14は周壁部12に対し着脱可能である。ケース本体部11は、後述するロータ20を収容したときに高さ方向Zに対向する内面がロータ20の外周面に接しない程度に、ケース本体部11の内部空間の高さ方向Zの大きさがロータ20の直径Dより若干大きくなるように形成されている。
正面壁部13の中央部には、円形の正面シャフト挿通孔13aが形成されている。正面壁部13の内面には、正面シャフト挿通孔13aと同軸となるように前軸受16が固定して取り付けられている。同様に、背面壁部14の中央部には、円形の背面シャフト挿通孔14aが形成されている。背面壁部14の内面には、背面シャフト挿通孔14aと同軸となるように後軸受17が固定して取り付けられている。
ロータ20は、図3に示すように、ロータ軸21と、マグネット22と、N極ロータコア23と、S極ロータコア24と、を有している。
ロータ軸21は、例えば、金属や硬質の樹脂などを材料として全体的に円筒状に形成されており、図4に示すように、前方から後方に向けて大径部21a、軸本体部21bおよび小径部21cが同軸でかつ長さ方向Y(即ち、ロータ20の軸方向P)に順に連なって構成されている。
大径部21aは、外径が前軸受16の内径と同じに形成されており、その外周面の後方寄り端部に全周にわたって突出したフランジ21dが一体に設けられている。大径部21aの内部には、後述するナット部材25をその前方端部を露出した状態で収容する球形状のナット部材収容空間21eが形成されている。なお、本明細書において、球形状とは、正確な球形状に加えて、例えば、一部が平面で切り取られた略球形状も含むものとする。
軸本体部21bは、その外径が大径部21aの外径より小さい円筒状に形成されており、その前方側端部に大径部21aが同軸に連接されている。小径部21cは、その外径が軸本体部21bの外径より小さくかつ後軸受17の内径と同じ円筒状に形成されており、軸本体部21bの後方側端部に同軸に連接されている。軸本体部21bの内径と小径部21cの内径とは同一の大きさでかつ後述するねじシャフト40の外径より若干大きくされている。
ロータ軸21は、大径部21aがケース10の前軸受16に挿通されかつ小径部21cが後軸受17に挿通されて回転自在に軸支される。ロータ軸21は、後述するナット部材25をナット部材収容空間21eに収容できるように分割可能に形成されている。
マグネット22は、例えば、アルニコ磁石や希土類磁石などの永久磁石からなり、内径がロータ軸21の軸本体部21bの外径と同じ大きさとなる円筒状に形成されている。マグネット22は、正面側端部がN極となり、背面側端部がS極となるように着磁されている。マグネット22は、内側にロータ軸21の軸本体部21bが挿通され、軸本体部21bの中央部分に固定して取り付けられている。
N極ロータコア23は、薄い電磁鋼板を軸方向Pに積層して略円筒形状に形成されている。図5に示すように、N極ロータコア23の外周面には、軸方向Pに延在しかつ全周にわたって周方向Qに等ピッチ(本実施形態では7.2度)で並ぶコア小歯23aが形成されている。N極ロータコア23には、軸方向Pに貫通する貫通孔23bが設けられ、この貫通孔23bは、マグネット22の外径と同じ内径の大径部分23cと、ロータ軸21の軸本体部21bの外径と同じ内径の小径部分23dとを有している。大径部分23cにはマグネット22のN極である正面側端部が挿入固定され、小径部分23dにはマグネット22の正面側端面から突出した軸本体部21bが挿通固定される。これにより、N極ロータコア23はN極に帯磁される。
S極ロータコア24は、N極ロータコア23と同じく、薄い電磁鋼板を軸方向Pに積層して略円筒形状に形成されている。S極ロータコア24の外周面には、軸方向Pに延在し全周にわたって周方向Qに等ピッチ(本実施形態では7.2度)で並ぶコア小歯24aが形成されている。S極ロータコア24には、軸方向Pに貫通する貫通孔24bが設けられ、この貫通孔24bは、内径がマグネット22の外径と同じ大径部分24cと、内径がロータ軸21の軸本体部21bの外径と同じ小径部分24dとを有している。大径部分24cにはマグネット22のS極である背面側端部が挿入固定され、小径部分24dにはマグネット22の背面側端面から突出した軸本体部21bが挿通固定される。これにより、S極ロータコアはS極に帯磁される。
N極ロータコア23とS極ロータコア24とは、コア小歯23aとコア小歯24aとが周方向Qに半ピッチ(本実施形態では3.6度)ずれるようにして固定されている。N極ロータコア23およびS極ロータコア24の直径が、ロータ20の直径Dとなる。
ナット部材25は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂を材料として球形状に形成されている。ナット部材25は、図8に示すように、球形状の中心より後方寄りの箇所に、ナット部材25の軸心25aを中心とする回転方向全周にわたる溝25bが設けられている。ナット部材25は、ロータ軸21のナット部材収容空間21eに、当該ナット部材25の軸心25aとロータ20の軸心20aとが一致するように収容される。
ナット部材25における溝25bより後方寄りの部分は、回転受部26を構成し、ナット部材25における溝25bより前方寄りの部分は、揺動部27を構成する。回転受部26と揺動部27とは、溝25bの底に位置する接続部28によって接続されている。溝25bは、接続部28が弾性変形可能な程度に脆弱となるように形成されている。
ナット部材25には、軸心25a方向に貫通する貫通孔25cが設けられている。貫通孔25cは、当該貫通孔25cにおける回転受部26および接続部28に対応する箇所25dの径が、後述するねじシャフト40の外径より大きくなるように形成されている。また、貫通孔25cにおける揺動部27に対応する箇所25eには、ねじシャフト40が螺合される雌ねじ部29が形成されている。換言すると、揺動部27には雌ねじ部29が設けられている。
回転受部26は、後方を向く平面26bを有するとともにこの平面26bから後方に突出する2つのボス26a、26aを有している。2つのボス26a、26aは、これらに対応してロータ軸21に形成されたボス穴に嵌合される。これにより、回転受部26は、ロータ軸21に対して軸心20aを中心とする回転移動が規制されて、ロータ軸21とともに回転される。
揺動部27は、略半球形状に形成されている。揺動部27は、接続部28の変形により、雌ねじ部29の軸心29aが軸心25aと交差する方向に揺動可能である。揺動部27は、ナット部材収容空間21e内で揺動したとき、揺動部27の球面がナット部材収容空間21eを囲むロータ軸21の内面21f(図10、図11)に摺接される。
ステータ30は、図5に示すように、2つのステータコア31、31と、A相巻線35およびB相巻線36と、を有している。
2つのステータコア31、31のそれぞれは、薄い電磁鋼板を軸方向Pに積層して形成されており、ケース10内においてロータ20を間に挟んで幅方向X(即ち、ロータ20の軸方向Pに直交する方向)に互いに対向するように配置されている。2つのステータコア31、31は、それぞれがステータコア本体部32と、A相用ステータ歯33と、B相用ステータ歯34とを一体に有している。
ステータコア本体部32は、図4、図7に示すように、全長がケース本体部11の内部空間における長さ方向Yの長さより短くかつロータ20におけるN極ロータコア23の正面側端面からS極ロータコア24の背面側端面までの長さより長い柱状に形成されている。ステータコア本体部32の高さ方向Zの大きさは、図6に示すように、ケース本体部11の内側空間の高さ方向Zの大きさと同じになるように形成されている。ステータコア本体部32の外周面には、他方のステータコア本体部32を向く対向面32aと、ケース本体部11の内面に接する平面32b、32c、32dとが設けられている。対向面32aは、ロータ20の軸心20aを中心とする円弧に沿う凹曲面状に形成されている。対向面32aは平面であってもよい。
A相用ステータ歯33は、対向面32aからロータ20の外周面(即ち、マグネット22、N極ロータコア23およびS極ロータコア24の外周面)に向けて突出しかつ長さ方向Yにステータコア本体部32と同じ長さに延在して形成されている。A相用ステータ歯33は、図6に示すように、軸部33aと、軸部33aよりロータ20の周方向Qに幅広の先端部33bと、を有している。先端部33bには、軸方向Pに延在しかつ周方向Qに等ピッチ(本実施形態では7.5度)で並ぶ複数の突条のステータ小歯33cが形成されている。複数のステータ小歯33cは、ロータ20の外周面と間隔をあけて対向するように配置されている。
B相用ステータ歯34は、A相用ステータ歯33と同じく、対向面32aからロータ20の外周面に向けて突出しかつ長さ方向Yにステータコア本体部32と同じ長さに延在して形成されている。B相用ステータ歯34は、図6に示すように、軸部34aと、軸部34aよりロータ20の周方向Qに幅広の先端部34bと、を有している。先端部34bには、軸方向Pに延在しかつ周方向Qに等ピッチ(本実施形態では7.5度)で並ぶ複数の突条のステータ小歯34cが形成されている。複数のステータ小歯34cは、ロータ20の外周面と間隔をあけて対向するように配置されている。
A相用ステータ歯33とB相用ステータ歯34とは、ロータ20の軸心20aを中心として互いに45度開いた位置となるように、ロータ20の周方向Qに間隔をあけて配置されている。
また、A相用ステータ歯33の中央のステータ小歯33cが、N極ロータコア23のコア小歯23aと対向する位置にあるときに、B相用ステータ歯34の中央のステータ小歯33cが、N極ロータコア23のコア小歯23aと周方向Qにずれた位置(本実施形態では1.8度ずれた位置)となるように、A相用ステータ歯33とB相用ステータ歯34とが配置されている。なお、例えば、コア小歯23a、コア小歯24a、ステータ小歯33a、ステータ小歯34aの歯数やピッチ、A相用ステータ歯33とB相用ステータ歯34との個数および互いの中心を通る線がなす角度などについては、本発明の目的に反しない限り、任意である。
A相巻線35は、1本のエナメル被覆銅線が一方のステータコア31のA相用ステータ歯33の軸部33aおよび他方のステータコア31のA相用ステータ歯33の軸部33aに集中巻で巻き付けられて構成されている。
B相巻線36は、A相巻線35とは独立した他の1本のエナメル被覆銅線が一方のステータコア31のB相用ステータ歯34の軸部34aおよび他方のステータコア31のB相用ステータ歯34の軸部34aに集中巻で巻き付けられて構成されている。
ねじシャフト40は、例えば、ステンレスなどの金属を材料として断面円形の棒状に形成されている。ねじシャフト40は、図9に示すように、シャフト本体41と、シャフト本体41の前方端部に設けられたヘッド部45と、を一体に有している。
シャフト本体41は、外周面全体にわたって、ナット部材25の揺動部27に設けられた雌ねじ部29と螺合する雄ねじ部41aが形成されている。
ヘッド部45は、球形状に形成されており、後述する被接続体T(図10、図11)の内部に設けられた球形状のヘッド部収容空間Teに収容されることにより被接続体Tを揺動可能に接続する。ヘッド部45は、球形状に形成されており、球形状の中心より後方寄りの箇所に、軸心40aを中心とする周方向全周(即ち、ロータ20の軸心20aを中心とする回転方向)にわたるヘッド部溝45bが設けられている。
ヘッド部45におけるヘッド部溝45bより前方寄りの部分は、円板部46を構成し、ヘッド部45におけるヘッド部溝45bより後方寄りの部分は、半球部47を構成する。円板部46と半球部47とは、ヘッド部溝45bの底に位置する接続部48によって接続されている。ヘッド部溝45bは、接続部48が弾性変形可能な程度に脆弱となるように形成されている。
円板部46には被接続体Tが固定され、これにより、被接続体Tにおいてロータ20の軸心20aと平行な中心線Taを中心とする回転移動が規制されると、円板部46(即ち、ねじシャフト40)の回転移動も規制される。そのため、ナット部材25が回転されかつねじシャフト40の回転移動が規制されることにより、雌ねじ部29と雄ねじ部41aとのねじ機構によってねじシャフト40が前進または後退される。また、円板部46は、被接続体Tの揺動に応じて接続部48が変形して、半球部47に対して軸心40aに交差する方向に揺動する。半球部47は、被接続体Tが揺動したとき、半球部47の球面がヘッド部収容空間Teを囲む被接続体Tの内面Tfに摺接される。
次に、上述した直動アクチュエータの作用について、図10、図11を参照して説明する。図10は、被接続体がロータの軸心上に配置されている場合を説明する断面図であり、図11は、被接続体がロータの軸心からずれて配置されている場合を説明する断面図である。
図10に示すように、被接続体Tの中心線Taがロータ20の軸心20aと一致するように配置されている場合、被接続体Tがねじシャフト40に対して揺動することなく姿勢を維持したままヘッド部45に接続される。そして、ナット部材25の揺動部27が揺動することなくねじシャフト40が螺合される。そのため、ロータ20の軸心20a、ナット部材25の雌ねじ部29の軸心29aおよびねじシャフト40の軸心40aが一直線上に配置される。
一方、図11に示すように、被接続体Tの中心線Taがロータ20の軸心20aに対して図中下方にずれて配置されている場合、被接続体Tがねじシャフト40に対して相対的に揺動することで姿勢を維持したままヘッド部45に接続される。このとき、ねじシャフト40のヘッド部45が図中下方に移動してねじシャフト40がたわみ、ねじシャフト40の軸心40aがロータ20の軸心20aに対して交差する。ねじシャフト40がたわんでナット部材25の揺動部27に力が加わることにより当該揺動部27が揺動して、ナット部材25の雌ねじ部29の軸心29aとねじシャフト40の軸心40aとが一致する。
以上より、本実施形態によれば、ねじシャフト40の前方端部に設けられたヘッド部45に、被接続体Tを揺動可能に接続することができるので、被接続体Tがねじシャフト40の軸心40aからずれて配置されていても、被接続体Tの姿勢を維持したままヘッド部45に接続することができる。そして、被接続体Tがねじシャフト40の軸心40aからずれて配置されていることにより当該被接続体Tにねじシャフト40がたわんで取り付けられた場合、ねじシャフト40のたわみによりナット部材25の揺動部27に力が加わる。この力により揺動部27がロータ20の軸心20aと交差する方向に揺動されて、揺動部27が有する雌ねじ部29の軸心29aとねじシャフト40の軸心40aとが一致する。これにより、ナット部材25やねじシャフト40の劣化を抑制できる。
本実施形態では、ナット部材25が、球形状に形成されるとともに当該球形状の中心から後方にずれた位置に回転方向に延在する溝25bが設けられ、ナット部材25における溝25bより前方寄りの部分が、揺動部27を構成する。そして、揺動部27の球面が摺接される球形状の内面で囲われたナット部材収容空間21eが、ロータ20に設けられている。このようにすることで、ナット部材25における溝25bを設けた部分である接続部28が変形可能に脆弱となって、ナット部材25における溝25bより後方寄りの部分である回転受部26の姿勢を変化させることなく、揺動部27を揺動させることができる。ナット部材25が収容されるナット部材収容空間21eを囲む球形状の内面に揺動部27の球面が接することにより揺動部27が位置決めされて、揺動部27のぶれを抑制することができる。
本実施形態では、ナット部材25における溝25bより後方寄りの部分が、ロータ20に対して当該ロータ20の軸心20aを中心とする回転移動が規制された回転受部26を構成する。このようにすることで、回転受部26がその姿勢を変化させることなくロータ20と結合されて、ロータ20の回転がより確実に伝達される。
本実施形態では、ナット部材25が、ロータ20の前方端部に配置されている。このようにすることで、例えば、ナット部材25がロータ20の中央部や後方端部に配置された構成に比べて、ねじシャフト40を最大限前進させたときの当該ねじシャフト40におけるロータ20からの突出長さをより大きくすることができる。
本実施形態では、ナット部材25が、ロータ20の内部に配置され、ロータ20におけるナット部材25が配置された箇所を回転可能に軸支する前軸受16をさらに有している。このようにすることで、ナット部材25がロータ20を間に挟んで前軸受16と対向するので、ナット部材25に加わる力の多くがロータ20に吸収されることなく前軸受16に伝わる。そのため、ナット部材25に加わる力がロータ20に吸収されることを抑制し、例えば、ロータ20におけるナット部材25が配置されていない箇所を前軸受16で軸支する構成に比べて、ロータ20のたわみを抑制することができる。
本実施形態では、ヘッド部45が、球形状に形成されるとともに当該球形状の中心から前方にずれた位置にロータ20の回転方向に延在するヘッド部溝45bが設けられている。このようにすることで、ヘッド部45におけるヘッド部溝45bを設けた部分である接続部48が変形可能に脆弱となって、ヘッド部45におけるヘッド部溝45bより前方寄りの部分である円板部46を揺動可能とすることができる。そのため、円板部46に被接続体Tを固定した場合でも被接続体Tの揺動を可能として、被接続体Tの姿勢維持を阻害することを抑制できる。
したがって、本実施形態の直動アクチュエータは、ナット部材25とねじシャフト40とのねじ機構の劣化を抑制できる。
上述した実施形態では、ナット部材25が、ロータ軸21の内部に設けられた構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、ナット部材25が、ロータ軸21の前方端部に同軸に連接されて、ロータ軸21の外側に設けられていてもよい。また、ナット部材25の形状について、ロータ20の軸心20aと交差する方向に揺動可能な揺動部が設けられているものであれば、球形状以外の形状を採用してもよい。
上述した実施形態では、ナット部材25の溝25bおよびねじシャフト40のヘッド部45のヘッド部溝45bが、ロータ20の軸心20aを中心とする回転方向全周にわたって形成されている構成であったが、これに限定されるものではない。溝25bおよびヘッド部溝45bは、被接続体Tの位置ずれ方向に応じて揺動部27および円板部46が揺動可能なように、少なくとも上記回転方向に延在するものであればよい。
上述した実施形態では、ケース10が、幅方向Xの大きさより高さ方向Zの大きさが小さい直方体の中空箱状に形成されており、ケース10内においてロータ20を間に挟んで幅方向Xに互いに対向するように配置された2つのステータコア31、31を有するステータ30を備えた構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、幅方向Xの大きさと高さ方向Zの大きさとが同一の中空の直方体状に形成されたケース10Aを有するとともに、ケース10A内においてロータ20を内側に収容するように配置された1つのステータコア31Aを有するステータ30Aを備えた構成の直動アクチュエータ2としてもよい。
ステータコア31Aは、薄い電磁鋼板を軸方向P(図12の手前−奥方向)に積層して形成されており、四角筒状に形成されたステータコア本体部32Aと、ステータコア本体部32Aの内周面32A1に配置された4つのA相用ステータ歯33および4つのB相用ステータ歯34と、を有している。ステータコア本体部32Aは、軸方向Pに直交する断面形状が、その外周縁が正方形でかつ内周縁が円形となるように形成されている。4つのA相用ステータ歯33および4つのB相用ステータ歯34は、ステータコア本体部32Aの内周面32A1に周方向に交互に等間隔で配置されている。つまり、ロータ20は、4つのA相用ステータ歯33および4つのB相用ステータ歯34によって、周囲を囲まれている。このようにすることで、ロータ20に対して周方向全体からトルクを加えることができる。このようの直動アクチュエータにおけるロータおよびステータの構成については、本発明の目的に反しない限り、任意である。
上記に本発明の本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
1、2…直動アクチュエータ、10、10A…ケース、11…ケース本体部、12…周壁部、13…正面壁部、13a…正面シャフト挿通孔、14…背面壁部、14a…背面シャフト挿通孔、16…前軸受(軸受部)、17…後軸受、20…ロータ、20a…ロータの軸心、21…ロータ軸、21a…大径部、21b…軸本体部、21c…小径部、21d…フランジ、21e…ナット部材収容空間、21f…ロータ軸におけるナット部材収容空間を囲む内面、22…マグネット、23…N極ロータコア、23a…コア小歯、23b…貫通孔、23c…大径部分、23d…小径部分、24…S極ロータコア、24a…コア小歯、24b…貫通孔、24c…大径部分、24d…小径部分、25…ナット部材、25a…ナット部材の軸心、25b…ナット部材の溝、25c…貫通孔、25d…貫通孔の一部箇所、25e…貫通孔の他の一部箇所、26…回転受部、26a…ボス、26b…回転受部の平面、27…揺動部、28…接続部、29…雌ねじ部、29a…雌ねじ部の軸心、30、30A…ステータ、31、31A…ステータコア、32、32A…ステータコア本体部、32a…対向面、32A1…内周面、32b、32c、32d…平面、33…A相用ステータ歯、33a…軸部、33b…先端部、33c…ステータ小歯、34…B相用ステータ歯、34a…軸部、34b…先端部、34c…ステータ小歯、35…A相巻線、36…B相巻線、40…ねじシャフト、40a…ねじシャフトの軸心、41…シャフト本体、41a…雄ねじ部、45…ヘッド部、45b…ヘッド部溝、46…円板部、47…半球部、48…接続部、49…雌ねじ部、T…被接続体、Ta…中心線、Te…ヘッド部収容空間、Tf…被接続体におけるヘッド部収容空間を囲む内面、D…ロータの直径、L…ロータの軸方向長さ、P…ロータの軸方向、Q…ロータの周方向、X…幅方向、Y…長さ方向、Z…高さ方向。

Claims (5)

  1. ステータと、
    前記ステータとの磁気作用によって軸心を中心に回転される筒状のロータと、
    前記ロータの軸心と同軸に配置され、前記ロータの回転にともなって回転されるナット部材と、
    前記ナット部材に螺合され、当該ナット部材の回転により前進または後退されるねじシャフトと、を有し、
    前記ねじシャフトの前方端部に、被接続体を揺動可能に接続するヘッド部が設けられ、
    前記ナット部材が、前記ロータの前方端部に配置され、
    前記ナット部材に、前記ねじシャフトが螺合される雌ねじ部を有しかつ前記ロータの軸心と交差する方向に揺動可能な揺動部が設けられている
    ことを特徴とする直動アクチュエータ。
  2. 前記ナット部材が、球形状に形成されるとともに当該球形状の中心から後方にずれた位置に回転方向に延在する溝が設けられ、
    前記ナット部材における前記溝より前方寄りの部分が、前記揺動部を構成し、
    前記揺動部の球面が摺接される球形状の内面で囲われたナット部材収容空間が、前記ロータに設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の直動アクチュエータ。
  3. 前記ナット部材における前記溝より後方寄りの部分が、前記ロータに対して当該ロータの軸心を中心とする回転移動が規制された回転受部を構成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の直動アクチュエータ。
  4. 前記ナット部材が、前記ロータの内部に配置され、
    前記ロータにおける前記ナット部材が配置された箇所を回転可能に軸支する軸受部をさらに有している
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の直動アクチュエータ。
  5. 前記ヘッド部が、球形状に形成されるとともに当該球形状の中心から前方にずれた位置に前記ロータの回転方向に延在するヘッド部溝が設けられている
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の直動アクチュエータ。
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