JP6220477B1 - 3次元造形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、3Dプリンタを用いてポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造する方法の提供を目的とする。本発明の3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程を備え、上記順次積層工程で、上記第1液組成物及び上記第2液組成物を吐出する直前又は直後に混合し、上記第1液組成物及び上記第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応することを特徴とする。第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比としては、100:250以上100:40以下が好ましい。

Description

本発明は、3次元造形物の製造方法及び造形材料に関する。
ポリウレタン、ポリウレタンウレア及びポリウレア(以下、「ポリウレタン等」ともいう)は、ポリイソシアネート等のイソシアネート成分と、長鎖ポリオール等のポリオール成分及び/又は長鎖ポリアミン等のポリアミン成分との硬化反応により得られる合成樹脂であり、弾性率、硬度等の物性を調整し易く、かつ耐摩耗性及び成形性に優れる。そのため、ポリウレタン等から形成された成形体は、靴底、バイクや自動二輪車のグリップ、メガネ、マスク、装飾品等のパーソナルユース商品や、義肢、トレーニング器具などの様々な製品に用いられている。
ポリウレタン等を用いて立体的な成形体を製造する方法としては、金型を用いた反応射出成形法や注型成型法が一般的である。一方、近年、3Dプリンタを用いた上記ポリウレタン等の3次元造形物の製造方法も提案されている(特開2005−35299号公報及び特表2003−506228号公報参照)。これらの文献に記載の製造方法では、ポリイソシアネートを含む第1液組成物の液滴とポリオールを含む第2液組成物の液滴とをそれぞれインクジェット方式で噴射し、空中で2種の液滴を衝突混合させて支持台上に着弾させるか、又は支持台上に着弾した2種の液滴を混合させる。上記文献によれば、上述の方法により、支持台上に所望の形状のポリウレタン層を積層できるため、このポリウレタン層の積層を繰り返すことでポリウレタンの3次元造形物を製造できるとされる。このような3Dプリンタを用いたポリウレタン等の3次元造形物の製造方法は、各需要者の要求にあわせたテーラーメイド製品の製造や、アセンブリ製品の設計時に必要となる試作パーツの製造等の一品物の製造に有用であると考えられる。
また、上記従来の方法は、造形中に第1液組成物の組成、第2液組成物の組成、第1液組成物及び第2液組成物の混合比等を変化させることにより、物性が部位毎に異なる3次元造形物、特に物性が部位毎に連続的に変化する傾斜機能材料(functionally gradient material)の製造に応用できると考えられる。
しかし、ポリウレタン、ポリウレタンウレア及びポリウレアの合成反応には、通常ポリオール成分及び/又はポリアミン成分をイソシアネート成分よりも体積量で多く使用する必要がある。そのため、上記従来の製造方法では、第1液組成物の吐出量よりも第2液組成物の吐出量が大幅に大きくなる傾向にある(例えば2.5倍超)。特に、上記従来の方法において、物性が部位毎に異なる3次元造形物を製造するために第1液組成物及び第2液組成物の混合比や組成等を造形中に変化させた場合、第2液組成物の吐出量がさらに増大する可能性がある。ここで、上記従来の方法において、第1液組成物及び第2液組成物のそれぞれの吐出量が大幅に異なる場合、これらを均一に混合することができず、その結果、硬化不良を生じるおそれや、所望の物性が得られないおそれがある。そのため、上記従来の製造方法により得られる3次元造形物は、部位ごとに物性のバラつきが生じて所望の特性が得られないおそれや、物性が変化している部位に応力が集中し易くなることでマクロな破壊耐性が低下するおそれがある。
特開2005−35299号公報 特表2003−506228号公報
本発明は、これらの要求に鑑みてなされたものであり、3Dプリンタを用いてポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造する方法と、それに用いる造形材料とを提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程を備え、上記順次積層工程で、上記第1液組成物及び上記第2液組成物を吐出する直前又は直後に混合し、上記第1液組成物及び上記第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応することを特徴とする。
当該3次元造形物の製造方法は、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程を有し、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前又は直後に混合し、第1液組成物及び第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応する。ここで、擬似プレポリマー法とは、ポリウレタン等の合成において、使用する長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミンの一部を予めポリイソシアネートと反応させてプレポリマーにし、このプレポリマーをポリイソシアネートと共にイソシアネート成分として用いる方法である。この擬似プレポリマー法では、長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミンの一部をプレポリマーの合成に用い、このプレポリマーをイソシアネート成分として用いるため、使用する造形材料におけるポリオール成分及び/又はポリアミン成分と、イソシアネート成分との体積比を1:1に近づけることができる。このように、当該3次元造形物の製造方法は、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を造形材料として用いることで、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に比較的近い範囲とすることができるため、第1液組成物及び第2液組成物を均一に混合して確実に硬化させることができる。その結果、当該3次元造形物の製造方法は、3Dプリンタを用いてポリウレタン等を主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
上記第1液組成物及び上記第2液組成物の吐出量の質量比(第1液組成物:第2液組成物)としては、100:250以上100:40以下が好ましい。第1液組成物及び第2液組成物の比重は通常略同一であるため、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を上記範囲とすることで、その体積比をより1:1に近づけることができる。これにより、第1液組成物及び第2液組成物をより均一に混合することができ、その結果、ポリウレタン等を主成分とする3次元造形物をより容易かつ確実に製造できる。
当該3次元造形物の製造方法は、上記順次積層工程で、上記第1液組成物及び上記第2液組成物の吐出量を変化させることで上記合成樹脂層の密度を部位毎に変化させるとよい。このように、当該3次元造形物の製造方法が順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させ、合成樹脂層の密度を部位毎に変化させることで、形成される3次元造形物の引張特性、耐摩耗性等の物性を部位毎に変化させることができる。そのため、当該3次元造形物の製造方法により、ポリウレタン等を主成分とし、部位毎に物性が異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造することができる。
当該3次元造形物の製造方法は、上記順次積層工程で、上記合成樹脂層の少なくとも一部に多孔質領域を形成するとよい。このように、当該3次元造形物の製造方法が順次積層工程で合成樹脂層の少なくとも一部に多孔質領域を形成することで、合成樹脂層の密度をより確実に変化させることができ、その結果、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより確実に製造することができる。
当該3次元造形物の製造方法は、上記順次積層工程で、上記多孔質領域の空隙率を0体積%超45体積%以下の範囲で変化させるとよい。このように、当該3次元造形物の製造方法が順次積層工程で多孔質領域の空隙率を上記範囲で変化させることで、形成される3次元造形物の強度を確保しつつ部位毎の物性を容易に変化させることができる。
上記第1液組成物が、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含み、上記第2液組成物が、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むとよい。このように、プレポリマー及びポリイソシアネートを含む第1液組成物と、ソフトセグメント成分及びハードセグメント成分を含有する第2液組成物とを用いることで、より確実に擬似プレポリマー法による反応を行わせることができる。また、第2液組成物がハードセグメント成分を含有することで、形成される3次元造形物に適度な弾性率、硬度等を付与できる。
上記第1液組成物及び上記第2液組成物のうち少なくとも一方が可塑剤をさらに含有するとよい。このように、第1液組成物及び第2液組成物のうち少なくとも一方が可塑剤をさらに含有することで、第1液組成物及び/又は第2液組成物の粘度を低下させて両者の混合を促進することができ、その結果、ポリウレタン等を主成分とする3次元造形物をより容易かつ確実に製造できる。
当該3次元造形物の製造方法は、上記順次積層工程で、上記第1液組成物の組成と、上記第2液組成物の組成と、上記第1液組成物及び上記第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つを変化させるとよい。このように、当該3次元造形物の製造方法が、順次積層工程で、第1液組成物の組成と、第2液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つを変化させることで、形成される3次元造形物の構成材料を部位毎に変化させることができ、ひいては物性を部位毎に変化させることができる。また、第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法で反応する混合体積比が1:1に比較的近い造形材料であるため、造形中に組成や混合比を変化させても混合体積比が1:1から極端に外れ難い。そのため、当該3次元造形物の製造方法により、ポリウレタン等を主成分とし、部位毎に物性が異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造することができる。
上記第2液組成物が可塑剤をさらに含み、上記順次積層工程で上記第2液組成物における可塑剤の含有量を変化させるとよい。このように、第2液組成物が硬化反応への影響が比較的少ない成分である可塑剤をさらに含み、順次積層工程で第2液組成物における可塑剤の含有量を変化させることで、硬化反応にあまり影響を及ぼすことなく、形成される3次元造形材料の物性を部位毎に変化させることができる。これにより、ポリウレタン等を主成分とし、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより容易かつ確実に製造することができる。
当該3次元造形物の製造方法は、上記第1液組成物及び上記第2液組成物が可塑剤をさらに含み、上記順次積層工程で、上記第1液組成物の組成及び上記第2液組成物の組成のうち少なくとも一方を変化させ、上記第1液組成物及び上記第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下とするとよい。このように、当該3次元造形物の製造方法が、順次積層工程で、第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも一方を変化させることで、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。また、第1液組成物及び第2液組成物が含む可塑剤は、硬化反応への影響が比較的少なく、かつ比較的多く配合することができる成分であるため、第1液組成物及び第2液組成物の嵩調整に好適に用いることができる。そのため、第1液組成物及び第2液組成物が可塑剤を含有し、この可塑剤の含有量を調整することで、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を上記範囲とすること、つまり混合体積比をより1:1に近い範囲に維持することができる。これにより、ポリウレタン等を主成分とし、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより容易かつ確実に製造することができる。
当該3次元造形物の製造方法は、上記順次積層工程で上記第1液組成物のプレポリマーの組成及び上記第2液組成物のハードセグメント成分の組成のうち少なくとも1種を変化させるとよい。このように、当該3次元造形物の製造方法が上記順次積層工程で第1液組成物のプレポリマーの組成及び第2液組成物のハードセグメント成分の組成のうち少なくとも1種を変化させることで、形成される3次元造形材料の部位毎の物性変化のバリエーションを豊富にできる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の造形材料であって、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を備え、上記第1液組成物及び上記第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応することを特徴とする。
当該造形材料が備える第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法により反応するため、均一に混合し易いように混合体積比を1:1に比較的近い範囲とすることができる。そのため、当該造形材料は、3Dプリンタを用いてポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
ここで「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分を指す。「吐出量」とは、所定の面積(多孔質領域が形成されている場合は空孔を含む面積)の合成樹脂層を形成する間に吐出した造形材料の吐出体積量を意味する。「空隙率」とは、3次元造形物の任意の10箇所からそれぞれ100mgの試料を採取し、各試料の寸法から算出される見かけの体積をV[mm]、上記各試料の質量を真密度で除すことで算出される実際の体積(空隙を除いた体積)をV[mm]とした時に100×(V−V)/Vで求められる値を意味する。なお、上記3次元造形物の任意の10箇所からそれぞれ100mgの試料を採取できない場合、採取可能な最大質量の試料を用いるものとする。「組成」とは、含有する成分の種類及びその含有量を指す。「粘度」とは、B型粘度計(例えば東機産業社の「BMII」)を用いて測定した値を指す。「ゲル化時間」とは、JIS−K6910:2007「フェノール樹脂試験方法」に準拠し、ゲル化時間A法で測定した値を指す。また、上記測定で試料として用いる第1液組成物及び第2液組成物の混合質量比は、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比にあわせるものとする。
当該3次元造形物の製造方法及び造形材料は、3Dプリンタを用いてポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
本発明の第2実施形態の3次元造形物の製造方法の一工程を示す模式的正面図である。 本発明の第3実施形態の3次元造形物の製造方法の一工程を示す模式的正面図である。 本発明の第4実施形態の3次元造形物の製造方法の一工程を示す模式的正面図である。 図3の製造方法により製造される3次元造形物を示す模式的断面図である。 本発明の第6実施形態に用いる造形材料供給システムの1例を示す概念図である。 本発明の第7実施形態に用いる造形材料供給システムの1例を示す概念図である。 本発明の第8実施形態に用いる造形材料供給システムの1例を示す概念図である。 本発明の第10実施形態に用いる造形材料供給システムの1例を示す概念図である。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参酌しつつ説明する。なお、以下において例示する材料は、特に断りがない限り、単独で使用しても、複数を併用してもよい。
[第1実施形態]
<造形材料>
当該造形材料は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法に用いる造形材料であって、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を備え、第1液組成物及び第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応する。当該造形材料は、例えば第1液組成物がイソシアネート成分であり、第2液組成物がポリオール成分及び/又はポリアミン成分である。
[第1液組成物]
第1液組成物は、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含むことが好ましい。当該造形材料は、第1液組成物がイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分との硬化反応が部分的に進行した成分に相当するウレタンプレポリマー等のプレポリマーを含むことで、第1液組成物の使用量に対する第2液組成物の使用量を減少させることができ、これにより第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に近づけることができる。また、当該造形材料は、第1液組成物が上記プレポリマーを含むこと、つまりイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分との硬化反応の一部を予め済ませておくことで、第1液組成物にポリイソシアネートのみが含まれる造形材料と比較し、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速い。さらに、第1液組成物が上記プレポリマーよりも分子量の小さいポリイソシアネートを含むことで、上記プレポリマーのみを含む組成物と比較し、粘度を低くすることができる。
第1液組成物の80℃での粘度の上限としては、400mPa・sが好ましく、300mPa・sがより好ましい。一方、第1液組成物の80℃での粘度の下限としては、特に限定されないが、例えば50mPa・sである。第1液組成物の80℃での粘度が上記上限を超える場合、第2液組成物と混合し難くなり、その結果、形成される3次元造形物において硬化が不十分になるおそれや、所望の物性が得られないおそれがある。
(ウレタンプレポリマー)
当該造形材料に用いるウレタンプレポリマーは、主鎖中にウレタン結合(−NHCOO−)を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネート及び長鎖ポリオールを反応させることで得られる。上記ウレタンプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基(−N=C=O)を有する。
上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量の下限としては、800が好ましく、1,000がより好ましい。一方、上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量の上限としては、5,000が好ましく、2,000がより好ましい。上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。逆に、上記ウレタンプレポリマーの数平均分子量が上記上限を超える場合、第1液組成物の粘度が増大し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。ここで「数平均分子量」とは、JIS−K7252−1:2008「プラスチック−サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方−第1部:通則」に準拠し、ポリスチレンを標準物質とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値を指す。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。第1液組成物に用いるポリイソシアネートとしては、例えば脂肪族ポリイソシアネート(脂環族ポリイソシアネートを含む)、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネートは、通常主鎖中にウレタン結合及びウレア結合を有さない。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、これらの変性体や多量体等が挙げられる。上記芳香族イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、これらの変性体や多量体等が挙げられる。上記ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
(長鎖ポリオール)
上記長鎖ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基(−OH)を有する分子量300以上の化合物である。第1液組成物に用いる長鎖ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルトリオール、これらの共縮合体等のポリオキシアルキレングリコールや、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変性体などが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールの具体例としては、例えば特開2015−209538号公報の段落[0017]〜段落[0020]に記載の化合物等が挙げられる
上記長鎖ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールがより好ましい。
上記長鎖ポリオールの数平均分子量の下限としては、形成する3次元造形物の用途等に応じて適宜変更可能であるが、500が好ましく、800がより好ましい。一方、上記長鎖ポリオールの数平均分子量の上限としては、5,000が好ましく、2,500がより好ましい。このように、上記長鎖ポリオールの数平均分子量を上記範囲とすることで、成形性と、形成される3次元造形物の弾性率、硬度、耐摩耗性、成形性等の物性とをバランスよく向上できる。
(ウレタンウレアプレポリマー)
当該造形材料に用いるウレタンウレアプレポリマーは、主鎖中にウレタン結合及びウレア結合(−NHCONH−)を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネートと長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンとを反応させることで得られる。上記ウレタンウレアプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基を有する。上記ウレタンウレアプレポリマーの合成に使用するポリイソシアネート及び長鎖ポリオールとしては、例えば上記ウレタンプレポリマーの原料として例示したポリイソシアネート及び長鎖ポリオールと同様のもの等を挙げることができる。
上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量の下限としては、1,000が好ましく、1,500がより好ましい。一方、上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量の上限としては、15,000が好ましく、10,000がより好ましい。上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。逆に、上記ウレタンウレアプレポリマーの数平均分子量が上記上限を超える場合、第1液組成物の粘度が増大し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。
(長鎖ポリアミン)
上記長鎖ポリアミンは、分子中に2以上のアミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及びイミノ基を含む)を有する分子量300以上の化合物である。
上記長鎖ポリアミンとしては、例えばポリ(エチレングリコール)ジアミン、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)ジアミン、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとポリプロピレングリコールとの共縮合体のジアミン等の長鎖ジアミンや、ポリ(エチレングリコール)トリアミン、ポリ(プロピレングリコール)トリアミン等の長鎖トリアミンなどが挙げられる。
上記長鎖ポリアミンとしては、長鎖ジアミンが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体のジアミン及びポリプロピレングリコールジアミンがより好ましい。
上記長鎖ポリアミンの数平均分子量の下限としては、形成する3次元造形物の用途等に応じて適宜変更可能であるが、500が好ましく、800がより好ましい。一方、上記長鎖ポリアミンの数平均分子量の上限としては、5,000が好ましく、2,500がより好ましい。このように、上記長鎖ポリアミンの数平均分子量を上記範囲とすることで、成形性と、形成される3次元造形物の弾性率、硬度、耐摩耗性等の物性とをバランスよく向上できる。
(ウレアプレポリマー)
第1液組成物に用いるウレアプレポリマーは、主鎖中にウレア結合を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネートと長鎖ポリアミンとを反応させることで得られる。上記ウレアプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基を有する。上記ウレアプレポリマーの合成に使用するポリイソシアネート及び長鎖ポリアミンとしては、上記ウレタンプレポリマー及びウレタンウレアプレポリマーの原料として例示したポリイソシアネート及び長鎖ポリアミンと同様のもの等を挙げることができる。
上記ウレアプレポリマーの数平均分子量の下限としては、1,000が好ましく、1,500がより好ましい。一方、上記ウレアプレポリマーの数平均分子量の上限としては、15,000が好ましく、10,000がより好ましい。上記ウレアプレポリマーの数平均分子量が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。逆に、上記ウレアプレポリマーの数平均分子量が上記上限を超える場合、第1液組成物の粘度が増大し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。
第1液組成物が上記プレポリマーを含む場合、第1液組成物における上記プレポリマーの含有量の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、40質量%が特に好ましい。一方、上記含有量の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましく、50質量%が特に好ましい。上記含有量が上記下限より小さい場合、第1液組成物を硬化させるために必要なポリオール成分及び/又はポリアミン成分が増加するため、第2液組成物の体積が増大して第1液組成物と混合し難くなるおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超える場合、第1液組成物における上記ポリイソシアネートの含有量が低下することで粘度が増大し、第2液組成物と混合し難くなるおそれがある。
当該造形材料が上記プレポリマーを含む場合、当該造形材料における上記プレポリマーの含有量の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。一方、上記含有量の上限としては、45質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。上記含有量が上記下限より小さい場合、ポリオール成分及び/又はポリアミン成分の含有量が増加するため、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速くなりすぎ、当該造形材料による3次元造形物の製造が困難となるおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超える場合、ポリオール成分及び/又はポリアミン成分の含有量が低下するため、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。
(ポリイソシアネート)
第1液組成物に用いるポリイソシアネートとしては、例えば上記ウレタンプレポリマーの原料として例示したポリイソシアネートと同様のもの等を挙げることができる。但し、第1液組成物の含むポリイソシアネートは、第1液組成物の含むプレポリマーの合成に用いられたポリイソシアネートと同一でも異なっていてもよい。
第1液組成物が上記ポリイソシアネートを含む場合、第1液組成物における上記ポリイソシアネートの含有量の下限としては、20質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、40質量%が特に好ましい。一方、上記ポリイソシアネートの含有量の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。上記ポリイソシアネートの含有量が上記下限より小さい場合、第1液組成物の粘度が増大し、第1液組成物及び第2液組成物を混合し難くなるおそれがある。逆に、上記ポリイソシアネートの含有量が上記上限を超える場合、第1液組成物を硬化させるために必要なポリオール成分及び/又はポリアミン成分が増加するため、第2液組成物の体積が増加して第1液組成物と混合し難くなるおそれがある。
当該造形材料が上記ポリイソシアネートを含む場合、当該造形材料における上記ポリイソシアネートの含有量の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。一方、上記ポリイソシアネートの含有量の上限としては、50質量%が好ましく、35質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。上記ポリイソシアネートの含有量が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速くなりすぎ、当該造形材料による3次元造形物の製造が困難となるおそれがある。逆に、上記ポリイソシアネートの含有量が上記上限を超える場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。
[第1液組成物の製造方法]
第1液組成物は、例えば上記長鎖ポリオール及び/又は上記長鎖ポリアミンと、この長鎖ポリオール及び/又は上記長鎖ポリアミンに対して過剰量の上記ポリイソシアネートとを反応させる方法で得ることができる。また、第1液組成物は、上記プレポリマーを別途用意し、このプレポリマーと上記ポリイソシアネートとを混合する方法でも得ることができる。なお、後述する可塑剤等の任意成分は、必要に応じて任意のタイミングで添加すればよい。
[第2液組成物]
第2液組成物は、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むことが好ましい。
第2液組成物の80℃での粘度の上限としては、400mPa・sが好ましく、300mPa・sがより好ましい。一方、第2液組成物の80℃での粘度の下限としては、特に限定されないが、例えば50mPa・sである。第2液組成物の80℃での粘度が上記上限を超える場合、第1液組成物と混合し難くなるおそれがある。
(長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミン)
第2液組成物に用いる長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンとしては、例えば上記プレポリマーの原料として例示した長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンと同様のもの等を挙げることができる。なお、第2液組成物が含む長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンは、第1液組成物が含むプレポリマーの合成に用いられた長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンと同一でも異なっていてもよい。
第2液組成物が上記ソフトセグメント成分を含む場合、第2液組成物における上記ソフトセグメント成分の含有量の下限としては、30質量%が好ましく、35質量%がより好ましく、45質量%がさらに好ましく、70質量%が特に好ましく、80質量%がさらに特に好ましい。一方、上記含有量の上限としては、97質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、93質量%がさらに好ましく、90質量%が特に好ましく、85質量%がさらに特に好ましく、80質量%が最も好ましい。上記含有量が上記下限より小さい場合、第1液組成物を硬化させるために必要な第2液組成物の体積が増加し、第1液組成物及び第2液組成物を混合することが困難となるおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超える場合、第2液組成物における鎖延長剤、架橋剤等の含有量が低下し、当該造形材料により形成される3次元造形物の物性を調整し難くなるおそれがある。また、特に、第2液組成物が上記ソフトセグメント成分として上記長鎖ポリアミンを含有し、その含有量が上記上限を超える場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速くなりすぎ、当該造形材料による3次元造形物の製造が困難となるおそれもある。
当該造形材料が上記ソフトセグメント成分を含む場合、当該造形材料における上記ソフトセグメント成分の含有量の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましく、25質量%が特に好ましく、35質量%がさらに特に好ましい。一方、上記含有量の上限としては、65質量%が好ましく、55質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましく、45質量%が特に好ましい。上記含有量が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超える場合、上記プレポリマー、鎖延長剤、架橋剤等の含有量が低下し、当該造形材料により形成される3次元造形物の物性を調整し難くなるおそれがある。
(鎖延長剤)
第2液組成物に用いる鎖延長剤は、当該造形材料により形成される3次元造形物の靭性等を向上する。上記鎖延長剤としては、例えば短鎖ジオール、短鎖ジアミン等を用いることができる。
鎖延長剤として用いる短鎖ジオールは、分子中に2個の水酸基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖ジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールや、特開2015−209538号公報の段落[0018]に記載の化合物などが挙げられる。上記短鎖ジオールとしては、脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
鎖延長剤として用いる短鎖ジアミンは、分子中に2個のアミノ基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖ジアミンとしては、例えばジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)や、特表2015−533383号の段落[0040]に記載の化合物等が挙げられる。上記短鎖ジアミンとしては、DETDAが好ましい。
第2液組成物が上記鎖延長剤を含む場合、第2液組成物における上記鎖延長剤の含有量の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましく、10質量%が特に好ましい。一方、上記鎖延長剤の含有量の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、30質量%が特に好ましく、20質量%がさらに特に好ましい。上記鎖延長剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の物性を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記鎖延長剤の含有量が上記上限を超える場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の柔軟性が低下するおそれがある。
当該造形材料が上記鎖延長剤を含む場合、当該造形材料における上記鎖延長剤の含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。一方、上記鎖延長剤の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、15質量%がさらに好ましく、8質量%が特に好ましい。上記鎖延長剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の物性を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記鎖延長剤の含有量が上記上限を超える場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の柔軟性が低下するおそれや上記鎖延長剤がブリードアウトするおそれがある。
(架橋剤)
第2液組成物に用いる架橋剤は、当該造形材料により形成される3次元造形物の弾性率を低下させる。上記架橋剤としては、例えば短鎖トリオール、短鎖テトラオール、短鎖トリアミン等を用いることができる。
架橋剤として用いる短鎖トリオールは、分子中に3個の水酸基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖トリオールとしては、例えばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ヘキサントリオール等が挙げられる。上記短鎖トリオールとしては、これらの中で、トリメチロールプロパンが好ましい。
架橋剤として用いる短鎖テトラオールは、分子中に4個の水酸基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖テトラオールとしては、例えばペンタエリスリトール等が挙げられる。
架橋剤として用いる短鎖トリアミンは、分子中に3個のアミノ基を有する分子量300未満の化合物である。上記短鎖トリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビスヘキサメチレントリアミン等が挙げられる。
第2液組成物が上記架橋剤を含む場合、第2液組成物における上記架橋剤の含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1.5質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましい。一方、上記架橋剤の含有量の上限としては、15質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。上記架橋剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の物性を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記架橋剤の含有量が上記上限を超える場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の柔軟性が低下するおそれがある。
当該造形材料が上記架橋剤を含む場合、当該造形材料における上記架橋剤の含有量の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.3質量%がより好ましく、0.8質量%がさらに好ましく、1.5質量%が特に好ましい。一方、上記架橋剤の含有量の上限としては、8質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましい。上記架橋剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の物性を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記架橋剤の含有量が上記上限を超える場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の柔軟性が低下するおそれや、上記架橋剤がブリードアウトするおそれがある。
(可塑剤)
第1液組成物及び/又は第2液組成物は、好適な任意成分として、可塑剤をさらに含むとよい。当該造形材料に用いる可塑剤は、第1液組成物及び/又は第2液組成物の粘度を低下させ、第1液組成物及び第2液組成物を混合し易くする。また、上記可塑剤は、当該造形材料により形成される3次元造形物の弾性率等を調整する。さらに、上記可塑剤は、硬化反応への影響が比較的少なく、かつ比較的多く配合することができる成分であるため、その含有量を調整することによって、形成される3次元造形物の物性にはあまり影響を与えずに第1液組成物及び/又は第2液組成物の嵩を調整することもできる。これにより、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比をより1:1に近づけることができる。
上記可塑剤としては、例えばジエチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジブチルフタレート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート(TCPP)、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等が挙げられる。上記可塑剤としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルが好ましい。
第1液組成物及び第2液組成物の両方が可塑剤を含む場合、第1液組成物及び第2液組成物は、同種の可塑剤を含むことが好ましい。
当該造形材料が上記可塑剤を含む場合、当該造形材料における上記可塑剤の含有量の下限としては、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。一方、上記可塑剤の含有量の上限としては、40質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましく、15質量%が特に好ましい。上記可塑剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の弾性率等を調整し難くなるおそれがある。また、上記可塑剤の含有量の調整によって第1液組成物及び/又は第2液組成物の嵩を調整する場合には、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を十分に1:1に近づけることができないおそれもある。逆に、上記可塑剤の含有量が上記上限を超える場合、当該3次元造形物の製造方法により形成される3次元造形物にブリードアウトが生じるおそれがある。
第1液組成物が上記可塑剤を含む場合、第1液組成物における上記可塑剤の含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、上記可塑剤の含有量の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。上記可塑剤の含有量を上記範囲とすることで、上記可塑剤の含有量の調整によって第1液組成物の嵩を調整する場合に、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比をより1:1に近づけることができる。
第2液組成物が上記可塑剤を含む場合、第2液組成物における上記可塑剤の含有量の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましく、10質量%が特に好ましい。一方、上記可塑剤の含有量の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、30質量%が特に好ましく、25量%がさらに特に好ましく、20質量%が最も好ましい。上記可塑剤の含有量の調整によって第1液組成物及び/又は第2液組成物の液量を調整する場合に、上記可塑剤の含有量を上記範囲とすることで、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比をより1:1に近づけることができる。上記可塑剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該造形材料により形成される3次元造形物の弾性率等を調整し難くなるおそれがある。逆に、上記可塑剤の含有量が上記上限を超える場合、上記長鎖ポリオール及び/又は上記長鎖ポリアミンの含有量が低下することで第1液組成物を硬化させるために必要な第2液組成物の体積が増加し、第1液組成物及び第2液組成物を均一に混合することが困難となるおそれがある。
(任意成分)
第2液組成物は、触媒をさらに含有することが好ましい。また、第2液組成物は、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤等の任意成分をさらに含有してもよい。なお、上記任意成分は、イソシアネート成分の貯蔵安定性の観点から、通常第2液組成物に含まれるが、第1液組成物に含まれていてもよい。
(触媒)
第2液組成物に用いる触媒は、第1液組成物のポリイソシアネート成分と第2液組成物のポリオール成分との硬化反応を促進する。上記触媒としては、例えばジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクチル酸第一錫等の有機錫化合物や、有機チタン化合物や、有機ジルコニウム化合物や、カルボン酸錫塩や、カルボン酸ビスマス塩や、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒などが挙げられる。上記触媒としては、当該造形材料により形成される3次元造形物の変色を抑制する観点から、アミン系触媒以外の触媒が好ましく、有機錫化合物がより好ましく、ジラウリル酸ジメチル錫がさらに好ましい。
第2液組成物が上記触媒を含む場合、第2液組成物における上記触媒の含有量の下限としては、0.005質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましい。一方、第2液組成物における触媒の含有量の上限としては、0.2質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0.05質量%がさらに好ましく、0.1質量%が特に好ましい。また、当該造形材料が上記触媒を含む場合、当該造形材料における上記触媒の含有量の下限としては、0.003質量%が好ましく、0.006質量%がより好ましく、0.01質量%がさらに好ましい。一方、当該造形材料における上記触媒の含有量の上限としては、0.15質量%が好ましく、0.07質量%がより好ましく、0.05質量%がさらに好ましく、0.025質量%が特に好ましい。上記触媒の含有量が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が低下し、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。逆に、上記触媒の含有量が上記上限を超える場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速くなりすぎ、当該造形材料による3次元造形物の製造が困難となるおそれがある。
当該造形材料における第1液組成物及び第2液組成物の質量比(第1液組成物:第2液組成物)の下限としては、100:250が好ましく、100:180がより好ましく、100:120がさらに好ましく、100:110が特に好ましく、100:105がさらに特に好ましい。一方、上記質量比の上限としては、100:40が好ましく、100:70がより好ましく、100:90がさらに好ましく、100:95が特に好ましい。このように、上記質量比を上記範囲とすることで、第1液組成物及び第2液組成物をより均一に混合できる。
[第2液組成物の製造方法]
第2液組成物は、例えば長鎖ポリオール、長鎖ポリアミン又はこれらの組み合わせと、鎖延長剤、架橋剤又はこれらの組み合わせと、任意成分とを攪拌混合する方法等により得ることができる。この場合、攪拌時間としては、例えば30秒以上3分以下とすることができる。
第1液組成物のプレポリマーがウレタンプレポリマー、第2液組成物のソフトセグメント成分が長鎖ポリオール、第2液組成物のハードセグメント成分が鎖延長剤としての短鎖ジオール及び架橋剤としての短鎖トリオールであるとよい。このように、第1液組成物のプレポリマーがウレタンプレポリマー、第2液組成物のソフトセグメント成分が長鎖ポリオール、第2液組成物のハードセグメント成分が鎖延長剤としての短鎖ジオール及び架橋剤としての短鎖トリオールであることで、当該造形材料によりポリウレタンを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
第1液組成物のプレポリマーがウレタンプレポリマー、第2液組成物のソフトセグメント成分が長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミン、第2液組成物のハードセグメント成分が鎖延長剤としての短鎖ジアミンであるとよい。このように、第1液組成物のプレポリマーがウレタンプレポリマー、第2液組成物のソフトセグメント成分が長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミン、第2液組成物のハードセグメント成分が鎖延長剤としての短鎖ジアミンであることで、当該造形材料によりポリウレタンウレアを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
<利点>
当該造形材料は、第1液組成物及び第2液組成物を混合し易いため、後述する当該3次元造形物の製造方法に好適に用いることができる。
[第2実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を3Dプリンタで吐出する直前に混合する。
(3Dプリンタ)
図1に示すように、当該3次元造形物の製造方法では、上面が平坦な支持体である支持台A1と、この支持台A1の上面と対向するように鉛直方向下向きに配設されている混合液吐出ノズルA2とを主に備えるインクジェット方式の3Dプリンタを用いる。
[順次積層工程]
本工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する方法としては、特に限定されないが、例えば第1液組成物及び第2液組成物をそれぞれの専用タンク等から混合液吐出ノズルA2の吐出部に供給する各配管を混合液吐出ノズルA2の内部で合流させる方法等が挙げられる。これにより、上記3Dプリンタの混合液吐出ノズルA2から吐出される直前に第1液組成物及び第2液組成物が混合する。
本工程における第1液組成物及び第2液組成物の混合質量比(第1液組成物:第2液組成物)、つまり第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比の下限としては、100:250が好ましく、100:180がより好ましく、100:120がさらに好ましく、100:110が特に好ましく、100:105がさらに特に好ましい。一方、上記質量比の上限としては、100:40が好ましく、100:70がより好ましく、100:90がさらに好ましく、100:95が特に好ましい。このように、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を上記範囲とすることで、その混合体積比をより1:1に近づけることができる。これにより、第1液組成物及び第2液組成物をより均一に混合することができる。
本工程における第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比は、造形中に略一定に保つことが好ましい。ここで上記吐出量の質量比が「略一定」とは、上記吐出量の質量比の最大値を100:R、最小値を100:Rとしたときに、R/Rが0.95以上であることをいう。
第1液組成物及び第2液組成物の混合後の80℃でのゲル化時間の下限としては、3秒が好ましく、5秒がより好ましい。一方、上記ゲル化時間の上限としては、10秒が好ましく、8秒がより好ましい。上記ゲル化時間が上記下限より小さい場合、第1液組成物及び第2液組成物が十分に混合する前に硬化が始まり、その結果、混合の均一性が低下するおそれがある。また、第1液組成物及び第2液組成物を混合してから混合液吐出ノズルA2で吐出する場合に、この混合液吐出ノズルA2が詰まり易くなるおそれもある。逆に、上記ゲル化時間が上記上限を超える場合、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。
本工程では、混合した第1液組成物及び第2液組成物の混合液を混合直後に混合液吐出ノズルA2で吐出する。具体的には、混合液吐出ノズルA2から支持台A1の上面に第1液組成物及び第2液組成物の混合液滴X1を吐出しながら、支持台A1を移動させる。その結果、支持台A1の上面に混合液滴X1が着弾し、この着弾した混合液滴X1が硬化することで合成樹脂層Y1が形成される。
本工程で、形成する3次元造形物の断面形状に一致する平面形状を有する合成樹脂層Y1を順次積層することにより、上記3次元造形物を形成できる。形成する合成樹脂層Y1の形状は、例えばCAD(Computer Aided Design)データ等に基づいて作成した上記3次元造形物の断面形状データに基づき、支持台A1の移動と、混合液吐出ノズルA2からの混合液滴X1の吐出タイミングとを制御することで調整される。
本工程で混合液吐出ノズルA2から吐出する混合液滴X1の平均体積の下限としては、1nLが好ましく、5nLがより好ましい。一方、上記平均体積の上限としては、20μLが好ましく、1μLがより好ましい。上記平均体積が上記下限より小さい場合、静電気等の影響で混合液滴X1の着弾位置の制御が困難となり、その結果、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。逆に、上記平均体積が上記上限を超える場合、合成樹脂層Y1の形状が粗雑になり、その結果、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。
本工程における混合液滴X1の吐出間隔の下限としては、2msecが好ましく、5msecがより好ましい。一方、上記吐出間隔の上限としては、50msecが好ましく、20msecがより好ましい。上記吐出間隔が上記下限より小さい場合、複数の混合液滴X1が吐出後に合体することで着弾位置の制御が困難となり、その結果、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。逆に、上記吐出間隔が上記上限を超える場合、3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれがある。
混合液吐出ノズルA2のノズル径の下限としては、0.01mmが好ましく、0.05mmがより好ましい。一方、混合液吐出ノズルA2のノズル径の上限としては、0.5mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。上記ノズル径が上記下限より小さい場合、吐出する混合液滴X1の平均体積が小さくなり過ぎることで3次元造形物の製造における生産性が低下するおそれや、混合液滴X1の吐出圧力が高くなり過ぎることで着弾後に周囲に飛散し、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。逆に、上記ノズル径が上記上限を超える場合、吐出する混合液滴X1の平均体積が大きくなり過ぎることで合成樹脂層Y1の形状が粗雑になり、その結果、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。
混合液滴X1の吐出圧力の下限としては、0.02MPaが好ましく、0.05MPaがより好ましい。一方、混合液滴X1の吐出圧力の上限としては、0.5MPaが好ましく、0.2MPaがより好ましい。混合液滴X1の吐出圧力が上記下限より小さい場合、静電気等によって混合液滴X1の着弾位置に誤差が生じ易くなり、その結果、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。逆に、混合液滴X1の吐出圧力が上記上限を超える場合、混合液滴X1が着弾後に周囲に飛散し、形成される3次元造形物の造形精度が低下するおそれがある。
本工程において吐出する第1液組成物及び第2液組成物の液温としては、例えば20℃以上60℃以下とすることができる。また、支持台A1の温度としては、例えば15℃以上150℃以下とすることができる。
本工程で形成する合成樹脂層Y1の1層の平均厚さとしては、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いることで、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に比較的近い範囲とすることができるため、第1液組成物及び第2液組成物を均一に混合して確実に硬化させることができる。その結果、当該3次元造形物の製造方法は、3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、靴底、自動二輪車や自転車のグリップ、メガネ、マスク、装飾品などのパーソナルユースの商品や、義肢、トレーニング器具等に用いる3次元造形物の製造に好適に用いることができる。
また、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第3実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物をラインミキサー等で十分に混合してから混合液吐出ノズルA2で吐出できるため、より確実に3次元造形物を製造できる。さらに、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第3実施形態の製造方法と比較し、混合液滴X1の平均体積を小さくし易いため、形成される3次元造形物の造形精度をより向上できる。
[第3実施形態]
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直後に混合する。
すなわち、当該3次元造形物の製造方法は、第2実施形態の製造方法において、第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する替わりに、吐出直後に混合することを特徴とする。
(3Dプリンタ)
図2に示すように、当該3次元造形物の製造方法では、上面が平坦な支持台A11と、この支持台A11の上方に配設される第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bとを主に備えるインクジェット方式の3Dプリンタを用いる。第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bは、それぞれの中心軸を通る仮想直線が支持台A11直上で合流するように鉛直方向斜め下向きに配設されている。
[順次積層工程]
本工程では、第1液組成物を第1液吐出ノズルA12aで吐出し、第2液組成物を第2液吐出ノズルA12bで吐出する。具体的には、第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bから第1液組成物の液滴X11a及び第2液組成物の液滴X11bを支持台A11の上面に吐出しながら、支持台A11を移動させる。吐出された第1液組成物の液滴X11a及び第2液組成物の液滴X11bは、支持台A11の上面の同一箇所に同時に着弾することで合体して混合液滴X11cとなり、この混合液滴X11cが硬化することで合成樹脂層Y11を形成する。
本工程では、第2実施形態の製造方法と同様に、形成する3次元造形物の断面形状に一致する平面形状を有する合成樹脂層Y11を順次積層することにより、上記3次元造形物を形成できる。
本工程で形成される混合液滴X11cの平均体積としては、例えば第2実施形態の製造方法において混合液吐出ノズルA2から吐出する混合液滴X1の平均体積と同様とすることができる。
当該3次元造形物の製造方法における他の条件や用途は、第2実施形態の製造方法における各条件と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、第2実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用してもノズルの詰まりを抑制できる。
また、当該3次元造形物の製造方法は、後述するその他の実施形態における空中で第1液組成物の液滴及び第2液組成物を衝突させて合体させる製造方法と比較し、飛沫を抑制できる。
[第4実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで合成樹脂層の密度を部位毎に変化させ、これにより部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
(3Dプリンタ)
図3に示すように、当該3次元造形物の製造方法では、上面が平坦な支持体である支持台A21と、この支持台A21の上面と対向するように鉛直方向下向きに配設される混合液吐出ノズルA22とを主に備えるインクジェット方式の3Dプリンタを用いる。
[順次積層工程]
本工程では、第1液組成物及び第2液組成物の混合液を混合直後に3Dプリンタの混合液吐出ノズルA22で吐出し、支持台A21上に合成樹脂層Y21を順次積層する。具体的には、混合液吐出ノズルA22から支持台A21の上面に第1液組成物及び第2液組成物の混合液滴X21を吐出しながら、支持台A21を移動させる。その結果、支持台A21の上面に混合液滴X21が着弾し、この着弾した混合液滴X21が硬化することで合成樹脂層Y21が形成される。次に、形成された合成樹脂層Y21上に、同様の操作で混合液滴X21の吐出を行い、複数の合成樹脂層を順次積層する。
本工程では、途中で吐出ピッチを低ピッチ、中ピッチ又は高ピッチの3段階で変化させることにより、形成される合成樹脂層Y21の密度を部位毎に変化させる。具体的には、合成樹脂層Y21の形成時のある段階では、吐出ピッチを低くすることで第1液組成物及び第2液組成物を十分に吐出し、空隙が形成されていない高密度の低ピッチ領域Y21aを形成する。別の段階では、低ピッチ領域Y21aの形成時よりも吐出ピッチを増大することで第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を低下させ、多少の空隙が形成されている中密度の中ピッチ領域Y21bを形成する。さらに別の段階では、中ピッチ領域Y21bの形成時よりも吐出ピッチを増大させることで第1液組成物及び第2液組成物の吐出量をさらに低下させ、多数の空隙が形成された低密度の高ピッチ領域Y21cを形成する。このように、合成樹脂層Y21の一部に多孔質領域である中ピッチ領域Y21b及び高ピッチ領域Y21cを形成する。これにより、低ピッチ領域Y21a、中ピッチ領域Y21b及び高ピッチ領域Y21cという密度及び空隙率の異なる3種類の領域を有する合成樹脂層Y21を形成できる。ここで「吐出ピッチ」とは、平面視において支持台A21上に着弾した複数の混合液滴X21の中心の平均間隔をいう。
このようにして形成した3次元造形物の一例を図4に示す。この3次元造形物は、合成樹脂部Zと、この合成樹脂部Z中に分散する空孔Hとを備え、低ピッチ領域Y21aに由来する無孔質領域Zaと、中ピッチ領域Y21bに由来する低空隙率領域Zbと、高ピッチ領域Y21cに由来する高空隙率領域Zcとからなる空隙率の異なる3種類の領域により構成されている。この3次元造形物の各領域は、密度及び空隙率の違いにより、引張特性、耐摩耗性等の物性が異なる。具体的には、密度が低い領域、すなわち空隙率の高い領域ほど、引張特性及び耐摩耗性が低下する。そのため、上記3次元造形物は、構成材料は同一であるが、部位毎に異なる物性を有する。具体的には、上記3次元造形物の引張特性及び耐摩耗性は、無孔質領域Zaにおいて最大となり、高空隙率領域Zcにおいて最小となり、低空隙率領域Zbでは無孔質領域Za及び高空隙率領域Zcの中間となる。
但し、図3に示す一工程は当該3次元造形物の製造方法において第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させる方法の一例に過ぎない。具体的には、図3に示す一工程では吐出ピッチを変化させることで第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させたが、吐出する液滴のサイズを変化させることで第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させてもよい。また、図3に示す一工程では、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を3段階に変化させることで密度及び空隙率の異なる3種類の領域を形成したが、上記吐出量は2段階に変化させてもよく、4段階以上に変化させてもよい。また、上記吐出量を連続的に変化させることにより、物性が連続的に変化する傾斜機能材料を形成することもできる。
さらに、図3に示す一工程では、合成樹脂層Y21の平面方向(図3中の左右方向)において密度及び空隙率を変化させたが、合成樹脂層Y21の厚さ方向(図3中の上下方向)において密度及び空隙率を変化させてもよい。さらに、図3に示す一工程では、合成樹脂層Y21の一部のみに多孔質領域を形成したが、合成樹脂層Y21の全体に多孔質領域を形成してもよい。さらに、図4では3次元造形物の空孔Hの形状が断面略円形であるが、上記空孔の形状は特に限定されず、例えば球状、楕円球状、直方体状、円柱状、多角柱等とすることができる。また、当該3次元造形物の製造方法では、例えば正六角柱状の空孔を等間隔で導入することでハニカム構造を形成してもよい。さらに、当該3次元造形物の製造方法では、導入する空孔Hの径を変動させることで空隙率を変化させてもよく、3次元造形物の体積当たりの空孔Hの数を変動させることで空隙率を変化させてもよい。
本工程における吐出ピッチの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、上記吐出ピッチの上限としては、1.2mmが好ましく、0.9mmがより好ましい。上記吐出ピッチを上記範囲とすることで、3次元造形物の強度を確保しつつ物性を確実に変化させることができる。上記吐出ピッチが上記上限を超える場合、形成される3次元造形物の強度が不十分となるおそれがある。
本工程における吐出ピッチの変化倍率の下限としては、2倍が好ましく、2.5倍がより好ましい。一方、上記吐出ピッチの変化倍率の上限としては、5倍が好ましく、4倍がより好ましい。上記吐出ピッチの変化倍率が上記下限より小さい場合、形成される3次元造形物の物性を部位毎に十分に変化させることができないおそれがある。逆に、上記吐出ピッチの変化倍率が上記上限を超える場合、形成される3次元造形物の一部の密度が極端に低くなり、その部位を起点とする破壊が生じ易くなるおそれがある。ここで「吐出ピッチの変化倍率」とは、造形中の最大吐出ピッチ[mm]を最小吐出ピッチ[mm]で除した値をいう。
本工程では、多孔質領域の空隙率を0体積%超45体積%以下の範囲で変化させるとよい。上記空隙率が上記上限を超える場合、3次元造形物の強度が部分的に不十分となるおそれがある。
本工程では、形成される3次元造形物の見かけの密度を0.5g/cm以上1.2g/cm以下の範囲で変化させるとよい。上記空隙率が上記下限より小さい場合、3次元造形物の強度が部分的に不十分となるおそれがある。ここで「見かけの密度」とは、3次元造形物の任意の10箇所からそれぞれ100mgの試料を採取し、この試料の寸法から算出される見かけの体積[mm]で質量(100mg)を除すことで算出される値を意味する。なお、上記3次元造形物の任意の10箇所からそれぞれ100mgの試料を採取できない場合、採取可能な最大質量の試料を用いるものとする。
また、形成される3次元造形物の平均空隙率の下限としては、1体積%が好ましく、5体積%がより好ましい。一方、上記平均空隙率の上限としては、30体積%が好ましく、20体積%がより好ましい。上記平均空隙率が上記下限より小さい場合、上記3次元造形物の物性の部位毎の変化幅が小さくなるおそれがある。逆に、上記平均空隙率が上記上限を超える場合、上記3次元造形物の強度が不十分となるおそれがある。ここで「平均空隙率」とは、10箇所で測定した上記空隙率の算術平均値を意味する。
本工程で形成される上記3次元造形物の空孔Hの平均径としては、特に限定されないが、その下限としては、10μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、上記空孔Hの平均径の上限としては、1mmが好ましく、200μmがより好ましい。空孔Hの平均径の下限が上記下限より小さい場合、上記3次元造形物の物性の部位毎の変化幅が小さくなるおそれがある。逆に、空孔Hの平均径の下限が上記上限を超える場合、上記3次元造形物の強度が不十分となるおそれがある。ここで「空孔の平均径」とは、上記3次元造形物の断面を顕微鏡等で観察し、任意の10個の空孔において、その面積と等面積の真円における径の算術平均値をいう。
当該3次元造形物の製造方法における他の条件は、第2実施形態や第3実施形態と同様とすることができる。
[用途]
当該3次元造形物の製造方法は、物性が部位毎に異なる成形体の製造に好適に用いることができる。上記変化させる物性としては、特に限定されないが、例えば弾性率、硬度、耐摩耗性、色等が挙げられる。具体的には、例えばシート状造形物を製造する場合、50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)を3MPa以上40MPa以下、引張強さ(TB)を5MPa以上60MPa以下、切断時伸び(EB)を100%以上400%以下、JIS−A硬度を60°以上100°以下、DIN摩耗量を200mm以下の範囲内で変化させるとよい。
ここで、上記50%伸長した際の伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸びは、それぞれJIS−K7312:1996「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に準拠して測定される値をいう。また、上記JIS−A硬度は、旧JIS−K6301:1995「加硫ゴム物理試験方法」に準拠して測定される値をいう。さらに、上記DIN摩耗量は、JIS−K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」に準拠して測定される値をいう。
当該3次元造形物の製造方法は、例えば靴底、バイクや自動二輪車のグリップ、メガネ、マスク、装飾品等のパーソナルユース商品や、義肢、トレーニング器具などの製造に好適に用いることができる。これらの中で、靴底は、部位毎に物性を変化させる必要があり、また使用者に合わせて形状や物性等を変化させるテーラーメイド化の要求がある。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、靴底の製造に特に好適に用いることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、ポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とし、物性が部位毎に異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
また、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第5実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物をラインミキサー等で十分に混合してから混合液吐出ノズルA22で吐出できるため、より確実に3次元造形物を製造できる。さらに、当該3次元造形物の製造方法は、混合液滴X21の平均体積を小さくし易いため、形成される3次元造形物の造形精度をより向上できる。
さらに、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第6実施形態から第9実施形態までの製造方法と比較し、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を変化させなくても形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができるため、混合体積比の変動に起因する硬化不良を抑制できる。
[第5実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直後に混合する。また、順次積層工程で、上記第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで合成樹脂層の密度を部位毎に変化させ、これにより部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
すなわち、当該3次元造形物の製造方法は、第4実施形態の製造方法において、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直前に混合する替わりに、吐出直後に混合することを特徴とする。
当該3次元造形物の製造方法における他の条件や用途は、第2実施形態から第4実施形態の製造方法と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、第4実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用してもノズルの詰まりを抑制できる。
[第6実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する後述する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
すなわち、当該3次元造形物の製造方法は、第4実施形態の製造方法と比較し、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させる替わりに、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させる点が相違する。
当該3次元造形物の製造方法に用いる第1液組成物は、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含む。また、第2液組成物は、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含む。
(3Dプリンタ)
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、図5に示す造形材料供給システムZ1を適用した3Dプリンタを用いることができる。
図5の造形材料供給システムZ1は、上記3Dプリンタの混合液吐出ノズルA2に第1液組成物及び第2液組成物の混合液を供給する。この造形材料供給システムZ1は、第2液タンクBと、第1液タンクCとを主に備える。第2液タンクBには第2液供給ラインbが接続されている。第1液タンクCには第1液供給ラインcが接続されている。第2液供給ラインbにおける第2液タンクBと反対側の端部と、第1液ラインcにおける第1液タンクCと反対側の端部とは、混合液供給ラインdの一方の端部に接続されている。この混合液供給ラインdは、他方の端部が図1における混合液吐出ノズルA2に接続されている。第2液タンクBに貯蔵される第2液組成物と、第1液タンクCに貯蔵される第1液組成物とは、それぞれ第2液供給ラインb又は第1液供給ラインcを介して混合液供給ラインdに供給される。混合液供給ラインdに供給された第1液組成物及び第2液組成物は、混合液供給ラインd内で混合された後、図1における混合液吐出ノズルA2に供給される。混合液供給ラインdには、必要に応じてマイクロスタティックミキサー等のラインミキサーを途中に設けてもよい。
造形材料供給システムZ1は、第1液タンクCから供給される第1液組成物及び第2液タンクBから供給される第2液組成物の供給量をそれぞれ増減することで、混合液吐出ノズルA2に供給される混合液における第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることができる。
[順次積層工程]
本工程では、上述の造形材料供給システムZ1により、第1液組成物及び第2液組成物を混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。また、本工程では、第1液組成物及び第2液組成物の供給量の増減により、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。
本工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。また、本工程では、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を段階的に変化させてもよく、漸次的に変化させてもよいが、漸次的に変化させることが好ましい。このように、本工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を漸次的に変化させることで、傾斜機能材料を形成することが可能となる。
本工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させる方法としては、第1液組成物及び第2液組成物のうち一方の供給量を一定としつつ他方を増減させる方法や、両方の供給量を増減させる方法等が挙げられる。
造形中の第1液組成物及び第2液組成物の混合比変化率の下限としては、3%が好ましく、7%がより好ましい。一方、上記混合比変化率の上限としては、20%が好ましく、12%がより好ましい。上記混合比変化率が上記下限より小さい場合、形成される3次元造形物の物性の部位毎の変化幅が低下するおそれがある。逆に、上記混合比変化率が上記上限を超える場合、第1液組成物及び第2液組成物の混合液においてイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分とのうち一方が過剰となり、硬化反応が不十分となるおそれがある。ここで「混合比変化率」とは、造形中の第1液組成物及び第2液組成物の混合質量比(第1液組成物/第2液組成物)の最小値を「Rmin」、最大値を「Rmax」としたときに下記式で表される値をいう。
混合比変化率(%)=100×(Rmax−Rmin)/Rmin
[用途]
当該3次元造形物の製造方法は、物性が部位毎に異なる成形体の製造に好適に用いることができる。上記変化させる物性としては、特に限定されないが、例えば弾性率、硬度、耐摩耗性、色等が挙げられる。具体的には、例えばシート状造形物を製造する場合、50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)を1.5MPa以上12MPa以下、引張強さ(TB)を5MPa以上60MPa以下、切断時伸び(EB)を200%以上400%以下、JIS−A硬度を50°以上100°以下、DIN摩耗量を120mm以下の範囲内で変化させるとよい。
当該3次元造形物の製造方法における第1液組成物及び第2液組成物の組成、他の条件、用途等は、第2実施形態の製造方法と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることで、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。また、当該3次元造形物の製造方法は、擬似プレポリマー法で反応する第1液組成物及び第2液組成物を造形材料として用いるため、造形中に混合比を変化させてもその混合体積比を1:1に比較的近い範囲で維持し易い。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、ポリウレタン等を主成分とし、物性が部位毎に異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
さらに、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第7実施形態、第8実施形態、第10実施形態及び第11実施形態と比較し、使用する3Dプリンタの造形材料供給システムの構造を簡便化できるため、設備コストを低減し易い。さらに、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第9実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物を確実に混合してから混合液吐出ノズルA2で吐出できるため、より確実に3次元造形物を製造できる。さらに、当該3次元造形物の製造方法は、混合液滴X1の平均体積を小さくし易いため、形成される3次元造形物の造形精度をより向上できる。
[第7実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。当該3次元造形物の製造方法は、順次積層工程で、第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも1つを変化させる。
当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態の製造方法と比較し、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させる替わりに、第1液組成物の組成及び/又は第2液組成物の組成を変化させることにより形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させる点が相違する。但し、本実施形態では、上記組成を変化させると共に第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させてもよい。
(3Dプリンタ)
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、複数種の原料の予備混合によって第1液組成物及び/又は第2液組成物を調製する造形材料供給システムを適用した3Dプリンタを用いることができる。このような造形材料供給システムの1例を図6に示す。
図6の造形材料供給システムZ2は、上記3Dプリンタの混合液吐出ノズルA2に第1液組成物及び第2液組成物の混合液を供給する。この造形材料供給システムZ2は、2つの第2液原料タンクEと、第1液タンクCとを主に備える。2つの第2液原料タンクEには、それぞれ第2液原料供給ラインe1が接続されている。2本の第2液原料供給ラインe1における第2液原料タンクEと反対側の端部は、それぞれラインミキサーFに接続されている。ラインミキサーFには、第2液供給ラインe2が接続されている。第1液タンクCには第1液供給ラインcが接続されている。第2液供給ラインe2におけるラインミキサーFと反対側の端部と、第1液ラインcにおける第1液タンクCと反対側の端部とは、混合液供給ラインdの一方の端部に接続されている。この混合液供給ラインdは、他方の端部が図1における混合液吐出ノズルA2に接続されている。
2つの第2液原料タンクEには、第2液組成物を構成する2種の原料がそれぞれ貯蔵される。上記2種の原料は、それぞれ第2液原料供給ラインe1を介してラインミキサーFに供給される。ラインミキサーFに供給された上記2種の原料は、混合されて第2液組成物へと調製された後、第2液供給ラインe2を介して混合液供給ラインdに供給される。第1液タンクCに貯蔵される第1液組成物は、第1液供給ラインcを介して混合液供給ラインdに供給される。混合液供給ラインdに供給された第1液組成物及び第2液組成物は、混合液供給ラインd内で混合された後、図1における混合液吐出ノズルA2に供給される。なお、混合液供給ラインdには、必要に応じてマイクロスタティックミキサー等のラインミキサーを途中に設けてもよい。
造形材料供給システムZ2は、2つの第2液原料タンクEから供給する上記2種の原料の供給量を変化させることで、混合液供給ラインdに供給される第2液組成物の組成を変化させることができる。
第2液組成物を構成する原料としては、混合により第2液組成物に調製できるものであれば特に限定されず、第2液組成物に含まれる成分のうち1種の成分のみを含んでもよく、2種以上の成分を含んでもよい。また、上記原料は、ソフトセグメント成分及びハードセグメント成分を含み、単独でも第2液組成物として使用可能な組成物であってもよい。
ラインミキサーFとしては、第2液組成物を構成する原料を効率的に混合する観点から、駆動部のない静止型混合器の一種であるマイクロスタティックミキサーが好ましい。
なお、図6では、第2液組成物を構成する2種の原料を別々のタンクに貯蔵し、この2種の原料の混合により第2液組成物を調製する造形材料供給システムZ2について説明したが、上記3Dプリンタには他の造形材料供給システムを適用可能である。具体的には、第2液組成物を構成する3種以上の原料を別々のタンクに貯蔵し、この3種以上の原料の混合により第2液組成物を調製してもよい。また、第1液組成物の組成を変化させるために、第1液組成物を構成する2種以上の原料を別々のタンクに貯蔵し、この2種以上の原料の混合により第1液組成物を調整してもよい。この場合、第2液組成物については、組成を変化させるため、別々のタンクに貯蔵した2種以上の原料を混合して調製したものを供給してもよく、予め調製したものを1つのタンクに貯蔵し、一定の組成で供給してもよい。また、ラインミキサーFは省略してもよい。
[順次積層工程]
本工程では、2種以上の原料を予備混合することで調製した第1液組成物及び/又は第2液組成物と、必要に応じて別途用意される第1液組成物又は第2液組成物とをさらに混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。また、本工程では、予備混合する上記2種以上の原料の配合量を変更することで、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。本工程で第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。また、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を段階的に変化させてもよく、漸次的に変化させてもよいが、傾斜機能材料を形成可能とする観点から、漸次的に変化させることが好ましい。なお、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させると共に、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させてもよい。
本工程で第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる方法としては、例えば(A)第1液組成物のプレポリマーの組成を変化させる方法、(B)第2液組成物のソフトセグメント成分の組成を変化させる方法、(C)第2液組成物のハードセグメント成分の組成を変化させる方法、(D)第1液組成物及び/又は第2液組成物の任意成分の組成を変化させる方法等が挙げられる。本工程では、(A)から(D)の方法を単独で又は組み合わせて行うことができる。
((A)第1液組成物のプレポリマーの組成を変化させる方法)
第1液組成物のプレポリマーの組成を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のプレポリマーを用意し、この2種以上のプレポリマーの配合比を変化させる方法等が挙げられる。
((B)第2液組成物のソフトセグメント成分の組成を変化させるパターン)
第2液組成物のソフトセグメント成分の組成を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のソフトセグメント成分を用意し、この2種以上のソフトセグメント成分の配合比を変化させる方法や、1種のソフトセグメント成分の含有量を増減させる方法等が挙げられる。
第2液組成物の2種以上のソフトセグメント成分の配合比を変化させる場合、第2液組成物における特定の1種のソフトセグメント成分の含有量の変化幅の下限としては、5質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。一方、上記変化幅の上限としては、50質量%が好ましく、35質量%がより好ましい。上記変化幅を上記範囲とすることで、形成される3次元造形物の物性を適度に変化させることができる。ここで「含有量の変化幅」とは、順次積層工程において、第1液組成物又は第2液組成物における特定成分の含有量を最大とした際のその含有量[質量%]から、上記特定成分の含有量を最小とした際のその含有量[質量%]を減じた値をいう。
((C)第2液組成物のハードセグメント成分の組成を変化させる方法)
第2液組成物のハードセグメント成分の組成を変化させる方法としては、例えばハードセグメント成分として鎖延長剤及び架橋剤を用意し、この鎖延長剤及び架橋剤の配合比を変化させる方法や、1種のハードセグメント成分の含有量を増減させる方法等が挙げられる。
第2液組成物のハードセグメント成分の組成を変化させる場合、第2液組成物における鎖延長剤の含有量の変化幅の下限としては、2質量%が好ましく、8質量%がより好ましい。一方、上記鎖延長剤の含有量の変化幅の上限としては、25質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。また、第2液組成物における架橋剤の含有量の変化幅の下限としては、0.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、上記架橋剤の含有量の変化幅の上限としては、15質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。上記鎖延長剤及び架橋剤の変化幅を上記範囲とすることで、形成される3次元造形物の物性を適度に変化させることができる。
((D)第1液組成物及び/又は第2液組成物の任意成分の組成を変化させる方法)
第1液組成物及び/又は第2液組成物の任意成分の組成を変化させる方法としては、例えば第2液組成物に可塑剤を含ませ、この可塑剤の含有量を変化させる方法や、第2液組成物に顔料を含ませ、この顔料の含有量を変化させる方法等が挙げられる。
第2液組成物に可塑剤を含ませ、この可塑剤の含有量を変化させる場合、第2液組成物における可塑剤の含有量の変化幅の下限としては、3質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記可塑剤の含有量の変化幅の上限としては、35質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。上記可塑剤の変化幅を上記範囲とすることで、形成される3次元造形物の物性を適度に変化させることができる。
第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる方法としては、形成される3次元造形材料の部位毎の物性の変化幅を大きくする観点から、第1液組成物のプレポリマーの組成及び第1液組成物のソフトセグメント成分の組成のうち少なくとも1種を変化させる方法が好ましい。また、硬化反応への影響を抑える観点から、第2液組成物に可塑剤を含ませ、この可塑剤の含有量を変化させる方法も好ましい。
本工程では、第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させることにより、通常、第1液組成物及び第2液組成物の混合比も変化する。但し、本工程では、第1液組成物及び第2液組成物をより確実に混合する観点から、造形中の第1液組成物及び第2液組成物の混合比変化率を低減することが好ましく、混合比変化率を0%とすることが最も好ましい。一方、造形中の第1液組成物及び第2液組成物の混合比変化率の上限としては、100%が好ましく、30%がより好ましい。上記混合比変化率が上記上限を超える場合、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の差が増大し、第1液組成物及び第2液組成物の混合が困難となるおそれがある。
当該3次元造形物の製造方法における第1液組成物及び第2液組成物の組成、他の条件、用途等は、第6実施形態の製造方法と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態及び第8実施形態の製造方法と比較し、形成される3次元造形物の部位毎の物性変化のバリエーションが豊富である。また、当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態の製造方法と比較し、造形中にイソシアネート成分と、ポリオール成分及び/又はポリアミン成分とのモル比を一定範囲内に維持し易いため、形成される3次元造形物の局所的な硬化不良を抑制し易い。
[第8実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
当該3次元造形物の製造方法は、第7実施形態の製造方法において、3Dプリンタに用いる造形材料供給システムを相違させた製造方法である。
(3Dプリンタ)
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、図7に示す造形材料供給システムZ3を適用した3Dプリンタを用いることができる。
図7に示す造形材料供給システムZ3は、上記3Dプリンタの混合液吐出ノズルA2に第1液組成物及び第2液組成物の混合液を供給する。この造形材料供給システムZ3は、3つの第2液タンクGと、第1液タンクCとを主に備える。3つの第2液タンクGには、それぞれ第2液供給サブラインg1が接続されている。3本の第2液供給サブラインg1は、途中で合流し、1本の第2液供給ラインg2を形成する。第1液タンクCには第1液供給ラインcが接続されている。第2液供給ラインg2における第2液供給サブラインg1と反対側の端部と、第1液ラインcにおける第1液タンクCと反対側の端部とは、混合液供給ラインdの一方の端部に接続されている。この混合液供給ラインdは、他方の端部が図1における混合液吐出ノズルA2に接続されている。
3つの第2液タンクGには、組成の異なる3種の第2液組成物がそれぞれ貯蔵され、第2液供給サブラインg1及び第2液供給ラインg2を介して混合液供給ラインdに供給される。第1液タンクCに貯蔵される第1液組成物は、第1液供給ラインcを介して混合液供給ラインdに供給される。混合液供給ラインdに供給された第1液組成物及び第2液組成物は、混合液供給ラインd内で混合された後、図1における混合液吐出ノズルA2に供給される。なお、混合液供給ラインdには、必要に応じてマイクロスタティックミキサー等のラインミキサーを途中に設けてもよい。
造形材料供給システムZ3は、3つの第2液タンクGのうち、特定の1つの第2液タンクGから第2液組成物を混合液供給ラインdに供給する。また、造形材料供給システムZ3は、造形中に第2液組成物を供給している第2液タンクGを任意に切り替え、これにより混合液供給ラインdに供給される第2液組成物の組成を3通りに変化させることができる。
なお、図7では、3種の第2液組成物を別々のタンクに貯蔵し、供給する第2液組成物の組成を3通りに変化させる造形材料供給システムZ3について説明したが、当該3次元造形物の製造方法では他の構成を採用することも可能である。具体的には、2種又は4種以上の第2液組成物を別々のタンクに貯蔵し、供給する第2液組成物の組成を2通り又は4通り以上に変化させてもよい。また、2種以上の第1液組成物を別々のタンクに貯蔵し、第1液組成物を供給するタンクを切り替えることで第1液組成物の組成を2通り以上に変化させてもよい。この場合、第2液組成物については、2種以上の第2液組成物を別々のタンクに貯蔵し、第2液組成物を供給するタンクを切り替えることで組成を2通り以上に変化させてもよく、1つのタンクに貯蔵して組成を一定としてもよい。
[順次積層工程]
本工程では、第1液組成物及び第2液組成物を混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。また、本工程では、第1液組成物及び第2液組成物を供給するタンクを切り替えることにより、混合に供される第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。本工程で第1液組成物及び/又は2液組成物の組成を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。なお、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させると共に、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させてもよい。
本工程で、第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させる方法としては、例えば第7実施形態で説明したものと同様の方法等が挙げられる。
当該3次元造形物の製造方法における第1液組成物及び第2液組成物の組成、他の条件、用途等は、第7実施形態の製造方法と同様とすることができる。
[利点]
当該3次元造形物の製造方法は、第7実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び/又は第2液組成物を2種以上の原料の混合により調製する必要がないため、上記原料の混合不良に起因する第1液組成物及び/又は第2液組成物の成分変動のおそれがない。
[第9実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出直後に混合する。当該3次元造形物の製造方法は、順次積層工程で、第1液組成物の組成と、第2液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つを変化させる。
つまり、当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態から第8実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直前に混合する替わりに、吐出直後に混合する点で相違する。
(3Dプリンタ)
当該3次元造形物の製造方法には、例えば第3実施形態の製造方法で説明した図2の一工程で用いられる3Dプリンタに、第6実施形態から第8実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムから混合液供給ラインを省略した造形材料供給システムを適用した3Dプリンタを用いることができる。すなわち、例えば第6実施形態から第8実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムの第1液供給ライン及び第2液供給ラインの端部を図2における第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bにそれぞれ接続した3Dプリンタを用いることができる。
本工程における第1液組成物及び第2液組成物の組成、他の条件、用途等は、第6実施形態から第8実施形態の製造方法と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態から第8実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用しても、ノズルの詰まりを抑制できる。
[第10実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する後述する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも一方を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。さらに、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下とする。
当該3次元造形物の製造方法に用いる第1液組成物は、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートと、可塑剤とを含む。また、第2液組成物は、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分と、可塑剤とを含む。
すなわち、当該3次元造形物の製造方法は、第7実施形態及び第8実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物において可塑剤を必須とし、かつ順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下とする点が相違する。
(3Dプリンタ)
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、図8に示す造形材料供給システムZ4を適用した3Dプリンタを用いることができる。
図8に示す造形材料供給システムZ4は上記3Dプリンタの混合液吐出ノズルA2に第1液組成物及び第2液組成物の混合液を供給する。この造形材料供給システムZ4は、ソフトセグメント成分タンクIと、ハードセグメント成分タンクJと、可塑剤タンクKと、第1液原料タンクLとを主に備える。ソフトセグメント成分タンクIにはソフトセグメント成分供給ラインiが接続されている。ハードセグメント成分タンクJにはハードセグメント成分供給ラインjが接続されている。可塑剤タンクKには2つの可塑剤供給ラインkが接続されている。第1液原料タンクLには第1液原料供給ラインlが接続されている。
ソフトセグメント成分供給ラインiにおけるソフトセグメント成分タンクIとは反対側の端部と、ハードセグメント成分供給ラインjにおけるハードセグメント成分タンクJとは反対側の端部と、一方の可塑剤供給ラインkにおける可塑剤タンクKとは反対側の端部とは、第2液混合ラインミキサーMに接続されている。第2液混合ラインミキサーMには第2液供給ラインmが接続されている。他方の可塑剤供給ラインkにおける可塑剤タンクKとは反対側の端部と、第1液原料供給ラインlにおける第1液原料タンクLとは反対側の端部とは、第1液混合ラインミキサーNに接続されている。第1液混合ラインミキサーNには第1液供給ラインnが接続されている。第2液供給ラインmにおける第2液混合ラインミキサーMとは反対側の端部と、第1液供給ラインnにおける第1液混合ラインミキサーNとは反対側の端部とは、混合液供給ラインdの一方の端部に接続されている。この混合液供給ラインdは、他方の端部が図1における混合液吐出ノズルA2に接続されている。なお、混合液供給ラインdには、必要に応じてマイクロスタティックミキサー等のラインミキサーを途中に設けてもよい。
ソフトセグメント成分タンクI及びハードセグメント成分タンクJには、第2液組成物の一部を構成するソフトセグメント成分又はハードセグメント成分がそれぞれ貯蔵される。可塑剤タンクKには第1液組成物及び第2液組成物の一部を構成する可塑剤が貯蔵される。第1液原料タンクLには第1液組成物の一部を構成するプレポリマー及びポリイソシアネートの混合液が貯蔵される。第2液組成物を構成するソフトセグメント成分、ハードセグメント成分及び可塑剤は、それぞれソフトセグメント成分タンクI、ハードセグメント成分タンクJ又は可塑剤タンクKからソフトセグメント成分供給ラインi、ハードセグメント成分供給ラインj又は可塑剤供給ラインkを介して第2液混合ラインミキサーMに供給される。第2液混合ラインミキサーMに供給された各成分は、混合により第2液組成物へと調製された後、第2液供給ラインmを介して混合液供給ラインdに供給される。第1液組成物を構成する可塑剤及び上記混合液は、それぞれ可塑剤タンクK又は第1液原料タンクLから可塑剤供給ラインk又は第1液原料供給ラインlを介して第1液混合ラインミキサーNに供給される。第1液混合ラインミキサーNに供給された各成分は、混合により第1液組成物へと調製された後、第1液供給ラインnを介して混合液供給ラインdに供給される。混合液供給ラインdに供給された第1液組成物及び第2液組成物は、混合液供給ラインd内で混合された後、図1における混合液吐出ノズルA2に供給される。
造形材料供給システムZ4は、ソフトセグメント成分タンクI、ハードセグメント成分タンクJ、可塑剤タンクK及び第1液原料タンクLから供給する各成分の供給量を増減することで、混合液吐出ノズルA2に供給される混合液中の第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させることができる。
なお、当該3次元造形物の製造方法で用いる造形材料供給システムは、図8で説明したもの以外にも、他の構成を採用することが可能である。具体的には、第2液組成物を構成する原料は、2個又は4個以上のタンクにそれぞれ貯蔵してもよい。また、第1液組成物を構成する原料は、3個以上のタンクにそれぞれ貯蔵してもよい。さらに、第2液混合ラインミキサーM及び第1液混合ラインミキサーNは省略してもよい。さらに、第1液組成物の調製に用いる可塑剤と第2液組成物の調製に用いる可塑剤とは、それぞれ別々のタンクに貯蔵してもよい。
上述の第1液組成物を構成する原料及び第2液組成物を構成する原料としては、混合により第1液組成物及び第2液組成物に調製できるものであれば特に限定されず、1種の成分のみを含んでもよく、2種以上の成分を含んでもよい。また、上記原料は、単独で第1液組成物又は第2液組成物として使用可能な組成物であってもよい。
ラインミキサーとしては、効率的に混合する観点から、駆動部のない静止型混合器の一種であるマイクロスタティックミキサーが好ましい。
[順次積層工程]
本工程では、2種以上の原料を予備混合することで調製した第1液組成物及び/又は第2液組成物と、必要に応じて別途用意される第1液組成物又は第2液組成物とをさらに混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。本工程では、上記2種以上の原料の配合量を変更することで、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。本工程で第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。また、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を段階的に変化させてもよく、漸次的に変化させてもよいが、傾斜機能材料を形成可能とする観点から、漸次的に変化させることが好ましい。
本工程で第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる方法としては、例えば(a)第1液組成物のプレポリマーの種類及び/又は含有量を変化させる方法、(b)第1液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法、(c)第2液組成物のソフトセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法、(d)第2液組成物のハードセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法、(e)第2液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法等が挙げられる。本工程では、(a)から(e)の方法を単独で又は組み合わせて行うことができる。
本工程で第1液組成物及び第2液組成物の組成を(a)、(c)、(d)等の方法で変化させる場合、第1液組成物及び/又は第2液組成物の可塑剤の含有量を増減させることで第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比の変化を抑制することが好ましい。すなわち、本工程では、(a)、(c)、(d)等の方法と、(b)及び/又は(e)の方法とを組み合わせた方法により、第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させることが好ましい。具体的には、例えば本工程で第2液組成物のハードセグメント成分及びソフトセグメント成分の合計含有量を低減させた場合には、第1液組成物の可塑剤の含有量の低減、及び/又は第2液組成物の可塑剤の含有量の増加により、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比の変化を抑制するとよい。また、逆に第2液組成物のハードセグメント成分及びソフトセグメント成分の合計含有量を増加させた場合には、第1液組成物の可塑剤の含有量の増加、及び/又は第2液組成物の可塑剤の含有量の低減により、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比の変化を抑制するとよい。
((a)第1液組成物のプレポリマーの種類及び/又は含有量を変化させる方法)
第1液組成物のプレポリマーの種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のプレポリマーを用意し、この2種以上のプレポリマーの配合比を変化させる方法、第1液組成物に含まれる特定のプレポリマーを別の種類のプレポリマーで置き換える方法等が挙げられる。
((b)第1液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法)
第1液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば1種の可塑剤の含有量を増減させる方法や、第1液組成物に含まれる特定の可塑剤を別の種類の可塑剤で置き換える方法等が挙げられる。第1液組成物に含まれる特定の1種の可塑剤の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記変化幅の上限としては、35質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。上記変動幅を上記範囲とすることで、(a)、(c)、(d)等の方法と組み合わせる場合に第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に近い範囲で維持し易くなる。なお、本工程では、第1液組成物の可塑剤の含有量を減少させることにより、一時的に第1液組成物における可塑剤の含有量が0質量%となってもよい。
((c)第2液組成物のソフトセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法)
第2液組成物のソフトセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のソフトセグメント成分を用意し、この2種以上のソフトセグメント成分の配合比を変化させる方法や、1種のソフトセグメント成分の含有量を増減させる方法や、第2液組成物に含まれる特定のソフトセグメント成分を別の種類のソフトセグメント成分で置き換える方法等が挙げられる。
本工程で第2液組成物に含まれる特定の1種のソフトセグメント成分の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、5質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。一方、上記変化幅の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。上記変化幅を上記範囲とすることで、形成される3次元造形物の物性を適度に変化させることができる。
((d)第2液組成物のハードセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法)
第2液組成物のハードセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば1種の鎖延長剤の含有量を増減させる方法や、1種の架橋剤の含有量を増減させる方法や、第2液組成物に含まれる特定のハードセグメント成分を別の種類のハードセグメント成分で置き換える方法等が挙げられる。
本工程で第2液組成物に含まれる特定の1種の鎖延長剤の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、1質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。一方、上記鎖延長剤の含有量の変化幅の上限としては、25質量%が好ましく、18質量%がより好ましい。また、第2液組成物に含まれる特定の1種の架橋剤の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、0.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、上記架橋剤の含有量の変化幅の上限としては、15質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。上記鎖延長剤及び架橋剤の変化幅を上記範囲とすることで、形成される3次元造形物の物性を適度に変化させることができる。
((e)第2液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法)
第2液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば1種の可塑剤の含有量を増減させる方法、第2液組成物に含まれる特定の可塑剤を別の種類の可塑剤で置き換える方法等が挙げられる。本工程で第2液組成物に含まれる特定の1種の可塑剤の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記変化幅の上限としては、35質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。上記変動幅を上記範囲とすることで、(a)、(c)、(d)等の方法と組み合わせる場合に第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に近い範囲で維持し易くなる。なお、本工程では、第2液組成物に含まれる可塑剤の含有量を減少させることにより、一時的に第2液組成物における可塑剤の含有量が0質量%となってもよい。
本工程では、第1液組成物及び第2液組成物に含まれる可塑剤の合計含有量を一定とすることが好ましい。つまり、第1液組成物及び第2液組成物のうちの一方の組成物に含まれる可塑剤の含有量を特定量増加させた場合、他方の組成物に含まれる可塑剤の含有量を上記特定量減少させるとよい。このように、第1液組成物及び第2液組成物に含まれる可塑剤の合計含有量を一定とすることで、形成される3次元造形物で局所的なブリードアウトが発生することを抑制できる。
本工程では、第2液組成物に含まれるハードセグメント成分及びソフトセグメント成分のうちの一方の成分の含有量を増加させると共に他方の成分の含有量を減少させるとよい。また、上記ハードセグメント成分及び/又はソフトセグメント成分の含有量を増減させる場合、第1液組成物及び第2液組成物のうち一方の組成物に含まれる可塑剤の含有量を特定量増加させると共に他方の組成物に含まれる可塑剤の含有量を特定量減少させることで第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比の変動を抑制するとよい。つまり、上述の(b)及び(e)の方法と、(c)及び/又は(d)の方法とを組み合わせて第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させるとよい。このように第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させることで、形成される3次元造形物の成形状態の良好さと、部位毎の物性変化の大きさとをバランスよく両立させることができる。
本工程で混合する第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比(第1液組成物:第2液組成物)の下限としては、100:110であり、100:105が好ましい。一方、上記質量比の上限としては、100:90であり、100:95が好ましい。このように、上記質量比を上記範囲とすることで、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の体積比を1:1に比較的近い範囲に調整することができ、その結果、第1液組成物及び第2液組成物をより均一に混合できる。
また、本工程では、上記吐出量の質量比を略一定に保つことが好ましい。具体的には、本工程において、上記吐出量の質量比の変動率を5%以内に収めることが好ましく、1%以内に収めることがより好ましい。このように、上記吐出量の質量比の変動率を上記範囲とすることで、得られる造形物の品質を安定化することができる。ここで「吐出量の質量比の変動率」とは、本工程において第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比(第1液組成物/第2液組成物)の最大値をRmax、最小値をRminとしたときに下記式で表される値をいう。
吐出量の質量比の変動率=100×(Rmax−Rmin)/Rmin
[用途]
当該3次元造形物の製造方法は、物性が部位毎に異なる成形体の製造に好適に用いることができる。上記変化させる物性としては、特に限定されないが、例えば弾性率、硬度、耐摩耗性、色等が挙げられる。具体的には、例えばシート状造形物を製造する場合、50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)を3MPa以上25MPa以下、引張強さ(TB)を10MPa以上60MPa以下、切断時伸び(EB)を200%以上400%以下、JIS−A硬度を60°以上100°以下、DIN摩耗量を100mm以下の範囲内で変化させるとよい。
当該3次元造形物の製造方法における他の条件、用途等は、第7実施形態及び第8実施形態の製造方法と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、第7実施形態及び第8実施形態の製造方法と比較し、造形中に第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させたとしても、可塑剤の含有量の調節によって混合体積比をより1:1に近い範囲で維持できる。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、ポリウレタン等を主成分とし、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより容易かつ確実に製造することができる。
さらに、当該3次元造形物の製造方法は、後述する第11実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物をラインミキサー等で十分に混合してから混合液吐出ノズルA2で吐出できるため、より確実に3次元造形物を製造できる。さらに、当該3次元造形物の製造方法は、混合液滴X1の平均体積を小さくし易いため、形成される3次元造形物の造形精度をより向上できる。
[第11実施形態]
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出した直後に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも一方を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。さらに、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下とする。
つまり、本実施形態は、第10実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直前に混合する替わりに、吐出直後に混合する点で相違する。
(3Dプリンタ)
当該3次元造形物の製造方法には、第3実施形態の製造方法で説明した図2の一工程で用いられる3Dプリンタに、第10実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムから混合液供給ラインを省略した造形材料供給システムを適用した3Dプリンタを用いることができる。すなわち、例えば第6実施形態から第8実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムの第1液供給ライン及び第2液供給ラインの端部を図2における第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bにそれぞれ接続した3Dプリンタを用いることができる。
本工程における第1液組成物及び第2液組成物の組成、他の条件、用途等は、第10実施形態の製造方法と同様とすることができる。
<利点>
当該3次元造形物の製造方法は、第10実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用してもノズルの詰まりを抑制できる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
例えば、図2の一工程に用いられる3Dプリンタの備える第1液吐出ノズル及び第2液吐出ノズルは、その中心軸を通る仮想直線が支持台直上で合流するように鉛直方向斜め下向きに配設されているが、上記仮想直線が支持台上方の空中で合流するように鉛直方向斜め下向きに配設されていてもよい。つまり、吐出された第1液組成物の液滴及び第2液組成物の液滴を空中で衝突させて合体させてから、形成される混合液滴を支持台の上面に着弾させてもよい。但し、第1液組成物及び第2液組成物の衝突による飛沫の発生を抑制する観点から、図2の一工程に用いられる3Dプリンタにより、吐出された第1液組成物の液滴及び第2液組成物の液滴を支持台の上面の同一箇所に同時に着弾させることで混合液滴を形成する方が好ましい。
また、第6実施形態から第11実施形態の製造方法では、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで合成樹脂層の密度を部位毎に変化させてもよい。
さらに、第2実施形態から第11実施形態の製造方法では、順次積層で混合液吐出ノズル、又は第1液吐出ノズル及び第2液吐出ノズルを固定した状態で支持台を移動させているが、替わりに支持台を固定した状態で各ノズルを移動させてもよい。但し、吐出精度の観点から、各ノズルを固定した状態で支持台を移動させる方が好ましい。
さらに、第3実施形態、第5実施形態、第9実施形態及び第11実施形態の製造方法では、順次積層において第1液吐出ノズル及び第2液吐出ノズルから吐出した第1液組成物の液滴及び第2液組成物の液滴を同一箇所に同時に着弾させることで第1液組成物及び第2液組成物を混合したが、これらの液滴を同一箇所に時間差を付けて着弾させることで第1液組成物及び第2液組成物を混合してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[原料]
まず、本試験例でポリウレタン及びポリウレタンウレアの原料として用いた化合物を以下に示す。
(ポリイソシアネート及びウレタンプレポリマー)
ウレタンプレポリマー:三井化学社の「L5299」に含まれるウレタンプレポリマー(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)の反応産物)
ポリイソシアネート1:三井化学社の「L5299」に含まれる4,4’−MDI
ポリイソシアネート2:三井化学社のピュアMDI
(長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミン)
長鎖ポリオール:INVISTA社の「TERATHANE(登録商標)1000」、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)ポリオール、数平均分子量1,000
長鎖ポリアミン1:HANTSMAN社の「ELASTAMINE(登録商標)RT1000」、PTMGとポリプロピレングリコールとの共重合体のジアミン、数平均分子量1,000
長鎖ポリアミン2:HANTSMAN社の「JEFFAMINE(登録商標)D2000」、ポリプロピレングリコールジアミン、数平均分子量2,000
(鎖延長剤及び架橋剤)
鎖延長剤1(短鎖ジオール):三菱化学社の「1,4ブタンジオール」、1,4ブタンジオール
鎖延長剤2(短鎖ジアミン):イハラケミカル工業社の「ハートキュア10」、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)
架橋剤(短鎖トリオール):三菱ガス化学社の「トリメチロールプロパン」、トリメチロールプロパン(TMP)
(可塑剤及び触媒)
可塑剤:BASF社の「DINCH(登録商標)」、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル
触媒:Momentive社の「Fomrez catalyst UL−28」、ジラウリル酸ジメチル錫
<造形物の製造(その1)>
以下の試験例1〜8では、卓上型塗布ロボットを用いてポリウレタン等を主成分とするシート状造形物を製造した。これらの試験例により、擬似プレポリマー法により反応する造形材料を用いることで、インクジェット方式の3Dプリンタを用いて3次元造形物を容易かつ確実に製造できることを確認した。
[試験例1]
ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート1を含有する三井化学社の「L5299」を第1液組成物とした。また、長鎖ポリオールを73.97質量部と、鎖延長剤1を8.93質量部と、架橋剤を3.8質量部と、触媒を0.037質量部とを島崎エンジニアリング社の往復回転式攪拌機「アジター(登録商標)」で1分30秒間の攪拌混合を行い、得られた混合物を第2液組成物とした。
なお、「L5299」は、数平均分子量が1,000のPTMGと分子量が250の4,4’−MDIとを反応させ、イソシアネート基含有率(NCO含有率)を20質量%に調整したものである。この「L5299」が含有するウレタンプレポリマーは、大半がPTMGの両末端に4,4’−MDIが結合したものであると考えられるため、その数平均分子量は1,500程度であると推測される。ここで、「L5299」のイソシアネート基含有率は、下記式(1)で表すことができる。下記式(1)でイソシアネート基の分子量を42、ウレタンプレポリマーの数平均分子量を1,500と見做して計算すると、「L5299」は、ウレタンプレポリマーの含有量が約49質量%、4,4’−MDIの含有量が約51質量%であると推測される。
(ウレタンプレポリマーの含有量[質量%]×2個のイソシアネート基の分子量/ウレタンプレポリマーの数平均分子量)+(MDIの含有量[質量%]×2個のイソシアネート基の分子量/MDIの分子量)=イソシアネート基含有率[質量%]・・・(1)
武蔵エンジニアリング社の卓上型塗布ロボット「SHOTMASTER(登録商標)300DS−S」の専用タンクに上述の第1液組成物及び第2液組成物をそれぞれ投入した。その後、上記卓上型塗布ロボットの2つのノズルから以下の吐出条件で第1液組成物及び第2液組成物を吐出し、支持台としてのテーブル上の同一位置に各液滴を着弾させることで混合して反応させ、硬化物を形成させた。これを繰り返し、150mm×150mm×2mmのシート状造形物を形成した。第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比(第1液組成物:第2液組成物)は、100質量部:86.73質量部とした。
(吐出条件)
ノズル径:0.2mm
吐出圧力:0.1MPa
液温:30℃
テーブル温度:20℃
吐出間隔:10msec
混合液滴の平均体積:〜10pL
[試験例2〜8]
表1に示す種類及び含有量の成分を用いた以外は試験例1と同様に操作し、シート状造形物を形成した。なお、表中の「−」は、その成分を使用しなかったことを示す。
ここで、試験例1〜8の第1液組成物及び第2液組成物は、いずれも比重が約1.1であるため、吐出量の質量比は、吐出量の体積比と略一致する。
Figure 0006220477
ここで、試験例1〜4に用いた第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法により反応する。一方、試験例5〜8に用いた第1液組成物及び第2液組成物は、ポリイソシアネートと長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミンとを直接反応させる所謂ワンショット法により反応する。
<評価(その1)>
試験例1〜4で形成したシート状造形物の引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、硬度、耐摩耗性並びに成形状態を以下の方法によって評価した。試験例5〜8で形成したシート状造形物は、表面が完全に硬化していなかったため、成形状態の評価のみを行なった。評価結果を表2に示す。
[引張特性]
JIS−K7312:1996「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に準拠し、シート状造形物における50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)、引張強さ(TB)及び切断時伸び(EB)を測定した。50%伸長した際の伸長モジュラス[MPa]は、1.5MPa以上の場合を「合格」、1.5MPa未満の場合を「不合格」と評価できる。引張強さ[MPa]は、5MPa以上の場合を「合格」、5MPa未満の場合を「不合格」と評価できる。切断時伸び[%]は、105%以上の場合を「合格」、105%未満の場合を「不合格」と評価できる。これらの引張特性は、合格である場合には均一に混合された第1液組成物及び第2液組成物の硬化で得られた造形物であると評価でき、不合格である場合には均一に混合されていない第1液組成物及び第2液組成物の硬化で得られた造形物であると評価できる。
[硬度]
JIS−A硬度計を用い、旧JIS−K6301:1995「加硫ゴム物理試験方法」に準拠してシート状造形物の硬度を測定した。硬度[°]は、数値が大きいほど硬いことを示し、60°以上95°以下の場合は適度に硬いため「合格」と評価でき、60°未満の場合は柔らかすぎるため「不合格」と評価でき、95°超の場合は硬すぎるため「不合格」と評価できる。
[耐摩耗性]
JIS−K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」に準拠してシート状造形物のDIN摩耗試験を行い、摩耗量を測定した。DIN摩耗試験における摩耗量[mm]は、その数値が小さいほど耐摩耗性に優れることを示し、160mm以下の場合を「合格」、160mm超の場合を「不合格」と評価できる。
[成形状態]
目視によりシート状造形物の外観を観察し、評価した。成形状態は、表面が完全に硬化している場合を「合格(A)」、表面の少なくとも一部がゲル状である場合を「不合格(B)」と評価した。
Figure 0006220477
表2に示すように、試験例1〜4で形成したシート状造形物は、伸長モジュラス、引張強さ、切断時伸び、硬度、耐摩耗性及び成形状態の全てに合格した。このことから、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法において、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いることで、その吐出量の体積比を1:1に近づけることができ、その結果、容易かつ確実に3次元造形物を製造できると判断される。
一方、試験例5〜8で形成したシート状造形物は、成形状態が不合格であった。これは、ワンショット法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いたため、その吐出量の差が大きくなり、吐出した第1液組成物及び第2液組成物の一部が混合不良を生じたためであると判断される。
<造形物の製造(その2)>
以下の試験例9〜11では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造できることを確認した。試験例9〜11では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させる替わりに、試験例毎に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変更し、これにより密度及び空隙率が相違する3種類のシート状造形物を製造した。
[試験例9]
各成分の組成及び吐出量を表3に示す通りとし、かつ混合液滴の吐出ピッチを0.25mmとした以外は試験例1と同様に操作し、試験例9のシート状造形物を製造した。なお、表3に示す第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法により反応する造形材料である。また、この第1液組成物及び第2液組成物は、比重が約1.1であるため、その吐出量の質量比と体積比とは略一致する。
Figure 0006220477
[試験例10〜11]
吐出ピッチを表4に示すように変化させた以外は試験例9と同様に操作し、試験例10〜11のシート状造形物を形成した。
<測定(その2)>
試験例9〜11で形成したシート状造形物の見かけの密度、空隙率、引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、耐摩耗性並びに成形状態を測定した。見かけの密度及び空隙率は、以下の方法によって測定した。引張特性、耐摩耗性及び成形状態は、試験例1〜8と同様の方法によって測定した。評価結果を表4に示す。
[見かけの密度]
上記シート状造形物の見かけの密度[g/cm]は、全体の寸法から算出される見かけの体積でその質量を除すことで求めた。
[空隙率]
上記シート状造形物の空隙率は[体積%]は、全体の寸法から算出される見かけの体積をV[mm]、その質量を真密度(1.1g/cm)で除すことで算出される実際の体積(空隙を除いた体積)をV[mm]とし、100×(V−V)/Vに各数値を代入することにより求めた。
Figure 0006220477
表4に示すように、試験例9〜11では、試験例毎に吐出ピッチを変更することで、成形性が良好であり、かつ密度及び空隙率と各種物性とがそれぞれ相違する3種のシート状造形物を製造できた。これらの試験例から、3次元造形物の製造方法において、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を造形中に変化させ、形成される3次元造形物の密度を部位毎に変化させることで、良好な成形状態を維持しつつ物性を部位毎に変化させることが可能であると判断される。
<造形物の製造(その3)>
以下の試験例12〜19では、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた3次元造形物の製造方法において、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成や混合比を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造できることを確認した。試験例12〜19では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成又は混合比を変化させる替わりに、第1液組成物の組成と、第2液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つが異なる複数種の造形材料を用い、これにより構成材料の異なる複数種のシート状造形物を製造した。
[試験例12〜19]
各成分の組成を表5及び表6に示す通りとした以外は、試験例1と同様に操作し、試験例12〜19のシート状造形物を製造した。試験例12〜15は、第1液組成物及び第2液組成物の組成又は混合比が異なる複数の造形材料が用いられている。
ここで、試験例12〜19の第1液組成物及び第2液組成物は、いずれも比重が約1.1であるため、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比は、吐出量の体積比と略一致する。
試験例12〜15に用いた第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法により反応する造形材料である。一方、試験例16〜19に用いた第1液組成物及び第2液組成物は、ポリイソシアネートと長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミンとを直接反応させる所謂ワンショット法により反応する造形材料である。
Figure 0006220477
Figure 0006220477
<評価(その3)>
試験例12〜19で形成したシート状造形物の引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、硬度、耐摩耗性並びに成形状態を試験例1〜8における評価と同様の方法によって評価した。試験例16〜19で形成したシート状造形物は、表面が完全に硬化していなかったため、成形状態の評価のみを行なった。評価結果を表7に示す。
Figure 0006220477
表7の試験例12〜15に示すように、造形材料として擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用い、第1液組成物の組成と、第2液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つを変化させることにより、良好な成形状態を維持しつつ物性がそれぞれ異なるシート状造形物を製造できた。以下、試験例12〜15について詳説する。
試験例12の配合12a〜12cと、試験例13の配合13a及び13bと、試験例14の配合14a、14c及び14dと、試験例15の配合15a及び15bとから分かるように、第1液組成物の組成を一定としつつ第2液組成物の組成と第1液組成物及び第2液組成物の混合比とを変化させることで、良好な成形状態を維持しつつ引張特性等の物性を変化させることができた。また、試験例14の配合14a及び14bから分かるように、第1液組成物及び第2液組成物の組成を一定としつつその混合比を変化させることで、良好な成形状態を維持しつつ引張特性等の物性を変化させることができた。さらに、試験例14の配合14b及び14cから分かるように、第1液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とを一定としつつ第2液組成物の組成を変化させることで、良好な成形状態を維持しつつ引張特性等の物性を変化させることができた。
以上から、当該3次元造形物の製造方法によれば、ポリウレタン等を主成分とし、物性が部位毎に異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造できると判断される。
一方、造形材料としてワンショット法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた試験例16〜19で形成したシート状造形物は、成形状態が不合格であった。これは、ワンショット法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いたため、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の差が大きくなり、吐出した第1液組成物及び第2液組成物の一部が混合不良を生じたためであると判断される。そのため、ワンショット法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた場合、物性が部位毎に異なる3次元造形物を製造することは当然に困難であると判断される。
<造形物の製造(その4)>
以下の試験例20〜22では、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた3次元造形物の製造方法において、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させる場合に、第1液組成物及び第2液組成物に可塑剤を配合し、その吐出量の質量比を特定範囲に調節することで、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより容易かつ確実に製造できることを確認した。試験例20〜22では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させる替わりに、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成が異なる複数種の造形材料を用い、これにより構成材料の異なる複数種のシート状造形物を製造した。
[試験例20〜22]
各成分の組成を表8及び9に示す通りとした以外は、試験例1と同様に操作して、試験例20〜22のシート状造形物を形成した。なお、第1液組成物を複数の原料の配合で調製する場合、その攪拌混合の条件は第2液組成物の攪拌混合の条件と同一とした。
これらの試験例により、第1液組成物及び第2液組成物の混合比と、形成される造形物の成形状態との関係を確認した。
ここで、試験例20〜22の第1液組成物及び第2液組成物は、いずれも比重が約1.1であるため、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比は、吐出量の体積比と略一致する。
Figure 0006220477
Figure 0006220477
なお、試験例20及び21に用いた第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法により反応する造形材料である。また、試験例22で用いた第1液組成物及び第2液組成物は、ワンショット法により反応する造形材料である。
<評価>
試験例20〜22で形成したシート状造形物の引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、硬度、耐摩耗性並びに成形状態を試験例1〜8と同様の方法によって評価した。試験例22で形成したシート状造形物は、表面が完全に硬化していなかったため、成形状態の評価のみを行なった。評価結果を表10に示す。
Figure 0006220477
表10の試験例20に示すように、第1液組成物/及び第2液組成物の組成を変化させ、かつ第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を略等量とすることにより、良好な成形状態を維持しつつ引張特性等の物性がそれぞれ異なるシート状造形物を製造できることが確認できた。また、試験例21に示すように、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比は、100:110以上100:90以下の範囲であれば良好な成形状態を維持することができた。
一方、試験例22に示すように、ワンショット法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた場合、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の差が大きくなるため第1液組成物及び第2液組成物を十分に混合することができず、その結果、成形状態が不合格となった。
これらの試験例から、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物に可塑剤を含有させ、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下に調節することで、良好な成形状態を維持しつつ物性を部位毎に変化させることが可能であると判断される。
当該3次元造形物の製造方法及び造形材料は、3Dプリンタを用いてポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
A1、A11、A21 支持台
A2、A12、A22 混合液吐出ノズル
A12a 第1液吐出ノズル
A12b 第2液吐出ノズル
B 第2液タンク
C 第1液タンク
b 第2液供給ライン
c 第1液供給ライン
d 混合液供給ライン
E 第2液原料タンク
F ラインミキサー
e1 第2液原料供給ライン
e2 第2液供給ライン
G 第2液タンク
g1 第2液供給サブライン
g2 第2液供給ライン
X1、X11c、X21 混合液滴
X11a 第1液組成物の液滴
X11b 第2液組成物の液滴
Y1、Y11、Y21 合成樹脂層
Y21a 低ピッチ領域
Y21b 中ピッチ領域
Y21c 高ピッチ領域
Z 合成樹脂部
Za 無孔質領域
Zb 低空隙率領域
Zc 高空隙率領域
H 空孔
Z1、Z2、Z3、Z4 造形材料供給システム

Claims (2)

  1. インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、
    混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程を備え、
    上記順次積層工程で、上記第1液組成物及び上記第2液組成物を吐出した直後に混合し、
    上記第1液組成物及び上記第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応し、
    上記第1液組成物及び上記第2液組成物の吐出量の質量比が100:250以上100:40以下であり、
    上記第1液組成物が、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含み、
    上記第2液組成物が、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むことを特徴とする3次元造形物の製造方法。
  2. 上記第1液組成物及び上記第2液組成物のうち少なくとも一方が可塑剤をさらに含有する請求項1に記載の3次元造形物の製造方法。
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