JP6218468B2 - 圧粉磁心用粉末 - Google Patents

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本発明は、圧粉磁心用粉末に関する。詳細には、本発明は、モーター、インバーター、コンバーター等のリアクトル、スイッチング電源等の電圧制御装置等で使用される圧粉磁心のための粉末に関する。
モーター、インバーター、コンバーター等のリアクトル、スイッチング電源等の電圧制御装置等には、圧粉磁心が使用される。圧粉磁心は、金属粉末とこれを覆う絶縁性の皮膜とから構成された粉末を加圧成形することにより形成される。圧粉磁心には、外部からの磁界変化に対して敏感に反応できる磁気的特性が求められている。
圧粉磁心を交流磁場内で使用した場合、コアロス(鉄損とも称される)と呼ばれるエネルギー損失が発生する。コアロスは、ヒステリシス損失と渦電流損失との和で示される。低周波域では、ヒステリシス損失が支配的となる。高周波域では、渦電流損失が支配的となる。
圧粉磁心のコアロス特性を向上すべく、様々な検討がなされている。圧粉磁心のための粉末に関する検討例が、特開2005−294428公報及び特開2008−305823公報に開示されている。
特開2005−294428公報には、オルガノアルコキシシランから形成された第一皮膜と、アルカリ−ケイ酸系ガラスからなる第二皮膜とを有する、圧粉磁心のための粉末が開示されている。
特開2008−305823公報には、シリコーン樹脂及びシランカップリング剤からなる皮膜を有する、圧粉磁心のための粉末が開示されている。
特開2005−294428公報 特開2008−305823公報
上記特開2005−294428公報に記載の粉末から形成された圧粉磁心では、そのコアロスは10kW/mから30kW/mにある。このコアロスの計測周波数は、1kHzである。このコアロスは、渦電流損失が支配的となる高周波域における磁気的特性を反映するものではない。この圧粉磁心では、高周波域において、絶縁性が不十分となりコアロスが増大する恐れがある。
上記特開2008−305823公報に記載の粉末では、皮膜が十分に形成されない恐れがある。絶縁性の皮膜の形成が不十分な粉末から形成された圧粉磁心では、耐熱性が不足し、コアロスが増大することがある。
本発明の目的は、コアロス特性に優れる圧粉磁心の作製のための粉末の提供にある。
本発明に係る圧粉磁心用粉末は、鉄を主成分とした金属粉末と、この金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えている。この皮膜は、金属粉末に積層された第一層と、この第一層の外側に位置する第二層とを備えている。この第一層は、チタンアルコキシド類を含むものの重合物からなる。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記チタンアルコキシド類はチタンアルコキシドのオリゴマーである。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記第一層はケイ素アルコキシドをさらに含むものの重合物からなる。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記第一層に含まれるケイ素の質量に対するチタンの質量の比は2以上6以下である。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記第一層による上記金属粉末の被覆率は80%以上100%以下である。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記第一層の厚さは1nm以上200nm以下である。この第一層は、チタンの酸化物又はチタン及びケイ素の酸化物からなる。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記第二層はシリコーン樹脂から形成されたものである。
好ましくは、この圧粉磁心用粉末では、上記第二層の厚さは1nm以上800nm以下である。この第二層は、ケイ素の酸化物からなる。
本発明に係る圧粉磁心は、上記粉末から形成されている。
本発明に係る圧粉磁心用粉末では、金属粉末が絶縁性の皮膜で覆われている。この皮膜のうち、金属粉末に積層された第一層はチタンアルコキシド類を含むものの重合物からなる。チタンアルコキシド類は適切な反応速度で重合するので、クラックが少ない上に厚さが薄い第一層が形成される。この第一層を有する粉末は、コアロス特性に寄与しうる。本発明の粉末によれば、コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧粉磁心用粉末の断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されているのは、本発明の粉末2の断面図である。圧粉磁心は、この粉末2から形成される。圧粉磁心の製造では、無数の粉末2からなる基材粉体が準備される。この基材粉体が、金型に投入される。金型内で、基材粉体が加圧される。これにより、成形体が得られる。加圧の際、潤滑剤やバインダー等を使用してもよい。その後、成形体が熱処理され、圧粉磁心が得られる。
粉末2は、金属粉末4と、皮膜6とを備えている。この粉末2は、金属粉末4と皮膜6とから構成されている。皮膜6は、金属粉末4の表面に付着している。
金属粉末4は、例えば、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法により得られる金属の粒子である。粉砕等の機械的プロセスにより得られた金属の粒子が、金属粉末4として用いられてもよい。酸化物の還元等の化学的プロセスにより得られた金属の粒子が、金属粉末4として用いられてもよい。
この粉末2では、金属粉末4は鉄を主成分とする軟磁性材料である。この金属粉末4としては、あらかじめ合金成分を添加した合金鋼からなる合金粉末、この合金粉末を純鉄粉又は合金粉末の表面に部分的に拡散付着させたもの等を用いることができる。この合金成分としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)及びクロム(Cr)が例示される。金属粉末4に含まれる合金成分の量は、鉄の量に対して1mass%以上30mass%以下とされるのが好ましい。なお、「mass%」は質量%と同義である。
高周波用途でのコアロス特性低減が望まれる場合、金属粉末4は、鉄以外に、ケイ素及び/又はアルミニウムを含むのが好ましい。このような金属粉末4として、Fe−3mass%Si粉末、Fe−6.5mass%Si粉末、Fe−5mass%Al粉末及びFe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末が挙げられる。
皮膜6は、絶縁性である。図示されているように、皮膜6は金属粉末4を覆う。皮膜6は、第一層8と第二層10とを備えている。図示されているように、この粉末2では、皮膜6は第一層8及び第二層10からなる。言い換えれば、この皮膜6は二つの層からなる。この皮膜6が3以上の層で構成されてもよい。
第一層8は、皮膜6の内側部分をなす。第一層8は、金属粉末4の外側に位置している。図示されているように、この粉末2では、第一層8は金属粉末4に積層している。第一層8は、金属粉末4の全体又はこの金属粉末4の一部を覆っている。コアロス特性の観点から、金属粉末4の全体がこの第一層8で覆われているのが好ましい。
第一層8は、チタンアルコキシド類を含むものの重合物からなる。本発明では、チタンアルコキシド類とは1分子中にあるチタン原子に少なくとも1つのアルコキシド基が結合している化合物のことである。また本発明では、アルコキシド基とは有機基が負の電荷を持つ酸素と結合した化合物のことである。有機基とは、有機化合物からなる基のことである。チタンアルコキシド類という概念には、チタンアルコキシドのモノマー、このモノマーが複数重合されて形成されたオリゴマー、及び、チタンアルコキシドが生成する前の段階の化合物(以下、前駆体とも称される。)が含まれる。なお、第一層8は、チタンアルコキシド類の重合物から構成されてもよいし、チタンアルコキシド類以外の成分をさらに含むものの重合物から構成されてもよい。
チタンアルコキシドの具体例として、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド及びイソプロピルトリドデシルベンゼンスフォニルチタネートが挙げられる。
第二層10は、第一層8の外側に位置している。第二層10は、第一層8に積層している。第二層10は、第一層8の全体又はこの第一層の一部を被覆している。この粉末2では、第二層10は皮膜6の外側部分をなす。この皮膜6が3以上の層で構成される場合、第一層8と第二層10との間に別の層がさらに設けられてもよい。第二層10の外側に、別の層がさらに設けられてもよい。
第二層10は、シリコーン樹脂から形成されたものである。この第二層10は、ケイ素の酸化物からなる。本発明では、シリコーン樹脂とはシロキサン結合により主鎖結合が形成されたものである。このシリコーン樹脂としては、信越化学工業(株)社製の商品名「SMP−2003PGMA」及び「SMP−5005PGMA」並びに東レダウコーニングシリコーン(株)社製の商品名「804 RESIN」、「805 RESIN」、「806A RESIN」及び「840 RESIN」が挙げられる。
以上説明された粉末2については、種々のコーティング方法で作製が可能である。コーティング方法としては、混合法、ゾル・ゲル法、スプレードライヤー法及び転動流動層法が挙げられる。
本発明で用いるチタンアルコキシド類及びシリコーン樹脂は溶剤で希釈して用いることができる。この溶剤としては、チタンアルコキシド類又はシリコーン樹脂を溶解又は分散させうるものであればよく、この溶剤に特に制限はない。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、プロピオン酸エチル及びテトラヒドロフランが挙げられる。
この粉末2では、第一層8の形成にはチタンアルコキシド類が用いられる。チタンアルコキシド類は、ケイ素アルコキシド類、アルミニウムアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類等の他のアルコキシド類と比較して、適切な反応速度で金属粉末4の表面で重合していく。この第一層8は、チタンの酸化物からなる。チタンアルコキシド類から形成された第一層8では、クラックが少ない。しかもこの第一層8は薄い。この第一層8は、この粉末2から形成された圧粉磁心の磁気特性の向上に寄与しうる。本発明によれば、磁気特性に優れる圧粉磁心が得られる。
チタンアルコキシド類としてチタンアルコキシドのオリゴマーを第一層8の形成に用いた場合、このチタンアルコキシド類としてチタンアルコキシドのモノマーをこの第一層8の形成に用いた場合に比して、このチタンアルコキシド類がより適切な反応速度で重合する。このため、この第一層8ではクラックの発生がより効果的に抑えられる上に、より薄い第一層8が得られる。この第一層8は、コアロス特性の低減及び磁気特性の向上に寄与しうる。したがって、本発明では、適切な反応速度及び磁気特性の向上の観点から、チタンアルコキシド類としてはチタンアルコキシドのオリゴマーが好ましい。
チタンアルコキシドのオリゴマーは、チタンアルコキシドのモノマーを複数重合することにより得られる。換言すれば、チタンアルコキシドのオリゴマーはチタンアルコキシドのモノマーから形成されたものである。オリゴマーをなすモノマーの数は、第一層8の形成時におけるチタンアルコキシド類の反応速度に影響する。適切な反応速度の観点から、チタンアルコキシドのオリゴマーをなすモノマーの数は、4以上が好ましく、50以下が好ましい。
この粉末2では、第一層8の形成にはチタンアルコキシド類にケイ素アルコキシドを加えてもよい。言い換えれば、好ましくは、第一層8はチタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシドを含むものの重合物からなる。この場合、第一層8はチタン及びケイ素の酸化物からなる。チタンアルコキシド類にケイ素アルコキシドを加えることで、より適切な反応速度で重合が可能となる。ケイ素は、高周波用途でのコアロス低減に寄与しうる。このケイ素の添加により、金属粉末4と第一層8との密着性が向上する。第一層8と第二層10との密着性も向上する。これにより、圧縮成形時における皮膜6の金属粉末4からの剥離が低減されるので、コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られる。
ケイ素アルコキシドの具体例として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランが挙げられる。
コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られるとの観点から、第一層8に含まれるケイ素の質量に対するチタンの質量の比Aは2以上6以下が好ましい。この比Aが6よりも大きくなると第一層8に含まれるTi成分が過剰となり、皮膜6の密着性が劣化する。皮膜6の密着性が劣化すると圧縮成形時に皮膜6が剥離するため、圧粉磁心の渦電流損失が増大し、コアロスが増加してしまう。安定した皮膜6の形成の観点から、この比Aは5.5以下がより好ましい。この比Aが2よりも小さくなると第一層8に含まれるSi成分が過剰となり、皮膜6の耐熱性が劣化する。皮膜6の耐熱性が劣化すると熱処理により皮膜6が破壊されるため、圧粉磁心の渦電流損失が増大し、コアロスが増加してしまう。安定した皮膜6の形成の観点から、この比Aは3.5以上がより好ましい。
この粉末2では、第一層8による金属粉末4の被覆率C1は80%以上100%以下が好ましい。前述したように、第一層8は粉末2から形成された圧粉磁心のコアロス特性に寄与しうる。コアロス特性の観点から、第一層8による金属粉末4の被覆率C1は90%以上がより好ましい。特に好ましくは、この被覆率C1は100%である。図1に示された粉末2において、第一層8による金属粉末4の被覆率C1は100%である。この第一層8は、金属粉末4の全体を覆っている。
本願では、第一層8による金属粉末4の被覆率C1の算出には、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影された粉末2の断面画像が用いられる。詳細には、TEMにて観察される無数の粉末2の中から、金属粉末4と皮膜6との境界の確認が可能な状態で10視野撮影される。撮影により得た写真において、金属粉末4が第一層8で被覆されている長さ(以下、被覆長さとも称される。)及び金属粉末4の表面の長さが計測される。本願では、被覆長さを金属粉末4の表面の長さで除したものを百分率で表した数値が、被覆率C1として表されている。
この粉末2では、第二層10の形成にシリコーン樹脂が用いられる。シリコーン樹脂は、チタンアルコキシド類とも重合し、第一層8で被覆された粉末同士を結着しうる。すなわち、第一層8のみでは、この粉末同士が結着しないため、圧粉磁心の成形が困難となる。しかもこのシリコーン樹脂は、第一層8による被覆が十分でない箇所に入り込み、第一層8の欠陥を補修する。これにより、絶縁性の皮膜6で金属粉末4の全体が覆われた粉末2が得られる。第二層10は、この粉末2から形成された圧粉磁心のコアロス特性の向上に寄与しうる。本発明によれば、コアロス特性に優れる圧粉磁心が得られる。
図1において、両矢印TAは皮膜6の厚さを表している。両矢印T1は、第一層8の厚さを表している。両矢印T2は、第二層10の厚さを表している。本願では、厚さTA、厚さT1及び厚さT2のそれぞれは、粉末2の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて10視野撮影し、この撮影された断面の画像から得た計測値の平均値で表される。なお、撮影に際し、試料としての粉末2には、収束イオンビーム(FIB)加工により粉末2の断面が観察可能となるような調整がなされている。
第一層8の厚さT1は、粉末2から形成された圧粉磁心の磁気特性に影響する。この厚さT1が1nmよりも小さくなると、第二層10との結合力が低下し圧粉磁心の成形が困難となる。この観点から、この厚さT1は1nm以上が好ましい。この厚さT1が200nmよりも大きくなると、圧粉磁心の密度が低下してしまう。この場合、飽和磁束密度等の磁気特性が悪化する恐れがある。この観点から、この厚さT1は200nm以下が好ましい。
第二層10の厚さT2は、粉末2から形成された圧粉磁心の磁気特性に影響する。この厚さT2が1nmよりも小さくなると、第一層8との結合力が低下し圧粉磁心の成形が困難となる。この観点から、この厚さT2は1nm以上が好ましい。この厚さT2が800nmよりも大きくなると、圧粉磁心の密度が低下してしまう。この場合、飽和磁束密度等の磁気特性が悪化する恐れがある。この観点から、この厚さT2は800nm以下が好ましい。
皮膜6の厚さTAは、粉末2から形成された圧粉磁心のコアロス特性に影響する。この観点から、厚さTAは2nm以上が好ましく、2000nm以下が好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[圧粉磁心の製作]
圧粉磁心の製作に先だって、下記の表1、表2、表3及び表4に示された各例の粉末を製作した。この粉末の製作では、無数の金属粉末からなる粉体(10kg)が準備された。この金属粉末として、Fe−3mass%Si粉末及びFe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末が用いられた。
チタンアルコキシド類を含む第一処理液を用いて、金属粉末に第一層を形成させた。さらにシリコーン樹脂を含む第二処理液を用いて、第一層の外側に第二層を形成させ、図1に示された粉末を作製した。この作製に使用したチタンアルコキシド類のタイプが、下記の表1及び表2に示されている。第一層の形成に用いられたチタンアルコキシドのオリゴマーは、このチタンアルコキシドのモノマーに溶剤を適量添加して作製された。第二層の形成のためのシリコーン樹脂としては、信越化学工業社製の商品名「SMP−2003PGMA」が使用された。表1及び表2においては、粉末が第二層を有していることが「Y」で表されている。粉末が第二層を有していないことが、「N」で表されている。なお、表1が金属粉末にFe−3mass%Si粉末を用いた場合を、表2が金属粉末にFe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を用いた場合をそれぞれ示している。
チタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシドを含む他の第一処理液を用いて、金属粉末に第一層を形成させた。さらにシリコーン樹脂を含む第二処理液を用いて、第一層の外側に第二層を形成させ、図1に示された粉末を作製した。この作製に使用したチタンアルコキシド類およびケイ素アルコキシドのタイプが、下記の表3及び表4に示されている。第一層の形成に用いられたチタンアルコキシドのオリゴマーは、このチタンアルコキシドのモノマーに溶剤を適量添加して作製された。第二層の形成のためのシリコーン樹脂としては、信越化学工業社製の商品名「SMP−2003PGMA」が使用された。表3及び表4においては、粉末が第二層を有していることが「Y」で表されている。粉末が第二層を有していないことが、「N」で表されている。なお、表3が金属粉末にFe−3mass%Si粉末を用いた場合を、表4が金属粉末にFe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を用いた場合をそれぞれ示している。
作製した無数の粉末からなる基材粉体を圧力1470MPaで加圧成形し、外径30mm、内径18mm、高さ5mmのトロイダル形状の成形体(圧粉体)を作製した。この成形体について、アルゴン雰囲気下で750℃で熱処理を施すことにより、圧粉磁心を得た。
[圧粉磁心の評価]
作製した圧粉磁心について、密度及びコアロスを測定した。なお、金属粉末にFe−3mass%Si粉末を用いた圧粉磁心については、励磁磁束密度0.1T、周波数10kHzの条件でコアロスを測定した。金属粉末にFe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を用いた圧粉磁心については、励磁磁束密度0.1T、周波数100kHzの条件でコアロスを測定した。この結果が、下記の表1−4に示されている。
Figure 0006218468
Figure 0006218468
Figure 0006218468
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以下に、各例における粉末について詳細に説明する。
[実施例1−4、12−14、18−21及び29−31]
実施例1−4、12−14、18−21及び29−31では、第一層はチタンアルコキシドのモノマーから形成された。第二層は、シリコーン樹脂から形成された。各例の第一層の厚さT1、第二層の厚さT2及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表1及び表2に示されている通りである。
[実施例5−11、15−17、22−28及び32−34]
実施例5−11、15−17、22−28及び32−34では、第一層はチタンアルコキシドのオリゴマーから形成された。第二層は、シリコーン樹脂から形成された。各例の第一層の厚さT1、第二層の厚さT2及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表1及び表2に示されている通りである。
[比較例1−2及び6−7]
比較例1−2及び6−7は、チタンアルコキシドのモノマー又はオリゴマーから形成された第一層のみを有しており、第二層を有していない。各例の第一層の厚さT1及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表1及び表2に示されている通りである。
[比較例3−5及び8−10]
比較例3−5及び8−10では、チタンアルコキシド以外のモノマーを用いて第一層が形成された。比較例3、5、9及び10はシリコーン樹脂で形成された第二層を有しているが、比較例4及び8は第二層を有していない。各例の第一層の厚さT1、第二層の厚さT2及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表1及び表2に示されている通りである。
[実施例35−54および57−76]
実施例35−54および57−76では、第一層はチタンアルコキシドのモノマー又はオリゴマーとケイ素アルコキシドとから形成された。第二層は、シリコーン樹脂から形成された。各例の、皮膜の第一層に含まれるSiの質量に対するTiの質量の比A、第一層の厚さT1、第二層の厚さT2及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表3及び表4に示されている通りである。
[実施例55−56および77−78]
実施例55−56および77−78では、第一層はチタンアルコキシドのモノマー又はオリゴマーから形成された。第二層はシリコーン樹脂から形成された。各例の、第一層の厚さT1、第二層の厚さT2及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表3及び表4に示されている通りである。
[比較例11−12及び16−17]
比較例11−15及び16−20は、チタンアルコキシドのモノマー又はオリゴマーとケイ素アルコキシドとから形成された第一層のみを有しており、第二層を有していない。各例の、皮膜の第一層に含まれるSiの質量に対するTiの質量の比A、第一層の厚さT1及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表3及び表4に示されている通りである。
[比較例13−15及び18−20]
比較例13−15及び18−20は、チタンアルコキシドのモノマー又はオリゴマーから形成された第一層のみを有しており、第二層を有していない。各例の、第一層の厚さT1及び第一層による金属粉末の被覆率C1は、表3及び表4に示されている通りである。
[総合評価1(Fe−3mass%Si粉末を用いた圧粉磁心)]
コアロス及び密度の値に基づき、下記の格付けを行った。
S:コアロスが80kW/m以下、かつ、密度が7000kg/m以上
A:コアロスが80kW/mより大90kW/m以下、かつ、密度が7000kg/m以上
B:コアロスが90kW/mより大100kW/m以下、かつ、密度が7000kg/m以上
C:コアロスが100kW/mより大、又は、密度が7000kg/m未満
D:測定不能(圧粉磁心が成形できなかった。)
この結果が、下記の表1及び表3に示されている。S、A、B、C、Dの順に良好である。
[総合評価2(Fe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を用いた圧粉磁心)]
コアロス及び密度の値に基づき、下記の格付けを行った。
S:コアロスが250kW/m以下、かつ、密度が5700kg/m以上
A:コアロスが250kW/mより大300kW/m以下、かつ、密度が5700kg/m以上
B:コアロスが300kW/mより大400kW/m以下、かつ、密度が5700kg/m以上
C:コアロスが400kW/mより大、又は、密度が5700kg/m未満
D:測定不能(圧粉磁心が成形できなかった。)
この結果が、下記の表2及び表4に示されている。S、A、B、C、Dの順に良好である。
表1及び表3に示されているように、Fe−3mass%Si粉末を金属粉末として用いた場合、実施例の粉末を使用した圧粉磁心では、励磁磁束密度0.1T、周波数10kHzの条件において、100kW/m以下のコアロスが実現された。さらに第一層の形成にチタンアルコキシドのオリゴマーを使用することで、90kW/m以下のコアロスが実現された。第一層に含まれるケイ素の質量に対するチタンの質量の比Aが2以上6以下となるように、第一層の形成にケイ素アルコキシドを用いることで、80kW/m以下のコアロスが実現された。表2及び表4に示されているように、Fe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を金属粉末として用いた場合、実施例の粉末を使用した圧粉磁心では、励磁磁束密度0.1T、周波数100kHzの条件において、400kW/m以下のコアロスが実現された。さらに第一層の形成にチタンアルコキシドのオリゴマーを使用することで、300kW/m以下のコアロスが実現された。第一層に含まれるケイ素の質量に対するチタンの質量の比Aが2以上6以下となるように、第一層の形成にケイ素アルコキシドを用いることで、250kW/m以下のコアロスが実現された。これらの評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、種々の圧粉磁心のための粉末の製造にも適用されうる。
2・・・粉末
4・・・金属粉末
6・・・皮膜
8・・・第一層
10・・・第二層

Claims (8)

  1. 鉄を主成分とした金属粉末と、この金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えており、
    上記皮膜が、上記金属粉末に積層された第一層と、この第一層の外側に位置する第二層とを備えており、
    上記第一層が、チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシドとを含むものの重合物からなる圧粉磁心用粉末。
  2. 上記チタンアルコキシド類がチタンアルコキシドのオリゴマーである請求項1に記載の圧粉磁心用粉末。
  3. 上記第一層に含まれるケイ素の質量に対するチタンの質量の比が2以上6以下である請求項1又は2に記載の圧粉磁心用粉末。
  4. 上記第一層による上記金属粉末の被覆率が80%以上100%以下である請求項1からのいずれかに記載の圧粉磁心用粉末。
  5. 上記第一層の厚さが1nm以上200nm以下であり、
    この第一層がチタンの酸化物又はチタン及びケイ素の酸化物からなる請求項1からのいずれかに記載の圧粉磁心用粉末。
  6. 上記第二層がシリコーン樹脂から形成されたものである請求項1からのいずれかに記載の圧粉磁心用粉末。
  7. 上記第二層の厚さが1nm以上800nm以下であり、
    この第二層がケイ素の酸化物からなる請求項1からのいずれかに記載の圧粉磁心用粉末。
  8. 請求項1に記載の粉末から形成された圧粉磁心。
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