JP7320828B2 - スパッタリングカソード、スパッタリング装置、及び成膜体の製造方法 - Google Patents

スパッタリングカソード、スパッタリング装置、及び成膜体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタリングカソード、スパッタリング装置、及び成膜体の製造方法に関する。
従来、半導体デバイス、太陽電池、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種のデバイスにおいて電極を形成する工程においては、電極材料の成膜に真空蒸着装置が多く用いられている。しかしながら、真空蒸着法は膜厚分布の制御が空間的にも時間的にも難点を有するため、スパッタリング法による電極材料の成膜が求められている。
従来、スパッタリング装置としては、平行平板マグネトロン式スパッタリング装置、ロータリーターゲット方式スパッタリング装置、対向ターゲット式スパッタリング装置などが知られている。このうち対向ターゲット式スパッタリング装置においては、同じ材料で作られた二つの円形あるいは正方形あるいは矩形の同寸ターゲットを互いに平行に対向させ、それらの間の空間にスパッタリングガスを導入して放電を行わせることによりターゲットをスパッタリングすることにより成膜を行う(例えば、非特許文献1~3参照。)。この対向ターゲット式スパッタリング装置は、二つのターゲット間に挟まれた空間、すなわちその二つのターゲットと外周に形成された磁力線とで囲まれた空間にプラズマを拘束することでスパッタリング現象を発生させる。本方式のスパッタリングカソードはターゲットが基板に対して垂直を成して配置されているため、被成膜基板表面における中性反射プロセスガス衝撃を防止することができるという利点を有している。
しかしながら、上述の対向ターゲット式スパッタリング装置においては、対向する二つのターゲット間のプラズマ密度が低く、十分に高い成膜速度を得ることができないという欠点がある。
これらの課題を解決するために、本発明者により、横断面形状が互いに対向する一対の長辺部を有する管状の形状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードが提案されている(特許文献1参照。)。このスパッタリングカソードによれば、平板状の被成膜体に十分に高い成膜速度かつ低衝撃で成膜を行うことができる。
特許第6151401号
J. Vac. Soc. Jpn. Vol.44, No.9, 2001, pp.808-814 東京工芸大学工学部紀要 Vol.30 No.1(2007)pp.51-58 ULVAC TECHNICAL JOURNAL No.64 2006, pp.18-22
有機ELディスプレイや太陽電池の製造におけるスパッタリングプロセスにおいては、より高い歩留まりが要求される。
本発明の目的は、より高い歩留まりを実現可能なスパッタリングカソード、スパッタリング装置、及び成膜体の製造方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用する。
(1) 管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングターゲットは、
横断面形状が互いに対向するように形成された一対の長辺部と、
前記一対の長辺部の各々が有する2つの一端部を互いに接続するように形成された第一短辺部と、
前記一対の長辺部の各々が有する2つの他端部を互いに接続し、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記第一短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された第二短辺部と
を有する。
従来、特許文献1に記載のように、スパッタリングカソードが、スパッタリングターゲットの一対の長辺部が水平方向と平行又は実質的に平行であるように配置された状態で用いられていた。この場合、成膜方向として、スパッタダウン又はスパッタアップのいずれかが採用され得る。被成膜体に対して上からスパッタダウンした場合、被成膜体にパーティクルが降り掛かるおそれがある。一方、被成膜体に対して下からスパッタアップした場合には、処理装置内の天板に付着した堆積物が被成膜体の裏面(即ち上面)に降り掛かるおそれがある。これに対して、(1)のスパッタリングカソード(スパッタリング成膜源)は、例えば、立った状態で用いられる。スパッタリングカソードが立った状態とは、スパッタリングターゲットの一対の長辺部が鉛直方向と平行又は実質的に平行であるように配置された状態をいう。この場合、被成膜体も、鉛直方向と平行又は実質的に平行であるように配置される。これにより、被成膜体へパーティクルや堆積物等が降り掛かることが防止乃至低減される。成膜中における異物の混入が防止乃至抑制され得る。加えて、スパッタリングカソードが立った状態において、第一短辺部及び第二短辺部は、鉛直方向において、上下方向に並ぶ。この時、(1)のスパッタリングカソードによれば、鉛直方向に見て、第二短辺部は、第一短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置する。これにより、上に位置する短辺部から、下に位置する短辺部へ向かうパーティクルや堆積物等の落下が、防止乃至抑制され得る。従って、例えば、上に位置する短辺部の非エロージョン部及びシールドに堆積した膜が剥離し、下に位置する短辺部に落下して部分アークを誘発し被成膜体及び/又は成膜中の膜へ悪影響を及ぼすことが、防止乃至抑制され得る。具体的には、アークによる異常パーティクルの飛散が、防止乃至抑制され得る。その結果、スパッタリングプロセスにおいて、高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(2) (1)のスパッタリングカソードであって、
前記第一短辺部及び前記第二短辺部のうち、少なくとも一方の短辺部が、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記長辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に形成されている。
(2)によれば、スパッタリングカソードが立った状態で用いられる場合に、少なくとも一方の短辺部が、被成膜体から、より遠くに離れるようにスパッタリングカソードを配置できる。これにより、パーティクルや堆積物等による影響が、より効果的に防止乃至低減され得る。その結果、より高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(3) (1)又は(2)のスパッタリングカソードであって、
前記第一短辺部及び前記第二短辺部の両方が、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記長辺部の片側方向にオフセットされている。
(3)によれば、スパッタリングカソードが立った状態で用いられる場合に、第一短辺部及び第二短辺部の両方が、被成膜体から、より遠くに離れるようにスパッタリングカソードを配置できる。これにより、パーティクルや堆積物等による影響が、より効果的に防止乃至低減され得る。その結果、より高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(4) (1)~(3)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記第一短辺部及び前記第二短辺部の横断面形状は、前記一対の長辺部に対して垂直な直線形状、又は前記スパッタリングターゲットの径方向外側へ向かう凸形状である。
(4)によれば、第一短辺部及び第二短辺部が、製造や使用等に適した比較的簡単な形状を有しつつ、高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(5) (1)~(4)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記一対の長辺部の各々が、ロータリーターゲットにより構成されている。
(5)によれば、ロータリーターゲットが採用されることにより、成膜速度の向上と低ダメージ性とをバランス良く実現しつつ、高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(6) (1)~(5)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記一対の長辺部の間の距離は、50mm以上150mm以下である。
(6)によれば、スパッタリングターゲットから被成膜体へ向かうスパッタ粒子の数を確保しつつ、中性反射プロセスガスが被成膜体に衝突して衝撃を与えるのを防止乃至抑制できるとともに、高い歩留まりを実現できる。
当該距離は、60mm以上100mm以下であることが、より好ましい。当該距離は、70mm以上90mm以下であることが、更に好ましい。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(7) (1)~(6)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記一対の長辺部の間の距離に対する前記長辺部の長さの比が2以上である。
(7)によれば、スパッタリングカソードによる成膜面積を広く確保できるとともに、高い歩留まりを実現できる。
当該比は、5以上であることが好ましい。当該比は、40以下であることが好ましい。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(8) (1)~(7)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングカソードは、有機ELの電極製造用である。
(8)のスパッタリングカソードは、高い歩留まりを実現できるので、有機ELの電極を製造するために好適に用いられ得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(9) (1)~(7)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングカソードは、太陽電池の電極製造用である。
(9)のスパッタリングカソードは、高い歩留まりを実現できるので、太陽電池の電極を製造するために好適に用いられ得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(10) (1)~(9)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングターゲットは、前記一対の長辺部が鉛直方向又は実質的に鉛直方向に沿うように配置された状態で用いられ、
前記第一短辺部は、前記一対の長辺部の各々が有する2つの下端部を互いに接続するように形成された下短辺部であり、
前記第二短辺部は、前記一対の長辺部の各々が有する2つの上端部を互いに接続し、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された上短辺部である。
(10)によれば、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に見て、上短辺部が、下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置する。これにより、上短辺部から下短辺部へ向かうパーティクルや堆積物等の落下が防止乃至抑制され得る。その結果、スパッタリングプロセスにおいて、高い歩留まりを実現できる。ここでの「実質的」とは、製造、設置又は使用時等における公差又は誤差等が許容されることをいう。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(11) (10)のスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、被成膜体と間隔を空けて配置された状態で用いられ、
前記上短辺部及び前記下短辺部のうち、少なくとも一方の短辺部が、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記長辺部よりも前記被成膜体から離れるように形成されている。
(11)によれば、少なくとも一方の短辺部が、被成膜体から離れるようにオフセットされる。従って、当該少なくとも一方の短辺部と被成膜体との距離がより長く確保される。これにより、被成膜体及び/又は成膜中の膜への悪影響が、より効果的に防止乃至抑制され得る。より高い歩留まりが実現され得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(12) (10)又は(11)のスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、被成膜体と間隔を空けて配置された状態で用いられ、
前記上短辺部及び前記下短辺部の両方が、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記長辺部よりも前記被成膜体から離れるようにオフセットされている。
(12)によれば、上短辺部及び下短辺部の両方が、被成膜体から離れるようにオフセットされる。従って、上短辺部及び下短辺部と被成膜体との距離がより長く確保される。これにより、被成膜体及び/又は成膜中の膜への悪影響が、より効果的に防止乃至抑制され得る。より高い歩留まりが実現され得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(13) (10)~(12)のいずれか1のスパッタリングカソードであって、
前記スパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、被成膜体と間隔を空けて配置された状態で用いられ、
前記上短辺部が、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記下短辺部よりも、前記被成膜体から離れるように形成されている。
(13)によれば、下短辺部と比べて、上短辺部が、被成膜体からより遠くに離れるようにオフセットされる。従って、上短辺部から落下したパーティクルや堆積物等が、下短辺部において、被成膜体の近くに堆積乃至接触することが防止乃至抑制される。これにより、被成膜体及び/又は成膜中の膜への悪影響が、より効果的に防止乃至抑制され得る。より高い歩留まりが実現され得る。
上述した目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用する。
(14) 管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードと、
前記スパッタリングターゲットのエロージョン面が露出するように設けられたアノードと
を有するスパッタリング装置であって、
前記スパッタリングターゲットは、
横断面形状が互いに対向するように形成され、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に沿うように配置される一対の長辺部と、
前記一対の長辺部の各々が有する2つの下端部を互いに接続するように形成された下短辺部と、
前記一対の長辺部の各々が有する2つの上端部を互いに接続し、前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された上短辺部と
を有し、
前記スパッタリング装置は、
前記スパッタリングターゲットに囲まれた空間の側方において前記スパッタリングターゲットの前記長辺部よりも幅が短い成膜領域を有する被成膜体を前記スパッタリングターゲットに対し、前記スパッタリングターゲットの前記長辺部を横断する方向に移動させながら又は移動させずに、前記スパッタリングターゲットの内面に沿って周回するプラズマが発生するように放電を行ってスパッタリングガスにより発生するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面に沿って周回するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面をスパッタリングすることにより前記被成膜体の前記成膜領域に成膜を行うように構成されている。
(14)によれば、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に見て、上短辺部が、下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置する。これにより、上短辺部から下短辺部へ向かうパーティクルや堆積物等の落下が防止乃至抑制され得る。その結果、スパッタリングプロセスにおいて、高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(15) (14)のスパッタリング装置であって、
前記スパッタリング装置は、前記一対の長辺部の間の空間に遮蔽板が設置可能に構成されている。
(15)によれば、一対の長辺部のうち、一方の長辺部を構成する材料の原子が、他方の長辺部から得られるスパッタ粒子束に混入することを防止乃至抑制できる。一方の長辺部と他方の長辺部とが異なる材料からなる一対の長辺部を用いて二層膜を生成する場合に、互いの材料の混入が防止乃至抑制され得る。より高い歩留まりが実現され得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(16) (14)又は(15)のスパッタリング装置であって、
スパッタリング装置は、有機ELの電極製造用である。
(16)のスパッタリング装置は、高い歩留まりを実現できるので、有機ELの電極を製造するために好適に用いられ得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(17) (14)又は(15)のスパッタリング装置であって、
スパッタリング装置は、太陽電池の電極製造用である。
(17)のスパッタリング装置は、高い歩留まりを実現できるので、太陽電池の電極を製造するために好適に用いられ得る。
上述した目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用する。
(18) 管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードを用いて行われる成膜体の製造方法であって、
前記スパッタリングターゲットは、
横断面形状が互いに対向するように形成され、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に沿うように配置される一対の長辺部と、
前記一対の長辺部の各々が有する2つの下端部を互いに接続するように形成された下短辺部と、
前記一対の長辺部の各々が有する2つの上端部を互いに接続し、管状又は環状を有する前記スパッタリングターゲットの軸線方向において、前記下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された上短辺部と
を有し、
前記成膜体の製造方法は、
前記スパッタリングターゲットに囲まれた空間の側方において前記スパッタリングターゲットの前記長辺部よりも幅が短い成膜領域を有する被成膜体を前記スパッタリングターゲットに対し、前記スパッタリングターゲットの前記長辺部を横断する方向に移動させながら又は移動させずに、前記スパッタリングターゲットの内面に沿って周回するプラズマが発生するように放電を行ってスパッタリングガスにより発生するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面に沿って周回するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面をスパッタリングすることにより前記被成膜体の前記成膜領域に成膜を行う工程を有する。
(18)によれば、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に見て、上短辺部が、下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置する。これにより、上短辺部から下短辺部へ向かうパーティクルや堆積物等の落下が防止乃至抑制され得る。その結果、スパッタリングプロセスにおいて、高い歩留まりを実現できる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(19) (18)の成膜体の製造方法であって、
前記成膜体の製造方法は、有機ELの電極製造用である。
(19)の製造方法は、高い歩留まりを実現できるので、有機ELの電極を製造するために好適に用いられ得る。
本発明の一実施形態は、以下の構成を採用できる。
(20) (18)の成膜体の製造方法であって、
前記成膜体の製造方法は、太陽電池の電極製造用である。
(20)の製造方法は、高い歩留まりを実現できるので、太陽電池の電極を製造するために好適に用いられ得る。
スパッタリングカソードにおいて、長手方向における長辺部の長さは、短手方向における第一短辺部の長さよりも長い。長手方向における長辺部の長さは、短手方向における第二短辺部の長さよりも長い。長手方向において、一対の長辺部の各々の長さは、互いに等しい又は実質的に等しい。短手方向において、第一短辺部と第二短辺部との長さは、互いに等しい又は実質的に等しい。なお、長手方向における長辺部の長さは、長手方向における長辺部の一端と他端との距離に相当する。短手方向における第一短辺部の長さは、短手方向における第一短辺部の一端と他端との距離に相当する。短手方向における第二短辺部の長さは、短手方向における第二短辺部の一端と他端との距離に相当する。一対の長辺部は、例えば、互いに平行である。一対の長辺部は、例えば、互いに傾斜していてもよい。
本発明に係るスパッタリングカソードにおいて、第一短辺部と第二短辺部との位置の対比は、第一短辺部のエロージョン部と第二短辺部のエロージョン部との位置の対比であってもよい。第一短辺部及び/又は第二短辺部と一対の長辺部との位置の対比は、第一短辺部のエロージョン部及び/又は第二短辺部のエロージョン部と一対の長辺部のエロージョン部との位置の対比であってもよい。例えば、上記(1)のスパッタリングカソードは、第二短辺部が第一短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置する、に代えて又は加えて、第二短辺部のエロージョン部が第一短辺部のエロージョン部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置する、を有していてもよい。
一対の長辺部は、成膜を行う材料と同じ組成の材料により構成されてもよく、互いに異なる材料により構成されてもよい。例えば、一方の長辺部が材料Aにより構成され、他方の長辺部が材料Bにより構成される。一方の長辺部からのスパッタ粒子束と、他方の長辺部からのスパッタ粒子束とが被成膜体に入射されることにより、材料Aと材料Bとからなる薄膜が生成され得る。材料A、Bが、互いに異なる単一元素からなる金属により構成される場合、二元合金薄膜が生成され得る。これは、真空蒸着法における二元蒸着法と同様な成膜法がスパッタリング装置で実現可能となることを意味する。また、材料A及び材料Bとして、二元以上の材料が用いられ得る。これにより、多元系材料からなる薄膜が生成され得る。
環状とは、環のような形状をいう。管状とは、管若しくは筒のような形状をいう。環状と管状は、必ずしも、厳密には区別され得ない。あるスパッタリングターゲットが、環状に該当し且つ管状に該当する場合もあり得る。また、環状又は管状は、円環状又は円管状であってもよく、角環状又は角管状であってもよい。環状又は管状は、必ずしも、周方向に全周にわたって連続することにより環又は管を成す形状である必要は無い。周方向に非連続な部分(例えば空隙)が存在していてもよい。例えば、4枚の平板により矩形の管状が形成される場合に、各平板の隣り合う端部は、互いに接続されていてもよく、空隙を介して配置されてもよい。
第一短辺部及び第二短辺部の横断面形状が一対の長辺部に対して垂直な直線形状である場合、スパッタリングターゲットの横断面形状は、例えば、矩形の角管状又は角環状である。第一短辺部及び第二短辺部の横断面形状がスパッタリングターゲットの径方向外側へ向かう凸形状である場合、スパッタリングターゲットの横断面形状は、例えば、角丸長方形(Rounded Rectangle)である。スパッタリングターゲットの径方向外側へ向かう凸形状は、例えば、半円形状である。
第一短辺部及び第二短辺部の横断面形状が一対の長辺部に対して垂直な直線形状である場合、スパッタリングターゲットは、一対の長辺部と、一対の短辺部とからなる。このようなスパッタリングカソードは、例えば、一対の長辺部を構成する2枚の平板と、一対の短辺部を構成する2枚の平板とからなる。これら4枚の平板が別々に準備又は作製され、角管状又は角環状に配置されることにより、スパッタリングターゲットが組み立てられることができる。また、スパッタリングターゲットと永久磁石との間には、好適には、例えば、冷却用のバッキングプレートが設けられてもよい。バッキングプレートは、その内部に、冷媒用の流路を有していてもよい。冷媒は、特に限定されず、例えば、水であってもよい。
ロータリーターゲットは、円筒形状を有し、所定の回転機構により、その回転軸の回りに回転可能に設けられる。ロータリーターゲットは、円筒回転式スパッタリングターゲットである。回転機構としては、例えば、従来公知の回転機構が採用され得る。ロータリーターゲットは、例えば、その内部に、磁気回路が設けられ且つ冷却水が流されるように構成されている。磁気回路は、例えば、ロータリーターゲットの中心軸に平行に設けられ、ロータリーターゲットの半径方向に垂直な長辺を有する長方形の横断面形状を有する。この場合、一方のロータリーターゲットの内部に設けられた磁気回路および他方のロータリーターゲットの内部に設けられた磁気回路は、所定平面に対する短辺の傾斜角度が0度以上360度未満であるように構成されている。なお、前記所定平面は、一方のロータリーターゲットの中心軸および他方のロータリーターゲットの中心軸を含む。前記短辺は、前記長方形の横断面形状が有する短辺である。上記傾斜角度が、上述した範囲内の任意の角度に設定されることにより、成膜速度の向上と低ダメージ性とがバランス良く実現され得る。
さらに、例えば、被成膜体とスパッタリングターゲットとの間に出し入れ可能な遮蔽板が挿入されることにより、以下に示す成膜体の製造方法が実現可能となる。これにより、被成膜体上に、二層構造の薄膜が生成され得る。
当該成膜体の製造方法は、
他方の長辺部からのスパッタ粒子束を遮断し、被成膜体を一方向に移動させながら、一方の長辺部からのスパッタ粒子束を被成膜体に入射させることにより、被成膜体上に、一方の長辺部を構成する材料からなる薄膜を生成する工程と、
一方の長辺部からのスパッタ粒子束を遮断し、被成膜体を逆方向に移動させながら、他方の長辺部からのスパッタ粒子束を被成膜体に入射させることにより、被成膜体上に、他方の長辺部を構成する材料からなる薄膜を生成する工程と
を含んでいてもよい。
スパッタリングターゲットにおいては、例えば、一対の長辺部以外の部分からのスパッタ粒子束は成膜に積極的に使用されない。しかし、一対の長辺部以外の部分は、例えば、意図されない元素の混入を防止乃至抑制するために、長辺部と同種の材料により構成されてもよい。一方、一対の長辺部以外の部分からのスパッタ粒子束を成膜に敢えて使用しない場合には、一対の長辺部以外の部分は、一対の長辺部と異なる材料により構成されてもよい。
スパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲットの軸線方向における一方向だけではなく、当該一方向と反対の方向にも、スパッタ粒子束を取り出すことが可能であるように構成されていてもよい。一つの被成膜体を、スパッタリングターゲットから当該一方向に間隔を空けた状態で、長辺部を横断する方向に移動させると共に、別の被成膜体を、当該スパッタリングターゲットから当該反対の方向に間隔を空けた状態で、長辺部を横断する方向に移動させる。これにより、1つのスパッタリングターゲットにより、2つの被成膜体に対して、成膜処理を行うことができる。
スパッタリングカソードは、例えば、磁気回路がスパッタリングターゲットに沿って設けられるように構成されている。このようなスパッタリングカソードが複数、並列配置されることにより、スパッタリングカソード集合体が構成されてもよい。複数のスパッタリングカソードは、互いに一対の長辺部の長手方向に並ぶように配置されてもよく、互いに一対の長辺部の短手方向に並ぶように配置されてもよい。例えば、並列配置された複数のスパッタリングカソードのうち互いに隣接する二つのスパッタリングカソードの間には、交流電源が接続され、交流電圧が印加される。こうすることで、互いに隣接する二つのスパッタリングカソードが交互に、負極と正極とを繰り返すことができる。それによって交互にスパッタリングを行うことが可能となる。また、アノードに絶縁膜が堆積することで発生するアノード消失現象を回避できる。それにより、長時間安定した反応性スパッタリング成膜を低ダメージで実現できる。
本発明の一実施形態において、スパッタリングカソードは、スパッタリングターゲットのうちの成膜が行われる空間に面する部分の近傍に、補助電極を有していてもよい。
また、上述のスパッタリングカソード、スパッタリング装置及び成膜体の製造方法においては、スパッタリングカソードとアノードとの間に印加される電圧が、パルス波形であってもよい。その場合、当該パルス波形では、スパッタリングカソードにおける電圧パルスのハイレベルが、0Vもしくは絶対値が概ね50V以下の負の電圧V-であり、ローレベルが、絶対値が概ね100V以上の負の電圧V-であることが好ましい。これにより、スパッタリングカソードに正の電圧が印加されないことが好ましい。スパッタリングガスにより生成される正イオンが成膜中に被成膜体に衝撃を与えることを防止できる。その結果、被成膜体および被成膜体上に成膜される薄膜にダメージが発生するのを防止乃至抑制できる。
本発明によれば、より高い歩留まりを実現可能なスパッタリングカソード、スパッタリング装置、及び成膜体の製造方法を提供できる。
図1(a)は、第1実施形態に係るスパッタリングカソードを概略的に示す縦断面図であり、図1(b)は、当該スパッタリングカソードを概略的に示す正面図であり、図1(c)は、当該スパッタリングカソードを概略的に示す平面図である。 図2(a)は、第1実施形態に係るスパッタリング装置におけるスパッタリングカソード近傍を概略的に示す縦断面図であり、図2(b)は、当該スパッタリングカソード近傍を概略的に示す正面図であり、図2(c)は、当該スパッタリングカソード近傍を概略的に示す平面図である。 図3(a)は、第2実施形態に係るスパッタリング装置におけるスパッタリングカソード近傍を概略的に示す縦断面図であり、図3(b)は、当該スパッタリングカソード近傍を概略的に示す平面図である。 図4(a)は、第2実施形態に係るスパッタリング装置におけるロータリーターゲットの上端部を模式的に示す部分拡大断面図であり、図4(b)は、当該スパッタリング装置におけるスパッタリングカソード近傍を概略的に示す縦断面図であり、図4(c)は、当該ロータリーターゲットの下端部を模式的に示す部分拡大断面図である。 図5(a)は、第2実施形態に係るスパッタリング装置におけるスパッタリングカソード近傍を模式的に示す部分拡大正面図であり、図5(b)は、当該ロータリーターゲットの上端部を模式的に示す断面図であり、図5(c)は、当該ロータリーターゲットの中央部を模式的に示す断面図であり、図5(d)は、当該ロータリーターゲットの下端部を模式的に示す断面図である。 図6(a)~図6(f)の各々は、スパッタリングターゲットの例を概略的に示す縦断面図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態について、図1~図2を参照して説明する。図1(a)は、第1実施形態に係るスパッタリングカソード1を概略的に示す縦断面図である。図1(b)は、スパッタリングカソード1を概略的に示す正面図である。図1(c)は、スパッタリングカソード1を概略的に示す平面図である。図2(a)は、第1実施形態に係るスパッタリング装置におけるスパッタリングカソード1の近傍を概略的に示す縦断面図である。図2(b)は、スパッタリングカソード1の近傍を概略的に示す正面図である。図2(c)は、スパッタリングカソード1の近傍を概略的に示す平面図である。
本明細書及び図面において、X方向は、スパッタリングカソード1の長手方向である。Y方向は、スパッタリングカソード1の短手方向である。Z方向は、スパッタリングターゲット10の軸線方向である。X、Y及びZ方向は、互いに直交する。X方向及びY方向は、スパッタリングターゲット10の径方向に該当する。スパッタリングカソード1が設けられたスパッタリング装置においては、X方向は、水平方向である。Y方向は、鉛直方向である。Z方向は、スパッタリングカソード1と被処理体Eとが互いに向かい合う方向である。
スパッタリングカソード1は、スパッタリング装置の真空容器(図示せず)の内部に設けられる。スパッタリングカソード1は、一般的には、電気的に絶縁され、真空容器に対して固定され、立った状態で設置される。スパッタリングカソード1は、全体としては、図1(b)に示すように、軸線方向(Z方向)に見て、管状又は環状を有する。スパッタリングカソード1は、四面対向形スパッタリング成膜源である。スパッタリングカソード1は、スパッタリングターゲット10と、永久磁石20と、ヨーク30とを有する。
スパッタリングターゲット10は、横断面形状が矩形の管状又は環状の形状を有する。横断面形状は、X方向及びY方向に拡がる平面上におけるスパッタリングターゲット10の断面形状を指す。スパッタリングターゲット10は、一対の長辺部12、13と、一つの上短辺部14と、一つの下短辺部15とを有する。
一対の長辺部12、13は、平板により構成されている。一対の長辺部12、13は、鉛直方向(Y方向)に沿って配置されている。一対の長辺部12、13は、横断面形状が互いに対向するように形成されている。一対の長辺部12、13では、Y方向における端部間距離(長さ)と、Z方向における端部間距離(幅)と、X方向における端部間距離(厚さ)とを比べた場合、「長さ」>「幅」>「厚さ」となる。一対の長辺部12、13は、各々が有する最も広い平面が互いに向かい合うように配置される。本実施形態において、一対の長辺部12、13は、互いに同一形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。一対の長辺部12、13の互いに対向する面が、エロージョン面12a、13aである。
上短辺部14は、平板により構成されている。下短辺部15は、平板により構成されている。上短辺部14及び下短辺部15では、X方向における端部間距離(長さ)は、Y方向における端部間距離(厚さ)より長い。上短辺部14と下短辺部15との互いに対向する面が、エロージョン面14a、15aである。Z方向における端部間距離(幅)は、Y方向における端部間距離(厚さ)より長い。上短辺部14は、一対の長辺部12、13の一端部(上端部)を互いに接続するように形成されている。下短辺部15は、一対の長辺部12、13の他端部(下端部)を互いに接続するように形成されている。なお、これらの部材は、必ずしも、厳密に接続される必要は無く、互いに接触していてもよく、互いの間に間隙を空けて配置されていてもよい。本実施形態において、上短辺部14と下短辺部15とは、同一形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。上短辺部14及び下短辺部15のうち、一方の短辺部が「第一短辺部」に相当し、他方の短辺部が「第二短辺部」に相当する。
上短辺部14と、下短辺部15とは、軸線方向(Z方向)において、全体的に異なる位置に配置されている。従って、上短辺部14と下短辺部15とは、鉛直方向(Y方向)において全く重ならない。上短辺部14は、下短辺部15よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。上短辺部14は、長辺部13(及び長辺部12)よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。
永久磁石20は、径方向(例えばX方向又はY方向)において、スパッタリングターゲット10の外側に配置される。径方向(X方向)における長辺部12、13の各々の外側には、Y方向に沿って、2本の永久磁石20が配置される。長辺部12,13の外側に配置される2本の永久磁石20は、図1(a)に示すように、長辺部12、13と平行に延びる部分と、短辺部14又は15に向かうように斜めに延びる部分とを有する。具体的に、2本の永久磁石20のうち、被処理体Eに近い永久磁石20は、下短辺部15から鉛直上方(Y方向)へ向けて延びる部分と、当該部分の上端から上短辺部14へ向けて斜めに延びる部分とを有する。また、被処理体Eから遠い永久磁石20は、上短辺部14から鉛直上方(Y方向)へ向けて延びる部分と、当該部分の下端から下短辺部15へ向けて斜めに延びる部分を有する。
径方向(Y方向)における短辺部14、15の各々の外側には、X方向に沿って、2本の永久磁石20が配置される。このように、矩形の角環状又は角管状のスパッタリングターゲット10の外側において、各辺部12、13、14、15の外側に、スパッタリングターゲット10の周方向に沿って、2本の永久磁石20が配置される。
ヨーク30は、径方向(例えばX方向又はY方向)において、永久磁石20の外側に配置される。各辺部12、13、14、15の外側において、2本の永久磁石20の外側に、スパッタリングターゲット10の周方向に沿って、1つの平板状のヨーク30が配置される。ヨーク30は、2本の永久磁石20の外側全域を覆うように配置される。
永久磁石20およびヨーク30により、図1(c)に示すように、磁気回路Mが形成されている。なお、磁気回路Mは、スパッタリングカソード1の周方向全周にわたって形成される。しかし、便宜上、図面では、図1(c)のみにおいて、スパッタリングターゲット10の上端部近傍の磁気回路Mのみを示している。永久磁石20の極性は、各図に示す通りであるが、各々の永久磁石20が、逆の極性を有していてもよい。
一対の長辺部12、13の間の距離aと、上短辺部14と下短辺部15との距離bとの比b/a(図1(b)参照)は、例えば、2以上であることが好ましく、40以下であることが好ましい。距離aは、特に限定されないが、50mm以上であることが好ましく、150mm以下であることが好ましい。
スパッタリング装置(図示せず)は、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間Rの側方に位置する被処理体Eに対して成膜を行う。図2(a)及び(c)に示すように、被処理体Eは、鉛直方向(Y方向)に沿って配置される。被処理体Eは、軸線方向Zにおいて、スパッタリングターゲット10と間隔を空けるように、スパッタリング装置が備える搬送機構(図示せず)により保持される。被処理体Eが、搬送機構により、長辺部12,13を横断する方向(X方向)に移動している状態で、スパッタリング装置は成膜を行う。搬送機構は、一定速度で被処理体Eを移動させてもよい。被処理体Eの移動時の速度は変化してもよい。被処理体Eにおける成膜領域の幅(Y方向における端部間距離)は、例えば、距離bよりも小さい。また、成膜領域の幅は、例えば、上短辺部14と下短辺部15との間の距離b´よりも小さい。被処理体Eの全面に成膜を行う場合には、被処理体Eの成膜領域の幅は、被処理体Eの幅と一致する。被処理体Eは、特に限定されず、例えば、ロール・トゥー・ロールプロセスで用いられるようなロールに巻かれた長尺のフィルムであってもよい。
図2(a)~(c)に示すように、スパッタリングカソード1には、アノード40が設けられる。アノード40は、長辺アノード41、43と、短辺アノード42、44とからなる。長辺アノード41、43及び短辺アノード42、44は、それぞれ2本ずつからなる。アノード40(41~44)は、それぞれ接地された真空容器に接続される。
長辺アノード41、43は、図2(c)に示すように、L型の断面形状を有する長尺状の部材である。1本の長辺アノード41と、1本の長辺アノード43とが対を成して、1つの長辺部12又は13を覆う。一対の長辺アノード41、43は、図2(c)に示すように、スパッタリングターゲット10の径方向における長辺部12の内側(図中、左面側)において、長辺部12に沿って、長辺部12と間隔を空けて、それぞれ長辺部12の角部12b、12cを覆うように配置される。長辺アノード41は、軸線方向(Z方向)における被処理体Eに近い角部12bを覆う。長辺アノード43は、軸線方向(Z方向)における被処理体Eから遠い角部12cを覆う。長辺部12から放出されるスパッタ粒子束(後述)は、長辺アノード41、43間の間隔を通って、被処理体Eへ向かう。別の一対の長辺アノード41、43は、図2(c)に示すように、長辺部13の内側(図中、右面側)において、長辺部13に対して同様に配置されることにより、長辺部13の角部13b、13cを覆う。各対の長辺アノード41、43は、軸線方向(Z方向)に間隔を空けて配置される。当該空間は、長辺部13から放出されるスパッタ粒子束が通るために用いられる。
短辺アノード42、44は、L型の断面形状を有する長尺状の部材である。1本の短辺アノード42と、1本の短辺アノード44とが対を成して、1つの短辺部14又は15を覆う。一対の短辺アノード42、44は、図2(a)に示すように、スパッタリングターゲット10の径方向における短辺部14の内側(下面側)において、短辺部14に沿って、短辺部14と間隔を空けて、それぞれ短辺部14の角部14b、14cを覆うように配置される。短辺アノード42は、軸線方向(Z方向)における被処理体Eに近い角部14bを覆う。短辺アノード44は、軸線方向(Z方向)における被処理体Eから遠い角部14cを覆う。別の一対の短辺アノード42、44は、図2(a)に示すように、短辺部15の内側(上面側)において、短辺部15に対して同様に配置されることにより、短辺部15の角部15a、15cを覆う。各対の短辺アノード42、44は、軸線方向(Z方向)に間隔を空けて配置される。
複数(4つ)のコーナーシールド50は、図2(b)に示すように、矩形の角環状又は角管状のスパッタリングカソード1の各角の前面を覆うように設けられる。
次に、成膜体の製造方法について説明する。成膜体の製造方法は、スパッタリング装置を用いて行われる。スパッタリング装置は、スパッタリングカソード1と、アノード40とを有する。スパッタリング装置では、スパッタリングカソード1が載置された真空容器(図示せず)が、真空ポンプにより真空(例えば高真空)に排気される。その後、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間Rにスパッタリングガス(例えばArガス)が導入される。アノード40とスパッタリングカソード1との間に、所定の電源により電圧が印加される。電圧は、プラズマ発生に必要な電圧である。電圧は、例えば、直流電圧である。一般的には、アノード40が接地され、スパッタリングカソードに負の高電圧(例えば、-400V)が印加される。これによって、スパッタリングターゲット10の表面近傍にこのスパッタリングターゲット10の内面に沿って周回するプラズマ60が発生する(図1(c)参照)。
プラズマ60中のイオン(例えばArイオン)により、スパッタリングターゲット10がスパッタリングされる。その結果、スパッタリングターゲット10を構成する原子が、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間Rから、軸線方向Zに飛び出す。このとき、一対の長辺部12、13のエロージョン面12a、13aのうち、プラズマ60の近傍の部分から、原子が飛び出す。一方、一対の短辺部14、15のエロージョン面14a、15aから飛び出す原子は、通常、成膜に使用されない。そのために、スパッタリングカソード1は、エロージョン面14a、15aから飛び出す原子が成膜時に被処理体Eに到達しないように構成されてもよい。例えば、短辺部14、15と、被処理体Eとの間に、水平遮蔽板が設けられてもよい。また、スパッタリングカソード1は、距離bが被処理体Eの幅よりも十分に大きいように構成されてもよい。スパッタリングの結果、一対の長辺部12、13のエロージョン面12a、13aから飛び出す粒子は、スパッタ粒子束(図示せず)として、被処理体Eへ向かう。スパッタ粒子束は、スパッタリングターゲット10の長手方向に略均一な強度分布を有する。
被処理体Eは、成膜前には、スパッタリングターゲット10により囲まれた空間Rの側方から離れた位置にある。スパッタリングの開始後、安定したスパッタ粒子速が得られるようになった時点で、被処理体Eが、スパッタリングターゲット10に対し、スパッタリングターゲット10の長辺部12、13を横断する方向に搬送される。その状態で、スパッタ粒子束により成膜が行われ、成膜体が形成される。鉛直方向(Y方向)において、被処理体Eの成膜領域の長さは、例えば、長辺部12、13の長さよりも短い。
以上、第1実施形態では、スパッタリングカソード1が、横断面形状が管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲット10を有する。これにより、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、スパッタリングターゲット10のエロージョン面12a~15a側に、スパッタリングターゲット10の内面を周回するプラズマ60を発生させることができる(図1(c)参照)。このため、プラズマ60の密度を高くすることができる。これにより、成膜速度を高くすることができる。また、プラズマ60が多く生成される場所は、スパッタリングターゲット10の表面近傍に限定される。また、永久磁石20およびヨーク30により形成される磁気回路Mにより発生する磁力線はスパッタリングカソード1に拘束され、被処理体Eに向かわない乃至向かい難い。そのため、プラズマ60や電子線による被処理体Eの損傷が防止乃至抑制され得る。また、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部12、13から得られるスパッタ粒子束を用いて成膜が行われる。これにより、反射スパッタ中性ガスのエネルギーの高い粒子により被処理体Eが衝撃され、損傷が生じることが、防止乃至抑制され得る。さらに、スパッタリングターゲット10の互いに対向する一対の長辺部12、13から得られるスパッタ粒子束は、長辺部12、13に平行な方向(Y方向)に均一な強度分布を有する。そのため、被処理体Eを、長辺部12、13を横断する方向、例えば長辺部12、13に垂直な方向に移動させながら成膜を行うことにより、被処理体E上に生成される薄膜の厚さのばらつきを小さくできる。例えば膜厚分布が、±5%以下にされ得る。スパッタリング装置は、有機EL又は太陽電池の電極製造用として好適である。なお、被処理体Eの位置が固定された状態で成膜が行われてもよい。本実施形態では、上短辺部14と下短辺部15とが、鉛直方向において重ならないので、パーティクルや堆積物の堆積が防止乃至抑制され得る。高い歩留まりが実現され得る。
<第2実施形態>
第2実施形態について、図3~図5を参照して説明する。図3(a)は、第2実施形態に係るスパッタリング装置におけるスパッタリングカソード1の近傍を概略的に示す縦断面図である。図3(b)は、スパッタリングカソード1の近傍を概略的に示す平面図である。図4(a)は、第2実施形態に係るスパッタリング装置におけるロータリーターゲット12、13の上端部を模式的に示す部分拡大断面図である。図4(b)は、スパッタリング装置におけるスパッタリングカソード1の近傍を概略的に示す縦断面図である。図4(c)は、ロータリーターゲット12、13の下端部を模式的に示す部分拡大断面図である。図5(a)は、第2実施形態に係るスパッタリング装置におけるスパッタリングカソード1の近傍を模式的に示す部分拡大正面図である。図5(b)は、ロータリーターゲット1の上端部を模式的に示す断面図である。図5(c)は、ロータリーターゲット1の中央部を模式的に示す断面図である。図5(d)は、ロータリーターゲット1の下端部を模式的に示す断面図である。
第2実施形態では、一対の長辺部として、一対のロータリーターゲット12、13が設けられている。ロータリーターゲット12、13は、スパッタリング装置に設けられた回転機構(図示せず)により、その中心軸線P(図3(a)参照)の回りに回転可能に支持されている。回転機構としては、従来公知の機構が採用され得る。ロータリーターゲット12、13の回転方向は、互いに同一であってもよく、逆であってもよい。ロータリーターゲット12、13は、その内部に冷却水を流すことができるように構成されている。これにより、使用時に、ロータリーターゲット12、13は冷却される。短辺部14、15は、ロータリーターゲット11、12の直径の約半分程度の幅(Z方向の端部間距離)を有する(図4(b))。短辺部14、15は、ロータリーターゲット12、13に面する両端部が、ロータリーターゲット12、13の円筒形状に対応して丸く凹むように構成されている。また、短辺部14、15は、ロータリーターゲット12、13の回転に支障が生じない程度に、ロータリーターゲット12、13と近接している。ロータリーターゲット12、13の内部には、2本の永久磁石20と、1つのヨーク30とが設けられる。2本の永久磁石20は、鉛直方向(Z方向)に延びるように配置される。ヨーク30は、スパッタリングターゲット10の径方向(Y方向)における2本の永久磁石20の外側に配置される。永久磁石20及びヨーク30は、ロータリーターゲット12、13から独立した部材(図示せず)を介して、スパッタリング装置に固定されている。そのため、ロータリーターゲット12、13が回転しても、永久磁石20及びヨーク30は回転しない。永久磁石20の磁性は、図3~図5に示す通りであるが、逆であってもよい。スパッタリングターゲット10の径方向(Y方向)における一対の短辺部14、15の外側には、永久磁石20が設けられる。さらに、永久磁石20の外側には、ヨーク30が設けられている。スパッタリングカソード1は、スパッタリングターゲット10、永久磁石20及びヨーク30により構成される。スパッタリングカソード1は、一般的には、電気的に絶縁された状態で真空容器(図示せず)に対して固定される。ロータリーターゲット12、13の内部に設けられた永久磁石20およびヨーク30により磁気回路(図示せず)が形成される。
次に、第2実施形態に係る成膜体の製造方法は、一対の長辺部に相当するロータリーターゲット12、13を回転させながらスパッタリングを行うことを除いて、第1実施形態と同様である。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様な利点に加えて、一対の長辺部が、ロータリーターゲット12、13により構成されているので、スパッタリングターゲット10の使用効率が高い。従って、成膜コストの低減を図ることができる。
以上、第1及び第2実施形態について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。スパッタリングカソード1に含まれるスパッタリングターゲット10は、例えば、図6(a)~図6(f)に示すように構成されてもよい。なお、図6(a)~図6(f)のいずれにおいても、上短辺部14と下短辺部15とは、軸線方向(Z方向)において、全体的又は部分的に互いに異なる位置に配置されている。
図6(a)に示すスパッタリングターゲット10では、上短辺部14と、下短辺部15とが、軸線方向(Z方向)において、部分的に異なる位置に配置されている。上短辺部14と、下短辺部15とは、鉛直方向(Y方向)に部分的に重なり合う。上短辺部14における被処理体Eに近い部分14fと、下短辺部15における被処理体Eから遠い部分15rとが重なり合う。下短辺部15における被処理体Eに近い部分15fは、鉛直方向(Y方向)において、上短辺部14と重ならない。上短辺部14における被処理体Eから遠い部分14fは、鉛直方向(Y方向)において、下短辺部15と重ならない。
上短辺部14は、長辺部13(及び長辺部12)よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。上短辺部14は、下短辺部15よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。
図6(a)に示すスパッタリングターゲット10を備えたスパッタリングカソード1によれば、上短辺部14と下短辺部15とが重なり合う部分が小さいため、パーティクルや堆積物等の堆積が防止乃至抑制される。高い歩留まりが実現され得る。
図6(b)に示すスパッタリングターゲット10では、上短辺部14と、下短辺部15とが、軸線方向(Z方向)において、全体的に異なる位置に配置されている。従って、上短辺部14と下短辺部15とは、鉛直方向(Y方向)において全く重ならない。さらに、上短辺部14と、下短辺部15とが、軸線方向(Z方向)において、間隔Qを空けて配置される。上短辺部14は、長辺部13(及び長辺部12)よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。上短辺部14は、下短辺部15よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。
図6(b)に示すスパッタリングターゲット10を備えたスパッタリングカソード1によれば、上短辺部14と下短辺部15とが全く重なり合わないため、パーティクルや堆積物等の堆積が防止乃至抑制される。高い歩留まりが実現され得る。
図6(c)に示すスパッタリングターゲット10では、上短辺部14及び下短辺部15との両方が、長辺部13(及び長辺部12)よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。上短辺部14は、下短辺部15よりも、被処理体Eから離れた位置に配置されている。
図6(c)に示すスパッタリングターゲット10を備えたスパッタリングカソード1によれば、上短辺部14及び下短辺部15の両方が被処理体Eから離れた位置に配置されるため、パーティクルや堆積物等による被処理体Eへの影響が防止乃至抑制され得る。高い歩留まりが実現され得る。
図6(d)に示すスパッタリングターゲット10では、上短辺部14は、軸線方向(Z方向)において、長辺部13の後端縁13reよりも被処理体Eから遠い部分14pを有する。後端縁13reは、長辺部13のうち、軸線方向(Z方向)において、被処理体Eから最も遠い辺である。このように、短辺部14又は15は、一対の長辺部12、13よりも、被処理体Eから離れる方向に向けて突出した部分(14p)を有していてもよい。
下短辺部15は、軸線方向(Z方向)において、長辺部13の前端縁13feよりも被処理体Eに近い部分15qを有する。前端縁13feは、長辺部13のうち、軸線方向(Z方向)において、被処理体Eに最も近い辺である。このように、短辺部14又は15は、一対の長辺部12、13よりも、被処理体Eに近づく方向に向けて突出した部分(15q)を有していてもよい。
図6(d)に示すスパッタリングターゲット10を備えたスパッタリングカソード1によれば、軸線方向(Z方向)における上短辺部14と下短辺部15との距離を確保し易い。パーティクルや堆積物等の堆積が防止乃至抑制され得る。高い歩留まりが実現され得る。
図6(e)に示すスパッタリングターゲット10では、上短辺部14は、被処理体Eから離れる方向に向けて突出した部分(14p)を有する。下短辺部15も、被処理体Eから離れる方向に向けて突出した部分(15p)を有する。このように、上短辺部14及び下短辺部15の両方が、軸線方向(Z方向)において、長辺部13(及び長辺部12)の片側方向にオフセットされている。上短辺部14の突出部分14pは、下短辺部15の突出部分15pよりも、被処理体Eから離れる方向に向けて、より大きく突出している。
一方、図6(f)に示すスパッタリングターゲット10のように、下短辺部15の突出部分15pが、上短辺部14の突出部分14pよりも、被処理体Eから離れる方向に向けて、より大きく突出していてもよい。
図6(e)又は図6(f)に示すスパッタリングターゲット10によれば、上短辺部14及び下短辺部15と、被処理体Eとの距離を確保し易い。パーティクルや堆積物等の堆積が防止乃至抑制され得る。高い歩留まりが実現され得る。
図6(a)~図6(f)に示すスパッタリングターゲット10は、第1実施形態又は第2実施形態のスパッタリングカソード1に適用可能である。図6(a)~図6(f)に示すスパッタリングターゲット10は、一対の長辺部としてロータリーターゲット12、13を有するスパッタリングカソード1に適用可能である。図6(e)及び図6(f)のように、図6(a)~(d)においても、上短辺部14と、短辺部15との位置が入れ替わってもよい。第1及び第2実施形態についても同様である。
また、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、材料、構造、形状などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状などを用いてもよい。
有機EL又は太陽電池等の電極製造においては、高いレベルで均一な膜厚分布の実現が要求される。そのため、被処理体に対するスパッタリングターゲットの距離を一定にすることは、スパッタリングカソードを用いた有機EL又は太陽電池等の電極製造の分野における常識であった。従来、スパッタリングカソードの軸線方向における第一短辺部と第二短辺部との位置を異ならせることは行われなかった。本発明者は、このような常識と異なる発想により、本発明を完成させた。
1 スパッタリングカソード
10 スパッタリングターゲット
12、13 長辺部
12a、13a エロージョン面
14 上短辺部
14a エロージョン面
15 下短辺部
15a エロージョン面
20 永久磁石
30 ヨーク
40 アノード
41、43 長辺アノード
42、44 短辺アノード
45 コーナーシールド

Claims (20)

  1. 軸線方向に見て全体として管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングターゲットは、
    前記軸線方向と直交する方向に拡がる平面上における断面形状である横断面形状が互いに対向するように形成された一対の長辺部と、
    前記一対の長辺部の各々が有する2つの一端部を互いに接続するように形成された第一短辺部と、
    前記一対の長辺部の各々が有する2つの他端部を互いに接続し、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記第一短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された第二短辺部と
    を有する。
  2. 請求項1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記第一短辺部及び前記第二短辺部のうち、少なくとも一方の短辺部が、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記長辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に形成されている。
  3. 請求項1又は2に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記第一短辺部及び前記第二短辺部の両方が、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記長辺部の片側方向にオフセットされている。
  4. 請求項1~3のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記第一短辺部及び前記第二短辺部の前記横断面形状は、前記一対の長辺部に対して垂直な直線形状、又は前記スパッタリングターゲットの径方向外側へ向かう凸形状であり、前記径方向は、前記軸線方向と直交する方向である。
  5. 請求項1~4のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記一対の長辺部の各々が、ロータリーターゲットにより構成されている。
  6. 請求項1~5のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記一対の長辺部の間の距離は、50mm以上150mm以下である。
  7. 請求項1~6のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記一対の長辺部の間の距離に対する前記長辺部の長さの比が2以上である。
  8. 請求項1~7のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングカソードは、有機ELの電極製造用である。
  9. 請求項1~7のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングカソードは、太陽電池の電極製造用である。
  10. 請求項1~9のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングターゲットは、前記一対の長辺部が鉛直方向又は実質的に鉛直方向に沿うように配置された状態で用いられ、
    前記第一短辺部は、前記一対の長辺部の各々が有する2つの下端部を互いに接続するように形成された下短辺部であり、
    前記第二短辺部は、前記一対の長辺部の各々が有する2つの上端部を互いに接続し、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された上短辺部である。
  11. 請求項10に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、被成膜体と間隔を空けて配置された状態で用いられ、
    前記上短辺部及び前記下短辺部のうち、少なくとも一方の短辺部が、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記長辺部よりも前記被成膜体から離れるように形成されている。
  12. 請求項10又は11に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、被成膜体と間隔を空けて配置された状態で用いられ、
    前記上短辺部及び前記下短辺部の両方が、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記長辺部よりも前記被成膜体から離れるようにオフセットされている。
  13. 請求項10~12のいずれか1に記載のスパッタリングカソードであって、
    前記スパッタリングターゲットは、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、被成膜体と間隔を空けて配置された状態で用いられ、
    前記上短辺部が、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記下短辺部よりも、前記被成膜体から離れるように形成されている。
  14. 軸線方向に見て全体として管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードと、
    前記スパッタリングターゲットのエロージョン面が露出するように設けられたアノードと
    を有するスパッタリング装置であって、
    前記スパッタリングターゲットは、
    前記軸線方向と直交する方向に拡がる平面上における断面形状である横断面形状が互いに対向するように形成され、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に沿うように配置される一対の長辺部と、
    前記一対の長辺部の各々が有する2つの下端部を互いに接続するように形成された下短辺部と、
    前記一対の長辺部の各々が有する2つの上端部を互いに接続し、前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された上短辺部と
    を有し、
    前記スパッタリング装置は、
    前記スパッタリングターゲットに囲まれた空間の側方において前記スパッタリングターゲットの前記長辺部よりも幅が短い成膜領域を有する被成膜体を前記スパッタリングターゲットに対し、前記スパッタリングターゲットの前記長辺部を横断する方向に移動させながら又は移動させずに、前記スパッタリングターゲットの内面に沿って周回するプラズマが発生するように放電を行ってスパッタリングガスにより発生するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面に沿って周回するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面をスパッタリングすることにより前記被成膜体の前記成膜領域に成膜を行うように構成されている。
  15. 請求項14に記載のスパッタリング装置であって、
    前記スパッタリング装置は、前記一対の長辺部の間の空間に遮蔽板が設置可能に構成され、前記遮蔽板は、前記一対の長辺部のうち、一方の長辺部を構成する材料の原子が、他方の長辺部から得られるスパッタ粒子束に混入することを防止乃至抑制するように構成されている。
  16. 請求項14又は15に記載のスパッタリング装置であって、
    スパッタリング装置は、有機ELの電極製造用である。
  17. 請求項14又は15に記載のスパッタリング装置であって、
    スパッタリング装置は、太陽電池の電極製造用である。
  18. 軸線方向に見て全体として管状又は環状を有し、エロージョン面が内側を向いているスパッタリングターゲットを有するスパッタリングカソードを用いて行われる成膜体の製造方法であって、
    前記スパッタリングターゲットは、
    前記軸線方向と直交する方向に拡がる平面上における断面形状である横断面形状が互いに対向するように形成され、鉛直方向又は実質的に鉛直方向に沿うように配置される一対の長辺部と、
    前記一対の長辺部の各々が有する2つの下端部を互いに接続するように形成された下短辺部と、
    前記一対の長辺部の各々が有する2つの上端部を互いに接続し、管状又は環状を有する前記スパッタリングターゲットの前記軸線方向において、前記下短辺部と部分的に又は全体的に異なる位置に位置するように形成された上短辺部と
    を有し、
    前記成膜体の製造方法は、
    前記スパッタリングターゲットに囲まれた空間の側方において前記スパッタリングターゲットの前記長辺部よりも幅が短い成膜領域を有する被成膜体を前記スパッタリングターゲットに対し、前記スパッタリングターゲットの前記長辺部を横断する方向に移動させながら又は移動させずに、前記スパッタリングターゲットの内面に沿って周回するプラズマが発生するように放電を行ってスパッタリングガスにより発生するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面に沿って周回するプラズマ中のイオンにより前記スパッタリングターゲットの前記長辺部の内面をスパッタリングすることにより前記被成膜体の前記成膜領域に成膜を行う工程を有する。
  19. 請求項18に記載の成膜体の製造方法であって、
    前記成膜体の製造方法は、有機ELの電極製造用である。
  20. 請求項18に記載の成膜体の製造方法であって、
    前記成膜体の製造方法は、太陽電池の電極製造用である。
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