特許文献1および2に記載された浴室用折り畳み椅子では、不使用時には折り畳むことによって前後幅を小さくすることができ、コンパクトになる。しかし、浴室は狭いため、折り畳んだときの前後幅を従来以上に小さくできれば更に好ましい。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、横移乗が容易であり、折り畳んだときの前後幅が小さな浴室用折り畳み椅子を提供することである。
本発明に係る浴室用折り畳み椅子は、前斜め下向きに延びる下部と、前記下部から後斜め上向きに延びる中途部と、前記中途部から後斜め上向きに延びる上部と、を有する左右一対の第1フレームと、後斜め下向きに延びる下部と、前記下部から前斜め上向きに延びる上部と、を有する左右一対の第2フレームと、前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方に支持される座部と、前記座部よりも下方において、前記第1フレームの中途部と前記第2フレームの上部とを相対回転自在に連結する水平な第1連結軸と、を備え、前記第1フレームの下部と前記第2フレームの下部とが接近するように前記第1フレームおよび前記第2フレームを相対回転させることによって折り畳まれ、前記第1フレームの下部と前記第2フレームの下部とが離反するように前記第1フレームおよび前記第2フレームを相対回転させることによって開脚される浴室用折り畳み椅子である。開脚した状態のときに側方から見て、前記第1フレームの中途部は水平線から傾いている。開脚した状態のときに側方から見て、前記第1フレームの中途部の水平線からの傾斜角度は、前記第1フレームの下部の水平線からの傾斜角度よりも小さく、かつ、前記第1フレームの上部の水平線からの傾斜角度よりも小さい。
本発明の一態様では、上記浴室用折り畳み椅子は、左の第1フレームの上部と右の第1フレームの上部とに架け渡された横フレームと、前記横フレームに設けられた背もたれと、を備え、前記座部および前記背もたれは、折り畳み動作の際に前記座部の後端部が前記背もたれの下端部の下方を後方から前方に通過し、折り畳まれた状態のときに前記座部の座面および前記背もたれの背もたれ面が前方を向くように構成されている。
上記浴室用折り畳み椅子によれば、開脚した状態のときに側方から見て、第1フレームの中途部は水平線から傾いている。そのため、第1フレームの中途部が水平に延びる従来の浴室用折り畳み椅子に比べて、折り畳んだときの前後幅を小さくすることができる。また、上記浴室用折り畳み椅子によれば、第1フレームの中途部と第2フレームの上部とを相対回転自在に連結する第1連結軸は座部よりも下方に配置され、更に、開脚した状態のときに側方から見て、第1フレームの中途部の水平線からの傾斜角度(なお、ここでいう「水平線からの傾斜角度」とは、水平線に対してなす2つの角のうち、90度以下の方の角度をいうものとする。)は、第1フレームの下部の水平線からの傾斜角度よりも小さく、かつ、第1フレームの上部の水平線からの傾斜角度よりも小さい。そのため、第1フレームの下部、中途部、および上部の水平線からの傾斜角度が等しい従来の浴室用折り畳み椅子(図12参照)に比べて、横移乗のときに第1フレームの中途部が邪魔になりにくい。よって、横移乗が容易である。
本発明の好ましい一態様によれば、開脚した状態のときに側方から見て、前記第2フレームの上部は水平線から傾いている。
上記態様によれば、第2フレームの上部が水平に延びる浴室用折り畳み椅子に比べて、折り畳んだときの前後幅を小さくすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、開脚した状態のときに側方から見て、前記第1フレームの中途部と前記第2フレームの上部とはX状に交差している。
上記態様によれば、折り畳んだときの第1フレームの前後幅および第2フレームの前後幅を小さくすることができる。したがって、折り畳んだときの浴室用折り畳み椅子の前後幅を小さくすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、開脚した状態のときに、前記第1フレームの中途部は前記座部よりも下方に位置する。
上記態様によれば、横移乗のときに第1フレームの中途部が邪魔になることがない。
本発明の好ましい他の一態様によれば、左の第1フレームの中途部と右の第1フレームの中途部とに架け渡され、開脚した状態のときに前記座部を支持する第1水平軸と、左の第2フレームの上部と右の第2フレームの上部とに架け渡され、開脚した状態のときに前記座部を支持する第2水平軸と、を備える。前記左右の第2フレームの上部は、開脚した状態のときに前記座部から下方に離間する離間部を有する。前記離間部の上に設けられ、開脚した状態のときに前記第1水平軸、前記座部、または前記第1フレームの中途部を支持する補強部材を備える。
上記態様によれば、第2フレームの離間部は座部から下方に離間しているので、座部を直接支持することはできない。しかし、離間部の上には、補強部材が設けられている。そのため、第2フレームの離間部は、補強部材を介して、第1水平軸、座部、または第1フレームの中途部を間接的に支持することができる。よって、上記態様によれば、第1水平軸および第2水平軸だけでなく、第2フレームの離間部によっても座部を支持することができる。したがって、座部を安定して支持することができるので、浴室用折り畳み椅子の安定性を向上させることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記座部と、前記第1フレームおよび前記第2フレームのうちの一方のフレームとを回転自在に連結する水平な第2連結軸と、前記第1フレームおよび前記第2フレームのうちの他方のフレームから左右方向に延びるリンクバーと、一端部が前記リンクバーに回転自在に連結され、他端部が水平な第3連結軸を介して前記座部に回転自在に連結され、前記一方のフレームに対する前記座部の回転と、前記第1連結軸回りの前記第1フレームおよび前記第2フレームの相対回転とを連動させるリンクと、を備える。
上記態様によれば、第1フレームと第2フレームとの相対回転と、座部の回転とを連動させることができる。したがって、座部を回転させることにより、第1フレームと第2フレームとを相対回転させることができ、浴室用折り畳み椅子の折り畳みおよび開脚が可能となる。よって、浴室用折り畳み椅子の折り畳みおよび開脚の操作が容易になる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第3連結軸は、開脚した状態のときに側方から見て、前記第1連結軸と前記第2連結軸と前記リンクバーとを頂点とする三角形の外側に位置し、折り畳まれた状態のときに側方から見て、前記三角形の内側に位置するように配置されている。
折り畳んだ状態のときに上方から座部に力が加えられると、第1フレームおよび第2フレームには、側方から見て第2連結軸とリンクバーとをつなぐ線分から第3連結軸が離れるような力が作用する。上記態様によれば、折り畳まれた状態のときに側方から見て、第3連結軸は、第1連結軸と第2連結軸とリンクバーとを頂点とする三角形の内側に位置する。そのため、折り畳まれた状態のときに上方から座部に力が加えられた場合、第3連結軸が上記線分を横切って上記三角形の外側に移動することが阻止される。よって、折り畳まれた状態のときに、例えば利用者が座部にもたれかかる等により、意図せずに上方から座部に力が加えられたとしても、浴室用折り畳み椅子が開脚してしまうことがない。したがって、浴室用折り畳み椅子が不意に開脚してしまうことを防止することができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記リンクには、折り畳まれた状態のときに側方から見て、前記座部の下部と反対側に凹んだ凹部が形成されている。
上記態様によれば、折り畳まれたときに座部の下端部がリンクの凹部に入り込むことができるので、座部の下端部とリンクとの干渉を避けることができる。よって、折り畳んだ状態の座部の姿勢をより鉛直に近づけることができる。したがって、折り畳んだときの折り畳み椅子の前後幅を更に小さくすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第2連結軸は、前記座部と前記第2フレームとを回転自在に連結している。前記リンクバーは、前記第1フレームから左右方向に延びている。前記座部は、折り畳まれた状態のときに前記座部の座面が前方を向くように構成されている。
上記態様によれば、前述の効果を奏し、折り畳んだときに座部の座面が前方を向く浴室用折り畳み椅子を得ることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、左の第1フレームの上部と右の第1フレームの上部とに架け渡された横フレームと、前記横フレームに設けられた背もたれと、前記座部の後端部に設けられた把手と、を備える。前記背もたれの下端部には、上方に凹んだ凹部が形成されている。
上記態様によれば、把手を握って座部の後端部を持ち上げることにより、浴室用折り畳み椅子を折り畳むことができる。この際、背もたれの下端部には上方に凹んだ凹部が形成されているので、把手を握った手が背もたれと干渉することを容易に避けることができる。よって、浴室用折り畳み椅子を円滑に折り畳むことができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、左の第1フレームの上部と右の第1フレームの上部とに架け渡された横フレームと、前記横フレームに設けられた背もたれと、を備える。前記背もたれは、折り畳まれた状態のときに前記座部の上端が前記背もたれの下端よりも低くなるように構成されている。
上記態様によれば、折り畳んだときに座部と背もたれとが干渉することを避けることができる。よって、背もたれに邪魔されることなく、折り畳んだときの座部の姿勢を鉛直に近づけることができる。したがって、折り畳んだときの折り畳み椅子の前後幅を更に小さくすることができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記座部は、折り畳まれた状態のときに側方から見て鉛直に延びるように構成されている。
上記態様によれば、折り畳んだときの折り畳み椅子の前後幅を小さくすることができる。なお、ここでいう「鉛直に延びる」には、完全な鉛直だけでなく、鉛直線から多少傾いた場合(実質的に鉛直に延びる場合)も含まれる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1フレームの上部に水平軸回りに回転可能に取り付けられた肘掛けを備える。前記座部の左後部および右後部に、左右方向の中央側に凹み、折り畳みのときに前記肘掛けを逃がす凹部が形成されている。
上記態様によれば、折り畳みのときに肘掛けが座部に干渉しないので、折り畳み椅子を円滑に折り畳むことができる。
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1フレームの下部および前記第2フレームの下部は、伸縮自在に形成されている。
上記態様によれば、第1フレームの下部および第2フレームの下部を伸縮させることにより、座部の高さを調整することができる。利用者の体格に応じて座部の高さを調整することにより、浴室用折り畳み椅子の利便性を向上させることができる。なお、開脚した状態のときに側方から見て、第1フレームの下部の水平線からの傾斜角度は、第1フレームの中途部の水平線からの傾斜角度よりも大きい。第1フレームの下部の水平線からの傾斜角度が大きいので、開脚した状態のときに第1フレームの下部を伸ばした場合に、浴室用折り畳み椅子の前後幅が過度に大きくなることを避けることができる。
以上のように、本発明によれば、横移乗が容易であり、折り畳んだときの前後幅が小さな浴室用折り畳み椅子を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施形態に係る浴室用折り畳み椅子1の斜視図である。浴室用折り畳み椅子1は、主に浴室内において、高齢者や要介護者等がシャワーを浴びるとき等に利用される。ただし、浴室用折り畳み椅子1の使用場所は浴室に限定されず、また、利用対象者は高齢者または要介護者に限定される訳ではない。図2、図3、図4は、それぞれ浴室用折り畳み椅子1の正面図、背面図、平面図である。浴室用折り畳み椅子1は開脚した状態で使用され、非使用時には折り畳んでコンパクトにすることができる。図5、図6は、それぞれ浴室用折り畳み椅子1の開脚した状態、折り畳んだ状態の左側面図である。以下、浴室用折り畳み椅子1のことを単に椅子1と称することとする。
図1〜図6に示すように、椅子1は、左右一対の第1フレーム10と、左右一対の第2フレーム20と、これら第1フレーム10および第2フレーム20によって支持される座部30と、背もたれ40と、左右一対の肘掛け50とを備えている。
左の第1フレーム10と右の第1フレーム10とは、左右対称の形状を有している。図1に示すように、第1フレーム10は、前斜め下向きに延びる下部11と、下部11から後斜め上向きに延びる中途部12と、中途部12から後斜め上向きに延びる上部13とを有している。下部11は前脚を構成している。図3に示すように、左の第1フレーム10の上部13と右の第1フレーム10の上部13との間には、横フレーム19が架け渡されている。左の第1フレーム10と右の第1フレーム10と横フレーム19とは別体であってもよいが、本実施形態では一体的に形成されている。
図5に示すように、開脚した状態のときに側方から見て、第1フレーム10の中途部12は、水平線Hから傾いている。開脚した状態のときに側方から見て、第1フレーム10の中途部12の水平線Hからの傾斜角度θ2は、下部11の水平線Hからの傾斜角度θ1よりも小さく、かつ、上部13の水平線Hからの傾斜角度θ3よりも小さい。なお、中途部12が水平線Hとなす角は2つ存在するが、本明細書において「水平線からの傾斜角度」とは、水平線に対してなす2つの角のうち、90度以下の方の角度をいうものとする。また、中途部12が水平線Hとなす角は、中途部12の軸心が水平線Hとなす角をいう。中途部12が水平線Hとなす角が中途部12の部分毎に異なる場合(例えば、中途部12が湾曲している場合)には、「傾斜角度」は中途部12全体の平均の傾斜角度を意味するものとする。以上のことは、第1フレーム10の下部11および上部13についても同様である。また、後述する第2フレーム20についても同様である。
第1フレーム10の下部11は、上パイプ部11aと、上パイプ部11aがスライド可能に挿入された下パイプ部11bと、下パイプ部11bの下端部に設けられた滑り止めキャップ11cとを有している。上パイプ部11aは、中途部12および上部13と一体的に形成されている。本実施形態では、左右の第1フレーム10の上パイプ部11a、中途部12、上部13、および横フレーム19が、1本のアルミニウム製のパイプによって形成されている。ただし、それらは複数の部材が組み立てられることによって形成されていてもよい。
下パイプ部11bは上パイプ部11aに対してスライド可能であり、上パイプ部11aの下パイプ部11bに対する挿入長さを調整することにより、下部11の長さが調整可能である。すなわち、下部11は伸縮可能である。上パイプ部11aには、径方向外向きに突出するピン11dが設けられている。ピン11dは、上パイプ部11aの内部から径方向外向きに付勢されている。図3に示すように、下パイプ部11bには上下に並ぶ複数の孔11eが形成されており、ピン11dは孔11eに挿通可能となっている。いずれかの孔11eに挿通しているピン11dを径方向内向きに押し込むと、ピン11dが孔11eから外れ、下パイプ部11bは上パイプ部11aに対してスライド可能となる。下パイプ部11bをスライドさせると、隣の孔11eがピン11dと同じ位置に移動し、径方向外向きの付勢力を受けているピン11dは隣の孔11eに嵌り込む。このようにして、下部11の長さを変更することができる。このような作業を適宜繰り返すことにより、下部11の長さを所望の長さに調整することができる。
左の第2フレーム20と右の第2フレーム20とは、左右対称の形状を有している。図5に示すように、第2フレーム20は、後斜め下向きに延びる下部21と、下部21から前斜め上向きに延びる上部22とを有している。下部21は後脚を構成している。
開脚した状態のときに側方から見て、第1フレーム10の中途部12と第2フレーム20の上部22とは、X状に交差している。開脚した状態のときに側方から見て、第2フレーム20の上部22は水平線Hから傾いている。開脚した状態のときに側方から見て、第2フレーム20の上部22の水平線Hからの傾斜角度θ5は、下部21の水平線Hからの傾斜角度θ4よりも小さい。
第2フレーム20の下部21は、上パイプ部21aと、上パイプ部21aがスライド可能に挿入された下パイプ部21bと、下パイプ部21bの下端部に設けられた滑り止めキャップ21cとを有している。上パイプ部21aと上部22とは、一体的に形成されている。本実施形態では、上パイプ部21aおよび上部22は一本のアルミニウム製のパイプによって形成されている。ただし、それらは複数の部材が組み立てられることによって形成されていてもよい。
第2フレーム20の下部21も第1フレーム10の下部11と同様、伸縮可能であり、長さ調整が可能である。上パイプ部21aには径方向外向きに突出するピン21dが設けられており、ピン21dは上パイプ部21aの内部から径方向外向きに付勢されている。下パイプ部21bには上下に並ぶ複数の孔21eが形成されており(図2参照)、ピン21dは孔21eに挿通可能となっている。ピン21dを挿通させる孔21eを適宜に選択することにより、下部21の長さを所望の長さに調整することができる。
図7に示すように、左の第1フレーム10と右の第1フレーム10との間には、連結バー64および支持バー61が架け渡されている。支持バー61、連結バー64は、それぞれ「第1水平軸」、「リンクバー」の一例である。連結バー64および支持バー61はいずれも、第1フレーム10から左右方向に延びており、左の第1フレーム10と右の第1フレーム10とを連結している。支持バー61は、連結バー64の後斜め上方に配置されており、椅子1が開脚しているときに座部30を支持するように構成されている。連結バー64は、第1フレーム10の下部11に接続されていてもよく、中途部12に接続されていてもよい。支持バー61は、第1フレーム10の中途部12に接続されている。連結バー64および支持バー61は、中実の棒であってもよく、中空の棒であってもよい。以下に説明する他のバーについても同様である。
左の第2フレーム20と右の第2フレーム20との間には、連結バー65および支持バー62が架け渡されている。支持バー62は、「第2水平軸」の一例である。連結バー65および支持バー62はいずれも、第2フレーム20から左右方向に延びており、左の第2フレーム20と右の第2フレーム20とを連結している。支持バー62は、連結バー65の前斜め上方に配置されており、椅子1が開脚しているときに座部30を支持するように構成されている。連結バー65は、第2フレーム20の下部21に接続されていてもよく、上部22に接続されていてもよい。支持バー62は、第2フレーム20の上部22に接続されている。
座部30の裏面には、左右一対の第1ブラケット31が設けられている。第1ブラケット31には、支持バー62が回転自在に支持されている。そのため、座部30は、第1ブラケット31および支持バー62を介して、第2フレーム20に対して回転可能に構成されている。本実施形態では、ブラケット31に貫通孔が形成されており、支持バー62がブラケット31を貫通している。ただし、ブラケット31と支持バー62とは互いに回転自在に係合していればよく、必ずしも支持バー62がブラケット31を貫通している必要はない。支持バー62は、座部30と第2フレーム20とを回転自在に連結する「第2連結軸」の一例である。本実施形態では、支持バー62は、「第2水平軸」と「第2連結軸」とを兼用している。ただし、「第2水平軸」と「第2連結軸」とは別々の部材であってもよい。
図5に示すように、第1フレーム10の中途部12と第2フレーム20の上部22とは、水平な第1連結軸71によって相対回転自在に連結されている。第1連結軸71は左右方向に延びている。第1フレーム10の下部11と第2フレーム20の下部21とが接近するように第1フレーム10および第2フレーム20を相対回転させることにより、椅子1を折り畳むことができる。逆に、第1フレーム10の下部11と第2フレーム20の下部21とが遠ざかるように第1フレーム10および第2フレーム20を相対回転させることにより、椅子1を開脚させることができる。
図7に示すように、座部30の裏面には、第1ブラケット31に加えて、左右一対の第2ブラケット32が設けられている。第2ブラケット32は、第1ブラケット31よりも左右方向の中央側に配置されている。第2ブラケット32には、左右方向に延びる連結軸33が取り付けられている。連結軸33は第2ブラケット32に回転不能に固定されていてもよく、回転可能に支持されていてもよい。
連結軸33と連結バー64とは、リンク66によって連結されている。連結軸33は左右に一対設けられているので、リンク66も左右に一対設けられている。リンク66は、開脚している椅子1を折り畳むとき、および折り畳まれた椅子1を開脚するときに、第2フレーム20に対する座部30の回転と、第1連結軸71回りの第1フレーム10および第2フレーム20の相対回転とを連動させる部材である。
図9はリンク66の拡大図であり、図6のA部分に対応する。図9に示すように、リンク66は、孔68aおよび孔68bが形成された一端部66bと、孔67が形成された他端部66aと、一端部66bと他端部66aとをつなぐリンク本体66cとを有している。他端部66aの孔67は、周囲が閉じられた孔である。一端部66bの孔68aおよび孔68bは、周囲の一部が開放された孔であり、連続している。リンク本体66cは湾曲しており、リンク本体66cには凹部66dが形成されている。図9の仮想線は、椅子1が折り畳まれた状態のときの座部30を表している。凹部66dは、椅子1が折り畳まれた状態のときに側方から見て、座部30の下部30dと向かい合う位置に形成されている。椅子1が折り畳まれた状態のときに側方から見て、凹部66dは座部30の下部30dと反対側に凹んでいる。本実施形態ではリンク66は、合成樹脂により一体成形されている。ただし、リンク66の材料は特に限定されない。また、リンク66は必ずしも一体物でなくてもよい。
リンク66の一端部66bは連結バー64に回転自在に接続され、リンク66の他端部66aは連結軸33に回転自在に接続されている。詳しくは、連結バー64は孔68aに挿入され、連結軸33は孔67に挿入されている。
図8に示すように、座部30の裏面には、左右一対の被支持部34が設けられている。被支持部34は、第1ブラケット31および第2ブラケット32よりも後方に配置されており、座部30の裏面から突出している。被支持部34は、椅子1が開脚したときに支持バー61と接触し、支持バー61に支持されるように構成されている。よって、椅子1が開脚したときに、座部30は被支持部34および支持バー61を介して、第1フレーム10に支持される。このように、支持バー61が座部30から離れていても、座部30に被支持部34を設けることにより、座部30を第1フレーム10で支持することができる。
また、図5に示すように、椅子1が開脚した状態のときに、第2フレーム20の上部22の一部22aは、座部30から下方に離間している。以下、当該部分を離間部22aと称する。離間部22aの上には補強部材35が設けられている。図6に示すように、補強部材35は、第2フレーム20の上部22に沿うように湾曲した底部35aと、底部35aの後部から上方に突出した支持台部35bとを有している。ただし、補強部材35の形状は特に限定される訳ではない。図8に示すように、補強部材35は、椅子1が開脚したときに支持バー61と接触し、支持バー61を支持するように構成されている。そのため、椅子1が開脚したときに、支持バー61は補強部材35を介して第2フレーム20によって支持される。上述の通り、支持バー61は、被支持部34を介して座部30を支持する。したがって、座部30は、被支持部34、支持バー61、および補強部材35を介して、第2フレーム20に支持される。
また、座部30の裏面には、操作ハンドル80が取り付けられている。操作ハンドル80は、把手81と、支持バー61に係合する左右一対のフック83とを有している。把手81の前方には、左右方向に延びる軸(図示せず)が設けられている。操作ハンドル80は、上記軸により座部30に回転自在に取り付けられている。したがって、操作ハンドル80は、その前端部を中心として上記軸の回りに回転可能であり、上記軸よりも後方に位置する把手81を上げ下げすることができる。把手81が下方の位置にあると、フック83が支持バー61に係合し、把手81を上方に持ち上げると、フック83は支持バー61から外れる。図示は省略するが、操作ハンドル80には、把手81が下方に向かうように操作ハンドル80を付勢するバネが設けられている。すなわち、当該バネは、フック83が支持バー61に係合するように操作ハンドル80を付勢している。椅子1が開脚した状態では、上記バネが操作ハンドル80を付勢するので、フック83と支持バー61とが係合した状態に保たれる。そのため、操作ハンドル80を操作しない限り、椅子1は折り畳まれない。よって、椅子1が開脚した状態のときに不意に折り畳まれてしまうことが防止される。
肘掛け50は、左右の第1フレーム10の上部13に取り付けられている。図1に示すように、第1フレーム10の上部13には、前方に突出したブラケット14が設けられている。ブラケット14には、左右方向に延びる水平軸16が設けられている。肘掛け50は、水平軸16に回転可能に取り付けられている。よって、肘掛け50は、水平軸16およびブラケット14を介して、第1フレーム10の上部13に回転可能に取り付けられている。肘掛け50は、先端部が前方に位置する水平な状態と、先端部が上方に位置する鉛直な状態との間で回転可能である。ただし、肘掛け50の回転範囲は特に限定されない。
座部30は、表側の面が座面として使用されるものである。座部30の材料は特に限定されないが、本実施形態では、座部30は合成樹脂製のブロー成形品である。図4に示すように、座部30の後端部には前方に凹んだ凹部30aが形成されており、凹部30aの内側に把手36が配置されている。把手36は座部30に固定されている。凹部30aは座部30の左右方向の中央に形成されており、把手36は操作ハンドル80の把手81(図8参照)の上方に位置している。そのため、利用者が把手36および把手81の両方を合わせて握ると、把手81が上方に移動するように操作ハンドル80が回転し、フック83が支持バー61から外れることとなる。
また、図1に示すように、座部30の左後部および右後部には、左右方向の中央側に凹んだ凹部30bが形成されている。椅子1が開脚した状態では肘掛け50は座部30から離れているが、椅子1を折り畳むときに座部30の後端部を持ち上げるので、座部30の左後部および右後部が肘掛け50の側方を横切ることになる。座部30に凹部30bが形成されていることにより、椅子1を折り畳むときに座部30が肘掛け50と干渉することが確実に避けられる。
図3に示すように、背もたれ40は横フレーム19に取り付けられている。本実施形態では、背もたれ40は横フレーム19と別体であるが、背もたれ40が横フレーム19と一体であってもよい。背もたれ40には孔41が形成されている。利用者は、この孔41に指を挿入して背もたれ40を把持することにより、椅子10を片手で持ち上げたり、片手で移動させることが可能である。図1に示すように、背もたれ40の下端部には、上方に凹んだ凹部42が形成されている。背もたれ40の材料は何ら限定されないが、本実施形態では、背もたれ40は合成樹脂製のブロー成形品である。
椅子1は、折り畳まれた状態を保持するロック機構75を備えている。次に、ロック機構75について説明する。ロック機構75は、第2フレーム20の上部22から左右方向の中央側に突出するピン76(図7参照)と、ピン76と係合するように座部30に固定されたプレート77(図6参照)とを備えている。プレート77には左右方向の中央側に延びる筒78(図10参照)が一体的に形成されており、この筒78が第1ブラケット31(図7参照)の孔に差し込まれることによって、座部30に固定されている。筒78の内部には、支持バー62が挿入されている。プレート77は、左側および右側の両方に設けられていてもよく、いずれか一方のみに設けられていてもよい。本実施形態では、プレート77は右側のみに設けられている。なお、プレート77が左側および右側のうちのいずれか一方のみに設けられている場合には、ピン76も左側および右側の一方(プレート77と同じ側)のみに設けられていてもよい。
図10は、椅子1が図6の状態にあるときのプレート77の拡大図である。図10に示すように、プレート77は、円弧部77aと、円弧部77aの一端側に設けられたストッパ部77cと、円弧部77aの他端側に設けられたロック部77bとを有している。ストッパ部77cは、円弧部77aに対する段差であり、筒部78の径方向外向きに延びている。ストッパ部77cは、椅子1が開脚したときにピン76と当接するように形成されている。椅子1の折り畳みに伴って座部30は回転するため、プレート77の姿勢も変化する。ストッパ部77cは、椅子1が開脚した状態のときには円弧部77aの後方に位置し、椅子1が折り畳まれた状態のときには円弧部77aの上方に位置する。円弧部77aは、椅子1の折り畳みに伴ってピン76が円弧部77a上を摺動するように形成されている。円弧部77aは、座部30が第2フレーム20に対して回転するに伴って(言い換えると、椅子1の折り畳みまたは開脚に伴って)、ピン76を案内する役割を果たす。ロック部77bは、椅子1が開脚した状態のときには円弧部77aの前方に位置し、椅子1が折り畳まれた状態のときには円弧部77aの下方に位置する。ロック部77bは、凹部77b1と、円弧部77aと凹部77b1との間に配置された凸部77b2とからなっている。凹部77b1は、椅子1が折り畳まれたときにピン76が嵌り込むように形成されている。
開脚した椅子1を折り畳むと、座部30は第2フレーム20に対して回転する。第2フレーム20に設けられたピン76はストッパ部77cから離れ、ロック部77bに向けて円弧部77a上を滑っていく。やがて、ピン76はロック部77bの凸部77b2を乗り越え、凹部77b1に嵌り込む。本実施形態に係る椅子1は、折り畳みが完了したときにピン76が凹部77b1に嵌まり込むように構成されている。凹部77b1に嵌り込んだピン76が円弧部77aに向かって凸部77b2を乗り越えるためには、ある程度の力が必要となる。そのため、ピン76は凹部77b1内に保持される。よって、椅子1は折り畳まれた状態にロックされる。
折り畳まれた椅子1を開脚させると、凹部77b1内のピン76が凸部77b2を乗り越え、円弧部77aに沿って移動してからストッパ部77cに当接する。本実施形態に係る椅子1は、開脚したときにピン76がストッパ部77cと当接するように構成されている。ピン76がストッパ部77cに当接することにより、ピン76のそれ以上の移動は規制される。よって、座部30の回転が規制され、座部30は水平な状態に保たれる(図5参照)。
以上が椅子1の構成である。次に、椅子1の折り畳み操作および開脚操作の一例について説明する。
椅子1の折り畳みおよび開脚の操作は片手で行うことができる。図5に示すように開脚した状態の椅子1を折り畳むときには、まず、肘掛け50を跳ね上げ、肘掛け50を水平な状態から鉛直な状態にする。次に、片方の手を背もたれ40の前方を通るように座部30の後端部に向けて下ろし、座部30の把手36および操作ハンドル80の把手81(図8参照)を掴む。そして、把手36および把手81を握る。すると、操作ハンドル80が回転し、フック83が支持バー61から外れる。次に、把手36および把手81を持ち上げる。すると、座部30は支持バー62を中心として回転し、座部30の後部が上方に移動する一方、座部30の前部が下方に移動する。
図5に示すように座部30の前部はリンク66を介して連結バー64に連結されているので、座部30の前部が下方に移動すると、第1フレーム10はリンク66および連結バー64から後斜め下向きの力を受ける。その結果、第1フレーム10の下部11と第2フレーム20の下部21とが接近するように、第1フレーム10は第1連結軸71を中心として回転する。また、椅子1を持ち上げると、第1フレーム10および第2フレーム20には自重が作用する。それらの自重によっても、第1フレーム10および第2フレーム20は第1連結軸71を中心として相対回転する。その結果、椅子1は図6に示すように折り畳まれる。
上述の折り畳み動作の際に、座部30の後端部は背もたれ40の下端部の近傍を通過することになる。本実施形態に係る椅子1では、背もたれ40の下端部に凹部42(図1参照)が形成されており、把手36および把手81を握った手は、背もたれ40の凹部42の下方を通過する。そのため、背もたれ40が邪魔になりにくく、折り畳み動作を円滑に行うことができる。
また、折り畳み動作の際に、座部30の左後部および右後部が肘掛け50の近傍を通過することになる。本実施形態に係る椅子1では、座部30の左後部および右後部には凹部30bが形成されており、それら凹部30bが肘掛け50の近傍を通過する。そのため、座部30が肘掛け50に干渉することがなく、折り畳み動作を円滑に行うことができる。
図11(a)〜(e)は、折り畳みのときの第1フレーム10、第2フレーム20、座部30、およびリンク66の動きを順に示す概念図である。図11(a)は開脚した状態を表し、図11(e)は折り畳んだ状態を表す。図11(a)〜(c)に示すように、折り畳みに伴って連結軸33は、支持バー62と連結バー64とを結ぶ線分90に徐々に近づき、当該線分90の長さは徐々に長くなる。これに伴い、第1フレーム10の下端と第2フレーム20の下端との間の距離(以下、フレーム間距離という)は、徐々に小さくなる。すなわち、A1>A2>A3である。そして、図11(d)に示すように、連結軸33が線分90上に到達したときに、線分90の長さは最大となり、フレーム間距離は最小となる。A3>A4である。連結軸33は更に移動し、図の左側から右側に向かって線分90を横切る。すると、線分90の長さは短くなり、フレーム間距離は大きくなる。すなわち、A4<A5である。
このように、椅子1を側方から見たときの第1連結軸71と支持バー62と連結バー64とを頂点とする三角形90を考えた場合、椅子1の折り畳みに伴って、連結軸33は三角形91の外側から内側に移動する。図11(a)に示すように、開脚した状態のときには連結軸33は三角形91の外側に位置し、図11(e)に示すように、折り畳まれた状態のときには連結軸33は三角形91の内側に位置する。
ところで、椅子1が折り畳まれた状態のときに上方から座部30に力が加えられた場合、第1フレーム10および第2フレーム20には開脚するような力が作用する。すなわち、線分90を短くするような力、言い換えると、連結軸33が線分90から遠ざかるような力が作用する。仮に、椅子1が折り畳まれた状態のときに連結軸33が三角形91の外側に位置していると(例えば図11(c)参照)、上方から座部30に力が加えられた場合、連結軸33が線分90から左方に遠ざかるような力が作用するので、椅子1は開脚してしまう。
しかし、本実施形態に係る椅子1によれば、椅子1が折り畳まれた状態のときに連結軸33は三角形91の内側に位置する。そのため、仮に上方から座部30に力が加えられた場合、椅子1には連結軸33が線分90から右方に遠ざかるような力が作用するが、連結軸33の右方への移動は規制されるので、椅子1が開脚してしまうことがない。したがって、本実施形態に係る椅子1によれば、折り畳まれた状態のときに、意図せずに座部30を上から押してしまった場合等に、椅子1が開脚してしまうことを防ぐことができる。
図6に示すように折り畳まれた椅子1を開脚するときには、利用者は、座部30の把手36および操作ハンドル80の把手81を掴んで後方へ引く。すると、前述の折り畳み動作と逆の動作が行われ、第1フレーム10と第2フレーム20とが第1連結軸71を中心として相対回転する。その結果、椅子1は開脚する。なお、連結軸33が三角形91の内側から外側に移動した後は、座部30を上から押さえることにより、椅子1は開脚する。そのため、座部30の把手36および操作ハンドル80の把手81を後方に引く動作は、連結軸33が三角形91の内側から外側に移動するまででよく、その後は、把手36および把手81を上から押さえることによって椅子1を容易に開脚させることができる。
以上のように、本実施形態に係る椅子1によれば、図5に示すように開脚した状態のときに側方から見て、第1フレーム10の中途部12は水平線Hから傾いている。そのため、第1フレーム10の中途部12が水平に延びる場合に比べて、図6に示すように折り畳んだ状態のときに、椅子1の前後幅を小さくすることができる。よって、非使用時に椅子1をコンパクトにすることができる。本実施形態に係る椅子1によれば、非使用時に邪魔にならず、狭い浴室内に置いておくことができる。
また、本実施形態に係る椅子1によれば、図5に示すように開脚した状態のときに側方から見て、第1連結軸71が座部30よりも下方に配置され、更に、第1フレーム10の中途部12の水平線Hからの傾斜角度θ2は、第1フレーム10の下部11の水平線Hからの傾斜角度θ1よりも小さく、かつ、第1フレーム10の上部13の水平線Hからの傾斜角度θ3よりも小さい。そのため、第1フレームの下部、中途部、および上部の水平線からの傾斜角度が等しい浴室用折り畳み椅子(図12参照)に比べて、横移乗のときに第1フレーム10の中途部12が邪魔になりにくい。よって、横移乗が容易である。このように本実施形態によれば、横移乗が容易であり、折り畳んだときの前後幅が小さな椅子1を実現することができる。
また、本実施形態に係る椅子1によれば、図5に示すように開脚した状態のときに側方から見て、第2フレーム20の上部22は水平線Hから傾いている。そのため、第2フレームの上部が水平に延びる場合に比べて、折り畳んだ状態のときに椅子1の前後幅を小さくすることができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、開脚した状態のときに側方から見て、第1フレーム10の中途部12と第2フレーム20の上部22とはX状に交差している。折り畳んだときの第1フレーム10の前後幅および第2フレーム20の前後幅を小さくすることができる。したがって、折り畳んだときの椅子1の前後幅を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る椅子1によれば、図5に示すように開脚した状態のときに、第1フレーム10の中途部12は座部3よりも下方に位置する。そのため、横移乗のときに第1フレーム10の中途部12が邪魔になることがない。
本実施形態に係る椅子1によれば、第2フレーム20の上部22には、開脚した状態のときに座部30から下方に離間する離間部22aが生じる。離間部22aは座部30から下方に離間しているので、座部30を直接支持することはできない。しかし、本実施形態に係る椅子1によれば、離間部22aの上には補強部材35が設けられている。そのため、離間部22aは、補強部材35を介して、座部30を間接的に支持することができる。なお、本実施形態では、補強部材35は支持バー61を支持する(図7参照)。よって、離間部22aは、補強部材35および支持バー61を介して、座部30を支持する。本実施形態に係る椅子1によれば、第1フレーム10が支持バー61を介して座部30を支持し、かつ、第2フレーム20が支持バー62を介して座部30を支持するだけでなく、第2フレーム20が補強部材35および支持バー61を介して座部30を支持することができる。したがって、座部30をより安定して支持することができ、椅子1の安定性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、補強部材35は支持バー61を支持するように構成されているが、補強部材35は座部30を直接支持するように構成されていてもよい。また、補強部材35は、第1フレーム10の中途部12を支持するように構成されていてもよい。この場合であっても、座部30をより安定して支持することができ、椅子1の安定性を向上させることができる。
本実施形態に係る椅子1は、リンク66を備えている。そのため、座部30の回転と、第1フレーム10と第2フレーム20との相対回転とを連動させることができる。よって、座部30を回転させることにより、第1フレーム10と第2フレーム20とを相対回転させることができ、椅子1の折り畳みおよび開脚が可能となる。したがって、椅子1の折り畳みおよび開脚の操作が容易になる。
本実施形態に係る椅子1によれば、連結軸33は、図11(a)に示すように開脚した状態のときに側方から見て、第1連結軸71と支持バー62と連結バー64とを頂点とする三角形91の外側に位置する。一方、連結軸33は、図11(e)に示すように折り畳んだ状態のときに側方から見て、三角形91の内側に位置する。このことにより、上述したように、折り畳んだ状態のときに上方から座部30に力が加わったとしても、椅子1が開脚してしまうことが防止される。よって、椅子1が意図せずに開脚することを防止することができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、図9に示すようにリンク66には、折り畳まれた状態のときに側方から見て、座部30の下部30dと反対側に凹んだ凹部66dが形成されている。折り畳まれたときに座部30の下部30dがリンク66の凹部66dに入り込むことができるので、座部30の下部30dとリンク66との干渉を避けることができる。よって、図6に示すように、椅子1を折り畳んだときの座部30の姿勢をより鉛直に近づけることができる。したがって、折り畳んだときの椅子1の前後幅を更に小さくすることができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、座部30は、折り畳まれた状態のときに座部30の座面が前方を向くように構成されている。本実施形態によれば、折り畳まれた状態のときに座部30の座面が前方を向く椅子1において、前述の効果を得ることができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、図1に示すように、背もたれ40の下端部に、上方に凹んだ凹部42が形成されている。そのため、利用者が座部30の把手36および操作ハンドル80の把手81を掴んで座部30を回転させるときに、把手36および把手81を掴んだ手が背もたれ40と干渉することを容易に避けることができる。よって、椅子1を円滑に折り畳むことができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、背もたれ40は、図6に示すように折り畳まれた状態のときに、座部30の上端30cが背もたれ40の下端40dよりも低くなるように構成されている。したがって、椅子1を折り畳んだときに座部30と背もたれ40とが干渉することを避けることができる。本実施形態に係る椅子1によれば、背もたれ40に邪魔されることなく、折り畳んだときの座部30の姿勢を鉛直に近づけることができる。したがって、折り畳んだときの椅子1の前後幅を更に小さくすることができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、図6に示すように折り畳まれた状態のときに、座部30は鉛直に延びるように構成されている。よって、折り畳んだときの座部30の前後幅を小さくすることができ、折り畳んだときの椅子1の前後幅を小さくすることができる。また、折り畳んだときに、座部30に付着した水が流れ落ちやすくなる。よって、座部30の水切れ性を良くすることができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、図4に示すように、座部30の左後部および右後部に、座部30の左右方向の中央側に凹み、折り畳みのときに肘掛け50を逃がす凹部30bが形成されている。よって、折り畳みのときに肘掛け50が座部30に干渉しないので、椅子1を円滑に折り畳むことができる。
本実施形態に係る椅子1によれば、第1フレーム10の下部11および第2フレーム20の下部21は、伸縮自在に形成されている。第1フレーム10の下部11および第2フレーム20の下部21を伸縮させることにより、座部30の高さを調整することができる。よって、利用者の体格に応じて座部30の高さを調整することにより、椅子1の利便性を向上させることができる。なお、本実施形態に係る椅子1は、図5に示すように開脚した状態のときに側方から見て、第1フレーム10の下部11の水平線Hからの傾斜角度θ1は、第1フレーム10の中途部12の水平線Hからの傾斜角度θ2よりも大きい。このように第1フレーム10の下部11の水平線Hからの傾斜角度θ1が大きいので、傾斜角度θ1が小さい場合と異なり、第1フレーム10の下部11を伸ばしたときに、椅子1の前後幅が大きくなることを避けることができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限らず、他に種々の形態にて実施することができる。前記実施形態では、左右の第1フレーム10は左右対称の形状を有していたが、左右の第1フレーム10は左右非対称の形状を有していてもよい。左右の第2フレーム20も左右非対称の形状を有していてもよい。
前記実施形態では、支持バー61、支持バー62、連結バー64、および連結バー65は、円柱状または円筒状に形成されている。しかし、支持バー61、支持バー62、連結バー64、および連結バー65の断面形状は円形に限らず、楕円形、四角形、六角形等であってもよい。支持バー61、支持バー62、連結バー64、および連結バー65の形状は何ら限定されない。
前記実施形態では、第1フレーム10の下部11および第2フレーム20の下部21は伸縮可能であったが、それらは伸縮不能であってもよい。