JP6220477B1 - 3次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
<造形材料>
当該造形材料は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法に用いる造形材料であって、混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物を備え、第1液組成物及び第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応する。当該造形材料は、例えば第1液組成物がイソシアネート成分であり、第2液組成物がポリオール成分及び/又はポリアミン成分である。
第1液組成物は、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含むことが好ましい。当該造形材料は、第1液組成物がイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分との硬化反応が部分的に進行した成分に相当するウレタンプレポリマー等のプレポリマーを含むことで、第1液組成物の使用量に対する第2液組成物の使用量を減少させることができ、これにより第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に近づけることができる。また、当該造形材料は、第1液組成物が上記プレポリマーを含むこと、つまりイソシアネート成分とポリオール成分及び/又はポリアミン成分との硬化反応の一部を予め済ませておくことで、第1液組成物にポリイソシアネートのみが含まれる造形材料と比較し、第1液組成物及び第2液組成物の混合後の硬化速度が速い。さらに、第1液組成物が上記プレポリマーよりも分子量の小さいポリイソシアネートを含むことで、上記プレポリマーのみを含む組成物と比較し、粘度を低くすることができる。
当該造形材料に用いるウレタンプレポリマーは、主鎖中にウレタン結合(−NHCOO−)を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネート及び長鎖ポリオールを反応させることで得られる。上記ウレタンプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基(−N=C=O)を有する。
ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。第1液組成物に用いるポリイソシアネートとしては、例えば脂肪族ポリイソシアネート(脂環族ポリイソシアネートを含む)、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネートは、通常主鎖中にウレタン結合及びウレア結合を有さない。
上記長鎖ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基(−OH)を有する分子量300以上の化合物である。第1液組成物に用いる長鎖ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
当該造形材料に用いるウレタンウレアプレポリマーは、主鎖中にウレタン結合及びウレア結合(−NHCONH−)を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネートと長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンとを反応させることで得られる。上記ウレタンウレアプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基を有する。上記ウレタンウレアプレポリマーの合成に使用するポリイソシアネート及び長鎖ポリオールとしては、例えば上記ウレタンプレポリマーの原料として例示したポリイソシアネート及び長鎖ポリオールと同様のもの等を挙げることができる。
上記長鎖ポリアミンは、分子中に2以上のアミノ基(アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及びイミノ基を含む)を有する分子量300以上の化合物である。
第1液組成物に用いるウレアプレポリマーは、主鎖中にウレア結合を有するオリゴマーであり、例えばポリイソシアネートと長鎖ポリアミンとを反応させることで得られる。上記ウレアプレポリマーは、通常両末端にイソシアネート基を有する。上記ウレアプレポリマーの合成に使用するポリイソシアネート及び長鎖ポリアミンとしては、上記ウレタンプレポリマー及びウレタンウレアプレポリマーの原料として例示したポリイソシアネート及び長鎖ポリアミンと同様のもの等を挙げることができる。
第1液組成物に用いるポリイソシアネートとしては、例えば上記ウレタンプレポリマーの原料として例示したポリイソシアネートと同様のもの等を挙げることができる。但し、第1液組成物の含むポリイソシアネートは、第1液組成物の含むプレポリマーの合成に用いられたポリイソシアネートと同一でも異なっていてもよい。
第1液組成物は、例えば上記長鎖ポリオール及び/又は上記長鎖ポリアミンと、この長鎖ポリオール及び/又は上記長鎖ポリアミンに対して過剰量の上記ポリイソシアネートとを反応させる方法で得ることができる。また、第1液組成物は、上記プレポリマーを別途用意し、このプレポリマーと上記ポリイソシアネートとを混合する方法でも得ることができる。なお、後述する可塑剤等の任意成分は、必要に応じて任意のタイミングで添加すればよい。
第2液組成物は、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むことが好ましい。
第2液組成物に用いる長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンとしては、例えば上記プレポリマーの原料として例示した長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンと同様のもの等を挙げることができる。なお、第2液組成物が含む長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンは、第1液組成物が含むプレポリマーの合成に用いられた長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンと同一でも異なっていてもよい。
第2液組成物に用いる鎖延長剤は、当該造形材料により形成される3次元造形物の靭性等を向上する。上記鎖延長剤としては、例えば短鎖ジオール、短鎖ジアミン等を用いることができる。
第2液組成物に用いる架橋剤は、当該造形材料により形成される3次元造形物の弾性率を低下させる。上記架橋剤としては、例えば短鎖トリオール、短鎖テトラオール、短鎖トリアミン等を用いることができる。
第1液組成物及び/又は第2液組成物は、好適な任意成分として、可塑剤をさらに含むとよい。当該造形材料に用いる可塑剤は、第1液組成物及び/又は第2液組成物の粘度を低下させ、第1液組成物及び第2液組成物を混合し易くする。また、上記可塑剤は、当該造形材料により形成される3次元造形物の弾性率等を調整する。さらに、上記可塑剤は、硬化反応への影響が比較的少なく、かつ比較的多く配合することができる成分であるため、その含有量を調整することによって、形成される3次元造形物の物性にはあまり影響を与えずに第1液組成物及び/又は第2液組成物の嵩を調整することもできる。これにより、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比をより1:1に近づけることができる。
第2液組成物は、触媒をさらに含有することが好ましい。また、第2液組成物は、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤等の任意成分をさらに含有してもよい。なお、上記任意成分は、イソシアネート成分の貯蔵安定性の観点から、通常第2液組成物に含まれるが、第1液組成物に含まれていてもよい。
第2液組成物に用いる触媒は、第1液組成物のポリイソシアネート成分と第2液組成物のポリオール成分との硬化反応を促進する。上記触媒としては、例えばジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクチル酸第一錫等の有機錫化合物や、有機チタン化合物や、有機ジルコニウム化合物や、カルボン酸錫塩や、カルボン酸ビスマス塩や、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒などが挙げられる。上記触媒としては、当該造形材料により形成される3次元造形物の変色を抑制する観点から、アミン系触媒以外の触媒が好ましく、有機錫化合物がより好ましく、ジラウリル酸ジメチル錫がさらに好ましい。
第2液組成物は、例えば長鎖ポリオール、長鎖ポリアミン又はこれらの組み合わせと、鎖延長剤、架橋剤又はこれらの組み合わせと、任意成分とを攪拌混合する方法等により得ることができる。この場合、攪拌時間としては、例えば30秒以上3分以下とすることができる。
当該造形材料は、第1液組成物及び第2液組成物を混合し易いため、後述する当該3次元造形物の製造方法に好適に用いることができる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を3Dプリンタで吐出する直前に混合する。
図1に示すように、当該3次元造形物の製造方法では、上面が平坦な支持体である支持台A1と、この支持台A1の上面と対向するように鉛直方向下向きに配設されている混合液吐出ノズルA2とを主に備えるインクジェット方式の3Dプリンタを用いる。
本工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する方法としては、特に限定されないが、例えば第1液組成物及び第2液組成物をそれぞれの専用タンク等から混合液吐出ノズルA2の吐出部に供給する各配管を混合液吐出ノズルA2の内部で合流させる方法等が挙げられる。これにより、上記3Dプリンタの混合液吐出ノズルA2から吐出される直前に第1液組成物及び第2液組成物が混合する。
当該3次元造形物の製造方法は、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いることで、第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に比較的近い範囲とすることができるため、第1液組成物及び第2液組成物を均一に混合して確実に硬化させることができる。その結果、当該3次元造形物の製造方法は、3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、靴底、自動二輪車や自転車のグリップ、メガネ、マスク、装飾品などのパーソナルユースの商品や、義肢、トレーニング器具等に用いる3次元造形物の製造に好適に用いることができる。
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直後に混合する。
図2に示すように、当該3次元造形物の製造方法では、上面が平坦な支持台A11と、この支持台A11の上方に配設される第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bとを主に備えるインクジェット方式の3Dプリンタを用いる。第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bは、それぞれの中心軸を通る仮想直線が支持台A11直上で合流するように鉛直方向斜め下向きに配設されている。
本工程では、第1液組成物を第1液吐出ノズルA12aで吐出し、第2液組成物を第2液吐出ノズルA12bで吐出する。具体的には、第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bから第1液組成物の液滴X11a及び第2液組成物の液滴X11bを支持台A11の上面に吐出しながら、支持台A11を移動させる。吐出された第1液組成物の液滴X11a及び第2液組成物の液滴X11bは、支持台A11の上面の同一箇所に同時に着弾することで合体して混合液滴X11cとなり、この混合液滴X11cが硬化することで合成樹脂層Y11を形成する。
当該3次元造形物の製造方法は、第2実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用してもノズルの詰まりを抑制できる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで合成樹脂層の密度を部位毎に変化させ、これにより部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
図3に示すように、当該3次元造形物の製造方法では、上面が平坦な支持体である支持台A21と、この支持台A21の上面と対向するように鉛直方向下向きに配設される混合液吐出ノズルA22とを主に備えるインクジェット方式の3Dプリンタを用いる。
本工程では、第1液組成物及び第2液組成物の混合液を混合直後に3Dプリンタの混合液吐出ノズルA22で吐出し、支持台A21上に合成樹脂層Y21を順次積層する。具体的には、混合液吐出ノズルA22から支持台A21の上面に第1液組成物及び第2液組成物の混合液滴X21を吐出しながら、支持台A21を移動させる。その結果、支持台A21の上面に混合液滴X21が着弾し、この着弾した混合液滴X21が硬化することで合成樹脂層Y21が形成される。次に、形成された合成樹脂層Y21上に、同様の操作で混合液滴X21の吐出を行い、複数の合成樹脂層を順次積層する。
当該3次元造形物の製造方法は、物性が部位毎に異なる成形体の製造に好適に用いることができる。上記変化させる物性としては、特に限定されないが、例えば弾性率、硬度、耐摩耗性、色等が挙げられる。具体的には、例えばシート状造形物を製造する場合、50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)を3MPa以上40MPa以下、引張強さ(TB)を5MPa以上60MPa以下、切断時伸び(EB)を100%以上400%以下、JIS−A硬度を60°以上100°以下、DIN摩耗量を200mm3以下の範囲内で変化させるとよい。
当該3次元造形物の製造方法は、ポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とし、物性が部位毎に異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合によって擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で、第1液組成物及び第2液組成物を吐出直後に混合する。また、順次積層工程で、上記第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで合成樹脂層の密度を部位毎に変化させ、これにより部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
当該3次元造形物の製造方法は、第4実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用してもノズルの詰まりを抑制できる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する後述する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、図5に示す造形材料供給システムZ1を適用した3Dプリンタを用いることができる。
本工程では、上述の造形材料供給システムZ1により、第1液組成物及び第2液組成物を混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。また、本工程では、第1液組成物及び第2液組成物の供給量の増減により、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。
混合比変化率(%)=100×(Rmax−Rmin)/Rmin
当該3次元造形物の製造方法は、物性が部位毎に異なる成形体の製造に好適に用いることができる。上記変化させる物性としては、特に限定されないが、例えば弾性率、硬度、耐摩耗性、色等が挙げられる。具体的には、例えばシート状造形物を製造する場合、50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)を1.5MPa以上12MPa以下、引張強さ(TB)を5MPa以上60MPa以下、切断時伸び(EB)を200%以上400%以下、JIS−A硬度を50°以上100°以下、DIN摩耗量を120mm3以下の範囲内で変化させるとよい。
当該3次元造形物の製造方法は、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることで、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。また、当該3次元造形物の製造方法は、擬似プレポリマー法で反応する第1液組成物及び第2液組成物を造形材料として用いるため、造形中に混合比を変化させてもその混合体積比を1:1に比較的近い範囲で維持し易い。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、ポリウレタン等を主成分とし、物性が部位毎に異なる3次元造形物を容易かつ確実に製造できる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。当該3次元造形物の製造方法は、順次積層工程で、第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも1つを変化させる。
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、複数種の原料の予備混合によって第1液組成物及び/又は第2液組成物を調製する造形材料供給システムを適用した3Dプリンタを用いることができる。このような造形材料供給システムの1例を図6に示す。
本工程では、2種以上の原料を予備混合することで調製した第1液組成物及び/又は第2液組成物と、必要に応じて別途用意される第1液組成物又は第2液組成物とをさらに混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。また、本工程では、予備混合する上記2種以上の原料の配合量を変更することで、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。本工程で第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。また、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を段階的に変化させてもよく、漸次的に変化させてもよいが、傾斜機能材料を形成可能とする観点から、漸次的に変化させることが好ましい。なお、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させると共に、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させてもよい。
第1液組成物のプレポリマーの組成を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のプレポリマーを用意し、この2種以上のプレポリマーの配合比を変化させる方法等が挙げられる。
第2液組成物のソフトセグメント成分の組成を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のソフトセグメント成分を用意し、この2種以上のソフトセグメント成分の配合比を変化させる方法や、1種のソフトセグメント成分の含有量を増減させる方法等が挙げられる。
第2液組成物のハードセグメント成分の組成を変化させる方法としては、例えばハードセグメント成分として鎖延長剤及び架橋剤を用意し、この鎖延長剤及び架橋剤の配合比を変化させる方法や、1種のハードセグメント成分の含有量を増減させる方法等が挙げられる。
第1液組成物及び/又は第2液組成物の任意成分の組成を変化させる方法としては、例えば第2液組成物に可塑剤を含ませ、この可塑剤の含有量を変化させる方法や、第2液組成物に顔料を含ませ、この顔料の含有量を変化させる方法等が挙げられる。
当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態及び第8実施形態の製造方法と比較し、形成される3次元造形物の部位毎の物性変化のバリエーションが豊富である。また、当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態の製造方法と比較し、造形中にイソシアネート成分と、ポリオール成分及び/又はポリアミン成分とのモル比を一定範囲内に維持し易いため、形成される3次元造形物の局所的な硬化不良を抑制し易い。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、図7に示す造形材料供給システムZ3を適用した3Dプリンタを用いることができる。
本工程では、第1液組成物及び第2液組成物を混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。また、本工程では、第1液組成物及び第2液組成物を供給するタンクを切り替えることにより、混合に供される第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。本工程で第1液組成物及び/又は2液組成物の組成を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。なお、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させると共に、第1液組成物及び第2液組成物の混合比を変化させてもよい。
当該3次元造形物の製造方法は、第7実施形態の製造方法と比較し、第1液組成物及び/又は第2液組成物を2種以上の原料の混合により調製する必要がないため、上記原料の混合不良に起因する第1液組成物及び/又は第2液組成物の成分変動のおそれがない。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出直後に混合する。当該3次元造形物の製造方法は、順次積層工程で、第1液組成物の組成と、第2液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つを変化させる。
当該3次元造形物の製造方法には、例えば第3実施形態の製造方法で説明した図2の一工程で用いられる3Dプリンタに、第6実施形態から第8実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムから混合液供給ラインを省略した造形材料供給システムを適用した3Dプリンタを用いることができる。すなわち、例えば第6実施形態から第8実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムの第1液供給ライン及び第2液供給ラインの端部を図2における第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bにそれぞれ接続した3Dプリンタを用いることができる。
当該3次元造形物の製造方法は、第6実施形態から第8実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用しても、ノズルの詰まりを抑制できる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する後述する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出する直前に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも一方を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。さらに、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下とする。
当該3次元造形物の製造方法には、第2実施形態の製造方法で説明した図1の一工程で用いられる3Dプリンタに、図8に示す造形材料供給システムZ4を適用した3Dプリンタを用いることができる。
本工程では、2種以上の原料を予備混合することで調製した第1液組成物及び/又は第2液組成物と、必要に応じて別途用意される第1液組成物又は第2液組成物とをさらに混合し、その直後に吐出することで支持体上に合成樹脂層を形成する。本工程では、上記2種以上の原料の配合量を変更することで、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる。これにより、形成される3次元造形物の物性を部位毎に変化させることができる。本工程で第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させる回数としては、1回のみでもよく、複数回でもよい。また、本工程では、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を段階的に変化させてもよく、漸次的に変化させてもよいが、傾斜機能材料を形成可能とする観点から、漸次的に変化させることが好ましい。
第1液組成物のプレポリマーの種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のプレポリマーを用意し、この2種以上のプレポリマーの配合比を変化させる方法、第1液組成物に含まれる特定のプレポリマーを別の種類のプレポリマーで置き換える方法等が挙げられる。
第1液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば1種の可塑剤の含有量を増減させる方法や、第1液組成物に含まれる特定の可塑剤を別の種類の可塑剤で置き換える方法等が挙げられる。第1液組成物に含まれる特定の1種の可塑剤の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記変化幅の上限としては、35質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。上記変動幅を上記範囲とすることで、(a)、(c)、(d)等の方法と組み合わせる場合に第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に近い範囲で維持し易くなる。なお、本工程では、第1液組成物の可塑剤の含有量を減少させることにより、一時的に第1液組成物における可塑剤の含有量が0質量%となってもよい。
第2液組成物のソフトセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば数平均分子量の異なる2種以上のソフトセグメント成分を用意し、この2種以上のソフトセグメント成分の配合比を変化させる方法や、1種のソフトセグメント成分の含有量を増減させる方法や、第2液組成物に含まれる特定のソフトセグメント成分を別の種類のソフトセグメント成分で置き換える方法等が挙げられる。
第2液組成物のハードセグメント成分の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば1種の鎖延長剤の含有量を増減させる方法や、1種の架橋剤の含有量を増減させる方法や、第2液組成物に含まれる特定のハードセグメント成分を別の種類のハードセグメント成分で置き換える方法等が挙げられる。
第2液組成物の可塑剤の種類及び/又は含有量を変化させる方法としては、例えば1種の可塑剤の含有量を増減させる方法、第2液組成物に含まれる特定の可塑剤を別の種類の可塑剤で置き換える方法等が挙げられる。本工程で第2液組成物に含まれる特定の1種の可塑剤の含有量を増減させる場合、その含有量の変化幅の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記変化幅の上限としては、35質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。上記変動幅を上記範囲とすることで、(a)、(c)、(d)等の方法と組み合わせる場合に第1液組成物及び第2液組成物の混合体積比を1:1に近い範囲で維持し易くなる。なお、本工程では、第2液組成物に含まれる可塑剤の含有量を減少させることにより、一時的に第2液組成物における可塑剤の含有量が0質量%となってもよい。
吐出量の質量比の変動率=100×(Rmax−Rmin)/Rmin
当該3次元造形物の製造方法は、物性が部位毎に異なる成形体の製造に好適に用いることができる。上記変化させる物性としては、特に限定されないが、例えば弾性率、硬度、耐摩耗性、色等が挙げられる。具体的には、例えばシート状造形物を製造する場合、50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)を3MPa以上25MPa以下、引張強さ(TB)を10MPa以上60MPa以下、切断時伸び(EB)を200%以上400%以下、JIS−A硬度を60°以上100°以下、DIN摩耗量を100mm3以下の範囲内で変化させるとよい。
当該3次元造形物の製造方法は、第7実施形態及び第8実施形態の製造方法と比較し、造形中に第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成を変化させたとしても、可塑剤の含有量の調節によって混合体積比をより1:1に近い範囲で維持できる。そのため、当該3次元造形物の製造方法は、ポリウレタン等を主成分とし、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより容易かつ確実に製造することができる。
<3次元造形物の製造方法>
当該3次元造形物の製造方法は、インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン等を主成分とする3次元造形物の製造方法であって、混合により擬似プレポリマー法によって反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程(順次積層工程)を備え、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物を吐出した直後に混合する。また、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物の組成及び第2液組成物の組成のうち少なくとも一方を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造する。さらに、当該3次元造形物の製造方法では、順次積層工程で第1液組成物及び第2液組成物の吐出量の質量比を100:110以上100:90以下とする。
当該3次元造形物の製造方法には、第3実施形態の製造方法で説明した図2の一工程で用いられる3Dプリンタに、第10実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムから混合液供給ラインを省略した造形材料供給システムを適用した3Dプリンタを用いることができる。すなわち、例えば第6実施形態から第8実施形態の製造方法に用いる造形材料供給システムの第1液供給ライン及び第2液供給ラインの端部を図2における第1液吐出ノズルA12a及び第2液吐出ノズルA12bにそれぞれ接続した3Dプリンタを用いることができる。
当該3次元造形物の製造方法は、第10実施形態の製造方法と比較し、反応性に優れる第1液組成物及び第2液組成物を使用してもノズルの詰まりを抑制できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
まず、本試験例でポリウレタン及びポリウレタンウレアの原料として用いた化合物を以下に示す。
ウレタンプレポリマー:三井化学社の「L5299」に含まれるウレタンプレポリマー(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)の反応産物)
ポリイソシアネート1:三井化学社の「L5299」に含まれる4,4’−MDI
ポリイソシアネート2:三井化学社のピュアMDI
長鎖ポリオール:INVISTA社の「TERATHANE(登録商標)1000」、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)ポリオール、数平均分子量1,000
長鎖ポリアミン1:HANTSMAN社の「ELASTAMINE(登録商標)RT1000」、PTMGとポリプロピレングリコールとの共重合体のジアミン、数平均分子量1,000
長鎖ポリアミン2:HANTSMAN社の「JEFFAMINE(登録商標)D2000」、ポリプロピレングリコールジアミン、数平均分子量2,000
鎖延長剤1(短鎖ジオール):三菱化学社の「1,4ブタンジオール」、1,4ブタンジオール
鎖延長剤2(短鎖ジアミン):イハラケミカル工業社の「ハートキュア10」、ジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)
架橋剤(短鎖トリオール):三菱ガス化学社の「トリメチロールプロパン」、トリメチロールプロパン(TMP)
可塑剤:BASF社の「DINCH(登録商標)」、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル
触媒:Momentive社の「Fomrez catalyst UL−28」、ジラウリル酸ジメチル錫
以下の試験例1〜8では、卓上型塗布ロボットを用いてポリウレタン等を主成分とするシート状造形物を製造した。これらの試験例により、擬似プレポリマー法により反応する造形材料を用いることで、インクジェット方式の3Dプリンタを用いて3次元造形物を容易かつ確実に製造できることを確認した。
ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート1を含有する三井化学社の「L5299」を第1液組成物とした。また、長鎖ポリオールを73.97質量部と、鎖延長剤1を8.93質量部と、架橋剤を3.8質量部と、触媒を0.037質量部とを島崎エンジニアリング社の往復回転式攪拌機「アジター(登録商標)」で1分30秒間の攪拌混合を行い、得られた混合物を第2液組成物とした。
ノズル径:0.2mm
吐出圧力:0.1MPa
液温:30℃
テーブル温度:20℃
吐出間隔:10msec
混合液滴の平均体積:〜104pL
表1に示す種類及び含有量の成分を用いた以外は試験例1と同様に操作し、シート状造形物を形成した。なお、表中の「−」は、その成分を使用しなかったことを示す。
試験例1〜4で形成したシート状造形物の引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、硬度、耐摩耗性並びに成形状態を以下の方法によって評価した。試験例5〜8で形成したシート状造形物は、表面が完全に硬化していなかったため、成形状態の評価のみを行なった。評価結果を表2に示す。
JIS−K7312:1996「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に準拠し、シート状造形物における50%伸長した際の伸長モジュラス(M50)、引張強さ(TB)及び切断時伸び(EB)を測定した。50%伸長した際の伸長モジュラス[MPa]は、1.5MPa以上の場合を「合格」、1.5MPa未満の場合を「不合格」と評価できる。引張強さ[MPa]は、5MPa以上の場合を「合格」、5MPa未満の場合を「不合格」と評価できる。切断時伸び[%]は、105%以上の場合を「合格」、105%未満の場合を「不合格」と評価できる。これらの引張特性は、合格である場合には均一に混合された第1液組成物及び第2液組成物の硬化で得られた造形物であると評価でき、不合格である場合には均一に混合されていない第1液組成物及び第2液組成物の硬化で得られた造形物であると評価できる。
JIS−A硬度計を用い、旧JIS−K6301:1995「加硫ゴム物理試験方法」に準拠してシート状造形物の硬度を測定した。硬度[°]は、数値が大きいほど硬いことを示し、60°以上95°以下の場合は適度に硬いため「合格」と評価でき、60°未満の場合は柔らかすぎるため「不合格」と評価でき、95°超の場合は硬すぎるため「不合格」と評価できる。
JIS−K6264−2:2005「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−第2部:試験方法」に準拠してシート状造形物のDIN摩耗試験を行い、摩耗量を測定した。DIN摩耗試験における摩耗量[mm3]は、その数値が小さいほど耐摩耗性に優れることを示し、160mm3以下の場合を「合格」、160mm3超の場合を「不合格」と評価できる。
目視によりシート状造形物の外観を観察し、評価した。成形状態は、表面が完全に硬化している場合を「合格(A)」、表面の少なくとも一部がゲル状である場合を「不合格(B)」と評価した。
以下の試験例9〜11では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造できることを確認した。試験例9〜11では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変化させる替わりに、試験例毎に第1液組成物及び第2液組成物の吐出量を変更し、これにより密度及び空隙率が相違する3種類のシート状造形物を製造した。
各成分の組成及び吐出量を表3に示す通りとし、かつ混合液滴の吐出ピッチを0.25mmとした以外は試験例1と同様に操作し、試験例9のシート状造形物を製造した。なお、表3に示す第1液組成物及び第2液組成物は、擬似プレポリマー法により反応する造形材料である。また、この第1液組成物及び第2液組成物は、比重が約1.1であるため、その吐出量の質量比と体積比とは略一致する。
吐出ピッチを表4に示すように変化させた以外は試験例9と同様に操作し、試験例10〜11のシート状造形物を形成した。
試験例9〜11で形成したシート状造形物の見かけの密度、空隙率、引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、耐摩耗性並びに成形状態を測定した。見かけの密度及び空隙率は、以下の方法によって測定した。引張特性、耐摩耗性及び成形状態は、試験例1〜8と同様の方法によって測定した。評価結果を表4に示す。
上記シート状造形物の見かけの密度[g/cm3]は、全体の寸法から算出される見かけの体積でその質量を除すことで求めた。
上記シート状造形物の空隙率は[体積%]は、全体の寸法から算出される見かけの体積をVa[mm3]、その質量を真密度(1.1g/cm3)で除すことで算出される実際の体積(空隙を除いた体積)をVb[mm3]とし、100×(Va−Vb)/Vaに各数値を代入することにより求めた。
以下の試験例12〜19では、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた3次元造形物の製造方法において、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成や混合比を変化させることで、部位毎に物性が異なる3次元造形物を製造できることを確認した。試験例12〜19では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成又は混合比を変化させる替わりに、第1液組成物の組成と、第2液組成物の組成と、第1液組成物及び第2液組成物の混合比とのうち少なくとも1つが異なる複数種の造形材料を用い、これにより構成材料の異なる複数種のシート状造形物を製造した。
各成分の組成を表5及び表6に示す通りとした以外は、試験例1と同様に操作し、試験例12〜19のシート状造形物を製造した。試験例12〜15は、第1液組成物及び第2液組成物の組成又は混合比が異なる複数の造形材料が用いられている。
試験例12〜19で形成したシート状造形物の引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、硬度、耐摩耗性並びに成形状態を試験例1〜8における評価と同様の方法によって評価した。試験例16〜19で形成したシート状造形物は、表面が完全に硬化していなかったため、成形状態の評価のみを行なった。評価結果を表7に示す。
以下の試験例20〜22では、擬似プレポリマー法により反応する第1液組成物及び第2液組成物を用いた3次元造形物の製造方法において、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させる場合に、第1液組成物及び第2液組成物に可塑剤を配合し、その吐出量の質量比を特定範囲に調節することで、部位毎に物性が異なる3次元造形物をより容易かつ確実に製造できることを確認した。試験例20〜22では、造形中に第1液組成物及び第2液組成物の組成を変化させる替わりに、第1液組成物及び/又は第2液組成物の組成が異なる複数種の造形材料を用い、これにより構成材料の異なる複数種のシート状造形物を製造した。
各成分の組成を表8及び9に示す通りとした以外は、試験例1と同様に操作して、試験例20〜22のシート状造形物を形成した。なお、第1液組成物を複数の原料の配合で調製する場合、その攪拌混合の条件は第2液組成物の攪拌混合の条件と同一とした。
試験例20〜22で形成したシート状造形物の引張特性(伸長モジュラス、引張強さ及び切断時伸び)、硬度、耐摩耗性並びに成形状態を試験例1〜8と同様の方法によって評価した。試験例22で形成したシート状造形物は、表面が完全に硬化していなかったため、成形状態の評価のみを行なった。評価結果を表10に示す。
A2、A12、A22 混合液吐出ノズル
A12a 第1液吐出ノズル
A12b 第2液吐出ノズル
B 第2液タンク
C 第1液タンク
b 第2液供給ライン
c 第1液供給ライン
d 混合液供給ライン
E 第2液原料タンク
F ラインミキサー
e1 第2液原料供給ライン
e2 第2液供給ライン
G 第2液タンク
g1 第2液供給サブライン
g2 第2液供給ライン
X1、X11c、X21 混合液滴
X11a 第1液組成物の液滴
X11b 第2液組成物の液滴
Y1、Y11、Y21 合成樹脂層
Y21a 低ピッチ領域
Y21b 中ピッチ領域
Y21c 高ピッチ領域
Z 合成樹脂部
Za 無孔質領域
Zb 低空隙率領域
Zc 高空隙率領域
H 空孔
Z1、Z2、Z3、Z4 造形材料供給システム
Claims (2)
- インクジェット方式の3Dプリンタを用いたポリウレタン、ポリウレタンウレア又はポリウレアを主成分とする3次元造形物の製造方法であって、
混合により反応する第1液組成物及び第2液組成物の吐出により支持体上に合成樹脂層を順次積層する工程を備え、
上記順次積層工程で、上記第1液組成物及び上記第2液組成物を吐出した直後に混合し、
上記第1液組成物及び上記第2液組成物が擬似プレポリマー法により反応し、
上記第1液組成物及び上記第2液組成物の吐出量の質量比が100:250以上100:40以下であり、
上記第1液組成物が、ウレタンプレポリマー、ウレタンウレアプレポリマー及びウレアプレポリマーのうち少なくとも1種のプレポリマーと、ポリイソシアネートとを含み、
上記第2液組成物が、長鎖ポリオール及び長鎖ポリアミンのうち少なくとも1種のソフトセグメント成分と、鎖延長剤及び架橋剤のうち少なくとも1種のハードセグメント成分とを含むことを特徴とする3次元造形物の製造方法。 - 上記第1液組成物及び上記第2液組成物のうち少なくとも一方が可塑剤をさらに含有する請求項1に記載の3次元造形物の製造方法。
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