JP6220957B1 - ダイヤモンド電極、ダイヤモンド電極の製造方法及び電解水生成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなオゾン水の製法として、陽イオン交換膜の一方の面に陽極電極を圧接させ、他方の面に陰極電極を圧接してなる触媒電極の電解面に原料水を直接接触させて、水の電気分解によりオゾン水を生成させる直接電解法を利用したものが知られている。
直接電解法で使用する触媒電極は、白金、金、白金被覆チタン等を材料とすることが一般的である。しかしながら、上述のような材料を使用した場合、原料水の電気分解に伴って、電極が消耗・溶出するという現象が生じる。その結果、溶出した金属イオンが陽イオン交換膜に付着して反応を阻害してしまうため、オゾン水の生成効率が低下するという問題がある。
また、原料水として食塩水を使用していたが、オゾン発生に伴い不純物が生じることから、純水又は精製水を使用することが好ましいとされている。しかしながら、純水又は精製水のような導電率の低い水を使用する場合、上述の白金等からなる触媒電極では電解電流が流れにくく、オゾンの発生が微量であった。
そこで、マイクロ波プラズマCVD法によって形成した自立体型導電性ダイヤモンド板を陽極として使用したり(例えば、特許文献1参照)、チタン等の電極用基板上にCVD法によってダイヤモンド薄膜を形成した陽極や陰極を使用することが知られている。
しかしながら、このような多孔状や網目状の薄い電極用基板上にCVD法等の蒸着によってダイヤモンドを成膜した場合、多数の孔や網目が電極用基板の両面を貫通しているので、電極用基板の表面側から蒸着により成膜したダイヤモンド膜は、多数の孔や網目部分で保持されにくく、電極用基板の裏面側に抜けて剥離しやすかった。また、多数の孔や網目部分でダイヤモンド膜が剥離することに伴い、その他の箇所も一緒に引っ張られて剥離してしまうことがあった。
さらに、多数の孔や網目のピッチ間隔も広く、孔や網目を形成する壁面に成膜されたダイヤモンド膜が剥離し易かった。
なお、上記自立体型導電性ダイヤモンド板の場合には、ダイヤモンド膜の剥離は問題とはならない。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記電極用基板の前記ダイヤモンドが蒸着される面に、全面にわたり多数の線状の溝部が形成されており、
前記溝部が形成された前記電極用基板に、当該電極用基板の両面を貫通するとともに、前記溝部の幅を跨いで貫通する穴部が複数形成され、
前記溝部の幅が、前記穴部の径よりも小さく、かつ、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部、若しくは、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向に沿って、螺旋状の溝部が形成され、
さらに、前記電極用基板の外周面に、当該外周面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部が形成されていることを特徴とするダイヤモンド電極。
前記電極用基板の前記ダイヤモンドを蒸着する面に、全面にわたり多数の線状の溝部を形成し、
前記溝部を形成した前記電極用基板に、当該電極用基板の両面を貫通するとともに、前記溝部の幅を跨いで貫通する穴部を複数形成し、
前記溝部の幅を、前記穴部の径よりも小さくし、かつ、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部、若しくは、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向に沿って、螺旋状の溝部を形成し、
さらに、前記電極用基板の外周面に、当該外周面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部を形成することを特徴とするダイヤモンド電極の製造方法。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
電極用基板のダイヤモンドが蒸着される面に、全面にわたり多数の線状の溝部が形成されており、電極用基板の両面を貫通するとともに、溝部の幅を跨いで貫通する穴部が複数形成され、溝部の幅が穴部の径よりも小さいので、多数の線状の溝部がダイヤモンド膜で埋め込まれてダイヤモンド膜の剥離を防止することができる。
すなわち、例えば、図2に示すように、溝部203を形成する互いに対向する壁面203a,203a間が全てダイヤモンド膜Dで埋められるため、ダイヤモンド膜Dが確実に保持されて剥離を防止することができる。一方、図11(a)に示すように、電極用基板301に、本発明の線状の溝部203よりも幅の広い溝部302(例えば、2mm以上の溝部)を形成した場合には、溝部302を形成する互いに対向する壁面302a,302a間が全てダイヤモンド膜Dで埋められない(互いに対向する一方の壁面302aに成膜されたダイヤモンド膜Dと、他方の壁面302aに成膜されたダイヤモンド膜Dとの間に空間Kが生じる)ことから、ダイヤモンド膜Dが剥離しやすい。また、図11(b)に示すような、電極用基板303の両面を貫通する孔304を形成した場合においても、孔304を形成する互いに対向する壁面304a,304a間が全てダイヤモンド膜Dで埋められないため、ダイヤモンド膜Dが剥離しやすい。また、ダイヤモンド膜Dが剥離した箇所から引っ張られて、他の箇所のダイヤモンド膜Dも剥離してしまう。
以上のように、本発明では、電極用基板のダイヤモンドが蒸着される面に、全面にわたって、従来よりも幅の狭い多数の線状の溝部を形成することで、線状の溝部内が全てダイヤモンド膜で埋められることから、ダイヤモンド膜の剥離を防止することができる。
また、言い換えると、溝部を形成せずに、電極用基板の表面に直接、ダイヤモンド膜を成膜する場合は、1つの大きな面積の電極用基板で、当該面積と同等の大きな面積を有するダイヤモンド膜を保持することになるため、ダイヤモンド膜の端から剥がれやすくなるが、本発明のように多数の線状の溝部を形成して、電極用基板を多数の小さな区画に分けることで、小さな面積の各区画で、当該面積と同等の小さな面積のダイヤモンド膜がそれぞれ保持されることになるので、ダイヤモンド膜が剥がれにくくなる。この点からも、ダイヤモンド膜の剥離を防止することができると言える。
本発明の実施態様としては、前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部が形成されていること、また、前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向に沿って、螺旋状の溝部が形成されていることが好ましい。これにより、穴部を形成する壁面に成膜されたダイヤモンド膜が剥離するのを防止することができる。また、穴部を形成する壁面に溝部を形成することにより、表面積が増えることから、オゾン発生用の電極として使用した場合に、原料水の電極への接触面積が増えて、オゾン水生成効率が上がる。また、オゾン水以外の電解水生成用の電極として使用した場合にも、電解水の生成効率が上がる。
すなわち、電極用基板の外周面に溝部を形成しない場合には、当該外周面に成膜されたダイヤモンド膜が剥離し易く、この剥離に伴って、電極用基板の表面に成膜されたダイヤモンド膜も引っ張られて一緒に剥離するという問題があったが、電極用基板の外周面に溝部を形成することで、当該外周面に成膜されたダイヤモンド膜の剥離防止だけでなく、電極用基板の表面に成膜されたダイヤモンド膜の剥離防止にもつながる。また、電極用基板の外周面に成膜されたダイヤモンド膜が剥離した場合、この剥離部分の電極用基板の外周面を切断する作業を行っていたが、あらかじめ電極用基板の外周面に溝部を形成しておくことで、このような剥離部分における電極用基板の切断作業を省略することができる。
また、前記電極用基板の前記ダイヤモンドが蒸着される面に形成された、互いに隣接する前記溝部のピッチ間隔が、0.02〜50mmの範囲内であることも、ダイヤモンド膜の剥離防止の点で好ましい。
本発明のダイヤモンド電極は、電解水生成装置に好適に用いられる。
図1(a)は、本発明のダイヤモンド電極の平面図、図1(b)は、図1(a)のX−X線における矢視断面図、図1(c)は、図1(a)のY−Y線における矢視断面図である。
本発明のダイヤモンド電極200は、電極用基板201の少なくとも一方の面に、ホウ素をドープしたダイヤモンドを蒸着により形成してなるダイヤモンド電極である。
電極用基板201は、平面視正方形状であってもよいし、平面視長方形状であってもよいし、平面視円形状であってもよいが、加工面で平面視正方形状又は平面視長方形状が好ましい。
平面視長方形状の場合、電極用基板201の長手方向の長さが、15〜500mmの範囲内であり、短手方向の長さが、10〜350mmの範囲内であることが好ましい。
平面視正方形状の場合は、一辺の長さが、10〜500mmの範囲内であることが好ましい。
平面視円形状の場合は、直径が、φ10〜φ500mmの範囲内であることが好ましい。
また、電極用基板201の厚さは、0.5〜2.0mmの範囲内であることが好ましい。
また、全面にわたり多数の線状の溝部203が形成された電極用基板201に、当該電極用基板201の両面を貫通するとともに、溝部203の幅mを跨いで貫通する穴部202が複数形成されている。そして、本発明では、溝部203の幅mが、穴部202の径(直径)Mよりも小さいことを特徴とする。
溝部203の断面形状は、図1(b)及び図2に示すように、三角形状をなしている。溝部203の断面形状は、三角形状の他、図3(a)〜(c)に示すような、四角形状、半円形状、又は、U字形状であってもよいが、加工面で三角形状が好ましい。
なお、図3(a)〜(c)のいずれの断面形状においても、溝部203を形成する互いに対向する壁面203a,203a間が、全てダイヤモンドで埋められるので、ダイヤモンド膜Dの剥離が防止される。
なお、図面の関係上、ダイヤモンド膜Dは、図2及び図3のみに図示している。
さらに、図5に示すように、電極用基板201の縦方向及び横方向に沿ってそれぞれ延びる溝部203を形成し、格子状としてもよい。この場合においても、図1の場合よりダイヤモンド剥離防止の点で好ましい。
また、図6に示すように、溝部203の幅m及び溝部203のピッチ間隔P1を、図5の場合よりも小さくしてもよい。この場合、図5の場合よりもダイヤモンド膜Dの剥離防止が良好となる。
また、横方向又は縦方向に互いに隣接する溝部203のピッチ間隔P1が、0.02〜50mmの範囲内であることが、ダイヤモンド膜Dの剥離防止の点で好ましい。
このような複数の穴部202は、オゾン発生用の電極として使用した場合、穴部202を介して、原料水が陽イオン交換膜に接触するようになっており、発生したオゾン気泡や、水素イオン、水等が移動する流路となる。また、穴部202の形成により、ダイヤモンド電極200の表面積が増えて、原料水のダイヤモンド電極200への接触面積が増えることからオゾン発生効率が上がる。
また、このような複数の穴部202により、後述する陽イオン交換膜を全面的に覆い隠すように密着しない形状のもとなる。これによって、陽イオン交換膜に陽極電極(本発明のダイヤモンド電極200)を圧接した際に、陽イオン交換膜に陽極電極が接触する部分と接触しない部分とが生じることによって、原料水が流れた際に渦流を生じ、陽極電極で発生したオゾンの微泡を巻き込んで溶解を早めることができる。
また、穴部202のピッチ間隔P2は、0.5〜20mmの範囲内であることが、電極用基板201の強度面で好ましい。
すなわち、図7(a)に示すように、電極用基板201の穴部202を形成する壁面202aに、電極用基板201の厚さ方向に沿って、多数の線状の溝部204が形成されている。また、図7(b)の場合には、電極用基板201の穴部202を形成する壁面202aに、当該壁面202aの周方向に沿って、多数の線状の溝部204が形成されている。多数の線状の溝部204は、電極用基板201の厚さ方向において等間隔に平行となるように形成されている。
また、図示しないが、電極用基板201の厚さ方向と、壁面202aの周方向との両方向に沿ってそれぞれ多数の溝部204が形成されていてもよい。
さらに、図7(c)に示すように、電極用基板201の穴部202を形成する壁面202aに、当該壁面202aの周方向に沿って、螺旋状の溝部204が形成されていてもよい。螺旋状にすることで、加工性がよくなりコストダウンができる。
すなわち、図8(a)に示すように、電極用基板201の外周面(4つの側面)201aに、電極用基板201の厚さ方向に沿って、溝部205が多数形成されている。また、図8(b)の場合には、電極用基板201の外周面201aに、当該外周面201aの周方向に沿って、溝部205が多数形成されている。また、図示しないが、電極用基板201の厚さ方向と、外周面201aの周方向との両方向に沿ってそれぞれ多数の溝部205が形成されていてもよい。
さらに、電極用基板201の外周面201aに形成された溝部205の幅は、0.01〜1.0mmの範囲内であることが、ダイヤモンド膜Dの剥離防止の点で好ましい。また、互いに隣接する溝部205のピッチ間隔P4は、0.01〜3.0mmの範囲内であることが、ダイヤモンド膜Dの剥離防止の点で好ましい。
また、この側断面視台形状の穴部202とした場合にも、上記と同様に、穴部202を形成する壁面202aに多数の溝部(図示しない)を形成することが、ダイヤモンド膜Dの剥離防止の点で好ましい。
ホウ素のドープ量を0.1〜8.0%の範囲内としたのは、ドープ量を0.1%未満とした場合、導電率が小さくなり、例えば、オゾン等の発生が低下してしまうためであり、ドープ量を8.0%より多くすることは理論的に困難なためである。ホウ素のドープ量を0.1〜8.0%の範囲内とすることによって、導電率が大きくなり、電流効率が向上することからオゾン発生に有利となる。
本発明のダイヤモンド電極200の製造方法は、前記電極用基板201の前記ダイヤモンドを蒸着する面に、全面にわたり多数の線状の溝部203を形成し、前記溝部203を形成した前記電極用基板201に、当該電極用基板201の両面を貫通するとともに、前記溝部203の幅mを跨いで貫通する穴部202を複数形成し、前記溝部203の幅mを、前記穴部202の径Mよりも小さくすることを特徴とする。
また、溝部203を形成した電極用基板201に複数の穴部202を形成する方法としては、例えば、レーザー加工機を用いて形成することができる。
プラズマCVD法の場合、具体的には、チャンバー内に電極用基板201を配置し、チャンバー内に予め水素ガスを導入して、水素ガスによりプラズマを発生させておく。次いで、炭素源としてアセトン又はメタンガス等、ホウ素源としてトリメトキシボラン又はトリメチルボロン等を、キャリアガスである水素、窒素、Ar等によりバブリングを行って気化して原料ガスとし、この原料ガスを、上記プラズマ発生のための水素ガスとは別ラインからチャンバー内に導入する。このようにしてチャンバー内に配置した電極用基板201上に、ホウ素をドープしたダイヤモンドを成膜する。なお、チャンバー内の温度は、1000〜1500℃の範囲内が好ましい。
また、ホウ素を高濃度にドープする際は、上記液体原料をキャリアガスのバブリングにより気化して原料ガスとした上で、チャンバー内に導入するが、その際の原料ガスのチャンバー内への導入流量を例えばニードルバルブにより絞ることによって制御する。
具体的に、ドープ量を0.1〜8.0%の範囲とするための条件としては、プラズマ出力2500〜5000W、チャンバー内圧力110〜130Trr、炭素源圧力2000〜3500Pa、成膜時間を8時間程度とすることが好ましい。なお、ここで言う炭素源圧力とは、上述の気化した原料ガス(アセトン+トリメトキシボランをキャリアガスによりバブリングして気化した炭素源(ホウ素源))が、バルブにより制御されてチャンバー内へ導入される前の圧力を言う。すなわち、バルブを通る前の気化した炭素源(ホウ素源)の圧力である。
以下では、オゾン水生成装置に本発明のダイヤモンド電極200を適用した場合について説明する。
オゾン水生成装置100は、上述した本発明のダイヤモンド電極200を備える。
図10は、オゾン水生成装置の概略を模式的に示した側断面図である。
オゾン水生成装置100は、原料水が供給されるケーシング1内に触媒電極2を配置して構成したものである。
触媒電極2は、陽イオン交換膜21と、陽イオン交換膜21の一方の面に圧接された陽極電極22と、他方の面に圧接された陰極電極23と、を備えている。そして、触媒電極2の陽極電極22と陰極電極23間に直流電圧を印加することによって陽極電極22側にオゾン気泡を発生させて、そのオゾン気泡を原料水に溶解させることによりオゾン水を生成する装置であり、本発明は、直接電解式のオゾン水生成装置である。
第1筐体13及び第2筐体14は、板状をなし、互いに対向する対向面に凹部131,141が形成されている。これら第1筐体13及び第2筐体14の凹部131,141同士を互いに対向させることによって、収容室3が形成されている。収容室3には、触媒電極2が収容されている。
第1筐体13及び第2筐体14の下面には、収容室3内に原料水を供給するための供給流路11a,11bが形成され、第1筐体13及び第2筐体14の上面に収容室3内で生成された陽極電極22側のオゾン水及び陰極電極23側の水素水(陰極水)を排出するための排出流路12a,12bが形成されている。
第1筐体13と第2筐体14の対向面間には、陽イオン交換膜21が狭持されている。すなわち、陽イオン交換膜21の外周が第1筐体13及び第2筐体14によって狭持されて固定されている。
陽イオン交換膜21の第1筐体13側の面には、陽極電極22が設けられ、第2筐体14側の面には陰極電極23が設けられている。さらに、陽極電極22の陽イオン交換膜21と反対側の面には、保持板15が配置され、陰極電極23の陽イオン交換膜21と反対側の面にも、保持板16が配置されている。保持板15は、第1筐体13の内壁面に嵌め込まれ、保持板16は、第2筐体14の内壁面に嵌め込まれている。
そして、第1筐体13に嵌め込まれた保持板15と、第2筐体14に嵌め込まれた保持板16によって、陽極電極22、陰極電極23及び陽イオン交換膜21が適度に圧接されている。
このようにして陽イオン交換膜21によって収容室3内が、陽極電極22側と陰極電極23側とに分割されている。また、原料水、オゾン水並びに水素水(陰極水)などが、第1筐体13及び第2筐体14の対向面間から外部に漏れないように密閉されている。
陽イオン交換膜21としては、従来公知のものを使用することができ、発生するオゾンに耐久性の強いフッ素系陽イオン交換膜を使用することができ、例えば厚さ100〜300μmの範囲内が好ましい。
陰極電極23も、上述した本発明のダイヤモンド電極200を使用することが好ましい。なお、陰極電極23は、上記本発明のダイヤモンド電極以外に、安定性が良い点で、チタン、タングステン、白金、金又はその被覆金属を使用することもでき、特にチタンに白金を被覆した金属を使用すると製造コストを安価に抑えることができる。
また、陽極電極22と陰極電極23との間には、電源装置80の出力端が電気的に連結され、直流電圧が印加されるように構成されている。すなわち、陽極電極22及び陰極電極23は、各電極22,23に導線24を介して電源装置80に連結されている。印加する直流電圧は、例えば6〜15ボルトの範囲内が好ましい。
原料水供給部60としては、原料水が貯留されたタンク及びタンクに接続された低吐出圧の小型ポンプ等からなるものが挙げられる。原料水としては、純水を使用する。本発明で言う純水とは、導電率が0.5〜5μS/cmの範囲内のものを言う。
なお、上述のように陽極電極22側の供給流路11aと排出流路12aとを配管で接続してループ状にした場合は、排出流路12aの下流側直ぐの位置に限らず、原料水供給部60の上流側直ぐの位置に設けても良く、ループ状の配管のいずれに設けても良く、また、複数個所に設けても良い。
電流計は、オゾン水生成装置100の制御部70に電気的に接続されており、電流計で測定された出力値が制御部70に出力されるようになっている。
検出電極としては、例えば白金や金等からなる電極を使用し、比較電極としては銀や塩化銀を使用することが好ましい。
このような検出電極及び比較電極は、陽極電極22の排出流路12aを流れるオゾン水に接触するようになっている。そして、検出電極及び比較電極がオゾン水に接触することで、検出電極のオゾン濃度変化による電流値を検出して濃度を測定する。
まず、陽極電極22及び陰極電極23側の供給流路11a,11bから原料水(純水)をケーシング1内に供給する。そして、これら原料水を、陽極電極22及び陰極電極23の各面に連続接触させる。
同時に、電源装置80を駆動させることによって、陽極電極22及び陰極電極23間に所定の電圧を印加する。この通電により原料水が電気分解されて、原料水中の水素が陽極電極22側から陽イオン交換膜21中を通過して陰極電極23側へと加速して移動する。その結果、陽極電極22側にはオゾン気泡が発生し、陰極電極23側には水素気泡が発生する。
このようにしてオゾン水が生成されると、オゾン水は排出流路12aへと排出される。 一方、陰極電極23側においては、水素気泡が発生し、排出流路12bから水素水(陰極水)として排出される。
(1)強酸性電解水:pH2.2〜2.7、二室型で生成極は陽極、被電解液が0.2%未満の食塩水
(2)アルカリ性電解水:pH11〜11.5、二室型で生成極は陰極、被電解液が0.2%未満の食塩水
(3)弱酸性電解水:pH2.7〜5、二室型、被電解液が0.1%未満の食塩水
(4)微酸性電解水:pH5〜6.5、一室型、被電解液が2〜6%の希塩酸または塩酸/食塩水
(5)電解次亜水:pH7.5より大きい、一室型、被電解液が0.1%未満の食塩水
(6)アルカリイオン水:pH8〜10、二室型で生成極は陰極、被電解液が水道水
したがって、上記の各電解水を生成する装置に、本発明のダイヤモンド電極200を使用する場合には、基本的に上述したオゾン水生成装置100において使用した原料水の代わりに上記の各被電解液を用い、一室型の場合にはイオン交換膜を設けない構成で、二室型の場合には上述したオゾン水生成装置100と同様の構成とすればよい。
なお、特にダイヤモンド電極200としては、電極用基板201の両面にホウ素をドープしたダイヤモンドを成膜したものであることが好ましい。
また、電解水生成装置の一例として、水素水を生成する装置は、上述したオゾン水生成装置100と同様のものが挙げられる。すなわち、上記オゾン水生成装置100における陰極側から水素水が生成される。
21 陽イオン交換膜
22 陽極電極
23 陰極電極
100 オゾン水生成装置
200 ダイヤモンド電極
201 電極用基板
201a 電極用基板の外周面
202 穴部
202a 穴部を形成する壁面
203 溝部
203a 溝部を形成する壁面
204 溝部
205 溝部
D ダイヤモンド膜
m 溝部の幅
M 穴部の径
P1 電極用基板のダイヤモンドが蒸着される面に形成された溝部のピッチ間隔
P2 穴部のピッチ間隔
P3 穴部を形成する壁面に形成された溝部のピッチ間隔
P4 電極用基板の外周面に形成された溝部のピッチ間隔
Claims (5)
- 電極用基板の少なくとも一方の面に、ホウ素をドープしたダイヤモンドを蒸着により形成してなるダイヤモンド電極であって、
前記電極用基板の前記ダイヤモンドが蒸着される面に、全面にわたり多数の線状の溝部が形成されており、
前記溝部が形成された前記電極用基板に、当該電極用基板の両面を貫通するとともに、前記溝部の幅を跨いで貫通する穴部が複数形成され、
前記溝部の幅が、前記穴部の径よりも小さく、かつ、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部、若しくは、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向に沿って、螺旋状の溝部が形成され、
さらに、前記電極用基板の外周面に、当該外周面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部が形成されていることを特徴とするダイヤモンド電極。 - 前記電極用基板の前記ダイヤモンドが蒸着される面に形成された前記溝部の幅が、0.01mm〜1.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド電極。
- 前記電極用基板の前記ダイヤモンドが蒸着される面に形成された、互いに隣接する前記溝部のピッチ間隔が、0.02〜50mmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイヤモンド電極。
- 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電極の製造方法であって、
前記電極用基板の前記ダイヤモンドを蒸着する面に、全面にわたり多数の線状の溝部を形成し、
前記溝部を形成した前記電極用基板に、当該電極用基板の両面を貫通するとともに、前記溝部の幅を跨いで貫通する穴部を複数形成し、
前記溝部の幅を、前記穴部の径よりも小さくし、かつ、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部、若しくは、
前記電極用基板の前記穴部を形成する壁面に、当該壁面の周方向に沿って、螺旋状の溝部を形成し、
さらに、前記電極用基板の外周面に、当該外周面の周方向又は前記電極用基板の厚さ方向のうち少なくともいずれか一方に沿って、多数の線状の溝部を形成することを特徴とするダイヤモンド電極の製造方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電極を備えたことを特徴とする電解水生成装置。
Priority Applications (1)
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