JP6224641B2 - 防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法 - Google Patents

防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6224641B2
JP6224641B2 JP2015050185A JP2015050185A JP6224641B2 JP 6224641 B2 JP6224641 B2 JP 6224641B2 JP 2015050185 A JP2015050185 A JP 2015050185A JP 2015050185 A JP2015050185 A JP 2015050185A JP 6224641 B2 JP6224641 B2 JP 6224641B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel member
rust
coating
steel
steel structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015050185A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016169540A (ja
Inventor
秀和 水越
秀和 水越
晃生 白水
晃生 白水
純司 笹嶋
純司 笹嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konishi Co Ltd
Original Assignee
Konishi Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konishi Co Ltd filed Critical Konishi Co Ltd
Priority to JP2015050185A priority Critical patent/JP6224641B2/ja
Publication of JP2016169540A publication Critical patent/JP2016169540A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6224641B2 publication Critical patent/JP6224641B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、橋梁や高速道路といった鋼製の構造物(本願において「鋼構造物」という)に接着するのに適する防錆被膜付き鋼部材と、その鋼部材を接着固定する鋼構造物への鋼部材の取付け方法に関する。
橋梁や高速道路等の鋼構造物は、経年変化や風雨などによって損傷や腐食が生じる。損傷や腐食が生じた部分は、補修鋼部材を接着剤で接着することによって補修を行う。鋼構造物を補修する方法として、図6(a)(b)に示す方法が知られている。この補修方法で使用される補修鋼部材は、塗料や錆、黒皮等を除去するために補修鋼部材Aの取付け面Bにブラスト加工が施され、ブラスト加工を施した面(本願において「ブラスト面B」という)に、無機ジンクリッチペイントや長ばく形エッチングプライマー等の防錆用の塗料が塗布されて塗装膜Cが成膜されている。塗装膜を成膜するのは、鋼材の地肌が露出して錆び易くなったブラスト面の酸化を防止するためである。ブラスト面Bは化学的に活性で酸化が進行しやすい(錆易い)ため、防錆塗料の塗布はブラスト加工後ただちに(例えば、四時間以内)に行うことが推奨されている。補修鋼部材へのブラスト加工や防錆塗料の塗布作業は工事現場で行うこともできるが、ブラスト設備の準備やブラスト材(研削材)のショットやグリットの回収などに大変な手間がかかるため、通常は工場において行われている。
工場でブラスト加工され防錆塗料が塗装された補修鋼部材は、トラックなどで工事現場まで搬送される。工事現場では、塗装膜Cの上に接着剤Dが塗布され(図6(a))、接着剤Dが塗布された接着面を鋼構造物Xの補修箇所に接着する(図6(b))。鋼構造物の補修方法には図6(a)(b)の補修方法以外の方法もあり、一例として、鋼構造物の表面に接着剤層を介してモルタル層を形成する方法(特許文献1)が提案されている。
特開2014−218787号公報
前記図6(a)(b)に示す補修方法において、塗装膜Cに接着剤Dを塗布して接着を行う場合の接着強度は、接着剤Dの強度ではなく、塗装膜Cの強度で決まる。一般に、防錆塗料は接着剤と異なり接着強度を重視していないため接着剤に比べて接着強度が弱く、接着した補修鋼部材に力がかかったときに、塗装膜Cの部分が図6(c)のように裂けてしまうことがある。防錆塗料を塗装していないブラスト面に接着剤を塗布することができれば前述のような問題が生じることはなく、接着剤の強度を十分活用することができる。しかし、前述のとおり、ブラスト面は錆び易いため、工場で補修鋼部材をブラスト加工し、ブラスト面を露出したままで補修鋼部材を工事現場へ搬送すれば、接着までに例えば四時間以上もの時間が経過するとブラスト面が発錆し始める。ブラスト面の発錆は接着力を低下させる要因であるため好ましくない。
前記諸問題を解消するため、従来は、工場で、ブラスト面に防錆塗料を塗装し、その補修鋼部材を工事現場へ搬送し、塗装されたブラスト面に工事現場で接着剤を塗布してから鋼構造物に接着し、補修鋼部材をボルトによって鋼構造物に固定していた。しかし、ボルトによる固定を併用する場合、鋼構造物及び補修鋼部材へのボルト孔の穿孔作業やボルト締結作業といった工程が増え、手間と時間がかかるという難点がある。
本発明の解決課題は、ブラスト面の発錆を防止することができ、塗装膜を成膜せず、塗装膜の剥離による鋼部材の脱落がなく、鋼部材の固定に使用するボルトの本数を減らすか或いは全廃することができ、ボルト孔の穿孔作業やボルトの締結作業の負担を軽減或いは無くすこともできる、防錆被膜付き鋼部材とその鋼部材を接着する鋼構造物への鋼部材の取付け方法を提供することにある。
[防錆被膜付き鋼部材]
本発明の防錆被膜付き鋼部材は、鋼構造物の任意の鋼部材取付け箇所に接着固定する鋼部材において、鋼構造物に接着固定する鋼部材の取付け面をブラスト加工して錆や汚れを除去し、且つ凹凸に粗面化して地肌を露出させたブラスト面を、ブラスト面に錆が発生する前に、防錆被膜で被覆したものであり、防錆被膜は防錆被膜剤を前記凹凸の上面を覆う厚さに塗布して硬化させたものであり、防錆可能な厚さであり、面状(シート状)のまま剥離することができるものである。前記防錆被膜剤には液状ゴム系剥離被膜剤を使用することができる。前記鋼部材は補修用、修復用、補強用(補剛用)の鋼部材、或いは、ジャッキアップ時のジャッキ支持材、チェーンや他の係止具等を係止或いは連結するためのブラケット、橋梁付属物、例えば制震ストッパー、といった各種用途の鋼部材であり、各種形状、構造のものである。前記ブラスト加工、防錆被膜での被覆は、鋼構造物に接着する前にプレ加工する。プレ加工はブラスト設備の用意などの面から工場で行うのが便利であるが、可能であれば施工前に、予め、工事現場で行っておくこともできる。前記鋼部材取付け箇所は、例えば、鋼構造物の補修箇所や補強箇所、その他の任意の部材取付け箇所である。
前記防錆被膜は、防錆被膜剤をブラスト面の外周縁から外側まではみ出させて塗布し、はみ出し部を防錆被膜と共に硬化させて、防錆被膜と一体に連続する突出片を備えたものであってもよい。
前記防錆被膜は防錆被膜剤を二回以上に分けて重ね塗りして成膜され、ブラスト面に塗布された最下層の防錆被膜剤がその表面から内部まで硬化してから、その層の上に防錆被膜剤を重ね塗りして、先に塗布した下層の防錆被膜剤とその上の層の防錆被膜剤とが融着して一体化されたものである。
[鋼構造物への鋼部材の取付け方法]
本発明の鋼構造物への鋼部材の取付け方法は、鋼構造物の鋼部材取付け箇所に鋼部材を接着固定する鋼構造物への鋼部材の取付け方法において、鋼部材に前記防錆被膜付き鋼部材を使用し、鋼構造物の鋼部材取付け箇所を素地調整し、防錆被膜付き鋼部材の防錆被膜を剥離してブラスト面を露出させ、ブラスト面に錆が発生しないうちに(少なくとも、露出後、四時間以内に)、当該ブラスト面を接着剤で前記素地調整済みの鋼部材取付け箇所に接着固定するものである。この場合、防錆被膜を剥離して露出させたブラスト面を洗浄してから、そのブラスト面と素地調整した鋼構造物の鋼部材取付け箇所の双方又はいずれか一方に接着剤を塗布し、その接着剤で鋼構造物の鋼部材取付け箇所に鋼部材を接着固定することができる。
[防錆被膜付き鋼部材の効果]
本発明の防錆被膜付き鋼部材は、その構成に応じて次の効果を奏する。
(1)ブラスト加工後のブラスト面に錆が発生する前に、ブラスト面の凹凸を覆う厚さの防錆被膜で被覆されているため、粗面化され、地肌が露出しているブラスト面が防錆される。
(2)防錆被膜を剥離してブラスト面を露出させ、そのブラスト面に直に接着剤を塗布して鋼構造物に接着固定することができるため、ブラスト面に塗装した塗装膜の上に接着剤を塗布して接着する従来例のように、接着後に塗装膜が裂けることがない。
(3)鋼構造物の鋼部材取付け箇所に接着して、鋼構造物の鋼部材取付け箇所を補修するのに適する。この場合、ブラスト面が粗面化されているため、接着剤の食い付きがよく、接着強度が向上する。このため、ボルトで固定する必要がなく、ボルト孔を穿孔する必要も面倒もない。仮に、ボルト止めが必要であるとしても、ボルトの本数を低減しても接着を確保することができ、ボルト孔の穿孔数が少なくなるため、取付け面の強度劣化が少なく、工事時間の短縮を図ることもできる。
(4)防錆被膜を厚くした場合、剥離時に防錆被膜が千切れにくくなり、防錆被膜をシート状のまま剥離することができ、剥離が容易になる。防錆被膜を0.2mm程度の厚さにすると、特に、防錆被膜が千切れにくくなり、シート状のまま剥離できるので、剥離作業も容易になる。
(5)防錆被膜剤を複数回に分けて重ね塗りする場合、下の塗布層が硬化したことを確認しながら上の層を塗布することができるので、下の塗装層の硬化が不十分になって、剥離時に裂けたり、千切れたりしにくくなり、シート状で剥離し易い防錆被膜となる。
(6)防錆被膜が弾性を有する場合は、防錆被膜により、他の鋼部材の接触による傷付きも防止される。
(7)防錆被膜と一体に連続する突出片を備えた場合は、防錆被膜の周縁部が不用意に剥離しにくくなる。
[鋼構造物への鋼部材の取付け方法の効果]
本発明の鋼構造物への鋼部材の取付け方法は、その構成に応じて次の効果を奏する。
(1)防錆被膜を剥離したブラスト面に直に接着剤を塗布して、鋼構造物の鋼部材取付け箇所、例えば、補修箇所に固定すれば、鋼構造物と補修鋼部材との間に塗装膜が存在せず、塗装膜が裂けることによる補修鋼部材の脱落がない。
(2)ブラスト加工を工場で行う(プレ加工する)ため、工事現場へのブラスト設備の設置や、工事現場での使用済みブラスト材(例えばショットやグリット)の回収といった作業が不要であり、工事の迅速化、工期の短縮化を図ることができる。
(3)鋼部材をボルトで固定しなくても接着剤だけで十分な固定強度が得られるため、ボルトで固定する手間も、ボルト孔を穿孔する手間もかからない。仮に、ボルト止めが必要であるとしても、ボルトの本数を低減しても接着強度を確保することができ、ボルト孔の穿孔数が少なくなるため、取付け面の強度劣化が少なく、工事時間の短縮を図ることもできる。
(a)は本発明の防錆被膜付き鋼部材の一例を示す斜視図、(b)は本発明の防錆被膜付き鋼部材の他例を示す縦断面図。 本発明の防錆被膜付き鋼部材の一例を示すものであって、(a)はブラスト加工前の鋼部材の側面図、(b)はブラスト加工時の側面図、(c)はブラスト面に液状ゴム系剥離被膜剤からなる防錆被膜が設けられた鋼部材の側面図、(d)は(c)のブラスト面と防錆被膜部分の詳細説明図。 本発明の防錆被膜付き鋼部材の他例を示すものであって、(a)はブラスト面に第一の防錆被膜層を塗布した状態を示す説明図、(b)は第一の防錆被膜層の上に第二の防錆被膜層を塗布した状態を示す説明図、(c)は第二の防錆被膜層の上に第三の防錆被膜層を塗布した状態を示す説明図。 本発明の鋼構造物への鋼部材の取付け方法の一例を示すものであって、(a)は鋼構造物への取付け前の鋼部材の側面図、(b)は鋼部材から防錆被膜を剥離した状態を示す側面図、(c)はブラスト面に接着剤を塗布した状態を示す側面図、(d)は鋼構造物の補修箇所に鋼部材を接着した状態を示す側面図。 ブラケット、制震ストッパーと補剛材を取付けた橋梁構造の一例を示す説明図。 (a)(b)は従来の鋼構造物補修方法の説明図、(c)は従来の鋼構造物補修方法において塗装膜が裂けた場合の説明図。
[防錆被膜付き鋼部材の実施形態]
本発明の防錆被膜付き鋼部材は補修鋼部材に限らず各種用途の鋼部材にも応用できるが、補修鋼部材の場合を一例として図面を参照して説明する。図1(a)(b)の1は補修鋼部材であり、図4(a)〜(d)の鋼構造物7の鋼部材取付け箇所(補修箇所)8を被覆できる大きさである。補修鋼部材1は平板だけでもよいが、図1(a)に図示したものは、鋼構造物7の補修箇所8に取付ける平板状の取付け部1aと、その取付け部1aの背面から外向きに突設した突出部1bを備えている。取付け部1aの表面(本願において「取付け面」という)はブラスト加工されて、鋼材が凹凸に粗面化されて地肌が露出している。補修鋼部材1が平板だけの場合はその平板形状、サイズ、厚さ等、取付け部1aと突出部1bを備えたものの場合はその取付け部1aの形状、サイズ、厚さ等は、用途に合わせて設計することができ、平板の形状としては、例えば円板、その他の形状とすることができる。
ブラスト加工されたブラスト面3は防錆被膜2で被覆されている。防錆被膜2はブラスト面3に塗布された防錆被膜剤(シールピール)4が硬化したものであり、硬化後に、ブラスト面3から剥離可能であり、剥離時に千切れることなく面状(シート状)で剥離可能である。防錆被膜剤4は図2(d)に示すように、ブラスト面3の凹凸を覆う(被覆する)厚さに塗布する。ブラストにはショットブラスト工法、グリットブラスト工法、その他のブラスト工法を採用する事が出来る。
防錆被膜2は、ブラスト面3の酸化を防止でき、剥離時に千切れることなくシート状態で剥離できる程度の厚さと強度が適する。本件出願人の実験によれば、ブラスト面3の酸化を防止でき、剥離時に千切れることなくシート状態で剥離するという観点からは0.2mm程度の厚さが適する。この数値は一例であり、これに限定されるものではない。
防錆被膜剤4には液状ゴム系剥離被膜剤を使用することができ、液状ゴム系剥離被膜剤には、例えば、関東化学工業株式会社のシールピール#8500を用いることができる。液状ゴム系剥離被膜剤はこれ以外のものであってもよい。液状ゴム系剥離被膜剤は粘性があり、例えば、粘度の高い水飴状である。塗布後に溶剤が蒸発して弾性のある膜状に硬化する。
防錆被膜剤4を一度に0.2mm程度の厚さに塗布するのは難しく、仮に塗布できたとしても、厚すぎて、表面は硬化しても、内部は溶剤が蒸発しない半硬化状態になって、ブラスト面3に液状又は水飴状の防錆被膜剤4が残り、ブラスト面3からの剥離が不十分になるおそれがあるため、二回以上に分けて重ね塗りするのが望ましい。一回目の塗布厚を薄くして、防錆被膜剤4の表面(外周面)から内部まで硬化して、ブラスト面3に確実に付着するようにし、二回目以降の塗り厚(塗布厚)は一回目の塗布厚よりも厚くすることができる。
例えば、一回目に0.05mm程度の厚さに塗布し、二回目にそれよりも厚い0.1〜0.15mm程度の厚さに塗布するのが望ましい。二回目以降の塗布厚は一回目の塗布厚より薄くても厚くてもよいが、一回目よりも薄くすると必要厚に達するまでの塗布回数が増えるため、作業効率が悪い。ここでいう必要厚とは、ブラスト面3の酸化を防止でき、剥離時に千切れることなくシート状態で剥離できる程度の厚さである。一回の塗布厚が厚すぎると、防錆被膜剤4の表面だけが硬化して内部が半硬化状態となり、当該部分から裂け易くなることがある。ここで、半硬化状態とは塗布時よりは硬化しているが、内部が完全には硬化していない性状のことを意味する。全体の塗布厚を厚めにすると、防錆効果が高まり、千切れにくくなり、弾性も向上し、保護膜としての機能も向上する。
図1(b)に示すように、防錆被膜剤4はブラスト面3の外周縁6の外側まではみ出すように塗布し、はみ出した防錆被膜剤4をブラスト面3の防錆被膜剤4と共に硬化させて成膜させ、防錆被膜2と一体に連続する突出片5とすることもできる。突出片5はブラスト面3の外周縁の全周又は一部にだけ設けることもできる。ブラスト面3の裏面まで被せて成膜することもできる。突出片5があると防錆被膜2の外周部分が不用意に剥れにくくなる。ちなみに、防錆被膜2の外周部分が剥がれかかると、防錆被膜2とブラスト面3の間に隙間ができ、その隙間から水分が侵入して錆が発生し易くなる。突出片5を設けることにより錆の発生を予防できる。突出片5は防錆被膜2を剥離するときに、摘み片として利用することもでき、防錆被膜2を剥離し易くなる。
本発明の防錆被膜付き鋼部材は、例えば、図2に示す手順で製作することができる。
(1)図2(a)(b)に示すように、平板状の取付け部1aと、その背面に側面視T字状に突出する突出部1bを備えた鋼部材1を用意する。
(2)前記取付け部1aの取付け面1cをブラスト加工して、取付け面1cに付着している塗料や錆、黒皮等を除去し、取付け面1cを粗面化して鋼部材1の地肌が露出したブラスト面3とする。
(3)ブラスト面3に錆が発生する前(例えば、ブラスト加工後四時間以内)に、当該ブラスト面3に、防錆被膜剤4を塗布し、その防錆被膜剤4を硬化させてシート状の防錆被膜2を成膜する。防錆被膜2は剥離可能であり、指で押すと復元する程度の弾性がある。
前記ブラスト加工、防錆被膜での被覆は、鋼構造物に接着する前にプレ加工する。プレ加工はブラスト設備の用意などの面から工場で行うのが便利であるが、可能であれば工事現場で行うこともできる。前記鋼材取付け箇所は補修箇所以外の箇所であってもよい。前記防錆被膜剤4の塗布は、刷毛やローラ等による塗布の他、吹付け、その他の方法で行うことができる。
[鋼構造物への鋼部材の取付け方法]
本発明の鋼構造物への鋼部材の取付け方法は、鋼構造物の補修箇所以外へ鋼部材を取付けることもできるが、一例として、鋼構造物の補修箇所へ鋼部材を取付ける場合について、図4(a)〜(d)を参照して説明する。この鋼部材の取付け方法は、鋼構造物7の補修箇所8に前記防錆被膜付き鋼部材を接着固定するものであり、鋼構造物7の補修箇所8をケレン加工して錆や油脂、黒皮、塗料等を落とし、洗浄作業等により汚れを落とす等して素地調整し、防錆被膜付き鋼部材の防錆被膜を剥離してブラスト面3を露出させ、ブラスト面3に錆が発生しないうちに、当該ブラスト面3に接着剤9を付着させて前記素地調整面に接着固定する。この鋼部材の取付け方法では、防錆被膜付き鋼部材のブラスト面3に塗装膜を成膜してないため、ブラスト面3に直接、接着剤9を塗布して補修鋼部材1を鋼構造物7の補修箇所8に接着することができる。このため、鋼構造物7と接着剤9と補修鋼部材1の三者が密着固定されて一体化された構造となる。前記接着剤9は防錆被膜剥離後のブラスト面3と鋼構造物の補修箇所8との双方又は一方に塗布することができる。
前記接着剤9には、例えば、コニシ株式会社製のE258Rを用いることができる。この接着剤は一例であり、これ以外のものであってもよい。
前記鋼部材の取付け方法では、防錆被膜2を剥離した後、ブラスト面3にそのまま接着剤9を付着させているが、ブラスト面3に接着剤9を付着させる前に、当該ブラスト面3を洗浄することもできる。水分の付着による錆の発生を避ける観点から、洗浄液にシンナーを用いるか、ブラシや刷毛、圧縮空気などを用いるのが好ましい。
前記防錆被膜付き鋼部材を用いて鋼構造物7を補修するには、例えば、次のようにして行う。
(1)工場で製作された防錆被膜付き鋼部材を工事現場に運び、工事現場において、防錆被膜2を剥離してブラスト面3を露出させる。
(2)露出したブラスト面3に接着剤9を付着させ、その接着剤9でブラスト面3を鋼構造物7の補修箇所8に接着する。
本発明の防錆被膜付き鋼部材が補修用、修復用、補強用(補剛用)の鋼部材の場合は、各種鋼構造物の補修、修復、補強(補剛)に用いることができ、特に、腐食が深刻な問題となっている既設橋梁の主桁の補修、修復、補強に用いるのに好適であるが、本発明の防錆被膜付き鋼部材はそれらに限られない。ジャッキアップ時のジャッキ支持材、チェーンやフック等を係止或いは連結するためのブラケット10の取付け部1a(図5)、橋梁付属物、例えば制震ストッパー11の取付け部1a(図5)、その他の機能付加用の鋼部材であってもよく、また、図示した形状、構造、機能の鋼部材に限られるものではなく、用途に応じた各種形状、構造であってもよい。図5の12は上部工の側面に取付けた補剛材、13は下部工の側面に取付けた支持鋼である。
鋼構造物における前記鋼部材取付け箇所は、補修箇所や補強箇所に限らず、新たな機能を付加したい箇所とすることもできる。例えば、前記ジャッキ支持用の鋼部材を取付ける場合はジャッキアップ箇所に、前記ブラケット用の鋼部材を取付ける場合はチェーンや係止具等を係止或いは連結したい箇所とすることができる。
前記ブラスト加工、防錆被膜での被覆は、鋼構造物に接着する前にプレ加工する。プレ加工はブラスト設備の用意などの面から工場で行うのが便利であるが、可能であれば、長期間設営されている工事現場において、施工前に行って、ストックしておくこともできる。
1 鋼部材(補修鋼部材)
1a 取付け部
1b 突出部
1c 取付け面
2 防錆被膜
3 ブラスト面
4 防錆被膜剤
5 (防錆被膜剤の)突出片
6 外周縁
7 鋼構造物
8 (鋼構造物の)補修箇所(鋼部材取付け箇所)
9 接着剤
10 ブラケット
11 制震ストッパー(橋梁付属物)
12 補剛材
13 支持鋼
A 補修鋼部材
B 取付け面(ブラスト面)
C 塗装膜
D 接着剤
X 鋼構造物

Claims (6)

  1. 鋼構造物の鋼部材取付け箇所に接着固定する鋼部材において、
    鋼構造物に接着固定する鋼部材の取付け面をブラスト加工して錆や汚れを除去し、且つ凹凸に粗面化して地肌を露出させたブラスト面を、ブラスト面に錆が発生する前に、防錆被膜で被覆したものであり、防錆被膜は防錆被膜剤を前記凹凸の上面を覆う厚さに塗布して硬化させたものであり、防錆可能な厚さであり、シート状で剥離することができるものである、
    ことを特徴とする防錆被膜付き鋼部材。
  2. 請求項1記載の防錆被膜付き鋼部材において、
    防錆被膜剤が液状ゴム系剥離被膜剤である、
    ことを特徴とする防錆被膜付き鋼部材。
  3. 請求項1又は請求項2記載の防錆被膜付き鋼部材において、
    防錆被膜は、防錆被膜剤をブラスト面の外周縁の外側まではみ出させて塗布し、はみ出し部を防錆被膜と共に硬化させて、防錆被膜と一体に連続する突出片を備えたものである、
    ことを特徴とする防錆被膜付き鋼部材。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防錆被膜付き鋼部材において、
    防錆被膜は防錆被膜剤を二回以上に分けて重ね塗りして成膜され、ブラスト面に塗布された最下層の防錆被膜剤がその表面及び内部まで硬化してから、その上に防錆被膜剤が重ね塗りされて、先に塗布した下層の防錆被膜剤と後から塗布した上層の防錆被膜剤とが融着して一体化されたものである、
    ことを特徴とする防錆被膜付き鋼部材。
  5. 鋼構造物の鋼部材取付け箇所に鋼部材を接着固定する鋼構造物への鋼部材の取付け方法において、
    鋼部材が請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防錆被膜付き鋼部材であり、鋼構造物の鋼部材取付け箇所を素地調整し、防錆被膜付き鋼部材の防錆被膜を剥離してブラスト面を露出させ、ブラスト面に錆が発生しないうちに、当該ブラスト面を接着剤で前記素地調整済みの鋼部材取付け箇所に接着固定する、
    ことを特徴とする鋼構造物への鋼部材の取付け方法。
  6. 請求項5記載の鋼構造物への鋼部材の取付け方法において、
    防錆被膜を剥離して露出させたブラスト面を洗浄してから、そのブラスト面と素地調整した鋼構造物の鋼部材取付け箇所の双方又はいずれか一方に接着剤を塗布し、その接着剤で鋼構造物の鋼部材取付け箇所に鋼部材を接着固定する、
    ことを特徴とする鋼構造物への鋼部材の取付け方法。
JP2015050185A 2015-03-13 2015-03-13 防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法 Active JP6224641B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015050185A JP6224641B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015050185A JP6224641B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016169540A JP2016169540A (ja) 2016-09-23
JP6224641B2 true JP6224641B2 (ja) 2017-11-01

Family

ID=56983362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015050185A Active JP6224641B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6224641B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115350885A (zh) * 2022-08-25 2022-11-18 奇瑞汽车股份有限公司 汽车车身锈蚀穿孔修复工艺

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4913737Y1 (ja) * 1969-01-10 1974-04-04
JPS5743161U (ja) * 1980-08-26 1982-03-09
JP3121085B2 (ja) * 1991-12-18 2000-12-25 電気化学工業株式会社 易剥離性塗料組成物
JPH0754499A (ja) * 1993-08-11 1995-02-28 Daiwa House Ind Co Ltd 鉄骨建築物の床梁の振動障害防止方法
GB2420365B (en) * 2004-11-18 2009-11-11 Intelligent Engineering Method of reinforcing a bridge

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016169540A (ja) 2016-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5019976B2 (ja) 止水構造及び止水工法
JP6224641B2 (ja) 防錆被膜付き鋼部材と鋼構造物への鋼部材の取付け方法
US20060199017A1 (en) Method for temporary protection of blank surfaces against corrosion, and component with temporary corrosion protection
JP2012140796A (ja) 鋼管矢板の被覆防食方法
JP6943599B2 (ja) 防食構造及び防食方法
JP2004218352A (ja) コンクリート片の剥離剥落箇所の補修法
JP2966829B1 (ja) 配管防食支持構造
JP2005113472A (ja) 柱状体の保護カバー取付構造
GB2497165A (en) A mechanical movement joint system
JP6852315B2 (ja) コンクリート構造物の補修方法
JP2014080854A (ja) 地覆及びコンクリート高欄防水構造及びその施工方法
JP2004084411A (ja) コンクリート表面の補修構造およびコンクリート表面の補修方法
JPS6349317Y2 (ja)
JP2019085859A (ja) 鋼管鉄塔の圧入突合せ型フランジ継手の防錆方法
JP2010116976A (ja) ボルト防錆方法及び該方法に用いるボルト用防錆キャップ
JP2021006675A (ja) 鋼材の防錆防食方法、防錆防食処理鋼材、鋼材の保護補修方法及び粘着シート
JP7308486B2 (ja) ジョイント装置の止水機能回復方法
KR102351827B1 (ko) 밀봉 구조 및 밀봉 공법
JP4191070B2 (ja) コンクリート基礎ブロックの補修方法
JPH0262641B2 (ja)
JP6043121B2 (ja) 道路橋伸縮装置用止水材の施工方法および道路橋伸縮装置
JP2022110384A (ja) 鋼桁上フランジの防錆方法
JP2778158B2 (ja) 防錆座面シート
KR200348579Y1 (ko) 선체블록작업용 가설물의 고정볼트 보호커버
JP2022180693A (ja) 重防食鋼材の補修方法および重防食補修鋼材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170921

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170926

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6224641

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250