JP6218266B2 - 貝殻を用いた無施釉の陶磁器の製造方法 - Google Patents

貝殻を用いた無施釉の陶磁器の製造方法 Download PDF

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本発明は、貝殻だけを用い、施釉することなく、陶磁器の表面に窯変調の色彩を現出させる製造方法に関する。
無施釉で陶磁器の表面に窯変と呼ばれる色彩を発現させる備前焼きでは、登り窯を用いて、大量の木材を燃料として用いた長時間の焼成により、素焼きの状態の陶磁器の作製が行われている。登り窯から取り出された備前焼の表面は、木材の灰や火炎あるいは窯内の雰囲気の変化により、種々の色彩を呈色している。
これに対し、特許文献1においては、焼成炉内のワーク載置床上に、耐熱材から成るさやにより囲まれた焼成空間を形成すると共に、この焼成空間の少なくとも一部に炭を配置し、且つ、前記ワーク載置床上に素焼きワークを載置し、この素焼きワークの周囲の少なくとも一部に、素焼きワークの外周面に対して非接触となるように、且つ、接近して貝殻を配置し、焼成炉内を、酸化雰囲気で4〜8時間かけて、室温から約900℃乃至950℃まで、加熱し、次いで、還元雰囲気で約3時間乃至4時間かけて、約1250℃まで加熱して、そのまま1時間乃至2時間維持し、次に、還元雰囲気で約20分乃至30分かけて1150℃まで徐冷し、且つ、約1100℃乃至1170℃の状態を約1時間維持してから加熱を停止するという陶器の焼成方法を採用することにより、登り窯による陶磁器の焼成で必要とされる大量の木材の使用と長時間の焼成時間を削減することができると共に、備前焼と同様の色彩が得られることが示されている。
特開2007−55874号公報
しかしながら、前記特許文献1の方法では、炭を用いることが不可欠とされているために、素焼きワークの下部に炭床層を形成する必要があり、そのため、同特許文献1の方法は以下に示す技術的課題を潜在的に有するものである。
(1)炭の使用によるコストおよび炭床層を形成するために手間を要し、かつ、炭の燃焼により地球温室化ガスの1つである二酸化炭素を排出する。さらに
(2)約1250℃での加熱の際に、さやの中に、素焼きワークと炭および貝殻を入れる必要があり、その際に素焼きワークの外周面に対して非接触とすることが不可欠であることから、1個の素焼きワークを焼成するために比較的大きなさやを必要とし、炉内の広い空間を占有し、そのため、1回の熱処理で窯変調の色彩を発現する陶磁器の数は、さやを使用しない熱処理の場合と比較して少なくとも半分以下になる。
これら(1)および(2)の要因により、素焼きワーク1個の製造コストに占める燃料コストが高くなり、焼き上がりの製品の価格が高くなる課題を有している。
そこで、本発明では、炭を使用することなく貝殻だけを用い、かつ無施釉により、窯変調の色彩を発現する陶磁器の製造方法を提供するとともに、貝殻の性状と窯変調の色彩が現出する温度を詳細に調べることにより、効率良く加熱し窯変調の色彩を示す陶磁器の製造コストを低減させることを課題とする。
本発明の第一の態様は、陶磁器原料を成形した生素地、素焼きの状態の陶磁器、または陶磁器原料を成形した生素地と素焼きの状態の陶磁器を配置し、これらと接触するように貝殻を配置し、加熱炉で酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて炭を使用することなく850℃から950℃の温度に加熱し、同温度で任意の時間保持した後に冷却し、冷却後加熱炉から取り出した素焼きの状態の陶磁器だけ炭を使用することなく加熱炉で酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて1200℃から1300℃の温度に加熱し、同温度で任意の時間保持した後に冷却することを特徴とする陶磁器の製造方法である。
本発明の第二の態様は、請求項1に記載の陶磁器の製造方法であって、貝殻を配置した後に、耐熱材から成るさやにふたをするステップをさらに含む陶磁器の製造方法である。
本発明の第三の態様は、請求項1に記載の陶磁器の製造方法であって、前記陶磁器原料を成形した生素地、素焼きの状態の陶磁器、または陶磁器原料を成形した生素地と素焼きの状態の陶磁器と、前記貝殻は、耐熱材から成るさやの中に配置されることを特徴とする陶磁器の製造方法である。
本発明の第四の態様は、請求項1乃至3のいずれかに記載の陶磁器の製造方法であって、貝殻は、有姿の形状、粉砕処理が施された形状、粉砕処理後成形された形状およびそれらの組み合わせの形状から成る群から選択され、貝殻の主成分である炭酸カルシウムが存在している状態の貝殻を用いることを特徴とする陶磁器の製造方法である。
本発明の第五の様態は、請求項1乃至3のいずれかに記載の陶磁器の製造方法であって、表面の一部に釉薬が施釉されている陶磁器原料を成形した生素地または素焼きの状態の陶磁器が含まれることを特徴とする陶磁器の製造方法である。
本発明の第六の様態は、請求項1乃至3のいずれかに記載の陶磁器の製造方法であって、加熱炉で酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて1200℃から1300℃の温度に加熱し、同温度で任意の時間保持した後自然放冷することを特徴とする陶磁器の製造方法である。
この発明により、炭を使用することなく貝殻だけを用い、かつ無施釉により、種々の色彩を呈する陶磁器を製造することができ、その結果、炭の使用によるコストの削減、炭床層を形成するための手間の削減、炭の燃焼により発生する地球温室化ガスの1つである二酸化炭素の排出の削減、および、1個の素焼きワークを焼成するための比較的大きなさやや炉内の広い空間を必要とすることがない、という予期し得ない効果を達成することに成功したものである。また、さらには、使用した貝殻の主成分は熱処理により酸化カルシウムとなることから、微量の不純物が含まれるものの釉薬原料としての再利用が可能となり、その結果、排出物をゼロにすることにも成功したものである。
断熱材から成るさや(1)の中に、貝殻を粉砕した粉末(3)と成形された器(4)を配置し、ふた(2)をした状態の概略図である。 断熱材から成るさや(1)の中に、貝殻を粉砕した粉末(3)と成形された器(4)を配置し、さらに器の上に貝殻(6)を配置し、ふた(2)をした状態の概略図である。 断熱材から成るさや(1)の中に、貝殻(6)と成形された器(4)を交互に配置し、ふたをした状態の概略図である。 断熱材から成るさや(1)の中に、粉砕した貝殻を用いて成形したお椀(8)の中に成形された器(4)を配置し、ふた(2)をした状態の概略図である。
最良の形態に係る陶磁器の焼成方法は、陶磁器の原料を成形後乾燥しただけの生素地を耐火材から成るさやの中に入れ、その周辺に粉末状に加工した牡蠣殻を配置し、さやに蓋をした状態で電気炉で酸化雰囲気にて900℃まで加熱する。900℃で30分間保持した後、加熱を停止し、室温まで炉冷する。次にさやから取り出した素焼きと呼ばれる状態の陶磁器を電気炉内に配置し、酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて1280℃まで加熱し、1280℃で30分間保持した後に、加熱を停止し自然放冷する。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
乾燥後の牡蠣殻をジョークラッシャーを用いて5〜10mm各程度に粉砕した後、擂潰機を用いて粉末にした。この粉末を深さがあるセラミックス製の容器に入れ、耐熱材から成るさやの中に置いた。その周辺に、石見焼き用の粘土を成形後乾燥させた器を配置した後、さやに蓋をした。この状態の断面像を図1に示す。
前記牡蠣殻の粉末と前記器が入れられているさやを電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から900℃まで9時間要して温度を上げ、900℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
さやから取り出した前記器を電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から1280℃まで約15時間要して温度を上げ、1280℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
電気炉から取り出した前記器の外側は赤茶色を呈色し、備前焼の様な窯変調の色彩を示していた。
乾燥後の牡蠣殻をジョークラッシャーを用いて5〜10mm各程度に粉砕した後、擂潰機を用いて粉末にした。この粉末を深さがあるセラミック製の容器に入れ、耐熱材から成るさやの中に置いた。その周辺に、石見焼き用の粘土で成形した器を900℃で熱処理し、素焼きと呼ばれる状態の器を配置した。さらに器の上部を覆うように未加工の牡蠣殻を配置した後に、さやに蓋をした。この状態の断面像を図2に示す。
前記牡蠣殻の粉末と前記器が入っているさやを電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から1280℃まで約15時間要して温度を上げ、1280℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
さやから取り出した前記器の外側と内側が赤茶色を呈色し、備前焼の様な窯変調の色彩を示していた。
耐熱材から成るさやの中に、石見焼き用の粘土を成形後乾燥させた器と牡蠣殻とを交互に積み重ねるように配置した後に、さやに蓋をした。この状態の断面図を図3に示す。
前記器と前記牡蠣殻が交互に積まれたものが入ったさやを電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から900℃まで9時間要して温度を上げ、900℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
さやから取り出した前記器の表面の一部に、牡蠣殻が付着している場合はあるが、大半の部分では牡蠣殻は付着せず、取り除けた。前記器を電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から1280℃まで約15時間要して温度を上げ、1280℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
電気炉から取り出した前記器の表面は赤茶色を呈色し、備前焼の様な窯変調の色彩を示していた。
乾燥後の牡蠣殻を加工せず有姿のままの状態で耐熱材から成るさやの中に置いた。その周辺に、石見焼き用の粘土で成形した器を900℃で熱処理し、素焼きと呼ばれる状態の器を配置した後、さやに蓋をした。
前記牡蠣殻と前記器が入れられているさやを電気炉に入れ、次の3通りの熱処理を行った。(1)酸化雰囲気下で室温から800℃まで8時間要して加熱し、30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。(2)酸化雰囲気下で室温から850℃まで8.5時間要して加熱し、30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。(3)酸化雰囲気下で室温から900℃まで9時間要して加熱し、30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
3通りの熱処理を行った前記器を電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から1280℃まで約15時間要して温度を上げ、1280℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
電気炉から取り出した3種類の器の外観は、前記(1)の場合における器の外側がほんのわずか赤茶色を呈色し、前記(2)の場合、前記(3)の場合の順で色が濃くなった。
乾燥後の牡蠣殻を加工せずに耐熱材から成るさやの中に置いた。その周辺に、石見焼き用の粘土で成形した器を900℃で熱処理し、素焼きと呼ばれる状態の器を配置した後、さやに蓋をした。
前記牡蠣殻と前記器が入っているさやを電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から900℃まで9〜10時間要して加熱し、900℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
さやから取り出した前記器を電気炉に入れ、還元雰囲気下で室温から1280℃まで加熱し、同温度で30分間保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
電気炉から取り出した前記器の外観は、こげ茶色を呈色し、典型的な備前焼の色彩を呈色した。
乾燥後の牡蠣殻をジョークラッシャーを用いて5〜10mm各程度に粉砕した後、擂潰機を用いて粉末にした。この粉末に少量の水道水を加えお椀の形状に成形した。石見焼き用の粘土で成形した器を耐熱材から成るさやの中に置き、前記器に牡蠣殻の粉末で成形したお椀を被せた後、さやに蓋をした。なお、前記器と前記お椀は接触させない。この状態の断面図を図4に示す。
前記器とそれを蓋う前記お椀が入ったさやを電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から900℃まで9〜10時間要して加熱し、900℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
さやから取り出した前記器を電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から1280℃まで加熱し、同温度で30分間保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
電気炉から取り出した前記器の内側と外側は、赤茶色を呈色し、備前焼の様な窯変調の色彩を示していた。
乾燥後の島根県産のしじみ殻を加工せず有姿のままの状態で耐熱材から成るさやの中に置いた。その周辺に、石見焼き用の粘土で成形した器を900℃で熱処理し、素焼きと呼ばれる状態の器を配置した後、さやに蓋をした。
前記しじみ殻と前記器が入れられているさやを電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から900℃まで9時間要して温度を上げ、900℃で40分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
さやから取り出した前記器を電気炉に入れ、酸化雰囲気下で室温から1280℃まで約15時間要して温度を上げ、1280℃で30分保持した後に加熱を停止し、自然放冷した。
電気炉から取り出した前記器の外側は赤茶色を呈色し、備前焼の様な窯変調の色彩を示していた。
乾燥後の牡蠣殻をジョークラッシャーを用いて5〜10mm各程度に粉砕した後、擂潰機を用いて粉末にした。この粉末に少量の水道水を加えたスラリー状の液体を、素焼きと呼ばれる状態にした器の内側と外側に施釉し乾燥させた。
次に、電気炉に施釉した器を入れた後、酸化雰囲気で14時間要して1280℃まで加熱し、1280℃で30分間保持した後、加熱を停止し室温まで炉冷した。
電気炉から取り出した前記器の内側は、加熱により牡蠣殻が酸化カルシウムを主成分とする白い膜が固着し、外側は、器と酸化カルシウムを主成分とする膜が剥離し、器全体を包む様な形態をしていた。
前記器の外側の剥離していた膜を取り除くと、器の外側が赤茶色を呈色し、備前焼の様な窯変調の色彩を示していた。内側は白い膜が器と反応し固着していたため取り除くことが困難であった。そのため器は使用することが出来なかった。
牡蠣殻と島根県内で採取されたしじみ殻について、酸化雰囲気および還元雰囲気での熱分析を行い、酸化雰囲気下では貝殻の主構成成分である炭酸カルシウムの分解が開始する温度は共に615℃近傍で、分解が完了する温度は共に800℃近傍であることを確認した。さらに牡蠣殻では800℃から900℃の間で4%程度の重量減少が確認され、シジミ殻においては800℃から900℃の間の重量減少は極めて小さいことが確認された。
900℃から1200℃の間では牡蠣殻、しじみ殻の両方ともに重量減少はほとんど生じていなかった。他方、還元雰囲気下では、貝殻の主構成成分である炭酸カルシウムの分解が開始する温度は牡蠣殻、しじみ殻の両方とも640℃近傍で、分解が完了する温度は異なり、それぞれ825℃、815℃近傍であることを確認した。さらに牡蠣殻では825℃から920℃の間で4%程度の重量減少が確認され、シジミ殻においては815℃から920℃の間の重量減少は極めて小さいことが確認された。920℃から1200℃の間では牡蠣殻、しじみ殻の両方ともに重量減少はほとんど生じていなかった。
前記実施例4の実験結果と実施例9の熱分析の結果から、窯変調の色彩の発現に寄与する物質は、少なくとも800から920℃の間の温度域で貝殻から発散されていると考えられる。
器の表面の赤茶色の領域と器を切断して現れた断面の素地の領域を、電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線検出器(EDS)を用いて分析した結果の1例を表1に示す。
素地は、主にSiとAlから成り、少量のKとFeが含まれる化合物から構成されていることが分かった。他方、器の表面の赤茶色の領域では、素地では検出されなかったMgが比較的高い濃度で検出され、またSiの濃度が低下し、Al、K、Feの濃度が相対的に高くなった。これらの結果から、赤茶色を現出させている化合物が何であるかは見出せていないが、Mgは赤茶色の発色に関与している1つの要素と考えられる。
次に前記実施例4において、900℃で30分間の加熱を受けた牡蠣殻の蛍光X線装置を用いた分析結果を表2に示す。この分析結果から、牡蠣殻にはMgが含まれていることが判明し、熱分析の結果と合わせて考えると、600℃付近から900℃前後の間で生じている炭酸カルシウムの分解と同時にMgの昇華が生じ、牡蠣殻の周辺に配置した器に付着したと思われる。

さらに前記実施例4で生じた、(1)800℃で30分間の加熱を受けた牡蠣殻、(2)850℃で30分間の加熱を受けた牡蠣殻、(3)900℃で30分間の加熱を受けた牡蠣殻、のそれぞれについてX線回折装置を用いた分析を行い、(1)と(2)の主成分は炭酸カルシウムであり、(3)の主成分は酸化カルシウムであることが判明した。貝殻の主成分である炭酸カルシウムが酸化カルシウムに変化する温度以上で器と一緒に熱処理を行うことが望ましいと考えられる。
本明細書においては、加熱時間ないし保持時間について「任意の時間」と特定しているが、これは、加熱時間ないし保持時間の長短により、最終的に得られる陶磁器の窯変調の色彩がそれぞれ異なると共に、その差異に応じて、それぞれ、独特の窯変調の色彩を提供できることによるものであることから、この「任意の時間」なる特定は、任意の時間であるからこそ技術的意味を有するものであり限定されるべきものはない。
島根県の石見地域で造られている石見焼きは250年近くの歴史を持ち、地元で採取される粘土と天然の釉薬原料を主原料として造られている。本発明は、登り窯を使わず、ガス炉や電気炉を用いて石見焼きには無い窯変調の色彩を発現できる。そこで本発明の製造方法で作製した無施釉の陶磁器を「美由蠣焼き」と名付け、従来の石見焼きにはない新色および製造方法を提供し、利用を進める。
1 断熱材から成るさや
2 断熱材から成るさやの蓋
3 粉末状の貝殻
4 陶磁器原料を成形した生素地または素焼き状の陶磁器
5 セラミックス製の容器
6 未加工の貝殻
7 セラミックス製の治具
8 粉末状の貝殻を練混ぜて成形したお椀状の器

Claims (6)

  1. 陶磁器原料を成形した生素地、素焼きの状態の陶磁器、または陶磁器原料を成形した生素地と素焼きの状態の陶磁器を配置し、これらと接触するように貝殻を配置し、加熱炉で酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて炭を使用することなく850℃から950℃の温度に加熱し、同温度で任意の時間保持した後に冷却し、冷却後加熱炉から取り出した素焼きの状態の陶磁器だけ炭を使用することなく加熱炉で酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて1200℃から1300℃の温度に加熱し、同温度で任意の時間保持した後に冷却することを特徴とする陶磁器の製造方法。
  2. 請求項に記載の陶磁器の製造方法であって、貝殻を配置した後に、耐熱材から成るさやにふたをするステップをさらに含むことを特徴とする陶磁器の製造方法。
  3. 請求項に記載の陶磁器の製造方法であって、前記陶磁器原料を成形した生素地、素焼きの状態の陶磁器、または陶磁器原料を成形した生素地と素焼きの状態の陶磁器と、前記貝殻は、耐熱材から成るさやの中に配置されることを特徴とする陶磁器の製造方法。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の陶磁器の製造方法であって、貝殻は、有姿の形状、粉砕処理が施された形状、粉砕処理後成形された形状およびそれらの組み合わせの形状から成る群から選択され、貝殻の主成分である炭酸カルシウムが存在している状態の貝殻を用いることを特徴とする陶磁器の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の陶磁器の製造方法であって、表面の一部に釉薬が施釉されている陶磁器原料を成形した生素地または素焼きの状態の陶磁器が含まれることを特徴とする陶磁器の製造方法。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の陶磁器の製造方法であって、加熱炉で酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にて1200℃から1300℃の温度に加熱し、同温度で任意の時間保持した後自然放冷することを特徴とする陶磁器の製造方法。
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