JP6218051B2 - 蓄電素子 - Google Patents
蓄電素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6218051B2 JP6218051B2 JP2016121719A JP2016121719A JP6218051B2 JP 6218051 B2 JP6218051 B2 JP 6218051B2 JP 2016121719 A JP2016121719 A JP 2016121719A JP 2016121719 A JP2016121719 A JP 2016121719A JP 6218051 B2 JP6218051 B2 JP 6218051B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- inorganic filler
- filler layer
- separator
- battery
- positive electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
- Cell Separators (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
Description
非水電解質電池は、金属箔からなる集電体に負極活物質の層と正極活物質の層とをそれぞれ設けた負極および正極を、電気的に隔離するセパレータを介して対向させ、電解質を非水溶媒に溶解した非水電解質溶液中において正極負極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するものである。
このような絶縁層をセパレータに設けた場合には、絶縁層付近では電解液中の電解質の分解が抑制されるため、ガスの発生が抑制されると考えられている。
すなわち、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートは、還元分解時にガスを発生するために、これを非水電解質溶液に添加した場合には、初期充放電後にガスが発生し、電池膨れが大きくなるおそれがあり、十分な量を添加できないという問題があった。
正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に配置されたセパレータと、電解質を非水溶媒に溶解した非水電解質溶液とを備えた蓄電素子であって、
前記セパレータは、織布、不織布、又は合成樹脂微多孔膜であり、
前記正極と前記負極との間に配置された無機フィラー層をさらに備え、
前記非水電解質溶液がリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートを含み、
前記無機フィラー層は、前記セパレータの表面に配置され、
前記無機フィラー層の空孔率は、前記セパレータの空孔率以上且つ70体積%以下であり、
前記無機フィラー層は、無機フィラーを含み、
該無機フィラーの材料は、シリカ、アルミナ、及びアルミノシリケートのうちの少なくとも1種である。
無機フィラー層の空孔率(体積%)=100−{(塗布密度÷真密度)×100}・・・(1)
塗布密度=無機フィラーの塗布質量(g/cm2)÷セパレータの厚み(μm)・・・(2)
尚、無機フィラーの塗布質量および真密度は、バインダーを含む場合には、無機フィラーとバインダーとを併せた塗布質量および真密度の値である。
セパレータの空孔率(体積%)=[[体積−(質量÷膜密度)]÷体積]×100・・・(3)
質量および体積とは、一定サイズ(一定サイズとは、例えば、シート状のセパレータ材料の場合には100mm×100mmのように正確に測定可能な大きさをいう。)のセパレータの質量(mg)およびその体積(mm3)であり、膜密度は、セパレータの膜密度(g/cm3)をいう。
無機フィラー層の空孔率(体積%)=100−[[Wc÷(dc×ρc)]×100]・・・(4)
Wc:無機フィラー層の目付け重量(g/cm2)
dc:無機フィラー層の厚み(cm)
ρc:無機フィラー層の平均密度(g/cm3)
本実施形態の電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に配置されたセパレータと、電解質を非水溶媒に溶解した非水電解質溶液とを備えた電池である。さらに、本実施形態の電池は、前記正極と前記負極との間に無機フィラー層が配置され、前記非水電解質溶液がリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートを含み、且つ前記無機フィラー層は前記セパレータに配置されているものである。
前記合成樹脂微多孔膜の中でも、特に、ポリエチレン及びポリプロピレン製微多孔膜、アラミドやポリイミドと複合化させたポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で、好適に用いられる。
この範囲であれば、強度を維持できると同時に、充放電特性も良好であるためである。
具体的には、前記セパレータの少なくとも一面側に無機フィラー層が形成されている。
無機フィラーの材料としては、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性が高く、且つリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
これらの無機フィラーは単独で又は2種以上の混合物として用いてもよい。
SiO2を主成分とする無機フィラーを用いる場合に、前記無機フィラー層に含まれるSi元素のSiO2換算質量比率は、好ましくは、40%以上、さらに好ましくは50%以上80%以下であることが好ましい。
無機フィラー層中のSiO2換算質量比率が前記範囲であれば、効果的に初期の電池膨れを抑制できる。
尚、本発明中でいうSi元素のSiO 2 換算質量比率とは、無機フィラー層に含まれるK、Na、Ca、Ba、Rb、Cs、Al、Mg、Fe、Ti、Mn、Cr、Zn、V、Be、B、Si、Zr、Ce、Yの元素種を抽出し、各元素の質量を算出し、これらがすべて酸化物K 2 O、Na 2 O、CaO、BaO、Rb 2 O、Cs 2 O、Al 2 O 3 、MgO、Fe 2 O 3 、TiO 2 、MnO、Cr 2 O 3 、ZnO、V 2 O 5 、BeO、B 2 O 3 、SiO 2 、ZrO 2 、CeO 2 、Y 2 Oの形で存在しているものとして、無機フィラー層中に含まれる前記酸化物中のSiO 2 の質量比率を言う。
粒子状の場合には、平均径が、約0.1μmから約3.0μm程度の粒子であれば、バインダーなどとの混合しやすさや、塗布が容易であることなどの観点から好ましい。
例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素含有樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、またはポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの窒素含有樹脂、セルロースとアクリルアミドの架橋重合体とセルロースとキトサンピロリドンカルボン酸塩の架橋重合体や多糖類高分子ポリマーであるキトサン、キチン等を架橋剤で架橋したものが好ましい。
また、バインダーの混合量は、セパレータの透過性や、電解液の保持機能などを低下させずに、且つ無機フィラー層を結着させるための好ましい量に適宜調整可能であるが、無機フィラーに対して1〜20質量%程度が好ましい。
乾燥後の塗布厚みとしては、3μm以上であって、前記セパレータ厚み以下であることが好ましい。
前記セパレータの厚み以下であれば、5μm〜12μmが好ましく、さらに好ましくは5〜10μm程度の厚みであることが好ましい。
前記無機フィラー層の空孔率は、さらに、前記範囲であって且つセパレータの空孔率以上であることが好ましい。
前記無機フィラーの空孔率が前記セパレータの空孔率よりも小さい場合には、無機フィラー層に目詰まりを生じやすくなり、その結果、セパレータの内部抵抗が高くなりやすい。
また、上記範囲内にすることで電池重量が増加して、電池のエネルギー密度や出力密度が低下することを抑制できる。
さらに、前記範囲内にすることで、無機フィラー層の厚みが厚すぎる場合に生じる、無機フィラー層内でのリチウムイオンの拡散抵抗の増加による出力低下を抑制できる。
前記リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートは、非水溶媒中に0.2質量%以上1質量%以下の濃度(0.008mol/kg以上、0.04mol/kg以下)、で含まれていることが好ましい。この濃度範囲であれば効果的に膨れを抑制できる。
例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、ジオキソラン、フルオロエチルメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジプロピオネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、アセトニトリル、フルオロアセトニトリル、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンなどのアルコキシおよびハロゲン置換環状ホスファゼン類または鎖状ホスファゼン類、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチルなどのホウ酸エステル類、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノン等の非水溶媒が挙げられる。
前記非水溶媒としては、これらを単独で、または2種以上の混合物として用いてもよい。
例えば、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、NaClO4、NaI、NaSCN、NaBr、KClO4、KSCN等のイオン性化合物およびそれらの2種類以上の混合物などが挙げられる。
このような他の化合物としては、例えば、ジフルオロリン酸リチウム、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどのカーボネート類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ジアリルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルビニルスルフィド、アリルエチルスルフィド、プロピルスルフィド、ジアリルジスルフィド、アリルエチルジスルフィド、アリルプロピルジスルフィド、アリルフェニルジスルフィド等のスルフィド類、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロぺンスルトン、1,4−ブテンスルトン等の環状スルホン酸エステル類、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸プロピル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸フェニル、エタンスルホン酸フェニル、プロパンスルホン酸フェニル、ベンジルスルホン酸メチル、ベンジルスルホン酸エチル、ベンジルスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸ベンジル、エタンスルホン酸ベンジル、プロパンスルホン酸ベンジル、等の鎖状スルホン酸エステル類、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、エチルメチルサルファイト、メチルプロピルサルファイト、エチルプロピルサルファイト、ジフェニルサルファイト、メチルフェニルサルファイト、エチルメチルサルファイト、エチレンサルファイト、ビニルエチレンサルファイト、ジビニルエチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ビニルプロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ビニルブチレンサルファイト、ビニレンサルファイト、フェニルエチレンサルファイト、などの亜硫酸エステル類、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジイソプロピル、硫酸ジブチル、エチレングリコール硫酸エステル、プロピレングリコール硫酸エステル、ブチレングリコール硫酸エステル、ペンテングリコール硫酸エステルなどの硫酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、ジフェニルエーテル、tert−ブチルベンゼン、オルトターフェニル、メタターフェニル、ナフタレン、フルオロナフタレン、クメン、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールなどの芳香族化合物、パーフルオロオクタンなどのハロゲン置換アルカン、ホウ酸トリストリメチルシリル、硫酸ビストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリルなどのシリルエステル類が挙げられる。
これらの化合物は単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。
本実施形態の電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に配置されたセパレータと、電解質を非水溶媒に溶解した非水電解質溶液とが備えられた電池において、前記正極と前記負極との間に無機フィラー層が配置され、前記非水電解質溶液がリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートを含む電池ある。且つ、前記無機フィラー層は活物質層を備えた前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方の前記活物質層表面に配置されている。
尚、本実施形態2において前記実施形態1と同様の点については説明を繰り返さない。
あるいは、前記正極活物質層又は負極活物質層用の材料をそれぞれ集電体の表面に塗布し、乾燥させた後、プレスする前に、前記無機フィラー層と前記バインダーとの混合物を塗布してから全体をプレスしてもよい。
または、前記正極活物質層又は負極活物質用層の材料をそれぞれ集電体の表面に塗布し、乾燥させ、プレスした後に、前記無機フィラー層と前記バインダーとの混合物を塗布することで前記無機フィラー層を前記活物質層の表面に形成してもよい。
前記無機フィラー層の空孔率は、さらに、前記範囲であって且つ前記セパレータの空孔率以上であることが好ましい。
前記無機フィラー層の空孔率が前記セパレータの空孔率よりも小さい場合には、例えば、前記セパレータと対向するように前記無機フィラー層が、前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方の活物質層表面に形成されている場合に、前記無機フィラー層と、前記セパレータとの間で目詰まりを生じやすくなり、その結果、セパレータの内部抵抗が高くなりやすい。
また、前記範囲内にすることで電池重量が増加し、電池のエネルギー密度や出力密度が低下することを抑制できる。
さらに、前記範囲内にすることで、無機フィラー層の厚みが厚すぎる場合に生じる、無機フィラー層内でのリチウムイオンの拡散抵抗の増加による出力低下を抑制できる。
無機フィラー層の空孔率(体積%)=100−[[Wc÷(dc×ρc)]×100]・・・(4)
Wc:無機フィラー層の目付け重量(g/cm2)
dc:無機フィラー層の厚み(cm)
ρc:無機フィラー層の平均密度(g/cm3)
Wc=W2−W1・・・(5)
W1:無機フィラー層形成前の正極又は負極の目付け重量(g/cm2)
W2:無機フィラー層形成後の正極又は負極の目付け重量(g/cm2)
dc=d2−d1・・・(6)
d1:無機フィラー層形成前の正極又は負極の厚み(cm)
d2:無機フィラー層形成後の正極又は負極の厚み(cm)
ρc=1÷[{(100−x)÷100÷ρ1}+(x÷100÷ρ2)]・・・(7)
ρ1:無機フィラーの真密度(g/cm3)
ρ2:バインダーの真密度(g/cm3)
x:バインダーの組成比(質量%)
100−x:無機フィラーの組成比(質量%)
前記セパレータの厚み以下であれば、5μm〜12μmが好ましく、さらに好ましくは5〜10μm程度の厚みであることが好ましい。
前記無機フィラー層の厚みが3μm以上であれば、より効果的に初期充電時の膨れが抑制できる。同時に、前記無機フィラー層の厚みが前記セパレータの厚み以下であることによって、蓄電素子を製造する際に、無機フィラー層によって電解質溶液が正負極に浸透することが阻害されるおそれがない。
前記無機フィラー層は、前記正極、前記負極いずれか一方に形成されていてもよく、両方に形成されていてもよい。
但し、前記正極、前記負極いずれか一方のみに無機フィラー層を形成することが、蓄電素子のエネルギー密度や出力密度の観点から好ましい。
試験1として、セパレータに無機フィラー層を配置した電池について以下のような試験を行った。
[実施例1]
(セパレータの作製)
重量平均分子量30万のポリプロピレン製樹脂シート(厚さ12μm)を二軸延伸によってセパレータとして作製した。
(無機フィラー層の作製)
さらに、前記セパレータの一面に、無機フィラーとしてアルミノシリケートを含む溶液を塗布することにより、無機フィラー層を作製した。
アルミノシリケートは、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムをモル比1:1となるように純水中で混合し、該混合物を80℃で加熱後、pH9となるまで純水にて洗浄したものを乾燥させることで作製したものを用いた。
アルミナシリケート溶液は、前記アルミノシリケートとポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度99%以上)とを水にそれぞれ均一に分散させることにより作製し、この無機フィラー水溶液を、上記セパレータの表面にグラビアコーターを用いて塗布し、60℃にて乾燥し、水を除去することで無機フィラー層が形成されたセパレータを作製した。
尚、無機フィラー層の厚みは、無機フィラー層をセパレータ上に形成した後に、かかるセパレータの厚みを差し引くことで,無機フィラー層の厚みを測定した。その結果、厚みは5μmであった。
前記無機フィラー層を塗布する前のセパレータから10cm角のサンプルをとり、その体積と質量から前記(3)を用いて空孔率を算出した。その結果、作製したセパレータの空孔率は34.7%であった。
さらに、無機フィラー層を塗布したセパレータから、10cm角のサンプルをとり、その質量と厚みから前記式(1)および式(2)を用いて無機フィラー層の空孔率を算出した。無機フィラー層の空孔率は64.7%であった。
(株)島津製作所製、蛍光X線分析装置XRF−1800を用いて、無機フィラー層表面に認められる元素種を測定した。
測定された元素種のうち、K、Na、Ca、Ba、Rb、Cs、Al、Mg、Fe、Ti、Mn、Cr、Zn、V、Be、B、Si、Zr、Ce、Yの元素種を抽出し、これらがすべて以下に示す酸化物K2O、Na2O、CaO、BaO、Rb2O、Cs2O、Al2O3、MgO、Fe2O3、TiO2、MnO、Cr2O3、ZnO、V2O5、BeO、B2O3、SiO2、ZrO2、CeO2、Y2Oであるとして、SiO2換算質量比率を算出したところ、含有量は54%であった。
非水電解質液を用意した。
前記非水電解質液としては、LiPF6を1mol/l、溶媒としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを30:35:35(体積%)の割合で混合したものを用いて、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートが1質量%の濃度となるように溶解したものを用いた。
負極としては、集電板としての10μm厚の銅箔の一面側に、負極活物質としての非晶質炭素を92質量%、バインダーとしてのPVdFを8質量%含む負極活物質層材料の混合物を、115μmの厚みになるように塗布後、ロールプレス機を用いて厚み105μmにプレスし、その後、150℃で12時間乾燥させ、負極活物質層を作製したものを用いた。
正極としては、集電板としての20μm厚のアルミニウム箔の一面側に、正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を90質量%、バインダーとしてのPVdFを5質量%、導電助剤としてのアセチレンブラックを5質量%含む正極活物質層材料の混合物を100μmの厚みになるように塗布後、ロールプレス機を用いて厚み90μmにプレスし、その後、150℃で12時間乾燥させ正極活物質層を作製したものを用いた。
活物質層の空孔率(体積%)=[1−[W÷(d×ρ)]]×100・・・(8)
W:活物質層の目付け重量(g/cm2)
d:活物質層の厚み(cm)
ρ:活物質層の平均密度(g/cm3)
ρ=1/[(x/100/ρa)+(y/100/ρb)+{(100−x−y)÷100÷ρc}]・・・(9)
ρa:活物質の真密度(g/cm3)
ρb:バインダーの真密度(g/cm3)
ρc:導電助剤の真密度(g/cm3)
x:活物質の組成比(質量%)
y:バインダーの組成比(質量%)
100−x−y:導電助剤の組成比(質量%)
尚、前記無機フィラー層は正極側に対向するように、前記負極、正極およびセパレータを積層した。
無機フィラー層をセパレータ上に形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
無機フィラー層の空孔率を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
無機フィラーとしてシリカを用いたこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
無機フィラーとしてアルミナを用いたこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
アルミノシリケートに含有されるSiO2換算質量比率の割合を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
実施例1で用いたアルミノシリケートとアルミナとを、表1に示す割合(質量比)で混合して用いたこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
無機フィラー層の厚みを表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートの添加量を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートの添加量を表1のように変更したこと以外は比較例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートに変えて、リチウムビスオキサレートボレート(LiB(Ox)2)を表1に示す量添加したこと以外は比較例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートに変えて、リチウムビスオキサレートボレート(LiB(Ox)2)を表1に示す量添加したこと以外は、実施例24と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートに変えて、リチウムビスオキサレートボレート(LiB(Ox)2)を表1に示す量添加したこと以外は、実施例22と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
実施例1〜27、参考例1〜3、及び比較例1〜8を、1CAの定電流にて4.2Vまで充電し、その後4.2Vにて総充電時間が3時間となるように定電圧充電した後、1CAの定電流にて2.4Vまで放電した。
このときの放電容量をサイクル前の放電容量とした。また、充放電前後の電池中央部の厚みを測定し、電池膨れを算出した。
なお、1CAとは、満充電時の電池を1時間で放電するときの電流値である。
各実施例1、23、24、比較例1、2、3を、55℃の恒温槽中で、2CAの定電流にてSOC80%に相当する電圧まで充電した後、2CAの定電流にてSOC20%に相当する電圧まで放電するサイクル試験を5000サイクル行った。
その後、室温にて1CAの定電流にて4.2Vまで充電し、その後4.2Vにて総充電時間が3時間となるように定電圧充電した後、1CAの定電流にて2.4Vまで放電した。このときの放電容量をサイクル後の放電容量とした。
サイクル後の放電容量をサイクル前の放電容量で除することによって、サイクル後の容量保持率を算出した。
電池膨れ及びサイクル後の容量保持率を表1に示す。
また、実施例1〜27より、無機フィラー層の空孔率を、セパレータの空孔率以上であって且つ70体積%以下とした電池は、特に電池膨れ抑制の効果が高かった。
さらに、非水電解質液に含まれるリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートが1.0質量%以上含まれている場合でも、無機フィラー層を備えたセパレータを用いることによって膨れは抑制された(実施例26、27、比較例4、5)。
尚、非水電解質液にリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートが含まれていない比較例6〜8では、電池に膨れは発生しなかった。
また、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートの添加量の増加に伴うサイクル後の容量保持率向上の度合いは、無機フィラー層を備えたセパレータを用いた電池では、より顕著であった。
これらの結果から、各実施例の電池は、電池膨れが小さく、優れたサイクル性能を備えていることが明らかとなった。
試験2として、正極活物質層、あるいは、負極活物質層上に無機フィラー層を形成した電池について以下のような試験を行った。
前記実施例1の無機フィラー層を、セパレータ上にではなく、正極活物質層上に形成した以外は、実施例1と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
前記無機フィラー層を正極活物質層上に形成する方法は以下のとおりである。
前記実施例1と同様に形成した正極活物質層の表面に、実施例1と同様の前記無機フィラー水溶液を、グラビアコーターを用いて塗布し、150℃にて乾燥し、水を除去することで無機フィラー層が形成された正極活物質層を作製した。
尚、無機フィラー層の厚みは、無機フィラー層と正極との厚みから活物質層およびアルミニウム箔の厚みを差し引くことで,無機フィラー層の厚みを測定した。その結果、厚みは5μmであった。
前記実施例31と同様に、無機フィラー層を正極活物質層上に形成した以外は、それぞれ実施例2〜12と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
前記実施例31と同様に、無機フィラー層を正極活物質層上に形成した以外は、それぞれ参考例1〜3と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
前記実施例31の無機フィラー層を、正極活物質層上ではなく、負極活物質層上に形成した以外は、実施例31〜45と同様にして、400mAh級の角形電池を作製した。
前記無機フィラー層を負極活物質層上に形成する方法は以下のとおりである。
前記実施例1と同様に形成した負極活物質層の表面に、実施例1と同様の前記無機フィラー水溶液を、グラビアコーターを用いて塗布し、150℃にて乾燥し、水を除去することで無機フィラー層が形成された正極活物質層を作製した。
尚、無機フィラー層の厚みは、無機フィラー層と負極との厚みから負極活物質層および銅箔の厚みを差し引くことで,無機フィラー層の厚みを測定した。測定した厚みは表2に示した。
また、実施例31〜57、参考例7〜9について、前記実施例1〜27、参考例1〜3、比較例1〜8と同様に電池膨れを測定し、実施例31、46について、前記実施例1、23,24、比較例1、2、3と同様にサイクル後の容量保持率を測定した。結果を表2に示す。
尚、比較のため前記比較例1を表2に記載した。
また、無機フィラー層の空孔率を、セパレータの空孔率以上であって且つ70体積%以下とした電池は、特に電池膨れ抑制の効果が高かった。
Claims (1)
- 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、電解質を非水溶媒に溶解した非水電解質溶液と、を備えた蓄電素子であって、
前記セパレータは、織布、不織布、又は合成樹脂微多孔膜であり、
前記正極と前記負極との間に配置された無機フィラー層をさらに備え、
前記非水電解質溶液がリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェートを含み、
前記無機フィラー層は、前記セパレータの表面に配置され、
前記無機フィラー層の空孔率は、前記セパレータの空孔率以上且つ70体積%以下であり、
前記無機フィラー層は、無機フィラーを含み、
該無機フィラーの材料は、シリカ、アルミナ、及びアルミノシリケートのうちの少なくとも1種である、蓄電素子。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011106195 | 2011-05-11 | ||
JP2011106195 | 2011-05-11 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012085291A Division JP5988134B2 (ja) | 2011-05-11 | 2012-04-04 | 蓄電素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017010938A JP2017010938A (ja) | 2017-01-12 |
JP6218051B2 true JP6218051B2 (ja) | 2017-10-25 |
Family
ID=57764150
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016121719A Active JP6218051B2 (ja) | 2011-05-11 | 2016-06-20 | 蓄電素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6218051B2 (ja) |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005005117A (ja) * | 2003-06-11 | 2005-01-06 | Sony Corp | 電池 |
JP2008226807A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-09-25 | Nissan Motor Co Ltd | 非水電解質二次電池 |
JP5318356B2 (ja) * | 2007-02-23 | 2013-10-16 | 三洋電機株式会社 | 非水電解質二次電池 |
JP2009176719A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-08-06 | Sony Corp | 電解液、二次電池およびスルホン化合物 |
JP2009277597A (ja) * | 2008-05-16 | 2009-11-26 | Panasonic Corp | 非水電解質二次電池 |
JP5516418B2 (ja) * | 2008-12-12 | 2014-06-11 | 株式会社村田製作所 | 非水電解液二次電池 |
JP5278442B2 (ja) * | 2009-01-06 | 2013-09-04 | 株式会社村田製作所 | 非水電解液二次電池 |
WO2010147106A1 (ja) * | 2009-06-18 | 2010-12-23 | 株式会社 村田製作所 | 非水電解液二次電池 |
JP2011049153A (ja) * | 2009-07-28 | 2011-03-10 | Mitsubishi Chemicals Corp | 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 |
CN102498590A (zh) * | 2009-08-19 | 2012-06-13 | 三菱化学株式会社 | 非水电解质二次电池用隔板及非水电解质二次电池 |
JP2011082033A (ja) * | 2009-10-07 | 2011-04-21 | Mitsubishi Chemicals Corp | 非水系電解液二次電池モジュール |
-
2016
- 2016-06-20 JP JP2016121719A patent/JP6218051B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017010938A (ja) | 2017-01-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5988134B2 (ja) | 蓄電素子 | |
KR102243458B1 (ko) | 비수 전해질 이차전지, 및, 비수 전해질 이차전지의 제조 방법 | |
JP2013229307A (ja) | 非水電解質溶液およびリチウムイオン二次電池 | |
JP6484995B2 (ja) | リチウムイオン二次電池 | |
JP2016085836A (ja) | リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 | |
KR101872086B1 (ko) | 비수 전해질 이차 전지의 제조 방법 | |
JP5708597B2 (ja) | リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 | |
JP2016085837A (ja) | リチウムイオン二次電池 | |
CN117044001A (zh) | 非水电解质蓄电元件 | |
EP4047678A1 (en) | Electricity storage element and electricity storage device | |
JP6218051B2 (ja) | 蓄電素子 | |
JP7423894B2 (ja) | 非水電解液二次電池及び非水電解液二次電池の製造方法 | |
JP2014049298A (ja) | リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 | |
CN115516660A (zh) | 蓄电元件用正极和蓄电元件 | |
JP6031965B2 (ja) | リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 | |
JP5846031B2 (ja) | リチウムイオン二次電池及び非水電解液 | |
JP5573875B2 (ja) | 非水電解質溶液およびリチウムイオン二次電池 | |
JP2016085853A (ja) | 非水電解液二次電池用のセパレータおよびその利用 | |
JP2015125949A (ja) | リチウムイオン二次電池 | |
JP2015125950A (ja) | リチウムイオン二次電池 | |
CN114243203B (zh) | 高延伸隔膜、其制备方法和锂离子电池 | |
JP2014049295A (ja) | リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 | |
WO2023233790A1 (ja) | 蓄電素子 | |
JP2023125893A (ja) | 非水電解質蓄電素子 | |
CN116982187A (zh) | 非水电解质蓄电元件 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170512 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170711 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170914 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6218051 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |