JP6216177B2 - 電子ビーム蒸着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子ビームを用いた蒸着装置に関するものである。
電子ビームを用いた蒸着装置は、所定の電圧で加速された電子を、真空容器内に配置した坩堝内の材料に照射し加熱することで蒸発させ、この蒸発した材料を真空容器内に配置した被蒸着部材である基板の表面に付着させて薄膜を形成するものである。
この蒸着装置は、多種類の材料に対して高速度の成膜が行えるので、様々な用途で使用されているが、電子ビームが坩堝内の材料に照射され、発生する二次電子や反射電子が成膜部に入射することにより成膜部の組成変化を引き起こすことがある。特に基板として、有機デバイスの成膜プロセス中に電子ビーム蒸着を行う場合、上記二次電子や反射電子による有機薄膜表面の組成変化、有機デバイスとしての特性低下が生じることがある。
二次電子や反射電子を抑制するために、例えば特許文献1が知られている。特許文献1には、基板と坩堝とが対向する空間に、一対の電磁石を磁界の方向を横にして対向配置し、基板の近傍にプローブを設けて該プローブに流れる電子電流を見ながら一対の電磁石に対する励磁電流を調整することが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1では、磁石による電子ビーム偏向磁場への干渉を考慮すると、磁石と電子ビームとの間に電子ビーム偏向に影響しない様に一定の距離を設ける必要があり、磁石を基板寄りに設置せざるを得ないが、坩堝と基板とが対向する空間に一対の磁石により磁場領域を形成するため、磁石自体が遮蔽物となり、蒸着範囲が限定されるため、例えば、G2〜G4サイズの大型のガラス基板への適用が困難である。
また、坩堝から基板へ直接入射する二次電子や反射電子が磁石により遮蔽できたとしても、磁場領域により基板方向から偏向された二次電子、反射電子が真空容器の内壁等に反射することで磁場領域を回り込み、基板に到達する可能性があり、一対の磁石のみでは基板成膜面に入射する電子を完全に遮蔽することができないといった問題もある。
特開平5−156428号公報
本発明が解決しようとする問題点は、基板と坩堝とが対向する空間に磁場領域を形成するための磁石自体が遮蔽物となり蒸着可能範囲が制限されると共に、二次電子や反射電子が基板へ入射することを防止する効果が低い点である。
加速した電子を照射し加熱して蒸発させた材料を、形成した磁場により電子を遮蔽しつつ基板表面に付着させて薄膜を形成する電子ビーム蒸着装置であって、
蒸着する基板の回転中心軸から所定距離移動させた下方に、蒸着材料の収容器を位置させ、
基板を回転させつつ蒸着を行う際の回転軌道、または固定した基板を回転させた場合の回転軌跡に基づいて、
前記収容器の中心より基板の回転中心方向の上方空間に、前記収容器の中心を挟んで所定の間隔を空けて一対の磁石の各々の基板回転中心側端部を他方端部より下方に傾斜させて配置することを最も主要な特徴としている。
上記の本発明の電子ビーム蒸着装置は、蒸着する基板下方に蒸着材料の収容器を位置させることに対応させて最適な磁場を形成するように磁石を配置することで、磁石が蒸着の妨げになる遮蔽物とならないようにしている。
また、磁石の配置に関しては、収容器の中心を挟んで所定の間隔を空けて一対の磁石の各々の基板中心側端部を他方端部より下方に傾斜させて配置することで、磁石が蒸着の妨げにならず、また、収容器に向けて照射された電子ビームにより発生する二次電子や反射電子が基板の成膜部へ直接入射することを防止している。
上記の電子ビーム蒸着装置において、収容器の周囲にアースされた電子遮蔽板を蒸着の遮蔽物とならない範囲で設ければ、二次電子や反射電子が内壁等でアースに流れることにより基板成膜部への入射を抑制することが可能となる。
さらに、上記の電子ビーム蒸着装置において、基板の蒸着面から収容器までの高さを変更する収容器昇降機構と、収容器の前記高さにおける磁石の傾斜上端高さを変更する磁石昇降機構と、磁石の傾斜角度を変更する磁石傾斜変更機構と、一対の磁石の間隔を変更する磁石間移動機構と、前記収容器昇降機構、前記磁石昇降機構、前記磁石傾斜変更機構、前記磁石間移動機構、の作動制御する制御部と、を備えることで、蒸着材料種と基板形状に基づいて、及び基板外側の回転軌跡の直径対向位置に設けた電子計測器で計測した電子量に基づいて、磁石を最適に配置することが可能となる。
本発明では、電子ビーム蒸着時に発生する反射電子や二次電子が電子ビーム蒸着前に形成された有機薄膜表面に入射することで発生する有機薄膜の組成変化を起因とした有機デバイスの特性が低下することを抑制し、永久磁石によって妨げられていた蒸着範囲をG4基板サイズまでは基板の全域にまで広げることができ、また、原理上、二次電子や反射電子の発生がなく、これらを起因とした特性の低下がない抵抗加熱式の蒸着により形成された有機デバイスと同等の特性が得られ、また、該抵抗加熱式の場合に較べて高速成膜が容易な電子ビーム蒸着装置の使用が可能となる。
また、本発明は、電子遮蔽を行う磁石に電磁石を用いた場合、永久磁石では蒸着に使用する材料に応じて、磁石間隔を変更した際に必要となる磁場調整が装置を停止させて行う必要はなく、複数の材料を連続的に蒸着する場合に適切な電子遮蔽用磁場の形成と均一的な膜厚分布を持ち、かつ高速な成膜が可能となる。
本発明の電子ビーム蒸着装置の概略構成を示した図である。 (a)(b)は本発明の電子ビーム蒸着装置における磁石の最適配置を示した図である。 (a)(b)は本発明の電子ビーム蒸着装置の基板に対する磁石及び収容器の配置関係を示した図である。 本発明の電子ビーム蒸着装置における電子遮蔽板の配置を示した図である。 磁場の蒸着レートへの影響量を説明するための図である。 本発明の効果を確認するために行った試験において有機EL素子の蒸着範囲内の位置を示す図である。
本発明では、二次電子や反射電子が基板に入射すること、かつ磁石自体が遮蔽物となって蒸着を妨げること、の両者を抑制するという目的を、蒸着する基板の回転中心軸から所定距離移動させた下方に、蒸着材料の収容器を位置させ、また、基板を回転させつつ蒸着を行う際の回転軌道または固定した基板を回転させた場合の回転軌跡に基づいて、収容器の中心より基板の回転中心方向の上方空間に、収容器の中心を挟んで所定の間隔を空けて一対の磁石の各々の基板回転中心側端部を他方端部より下方に傾斜させて配置することで実現した。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を用いて詳細に説明する。
図面には、本発明の電子ビーム蒸着装置の特徴となる要部のみを示し、図示省略した部材については以下の説明中では参照符号を付していない。
本例の電子ビーム蒸着装置は、真空容器の内部上方に表面に薄膜を形成される例えば矩形状の基板1を設けて、該基板1の面中心を回転させつつ蒸着を行う構成としている。
基板1は、例えばG4サイズまでを対象としており、有機膜と金属、または透明電極で構成される、有機EL照明、有機ELディスプレイ、有機TFT、有機太陽電池、といったいわゆる有機デバイスに供される。
2は、蒸着材料(以下、材料と記す)が装入された収容器である坩堝である。坩堝2は、基板の端部、本例では矩形状の基板1の回転円軌道下方に配置している。
坩堝2は、本例では、坩堝昇降機構21により、その高さと基板1の蒸着面からの距離(後述の高さH:図3参照)を変更し得るようにしている。坩堝2は例えば1つの蒸発源位置で複数の材料を切り替えて使用する、いわゆるターレット方式を用いる場合がある。このとき材料毎に固有の蒸着分布を持つため、前記のように坩堝昇降機構21により、蒸着源で使用する材料毎にその高さHを変更して膜厚の均一性を維持するようにしている。
なお、坩堝2を、基板1の中心軸からの距離を移動して調整しない理由は、上記のように複数の材料を蒸着するターレット方式では坩堝2と、基板1の中心軸からの距離Rを移動させるのは構造上困難であることを理由とする。
この坩堝2に装入された材料は、電子ビーム源である電子銃3から照射された電子が磁石によりその進路が偏向されて坩堝2へ導かれ、坩堝2に達した電子の衝突により加熱蒸発する。電子ビーム進路偏向用の磁石の構成の図示および説明は省略する。
電子ビーム源に関しては、本例では、加速電圧に依存するX線量を低減させるため、低加速電圧(例えば−6kV以上)の調整が可能となっている。蒸着対象である有機デバイスへの蒸着においては、加速電圧−2kV以上で蒸着を行う。
4(4A,4B)は、坩堝2内の材料に照射された後発生する二次電子、反射電子を偏向させるための、例えばネオジム磁石、サマコバ(サマリウムコバルト)磁石といった磁石であり、本例では、図2(a)に示すように、坩堝2の基板1方向の空間に、該坩堝2の中心を挟んで、該中心から互いに離間する方向へ所定の等間隔を空けてN極とS極を対向させ、かつ一端側を他端側へ傾斜させて配置する。
磁石4のNS極の配置は、図2(b)に示すように、基板1の中心に向かって右側がN極、左側をS極とする。本実施例では、磁石4AをS極、磁石4BをN極とし、磁界の向きは磁石4Bから磁石4Aの方向となる。このとき、電子ビーム蒸着装置より発生した電子は、磁石4A,4B内の磁界に進入すると、電子は基板1外に誘導される。(逆に磁石4AをN極、磁石4BをS極とすると、基板側へ電子が誘導される。)
磁石4(4A,4B)は、本例では、図1に示すように、磁石昇降機構41により後述する坩堝2の上面からの「高さH’」を、磁石傾斜変更機構42により後述する磁石4の「傾斜θ」の角度を、磁石間移動機構43により後述する坩堝2を挟んだ磁石4A,4Bの「距離C」を、各々変更し得るように構成している。
なお、上記のとおり、坩堝2は坩堝昇降機構21により、その高さと基板1の蒸着面からの距離(後述の高さH)を変更するが、基板1の中心からの距離Rは変更しない構成としている。ここで、本例では、使用する材料によっては、基板1に対する蒸着分布が変化するため坩堝2の高さHの変更を行う必要があるが、磁石4が蒸着範囲を覆いきれず電子遮蔽が困難となる場合、あるいは磁石4自体が蒸着の妨げとなる場合、がある。
そこで、本例では、図1に示すように、基板1の回転軌跡の直径対向位置に設けた電子計測器45により基板1に到達する電子量をモニタし、後述の磁石配置条件となるように磁石4の「高さH’」を磁石昇降機構41により、「傾斜θ」を磁石傾斜変更機構42により、「距離C」を磁石間移動機構43により、変更するようにしている。
本発明の電子ビーム蒸着装置は、制御部10において、不図示の入力部から入力した蒸着材料種と基板1の形状(基板1の縦×横)に基づいて、坩堝昇降機構21、磁石昇降機構41、磁石傾斜変更機構42、磁石間移動機構43、の初期作動を制御し、蒸着が開始されると、上記の電子計測器45からの出力が制御部10送られてリニア制御されるように構成している。
5は、図4に示すように、反射電子や二次電子が基板1へ到達することを防ぐために設けた電子遮蔽板である。電子ビームの電子は、磁石4の磁場により、磁石4A,4B間の電子はここで遮蔽されるが、磁石4の下方通過後、磁場により曲げられた電子が基板1へ入射することがある。また、基板1外へ飛んで真空容器内で反射した電子も基板1へ到達することがある。
そこで、本例では、磁石4と坩堝2の位置する磁場下方に坩堝2を囲うように電子遮蔽板5を設けている。電子遮蔽板5は、アース接続され、坩堝2の周囲に、基板1の中心方向(これを前方とする)と円軌跡の外側方向(これを後方とする)、磁石4A,4Bの離間幅方向(これを側方とする)、及び坩堝2から見た基板1方向(これを上方とする)、に設けている。
具体的には、本例では電子遮蔽板5を図4に示すように配置している。磁石4A,4Bの互いの下端及び下端間に前方の電子遮蔽板5Aを、磁石4A,4Bの互いの上端及び上端間に上方の電子遮蔽板5Bを、磁石4A,4Bの互いの外側部に側方の電子遮蔽板5C,5Dを、坩堝2の後方に電子遮蔽板5Eを、それぞれ隙間なく設けて、磁石4A,4Bの間隔を開口とした坩堝2を覆う筐体を電子遮蔽板5により構成している。
なお、この電子遮蔽板5は、上記のように坩堝2及び磁石4の配置が各機構21,41,42,43により変更する場合は、隙間なく設けることができない場合があるが、磁石4により電子遮蔽が十分に可能な場合は、坩堝2や磁石4の移動ストローク分の隙間が存在しても構わない。
このように電子遮蔽板5を設けることで、反射電子が遮断され、その他の方向に飛ぶ電子も電子遮蔽板5により閉塞された筐体空間に閉じ込めて最終的にアースへ落とすことができるので、基板1の蒸着範囲に電子が到達することを極めて効果的に防ぐことが可能となる。
次に、基板1及び坩堝2の位置に基づいた磁石4A,4Bの配置に関して、図2及び図3を用いて具体的に説明する。また、以下の磁石4の配置条件は、電子遮蔽効果が最適となる磁場発生範囲の条件でもある。
なお、本発明では、電子遮蔽を行うべく、磁石4を電磁石とした場合の磁場発生出力の調整を行うことをせず、磁石4の蒸着中の磁場発生出力を一定とした場合において、磁石4の配置を適切な条件とすることで、電子遮蔽と均一的かつ高速な成膜を可能とすることを目的としている。
(磁場のビームへの影響)
電子遮蔽を目的とした磁石4の磁場がビーム軌道上まで及ぶ場合、電子ビームの偏向、収束に影響を与え、材料への電子ビームの集中的な照射が行われず、蒸着レートの低下が起こる。図5を見るとビーム軌道上の磁束密度が0.5mTでレートが10%低下することから、本実施例では「電子遮蔽目的で形成される磁場が、ビーム軌道上で磁束密度0.5mT以上とならない」ように配置する。
(磁石配置)
基本的には、蒸着材料や基板の蒸着面積に応じて例えば磁石4の磁場発生出力や電子ビームの出力を調整することで、どのようにも対応できるが、本例ではそうした電気的制御によることを目的とせず、成膜条件に見合う「磁石4の磁場発生出力を一定とした場合における基板1の蒸着面積に対応する磁石4の最適な配置条件」を見出すことを目的としている。
坩堝2は、上記のとおり、基板1の下方に位置させる。基板1の下面(成膜部)と坩堝2の上面との距離は蒸着材料により固有の蒸着分布をもつため、所定の膜厚均一性が得られる高さに変更し、決定される。また、本例では、電子計測器45の出力を用いて基板1に到達する電子量を計測し、基板1の下面(成膜部)と坩堝2との距離に応じて磁石の配置を決定する。以下、磁石4は、基板1に対する坩堝2の位置を基準として各々決定している。
図3に示すように、磁石4に関しては、坩堝2の上面からの「高さH’」、磁石4の「長さB」と、磁石4の「傾斜θ」、磁石4A,4B間の「距離C」を次のようにすればよい。
「高さH’」200mm≦高さH’≦400mm
坩堝2の上面から、傾斜させて配置する磁石4の基板1の外周側の端部、すなわち上端までの高さH’(距離)は200mm≦高さH’≦400mmとすればよい。磁石4の上端高さが200mmより低い(坩堝2に接近する)と、電子ビームの蒸発源上への偏向、集束に干渉し、効率的な材料加熱が行われず、成膜速度が低下する。一方、磁石4の上端高さが400mmより高い(坩堝2から離れる)と、蒸着における遮蔽物となる。
「長さB」
磁石4の長さBは、基板1の回転軌跡の直径対向位置と坩堝2の中心を垂直な同一平面上で結ぶ仮想線P,P’を引いた範囲(破線)以上の長さとする。この磁石4の長さBは、基板1の回転直径、坩堝2の基板1に対する高さ、磁石4の高さH’、後述の傾斜θを要因として変わるが、逆に言えば、磁石4の長さBを固定しても、前記要因を変更すれば対応できる範囲であれば、固定長でも構わない。
「磁石傾斜θ」5°≦磁石傾斜θ≦45°
磁石4が電子ビームに影響せず、かつ磁石4の下方に傾斜させた下端面Aが基板1の回転中心を超えない範囲となると共に坩堝2の中心と該基板1の回転軌道の直径最遠部を垂直な同一平面上で結ぶ仮想線P’上にほぼ位置するように設ける。一方、磁石4の傾斜させた上端面は上記高さH’で規定するとおりである。よって、磁石4の長さBに応じて、磁石4の上端面が高さH’で、下端面が仮想線P’で、規定される位置となるように傾斜させた磁石4の傾斜θはだいたい5°≦磁石傾斜θ≦45°となる。
傾斜θが5°より小さいと、基板1の蒸着の遮蔽物となると共に、例えば基板1の中心に対して反対側に他の蒸着源や機構を設ける場合にはこれらの遮蔽物や干渉物として阻害要因となる可能性が高まる。一方、傾斜θが45°より大きいと、仮想線P−P’の範囲を磁石で覆うことが出来ず、反射電子や二次電子の偏向に必要な磁場形成領域外から電子が通過し基板1に達する、または電子ビームが前述した前方から後方に進行する場合、前述した電子遮蔽用磁場による電子ビーム軌道への干渉が発生する可能性が高まる。
「距離C」100mm≦距離C≦400mm
基板1への蒸着の妨げとならない間隔とすることが前提とされ、坩堝2を挟んだ磁石4A,4Bの間隔が100mmより短いと、磁石4が蒸着の遮蔽物になる。一方、坩堝2を挟んだ磁石4A,4Bの間隔が400mmより長いと、電子遮蔽に必要な磁場を形成することが困難になる。あるいは、真空容器内で他の蒸着源の遮蔽物や他の機構の干渉物となる可能性がある。
次に、磁石4の上記配置条件を満たした下記構成において本発明の効果を確認するために行った実験の結果を示す。まず、基礎的要件として、電子ビームは加速電圧−2kV以下、例えば−2kVとし、磁石4の磁石4A,4B間の磁束密度を5mT以上、例えば永久磁石により5mTに設定した。
また、坩堝2の基板1の中心からの距離Rは、基板回転を行う場合、回転軌跡の半径Dの0.5倍以上、例えば1倍の位置、すなわち回転軌跡の直下に坩堝中心が位置するように配置した。
基板1の蒸着面から坩堝2の中心までの距離Hは、上記磁石4の高さH’の関係で当然に(磁石4の)高さH’<距離Hとされるが、坩堝2の中心から基板1の中心までの距離Yを1500mm以下とする点を併せて最終的に決定される。
基板1の蒸着面から坩堝2の中心までの距離Hと、坩堝2の基板1の中心からの距離Rは、目標膜厚均一性となる配置であれば特に上限はないが、坩堝2の中心から基板1の中心までの距離Yが1500mmより長くなると、蒸着レートが低下するため、蒸着レート10Å/s以上が得られる1500mmを坩堝2の中心から基板1の中心までの距離Yの上限として設定した。
以下に、本発明の効果を確認するために行った試験の結果を示す。試験は次の条件で作製した有機EL素子を評価することにより行った。
評価用の有機EL素子は、370mm×470mmと550mm×650mmの基板1の蒸着範囲内の中央(基板中心からの距離0mm)と端部(基板中心からの距離250mmと375mm)の2箇所で50mm角のガラス基板上にパターニング形成されたITO、有機薄膜の蒸着後、2mm角の素子となるように蒸着マスクを使用してアルミニウムを蒸着レート10Å/s、膜厚2000Åで電子ビーム蒸着を行って作製した。以下、図6に示すように、蒸着範囲の、中央で作製した有機EL素子を「中央素子」と、端部で作製した有機EL素子を「端部素子」と、記す。
下記の表1には、磁石4の、高さH’、長さB、傾斜θ、間隔Cを上記条件に沿った表1のようにして蒸着を行い、基板1へ入射する電子量(電流密度)と発光効率について評価した結果を示す。一方、下記の表2には、上記条件に沿っていないあるいは外れた条件で蒸着を行った結果を示す。
Figure 0006216177
Figure 0006216177
電子ビーム蒸着時の二次電子、反射電子により先行して形成された有機薄膜層が組成変化した場合は、発光効率が低下する(X線による有機薄膜への組成変化、デバイス特性の低下が生じないことを確認した加速電圧により評価)。このためリファレンスとして二次電子、反射電子が発生しない抵抗加熱方式で作製した素子の発光効率と比較することで二次電子、反射電子量による影響を評価した。
磁石4の配置条件等を満たさない構成の場合(表2)は、特に磁石4を水平状に配置した傾斜θが0°(つまり傾斜なし)あるいは上記範囲の上限を超えた結果、磁石自身が蒸着の遮蔽物となるか、二次電子や反射電子を遮蔽することが出来ず、基板1に達してしまうため、素子の特性は低下した。
磁石4の配置条件を満たす本例構成の場合(表1)は、蒸着範囲に二次電子や反射電子が入射することを防ぎ、基板1の蒸着範囲全域、つまり中央素子、端部素子ともに有機薄膜に対し組成変化などを発生させる電子量を遮蔽することができたことを抵抗加熱方式にてアルミニウムを蒸着した素子と同等の発光効率が得られたことから確認した。また、電子遮蔽板を組み合わせることで、より効果的に電子遮蔽が可能であることも確認した。
上記の実施例では、基板を回転させ蒸着を行うが、基板を固定、もしくは搬送しても構わない。この場合の磁石配置は基板、もしくは蒸着開口部を回転させた場合の回転軌跡を描き、この回転軌跡に基づき決定すればよい。
1 基板
2 坩堝
21 坩堝昇降機構
3 電子銃
4 磁石
4A,4B 磁石
41 磁石昇降機構
42 磁石傾斜変更機構
43 磁石間移動機構
45 電子計測器
5 電子遮蔽板
5A〜5F 電子遮蔽板
10 制御部

Claims (3)

  1. 加速した電子を照射し加熱して蒸発させた材料を、発生する電子の基板への入射を遮蔽する磁場を形成しつつ、基板表面に付着させて薄膜を形成する電子ビーム蒸着装置であって、
    蒸着する基板の回転中心軸から所定距離移動させた下方に、蒸着材料の収容器を位置させ、
    基板を回転させつつ蒸着を行う際の回転軌道、または固定した基板を回転させた場合の回転軌跡に基づいて、
    前記収容器の中心より基板の回転中心方向の上方空間に、前記収容器の中心を挟んで所定の間隔を空けて一対の磁石の各々の基板回転中心側端部を他方端部より下方に傾斜させて配置することを特徴とする電子ビーム蒸着装置。
  2. 収容器の周囲にアースされた電子遮蔽板を設けることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム蒸着装置。
  3. 基板の蒸着面から収容器までの収容器の高さを変更する収容器昇降機構と、収容器の前記高さにおける磁石の傾斜上端高さを変更する磁石昇降機構と、磁石の傾斜角度を変更する磁石傾斜変更機構と、一対の磁石の間隔を変更する磁石間移動機構と、蒸着材料種と基板形状に基づいて、及び基板の回転軌道または回転軌跡の直径対向位置に設けた電子計測器で計測した電子量に基づいて、前記収容器昇降機構、前記磁石昇降機構、前記磁石傾斜変更機構、前記磁石間移動機構、の作動制御する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の電子ビーム蒸着装置。
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