以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
また、以下の実施の形態において、A〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態である流量センサを、図面を参照して説明する。本実施の形態の流量センサは、発熱抵抗体を用いて流体の流量を検出する熱式流体流量センサである。
<流量センサ>
図1は、実施の形態1の流量センサの一例を示す要部平面図である。図2は、実施の形態1の流量センサの要部断面図である。図3は、実施の形態1の流量センサにおけるセンサチップの要部断面図である。図2および図3は、図1のA−A線に沿った断面図である。
図1および図2に示すように、流量センサ1は、リードフレーム2と、センサチップ3と、ボンディングワイヤ4と、モールド樹脂5と、を有する。
リードフレーム2は、搭載部2aと、外部端子2bとを有する。搭載部2aには、センサチップ3が搭載されている。外部端子2bは、ボンディングワイヤ4により、センサチップ3と電気的に接続されている。搭載部2aと、外部端子2bとを含め、リードフレーム2は、銅(Cu)または銅(Cu)合金からなる。
図1〜図3に示すように、センサチップ3は、半導体基板6と、流量検出部7と、制御回路部8と、を有する。
半導体基板6は、一方の主面としての表面6aと、表面6aと反対側の、他方の主面としての裏面6bと、を有する。半導体基板6は、例えば単結晶シリコン(Si)からなる。半導体基板6は、半導体基板6の裏面6bがリードフレーム2の搭載部2aと対向した状態で、搭載部2a上に搭載されている。
半導体基板6の表面6aの領域AR1、および、半導体基板6の表面6aの領域AR2で、半導体基板6の表面6a上には、例えば酸化シリコンからなる素子分離膜としての絶縁膜11が形成されている。領域AR1および領域AR2で、絶縁膜11上には、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜12が形成されている。領域AR1および領域AR2で、層間絶縁膜12上には、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜13が形成されている。領域AR1および領域AR2で、層間絶縁膜13上には、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜14が形成されている。領域AR2で、層間絶縁膜14上には、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜15が形成されている。領域AR2で、絶縁膜15上には、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜16が形成されている。
なお、平面視において、領域AR2は、領域AR1の一方の側に配置されていてもよく、領域AR1の一方の側と他方の側を含めた両側に配置されていてもよく、領域AR1の外周を囲むように配置されていてもよい。また、本願明細書では、平面視において、とは、半導体基板6の表面6aに垂直な方向から視た場合を意味する。
流量検出部7は、半導体基板6の表面6aの領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、空気などの流体の流量を検出する。流量検出部7は、絶縁体部IP1と、発熱抵抗体17と、絶縁体部IP2と、を有する。
絶縁体部IP1は、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成されている。絶縁体部IP1は、例えば、絶縁膜11aと、層間絶縁膜12aと、層間絶縁膜13aと、を含む。絶縁膜11aは、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成された部分の絶縁膜11からなる。層間絶縁膜12aは、絶縁膜11a上に形成された部分の層間絶縁膜12からなる。層間絶縁膜13aは、層間絶縁膜12a上に形成された部分の層間絶縁膜13からなる。
発熱抵抗体17は、絶縁体部IP1と接触するように形成されている。発熱抵抗体17は、発熱抵抗体17が発熱することにより、絶縁体部IP1を室温よりも高い温度に加熱する。したがって、発熱抵抗体17は、絶縁体部IP1と熱的に接触するように形成されているだけでもよい。
好適には、発熱抵抗体17は、例えば多結晶シリコンからなり、絶縁膜11上に形成されており、層間絶縁膜12は、発熱抵抗体17を覆うように、絶縁膜11上に形成されている。すなわち、例えば多結晶シリコンからなる発熱抵抗体17は、後述する制御回路部8の、例えば多結晶シリコンからなるゲート電極27の導体膜27aと同層に形成された導体膜27aからなる。これにより、発熱抵抗体17と、ゲート電極27とを、同一の工程により形成することができる。
なお、図1において、二点鎖線で示すように、流量検出部7は、上流側測温抵抗体18と、下流側測温抵抗体19と、を有してもよい。上流側測温抵抗体18および下流側測温抵抗体19も、発熱抵抗体17と同様に、領域AR1で、絶縁体部IP1と接触するように形成されている。好適には、上流側測温抵抗体18および下流側測温抵抗体19は、例えば多結晶シリコンからなり、絶縁膜11上に形成されており、層間絶縁膜12は、上流側測温抵抗体18および下流側測温抵抗体19を覆うように、絶縁膜11上に形成されている。
領域AR1で、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14には、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14を貫通して層間絶縁膜13に達する開口部OP1が形成されている。
絶縁体部IP1は、領域AR1で、形成されている。すなわち、絶縁体部IP1は、開口部OP1が形成された領域内に、配置されている。したがって、絶縁膜11aは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分の絶縁膜11からなる。層間絶縁膜12aは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分の層間絶縁膜12からなる。層間絶縁膜13aは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分の層間絶縁膜13からなる。言い換えれば、層間絶縁膜13aは、開口部OP1の底部に露出した部分の層間絶縁膜13からなる。
領域AR1で、開口部OP1の内壁には、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜20が形成されている。
絶縁体部IP2は、領域AR1で、絶縁体部IP1上に形成されている。絶縁体部IP2は、絶縁膜20を含む。絶縁膜20は、領域AR1で、層間絶縁膜13a上に形成されている。
本実施の形態1では、センサチップ3は、孔部TH1を有する。孔部TH1は、領域AR1で、半導体基板6の裏面6bから半導体基板6を貫通して絶縁体部IP1、すなわち流量検出部7に達する。孔部TH1の上底部として、絶縁体部IP1と、絶縁体部IP2と、からなるダイヤフラム構造DF1が形成され、流量検出部7は、このダイヤフラム構造DF1からなる。これにより、流量検出部7の熱容量を、小さくすることができ、発熱抵抗体17が発熱することにより、室温よりも高い温度に加熱された絶縁体部IP1の温度が、図2を用いて後述する溝部TR1を流れる空気などの流体の流量に応じて変化する際の温度変化を、精度よく測定することができる。
制御回路部8は、半導体基板6の表面6aの領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、流量検出部7を制御する。制御回路部8は、絶縁体部IP3と、制御回路CR1と、絶縁体部IP4と、を有する。
絶縁体部IP3は、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成されている。絶縁体部IP3は、例えば、絶縁膜11bと、層間絶縁膜12bと、層間絶縁膜13bと、層間絶縁膜14bと、を含む。
絶縁膜11bは、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成された部分の絶縁膜11からなる。すなわち、絶縁膜11bは、絶縁膜11aと同層に形成されている。層間絶縁膜12bは、絶縁膜11b上に形成された部分の層間絶縁膜12からなる。すなわち、層間絶縁膜12bは、層間絶縁膜12aと同層に形成されている。層間絶縁膜13bは、層間絶縁膜12b上に形成された部分の層間絶縁膜13からなる。すなわち、層間絶縁膜13bは、層間絶縁膜13aと同層に形成されている。したがって、絶縁体部IP3は、絶縁体部IP1と同層に形成されている。また、層間絶縁膜14bは、層間絶縁膜13b上に形成された部分の層間絶縁膜14からなる。
なお、絶縁膜11bは、絶縁膜11aと同層に形成されていなくてもよく、層間絶縁膜12bは、層間絶縁膜12aと同層に形成されていなくてもよく、層間絶縁膜13bは、層間絶縁膜13aと同層に形成されていなくてもよい。すなわち、絶縁体部IP3は、絶縁体部IP1と同層に形成されていなくてもよい。
制御回路CR1は、領域AR2で、絶縁体部IP3に覆われるように形成されているか、絶縁体部IP3内に形成されている。制御回路CR1は、例えば、トランジスタTrと、プラグ21と、配線22と、プラグ23と、配線24と、を含む。
トランジスタTrは、素子分離膜としての絶縁膜11bにより区画された領域で、半導体基板6の表面6aに形成されたMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)からなる。トランジスタTrは、拡散層25と、ゲート絶縁膜26と、ゲート電極27と、拡散層28と、を有する。拡散層25は、半導体基板6の表面6a側に形成されている。ゲート絶縁膜26は、拡散層25上に形成されている。ゲート絶縁膜26は、例えば酸化シリコンからなる。ゲート電極27は、ゲート絶縁膜26上に形成されている。ゲート電極27は、例えば多結晶シリコンからなる。拡散層28は、ゲート電極27を挟んで両側に位置する拡散層25の上層部に、ゲート電極27と整合して形成されている。拡散層28は、ソース領域またはドレイン領域として機能する。
拡散層25は、例えばホウ素(B)などのp型不純物またはリン(P)もしくはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたシリコンからなる。拡散層28は、例えばリン(P)もしくはヒ素(As)などのn型不純物またはホウ素(B)などのp型不純物が導入され、拡散層25の導電型と反対の導電型を有するシリコンからなる。
プラグ21は、層間絶縁膜12bを貫通して、例えばトランジスタTrの拡散層28と電気的に接続されている。配線22は、層間絶縁膜12b上に形成されており、プラグ21と電気的に接続されている。層間絶縁膜13bは、配線22を覆うように、層間絶縁膜12b上に形成されている。プラグ23は、層間絶縁膜13bを貫通して、配線22と電気的に接続されている。配線24は、層間絶縁膜13b上に形成されており、プラグ23と電気的に接続されている。層間絶縁膜14bは、配線24を覆うように、層間絶縁膜13b上に形成されている。プラグ21およびプラグ23は、例えば窒化チタン(TiN)膜とタングステン(W)膜との積層膜からなる。配線22および配線24は、例えばアルミニウム(Al)合金膜からなる。配線22および配線24の厚さを、例えば400〜800nm程度とすることができる。また、例えば図3に示す配線22aは、発熱抵抗体17と制御回路CR1とを、電気的に接続する。
絶縁体部IP4は、領域AR2で、絶縁体部IP3上に形成されている。絶縁体部IP4は、絶縁膜15bを含む。絶縁膜15bは、領域AR2で、層間絶縁膜14b上に形成された部分の絶縁膜15からなり、領域AR2で、絶縁体部IP3上に形成された部分の絶縁膜15からなる。
本実施の形態1では、センサチップ3は、電極としての電極パッド29を有する。電極パッド29は、領域AR2で、層間絶縁膜13b上に、配線24と同層に形成されている。電極パッド29は、例えばプラグ23と電気的に接続されることにより、制御回路部8の制御回路CR1と電気的に接続されている。電極パッド29は、例えばアルミニウム(Al)合金膜からなる。
領域AR2で、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14には、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14を貫通して電極パッド29に達する開口部OP2が形成されている。すなわち、開口部OP2は、絶縁体部IP4、および、電極パッド29上に位置する部分の絶縁体部IP3を貫通して、電極パッド29に達する。開口部OP2の底部には、電極パッド29が露出している。
電極パッド29には、ボンディングワイヤ4の一端が接続されており、ボンディングワイヤ4の他端は、リードフレーム2の外部端子2bと接続されている。したがって、ボンディングワイヤ4は、電極パッド29と、リードフレーム2の外部端子2bとを接続する。また、リードフレーム2の外部端子2bは、流量センサ1の外部と電気的に接続される。したがって、電極パッド29は、ボンディングワイヤ4およびリードフレーム2の外部端子2bを介して、流量センサ1の外部と電気的に接続される。
このようにしてリードフレーム2と電気的に接続されたセンサチップ3、および、リードフレーム2は、樹脂部としてのモールド樹脂5を用いた樹脂モールドにより封止されている。なお、平面視において、孔部TH1と重なるように配置された部分のリードフレーム2、すなわち搭載部2aには、孔部TH2が形成されており、孔部TH1は、孔部TH2を介して,流量センサ1の外部と連通している。
領域AR2では、センサチップ3の表面を覆うように、モールド樹脂5が形成されている。領域AR2では、モールド樹脂5は、絶縁膜16上に形成されている。すなわち、領域AR2では、モールド樹脂5は、絶縁体部IP4上に、絶縁膜16を介して形成されており、絶縁膜16および絶縁体部IP4を覆うように、形成されている。
好適には、絶縁体部IP1の厚さTP1は、絶縁体部IP1と同層に形成された絶縁体部IP3の厚さTP3よりも薄く、領域AR1で、開口部OP1が形成されているが、領域AR2を含めて、領域AR1の外部の領域では、開口部OP1が形成されていない。そして、絶縁膜20は、領域AR1の外部の領域で、絶縁膜15の領域AR1側の端部上に、絶縁膜16を介して形成されている。すなわち、絶縁体部IP2は、絶縁体部IP1上から、絶縁体部IP4の領域AR1側の端部上にかけて、直接または絶縁膜16を介して、連続的に形成されている。これにより、制御回路部8を覆うようにモールド樹脂5を形成するために、モールド成型用金型51(後述する図14参照)の空気流路用凸部54(後述する図14参照)をセンサチップ3に接触させる際に、空気流路用凸部54(後述する図14参照)が流量検出部7に接触することを防止することができる。
そして、孔部TH1が、平面視において、領域AR1内、すなわち、絶縁体部IP1が形成された領域内に形成されている場合、絶縁体部IP1の領域AR2側の端部が、孔部TH1の形成された領域の外部に位置することになるので、上記した接触の防止の効果が大きくなる。
あるいは、モールド樹脂5が、絶縁体部IP4および絶縁体部IP2を覆うように、形成されている場合には、好適には、モールド樹脂5の領域AR1側の端部は、絶縁体部IP4上に絶縁膜16を介して形成された部分の絶縁体部IP2上に位置する。このような場合、絶縁体部IP4から露出した部分の絶縁膜16および絶縁体部IP3が、さらに、モールド樹脂5に覆われることになるので、上記した接触の防止の効果に加え、制御回路CR1の配線24などの腐食を防止する効果を有する。
一方、領域AR1では、センサチップ3を覆うモールド樹脂5の表面には、溝部TR1が形成されており、流量検出部7が露出している。流量センサ1は、室温よりも高い温度に加熱された絶縁体部IP1の温度が、溝部TR1を方向DR1(図1参照)に流れる空気などの流体の流量に応じて変化する際の温度変化を、測定することにより、流体の流量を検出する。
なお、平面視において、領域AR2で、センサチップ3の裏面およびリードフレーム2を覆うように、モールド樹脂5が形成されている。また、平面視において、領域AR1で、センサチップ3の裏面およびリードフレーム2を覆うモールド樹脂5には、溝部TR2が形成されており、溝部TR2の上底部には、平面視において、孔部TH1と重なるように配置された部分の搭載部2aが露出している。前述したように、平面視において、孔部TH1と重なるように配置された部分の搭載部2aには、孔部TH2が形成されており、孔部TH1は、孔部TH2を介して,流量センサ1の外部と連通している。
本実施の形態1では、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも大きい。
例えば窒化シリコンからなる絶縁体部IP2を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有するように、調整することができる。同様に、例えば窒化シリコンからなる絶縁体部IP4を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP4が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
また、例えば酸化シリコンからなる絶縁体部IP1を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP1が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。さらに、例えば酸化シリコンからなる絶縁体部IP3を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP3が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
したがって、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比が、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも大きい場合には、例えば絶縁体部IP3と絶縁体部IP4との積層体が、引っ張り応力を有するように、調整することができる。また、例えば絶縁体部IP3と絶縁体部IP4との積層体が、絶縁体部IP1と絶縁体部IP2との積層体の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。これにより、流量検出部7が、引っ張り応力を有するように、調整することができる。または、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
好適には、絶縁体部IP2は、引っ張り応力を有する。また、絶縁体部IP1、絶縁体部IP3および絶縁体部IP4は、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有する。
好適には、絶縁体部IP2の厚さTP2は、絶縁体部IP4の厚さTP4よりも厚い。これにより、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比を、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも、容易に大きくすることができる。
また、好適には、絶縁体部IP1の厚さTP1と絶縁体部IP2の厚さTP2との和は、絶縁体部IP3の厚さTP3と絶縁体部IP4の厚さTP4との和よりも小さい。これにより、少なくとも、絶縁体部IP1の厚さTP1は、絶縁体部IP1と同層に形成された絶縁体部IP3の厚さTP3よりも薄くすることができる。
なお、領域AR2のうち、素子分離膜としての絶縁膜11bで区画された領域内における絶縁体部IP3の厚さTP3を厚さTP31とすると、さらに好適には、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP31に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも大きい。これにより、流量検出部7が、引っ張り応力を有するように、さらに容易に調整することができる。また、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、さらに容易に調整することができる。
また、本実施の形態1では、絶縁膜16の厚さは、絶縁体部IP3の厚さTP3、および、絶縁体部IP4の厚さTP4に比べて小さいので、絶縁膜16が圧縮応力を有する場合でも、絶縁膜16の圧縮応力の影響は、小さい。
<空気流量計>
図4は、実施の形態1の流量センサが実装された空気流量計の概略配置図である。図4は、実施の形態1の流量センサが、自動車などの内燃機関の吸気通路としての空気通路に取り付けられた場合の配置を示す。
図4に示すように、空気流量計31は、流量センサ1と、支持体32と、連結部33と、を有する。支持体32は、流量センサ1を支持する。連結部33は、流量センサ1のリードフレーム2の外部端子2bを、支持体32を介して外部と電気的に接続する。流量センサ1は、空気通路34の内部に設けられた副通路35の内部に配置される。吸気空気は、内燃機関の条件によって、図4の矢印で示された空気流の方向DR1、またはこれとは逆の方向に流れる。
<流量センサの製造工程>
図5は、実施の形態1の流量センサの製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図6〜図14は、実施の形態1の流量センサの製造工程中の要部断面図である。
まず、半導体基板6を準備する(図5のステップS11)。このステップS11の工程では、図6に示すように、一方の主面としての表面6aと、表面6aと反対側の、他方の主面としての裏面6bと、を有する半導体基板6を準備する。半導体基板6は、単結晶シリコン(Si)からなる。
次に、絶縁体部IP1および絶縁体部IP3を形成する(図5のステップS12)。このステップS12の工程では、図6〜図9に示すように、半導体基板6の表面6aの領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に絶縁体部IP1を形成し、半導体基板6の表面6aの領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1と同層に、絶縁体部IP3を形成する。このステップS12の工程では、発熱抵抗体17を、絶縁体部IP1と接触するように形成し、絶縁体部IP3内に、発熱抵抗体17を制御する制御回路CR1を形成する。なお、絶縁体部IP3を、絶縁体部IP1と同層に形成しなくてもよい。
まず、図6に示すように、領域AR1および領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、素子分離膜として、酸化シリコンからなる絶縁膜41を形成する。
まず、半導体基板6を高温の炉体中で熱酸化処理することにより、領域AR1および領域AR2で、半導体基板6の表面6aに、酸化シリコンからなる絶縁膜41を形成する。このとき、半導体基板6の裏面6bにも、酸化シリコンからなる絶縁膜41が形成される。次に、領域AR1および領域AR2で、半導体基板6の表面6aに形成された絶縁膜41を覆うように、低圧熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、窒化シリコンからなる絶縁膜42を形成する。このとき、半導体基板6の裏面6bでも、絶縁膜41を覆うように、窒化シリコンからなる絶縁膜42が形成される。
次に、図6に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、絶縁膜42および絶縁膜41のパターニングを行う。これにより、領域AR2の一部で、半導体基板6の表面6aに形成された絶縁膜42および絶縁膜41を残し、領域AR2の他の部分、および、領域AR1で、半導体基板6の表面6aに形成された絶縁膜42および絶縁膜41を除去する。次に、半導体基板6を高温の炉体中で熱酸化処理することにより、領域AR2の他の部分、および、領域AR1であって、絶縁膜42および絶縁膜41が除去された部分の半導体基板6の表面6a上に、素子分離膜として、酸化シリコンからなる絶縁膜11を形成する。絶縁膜11は、圧縮応力を有する。絶縁膜11は、例えば絶縁膜41などに比べて厚い。絶縁膜11の厚さは、例えば200〜500nm程度である。また、絶縁膜11を、例えば100MPa程度の圧縮応力を有する膜とすることができる。
なお、絶縁膜42および絶縁膜41に覆われた部分の半導体基板6の表面6aおよび裏面6bには、絶縁膜11は形成されない。すなわち、絶縁膜42および絶縁膜41は、領域AR2の他の部分、および、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に、選択的に絶縁膜11を形成するためのマスクとして用いられる。また、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成された部分の絶縁膜11を、絶縁膜11aと称し、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成された部分の絶縁膜11を、絶縁膜11bと称する。
次に、図7に示すように、平面視において、領域AR1と重なるように、絶縁膜11上に、発熱抵抗体17を形成し、領域AR2で、トランジスタTrを形成する。
まず、図7に示すように、絶縁膜11を形成するためのマスクとして用いられた絶縁膜42および絶縁膜41を除去する。次に、イオン注入法を用いて、領域AR2で、半導体基板6の表面6aに、ホウ素(B)などのp型不純物またはリン(P)もしくはヒ素(As)などのn型不純物を導入する。これにより、領域AR2の一部であって、絶縁膜11が形成されていない部分の半導体基板6の表面6aに、拡散層25を形成する。拡散層25は、p型またはn型の導電型を有するシリコンからなる。
次に、図7に示すように、半導体基板6を高温の炉体中で熱処理することにより、領域AR2で、拡散層25上に、酸化シリコンからなる絶縁膜26aを形成する。次に、領域AR1および領域AR2で、絶縁膜11上および絶縁膜26a上に、例えば多結晶シリコンからなる導体膜27aを形成する。次に、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、導体膜27aおよび絶縁膜26aのパターニングを行う。これにより、平面視において、領域AR1と重なるように、導体膜27aからなる発熱抵抗体17を形成し、領域AR2で、導体膜27aからなるゲート電極27、および、絶縁膜26aからなるゲート絶縁膜26を形成する。発熱抵抗体17は、流量検出部7(後述する図11参照)を形成する。
なお、流量検出部7に含まれる発熱抵抗体17に要求される抵抗特性、および、制御回路部8に含まれるトランジスタTrに要求されるトランジスタ特性によっても異なるが、ゲート絶縁膜26の厚さは、例えば5〜50nm程度であり、ゲート電極27および発熱抵抗体17の厚さは、例えば100〜300nm程度である。
次に、図7に示すように、イオン注入法を用いて、領域AR2で、ゲート電極27を挟んで両側に位置する拡散層25の上層部に、例えばリン(P)もしくはヒ素(As)などのn型不純物またはホウ素(B)などのp型不純物、すなわち拡散層25の導電型と反対の導電型の不純物を導入する。これにより、領域AR2の一部であって、絶縁膜11が形成されていない部分の半導体基板6の表面6aに、拡散層28を形成する。すなわち、拡散層28は、ゲート電極27を挟んで両側に位置する拡散層25の上層部に、ゲート電極27と整合して形成される。拡散層28は、ソース領域またはドレイン領域として機能する。拡散層28は、拡散層25の導電型と反対の導電型を有するシリコンからなる。これにより、拡散層25と、ゲート絶縁膜26と、ゲート電極27と、拡散層28と、を有するトランジスタTrが形成される。トランジスタTrは、制御回路部8(後述する図10参照)を形成する。図7に示す例では、複数のトランジスタTrが形成される。
なお、複数のトランジスタTrの各々に要求されるトランジスタ特性を変える場合は、拡散層25または拡散層28に導入される不純物の不純物濃度、ゲート絶縁膜26の厚さ、ゲート電極27の材料を変更しながら、図7を用いて説明したトランジスタの製造工程を繰り返す。これにより、互いに異なるトランジスタ特性を有する複数のトランジスタTrを形成することができる。
次に、図8に示すように、領域AR1および領域AR2で、絶縁膜11上または半導体基板6の表面6a上に、層間絶縁膜12を形成し、形成された層間絶縁膜12の上面を平坦化する。
この層間絶縁膜12を形成する工程では、酸化シリコンからなる層間絶縁膜12を、例えばプラズマCVD法により、または、TEOS(Tetra Ethoxy Silane)を原料とし、プラズマを用いた低温CVD法により、形成することができる。あるいは、層間絶縁膜12として、例えばホウ素(B)またはリン(P)を含む層間絶縁膜12を形成することができる。層間絶縁膜12の厚さを、例えば500〜1000nm程度とすることができる。また、層間絶縁膜12を、例えば100MPa程度の圧縮応力を有する膜とすることができる。
また、形成された層間絶縁膜12の上面を平坦化する工程では、形成された層間絶縁膜12の上面を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法またはエッチバック法により、平坦化することができる。
このようにして、平坦化された層間絶縁膜12を形成することにより、図8に示すように、領域AR1で、発熱抵抗体17の一部を覆うように、絶縁膜11a上に、層間絶縁膜12からなる層間絶縁膜12aが形成される。また、領域AR2で、発熱抵抗体17の他の部分を覆うように、絶縁膜11b上に、層間絶縁膜12aと同層に、層間絶縁膜12からなる層間絶縁膜12bが形成される。さらに、領域AR2で、トランジスタTrを覆うように、半導体基板6の表面6a上に、層間絶縁膜12aと同層に、層間絶縁膜12からなる層間絶縁膜12bが形成される。
次に、図8に示すように、プラグ21を形成する。このプラグ21を形成する工程では、領域AR2で、層間絶縁膜12に、層間絶縁膜12を貫通して、発熱抵抗体17、トランジスタTrのゲート電極27、および、ソース領域またはドレイン領域として機能する拡散層28の各々に達する複数のコンタクト孔を形成する。次に、例えば窒化チタン(TiN)膜を、複数のコンタクト孔の各々の内壁に、スパッタ法またはCVD法により形成する。次に、例えばタングステン(W)膜を、複数のコンタクト孔の各々を埋め込むように、形成する。これにより、複数のコンタクト孔の各々の内部は、例えばタングステン膜および窒化チタン膜からなる金属膜21aにより埋め込まれる。次に、コンタクト孔の外部に位置する部分の金属膜21aを、エッチバック法またはCMP法により除去する。
これにより、領域AR2で、層間絶縁膜12に、金属膜21aからなり、層間絶縁膜12を貫通して、発熱抵抗体17、トランジスタTrのゲート電極27、および、ソース領域またはドレイン領域として機能する拡散層28の各々に達するプラグ21が形成される。
次に、図8に示すように、配線22を形成する。この配線22を形成する工程では、領域AR1および領域AR2で、層間絶縁膜12上に、例えばアルミニウム(Al)合金膜からなる導体膜22bを形成する。導体膜22bの厚さを、例えば400〜800nm程度とすることができる。
なお、導体膜22bを形成する前に、例えばアルゴン(Ar)ガスにより、層間絶縁膜12の上面を、スパッタエッチングしてもよい。これにより、コンタクト孔内に埋め込まれた金属膜21aからなるプラグ21と、導体膜22bとを、電気的に低抵抗で接触させることができる。
あるいは、例えばアルミニウム合金膜を形成する前に、例えば窒化チタン膜などのバリア金属膜を形成することにより、バリア金属膜と、バリア金属膜上のアルミニウム合金膜との2層からなる積層膜としての導体膜22bを形成してもよい。または、バリア金属膜と、バリア金属膜上のアルミニウム合金膜とに加え、アルミニウム合金膜上に例えば窒化チタン膜などのバリア金属膜をさらにもう1層形成することにより、3層からなる積層膜としての導体膜22bを形成してもよい。これらの方法により、プラグ21と、導体膜22bとを、さらに確実に電気的に低抵抗で接触させることができる。
なお、バリア金属膜の厚さは、200nm以下であることが望ましい。また、バリア金属膜として窒化チタン膜を例示したが、バリア金属膜として、チタンタングステン(TiW)膜、チタン(Ti)膜、または、チタンタングステン膜とチタン膜との積層膜を用いることができる。
なお、本実施の形態1では、発熱抵抗体17が、ゲート電極27と同層に形成され、多結晶シリコンからなる場合を例示して説明した。しかし、発熱抵抗体17が、例えばゲート電極27とは異なる層に形成されてもよい。
また、発熱抵抗体17が、アルファタンタル(α-Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、クロム(Cr)またはジルコニウム(Zr)を主成分とする金属膜からなるものであってもよい。あるいは、発熱抵抗体17が、窒化タンタル(TaN)、窒化モリブデン(MoN)または窒化タングステン(WN)などの金属窒化化合物からなるものであってもよい。あるいは、発熱抵抗体17が、モリブデンシリサイド(MoSi)、コバルトシリサイド(CoSi)またはニッケルシリサイド(NiSi)などの金属シリサイド化合物からなるものであってもよい。
次に、フォトリソグラフィ法、および、ドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いて、導体膜22bをパターニングする。これにより、図8に示すように、導体膜22bからなる配線22を形成する。
次に、図9に示すように、領域AR1および領域AR2で、配線22を覆うように、層間絶縁膜12上に、層間絶縁膜13を形成し、形成された層間絶縁膜13の上面を平坦化する。
この層間絶縁膜13を形成する工程では、層間絶縁膜12を形成する工程と同様に、酸化シリコンからなる層間絶縁膜13を、例えばプラズマCVD法により、または、TEOSを原料とし、プラズマを用いた低温CVD法により、形成することができる。層間絶縁膜13の厚さを、例えば500〜1000nm程度とすることができる。また、層間絶縁膜13を、例えば100MPa程度の圧縮応力を有する膜とすることができる。
また、形成された層間絶縁膜13の上面を平坦化する工程では、層間絶縁膜12の上面を平坦化する工程と同様に、形成された層間絶縁膜13の上面を、CMP法またはエッチバック法により、平坦化することができる。
このようにして、平坦化された層間絶縁膜13を形成することにより、図9に示すように、領域AR1で、層間絶縁膜12a上に、層間絶縁膜13からなる層間絶縁膜13aが形成される。また、領域AR2で、配線22を覆うように、層間絶縁膜12b上に、層間絶縁膜13aと同層に、層間絶縁膜13からなる層間絶縁膜13bが形成される。
次に、図9に示すように、プラグ23を形成する。このプラグ23を形成する工程では、領域AR2で、層間絶縁膜13に、層間絶縁膜13を貫通して、配線22に達するプラグ23を形成する。このプラグ23を形成する工程は、プラグ21を形成する工程と同様にすることができる。
次に、図9に示すように、配線24を形成する。この配線24を形成する工程は、配線22を形成する工程と同様に、領域AR1および領域AR2で、層間絶縁膜13上に、例えばアルミニウム(Al)合金膜からなる導体膜24aを形成した後、フォトリソグラフィ法、および、ドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いて、導体膜24aをパターニングする。導体膜24aの厚さを、例えば400〜800nm程度とすることができる。これにより、図9に示すように、導体膜24aからなる配線24を形成する。
なお、このとき、導体膜24aからなる電極パッド29が形成される。また、トランジスタTr、プラグ21、配線22、プラグ23および配線24を含む制御回路CR1が形成される。
次に、図9に示すように、領域AR1および領域AR2で、配線24を覆うように、層間絶縁膜13上に、層間絶縁膜14を形成し、形成された層間絶縁膜14の上面を平坦化する。
この層間絶縁膜14を形成する工程では、層間絶縁膜12を形成する工程と同様に、酸化シリコンからなる層間絶縁膜14を、例えばプラズマCVD法により、または、TEOSを原料とし、プラズマを用いた低温CVD法により、形成することができる。層間絶縁膜14の厚さを、例えば300〜1000nm程度とすることができる。また、層間絶縁膜14を、例えば100MPa程度の圧縮応力を有する膜とすることができる。
また、形成された層間絶縁膜14の上面を平坦化する工程では、層間絶縁膜12の上面を平坦化する工程と同様に、形成された層間絶縁膜14の上面を、CMP法またはエッチバック法により、平坦化することができる。
このようにして、平坦化された層間絶縁膜14を形成することにより、図9に示すように、領域AR1で、層間絶縁膜13a上に、層間絶縁膜14からなる層間絶縁膜14aが形成される。また、領域AR2で、配線24を覆うように、層間絶縁膜13b上に、層間絶縁膜14aと同層に、層間絶縁膜14からなる層間絶縁膜14bが形成される。
絶縁膜11を形成する工程から、層間絶縁膜14を形成する工程までの工程を行うことにより、領域AR1で、絶縁膜11aと、層間絶縁膜12aと、層間絶縁膜13aと、層間絶縁膜14aと、を含む絶縁体部IP1が形成される。絶縁膜11aは、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成された部分の絶縁膜11からなる。層間絶縁膜12aは、絶縁膜11a上に形成された部分の層間絶縁膜12からなる。層間絶縁膜13aは、層間絶縁膜12a上に形成された部分の層間絶縁膜13からなる。層間絶縁膜14aは、層間絶縁膜13a上に形成された部分の層間絶縁膜14からなる。
また、領域AR2で、絶縁膜11bと、層間絶縁膜12bと、層間絶縁膜13bと、層間絶縁膜14bと、を含む絶縁体部IP3が形成される。絶縁膜11bは、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成された部分の絶縁膜11からなる。層間絶縁膜12bは、絶縁膜11b上に形成された部分の層間絶縁膜12からなる。層間絶縁膜13bは、層間絶縁膜12b上に形成された部分の層間絶縁膜13からなる。層間絶縁膜14bは、層間絶縁膜13b上に形成された部分の層間絶縁膜14からなる。
絶縁膜11bは、絶縁膜11aと同層に形成される。層間絶縁膜12bは、層間絶縁膜12aと同層に形成される。層間絶縁膜13bは、層間絶縁膜13aと同層に形成される。したがって、絶縁体部IP3は、絶縁体部IP1と同層に形成される。
なお、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1と同層に絶縁体部IP3を形成する工程は、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1を形成する工程と同一の工程により、行ってもよい。あるいは、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1と同層に絶縁体部IP3を形成する工程は、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1を形成する工程と異なる工程により、行ってもよい。
次に、絶縁膜15を形成する(図5のステップS13)。このステップS13の工程では、図10に示すように、領域AR1および領域AR2で、絶縁体部IP1上、および、絶縁体部IP3上に、絶縁膜15を形成する。具体的には、例えばプラズマを用いた低温CVD法により、層間絶縁膜14上に、窒化シリコンからなる絶縁膜15を形成することができる。絶縁膜15は、領域AR1で、層間絶縁膜14a上に形成され、領域AR2で、層間絶縁膜14b上に形成される。
このとき、領域AR2で、絶縁膜15bを含む絶縁体部IP4が形成される。絶縁膜15bは、層間絶縁膜14b上、すなわち、絶縁体部IP3上に形成された部分の絶縁膜15からなる。また、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP3と、制御回路CR1と、絶縁体部IP4と、を有する制御回路部8が、形成される。すなわち、制御回路部8を形成する工程は、絶縁体部IP3を形成する工程と、制御回路CR1を形成する工程と、絶縁体部IP4を形成する工程と、を有する。
一方、領域AR1では、絶縁体部IP1上に、絶縁膜15bを含む絶縁体部IP4と同層に、絶縁膜15が形成される。
例えばバイアス電圧または原料ガスの流量を調整し、絶縁膜15を成膜する際の成膜速度を調整することにより、例えば100MPa程度の圧縮応力を有する絶縁膜15を形成することができる。また、絶縁膜15の厚さを、例えば600〜1000nm程度とすることができる。
これにより、センサチップ3をモールド樹脂5(図2参照)により封止する際に、モールド樹脂5中のフィラーによるトランジスタTrに損傷が与えられることを防止または抑制し、モールド樹脂5の応力により配線24または配線22に損傷が与えられることを防止または抑制することができる。あるいは、モールド樹脂5を透過した外部の水分により配線24または配線22が腐食することを防止または抑制することができる。
次に、絶縁膜16を形成する(図5のステップS14)。このステップS14の工程では、図10に示すように、領域AR1および領域AR2で、絶縁膜15上に、絶縁膜16を形成する。具体的には、例えばプラズマCVD法により、または、TEOSを原料とし、プラズマを用いた低温CVD法により、酸化シリコンからなる絶縁膜16を、形成することができる。絶縁膜16は、後述する図11を用いて説明する工程を行って、窒化シリコンからなる絶縁膜20をパターニングする際に、絶縁膜20のエッチングストッパとして機能する。また、絶縁膜16の厚さを、例えば100〜500nm程度とすることができる。
次に、開口部OP1を形成する(図5のステップS15)。このステップS15の工程では、図10に示すように、領域AR1で、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14をパターニングする。まず、領域AR1で、絶縁膜16をエッチングして除去する。次に、領域AR1で、絶縁膜16が除去された部分の絶縁膜15をエッチングして除去する。次に、領域AR1で、絶縁膜15が除去された部分の層間絶縁膜14、すなわち層間絶縁膜14aをエッチングして除去する。これにより、図10に示すように、領域AR1で、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14を貫通して層間絶縁膜13に達する開口部OP1を形成する。
このようにして開口部OP1を形成することにより、絶縁体部IP1は、絶縁膜11a、層間絶縁膜12aおよび層間絶縁膜13aを含むが、層間絶縁膜14aを含まないものとなる。したがって、絶縁体部IP1の厚さTP1が、絶縁体部IP3の厚さTP3よりも薄くなる。そのため、絶縁体部IP1の圧縮応力が、絶縁体部IP2の圧縮応力よりも小さくなるように、調整することができる。
また、このとき、絶縁膜11aは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分の絶縁膜11からなる。層間絶縁膜12aは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分の層間絶縁膜12からなる。層間絶縁膜13aは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分の層間絶縁膜13からなる。言い換えれば、層間絶縁膜13aは、開口部OP1の底部に露出した部分の層間絶縁膜13からなる。
なお、図10に示すように、領域AR2で、絶縁膜16、絶縁膜15および層間絶縁膜14を貫通して電極パッド29に達する開口部OP2を形成する。開口部OP2は、絶縁体部IP4、および、電極パッド29上に位置する部分の絶縁体部IP3を貫通して、電極パッド29に達する。そして、電極パッド29は、開口部OP2の底部に露出する。
次に、絶縁膜20を形成する(図5のステップS16)。このステップS16の工程では、図11に示すように、領域AR1で、絶縁体部IP1上に、絶縁膜20を形成する。
まず、図11に示すように、領域AR1および領域AR2で、絶縁体部IP1上、および、絶縁膜16上に、絶縁膜20を形成する。具体的には、例えばプラズマを用いた低温CVD法により、絶縁体部IP1上、および、絶縁膜16上に、窒化シリコンからなる絶縁膜20を形成することができる。絶縁膜20は、領域AR1において開口部OP1の底部に露出した部分の絶縁体部IP1上から、領域AR2における絶縁膜16上にかけて、連続的に形成される。
例えばバイアス電圧または原料ガスの流量を調整し、絶縁膜20を成膜する際の成膜速度を調整することにより、例えば200MPa程度の引っ張り応力を有する絶縁膜20を形成することができる。また、絶縁膜20の厚さを、例えば800〜2000nm程度とすることができる。
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、領域AR1および領域AR2で、絶縁膜20をパターニングする。これにより、領域AR1で、絶縁体部IP1上に形成された部分の絶縁膜20、および、領域AR2で、絶縁体部IP4の領域AR1側の端部上に絶縁膜16を介して形成された部分の絶縁膜20を残し、それ以外の部分の絶縁膜20を除去する。
このとき、領域AR1で、絶縁膜20を含む絶縁体部IP2が形成される。また、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1と、発熱抵抗体17と、絶縁体部IP2と、を有する流量検出部7が、形成される。すなわち、流量検出部7を形成する工程は、絶縁体部IP1を形成する工程と、発熱抵抗体17を形成する工程と、絶縁体部IP2を形成する工程と、を有する。
なお、絶縁膜20は、領域AR1における絶縁体部IP1上から、領域AR2における絶縁体部IP4の領域AR1側の端部上にかけて、直接または絶縁膜16を介して連続的に形成される。
このように、領域AR1および領域AR2で、窒化シリコンからなる絶縁膜15を形成した後、領域AR1で、絶縁膜15を除去して絶縁膜20を形成することにより、流量検出部7および制御回路部8のいずれの上層部にも、窒化シリコンからなる絶縁体部IP2および絶縁体部IP4のいずれかが形成される。したがって、例えば流量検出部7と、制御回路部8との境界部などで、制御回路CR1の配線24などが腐食することを防止または抑制することができる。
また、領域AR1および領域AR2で、絶縁膜15および絶縁膜16を順次形成した後、領域AR1で、絶縁膜15を除去して絶縁膜20を形成することにより、領域AR2で、窒化シリコンからなる絶縁膜20をエッチングする際に、酸化シリコンからなる絶縁膜16がエッチングストッパとして機能するため、加工精度を向上させることができる。
窒化シリコンからなる絶縁体部IP2を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有するように、調整することができる。同様に、窒化シリコンからなる絶縁体部IP4を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP4が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。これにより、流量検出部7が、引っ張り応力を有するように、調整することができる。また、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
好適には、絶縁体部IP2は、引っ張り応力を有する。また、絶縁体部IP1、絶縁体部IP3および絶縁体部IP4は、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有する。
次に、孔部TH1を形成する(図5のステップS17)。このステップS17では、図12に示すように、平面視において、領域AR1のうち、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分で、半導体基板6に、孔部TH1を形成する。
まず、図12に示すように、半導体基板6の裏面6bに、絶縁膜43を形成する。例えばTEOSを原料とし、プラズマを用いた低温CVD法により、酸化シリコンからなる絶縁膜43を形成することができる。あるいは、プラズマを用いた低温CVD法により、窒化シリコンからなる絶縁膜43を形成することができる。
次に、図12に示すように、領域AR1のうち、半導体基板6の裏面6bに形成された絶縁膜43の表面に、フォトリソグラフィ法により、レジスト膜からなるレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に位置する部分で、レジスト膜を貫通して絶縁膜43に達する開口部を有する。次に、レジストパターンの開口部に露出した部分の絶縁膜43を、ドライエッチング法またはウェットエッチング法により除去する。次に、残された絶縁膜43をマスクとして用いて、半導体基板6をウェットエッチング法によりエッチングすることにより、半導体基板6の裏面6bから半導体基板6を貫通して絶縁体部IP1に達する孔部TH1を形成する。具体的には、水酸化カリウム(KOH)もしくは水酸化テトラメチルアンモニウム(Tetramethylammonium hydroxide;TMAH)、または、水酸化カリウムもしくはTMAHを主成分とする水溶液を用いたウェットエッチング法により、孔部TH1を形成する。これにより、孔部TH1の上底部には、絶縁体部IP1と、絶縁体部IP2とからなるダイヤフラム構造DF1が形成される。
好適には、孔部TH1は、領域AR1のうち、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に、形成されている。これにより、後述する図14を用いて説明するように、センサチップ3をモールド樹脂5(図2参照)により封止する際に、孔部TH1が形成された領域内に位置する部分の絶縁膜20に空気流路用凸部54が接触することを防止することができる。そのため、センサチップ3をモールド樹脂5(図2参照)により封止する際に、孔部TH1が形成された領域内に位置する部分の絶縁体部IP1または絶縁体部IP2が破損することを防止することができる。
絶縁膜43は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜であってもよい。また、絶縁膜20のパターニングが終了した段階で、水酸化カリウムまたはTMAHによりウェットエッチングされない膜が半導体基板6の裏面6bに形成されている場合には、半導体基板6の裏面6bに絶縁膜43を形成せずに、孔部TH1を形成することもできる。
また、孔部TH1がウェットエッチングにより形成された場合、半導体基板6の裏面6bにおける孔部TH1の面積は、半導体基板6の表面6aにおける孔部TH1の面積よりも、広くなる。このような場合には、孔部TH1が形成された領域とは、孔部TH1の上底部、すなわち半導体基板6の表面6aにおいて孔部TH1が形成された領域を意味する。
このようにして、図12に示すように、半導体基板6と、流量検出部7と、制御回路部8と、を有する、センサチップ3が形成される。なお、以後の工程において、絶縁膜43は、除去されてもよく、除去されなくてもよいので、絶縁膜43が除去されない場合でも、絶縁膜43の図示を省略する。
次に、センサチップ3をリードフレーム2に搭載する(図5のステップS18)。このステップS18の工程では、図13に示すように、センサチップ3をリードフレーム2に搭載し、センサチップ3をボンディングワイヤ4により外部端子2bと電気的に接続する。
次に、センサチップ3を封止する(図5のステップS19)。このステップS19の工程では、図14に示すように、センサチップ3を、モールド成型用金型51を用いた樹脂モールドにより封止する。モールド成型用金型51は、モールド成型用空間52と、モールド樹脂流入口53と、空気流路用凸部54と、凸部55と、を有する。モールド成型用空間52の内部に、センサチップ3およびリードフレーム2を配置する。そして、モールド樹脂流入口53からモールド成型用空間52の内部に樹脂を充填する。これにより、センサチップ3およびリードフレーム2を、モールド樹脂5(図2参照)を用いた樹脂モールドにより封止する。
図14に示すように、空気流路用凸部54は、センサチップ3およびリードフレーム2がモールド成型用空間52の内部に配置されたとき、空気流路用凸部54が流量検出部7に接触するように、配置されている。これにより、モールド樹脂流入口53からモールド成型用空間52の内部にモールド樹脂5(図2参照)を充填する際に、流量検出部7とモールド成型用金型51との間にモールド樹脂5が流れ込まないようにすることができる。そのため、図2に示したように、流量検出部7上に位置する部分のモールド樹脂5に、モールド樹脂5を貫通して流量検出部7に達する溝部TR1が形成され、流量検出部7は、溝部TR1の底部に露出する。したがって、溝部TR1に沿って空気が流れやすくなり、流量検出部7の周辺で、空気の流れが乱されないようにすることができる。
また、流量検出部7のうちダイヤフラム構造DF1を形成する部分、すなわち、絶縁体部IP2にモールド樹脂5(図2参照)が付着すると、例えば流量検出部7の熱容量が大きくなることなどにより、空気などの流体の流量を精度よく検出できないおそれがある。そのため、絶縁体部IP4の領域AR1側の端部上に位置する部分の絶縁膜16上に形成された部分の絶縁体部IP2には、空気流路用凸部54が密着するが、開口部OP1の底部に露出した部分の絶縁体部IP1上に位置する部分の絶縁体部IP2には、空気流路用凸部54が接触しないように、センサチップ3が配置される。これにより、開口部OP1の底部に露出した部分の絶縁体部IP1上に位置する部分の絶縁体部IP2にモールド樹脂5が付着することを防止することができ、空気などの流体の流量を精度よく検出することができる。
ただし、平面視において、孔部TH1が形成された領域内に位置する部分の絶縁体部IP2に、空気流路用凸部54が接触すると、孔部TH1が形成された領域内に位置する部分の絶縁体部IP1または絶縁体部IP2が破損するおそれがある。本実施の形態1では、好適には、孔部TH1は、平面視において、開口部OP1が形成された領域内に形成されている。また、前述したように、開口部OP1の底部に露出した部分の絶縁体部IP1上に位置する部分の絶縁膜20には、空気流路用凸部54が接触しないように、センサチップ3が配置される。これにより、孔部TH1が形成された領域内に位置する部分の絶縁体部IP2に、空気流路用凸部54が接触することを防止することができ、孔部TH1が形成された領域内に位置する部分の絶縁体部IP1または絶縁体部IP2が破損することを防止することができる。
凸部55は、流量検出部7、センサチップ3およびリードフレーム2を挟んで空気流路用凸部54と反対側に配置されている。凸部55は、センサチップ3およびリードフレーム2がモールド成型用空間52の内部に配置されたとき、流量検出部7の下方に位置する部分のリードフレーム2に凸部55が接触するように、配置されている。これにより、流量検出部7、半導体基板6およびリードフレーム2が、空気流路用凸部54と凸部55とにより、上下から挟まれるため、空気流路用凸部54を、絶縁体部IP4の領域AR1側の端部上に位置する部分の絶縁膜16上に形成された部分の絶縁体部IP2に、確実に密着させることができる。
<流量検出部および制御回路部における絶縁体部の内部応力>
単結晶シリコンからなる半導体基板上に形成された酸化シリコン膜は、例えば酸化シリコンの熱膨張係数がシリコンの熱膨張係数よりも小さいことなどにより、通常、圧縮応力を有する。したがって、流量検出部7が、酸化シリコンからなる絶縁体部IP1を有する場合、流量検出部7は、圧縮応力を有することがある。
流量検出部7が、圧縮応力を有する場合、流量検出部7が撓みやすくなるので、流量検出部7が破損するおそれがある。また、流量検出部7が形成された領域内で半導体基板6に孔部TH1が形成されている場合には、流量検出部7がさらに撓みやすくなり、流量検出部7が破損するおそれがさらに高くなる。
一方、流量検出部7が引っ張り応力を有する場合には、流量検出部7は撓みにくく、流量検出部7が破損するおそれは少ない。また、流量検出部7が形成された領域内で半導体基板6に孔部TH1が形成されている場合でも、流量検出部7は撓みにくく、流量検出部7が破損するおそれは少ない。
ところが、流量検出部7が引っ張り応力を有する場合には、制御回路部8が引っ張り応力を有することがある。制御回路部8が引っ張り応力を有する場合、トランジスタTrのトランジスタ特性、または、配線24などの抵抗特性が変動することなどにより、制御回路部8の電気的特性が変動するおそれがある。
制御回路部8を覆うように形成されたモールド樹脂5は、通常、引っ張り応力を有するが、制御回路部8が引っ張り応力を有する場合、制御回路部8における引っ張り応力はモールド樹脂5により相殺されず、制御回路部8における内部応力の絶対値が大きくなる。このように、制御回路部8における内部応力の絶対値が大きくなると、トランジスタTrのトランジスタ特性、または、配線24などの抵抗特性が変動することなどにより、制御回路部8の電気的特性が変動するおそれがある。
上記特許文献1に記載された技術では、膜上に測定素子が設けられているその膜を緊張させるために、伸長性コーティングが設けられるが、その伸長性コーティングは、回路の能動電子部品の少なくとも一部を覆わない。そのため、例えば流量検出部と、制御回路部との境界部など、伸長性コーティングが設けられる領域と、伸長性コーティングが設けられない領域との境界において配線が腐食するなどして、流量センサの信頼性が低下するおそれがある。
また、上記特許文献1に記載された技術では、制御回路部8を覆うようにモールド樹脂5を形成する場合、流量検出部7にモールド樹脂5が流入しないように、モールド成型用金型51の空気流路用凸部54を流量検出部7に接触させる際に、流量検出部7にクラックが発生するなど、流量検出部7が破損するおそれがある。そのため、流量センサの製造時の歩留まりが低下するか、または、流量センサの信頼性が低下するおそれがある。
なお、上記特許文献2に記載された技術では、検出部が設けられた領域における酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜の厚さの比は、回路部が設けられた領域における酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜の厚さの比よりも大きくない。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態1の流量センサ1では、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも大きい。
前述したように、単結晶シリコンからなる半導体基板上に形成された酸化シリコン膜は、通常、圧縮応力を有する。一方、単結晶シリコンからなる半導体基板上に形成された窒化シリコン膜は、窒化シリコン膜を成膜する際の成膜条件を調整することにより、窒化シリコン膜の内部応力が引っ張り応力または圧縮応力になるように、調整することができる。
したがって、窒化シリコンからなる絶縁体部IP2を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有するように、調整することができる。同様に、窒化シリコンからなる絶縁体部IP4を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP4が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
これにより、領域AR1で、絶縁体部IP1および絶縁体部IP2を含む流量検出部7が、引っ張り応力を有するように、調整することができる。そのため、流量検出部7が撓みにくくなり、流量検出部7が破損することを防止または抑制することができる。また、領域AR1で、半導体基板6に孔部TH1が形成されている場合でも、流量検出部7は撓みにくくなり、流量検出部7の破損を防止または抑制することができる。
一方、領域AR2で、絶縁体部IP2および絶縁体部IP4を含む制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。このように、制御回路部8が圧縮応力を有する場合には、制御回路部8を覆うように形成されたモールド樹脂5が引っ張り応力を有するため、制御回路部8の圧縮応力が相殺され、制御回路部8の内部応力の絶対値が小さくなる。また、制御回路部8の内部応力の絶対値が小さいため、制御回路部8の電気的特性の変動を防止または抑制することができる。
また、本実施の形態1の流量センサでは、流量検出部7および制御回路部8のいずれの上層部にも、窒化シリコンからなる絶縁体部IP2および絶縁体部IP4のいずれかが形成されている。したがって、上記特許文献1に記載された技術に比べ、例えば流量検出部7と、制御回路部8との境界部などで、制御回路CR1の配線24などが腐食することを防止または抑制することができ、流量センサの信頼性を向上させることができる。
あるいは、本実施の形態1の流量センサでは、絶縁体部IP1の厚さTP1は、絶縁体部IP1と同層に形成された絶縁体部IP3の厚さTP3よりも薄く、領域AR1で、開口部OP1が形成されているが、領域AR2を含めて、領域AR1の外部の領域では、開口部OP1が形成されていない。そして、絶縁体部IP2は、絶縁体部IP1上から、絶縁体部IP4の領域AR1側の端部上にかけて、直接または絶縁膜16を介して、連続的に形成されている。
これにより、制御回路部8を覆うようにモールド樹脂5を形成するために、流量検出部7にモールド樹脂5が流入しないように、モールド成型用金型51の空気流路用凸部54をセンサチップ3に接触させる際に、上記特許文献1に記載された技術に比べ、空気流路用凸部54が流量検出部7に接触することを防止することができる。そのため、流量検出部7におけるクラックの発生、または、流量検出部7の破損を防止することができ、流量センサの製造時の歩留まりを向上させ、流量センサの信頼性を向上させることができる。
好適には、モールド樹脂5の領域AR1側の端部が、絶縁体部IP4上に絶縁膜16を介して形成された部分の絶縁体部IP2上に位置する。この場合、絶縁体部IP4から露出した部分の絶縁膜16および絶縁体部IP3が、さらに、モールド樹脂5に覆われることになるので、上記した接触の防止の効果に加え、制御回路CR1の配線24などの腐食を防止する効果が大きくなる。
(実施の形態2)
実施の形態1の流量センサでは、絶縁膜15を形成した後、絶縁膜20を形成するため、絶縁膜15と絶縁膜20とが重なる部分では、絶縁膜20は、絶縁膜15よりも上方に形成されていた。一方、実施の形態2の流量センサでは、絶縁膜20を形成した後、絶縁膜15を形成するため、絶縁膜15と絶縁膜20とが重なる部分では、絶縁膜15は、絶縁膜20よりも上方に形成されている。
本実施の形態2の流量センサのうち、センサチップ3以外の各要素、および、センサチップ3のうち、絶縁体部IP1および絶縁体部IP2、ならびに、絶縁体部IP1および絶縁体部IP2よりも下方に位置する各要素については、実施の形態1の流量センサにおける各要素と共通である。したがって、実施の形態1の流量センサの各要素と共通の要素については、実施の形態1の流量センサにおける符号と同一の符号を付し、その説明を省略する。
<流量センサ>
図15は、実施の形態2の流量センサにおけるセンサチップの要部断面図である。図15に示すように、センサチップ3は、半導体基板6と、流量検出部7と、制御回路部8と、を有する。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、半導体基板6の表面6a上には、絶縁膜11、層間絶縁膜12、層間絶縁膜13、層間絶縁膜14および絶縁膜15が形成されている。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、流量検出部7は、半導体基板6の表面6aの領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、絶縁体部IP1と、発熱抵抗体17と、絶縁体部IP2と、を有する。
絶縁体部IP1は、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、例えば、絶縁膜11aと、層間絶縁膜12aと、層間絶縁膜13aと、を含む。領域AR1で、層間絶縁膜14には、層間絶縁膜14を貫通して層間絶縁膜13aに達する開口部OP1が形成されている。また、絶縁体部IP1は、領域AR1で形成されており、開口部OP1が形成された領域内に、配置されている。また、領域AR1で、絶縁体部IP1上には、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜20が形成されている。
一方、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、絶縁膜16(図3参照)は形成されていない。また、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜15は、領域AR1では、絶縁膜20上に形成されている。
絶縁体部IP2は、領域AR1で、絶縁体部IP1上に形成されている。絶縁体部IP2は、絶縁膜20と、絶縁膜20上に形成された絶縁膜15aを含む。絶縁膜15aは、絶縁膜20上に形成された部分の絶縁膜15からなる。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、制御回路部8は、半導体基板6の表面6aの領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、絶縁体部IP3と、制御回路CR1と、絶縁体部IP4と、を有する。
絶縁体部IP3は、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、例えば、絶縁膜11bと、層間絶縁膜12bと、層間絶縁膜13bと、層間絶縁膜14bと、を含む。
絶縁体部IP4は、領域AR2で、絶縁体部IP3上に形成されている。絶縁体部IP4は、絶縁膜15bを含む。絶縁膜15bは、領域AR2で、層間絶縁膜14b上に形成された部分の絶縁膜15からなる。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも大きい。
絶縁体部IP2は、絶縁膜20と、絶縁膜15aと、を含む。しかし、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜20を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁膜20が引っ張り応力を有するように、調整することができる。同様に、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜15aを成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁膜15aが、絶縁体部IP3の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
したがって、例えば絶縁膜20の厚さと絶縁膜15aの厚さとを調整するか、または、絶縁膜20の内部応力と絶縁膜15aの内部応力とを調整することにより、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有し、絶縁体部IP4が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
また、例えば酸化シリコンからなる絶縁体部IP1を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP1が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。さらに、例えば酸化シリコンからなる絶縁体部IP3を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁体部IP3が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
したがって、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、流量検出部7が、引っ張り応力を有するように、調整することができる。また、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
本実施の形態2における絶縁体部IP2の厚さを、実施の形態1における絶縁体部IP2の厚さよりも厚くすることができる。したがって、本実施の形態2では、実施の形態1に比べ、絶縁体部IP2が空気に含まれる酸化窒素(NOx)ガスなどにより腐食することを、容易に防止または抑制することができ、信頼性を容易に向上させることができる。
なお、本実施の形態2では、絶縁体部IP4に含まれる絶縁膜15bと同層に形成された絶縁膜15aが、絶縁体部IP2に含まれる。そのため、絶縁体部IP4の厚さTP4は、絶縁体部IP2の厚さTP2よりも大きくなる。
このような場合、絶縁体部IP1の厚さTP1が、絶縁体部IP3の厚さTP3と等しくても、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも十分大きくなる。したがって、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、開口部OP1が形成されなくてもよい。
<流量センサの製造工程>
図16は、実施の形態2の流量センサの製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図17および図18は、実施の形態2の流量センサの製造工程中の要部断面図である。
本実施の形態2でも、実施の形態1で図6〜図9に示した工程と同様の工程(図16のステップS11およびステップS12)を行って、半導体基板6を準備し、絶縁体部IP1および絶縁体部IP3を形成する。
次に、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、開口部OP1を形成する(図16のステップS23)。このステップS23の工程では、図17に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、領域AR1において、層間絶縁膜14をパターニングする。すなわち、領域AR1で、層間絶縁膜14をエッチングして除去する。これにより、図17に示すように、領域AR1で、層間絶縁膜14を貫通して層間絶縁膜13に達する開口部OP1を形成する。
このようにして開口部OP1を形成することにより、絶縁体部IP1は、絶縁膜11a、層間絶縁膜12aおよび層間絶縁膜13aを含むが、層間絶縁膜14aを含まないものとなる。すなわち、開口部OP1を形成することにより、絶縁体部IP1の厚さTP1を、絶縁体部IP3の厚さTP3よりも薄くすることになる。そのため、絶縁体部IP1の圧縮応力が、絶縁体部IP3の圧縮応力よりも小さくなるように、調整することができる。
次に、絶縁膜20を形成する(図16のステップS24)。このステップS24の工程では、実施の形態1で図11を用いて説明した工程(図5のステップS16)と同様の工程を行って、図17に示すように、領域AR1で、絶縁体部IP1上に、絶縁膜20を形成する。
次に、絶縁膜15を形成する(図16のステップS25)。このステップS25の工程では、実施の形態1で図10を用いて説明した工程(図5のステップS13)と同様の工程を行って、図18に示すように、領域AR1および領域AR2で、絶縁膜20上および層間絶縁膜14上に、絶縁膜15を形成する。
このとき、領域AR1で、絶縁膜20と、絶縁膜15aとを含む絶縁体部IP2が形成される。絶縁膜15aは、絶縁膜20上に形成された部分の絶縁膜15からなる。また、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1と、発熱抵抗体17と、絶縁体部IP2と、を有する流量検出部7が、形成される。
一方、領域AR2で、絶縁膜15bを含む絶縁体部IP4が形成される。絶縁膜15bは、層間絶縁膜14b上、すなわち、絶縁体部IP3上に形成された部分の絶縁膜15からなる。また、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP3と、制御回路CR1と、絶縁体部IP4と、を有する制御回路部8が、形成される。
その後、実施の形態1で図12〜図14を用いて説明した工程と同様の工程(図16のステップS17〜ステップS19)を行って、本実施の形態2の流量センサが形成される。
前述した実施の形態1の流量センサの製造工程では、窒化シリコンからなる絶縁膜15を形成した後、窒化シリコンからなる絶縁膜20を形成してパターニングする。そのため、絶縁膜15を形成した後、絶縁膜20を形成する前に、絶縁膜20のエッチングストッパとして、酸化シリコンからなる絶縁膜16を形成する必要がある。
一方、本実施の形態2の流量センサの製造工程では、絶縁膜15を形成する前に、絶縁膜20を形成してパターニングする。この場合、酸化シリコンからなる層間絶縁膜14がエッチングストッパとして機能するため、絶縁膜16を形成する必要がなく、流量センサの製造工程の工程数を削減することができる。
なお、前述したように、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、開口部OP1を形成する必要がなく、流量センサの製造工程の工程数を、削減することができる。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態2の流量センサも、実施の形態1の流量センサが有する特徴と同様の特徴を有する。したがって、本実施の形態2の流量センサも、実施の形態1の流量センサが有する効果と同様の効果を有する。
それに加えて、本実施の形態2では、絶縁体部IP2の厚さを、実施の形態1における絶縁体部IP2の厚さよりも厚くすることができるので、実施の形態1に比べ、絶縁体部IP2がNOxガスなどにより腐食することを、容易に防止または抑制することができ、流量センサの信頼性を容易に向上させることができる。
また、本実施の形態2では、実施の形態1に比べ、絶縁膜16を形成する必要がなく、流量センサの製造工程の工程数を削減することができる。また、開口部OP1を形成する必要がなく、流量センサの製造工程の工程数を、削減することができる。
(実施の形態3)
実施の形態1の流量センサでは、絶縁体部IP4は、絶縁体部IP2の絶縁膜20と異なる絶縁膜15bを含んでいた。一方、実施の形態3の流量センサでは、絶縁体部IP4は、絶縁体部IP2の絶縁膜20aと同層に形成された絶縁膜20bを含んでおり、絶縁膜20aの厚さは、絶縁膜20bの厚さよりも厚い。
本実施の形態3の流量センサのうち、センサチップ3以外の各要素、および、センサチップ3のうち、絶縁体部IP1および絶縁体部IP2、ならびに、絶縁体部IP1および絶縁体部IP2よりも下方に位置する各要素については、実施の形態1の流量センサにおける各要素と共通である。したがって、実施の形態1の流量センサの各要素と共通の要素については、実施の形態1の流量センサにおける符号と同一の符号を付し、その説明を省略する。
<流量センサ>
図19は、実施の形態3の流量センサにおけるセンサチップの要部断面図である。図19に示すように、センサチップ3は、半導体基板6と、流量検出部7と、制御回路部8と、を有する。
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、半導体基板6の表面6a上には、絶縁膜11、層間絶縁膜12、層間絶縁膜13および層間絶縁膜14が形成されている。
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、流量検出部7は、半導体基板6の表面6aの領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、絶縁体部IP1と、発熱抵抗体17と、絶縁体部IP2と、を有する。絶縁体部IP1は、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、例えば、絶縁膜11aと、層間絶縁膜12aとを含む。
一方、本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、絶縁膜15(図2参照)および絶縁膜16(図2参照)は形成されていない。また、領域AR1で、層間絶縁膜14および層間絶縁膜13には、層間絶縁膜14および層間絶縁膜13を貫通して層間絶縁膜12aに達する開口部OP1が形成されている。また、絶縁体部IP1は、領域AR1で形成されており、開口部OP1が形成された領域内に、配置されている。
また、領域AR1で、絶縁体部IP1上には、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜20が、形成されている。絶縁体部IP2は、絶縁膜20aを含む。絶縁膜20aは、絶縁体部IP1上に形成された部分の絶縁膜20からなる。
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、制御回路部8は、半導体基板6の表面6aの領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、絶縁体部IP3と、制御回路CR1と、絶縁体部IP4と、を有する。絶縁体部IP3は、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に形成されており、例えば、絶縁膜11bと、層間絶縁膜12bと、層間絶縁膜13bと、層間絶縁膜14bと、を含む。
一方、本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、絶縁体部IP4は、絶縁膜20bを含む。絶縁膜20bは、領域AR2で、絶縁体部IP3上に形成された部分の絶縁膜20からなる。すなわち、絶縁膜20bは、絶縁膜20aと同層に形成されている。これにより、絶縁膜20bを、絶縁膜20aを形成する工程と同一の工程により、形成することができる。また、絶縁膜20aの厚さTP2は、絶縁膜20bの厚さTP4よりも厚い。
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも大きい。
本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜20を成膜する際の成膜条件を調整することにより、絶縁膜20a、および、絶縁膜20aと同層に形成される絶縁膜20bが引っ張り応力を有するように、調整することができる。また、絶縁膜20aの厚さTP2が、絶縁膜20bの厚さTP4よりも厚い。したがって、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有するように、調整することができ、絶縁体部IP4が、絶縁体部IP2の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するように、調整することができる。
したがって、本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、流量検出部7が、引っ張り応力を有するように、調整することができる。また、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力を有するか、または、圧縮応力を有するように、調整することができる。
本実施の形態3では、絶縁体部IP2に含まれる絶縁膜20aと同層に形成された絶縁膜20bが、絶縁体部IP4に含まれる。そのため、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有する場合、絶縁体部IP4も引っ張り応力を有する。
しかし、本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、図19に示すように、開口部OP1は、層間絶縁膜14および層間絶縁膜13を貫通して層間絶縁膜12aに達する。すなわち、本実施の形態3では、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP3の厚さTP3の比が、実施の形態1に比べ、さらに大きくなる。このような場合、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力、または、圧縮応力を有するように、容易に調整することができる。
なお、例えば絶縁体部IP2の厚さTP2と、絶縁体部IP4の厚さTP4との差が十分大きい場合には、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP2の厚さTP2の比は、絶縁体部IP3の厚さTP3に対する絶縁体部IP4の厚さTP4の比よりも十分大きくなる。このような場合には、開口部OP1は、層間絶縁膜14を貫通して層間絶縁膜13に達するだけでよく、開口部OP1が、層間絶縁膜13を貫通して層間絶縁膜12に達しなくてもよい。
<流量センサの製造工程>
図20は、実施の形態3の流量センサの製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図21および図22は、実施の形態3の流量センサの製造工程中の要部断面図である。
本実施の形態3でも、実施の形態1で図6〜図9に示した工程と同様の工程(図20のステップS11およびステップS12)を行って、半導体基板6を準備し、絶縁体部IP1および絶縁体部IP3を形成する。
次に、本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、開口部OP1を形成する(図20のステップS33)。このステップS33の工程では、図21に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、領域AR1において、層間絶縁膜14および層間絶縁膜13をパターニングする。まず、領域AR1で、層間絶縁膜14をエッチングして除去する。次に、領域AR1で、層間絶縁膜14が除去された部分の層間絶縁膜13をエッチングして除去する。これにより、図21に示すように、領域AR1で、層間絶縁膜14および層間絶縁膜13を貫通して層間絶縁膜12に達する開口部OP1を形成する。
このようにして開口部OP1を形成することにより、絶縁体部IP1は、絶縁膜11aおよび層間絶縁膜12aを含むが、層間絶縁膜13a(図3参照)および層間絶縁膜14a(図9参照)を含まないものとなる。すなわち、開口部OP1を形成することにより、絶縁体部IP1の厚さTP1を、絶縁体部IP3の厚さTP3よりも薄くすることになる。そのため、絶縁体部IP1の圧縮応力が、絶縁体部IP3の圧縮応力よりも小さくなるように、調整することができる。
次に、絶縁膜20を形成する(図20のステップS34)。このステップS34の工程では、実施の形態1で図11を用いて説明した工程(図5のステップS16)の一部の工程と同様の工程を行って、図21に示すように、領域AR1および領域AR2で、絶縁体部IP1上および絶縁体部IP3上に、絶縁膜20を形成する。
次に、絶縁膜20をエッチングする(図20のステップS35)。このステップS35の工程では、図22に示すように、領域AR2で、絶縁膜20をエッチングする。このとき、領域AR2で、絶縁膜20をハーフエッチングする。これにより、図21に示すように、領域AR1で、残された絶縁膜20からなる絶縁膜20aが形成され、領域AR2で、領域AR1における絶縁膜20aの厚さTP2よりも薄い厚さTP4を有する絶縁膜20bが形成される。
このとき、領域AR1で、絶縁膜20aを含む絶縁体部IP2が形成される。また、領域AR1で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP1と、発熱抵抗体17と、絶縁体部IP2と、を有する流量検出部7が、形成される。
一方、領域AR2で、絶縁膜20bを含む絶縁体部IP4が形成される。また、領域AR2で、半導体基板6の表面6a上に、絶縁体部IP3と、制御回路CR1と、絶縁体部IP4と、を有する制御回路部8が、形成される。
その後、実施の形態1で図12〜図14を用いて説明した工程と同様の工程(図20のステップS17〜ステップS19)を行って、本実施の形態3の流量センサが形成される。
本実施の形態3の流量センサの製造工程では、絶縁膜20bを、絶縁膜20aを形成する工程と同一の工程により、形成することができる。また、本実施の形態3の流量センサの製造工程では、絶縁膜15(図3参照)および絶縁膜16(図3参照)を形成しない。そのため、本実施の形態3では、実施の形態1に比べ、流量センサの製造工程の工程数を削減することができる。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態3の流量センサも、実施の形態1の流量センサが有する特徴と同様の特徴を有する。したがって、本実施の形態3の流量センサも、実施の形態1の流量センサが有する効果と同様の効果を有する。
本実施の形態3では、絶縁体部IP2が引っ張り応力を有する場合、絶縁体部IP4も引っ張り応力を有する。しかし、絶縁体部IP1の厚さTP1に対する絶縁体部IP3の厚さTP3の比を大きくすることにより、制御回路部8が、流量検出部7の引っ張り応力よりも小さい引っ張り応力、または、圧縮応力を有するように、容易に調整することができる。
また、本実施の形態3の流量センサの製造工程では、絶縁膜20bを、絶縁膜20aを形成する工程と同一の工程により、形成することができ、絶縁膜15(図3参照)および絶縁膜16(図3参照)を形成しない。そのため、本実施の形態3では、実施の形態1に比べ、流量センサの製造工程の工程数を削減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。