JP6213800B1 - ワークの支持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストにワークの撓みを低減することができるワークの支持装置を提供する。【解決手段】水平なテーブルと、テーブルの上面に設けられた3個の第1支点と、第1支点ごとに揺動自在に支持された第1アームであって、且つアーム長手方向の中央部が第1支点により揺動自在に支持されている第1アームと、第1支点ごとの第1アームの上面において揺動自在で且つ第1支点から異なる方向に振り分けて複数設けられ、任意の方向に揺動自在な球支点と、球支点ごとに個別に任意の方向に揺動自在に支持され、ワークにそれぞれ当接する複数のワーク座と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、形状測定装置においてワークを支持するワークの支持装置に関する。
従来、ワーク(測定対象物)の形状を測定する形状測定装置として、円柱状又は円筒状のワークの真円度を測定する真円度測定装置が知られている。この真円度測定装置は、テーブル上に支持されているワークの表面に検出器の測定子を接触させ、ワークの周りに検出器を相対的に回転させることによって、ワークの真円度を測定する。
このような真円度測定装置では、テーブル上においてワークの底面(平面)を3点で支持するのが通常である(例えば特許文献1及び2参照)。また、大型のワークの真円度を測定する場合には、ワークを定盤等の基準平面にセットして真円度測定を行うことが知られている。
特許第3013349号公報 特開2000−146504号公報
図16(A),(B)は従来技術の課題を説明するための説明図である。なお、図16(A),(B)では、ワーク100の底面の凹凸を実際よりも強調して図示している。図16(A)に示すように、真円度測定装置のテーブル101上に設けられた3個の支持突起102(支点)によりワーク100を3点支持した場合、ワーク100が大型化すると各支持突起102間の距離が離れてしまうため、ワーク100に自重による撓み(図中、点線で表示)が発生する。その結果、真円度測定の精度が低下してしまう。
また、図16(B)に示すように、ワーク100の自重による撓みの発生を抑えるため、ワーク100を定盤等の基準平面104にセットした場合、真円度測定の精度が基準平面104の平面度の影響を受けてしまう。また、理論上、ワーク100はどこかの点で基準平面104に接触するはずであるが、その点がどこかを判断することができず、真円度測定の誤差として残ってしまう。さらに、大型のワーク100をセット可能な基準平面104は大型化し且つ重量が増加すると共に、平面度の精度の確保が非常に困難となるためコストが高くなってしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低コストにワークの撓みを低減することができるワークの支持装置を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するためのワークの支持装置は、ワークの形状を測定する形状測定装置に設けられたワークの支持装置において、水平なテーブルと、テーブルの上面に設けられた3個の第1支点と、第1支点ごとに揺動自在に支持された第1アームであって、且つアーム長手方向の中央部が第1支点により揺動自在に支持されている第1アームと、第1支点ごとの第1アームの上面において揺動自在で且つ第1支点から異なる方向に振り分けて複数設けられ、ワークに当接する第1当接部と、を備える。
このワークの支持装置によれば、ワークを支持する第1当接部(ワーク支点)間の距離を短くすることができ、且つ各第1当接部をワークの底面に確実に追従させた状態で当接させることができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1支点の各点の位置関係が、各点のうちの2点を結ぶ第1線分の中点に、各点のうちの残り1点からワークの重心を通って延びた第2線分の先端が垂直に交わる条件を満たす。これにより、ワークを安定して支持することができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1支点は、テーブルの上面において、ワークの重心を通ってテーブルの上面に対し垂直方向に延びた重心軸の軸周りに等間隔で設けられている。これにより、各第1当接部によりワークを均等に支持することができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1支点は、テーブルの上面において、ワークの重心を中心とした同一円上に設けられている。これにより、各第1当接部によりワークを均等に支持することができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、テーブルの上面に沿って第1支点を移動自在に支持するガイド部を備える。これにより、ワークの支持装置の交換を行うことなく、任意の大きさ及び形状のワークの支持を行うことができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1支点は、第1支点とワークの重心とを結ぶ第3線分に対して平行な軸周りに第1アームを揺動自在に支持する。これにより、各第1当接部をワークの底面に確実に追従させた状態で当接させることができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1当接部の全てが、ワークの重心を中心とした同一円上に配置される。これにより、各第1当接部によりワークを均等に支持することができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1当接部の全てが、径が異なる複数の同一円上に振り分けて配置される。これにより、大型のワークの支持を行うことができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1当接部の全てが、ワークの重心を通ってテーブルの上面に対し垂直方向に延びた重心軸の軸周りに等間隔に配置される。これにより、各第1当接部によりワークを均等に支持することができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1アームは、第1アームのアーム長手方向に伸縮自在である。これにより、ワークの支持装置の交換を行うことなく、任意の大きさ及び形状のワークの支持を行うことができる。
本発明の他の態様に係るワークの支持装置において、第1当接部は、第1アームの上面に設けられた第2支点と、第2支点により揺動自在に支持された第2アームであって、且つアーム長手方向の中央部が第2支点により揺動自在に支持されている第2アームと、第2支点ごとの第2アームの上面において揺動自在で且つ第2支点から異なる方向に振り分けて複数設けられ、ワークに当接する第2当接部と、を備える。第2当接部間の距離を第1当接部間の距離よりも短くすることができるので、ワークの自重による撓みをより低減することができる。
本発明のワークの支持装置は、低コストにワークの撓みを低減することができる。
真円度測定装置の一例を示した側面図である。 テーブルの上面図である。 テーブル上での3個のワーク支持部の配置を説明するための説明図である。 1個のワーク支持部の側面拡大図である。 図3中の各アーム支点の位置関係を別の表現で説明した説明図である。 各ワーク座の配置を説明するための説明図である。 (A),(B)は、本実施形態のワーク支持部の効果を説明するための説明図である。 第2実施形態の真円度測定装置に設けられているテーブル及びワーク支持部を説明するための説明図である。 各ワーク座の位置調整を説明するための説明図である。 (A),(B)は、真円度測定の測定対象部分の形状中心の位置と重心の位置とが異なるワークの上面図と側面図とを示したものである。 第2実施形態の各ワーク支持部によるワークの支持を説明するための説明図である。 第3実施形態の真円度測定装置に設けられているワーク支持部を説明するための説明図である。 第4実施形態の真円度測定装置に設けられているワーク支持部を説明するための説明図である。 第5実施形態の真円度測定装置に設けられているワーク支持部を説明するための説明図である。 アーム支点及びワーク座の配置の他実施形態を説明するための説明図である。 (A),(B)は従来技術の課題を説明するための説明図である。
[第1実施形態の真円度測定装置の構成]
図1は、真円度測定装置10の一例を示した側面図である。図1に示すように、真円度測定装置10は、本発明の形状測定装置に相当するものであり、円柱状(円板状)のワーク11の真円度を測定する。
真円度測定装置10は、ベース12(基台)と、テーブル支持部13と、テーブル14(載物台ともいう)と、ワーク支持部15と、回転駆動部16と、コラム17(支柱ともいう)と、キャリッジ18(スライダともいう)と、水平アーム19と、検出器20とを備える。なお、真円度測定装置10は、図1に表したタイプに限定されるものではなく、公知の各種タイプの装置を用いてもよい。
ベース12は、真円度測定装置10の各部を支持する支持台である。ベース12の上面には、テーブル支持部13及びコラム17が設けられている。また、ベース12の内部には、回転駆動部16が設けられている。
テーブル支持部13の上面には、円板状のテーブル14が取り付けられている。テーブル支持部13は、テーブル14をZ軸方向(上下方向)の軸周りに回転自在に支持している。テーブル14は、水平(XY方向に平行)となるように傾き調整された状態でテーブル支持部13の上面に取り付けられている。
図2はテーブル14の上面図である。図2に示すように、テーブル14の上面には、ワーク11を支持するワーク支持部15が3個設けられている。すなわち、テーブル14は、各ワーク支持部15を介してワーク11を支持している。これらテーブル14及び各ワーク支持部15は、本発明のワークの支持装置を構成する。
真円度測定されるワーク11は、その形状中心(測定対象部分の形状の中心)がテーブル14の回転中心であるテーブル中心Cと一致するように、各ワーク支持部15により支持される。なお、本実施形態のワーク11は円柱状(円板状)であるので、ワーク11の形状中心の位置と重心Gの位置とが一致している。
図1に戻って、回転駆動部16は、モータと、このモータの回転をテーブル14に伝達する駆動伝達機構とを有しており、テーブル支持部13上に支持されているテーブル14をZ軸方向の軸周りに回転させる。これにより、各ワーク支持部15を介してワーク11もテーブル14と一体に回転する。その結果、ワーク11は、テーブル14の回転軸、すなわち、ワーク11の重心Gを通ってテーブル14の上面に対して垂直方向に延びた重心軸GLを中心(略中心を含む)として回転する。
コラム17は、ベース12の上面で且つテーブル14のX軸方向側方に設けられており、Z軸方向に延びた形状を有している。このコラム17には、キャリッジ18がZ軸方向に移動自在に取り付けられている。
キャリッジ18には、水平アーム19がX軸方向(水平方向)に移動自在に取り付けられている。この水平アーム19の先端部には、検出器20が取り付けられている。
検出器20は、測定子20aと、不図示の差動トランス等の変位検出部とを有しており、測定子20aの変位を示す検出信号(電気信号)を出力する。
ワーク11の真円度測定を行う場合、キャリッジ18及び水平アーム19を駆動して、測定子20aをワーク11の測定位置(本実施形態では外周面)に接触させる。次いで、回転駆動部16によりテーブル14等を介してワーク11を回転させながら、検出器20から検出信号を取得する。この検出器20から取得された検出信号は図示しない演算処理装置に入力される。そして、演算処理装置は、検出器20から入力された検出信号を各種処理(解析)して、ワーク11の真円度を示す測定データを生成する。
[第1実施形態のワーク支持部]
図3は、テーブル14上での3個のワーク支持部15の配置を説明するための説明図である。また、図4は1個のワーク支持部15の側面拡大図である。
図3及び図4に示すように、テーブル14の上面に設けられた各ワーク支持部15は、それぞれアーム支点25と、アーム26と、2個の球支点27と、2個のワーク座28とを有する。なお、図中の符号「F1」は、各アーム支点25の位置(例えば中心位置)を示す支点位置である。
各ワーク支持部15のアーム支点25は、本発明の第1支点に相当するものであり、テーブル14の上面において、ワーク11の重心Gを中心とした同一円上の位置R1で且つ重心Gを通る重心軸GLの軸周りに等間隔θ1(θ1=120°)で設けられている。なお、同一円上の位置R1の径の大きさは、ワーク11の大きさ(径)に応じて変わる。
また、図5に示すように、各アーム支点25の位置関係は、各アーム支点25のうちの任意の2点を結ぶ第1線分L1の中点に、残りの1点からワーク11の重心Gを通って延びた第2線分L2の中点が垂直に交わる条件を満たす。なお、図5は、図3中の各アーム支点25の位置関係を別の表現で説明した説明図である。
図3及び図4に戻って、各アーム支点25は、本発明の第1アームに相当するアーム26のアーム長手方向中央部を、水平な軸周りに揺動自在に支持する。具体的には、各アーム支点25は、各々のアーム支点25と重心Gとを結ぶ第3線分L3に対して平行な揺動軸25aの軸周りに揺動自在にアーム長手方向中央部を支持する。
3本のアーム26のアーム長手方向両端部の上面には、アーム支点25を中心として左右均等に振り分けられた状態で2個の球支点27が設けられている。各球支点27は、球面形状を有しており、ワーク座28を任意の方向に揺動自在に支持する。これにより、各球支点27(アーム26の上面)に対してワーク座28を任意の方向に傾けることができる。
ワーク座28は、本発明の第1当接部に相当するものであり、ワーク11の底面に当接する。なお、ワーク座28はワーク11の底面に対して十分に小さいため、ワーク11の底面に対して点接触で当接する。本実施形態では、3本のアーム26にそれぞれ2個のワーク座28が設けられているので、ワーク11の底面には計6個のワーク座28が当接する。この際に、各ワーク座28は球支点27に揺動自在に取り付けられているので、各ワーク座28はそれぞれワーク11の底面に沿うように傾いた状態でワーク11の底面に当接する。
図6は、各ワーク座28の配置を説明するための説明図である。図6に示すように、本実施形態では、各ワーク座28がワーク11の重心Gを中心とした同一円上の位置R2で且つ重心軸GLの軸周りに等間隔θ2(θ2=60°)で配置されるように、各アーム支点25の位置、アーム26の長さ、及びアーム26上での各ワーク座28の位置が調整されている。なお、同一円上の位置R2の径の大きさについても、前述の同一円上の位置R1と同様に、ワーク11の大きさ(径)に応じて変わる。
このように、本実施形態では6個のワーク座28を同一円上の位置R2に等間隔θ2で配置することにより、ワーク11を6箇所で均一(略均一を含む)に支えることができる。これにより、ワーク11の荷重を6箇所に均一に分散することができる。
[本実施形態の効果]
図7(A),(B)は、本実施形態のワーク支持部15の効果を説明するための説明図である。図7(A),(B)に示すように、本実施形態では、各アーム支点25にアーム26を揺動自在に支持させると共に、各アーム26にそれぞれ揺動自在なワーク座28を設けている。このため、各ワーク支持部15上にワーク11をセットした際に、ワーク11の底面の凹凸に応じて、アーム26を左右のいずれかに傾けると共に、アーム26の上面に対して各ワーク座28を任意の方向に傾けることができる。これにより、各ワーク座28をワーク11の底面の凹凸に確実に追従させた状態で当接させることができる。その結果、同一円上の位置R2に等間隔θ2で配置された6個のワーク座28の全てを用いて、ワーク11を6箇所で均一に支持することができる。
このようにワーク11を6個のワーク座28で均一に支持する場合、前述の図16(A)に示した比較例のような3点支持を行う場合よりも、ワーク支点(ワーク座28)間の距離を短くすることができる。これにより、ワーク11の自重による撓みの発生を抑えることができる。
具体的には、ワーク11の自重をWとし、各ワーク支点間の距離をLとし、ワーク11のヤング率をEとし、ワーク11の断面係数をIとした場合、ワーク11の最大撓み量Vは、以下の式(1)、
V=(W×L)/(384×E×I)・・・(1)
で表される。
ここで、例えばワーク支点間の距離が半分になった場合(L’=2L)、ワーク11の大型化によりワーク11の自重が2倍(W’=2W)となっても、ワーク11の最大撓み量V’は、以下の式(2)、
V’=(W’×L’)/(384×E×I)=V/32・・・(2)
で表される。
上記式(2)に示すように、ワーク支点(ワーク座28)間の距離を短くすることで、大型のワーク11であっても自重による撓みを低減した状態で支持することができる。また、各ワーク支持部15は、精度の高い加工を必要としないため、安価に作成することができる。さらに、各ワーク支持部15は、ワーク11を支持する箇所にのみ用いられる冶具であるので、小さく且つ軽く且つ安価に作成することができる。このため、既述の図16(B)に示したような大型の基準平面104を作成する場合よりも真円度測定装置10を低コストに製造することができる。その結果、本実施形態のワーク支持部15により、低コストにワーク11の撓みを低減することができる。
また、既述の図16(B)に示したような大型の基準平面104にワーク11をセットする場合とは異なり、ワーク11を支持するワーク支点の位置を特定できる。このため、たとえワーク11に非常に微小な撓みが発生した場合であっても、真円度の測定データに対して、ワーク11の理論変形計算による補正を行うことができる。このため、真円度測定の誤差を低減することができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の真円度測定装置10に設けられているテーブル14及びワーク支持部15Aを説明するための説明図である。上記第1実施形態のワーク支持部15は、特定の大きさ(径)及び形状のワーク11の支持に特化しているので、ワーク11の大きさ又は形状の変更に応じてワーク支持部15の交換を行う必要がある。これに対して、第2実施形態のワーク支持部15Aは、任意の大きさ及び形状のワーク11の支持を行うことができる。
なお、第2実施形態の真円度測定装置10は、ワーク支持部15の代わりにワーク支持部15Aを備える点を除けば、上記第1実施形態と基本的に同じであるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図8に示すように、第2実施形態のテーブル14の上面には、そのテーブル中心Cから半径方向に延びたガイド溝31(本発明のガイド部に相当)が3本形成されている。各ガイド溝31は、テーブル14の上面において、テーブル中心Cを通ってテーブル14の上面に垂直な軸周りに等間隔(θ1=120°)で形成されている。そして、各ガイド溝31は、各ワーク支持部15Aのアーム支点25をそれぞれスライド移動可能に支持している。これにより、各ワーク支持部15Aをガイド溝31に沿って個別に位置調整することができる。
ワーク支持部15Aは、ガイド溝31に沿ってスライド移動自在に支持されているアーム支点25と、第1実施形態のアーム26とは異なりアーム長手方向に伸縮自在なアーム26Aと、を備えている点を除けば、上記第1実施形態のワーク支持部15と基本的に同じである。
<第2実施形態の効果>
このように第2実施形態の各ワーク支持部15Aは、ガイド溝31に沿って位置調整可能で且つアーム26Aがアーム長手方向に伸縮自在であるので、ワーク11の大きさ(径)及び形状に応じて各ワーク座28の位置をそれぞれ個別に調整することができる。
図9は、各ワーク座28の位置調整を説明するための説明図である。図9に示すように、径が異なる新たなワーク11の真円度測定を行う場合、各ワーク座28が、新たなワーク11の径に対応した同一円上の位置R2に等間隔θ2(60°)で配置されるように、各アーム支点25の位置と各アーム26Aの長さとを調整する。これにより、径が異なる新たなワーク11についても上記実施形態と同様に6個のワーク座28で均一に支持することができる。
(真円度測定装置の特有の効果)
また、第2実施形態のワーク支持部15Aは、真円度測定の測定対象部分の形状中心の位置と重心Gの位置とが異なるワーク11A(図10参照)の支持にも容易に対応することができる。
図10(A),(B)は、真円度測定の測定対象部分の形状中心CSの位置と重心Gの位置とが異なるワーク11Aの上面図と側面図とを示したものである。図10(A),(B)に示すように、ブロック形状(直方体形状)のワーク11Aに形成されている穴35の真円度測定を行う場合、真円度測定装置10では、穴35の形状中心CSの位置とテーブル14のテーブル中心Cの位置とが一致するように、ワーク11Aをテーブル14上に支持する必要がある。
この際に、各ワーク支持部15Aにより形状中心CSを基準としたワーク11Aの支持を行うと、ワーク11Aの重心Gの位置を基準とした支持を行っていないため、各ワーク支持部15Aによるワーク11Aの支持が不安定になる。その結果、ワーク11Aの傾き等が発生して真円度測定の測定データに悪影響を及ぼすおそれがある。
図11は、各ワーク支持部15Aによるワーク11Aの支持を説明するための説明図である。図11に示すように、ワーク11Aの穴35の真円度測定を行う場合、穴35の形状中心CSはテーブル中心Cに一致させた状態で、各ワーク座28がワーク11Aの重心Gの位置を基準とした同一円上の位置R2に等間隔θ2で配置されるように、各アーム支点25の位置とアーム26Aの長さとを調整する。これにより、ワーク11Aを6個のワーク座28で均一に支持した状態で、穴35の真円度測定を行うことができる。
なお、第2実施形態では、ガイド溝31がテーブル中心Cから半径方向に延びた形状を有しているが、テーブル14の上面上での各ワーク支持部15Aの位置を変更可能であれば、ガイド溝31の形状は特に限定されるものではない。また、テーブル14上にガイド溝31を形成する代わりに、各ワーク支持部15Aのアーム支点25を移動自在に支持するガイドレール等の各種のガイド部を設けてもよい。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態の真円度測定装置10に設けられているワーク支持部15Bを説明するための説明図である。上記各実施形態の各ワーク支持部15,15Aにはそれぞれ2個のワーク座28が設けられているが、第3実施形態の各ワーク支持部15Bにはそれぞれ3個のワーク座28が設けられている。
なお、第3実施形態の真円度測定装置10は、ワーク支持部15の代わりにワーク支持部15Bを備える点を除けば、上記第1実施形態と基本的に同じであるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図12に示すように、各ワーク支持部15Bは、アーム支点25と、第1実施形態のアーム26とは異なる形状のアーム26Bと、不図示の3個の球支点27(図4参照)と、3個のワーク座28と、を備える。
アーム26Bは、3個のワーク座28を配置可能な形状に形成されている点を除けば、上記第1実施形態のアーム26と基本的に同じものである。
3個のワーク座28(球支点27)は、アーム26Bの上面において、アーム支点25を重心GAとする三角形の頂点であって且つ重心軸GL(図1参照)の軸周りに等間隔となるように、アーム26Bごとにそれぞれ設けられている。すなわち、3個のワーク座28は、アーム26Bの上面において、アーム支点25を中心(基準)として異なる方向に振り分けて複数配置されている。これにより、各ワーク支持部15Bに設けられた計9個のワーク座28は、ワーク11の重心Gを中心とした同一円上の位置R2において、重心軸GLの軸周りに等間隔θ3(θ3=40°)で配置される。これにより、ワーク11を9箇所で均一に支えることができる。
このように第3実施形態では、ワーク11を9箇所で均一に支えることにより、第1実施形態よりもワーク支点(ワーク座28)間の距離を短くすることができる。このため、第1実施形態よりもワーク11の自重による撓みを低減することができる。
なお、第3実施形態では、ワーク支持部15Bごとにそれぞれ3個のワーク座28が設けられているが、ワーク座28が4個以上の複数設けられていてもよい。
[第4実施形態]
図13は、第4実施形態の真円度測定装置10に設けられているワーク支持部15Cを説明するための説明図である。上記第3実施形態では、9個のワーク座28を全て同一円上の位置R2に配置しているが、第4実施形態では9個のワーク座28を径の異なる2個の同一円上の位置に振り分けて配置する。
なお、第4実施形態の真円度測定装置10は、ワーク支持部15の代わりにワーク支持部15Cを備える点を除けば、上記第1実施形態と基本的に同じであるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
図13に示すように、各ワーク支持部15Cは、第3実施形態のワーク支持部15Bのワーク座28の配置を変更したものであり、アーム支点25と、アーム26Cと、不図示の3個の球支点27(図4参照)と、3個のワーク座28と、を備える。
アーム26Cは、3個のワーク座28を径の異なる2個の同一円上の位置に振り分けて配置可能な形状を有している点を除けば、上記第3実施形態のアーム26Bと基本的に同じものである。
9個のワーク座28のうち6個のワーク座28は、重心Gを中心とした大径側の同一円上の位置R2Aで且つ重心軸GLの軸周りに等間隔θ4(θ4=60°)に配置されるように、各アーム26Cにそれぞれ2個ずつ設けられている。また、残りの3個のワーク座28は、重心Gを中心とした小径側の同一円上の位置R2Bで且つ重心軸GLの軸周りに等間隔θ5(θ5=120°)に配置されるように、各アーム26にそれぞれ1個ずつ設けられている。これより、ワーク11の底面の外周部を6か所で均一に支えると共に、ワーク11の底面の内周部を3か所で均一に支えることができる。すなわち、ワーク11を9箇所で均一に支えることができる。
このように第4実施形態では、各ワーク座28を径の異なる2個の同一円上の位置R2A,R2Bに振り分けてそれぞれ等間隔θ4,θ5に配置するので、特に大きな平面で支える必要がある大型のワーク11を撓ませることなく支持するのに有効である。
なお、第4実施形態では、各ワーク座28を径の異なる2個の同一円上の位置R2A,R2Bに振り分けてそれぞれ等間隔θ4,θ5に配置しているが、径の異なる3個以上の同一円上の位置に振り分けてそれぞれ等間隔に配置してもよい。
[第5実施形態]
図14は、第5実施形態の真円度測定装置10に設けられているワーク支持部15Dを説明するための説明図である。上記第1実施形態では、ワーク支持部15ごとに2点でワーク11を支持するが、第5実施形態ではワーク支持部15Dごとに4点でワーク11を支持する。
なお、第5実施形態の真円度測定装置10は、ワーク支持部15の代わりにワーク支持部15Dを備える点を除けば、上記第1実施形態と基本的に同じであるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
各ワーク支持部15Dは、アーム26のアーム長手方向両端部にそれぞれサブ支持部40が設けられている点を除けば、第1実施形態のアーム26と基本的に同じである。
サブ支持部40は、本発明の第1当接部に相当するものであり、2点でワーク11に当接する。このサブ支持部40は、アーム支点41と、アーム42と、不図示の2個の球支点27(図4参照)と、2個のワーク座45とを有する。
アーム支点41は、本発明の第2支点に相当するものであり、アーム26のアーム長手方向両端部の上面にそれぞれ設けられている。このアーム支点41は、本発明の第2アームに相当するアーム42のアーム長手方向の中央部を、水平な軸周りに揺動自在に支持する。
各アーム42のアーム長手方向両端部の上面には、それぞれ不図示の球支点27(図4参照)が設けられている。これら球支点27は、アーム支点41を中心として左右均等に振り分けられた状態でアーム長手方向両端部の上面にそれぞれ設けられている。各球支点27は、ワーク座45を任意の方向に揺動自在に支持する。すなわち、ワーク座45は、アーム42の上面において、アーム支点41から異なる方向に振り分けて複数配置されている。
ワーク座45は、本発明の第2当接部に相当するものであり、ワーク11の底面に当接する。この第5実施形態では、ワーク支持部15Dごとに2個のサブ支持部40が設けられ、さらに各サブ支持部40のアーム42にはそれぞれ2個のワーク座45が揺動自在に設けられているので、ワーク11の底面には計12個のワーク座45が当接する。
そして、第5実施形態では、各ワーク座45が、重心Gを中心とした同一円上の位置R2で且つ重心軸GLの軸周りに等間隔θ6(θ6=30°)に配置されるように、各アーム支点25の位置、アーム26の長さ、各アーム支点41の位置と方向、アーム42の長さ、及びアーム42上でワーク座45の位置等を調整している。これにより、ワーク11を12箇所で均一に支えることができる。
このように第5実施形態では、ワーク11を12箇所で均一に支えることにより、第1実施形態よりもワーク支点(ワーク座28)間の距離を短くすることができるので、第1実施形態よりもワーク11の自重による撓みを低減することができる。また、ワーク支持部15Dごとにそれぞれ2個のサブ支持部40を設けることで、第1実施形態よりも確実に各ワーク座45をワーク11の底面の凹凸に追従させることができる。
なお、第5実施形態では、上記第1実施形態の各ワーク座28(球支点27)をそれぞれサブ支持部40で置き換えた例について説明したが、上記第1実施形態以外の各実施形態の各ワーク座28をそれぞれサブ支持部40で置き換えてもよい。また、サブ支持部40として、上記第3実施形態のワーク支持部15B或いは上記第4実施形態のワーク支持部15Cと同構造のものを用いてもよい。
また、上記第5実施形態において、各サブ支持部40の各ワーク座45をそれぞれサブ支持部40と同構造のもので置き換えてもよい。この場合、ワーク11を24箇所で均一に支えることができる。
[その他]
上記各実施形態では、各アーム支点25及び各ワーク座28,45をワーク11の重心Gを中心とした同一円上の位置に等間隔で配置しているが、下記の図15に示すように各アーム支点25及び各ワーク座28を必ずしも同一円上の位置に等間隔で配置する必要はない。
図15は、アーム支点25及びワーク座28の配置の他実施形態を説明するための説明図である。図15に示すように、他実施形態では、3個のアーム支点25(ワーク支持部15)の重心がワーク11Bの重心と一致するように、3個のアーム支点25をテーブル14の上面に配置している。すなわち、各アーム支点25(ワーク支持部15)を、2点を結ぶ第1線分L1の中点に対して、残りの1点からワーク11の重心Gを通って延びた第2線分L2の中点が垂直に交わるように配置している。
この場合にも、ワーク11Bを各ワーク座28で6点支持して、各ワーク座28にかかるワーク11Bの荷重を略均一化することができる。また、各ワーク座28をワーク11Bの底面の凹凸に追従させた状態で当接させることができる。その結果、上記各実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
上記各実施形態では、真円度測定装置10におけるワーク11の支持装置を例に挙げて説明したが、例えば3次元測定装置或いは表面形状測定装置などのワーク11の形状を測定する各種形状測定装置におけるワーク11の支持装置に本発明を適用できる。
10 真円度測定装置,11,11A,11B ワーク,14 テーブル,15,15A〜15D ワーク支持部,25 アーム支点,26,26A〜26C アーム,28 ワーク座,31 ガイド溝,40 サブ支持部,45 ワーク座

Claims (3)

  1. ワークの形状を測定する形状測定装置に設けられたワークの支持装置において、
    水平なテーブルと、
    前記テーブルの上面に設けられた3個の第1支点と、
    前記第1支点ごとに揺動自在に支持された第1アームであって、且つアーム長手方向の中央部が前記第1支点により揺動自在に支持されている第1アームと、
    前記第1支点ごとの前記第1アームの上面において該第1支点から異なる方向に振り分けて複数設けられ球支点と、
    前記球支点ごとに個別に任意の方向に揺動自在に支持され、前記ワークにそれぞれ当接する複数のワーク座と、
    を備えるワークの支持装置。
  2. 前記テーブルの上面に沿って前記第1支点を移動自在に支持するガイド部を備える請求項1に記載のワークの支持装置。
  3. 前記第1アームは、当該第1アームのアーム長手方向に伸縮自在である請求項1又は2に記載のワークの支持装置。
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