JP6214699B2 - ウレタン被覆frpコア - Google Patents

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Description

この発明は、各種フィルムやシート材の巻き取り等に使用するウレタン被覆FRPコアに関するものである。
下記特許文献1,2には、FRP(繊維強化プラスチック)製の円筒形の基体の表面にウレタン等の外被層を形成したFRPコアが記載されている。
特許文献1に記載のFRPコアは、基体となる未硬化の繊維強化樹脂層を内周側から膨張させ、予めチューブ状とした外被層となるウレタン等のゴムチューブの内径面に密着させた後、繊維強化樹脂層を硬化させて製造するものである。
このほか、予め所定寸法の円筒形に形成して硬化させたFRP製の基体の表面に、マットを巻き付けて製造するFRPコアが知られている。
特開平7−108615号公報 特開2005−40963号公報
しかしながら、特許文献1に記載のFRPコアでは、繊維強化樹脂層を膨張させる内圧保持体や内型、外型等を備えた複雑な構造の製造設備が必要になるという問題があり、外被層の硬度や厚さを所定範囲に調整することも難しいという問題がある。
また、基体にマットを巻き付けたFRPコアでは、円筒度を良好に確保して、使用状態での回転時の円周振れを抑制することが困難である。
このほか、外被層を研磨して表面を滑らかにする仕上げ加工ができず、使用に伴いマットの外面が傷付いたりマットが基体から捲れたりした場合、旋盤で研削して補修することができないという問題もある。
そこで、この発明は、簡単に精度よく表面が滑らかとなるように製造でき、外被層の損傷の補修も可能なウレタン被覆FRPコアを提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、この発明は、FRP製の基体の外周に最表面をなすウレタンの外被層が形成された円筒形状のFRPコアにおいて、前記基体の表面と液状ウレタンの注型成形層である外被層の間に、基体の表面を平滑化するように覆う下地処理層が設けられているものとしたのである。
また、前記下地処理層は、前記基体から液状ウレタンへの空気の移動を阻止する第1層と、前記基体と外被層との接着性を高めるための第2層とから成るものとしたのである。
また、前記下地処理層の膜厚は、第1層が8〜15μm、第2層が20〜40μmであるものとしたのである。
この発明に係るウレタン被覆FRPコアでは、表面に下地処理層を形成した基体を金型に入れて、液状のウレタンを金型の内径面と基体表面の下地処理層の隙間に注入した後、ウレタンを硬化させることにより、均一な厚さの外被層を簡単に形成することができ、その際、基体の表面やその少し内周側にピンホール等の窪みやボイドが存在しても、下地処理層で空気の移動が阻止されて、平滑な状態に保持された下地処理層の表面に外被層が形成されるので、外被層がなす最表面が非常に滑らかで、円筒度が良好なものとなり、回転時の円周振れも抑制することができる。
また、ウレタンの材質を替えることで、外被層の硬度を調整して、高硬度の外被層を形成することができるほか、金型の内径面と基体の表面の隙間を調整することで、外被層を任意の厚さとすることができ、非常に薄い外被層を形成することもできる。
さらに、外被層の表面を研磨して任意の表面粗さに仕上げることができ、外被層の表面を極めて滑らかに仕上げることができるほか、使用により外被層の表面が傷付いても、外被層を旋盤で研削して補修することができる。また、同様にして何度でも外被層を形成することができる。
この発明に係るウレタン被覆FRPコアの端面寄り部分を示す斜視図 ウレタン被覆に使用する金型を示す縦方向断面図 同上の金型への基体の挿入状態を示す縦方向断面図 同上のウレタンの注入過程を分断して示す縦方向拡大断面図 同上の(a)下地処理層なしでウレタンを注入した製品の一部拡大断面図、(b)下地処理層を設けてウレタンを注入した製品の一部拡大断面図
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ウレタン被覆FRPコア1は、各種機能性フィルム、金属箔、特殊紙等を巻き取るために使用されるものであり、FRP製の円筒形の基体11の外周に、ウレタンの外被層12を下地処理層13を介して形成した構成とされている。
図2は、このウレタン被覆FRPコア1の製造において使用する金型2を示す。金型2は、円筒形状であって、その内径が製品となるFRPコア1の外径よりも大きいものとされ、軸線が縦向きとなるように支持される。両端面を閉塞する底壁及び天壁の内面には、後述のように基体11を保持するための凸部23がそれぞれ設けられている。
このような金型2を使用してFRPコア1を製造する際には、図3に示すように、基体11の表面にプライマーを塗布して下地処理層13を形成した後、金型2に基体11を軸線が縦向きとなるように挿入する。
そして、金型2への基体11の挿入に際し、基体11の両端面の開口部がそれぞれ金型2の底壁及び天壁の凸部23に嵌まり込むようにすると、基体11が金型2の内部空間の所定位置に保持され、金型2の内径面と基体11の表面の間には、所定の隙間24が設けられた状態となる。
この状態で、図4に示すように、金型2の注入口21から外被層12の材料である液状のウレタン12aを隙間24に注入し、隙間24の内部の空気をウレタン12aの上昇に伴い排出口22から押し出しながら、隙間24にウレタン12aを充填する。
これに伴い、図1に示すように、ウレタン12aは接着剤を用いることなく、それ自身の特性で基体11の表面の下地処理層13に密着し、外被層12を形成する。
なお、下地処理層13を形成せずに金型2にウレタン12aを注入すると、図5(a)に示すように、基体11の表面やその少し内周側にピンホール等の窪みボイドがあった場合、その部分の空気が熱により膨張して外被層12に気泡が生じ、この気泡が外被層12の表面の窪みとして露出することがある。この気泡は、外被層12の内部にも存在しうるため、外被層12の表面を研磨しても完全に除去することができない。
しかしながら、図5(b)に示すように、基体11の表面を下地処理層13で覆っておくと、基体11にピンホール等の窪みやボイドが存在しても、空気の移動が阻止されて、平滑な状態に保持された下地処理層13の表面に外被層12が形成されるので、外被層12の表面に気泡による窪みが生じる現象が防止される。
ここで、下地処理層13は、基体11から液状ウレタンへの空気の移動を阻止する第1層13aと、基体11と外被層12との接着性を高めるための第2層13bとから成るものとしている。
第1層13aの材料としては、メタクリル酸メチルを主剤とするものを用い、第2層13bの材料としては、ポリビニルアルコールを主剤とするものを用いる。
また、下地処理層13の膜厚は、第1層13aが8〜15μm、第2層13bが20〜40μmとなるようにしておく。なお、下地処理層13の形成に際し、液状の材料をウエス等により手作業で塗布する場合には、第2層13bを複数回に分けて重ね塗りし、極力均一な膜厚になるようにするとよい。
上記のような被覆方法で製造されたFRPコア1では、FRP製の基体11の表面に均一な厚さのウレタンの外被層12を簡単に形成され、円筒度が良好なものとなり、回転時の円周振れを抑制することができる。
また、図3に示す隙間24を調整することで、外被層12を任意の厚さとすることができ、非常に薄い外被層12を形成することもできる。例えば、基体11の厚さが6mm〜7mmの場合、外被層12の厚さは、1mm〜30mm程度とすることができる。
また、外被層12の表面を研磨して任意の表面粗さに仕上げることができ、外被層12の表面を極めて滑らかに仕上げることができる。
例えば、基体11にガラス繊維の不織布であるガラスマットを巻き付けて滑らかな最表面層に仕上げる従来のFRPコアでは、一般に、表面粗さはRa0.5程度であるが、この発明に係るFRPコアでは、研磨加工前の状態でRa0.2〜0.5程度となり、研磨加工を施して、これより滑らかに仕上げることもできる。
さらに、ウレタンの材質を替えることで、外被層12の硬度を調整して、高硬度の外被層12を形成することができ、外被層12を様々な色に着色することもできる。
そのほか、使用により外被層12の表面が傷付いても、外被層12を旋盤で研削して補修することができ、損傷の程度によっては、外被層12を削り落とした後、同様にして何度でも外被層12を形成することができる。
1 FRPコア
2 金型
3 硬化炉
11 基体
12 外被層
12a ウレタン
13 下地処理層
13a 第1層
13b 第2層
21 注入口
22 排出口
23 凸部
24 隙間

Claims (2)

  1. FRP製の基体(11)の外周に最表面をなすウレタンの外被層(12)が形成された円筒形状のFRPコア(1)において、
    前記基体(11)の表面と液状ウレタンの注型成形層である外被層(12)の間に、基体(11)の表面を平滑化するように覆う下地処理層(13)が設けられており、
    前記下地処理層(13)は、前記基体(11)から液状ウレタンへの空気の移動を阻止する第1層(13a)と、前記基体(11)と外被層(12)との接着性を高めるための第2層(13b)とから成ることを特徴とするウレタン被覆FRPコア。
  2. 前記下地処理層(13)の膜厚は、第1層(13a)が8〜15μm、第2層(13b)が20〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載のウレタン被覆FRPコア。
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