JP6220198B2 - 衝撃吸収装置 - Google Patents

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本発明は、例えば自動車に搭載されて衝突時の衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収部材備える衝撃吸収装置に関する。
従来、例えば自動車などに搭載されて、外部からの衝撃を吸収する衝撃吸収装置が知られている。この衝撃吸収装置では、例えば円筒状に形成されたエネルギー吸収部材が、衝撃荷重を受けて軸方向に圧潰することによって当該衝撃荷重(衝撃エネルギー)を吸収する。エネルギー吸収部材としては、従来から金属(例えばアルミニウム合金)製のものが用いられてきたが、近年では、より優れたエネルギー吸収性能を有し且つ軽量な複合材料(例えば繊維強化プラスチック)製のものが開発され、実用化されつつある。
ところで、このようなエネルギー吸収部材においては、単純な円筒状に形成されていると、その軸方向に対して斜めの方向から衝撃荷重が作用したときに、一方の側方側だけで当該衝撃荷重を受けてしまい、所望の圧潰形態で圧潰しない場合がある。つまり、単純な円筒状のエネルギー吸収部材では、一方の側方側だけに偏った衝撃荷重を受けたときに、この一方の側方側に存在する微細なクラックなどの意図しない箇所から破壊してしまい、所望のエネルギー吸収性能を発揮できなくなるおそれがある。
そこで、例えば特許文献1に記載のエネルギー吸収部材では、押圧部材に押圧される先端部を、その最端部の面積が完全な円筒状部の断面積の2/3以下となり、且つ断面積が軸方向に連続的に変化するように斜めに切り取った形状とすることで、斜め方向の荷重に対しても大きなエネルギー吸収量を確保できるようにしている。
特開平5−332385号公報
しかしながら、先端部が斜めに切り取られた形状のエネルギー吸収部材では、当該エネルギー吸収部材の先端側を支持する部材(自動車の場合は車体)に対する取り付け構造が制限されてしまい、つまりは取り付けが困難となってしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、取り付けが容易であるとともに、斜め方向からの荷重に対しても好適にそのエネルギーを吸収することができる撃吸収装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
樹脂を繊維で強化した複合材料で構成され、所定の圧潰方向の一端側からの衝撃荷重を受けて当該圧潰方向へ圧潰することで衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収部材を備える衝撃吸収装置であって、
前記衝撃エネルギー吸収部材が、
前記圧潰方向に沿った中心軸を回転対称軸とする円錐台状に形成され、前記圧潰方向の一端側に向かうに連れて径が小さくなるように設けられた円錐台部と、
前記円錐台部と共通する中心軸を有し、前記円錐台部よりも軸方向長さが短い円筒状に形成され、周方向に巻回された繊維を含み、前記円錐台部の前記一端側に当該円錐台部と連結して設けられて、前記円錐台部に荷重を伝える円筒部と、
を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は
樹脂を繊維で強化した複合材料で構成され、所定の圧潰方向の一端側からの衝撃荷重を受けて当該圧潰方向へ圧潰することで衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収部材を備える衝撃吸収装置であって、
前記衝撃エネルギー吸収部材が、
前記圧潰方向に沿った中心軸を回転対称軸とする円錐台状に形成され、前記圧潰方向の一端側の一端部に向かうに連れて径が小さくなるように設けられた円錐台部と、
前記円錐台部と共通する中心軸を有し、前記円錐台部よりも軸方向長さが短い円筒状に形成され、前記円錐台部の前記一端側に当該円錐台部の前記一端部と連続的に連結して設けられて、前記円錐台部に荷重を伝える円筒部と、
を有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衝撃吸収装置において、
記円筒部の前記一端側の端面に当接配置され、前記衝撃エネルギー吸収部材を前記圧潰方向へ押圧して圧潰させる押圧部材をさらに備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の衝撃吸収装置において、
前記複合材料が炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする
本発明によれば、所定の圧潰方向の一端側から衝撃荷重を受ける衝撃エネルギー吸収部材が、圧潰方向に沿った中心軸を回転対称軸とする円錐台状に形成されて圧潰方向の一端側に向かうに連れて径が小さくなるように設けられた円錐台部と、この円錐台部と共通する中心軸を有する円筒状に形成されて円錐台部の一端側に当該円錐台部と連結して設けられた円筒部とを有している。これにより、衝撃エネルギー吸収部材に作用する斜め方向の荷重は、円筒部を通じて圧潰方向に沿うように分布されつつ円錐台部に伝わることとなるため、単純な円筒状であった従来のエネルギー吸収部材と異なり、荷重が一方の側方側だけに偏って作用することがない。よって、圧潰方向に沿った荷重は勿論のこと、斜め方向からの荷重に対しても、好適にそのエネルギーを吸収することができる。
また、荷重を受ける衝撃エネルギー吸収部材の一端側が円筒部であるので、この端部が斜めに切り取られていた従来と異なり、当該衝撃エネルギー吸収部材を支持する部材に容易に取り付けることができる。
したがって、取り付けが容易であるとともに、斜め方向からの荷重に対しても好適にそのエネルギーを吸収することができる。
実施形態における衝撃吸収装置を搭載した車両の斜視図である。 実施形態における衝撃吸収装置の断面図である。 実施形態における衝撃吸収装置に斜め前方からの荷重が作用したときのエネルギー吸収態様を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における衝撃吸収装置1を搭載した車両100の斜視図であり、図2は、衝撃吸収装置1の断面図である。
図1に示すように、衝撃吸収装置1は、車両(自動車)100のバンパービーム101とボディフレーム102の間に2つ並設されて、車両前方からの衝撃を吸収するものである。
なお、以下の説明では、「前」「後」との記載は、特に断りのない限り、衝撃吸収装置1が搭載される車両100から見た方向を意味するものとする。
具体的には、図2に示すように、衝撃吸収装置1は、クラッシュボックス2と、クラッシュボックス2を押圧する押圧部材3と、クラッシュボックス2を支持する支持部材4とを備えている。
クラッシュボックス2は、本発明に係るエネルギー吸収部材であり、樹脂を繊維で強化した複合材料である繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)で構成されている。繊維の種類としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、アラミド繊維等があるが、エネルギー吸収量と強度に優れる炭素繊維を用いることが好ましい。このクラッシュボックス2は、衝撃荷重を受けた押圧部材3に前方から押圧されて前後方向へ圧潰することで、その衝撃エネルギーを吸収する。具体的には、クラッシュボックス2は、円錐台部21と円筒部22とが前後方向に連結された形状に形成されている。
このうち、円錐台部21は、クラッシュボックス2のうち、主としてエネルギー吸収性能を発揮する部分であり、クラッシュボックス2のうちの大部分の前後方向長さを占めている。この円錐台部21は、前後方向に沿った中心軸Axを回転対称軸として略均一な肉厚を有する中空の円錐台状に形成されており、前方に向かうに連れて径が小さくなるように設けられている。
一方、円筒部22は、クラッシュボックス2のうち、前方からの衝撃荷重を受けて当該衝撃荷重を前後方向に沿うように分布させつつ円錐台部21に伝えるための荷重入力部分である。この円筒部22は、円錐台部21と共通する中心軸Axを有するとともに、円錐台部21と略同一の肉厚を有する円筒状に形成されており、円錐台部21の前側に当該円錐台部21と連結して(すなわち内外周面を連続させて)設けられている。また、円筒部22は、少なくとも周方向に巻回された繊維を含んでいる。なお、初期押圧時に押圧部材3に押圧される円筒部22の前端面は、クラッシュボックス2の所望の圧潰形態に応じた形状とすることができ、図示は省略するが、例えば先細り状に傾斜するテーパー状などに形成されていてもよい。
押圧部材3は、クラッシュボックス2を押圧して圧潰させるためのものであり、前後方向と直交する略平板状に形成されて、クラッシュボックス2(円筒部22)の前端面に全周に亘って当接するように配置されている。また、押圧部材3は、衝撃吸収装置1の車両100への取り付け部分でもあり、前面が車両100のバンパービーム101の後面に当接するように、当該バンパービーム101に取り付けられる(図1参照)。そのため、押圧部材3は、後述するように、バンパービーム101を介して前方から加わる衝撃荷重を受けて、クラッシュボックス2を前方から押圧して圧潰させる。なお、クラッシュボックス2をバンパービーム101に固定する方法としては、例えば押圧部材3と支持部材4をボルトで拘束することで、クラッシュボックス2と押圧部材3に面圧を生じさせてクラッシュボックス2を固定する方法などがある。
支持部材4は、クラッシュボックス2を支持するためのものであり、前後方向と直交する略平板状に形成されて、クラッシュボックス2(円錐台部21)の後端面に全周に亘って当接するように配置されている。また、支持部材4は、衝撃吸収装置1の車両100への取り付け部分でもあり、後面が車両100のボディフレーム102の前面に当接するように、当該ボディフレーム102に取り付けられる(図1参照)。
以上の構成を具備する衝撃吸収装置1では、例えば当該衝撃吸収装置1を搭載した車両100が前方の物体に斜めに衝突するなどすると、図3(a)に示すように、前後方向に対して斜めに傾斜した方向からの衝撃荷重がバンパービーム101を介して押圧部材3に加わる。そして、この衝撃荷重を受けた押圧部材3が、当該衝撃荷重の方向に沿って斜め前方からクラッシュボックス2を押圧する。
すると、クラッシュボックス2に作用した斜め前方からの荷重は、クラッシュボックス2の荷重入力部分である円筒部22を圧潰させる際に、周方向に巻回された繊維をロール状に破壊させることで、このロール方向に倣って前後方向に沿うように方向変換される。つまり、この斜め前方からの荷重は、円筒部22を通じて前後方向に沿うように分布されつつ円錐台部21に伝わる。そのため、円錐台部21には、荷重が一方の側方側だけに偏って作用することがない。
そして、図3(b)に示すように、クラッシュボックス2は、押圧部材3に直接押圧された円筒部22の前部から繊維が破断し、その破断片が内外に分かれて後方へ巻かれながら順次圧潰していく。その結果、このクラッシュボックス2の圧潰によって衝撃エネルギーが吸収され、衝撃荷重が緩衝される。このとき、クラッシュボックス2のうちの円錐台部21は、押圧部材3に押圧される面積が圧潰に伴って単調に増加するので、前後方向の変位に対して圧潰荷重が単調に増加するようなエネルギー吸収特性が得られる。
以上のように、本実施形態によれば、前側から荷重を受けるクラッシュボックス2が、前後方向に沿った中心軸Axを回転対称軸とする円錐台状に形成されて前側に向かうに連れて径が小さくなるように設けられた円錐台部21と、この円錐台部21と共通する中心軸Axを有する円筒状に形成されて円錐台部21の前側に当該円錐台部21と連結して設けられた円筒部22とを有している。これにより、クラッシュボックス2に作用する斜め前方からの荷重は、円筒部22を通じて前後方向に沿うように分布されつつ円錐台部21に伝わることとなるため、単純な円筒状であった従来のエネルギー吸収部材と異なり、荷重が一方の側方側だけに偏って作用することがない。よって、前後方向に沿った荷重は勿論のこと、斜め前方からの荷重に対しても、好適にそのエネルギーを吸収することができる。
また、荷重を受けるクラッシュボックス2の前側部分が円筒部22であるので、この端部が斜めに切り取られていた従来と異なり、当該クラッシュボックス2を支持する部材(押圧部材3や車体など)に容易に取り付けることができる。
したがって、取り付けが容易であるとともに、斜め方向からの荷重に対しても好適にそのエネルギーを吸収することができる。
また、円錐台部21が前方に向かって径が小さくなるように設けられているので、クラッシュボックス2の圧潰時に内周側に巻き込まれていく破断片は、その圧潰部よりも広い空間である円錐台部21の底部側に広がることとなる。したがって、圧潰済みのクラッシュボックス2の破断片が堆積して新たな破断片を拘束することがなく、ひいては、意図しない圧潰荷重(圧潰に要する荷重)の上昇を防止することができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、円錐台部21の詳細形状は所望のエネルギー吸収特性に応じたものとしてよく、例えば円錐台部21の肉厚(つまり断面積)や形状を変えて圧潰荷重を変化させたりしてもよい。
また、本発明に係るエネルギー吸収部材及び衝撃吸収装置は、車両(自動車)に搭載されるものに限定されず、例えばヘリコプターに搭載されて着陸時の衝撃を吸収するものなどにも好適に適用可能である。
1 衝撃吸収装置
2 クラッシュボックス(エネルギー吸収部材)
21 円錐台部
22 円筒部
Ax 中心軸
3 押圧部材
4 支持部材

Claims (4)

  1. 樹脂を繊維で強化した複合材料で構成され、所定の圧潰方向の一端側からの衝撃荷重を受けて当該圧潰方向へ圧潰することで衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収部材を備える衝撃吸収装置であって、
    前記衝撃エネルギー吸収部材が、
    前記圧潰方向に沿った中心軸を回転対称軸とする円錐台状に形成され、前記圧潰方向の一端側に向かうに連れて径が小さくなるように設けられた円錐台部と、
    前記円錐台部と共通する中心軸を有し、前記円錐台部よりも軸方向長さが短い円筒状に形成され、周方向に巻回された繊維を含み、前記円錐台部の前記一端側に当該円錐台部と連結して設けられて、前記円錐台部に荷重を伝える円筒部と、
    を有することを特徴とする衝撃吸収装置
  2. 樹脂を繊維で強化した複合材料で構成され、所定の圧潰方向の一端側からの衝撃荷重を受けて当該圧潰方向へ圧潰することで衝撃エネルギーを吸収する衝撃エネルギー吸収部材を備える衝撃吸収装置であって、
    前記衝撃エネルギー吸収部材が、
    前記圧潰方向に沿った中心軸を回転対称軸とする円錐台状に形成され、前記圧潰方向の一端側の一端部に向かうに連れて径が小さくなるように設けられた円錐台部と、
    前記円錐台部と共通する中心軸を有し、前記円錐台部よりも軸方向長さが短い円筒状に形成され、前記円錐台部の前記一端側に当該円錐台部の前記一端部と連続的に連結して設けられて、前記円錐台部に荷重を伝える円筒部と、
    を有することを特徴とする衝撃吸収装置
  3. 記円筒部の前記一端側の端面に当接配置され、前記衝撃エネルギー吸収部材を前記圧潰方向へ押圧して圧潰させる押圧部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃吸収装置。
  4. 前記複合材料が炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の衝撃吸収装置
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