本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタと記載する)の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
図2のプリンタは、トナー像形成手段たるプロセスユニットとして、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y,C,M,Kと記す)用の4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
図3は、プロセスユニット1Yの概略構成を示す構成図である。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット1Yを例にすると、これは感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yとを有している。これら感光体ユニット2Y及び現像ユニット7Yは、プロセスユニット1Yとして一体的にプリンタ本体に対して着脱される。
ただし、プリンタ本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを図示しない感光体ユニットに対して着脱することができる。
感光体ユニット2Yは、ドラム状の感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示しない除電装置、潤滑剤塗布装置18Y、及び、帯電装置5Yなどを有している。
帯電装置5Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動せしめられる感光体3Yの表面を一様帯電せしめる。図3においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体3Yに近接させることで、感光体3Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置5Yを示した。また、帯電ローラ6Yの表面はクリーニングブラシローラ6aYによってクリーニングされる。
なお、帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、チャージャー方式によって感光体3Yを一様帯電せしめるものを用いてもよい。
帯電装置5Yによって一様帯電せしめられた感光体3Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザー光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
現像手段たる現像ユニット7Yは、第一搬送スクリュウ8Yが配設された第一剤収容部9Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、トナー濃度センサという)10Y、第二搬送スクリュウ11Y、現像ロール12Y、ドクターブレード13Yなどが配設された第二剤収容部14Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。
第一搬送スクリュウ8Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第一剤収容部9Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第一剤収容部9Yと第二剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第二剤収容部14Y内に進入する。
第二剤収容部14Y内の第二搬送スクリュウ11Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第二剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。
このようにしてY現像剤を搬送する第二搬送スクリュウ11Yの図中上方には、現像ロール12Yが第二搬送スクリュウ11Yと平行な姿勢で配設されている。この現像ロール12Yは、図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる非磁性パイプからなる現像スリーブ15Y内にマグネットローラ16Yを内包している。
第二搬送スクリュウ11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、マグネットローラ16Yの発する磁力によって現像スリーブ15Y表面に汲み上げられる。そして、現像部材たる現像スリーブ15Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。
現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール12Yの現像スリーブ15Yの回転に伴って第二搬送スクリュウ11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第一剤収容部9Y内に戻る。
トナー濃度センサ10YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。この制御部は、演算手段たるCPU、データ記憶手段であるRAM、ROM等から構成され、各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことができる。
Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ10YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。また、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載されたC、M、K用のトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC用Vtref、M用Vtref、K用Vtrefのデータが、RAMに格納されている。
Y用の現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、図示しないY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。
この駆動により、現像に伴うYトナー消費によってYトナー濃度を低下させたY現像剤に対し、第一剤収容部9Yで適量のYトナーが供給される。このため、第二剤収容部14Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスユニット(1C、M、K)内における現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
像担持体であり且つ潜像担持体である感光体3Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルトに中間転写される。
ドラムクリーニング装置4Yは、クリーニングブレード17Yなどを有している。クリーニングブレード17Yは、感光体3Yの表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体表面に当接している。
潤滑剤塗布装置18Yは、固形潤滑剤18aYや潤滑剤加圧スプリング18bYやブラケット18cYやファーブラシ101Y等を備え、固形潤滑剤18aYを感光体表面に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101Yを用いている。
固形潤滑剤18aYは、ブラケット18cYに保持され、潤滑剤加圧スプリング18bYによりファーブラシ101Y側に加圧されている。そして、感光体3Yの回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101Yにより固形潤滑剤18aYが削られて感光体表面に潤滑剤が塗布される。
感光体ユニット2Yのドラムクリーニング装置4Yは、中間転写工程を経た後の感光体表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体表面は、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
図2において、他色用のプロセスユニット1C,M,Kにおいても、同様にして感光体3C,M,K上にC,M,Kトナー像が形成されて、無端移動体たる中間転写ベルト41上に中間転写される。
プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザー光Lを、各プロセスユニット1Y,C,M,Kの感光体3Y,C,M,Kに照射する。これにより、感光体3Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。
なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザー光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,C,M,Kに照射するものである。かかる構成のものに代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット20の下方には、第一給紙カセット31a、第二給紙カセット31bが鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録部材たる記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第一給紙ローラ32a、第二給紙ローラ32bがそれぞれ当接している。
第一給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第一給紙カセット31a内の一番上の記録紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。
また、第二給紙ローラ32bが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第二給紙カセット31b内の一番上の記録紙Pが、給紙路33に向けて排出される。
給紙路33内には、複数の搬送ローラ34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これら搬送ローラ34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路33の末端には、レジストローラ35が配設されている。レジストローラ35は、記録紙Pを搬送ローラ34から送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
各プロセスユニット1Y,C,M,Kの図中上方には、無端移動体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。
転写手段たる転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット42、第一ブラケット43、第二ブラケット44などを備えている。また、4つの一次転写ローラ45Y,C,M,K、二次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。
中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの一次転写ローラ45Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体3Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。
中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
二次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された二次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
先に説明したレジストローラ35は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ50と二次転写バックアップローラ46との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ内で記録紙Pに一括二次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、記録紙Pに転写されなかつた転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。
なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させており、これによってベルト上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
転写ユニット40の第一ブラケット43は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ48の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。
本画像形成システムのプリンタは、単色画像たるモノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第一ブラケット43を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ48の回転軸線を中心にしてY、C、M用の一次転写ローラ45Y、C、Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト41をY、C、M用の感光体3Y、C、Mから離間させる。
そして、4つのプロセスユニット1Y,C,M,Kのうち、K用のプロセスユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY、C、M用のプロセスユニットを無駄に駆動させることによるそれらプロセスユニットの消耗を回避することができる。
二次転写ニップの図中上方には、定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62とを備えている。
定着ベルトユニット62は、定着部材たる定着ベルト64、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト64を加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動せしめる。この無端移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。
このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト64のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。
この検知結果は、図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63に内包される発熱源や、加圧加熱ローラ61に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が約140[°]に維持される。
図2において、二次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
転写ユニット40の上方には、Y,C,M,Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ100Y,C,M,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,C,M,K内のY,C,M,Kトナーは、プロセスユニット1Y,C,M,Kの現像ユニット7Y,C,M,Kに適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,C,M,Kは、プロセスユニット1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
以上の基本的な構成を備える本プリンタにおいては、各色のプロセスユニット1Y,C,M,Kや光書込ユニット20が、像担持体たる各色の感光体3Y,C,M,Kに可視像たるY,C,M,Kトナー像を形成する可視像形成手段として機能している。
また、近年、高生産性が求められており、高生産性を達成させるため、作像部や定着部以外の紙搬送部全体の紙搬送速度を上げるため、紙搬送中にモータの回転速度を変更させ、紙搬送ローラを増速させる技術が普及している。
具体的には、第一給紙ローラ32aや搬送ローラ34やレジストローラ35の紙送り速度を上げて、紙間を詰めている。
ここで、このようにモータの回転速度を変更させる場合、コスト削減や、低TEC値を実現するため、極力、モータ数を減らし、単一モータにて第一給紙ローラ32aや搬送ローラ34やレジストローラ35を動作させたい。ところが、各ユニットにおけるモータ回転動作や回転速度のタイミングが異なるため、給紙搬送系のモータを減らすことは困難である。
一般に、単一モータで複数のユニットを各回転動作タイミングにて動作させるものとして、電磁クラッチやソレノイドなどのアクチュエータが用いられている。しかしながら、これはユニットへの動力の連結と遮断の動作のみしか行うことができず、アクチュエータ単体で速度変換することができないため、複数ユニットで増速動作させたい箇所には使用できない。
これに対し、本実施形態のプリンタでは、第一給紙ローラ32aや搬送ローラ34やレジストローラ35の各ローラを単一モータにて速度変換することが可能な速度変換機構201を備えている。
速度変換機構201をモータと各ユニットの駆動伝達途中に配置することで、動力の連結と遮断の動作に加えて、回転速度の変更も行うことを可能にしつつ、第一給紙ローラ32aや搬送ローラ34やレジストローラ35を単一モータにて動作させることができる。
図4及び図5に、第一給紙ローラ32aや搬送ローラ34やレジストローラ35を駆動させる、レジスト・搬送・給紙駆動ユニット300の構成を示す。
図4に示すように、固定板304に対して、駆動モータ305が固定させており、レジスト駆動、搬送駆動及び給紙駆動をそれぞれ動作させるため、それぞれに対応させて3つの速度変換機構201が配置されている。
図5に示すように、駆動モータ305のモータ軸にはモータ出力ギヤ311が設けられており、レジスト駆動、搬送駆動及び給紙駆動へ駆動連結している。
レジスト駆動の伝達は、まず、モータ出力ギヤ311から第一レジストギヤ312を介して、速度変換機構201に伝わる。その後、速度変換機構201からに駆動が出力され、第二レジストギヤ313、第三レジストギヤ314、第四レジストギヤ315へ駆動が伝達する。そして、レジストローラ35の軸に設けられた不図示のギヤへ駆動が伝達され、レジストローラ35を回転駆動させる。
搬送駆動の伝達は、まず、モータ出力ギヤ311から第一搬送ギヤ321を介して、速度変換機構201に伝わる。その後、速度変換機構201から駆動が出力され、第二搬送ギヤ322へ駆動が伝達し、第二搬送ギヤ322と同軸上にある、搬送ローラカップリング323を介して、搬送ローラ34へ駆動が伝達され、搬送ローラ34を回転駆動させる。
給紙駆動の伝達は、まず、モータ出力ギヤ311から第一レジストギヤ312を介して、第一給紙ギヤ331に伝わり、速度変換機構201に伝わる。その後、速度変換機構201から駆動が出力され、第二給紙ギヤ332、第三給紙ギヤ333へ駆動が伝達する。そして、第三給紙ギヤ333と同軸上にある、給紙ローラカップリング324を介して、第一給紙ローラ32aへ駆動が伝達され、第一給紙ローラ32aを回転駆動させる。
次に、本発明の特徴部である速度変換機構201について説明する。
図1は、速度変換機構201の構成を簡略的に示した軸方向の断面図である。なお、図1中の斜線部は部品間の歯の噛み合い箇所を示している。図6は、速度変換機構201の側面分解図である。また、図7は、速度変換機構201の斜視分解図である。
速度変換機構201は、遊星歯車機構部210と速度切り換え機構部220とが組み合わさって構成されている。そして、この速度変換機構201では、低速回転(低回転数)と高速回転(高回転数)とクラッチとの3つの動作の切り換えを、速度切り換え機構部220により遊星歯車機構部210の駆動列を切り換えることで行われる。
速度変換機構201の遊星歯車機構部210について説明をする。
第一遊星歯車機構210Aには、複数の第一遊星歯車215や、この第一遊星歯車215を回転可能に支持する第一遊星キャリア211や、第一遊星歯車215と噛み合う第一内歯歯車212が設けられている。
第一遊星キャリア211の外周には、第一遊星キャリア211の回転を規制するために用いる第一被回転規制部材である突起部211aが第一遊星キャリア211と一体で設けられている。また、第一内歯歯車212の外周には、第一内歯歯車212の回転を規制するために用いる第二被回転規制部材である突起部212aが第一内歯歯車212と一体で設けられている。
なお、第一被回転規制部材や第二被回転規制部材を、第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212と別体でこれらに連結させるなどして設けても良い。
第二遊星歯車機構210Bには、太陽歯車216、複数の第二遊星歯車218や、第二遊星歯車218を回転可能に支持する第二遊星キャリア217や、出力ギヤ213や、速度変動機構外部から回転駆動力が入力される入力ギヤ214などが設けられている。
なお、太陽歯車216は、第一遊星歯車機構210Aの第一太陽歯車と、第二遊星歯車機構210Bの第二太陽歯車とを兼ねるものであり、第一太陽歯車と第二太陽歯車とを駆動連結させて一体で構成したと考えることができる。また、出力ギヤ213は、第二遊星歯車218と噛み合う第二内歯歯車、及び、速度変換機構外部のギヤと噛み合う外歯歯車として機能する。
速度切り換え機構部220には、回転規制部材221や円板カム222やホルダ223やブラシ付きモータ230などが設けられている。
入力ギヤ214から入力され出力ギヤ213から出力される駆動力の回転速度の速度切り換えは、詳細を後述するが、回転規制部材221と、第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212との連結や離間によって行われる。
なお、速度切り換え機構部220の回転規制部材221の動作は、回転規制部材221に当接している円板カム222の回転によって行われ、この円板カム222を回転させるための駆動モータとして、ブラシ付きモータ230を使用する。
速度変換機構201は、回転速度(回転数)変更動作やクラッチ動作を、遊星歯車機構部210の第一遊星キャリア211の突起部211aや第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221との連結や離間によって行う。なお、速度切り換え機構部220に設けられる回転規制部材自体は、切り換え時間短縮のために1つ以上配置することが可能であり、本実施形態では回転規制部材221を2つ設けている。
図8を用いて、速度切り換え機構部220について具体的に説明する。
速度切り換え機構部220において、回転規制部材221の中央部には、ホルダ223に対して回転可能なように軸支されるため支持軸250が設けられている。また、回転規制部材221には、支持軸250に対して対称または非対称に伸びた、第一アーム部275aと第二アーム部275bとが設けられている。
第一アーム部275aの先端には、第一遊星キャリア211の突起部211aに連結可能な第一爪部270aが設けられている。第二アーム部275bの先端には、第一内歯歯車212の突起部212aに連結可能な第二爪部270bが設けられている。
また、回転規制部材221の第一アーム部275aの先端部には、不図示のカムフォロア軸によって回転可能に支持された、円板カム222の周面上に当接されるカムフォロア280が設けられている。
速度切り換え機構部220には、このような構成の回転規制部材221が2つ、対を成して設けられている。
図9は、速度切り換え機構部220における回転規制部材221や第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212などの構成を示すものである。
円板形状である第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212の周面には、それぞれ複数の突起部211a,212aが設けられている。なお、突起部211a,212aは1つ以上設ければ良い。
また、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bは、支持軸250の軸方向で高さを異ならせて位置させている。これにより、第一爪部270aが第一遊星キャリア211の突起部211aと連結可能であり、第二爪部270bが第一内歯歯車212の突起部212aと連結可能となっている。
そして、突起部211a,212aと第一爪部270a及び第二爪部270bとが連結や離間することで、第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212が回転しないように固定したり固定解除したりして回転数の変更を行うことが可能となる。
なお、第一遊星キャリア211の突起部211aと第一内歯歯車212の突起部212aとの両方に、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bを同時に連結する動作は行わない。つまり、第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212を同時に固定しない構成としている。これは、遊星歯車機構部210がロックして、遊星歯車機構部210内に設けられたギヤが破損するおそれがあるためである。
図10は、円板カム222の模式図である。
本実施形態で用いる円板カム222は、回転中心から円周までの距離が一定でない円板形状のカム部材である。また、円板カム222には、カム半径rが一定になる箇所をカム半周分(180[°])にて、第一カム位置(図中(1))、第二カム位置(図中(2))、第三カム位置(図中(3))の3箇所が設けられている。
なお、円板カム222のカム半径rが一定になる箇所を円板一周分(360[°])で3箇所設けても良い。また、切り換え時間を短縮するために、円板120[°]分でカム半径rが一定になる箇所を3箇所設けても良い。
図11は、図10に示した円板カム222の曲線図である。
カム半径rが角度θが一定時に、第一カム位置(1)、第二カム位置(2)、第三カム位置(3)にカムフォロア280が当接する動作を行う構成である。
円板カム222の1周分(360[°])では、第一カム位置(1)、第二カム位置(2)、第三カム位置(3)それぞれにカムフォロア280が当接する動作を2回ずつ行う。
円板カム222が無端状のため、円板カム222の回転によって、「低速−クラッチ−高速−低速−・・・」と全ての組み合わせの切り換えが可能である。
円板カム222の側面には、フィラー279と呼ばれる透過型センサ用検知突起部材であるフィラー279が、円周方向で所定間隔をあけて4つ設けられている。そして、円板カム222の側面に所定間隔をあけて対向配置されたフォトセンサなどの透過型センサである検知センサ150によってフィラー279を検知して、円板カム222の停止タイミング(回転停止位置)を制御する。
円板カム222の回転駆動は、ブラシ付きモータ230のモータ出力軸と円板カム222とをギヤ連結または一体化させて構成し、ブラシ付きモータ230からの回転駆動力を円板カム222に伝達して回転駆動させる。
図12は、速度変換機構201を軸方向でブラシ付きモータ230側から見た場合の模式図である。
速度切り換え機構部220においては、ホルダ223に不図示の検知センサが2つ設置される。ブラシ付きモータ230による円板カム222の回転動作では、ホルダ223に開けられたセンサ窓223a,223bから円板カム222のフィラー279を2つの検知センサによって検知する。そして、この2つの検知センサのON/OFF時の信号の組み合わせによって、円板カム222の回転停止位置を決定する構成となっている。
図13は、ブラシ付きモータ230を用いた速度変換機構201での2つ検知センサの構成について説明するものである。
ブラシ付きモータ230で2つの検知センサを用いて円板カム222の回転位置(姿勢)を制御する場合、図13に示すような3パターンの組み合わせを用いる。すなわち、第一検知センサ150aと第二検知センサ150bの両方がON(図13(a))のパターン。第一検知センサ150aがONで第二検知センサ150bがOFF(図13(b))のパターン。そして、第一検知センサ150aがOFFで第二検知センサ150bがON(図13(c))のパターンの3パターンである。
これら3パターンに基づいて円板カム222の回転位置(姿勢)制御を行うことで、後述するように、低速回転と高速回転とクラッチとの3つの動作の切り換えが可能となる。
また、ブラシ付きモータ230からの駆動力を回転規制部材221へ駆動伝達する駆動列に円板カム222を用いることで、次のような効果を得ることができる。
すなわち、回転規制部材221を動作させる円板カム222に接触するカムフォロア280の位置を、回転規制部材221を動作させた後、維持するのにブラシ付きモータ230の駆動力を要しない構成にできる。したがって、ブラシ付きモータ230への通電時間を、第一遊星キャリア211の突起部211aや第一内歯歯車212の突起部212aに対して、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bを接触または離間させる動作中のみにできる。よって、突起部211aや突起部212aに対して第一爪部270a及び第二爪部270bを接触または離間させた状態で維持させるために、ブラシ付きモータ230へ通電し続ける必要がある構成よりも、省エネルギー化を図ることができる。
なお、始点と終点とがあるカム部材を用いた場合は、カム部材の回転によって、「低速−クラッチ−高速」の切り換えが可能であり、低速と高速との間の切り換え時間は、カム部材が無端状の場合よりも劣る。ただし、カム部材の回転動作が始点と終点とで止まるため、カム部材の基準姿勢を知るためのホームポジションセンサが不要という利点はある。
図14を用いて、速度切り換え機構部220におけるカム機構の構成について説明する。
高速回転、低速回転、クラッチの切り換え動作は、円板カム222の回転に伴ってカムフォロア280を前述した各カム位置間で移動させることで行われる。このため、カムフォロア280は、円板カム222の周面と接触した状態でなければ機能しないため、カムフォロア280を円板カム222の周面に常に当接させている。
なお、カムフォロア280を円板カム222の周面に常に当接させるためには、カムフォロア280を円板カム222の周面に常に当接させる力、言い換えれば、カムフォロア280を円板カム222の半径方向で円板カム中心に向かって引っ張る力が必要である。
そのため、本実施形態では、一対の回転規制部材221それぞれのフォロア軸を設けた第一アーム部275a側に、弾性体である引っ張りバネ260のそれぞれ端部を取り付けている。詳しくは、各回転規制部材221のフォロア軸を設けた第一アーム部275aから軸方向で立設させた立設部276の先端に、引っ張りバネ260の両端を引っ掛けている。
これにより、回転規制部材221の第一アーム部275aを介してカムフォロア280には、引っ張りバネ260によってカムフォロア280を円板カム222の半径方向で円板カム中心に向かる引っ張り力が発生する。そして、この力が、円板カム222の周面にカムフォロア280を常に当接させる力となる。
また、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bを、第一遊星キャリア211の突起部211aや第一内歯歯車212の突起部212aと連結や離間させるための噛み込む力や引き抜く力としても、引っ張りバネ260の引っ張り力を用いている。
そして、円板カム222の回転に伴って円板カム222の周面上におけるカムフォロア280の位置が変わることで、カムフォロア280が設けられた回転規制部材221が支持軸250と中心に回動し姿勢を変化させることができる。これにより、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bを、第一遊星キャリア211の突起部211aや第一内歯歯車212の突起部212aに対して連結や離間させることができる。
図15を用いて、速度変換機構201による高速回転出力切り換えを行う場合での遊星歯車機構部210の動作について説明する。
高速回転出力を行う場合には、速度切り換え機構部220の回転規制部材221の第一爪部270aと、遊星歯車機構部210の第一遊星キャリア211の突起部212aとを連結させる。一方、遊星歯車機構部210の第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221の第二爪部270bとは離間させており、第一内歯歯車212が空転可能となっている。
図16は、円板カム222の周面上の第三カム位置(3)にカムフォロア280を当接させた状態を示す図である。
図16に示すように、円板カム222の周面上の第三カム位置(3)にカムフォロア280を当接させた状態では、第一遊星キャリア211の突起部211aと、回転規制部材221の第一爪部270aとが連結した状態となる。また、第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221の第二爪部270bとが離間した状態となる。
速度変換機構外部から入力ギヤ214に回転駆動力が伝達され、入力ギヤ214が回転する(図15中(1))。このように入力ギヤ214が回転することで、入力ギヤ214に接続された太陽歯車216が入力ギヤ214と一体で回転する(図15中(2))。回転規制部材221の第一爪部270aと第一遊星キャリア211の突起部212aとが連結していることで、第一遊星キャリア211は回転せず停止したままで(図15中(3))、太陽歯車216と接続された第一遊星歯車215が自転する(図15中(4))。
そして、第一遊星歯車215の回転による力で、第一内歯歯車である第一内歯歯車212が回転する(図15中(5))。このように第一内歯歯車212が回転することで、これと噛み合った複数の第二遊星歯車218が自転する。また、第二遊星歯車218が第一内歯歯車212内で自転することで、第二遊星歯車218を回転可能に支持する第二遊星キャリア217が回転(公転)する(図15中(6))。
そして、第二遊星キャリア217の公転の力と、第二遊星歯車218の自転による力とによって、出力ギヤ213を回転させることで、高速回転出力がなされる(図15中(7))。
図17を用いて、速度変換機構201による低速回転出力切り換えを行う場合での遊星歯車機構部210の動作について説明する。
低速回転出力を行う場合には、速度切り換え機構部220の回転規制部材221の第二爪部270bと、遊星歯車機構部210の第一内歯歯車212の突起部212aとを連結させる。一方、遊星歯車機構部210の第一遊星キャリア211の突起部211aと、回転規制部材221の第一爪部270aとは離間させており、第一遊星キャリア211が空転可能となっている。
図18は、円板カム222の周面上の第一カム位置(1)にカムフォロア280を当接させた状態を示す図である。
図18に示すように、円板カム222の周面上の第一カム位置(1)にカムフォロア280を当接させた状態では、第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221の第二爪部270bとが連結した状態となる。また、第一遊星キャリア211の突起部211aと、回転規制部材221の第一爪部270aとが離間した状態となる。
速度変換機構外部から入力ギヤ214に回転駆動力が伝達され、入力ギヤ214が回転する(図17中(1))。このように入力ギヤ214が回転することで、入力ギヤ214に接続された太陽歯車216が入力ギヤ214と一体で回転する(図17中(2))。速度切り換え機構部220の回転規制部材221と第一内歯歯車212とが連結していることにより、第一内歯歯車212は回転せず停止したままで(図17中(3))、太陽歯車216と接続された第二遊星歯車218が自転する(図17中(4))。
また、第二遊星キャリア217は、第一内歯歯車212と一体のため停止したままとなる(図17中(5))。そして、第二遊星歯車218の自転の力よって、出力ギヤ(第二内歯歯車)213を回転させることで、低速回転出力がなされる。
なお、太陽歯車216の回転に伴って、第一遊星キャリア211が空転し、さらに、第一遊星歯車215は自転する。しかしながら、第一内歯歯車212の回転が回転規制部材221によって規制されている。そのため、第一遊星歯車215の自転による力が第一内歯歯車212に伝わっても回転せず停止しているため、動力とはならない。
図19を用いて、速度変換機構201によりクラッチに切り換えを行う場合での遊星歯車機構部210の動作について説明する。
回転出力を行わない場合には、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bと、第一遊星キャリア211の突起部211a及び第一内歯歯車212の突起部212aとは離間させている。これにより、第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212が空転可能となっている。
図20は、円板カム222の周面上の第二カム位置(2)にカムフォロア280を当接させた状態を示す図である。
図20に示すように、円板カム222の周面上の第二カム位置(2)にカムフォロア280を当接させた状態では、回転規制部材221の第一爪部270aが第一遊星キャリア211の突起部211aと離間した状態となる。同様に、回転規制部材221の第二爪部270bが、第一内歯歯車212の突起部212aと離間した状態となる。
速度変換機構外部から入力ギヤ214に回転駆動力が伝達され、入力ギヤ214が回転する(図19中(1))。このように入力ギヤ214が回転することで、入力ギヤ214に接続された太陽歯車216が入力ギヤ214と一体で回転する(図19中(2))。第一遊星歯車215と第一遊星キャリア211と第一内歯歯車212とが回転する。さらに、第二遊星歯車218と第二遊星キャリア217とが回転するが、第二遊星歯車218の自転よる力と第二遊星キャリア217の公転による力とで生じる、出力ギヤ213を回転させるトルクが小さい(図19中(3))。そのため、出力ギヤ213が回転しないため、回転出力がなされない。
このように、円板カム222とカムフォロア280とによる回転規制部材221の姿勢変化によって、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bが第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212を固定した場合は、低速回転または高速回転となる。また、回転規制部材221の姿勢変化により、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bが、第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212に接触せずに離間した場合は、クラッチとなる。
また、以上のように、速度切り換え機構部220による低速回転と高速回転とクラッチとの切り換えを行う際の回転規制部材221の姿勢は、円板カム222とカムフォロア280とによって正確に制御される。
本実施形態の速度変換機構201では、円板カム222とカムフォロア280とを、遊星歯車機構部210の歯車列の中心軸の長手方向上に配置している。また、遊星歯車機構部210の歯車列、円板カム222及び回転規制部材221の支持軸250を、同一のホルダ223で固定する。さらに、ホルダ223に、円板カム222を回転させるための駆動モータであるブラシ付きモータ230を設ける。これらにより、省スペースで速度変換機構201としてのユニット化が実現できる。
また、第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212それぞれに1つ以上の突起部211a,212aを設け、回転規制部材221の第一爪部270a及び第二爪部270bを引っ掛けて固定させる。このことで、第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212を、低コスト、省スペース、且つ、正確に固定と固定解除を行うことができる。
なお、円板カム222を回転させるための駆動モータとしては、ブラシ付きモータ230に限るものでは、ステッピングモータを用いることができる。
前記駆動モータとしてブラシ付きモータ230を用いた場合には、モータ制御ドライバーがモータ自体にないため、低コストであるが、反面、モータの位置自身で管理することができない。そのため、ホームポジションセンサだけではなく、2つ以上のセンサのON/OFFによって、円板カム222の回転位置(姿勢)を制御する。
一方、前記駆動モータとしてステッピングモータ231を用いた場合には、パルス量によって、モータ軸の姿勢を管理できる。そのため、ホームポジションを決定するセンサを1つのみ使用すれば、モータ軸の姿勢を制御でき、これにより円板カム222の停止タイミング(回転停止位置)を制御する。
図21は、ステッピングモータ231を用いた場合の速度変換機構201の斜視分解図である。ステッピングモータ231を用いた速度変換機構201においても、遊星歯車機構部210と速度切り換え機構部220とが組み合わさって構成されている。
遊星歯車機構部210には、第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212や出力ギヤ213や入力ギヤ214などが設けられている。速度切り換え機構部220には、回転規制部材221や円板カム222やホルダ224などが設けられている。
そして、入力ギヤ214から入力され出力ギヤ213から出力される駆動力の回転速度の速度切り換えは、速度切り換え機構部220の回転規制部材221と、遊星歯車機構部210の第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212との連結や離間によって行われる。
速度切り換え機構部220の回転規制部材221の動作は、回転規制部材221に当接している円板カム222の運動によって行われ、この円板カム222を運動させるための駆動源として、ステッピングモータ231を使用する。
図22は、ステッピングモータ231を用いた速度変換機構201を構成する速度切り換え機構部220の全体図である。
速度切り換え機構部220においては、ホルダ224に不図示の検知センサが1つ設置されるブラケット240が設けられている。そして、ステッピングモータ231による円板カム222の運動では、ブラケット240に開けられたセンサ窓240aから円板カム222のフィラー279を検知センサによって検知して、ホームポジションを決定する。そして、ホームポジションからの出力総パルス数を管理することで、円板カム222の姿勢を決定する構成となっている。
なお、第一遊星キャリア211及び第一内歯歯車212と、回転規制部材221との連結や離間によって行われる、低速回転と高速回転とクラッチとの切り換えは、ブラシ付きモータ230を用いた場合と同様のため説明は省略する。
なお、低速回転と高速回転とクラッチ動作との3つの動作を切り換える速度変換機構201内での駆動伝達に関する構成としては、上述したものに限るものではない。
すなわち、遊星歯車機構部を、第一遊星歯車機構と第二遊星歯車機構との2つの遊星歯車機構で構成する。また、各遊星歯車機構は、太陽歯車、遊星歯車を支持する遊星遊星キャリア、内歯車で構成される。そして、第二遊星歯車機構の太陽歯車と遊星遊星キャリアと内歯歯車のいずれか2つの部品へ、第一遊星歯車機構からの2つの出力を入力し、第二遊星歯車機構の残りの1つの部品から出力する。このとき、第二遊星歯車機構は差動歯車として機能する。
第一遊星歯車機構の入力以外の2つの部品は、それぞれ第一被回転規制部材及び第二被回転規制部材と駆動連結している。
速度変換機構による回転数変更機能で低速回転(低回転数)と高速回転(高回転数)とを切り換える際には、それぞれで異なる被回転規制部材を固定する。
第一被回転規制部材と第二被回転規制部材との内、どちらかを固定するかで、第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構の駆動伝達経路が切り替わる。そして、これにより、第二遊星歯車機構の出力部の回転数を、低速回転(低回転数)と高速回転(高回転数)とのどちらかに切り換えることができる。
一方、第一被回転規制部材と第二被回転規制部材との両方を固定しない場合、第二遊星歯車機構の出力部がユニット負荷トルクで押さえられるため駆動伝達せず、クラッチとなる。
図23は、円板カム222の回転駆動にステッピングモータ231を用いた場合において、円板カム222の姿勢を検知するための検知センサを設けていない速度変換機構201の構成の一例を示した斜視分解図である。
図23に示した速度変換機構201の基本的な構成は、図21に示した速度変換機構201の速度切り換え機構部220に検知センサや、当該検知センサが設置されるブラケット240などが設けられていないなど一部の構成が異なる以外は同じである。
なお、図23に示す速度変換機構201においても、円板カム222を回転駆動させる駆動源であるモータとして、パルス管理が可能なステッピングモータ231を使用する。
図23に示す速度変換機構においては、カムの回転領域を360[°]以内に設定している。すなわち、円板カム222が無端状ではなく、円板カム222の一方向への回転量がカムストッパ機構によって制限されている。
図24は、速度切り換え機構部220の斜視概略図である。図25は、円板カム回転軸方向でステッピングモータ231側(図23参照)から見た速度切り換え機構部220の概略図である。
図24に示すように、円板カム222の側面に当該側面から突起した突起物であるフィラー222aを設け、所望の基準位置に対してホルダ224にストッパ224aを設けて、円板カム222の回転を規制するカムストッパ機構を構成している。そして、円板カム222の基準位置設定時には、ストッパ突き当てにて基準位置設定を実施することにより、円板カム222の基準位置(ホームポジション)の設定が可能となる。
円板カム222は、回転中心から円周までの距離が一定でない円板形状のカム部材である。また、円板カム222の周面には、回転領域内にカム半径rが異なる大きさで一定になる平坦部として、カム半周分(180[°])にて、第一カム位置(図中(1))、第二カム位置(図中(2))、第三カム位置(図中(3))の3箇所が設けられている。
円板カム222は、カム1周分(360[°])以内において、第一カム位置(1)、第二カム位置(2)、第三カム位置(3)の各カム位置にカムフォロア280が当接することで、3水準(クラッチ機構と、2つの回転数変更機能)の速度変換動作を行うことができる。
図26は、図25に示した円板カム222の曲線図である。
カム半径rが角度θが一定時に、第一カム位置(1)、第二カム位置(2)、第三カム位置(3)にカムフォロア280が当接する動作を行う構成である。
円板カム222の周面上の第一カム位置(1)にカムフォロア280を当接させた状態では、第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221の第二爪部270bとが連結した状態となる。また、第一遊星キャリア211の突起部211aと、回転規制部材221の第一爪部270aとが離間した状態となる。
円板カム222の周面上の第二カム位置(2)にカムフォロア280を当接させた状態では、回転規制部材221の第一爪部270aが第一遊星キャリア211の突起部211aと離間した状態となる。同様に、回転規制部材221の第二爪部270bが、第一内歯歯車212の突起部212aと離間した状態となる。
円板カム222の周面上の第三カム位置(3)にカムフォロア280を当接させた状態では、第一遊星キャリア211の突起部211aと、回転規制部材221の第一爪部270aとが連結した状態となる。また、第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221の第二爪部270bとが離間した状態となる。
また、ホルダ224における円板カム222の第一カム位置移動箇所領域にストッパ224aを設け、フィラー222aとストッパ224aとを突き当てることにより、円板カム222を基準位置(ホームポジション)に位置させる基準位置設定を行う。これにより、円板カム222の姿勢を検知するセンサを設けなくても、円板カム222の基準位置設定を行うことができる。
前回の基準位置停止からのカム回転移動距離は、プリンタに設けられたメモリなどを有する記憶部により記憶され、基準位置から移動した現在位置を前記記憶部に記憶しておく。
ここで、速度切り換え機構部220の稼動時には、第一カム位置(1)と第二カム位置(2)と第三カム位置(3)との各カム位置を複数回往復することを想定している。また、ステッピングモータ231はパルス管理可能なモータではあるが、複数回の往復移動において回転移動距離に若干のばらつきがある場合も想定するのが望ましい。
そのため、前記記憶部が記憶する円板カム222の回転移動距離に、所定の回転移動距離を足した補正回転移動距離を、円板カム222を基準位置に戻す際に回転させる回転移動距離として設定する。そして、円板カム222の基準位置回帰動作時には、基準位置までの回転移動距離に加えて、ステッピングモータ231を数パルス分だけオーバーラップして駆動させる。これにより、円板カム222の確実な基準位置への回帰が可能となる。
図27を用いて、基準位置回帰動作時における円板カム222の回転速度を減速させる制御について説明する。
また、円板カム222が基準位置に回帰した時には、円板カム222のフィラー222aとホルダ224のストッパ224aとが突き当たるので、その突き当たりに伴って衝突音が発生し、最悪の場合にはモータ脱調が発生することが想定される。
そのため、図27に示すように、フィラー222aとストッパ224aとが突き当たると想定されたストッパ位置に円板カム222の回転位置が到達するまでに、ステッピングモータ231による円板カム222の回転速度を減速させる制御を実施する。言い換えれば、フィラー222aとストッパ224aとが突き当たる位置に、円板カム222の回転に伴ってフィラー222aが到達する前に、円板カム222の回転速度を通常の回転速度よりも減速させる。
これにより、円板カム222の回転速度が通常の回転速度よりも遅い低速状態で、フィラー222aとストッパ224aとが突き当たるので、フィラー222aとストッパ224aとの衝突音を低減させることができる。
なお、円板カム222の回転速度を通常の回転速度よりも遅い低速状態にするときには、モータ脱調領域に達しないレベルまで低速化するほうが、フィラー222aとストッパ224aとの衝突音を低減させる効果が高いため望ましい。例えば、フィラー222aとストッパ224aとの突き当て時に、通常の回転速度の1/5程度の速度で突き当てを実施する。
また、回転移動距離のばらつきの積み上がりが大きくなり過ぎないように、円板カム222の基準位置回帰は、一連のジョブが終了した後や、ジョブ終了タイミングに実施することが望ましい。
また、速度変換機構201は、第一給紙ローラ32aなどの被駆動体への駆動源からの回転駆動力の速度変換を行う速度変換機構として使用することを想定している。そのため、実使用動作としては、例えば用紙搬送時の高速回転から低速回転への速度切替などでの使用用途が考えられる。よって、高速回転(高回転数)と低速回転(低回転数)との切り換えを主に行うのに適した構成するのが望ましい。
そのため、図25に示すように、図中反時計まわり方向に円板カム222を回転させた際、第一カム位置(1)と第三カム位置(3)とが連続して切り替えられるよう、円板カム222の周面に第一カム位置(1)と第三カム位置(3)とが隣接した位置にする。
これにより、高速回転(高回転数)と低速回転(停回転数)との速度切り換えが、他の水準(クラッチ機能)を介さずに切り換え可能となる。そのため、他の水準(クラッチ機能)を介して高速回転(高回転数)と低速回転(停回転数)との速度切換を行う場合よりも、短時間で速度切り換えを行うことができる。
また、一般にプリンタ起動時における用紙搬送速度などの設定速度が予め決まっている。そのため、第一給紙ローラ32aなどの被駆動体が、プリンタ稼動開始時に高速回転を実現するよう、第一内歯歯車212の突起部212aと、回転規制部材221の第二爪部270bとが連結した状態となる位置に、ストッパ224aをホルダ224に配置する。
これにより、プリンタ稼動開始時には、高速回転となる第一カム位置(1)に円板カム222を位置させることができる。よって、プリンタ稼動開始時に円板カム222の不要な回転動作減らすことができ、用紙搬送などの初期動作の開始時間を短縮することが可能となる。
なお、プリンタ稼動開始時における前記被駆動体の設定速度が低速回転に設定されている場合には、第一遊星キャリア211の突起部211aと、回転規制部材221の第一爪部270aとが連結した状態となる位置に、ストッパ224aをホルダ224に配置すれば良い。
図28、図29、図30は、2つの遊星歯車機構の入出力・固定の組み合わせを示したものである。なお、図中のアルファベット「A」,「B」,「C」,「D],「E」は回転数の種類を示している。また、「○」は停止、「×」は任意の回転数で空転していることを示している。
2つの遊星歯車機構はそれぞれ駆動伝達部品として、太陽歯車、遊星遊星キャリア、内歯車を有している。なお、ここでは、太陽歯車、遊星遊星キャリア、内歯歯車を区別せず、第一部品、第二部品、第三部品として、3つの駆動伝達部品を有していることをあらわしている。
また、これら遊星歯車機構の3部品中の2部品は、他方の遊星歯車機構の3部品中の2部品と駆動伝達可能なように駆動連結されている。
まず、図28における遊星歯車機構と入出力・固定の組み合わせについて説明する。図28においては、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82Aと、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bとが駆動伝達可能に駆動連結している。また、第一遊星歯車機構80Aの第三部品83Aと、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bとが駆動伝達可能に駆動連結している。
なお、図示していないが、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82A及び第三部品83Aには、それぞれの回転を規制するための被回転規制部材が駆動連結されて設けられている。そして、各被回転規制部材を、それぞれに対応した第一回転規制手段91や第二回転規制手段92と連結させることで、第二部品82Aや第三部品83Aを回転しない固定状態にすることができる。
そして、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動が入力され、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bから駆動を出力可能に構成されている。
図28(a)は、第二部品82Aの被回転規制部材と第一回転規制手段91とを連結し第二部品82Aを固定した場合を示している。
第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動を入力する。そして、残りの2部品中の1部品である第二部品82Aの被回転規制部材と第一回転規制手段91とを連結し第二部品82Aを固定することで、残りの1部品である第三部品83Aから出力が得られる。
なお、第一遊星歯車機構Aの固定・出力の切替可能な第二部品82A及び第三部品83Aが、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bと第三部品83Bと連結している。そのため、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bが入力された状態となり、第二部品82Bが固定された状態となる。そして、第二遊星歯車機構80Bの3部品のうち前記2部品以外の残りの1部品である第一部品81Bから回転数Dの出力が得られる。
図28(b)は、第三部品83Aの被回転規制部材と第二回転規制手段92とを連結し第三部品83Aを固定した場合を示している。
第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動を入力する。そして、残りの2部品中の1部品である第三部品83Aの被回転規制部材と第二回転規制手段92とを連結し第三部品83Aを固定することで、残りの1部品である第二部品82Aから出力が得られる。
前述したように、第一遊星歯車機構Aの第二部品82A及び第三部品83Aが、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bと第三部品83Bと連結している。そのため、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bが入力された状態となり、第三部品83Bが固定された状態となる。そして、第二遊星歯車機構80Bの3部品のうち前記2部品以外の残りの1部品である第一部品81Bから回転数Eの出力が得られる。
なお、この際、図28(a)の構成に対して、駆動列が切り替わり減速比が変わるため、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bから出力される回転数も変わっている。
図28(c)は、第二部品82A及び第三部品83Aのどちらの被回転規制部材も、各回転規制手段91,92とは連結させない場合を示している。
この場合、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動を入力しても、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82A及び第三部品83Aが空転するとともに、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82B及び第三部品83Bが空転する。そのため、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bは回転せず出力が得られない。
次に、図29における遊星歯車機構と入出力・固定の組み合わせについて説明する。図29においては、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aと、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bとが駆動伝達可能に駆動連結している。また、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82Aと、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bとが駆動伝達可能に駆動連結している。
なお、図示していないが、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82A及び第三部品83Aには、それぞれの回転を規制するための被回転規制部材が駆動連結されて設けられている。そして、各被回転規制部材を、それぞれに対応した第一回転規制手段91や第二回転規制手段92と連結させることで、第二部品82Aや第三部品83Aを回転しない固定状態にすることができる。
そして、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動が入力され、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bから駆動を出力可能に構成されている。
図29(a)は、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82Aの被回転規制部材と第一回転規制手段91とを連結し第二部品82Aを固定した場合を示している。
第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動を入力する。そして、残りの2部品中の1部品である第二部品82Aの被回転規制部材と第一回転規制手段91とを連結し第二部品82Aを固定すると、残りの1部品である第三部品83Aが空転する。
なお、第一遊星歯車機構80Aの固定・入力された第一部品81A及び第二部品82Aが、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bと第二部品82Bと連結している。そのため、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bが入力された状態となり、第二部品82Bが固定された状態となる。そして、第二遊星歯車機構の3部品のうち前記2部品以外の残りの1部品である第三部品83Bから回転数Dの出力が得られる。
図29(b)は、第三部品83Aの被回転規制部材と第二回転規制手段92とを連結し第三部品83Aを固定した場合を示している。
第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動を入力する。そして、残りの2部品中の1部品である第三部品83Aの被回転規制部材と第二回転規制手段92とを連結し第三部品83Aを固定する。すると、第一部品81Aと第二部品82Aとから出力が得られる。
前述したように、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82A及び第三部品83Aが、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bと第三部品83Bと連結している。そのため、第二遊星歯車機構の第一部品81Bと第二部品82Bとが入力された状態となり、差動歯車として機能して、第二遊星歯車機構の3部品のうち前記2部品以外の残りの1部品である第三部品83Bから回転数Eの出力が得られる。
なお、この際、図29(a)の構成に対して、駆動列が切り替わり減速比が変わるため、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bから出力される回転数も変わっている。
図29(c)は、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82A及び第三部品83Aのどちらの被回転規制部材も、各回転規制手段91,92とは連結させない場合を示している。
この場合、図に示すように、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aに入力回転数Aの駆動を入力しても、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bが回転せず出力が得られない。
次に、図30における遊星歯車機構と入出力・固定の組み合わせについて説明する。
図30では、図29で第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aから入力回転数Aの駆動を入力していたものを、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bから入力回転数Aの駆動を入力するようにしたものである。また、図30では、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bから最終的に出力される。そのため、2つの遊星歯車機構のうち、一方の遊星歯車機構である第二遊星歯車機構80Bから入出力が可能なように構成されている。
図30(a)は、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82Aの被回転規制部材と第一回転規制手段91とを連結し第二部品82Aを固定した場合を示している。
第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bに入力回転数Aの駆動を入力する。第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bは、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aと連結しているので、第一部品81Aに入力回転数Aが同回転数で入力される。そして、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82Aの被回転規制部材と第一回転規制手段91とを連結し第二部品82Aを固定すると、残りの1部品である第三部品83Aが空転する。
また、第一遊星歯車機構80Aの固定された第二部品82Aが、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bと連結しており、且つ、上記入力が外から駆動されている。そのため、第二遊星歯車機構80Bは第一部品81Bに入力された状態となり、第二部品82Bは固定された状態となって、第二遊星歯車機構80Bの残りの1部品である第三部品83Bから回転数Dの出力が得られる。
図30(b)は、第三部品83Aの被回転規制部材と第二回転規制手段92とを連結し第三部品83Aを固定した場合を示している。
第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bに入力回転数Aの駆動を入力する。第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bは、第一遊星歯車機構80Aの第一部品81Aと連結しているので、第一部品81Aに入力回転数Aが同回転数で入力される。そして、第一遊星歯車機構80Aの第三部品83Aの被回転規制部材と第二回転規制手段92とを連結し第三部品83Aを固定すると、第二部品82Aから出力が得られる。
また、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82Aが、第二遊星歯車機構80Bの第二部品82Bと連結しており、且つ、上記入力が外から駆動されている。そのため、第二遊星歯車機構80Bは第一部品81Bと第二部品82Bとに入力された状態となり、第二遊星歯車機構80Bの残りの1部品である第三部品83Bから回転数Eの出力が得られる。
なお、この際、図30(a)の構成に対して、駆動列が切り替わり減速比が変わるため、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bから出力される回転数も変わっている。
図30(c)は、第一遊星歯車機構80Aの第二部品82A及び第三部品83Aのどちらの被回転規制部材も、各回転規制手段91,92とは連結させない場合を示している。
この場合、図に示すように、第二遊星歯車機構80Bの第一部品81Bに入力回転数Aの駆動を入力しても、第二遊星歯車機構80Bの第三部品83Bが回転せず出力が得られない。
なお、図28、図29、図30では、同じ入力回転数Aであっても、構成の違いから出力の回転数が同じアルファベットであっても異なる回転数となる。また、図28、図29、図30などで説明した入力と出力とを入れ替えても変速機として機能し、減速比は入れ替え前の逆数となる。
[変形例1]
次に、クラッチ動作を行わず、低速回転と高速回転との2つの切り換え動作のみを行う速度変換機構201の構成について説明する。
図31は、変形例1に係る速度変換機構201の構成を簡略的に示した軸方向の断面図である。なお、図31中の斜線部は部品間の歯の噛み合い箇所を示している。図32は、変形例1に係る速度変換機構201の斜視分解図である。
この変形例1の速度変換機構201においても、遊星歯車機構部210と速度切り換え機構部310とが組み合わさって構成されている。そして、この速度変換機構201では、低速回転(低回転数)と高速回転(高回転数)との2つの動作の切り換えを、速度切り換え機構部220により遊星歯車機構部210の駆動列を切り換えることで行われる。
速度変換機構201の遊星歯車機構部210について説明をする。
第一遊星歯車機構210Aには、第一太陽歯車216Aや、複数の第一遊星歯車215や、この第一遊星歯車215を回転可能に支持する第一遊星キャリア211や、第一遊星歯車215と噛み合う第一内歯歯車212などが設けられている。
第一遊星キャリア211の外周には、第一遊星キャリア211の回転を規制するために用いる第一被回転規制部材である突起部211aが第一遊星キャリア211と一体で設けられている。また、第一内歯歯車212の外周には、第一内歯歯車212の回転を規制するために用いる第二被回転規制部材である突起部212aが第一内歯歯車212と一体で設けられている。
なお、第一被回転規制部材や第二被回転規制部材を、第一遊星キャリア211や第一内歯歯車212と別体でこれらに連結させるなどして設けても良い。
第二遊星歯車機構210Bには、第二太陽歯車216Bや、複数の第二遊星歯車218や、第二遊星歯車218を回転可能に支持する第二遊星キャリア217や、出力ギヤ213や、速度変動機構外部から駆動力が入力される入力ギヤ214などが設けられている。
なお、出力ギヤ213は、第二遊星歯車218と噛み合う第二内歯歯車、及び、速度変換機構外部のギヤと噛み合う外歯歯車として機能する。また、第一遊星歯車機構210Aの第一太陽歯車216Aと、第二遊星歯車機構210Bの第二太陽歯車216Bとが軸方向で接続され駆動連結している。
速度切り換え機構部220には、回転規制部材221や、ホルダ301や、出力軸であるプランジャー234を有するソレノイド233などが設けられている。
回転規制部材221には、ホルダ301に対して回転可能なように軸支されるため支持軸250が設けられている。また、回転規制部材221には、支持軸250に対して対称または非対称に伸びた、第一アーム部275aと第二アーム部275bとが設けられている。
第一アーム部275aの先端には、第一遊星キャリア211の突起部211aに連結可能な爪部270a第一爪部270aが設けられている。第二アーム部275bの先端には、第一内歯歯車212の突起部212aに連結可能な爪部270b第二爪部270bが設けられている。
また、回転規制部材221の第一爪部270a側の第一アーム部275aと、ソレノイド233の出力軸であるプランジャー234とが連結されている。そして、ソレノイド233のプランジャー234の直線運動によって回転規制部材221を押し引きすることで、支持軸250を中心に回転規制部材221を回動させるような動作が行われる。
そして、入力ギヤ214から入力され出力ギヤ213から出力される駆動力の回転速度の速度切り換えは、第一爪部270aや第二爪部270bと、突起部211aや突起部212aとの連結や離間によって行われる。
なお、変形例1の速度変換機構201では、低速回転(低回転数)と高速回転(高回転数)との速度(回転数)変更機能のみを有しており、クラッチは有していない。そのため、上述したようなクラッチへの切り換え動作のように、第一爪部270a及び第二爪部270bを突起部211a及び突起部212aに接触させず離間させる動作が必要ない。
よって、回転規制部材221の姿勢変化を、ソレノイド233による直動運動で行き来させることで行い、第一爪部270aや第二爪部270bと、突起部211aや突起部212aとの連結や離間を行えば良い。
また、遊星歯車機構部210の歯車列の中心軸、及び、回転規制部材221の支持軸250を同一のホルダ301で固定する。また、このホルダ301には、支持軸250を中心にホルダ301に対して回転規制部材221を回動させるためのソレノイド233も設けられている。これらにより、省スペースで速度変換機構201としてのユニット化が実現できる。
図33は、変形例1の速度変換機構201を構成する速度切り換え機構部310の全体図である。
回転規制部材221の動作は、ホルダ301に対して回転可能な回転規制部材221の支持軸250まわりで、ソレノイド233の吸引力と、弾性体である引っ張りバネ261の引っ張り力とを、反対向きに働かせることで行われる。
回転規制部材221の第一爪部270aや第二爪部270bを、第一遊星キャリア211の突起部211aや第一内歯歯車212の突起部212aに対して連結や離間させるためには、第一爪部270a及び第二爪部270bが噛みこむ力や引き抜く力が必要である。
そのため、本実施形態においては、ソレノイド233の吸引力に加えて、この吸引力の向きとは逆向きに引っ張り力を作用させる引っ張りバネ261による張力を用いることで、第一爪部270a及び第二爪部270bが噛みこむ力や引き抜く力を与えている。
次に、高速回転と低速回転との2つの動作をそれぞれ行う場合の速度切り換え機構部220について具体的に説明していく。
図34は、第一遊星キャリア211の突起部211aと回転規制部材221の爪部270aとの連結についての説明に用いる図である。図35は、第一内歯歯車212の突起部212aと回転規制部材221の爪部270bとの連結についての説明に用いる図である。
ソレノイド233への通電がオンされると、図34に示すように、回転規制部材221の支持軸250よりも第一爪部270a側端部はソレノイド側へ吸引され、第一爪部270aが第一遊星キャリア211の突起部211aと噛み合って連結状態となる。一方、回転規制部材221の第二爪部270bは、第一内歯歯車212の突起部212aから離間しており連結解除状態となっている。そして、このとき、高速回転に切り換えられ高速回転出力がなされる。
逆に、ソレノイド233への通電がオフされると、ソレノイド233による回転規制部材221の吸引が解除される。すると、図35に示すように、回転規制部材221の支持軸250よりも第一爪部270a側端部がソレノイド233から離れる方向に押し上げられる。また、これとともに、回転規制部材221の支持軸250よりも第二爪部270b側端部が引っ張りバネ261によって引っ張られる。これにより、回転規制部材221が支持軸250を中心に図中反時計回り方向に回動し、第二爪部270bが第一内歯歯車212の突起部212aと噛み合って連結状態となる。一方、回転規制部材221の第二爪部270bは、第一内歯歯車212の突起部212aから離間しており連結解除状態となる。そして、このとき、低速回転に切り換えられ低速回転出力がなされる。
[変形例2]
図36は、変形例2に係る速度変換機構201の構成を簡略的に示した軸方向の断面図である。なお、図36中の斜線部は部品間の歯の噛み合い箇所を示している。図37及び図38は、速度変換機構201の遊星歯車機構部290の分解図である。
変形例2の速度変換機構201は、遊星歯車機構部290と駆動列切り換え機構部とが組み合わさって構成されている。そして、この速度変換機構201では、正転と逆転とクラッチとの3つの動作の切り換えを、駆動列切り換え機構部により遊星歯車機構部の駆動列を切り換えることで行われる。
なお、速度変換機構201に設けられる駆動列切り換え機構部の構成は、上述したような速度切り換え機構部220の構成と同様であるため、その説明は省略する。また、図37及び図38においては、図示を省略している。
遊星歯車機構部290について説明をする。
第一遊星歯車機構部290Aには、太陽歯車293や、複数の第一遊星歯車295及び第二遊星歯車296や、第一遊星歯車295及び第二遊星歯車296を回転可能に支持する遊星キャリア294などが設けられている。
また、外周に太陽歯車293の回転を規制するために用いる第一被回転規制部材である突起部297aが設けられたプーリー297が、太陽歯車293と連結されている。
遊星キャリア294の外周には、遊星キャリア294の回転を規制するために用いる第二被回転規制部材である突起部294aが、遊星キャリア294と一体で設けられている。
第二遊星歯車機構210Bには、速度変動機構外部へ回転駆動力を出力する出力ギヤ291や、速度変動機構外部から回転駆動力が入力される入力ギヤ292などが設けられている。
なお、遊星キャリア294は、第一遊星歯車機構部290Aの第一遊星キャリアと、第二遊星歯車機構部290Bの第二遊星キャリアとを兼ねるものであり、第一遊星キャリアと第二遊星キャリアとを駆動連結させて一体で構成したと考えることができる。
また、入力ギヤ292は、第二遊星歯車機構部290Bの第二太陽歯車、第一遊星歯車機構部290Aの第一遊星歯車295と噛み合う第一内歯歯車、及び、第二遊星歯車296と噛み合う外歯歯車として機能するものである。
また、出力ギヤ291は、第二遊星歯車機構部290Bの第二遊星歯車296と噛み合う第二内歯歯車、及び、速度変換機構外部のギヤと噛み合う外歯歯車として機能する。
なお、速度変換機構201の出力として、速度(回転数)変更動作と正逆回転変更動作との違いは、遊星歯車機構部の構成によって決定されるものである。
次に、正転と逆転とクラッチとの3つの動作の切り換えについて説明する。
正転させる場合には、入力ギヤ292に駆動を入力し、プーリー297の突起部297aと回転規制部材221の爪部270aとを連結させプーリー297を固定する。これにより、プーリー297と駆動連結している太陽歯車293が固定され、遊星キャリア294が出力として機能する。このため、入力ギヤ292と遊星キャリア294とから出力ギヤ291に駆動が入力され、出力ギヤ291から正回転の出力がなされる。
次に、逆転させる場合には、正転させる場合と同様に、入力ギヤ292に駆動を入力する。そして、プーリー297の突起部297aから回転規制部材221の爪部270aを離間させ、プーリー297の固定を解除する。これとともに、遊星キャリア294の突起部294aと回転規制部材221の爪部270aとを連結させ遊星キャリア294を固定する。
このため、入力ギヤ292が入力、遊星キャリア294が固定された状態のため、入力ギヤ292から出力ギヤ291に駆動が入力され、出力ギヤ291から逆回転の出力がなされる。
なお、入力ギヤ292が入力、遊星キャリア294が固定された状態のため、太陽歯車293は空転する。
出力される回転駆動力の回転方向を正転から逆転させるために、駆動モータを正転から逆転に切り換えた場合には、一旦、駆動モータの駆動を停止させてから再起動するため、タイムラグが発生する。
一方、駆動列切り換え機構部によって出力される回転駆動力の回転方向を正転から逆転に切り換える場合は、モータを正転で回転させたまま、出力を逆転に切り換えることができる。そして、正転から逆転への切り換えのタイムラグは、回転規制部材221の動作時間で決まるため、短くて済む。
また、クラッチに切り換える場合は、速度(回転数)変更動作を行える構成で行われるような上述したクラッチへの切り換え動作のように、第一爪部270a及び第二爪部270bを突起部211a及び突起部212aに接触させず離間させることで行われる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
速度変換装置において、第一太陽歯車、第一遊星歯車を支持する第一遊星キャリア、及び、第一内歯車の各部品を有する第一遊星歯車機構と、第二太陽歯車、第二遊星歯車を支持する第二遊星キャリア、及び、第二内歯車の各部品を有する第二遊星歯車機構とを備え、前記第一遊星歯車機構または第二遊星歯車機構が有する1つの部品に第一駆動手段から駆動が入力され、前記第一太陽歯車、前記第一遊星キャリア、及び、前記第一内歯車のうちの2つの部品それぞれが、前記第二太陽歯車、前記第二遊星キャリア、及び、前記第二内歯車のうちの2つの部品と駆動連結しており、前記第一太陽歯車、前記第一遊星キャリア、及び、前記一内歯車のうち駆動が入力されない2つの部品それぞれに、第一被回転規制部材と第二被回転規制部材とを設け、前記第一被回転規制部材の回転を規制する第一回転規制手段と、前記第二被回転規制部材の回転を規制する第二回転規制手段と前記第一回転規制手段を駆動する第二駆動手段と、前記第二回転規制手段を駆動する第三駆動手段とを有する。これよれば、上記実施形態について説明したように、第一回転規制手段または第二回転規制手段によって第一被回転規制手段または第二被回転規制手段の回転を規制することで、第一遊星歯車機構及び第二遊星歯車機構の駆動列を切り換えることができる。これにより、減速比も変わるので、高回転出力と低回転出力との切り換えが可能となる。よって、低速回転用の遊星歯車機構を有する駆動列と、高速回転用の遊星歯車機構を有する駆動列とを別個で設ける場合よりも、速度変換装置の小型化を図ることができ、設置箇所の省スペース化を図りつつ、回転速度の切り換えを行うことができる。
(態様B)
(態様A)において、上記第一遊星歯車機構と上記第二遊星歯車機構とを同軸上に配置した。これによれば、上記実施形態について説明したように、小型化を図ることができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、上記第二駆動手段及び上記第三駆動手段から上記第一回転規制手段及び上記第二回転規制手段へ駆動伝達する駆動列に円板カム222などのカム部材を用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化を図ることができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)において、上記カム部材の回転位置を検知するカム回転位置検知手段を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、カム部材の回転位置(姿勢)制御が可能となる。
(態様E)
(態様D)において、上記カム回転位置検知手段は、上記カム部材の側面に1つ以上設けられたフィラー279などの被検知部材と、被検知部材を検知する1つ以上の検知センサ150などの検知センサとを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、検知センサによる被検知部材の検知結果に基づいて、カム部材の停止タイミング(回転停止位置)を制御することができる。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、上記第二駆動手段と上記第三駆動手段とが単一の駆動手段であることで、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能となる。
(態様G)
(態様D)、(態様E)または(態様F)において、上記カム部材は、回転中心から円周までの距離が一定でない円板形状で、上記第二駆動手段及び上記第三駆動手段が有する駆動源である駆動モータからの回転駆動力により回転可能であり、上記第一回転規制手段と上記第二回転規制手段とが、上記第一被回転規制部材及び上記第二被回転規制部材それぞれと接離可能な2つの回転規制部を有する単一の回転規制部材であり、回転規制部材に、前記カム部材の周面と接触するカムフォロア280などのカム接触部と、回転規制部材を回転可能に支持する支持軸250などの支持軸とを設けた。これによれば、上記実施形態について説明したように、速度の切り換えを行う際の回転規制部材の姿勢を正確に制御することができる。
(態様H)
(態様G)において、上記回転規制部材に、上記カム部材の周面に上記カム接触部を弾性力によって当接させる引っ張りバネ260などの弾性部材を設けた。これによれば、上記実施形態について説明したように、回転規制部材のカム接触部をカム部材の周面に常に当接させることができる。また、回転規制部材の2つの回転規制部と、第一被回転規制部材及び第二被回転規制部材との接離のための力として前記弾性力を用いることができる。
(態様I)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、上記第二駆動手段及び上記第三駆動手段は、上記記回転規制部材を直線運動で駆動させるためのソレノイド233などのアクチュエータを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、低コスト化を図ることができる。
(態様J)
(態様C)において、上記カム部材は、回転中心から円周までの距離が一定でない円板形状で、上記第二駆動手段及び上記第三駆動手段が有する駆動源である駆動モータからの回転駆動力により回転可能であり、上記第一回転規制手段と上記第二回転規制手段とが、上記第一被回転規制部材及び上記第二被回転規制部材それぞれと接離可能な2つの回転規制部を有する単一の回転規制部材であり、回転規制部材に、前記カム部材の周面と接触するカム接触部と、回転規制部材を回転可能に支持する支持軸とを設け、カム部材の周面には、カム接触部が接触することで回転規制部材と第一被回転規制部材とが連結する第一カム位置(1)などの第一カム位置と、カム接触部が接触することで第一被回転規制部材及び第二被回転規制部材と回転規制部材とが連結しない第二カム位置(2)などの第二カム位置と、カム接触部が接触することで回転規制部材と第二被回転規制部材とが連結する第三カム位置(3)などの第三カム位置とがあり、カム部材の回転領域を1回転以内に規制するカム回転規制手段を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、工場出荷時などに初期設定をしておくことで、カム部材の姿勢を検知するセンサを設けなくても、カム部材の回転位置(姿勢)制御が可能となる。
(態様K)
(態様J)において、上記カム回転規制手段は、上記カム部材の側面に設けられたフィラー222aなどの突起部材と、当該突起部材と突き当たりカム部材の回転を規制するストッパ224aなどの規制部材とを有しており、突起部材を規制部材に突き当てることにより、カム部材の基準位置を設定する。これによれば、上記実施形態について説明したように、カム部材の姿勢を検知するセンサを設けることなく、カム部材の基準位置の設定が可能となる。よって、前記センサを設けない分、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
(態様L)
(態様K)において、上記カム部材が基準位置で停止した状態から回転した回転距離を記憶する記憶部などの記憶手段を有しており、前記記憶手段が記憶するカム部材の回転距離に、所定の回転距離を足した補正回転距離を、カム部材を基準位置に戻す際に回転させる回転距離として設定する。これによれば、上記実施形態について説明したように、カム部材の確実な基準位置への回帰が可能となる。
(態様M)
(態様K)または(態様L)において、上記突起部材と上記規制部材とが突き当たる位置に上記カム部材の回転に伴って上記突起部材が到達する前に、カム部材の回転速度を通常の回転速度よりも減速させる。これによれば、上記実施形態について説明したように、突起部材と規制部材との衝突音を低減させることができる。
(態様N)
(態様M)において、上記カム部材の回転速度を、通常の回転速度の1/5の回転速度で上記突起部材と上記規制部材とを突き当てる。これによれば、上記実施形態について説明したように、突起部材と規制部材との衝突音を低減させる効果を高めることができる。
(態様O)
(態様K)、(態様L)、(態様M)または(態様N)において、上記カム部材を上記基準位置に戻す動作は、一連のジョブが終了したジョブ終了タイミングに実施する。これによれば、上記実施形態について説明したように、回転移動距離のばらつきの積み上がりが大きくなり過ぎるのを抑制することができる。
(態様P)
(態様J)、(態様K)、(態様L)、(態様M)、(態様N)または(態様O)において、上記カム部材の周面で上記第一カム位置と上記第三カム位置とが隣接する。これによれば、上記実施形態について説明したように、速度切り換えを短時間で行うことができる。
(態様Q)
(態様J)、(態様K)、(態様L)、(態様M)、(態様N)、(態様O)または(態様P)において、回転規制部材と第一被回転規制部材とが連結することで第一速度が出力され、回転規制部材と第二被回転規制部材とが連結することで第二速度が出力され、第一被回転規制部材と第二被回転規制部材とのうち、被駆動体が稼動開始時に所望する速度が得られる被回転規制部材と、回転規制部材とが連結する位置で、上記突起部材と上記規制部材とが突き当たるように、規制部材を配置する。これによれば、上記実施形態について説明したように、初期動作の開始時間を短縮することが可能となる。
(態様R)
複数の被駆動体を1つの駆動源で駆動する複数の駆動列を備え、画像形成手段により記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記複数の駆動列の内に、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)、(態様H)、(態様I)、(態様J)、(態様K)、(態様L)、(態様M)、(態様N)、(態様O)、(態様P)または(態様Q)の速度変換装置を備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、単一の駆動源でも複数の被駆動体の速度を独立で切り換えることができる。