JP6213091B2 - アンダートレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカを含むゴム組成物であって、低転がり抵抗性、耐久性及び加工性を従来レベルよりも向上するようにしたアンダートレッド用ゴム組成物に関する。
空気入りタイヤのアンダートレッドには、低発熱性や耐疲労性(耐久性)を確保するために、天然ゴム及びブタジエンゴムにソフトカーボンブラックを50重量部程度配合したゴム組成物が一般的に用いられている。
近年、地球環境への負荷低減などを目的として、転がり抵抗をさらに低減し、燃費性能を改良する空気入りタイヤの需要が高まっている。転がり抵抗を一層低減するためにアンダートレッド用ゴム組成物にシリカを配合することが検討されているが、上述した天然ゴム及びブタジエンゴムを主成分にするジエン系ゴムでは、シリカを分散させることが困難であり、通常用いられる硫黄含有シランカップシング剤を配合しても、天然ゴム及びブタジエンゴムとの反応効率が必ずしも十分でなくシリカを十分に分散させることができなかった。
一方、メルカプトシランカップリング剤は、天然ゴム及びブタジエンゴムとの反応効率が高いものの、スコーチ時間が短くなり過ぎて押出性などの加工性が悪化するという問題がある。このため特許文献1は、メルカプト基を含むシリコンオリゴマーを配合することにより、ゴム組成物の加工性を確保しながらシリカの分散性を改良することを提案している。このゴム組成物は低転がり抵抗性及び加工性を改良する効果が認められるものの、アンダートレッドに要求される耐久性を確保することが困難であった。
国際公開第2013/031488号
本発明の目的は、低転がり抵抗性、耐久性及び加工性を従来レベルよりも向上するようにしたシリカを含むアンダートレッド用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを50〜90重量部、末端変性されたポリブタジエンゴムを10〜50重量部含むジエン系ゴム100重量部に、シリカを15〜40重量部、窒素吸着比表面積が20〜60m2/gであるカーボンブラックを15〜35重量部を配合し、前記シリカ及びカーボンブラックの合計が30〜55重量部で、硫黄含有シランカップリング剤を前記シリカの配合量に対し0.1〜20重量%配合すると共に、該硫黄含有シランカップリング剤が下記式(1)に記載の平均組成式で表されることを特徴とする。
Figure 0006213091
(式(1)中、Aは下記式(2)で表されるスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは下記式(3)で表される加水分解性基、Dは下記式(4)で表されるメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基であり、a〜eは、0<a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2の実数で、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。
Figure 0006213091
(式(2)中、nは1〜10の整数、xは1〜4の整数を表す。)
Figure 0006213091
(式(3)中、R 2 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。)
Figure 0006213091
(式(4)中、mは1〜10の整数を表す。)
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムと、末端変性されたポリブタジエンゴムを含むジエン系ゴム100重量部に、シリカを15〜40重量部、窒素吸着比表面積が20〜60m2/gのカーボンブラックを15〜35重量部を配合し、シリカ及びカーボンブラックの合計を30〜55重量部にし、特定の平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤をシリカ配合量に対し0.1〜20重量%配合するようにしたので、シリカの分散性を改良し転がり抵抗性を低減すると共に、耐久性及び加工性を従来レベル以上に向上することができる。
前記末端変性されたポリブタジエンゴムとしては、アミノ基またはポリオルガノシロキサン基を有することが好ましい。
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、低転がり抵抗性、耐久性及び加工性を従来レベルよりも向上することができる。
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムからなり、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムと、末端変性されたポリブタジエンゴム(以下、「変性BR」という。)を必ず含む。また上記以外の他のジエン系ゴムを本発明の目的を阻害しない範囲で含むこともできる。
ジエン系ゴムの組成は、天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを50〜90重量部、好ましくは60〜80重量部、変性BRを10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部含有するようにする。また他のジエン系ゴムを0〜40重量、好ましくは0〜20重量配合することができる。これら天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴム、変性BR及び他のジエン系ゴムの含有量の合計を100重量部にする。
天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムが50重量部未満であると、ドラム耐久性が悪化する。また天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムが90重量部を超えると、低転がり抵抗性が悪化する。
他のジエン系ゴムは任意成分であり、その配合量の上限は好ましくは40重量、より好ましくは20重量である。他のジエン系ゴムとしては、例えばスチレンブタジエンゴム、末端変性されたスチレンブタジエンゴム、末端変性されていないブタジエンゴム、ブチルゴム、イソブチレン/p−メチルスチレン共重合体ゴムの臭素化物、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等を例示することができる。なかでもスチレンブタジエンゴム、末端変性されたスチレンブタジエンゴム、イソブチレン/p−メチルスチレン共重合体ゴムの臭素化物が好ましい。
変性BRの含有量は、10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部にする。変性BRの含有量が10重量部未満であるとシリカの分散性が不足し低転がり抵抗性及び耐久性を十分に改良することができない。また変性BRの含有量が50重量部を超えると耐久性を十分に改良することができない。
本発明において、変性BRは、その分子末端の両方又は片方をシリカ表面のシラノール基と反応性を有する官能基で変性したブタジエンゴムである。シラノール基と反応する官能基としては、好ましくはポリオルガノシロキサン基、ヒドロキシル基含有ポリオルガノシロキサン構造、アルコキシシリル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、アミド基、チオール基、エーテル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。なかでもアミノ基、ポリオルガノシロキサン基がより好ましい。
ポリオルガノシロキサン基としては、好ましくは下記式(5)の構造を有するポリオルガノシロキサンであるとよい。
Figure 0006213091
(式(5)中、R1〜R8は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違してもよい。X1およびX4は、ブタジエン重合体鎖の末端と反応する官能基を有する基、または炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基であり、X1およびX4は互いに同一であっても相違してもよい。X2は、ブタジエン重合体鎖の末端と反応する官能基を有する基である。X3は、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、X3の一部は2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基から導かれる基であってもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
本発明のゴム組成物に使用する変性BRを調製する方法は、特に限定されるものではなく、通常の製造方法を適用することができる。好適な変性BRの製造方法としては、例えば、飽和炭化水素系化合物を溶媒とし、重合開始剤に有機リチウム化合物を用いて1,3−ブタジエン重合を行い、得られたブタジエン系重合体の活性末端と反応可能な官能基を有する化合物、より好ましくは活性末端と反応可能な官能基を有するポリオルガノシロキサン化合物にて変性反応させて得る方法を例示することができる。
また変性BRは、好ましくはビニル単位含有量が10〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%であるとよい。変性BRのビニル単位含有量が10重量%未満であると、シリカとの親和性が不足し低転がり抵抗性及び耐久性を十分に改良することができない。また変性BRのビニル単位含有量が30重量%を超えると、転がり抵抗性が悪化する。なお変性BRのビニル単位含有量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。ブタジエンゴムにおけるビニル単位含有量の増減は、触媒等、通常の方法で適宜調製することができる。
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、シリカ及びカーボンブラックを配合する。シリカはジエン系ゴム100重量部に対し15〜40重量部、好ましくは20〜35重量部配合する。またカーボンブラックはジエン系ゴム100重量部に対し15〜35重量部、好ましくは15〜25重量部配合する。これらシリカ及びカーボンブラックの合計が30〜55重量部、好ましくは35〜50重量部になるようにする。
シリカの配合量が15重量部未満であると、ゴム組成物の発熱性を抑制しタイヤにしたときの転がり抵抗を低減する効果が十分に得られない。シリカの配合量が40重量部を超えると、ゴム組成物の強度が却って低くなり、タイヤ耐久性が不足する。
カーボンブラックの配合量が15重量部未満であると、ゴム組成物の強度が低くなり、タイヤ耐久性が不足する。カーボンブラックの配合量が25重量部を超えると、発熱性を低減することができない。
さらにシリカ及びカーボンブラックの配合量の合計が30重量部未満であると、ゴム組成物の強度が低くなり、タイヤ耐久性が不足する。またシリカ及びカーボンブラックの合計が55重量部を超えると、発熱性を低減することができない。
シリカの種類としては、例えば湿式法シリカ、乾式法シリカあるいは表面処理シリカなどを使用することができる。シリカの粒子径は、特に制限されるものではないが、例えばCTAB比表面積が、好ましくは100〜230m2/g、より好ましくは100〜185m2/gであるとよい。シリカのCTAB比表面積が100m2/g未満であると、ゴム組成物の強度が低くなり、タイヤ耐久性が不足することがある。またシリカのCTAB比表面積が230m2/gを超えると、発熱性の低減効果が少なくなることがある。本発明において、シリカのCTAB比表面積は、JIS K6217−3に準拠して求めるものとする。
またカーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積が20〜60m2/g、好ましくは30〜50m2/gであるカーボンブラックを使用する。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が20m2/g未満であると、耐久性を確保することができない。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積が60m2/gを超えると、発熱性を低減することができない。本発明において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
本発明のゴム組成物は、シリカおよびカーボンブラック以外の他の補強性充填剤を配合することができる。他の補強性充填剤としては、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、水酸化アルミニウム等を例示することができる。
本発明のゴム組成物は、下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を配合する。
Figure 0006213091
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基であり、a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2の実数で、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)
式(1)において、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基である。添え字a=0のときAは存在せず、0<a<1のときAが存在する。Aが存在することにより、2分子のシロキサン化合物を橋渡し高分子量化することができる。これによりメルカプト基の含有割合を小さくしゴム組成物の加工性を維持することができる。一方、Aが存在しない(a=0)とき、硫黄含有シランカップリング剤はよりシリカとの反応性に富むという特徴を有する。
スルフィド基を含有する2価の有機基Aとしては、特に制限されるものではなく、単数又は複数のスルフィド基と単数又は複数の2価の炭化水素基が結合した有機基であればよい。好ましくは単数又は複数のスルフィド基の両側に2価の炭化水素基が結合した有機基であるとよい。2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族環化水素基が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、例えばメチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アルケニレン基を例示することができる。炭素数4以上のアルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
スルフィド基を含有する2価の有機基Aとしては、例えば下記式(2)で表される有機基であるとよい。
Figure 0006213091
(式(2)中、nは1〜10の整数、xは1〜4の整数を表す。)
nは、1〜10の整数、好ましくは2〜5の整数である。nをこのような範囲の整数にすることにより、シリカとの反応性と加工性を両立することができる。
xは、1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数である。xをこのような範囲の整数にすることにより、加工性をより改善することができる。
スルフィド基を含有する2価の有機基Aとして、例えば、−C36−S2−C36−,−CH2−S2−CH2−,−C24−S2−C24−,−C48−S2−C48−,−C36−S4−C36−,−CH2−S4−CH2−,−C24−S4−C24−,−C48−S4−C48−の標記特許出願の拒絶理由通知について等を例示することができる。なかでも−C36−S2−C36−,−C36−S4−C36−が好ましい。
前記式(1)において、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基Bとしては、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族環化水素基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数5〜10、より好ましくは6〜9のアルキル基、アルケニル基であるとよい。炭化水素基Bとしては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基を例示することができる。なかでも1価の炭化水素基Bとしては、オクチル基が好ましい。なお1価の炭化水素基Bは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含まないことが好ましい。
1価の炭化水素基Bの存在割合を示す添字bは、0<b<1の実数である。添字bは、添字a=0のとき好ましくは0.10<b<0.89であるとよい。また添字bは、0<a<1のときも同様に好ましくは0.10<b<0.89であるとよい。
前記式(1)において、Cは一価の加水分解性基である。加水分解性基Cとしては、例えばアルコキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基等が例示され、好ましくは下記式(3)で表されるとよい。
Figure 0006213091
(式(3)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。)
加水分解性基Cとしてはアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であるとよく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等を例示することができる。なかでもエトキシ基が好ましい。
加水分解性基Cの存在割合を示す添字cは、0<c<3の実数である。添字cは、添字a=0のとき好ましくは0<c<2.0、より好ましくは1.2<c<2.0であるとよい。また添字cは、0<a<1のとき、好ましくは0<c<2.5、より好ましくは0.5<c<2.0であるとよい。
前記式(1)において、Dはメルカプト基を含有する一価の有機基である。メルカプト基を含有する有機基Dとしは、特に限定されるものではなく、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族環化水素基の少なくとも一つの水素原子がメルカプト基に置換されたものであればよい。メルカプト基が結合する脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。メルカプト基を含有する有機基Dとしは、下記式(4)で表されるとよい。
Figure 0006213091
(式(4)中、mは1〜10の整数を表す。)
メルカプト基を含有する有機基Dとしては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数2〜6のメルカプト基を有するアルキル基であるとよい。例えば、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、メルカプトブチル基、メルカプトペンチル基、メルカプトヘキシル基、メルカプトヘプチル基、メルカプトオクチル基、メルカプトノニル基、メルカプトデシル基が例示される。なかでもメルカプトプロピル基、特に3−メルカプトプロピル基が好ましい。
メルカプト基を含有する有機基Dの存在割合を示す添字dは、0<d<1の実数である。添字dは、添字a=0のとき好ましくは0.1<d<0.8であるとよい。また添字dは、0<a<1のときも同様に、好ましくは0.1<d<0.8であるとよい。
前記式(1)において、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基である。炭化水素基R1としては、メチル基、炭素数2〜4のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基が挙げられ、好ましくはエチル基であるとよい。
1価の炭化水素基R1の存在割合を示す添字eは、0≦e<2の実数である。添字eは、添字a=0のとき好ましくは0.1<e<1.6であるとよい。また添字eは、0<a<1のとき、好ましくは0.1<e<0.8であるとよい。
上述した添字a〜eは、0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。添字a=0のとき、好ましくは0.3<b+c+d+e<3.5、より好ましくは0.5<b+c+d+e<3.0であるとよい。また0<a<1のとき、好ましくは0.5<2a+b+c+d+e<3.5、より好ましくは0.8<2a+b+c+d+e<3.0であるとよい。
添字a〜eが、上述した関係式を満たすことにより、ゴム組成物の加工性を確保しながら、シリカの分散性を向上することができる。
前記式(1)において、平均組成SiOの存在割合は、(4−2a−b−c−d−e)/2で表される。
前記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤は、通常の合成方法で製造することができる。また市販されたシランカップリング剤の中から適宜、選択して使用してもよい。
本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤は、前記式(1)におけるaが0<a<1のとき、0<c<3であり、A,C及びDが前記式(2)(3)及び(4)で表されることが好ましい。とりわけ硫黄含有シランカップリング剤が下記式(6)で表される構造を有するとよい。
Figure 0006213091
(l,m,n及びoは、この化合物の平均組成式が前記式(1)で表されるように決定される。)
本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤は、前記式(1)におけるaがa=0のとき、0<c<2、0≦e<2であり、Bが炭素数5〜10のアルキル基、Dが前記式(4)で表されることが好ましい。とりわけ硫黄含有シランカップリング剤が下記式(7)で表される構造を有するとよい。
Figure 0006213091
(s,t及びuは、この化合物の平均組成式が前記式(1)で表されるように決定される。)
本発明のゴム組成物において、上述した硫黄含有シランカップリング剤の配合量は、シリカ配合量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜14重量%である。硫黄含有シランカップリング剤がシリカ重量の0.1重量%未満の場合、シリカの分散性を向上する効果が得られない。また、硫黄含有シランカップリング剤が20重量%を超えても、過剰となるだけで、これ以上の改善効果を得られない。
アンダートレッド用ゴム組成物には、上述した充填剤以外にも、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤などのアンダートレッド用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。このようなゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明のアンダートレッド用ゴム組成物は、空気入りタイヤに使用することができる。このゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、耐久性が優れ、転がり抵抗が小さく燃費性能が優れエネルギー効率が高いため、地球環境に与える負荷を低減することができる。さらに、加工性が良好なため優れた品質の空気入りタイヤを安定的に生産することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表3に示す配合剤を共通配合とし、表1,2に示す配合からなる22種類のアンダートレッド用ゴム組成物(実施例1〜10、標準例、比較例1〜11)を、硫黄、加硫促進剤を除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出したマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混練することにより調製した。なお表3に記載した配合剤の量は、表1,2に記載したジエン系ゴム100重量部に対する重量部で示した。
得られた22種類のアンダートレッド用ゴム組成物について、下記に示す方法でtanδ(60℃)及び加工性を測定した。
tanδ(60℃)
得られた22種類のアンダートレッド用ゴム組成物を、所定形状の金型中で、160℃、25分間プレス加硫して加硫ゴムサンプルを作製した。得られた加硫ゴムサンプルのtanδ(60℃)を、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、温度60℃の条件で測定した。得られた結果は、標準例の値の逆数を100とする指数として、表1,2の「転がり抵抗」の欄に示した。転がり抵抗の指数が大きいほどtanδ(60℃)が小さく低発熱で、タイヤにしたときの転がり抵抗が低く、燃費性能が優れることを意味する。
加工性
得られた22種類のアンダートレッド用ゴム組成物を、オープンロールでシート出しした際のシート表面の状態を目視で5段階で判断した。平滑なシートであれば5点とし、点数が低いほど平滑性が悪化し、シートにならない場合を0点としている。3点以上であれば作業上の問題はない。
次に、上述した22種類のアンダートレッド用ゴム組成物を使用して、タイヤサイズが205/55R16の空気入りタイヤを製作した。得られた22種類の空気入りタイヤの耐久性を下記に示す方法により評価した。
耐久性
得られた空気入りタイヤをリムサイズ6.5×Jのホイールに組付け、空気圧をJATMA規定空気圧にして、JIS D4230に準拠する室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)にかけて、JATMA規定加重の150%を負荷し、速度81km/hの条件で、タイヤ故障を起こすまでの走行距離を測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として、表1,2の「耐久性」の欄に示した。耐久性の指数が大きいほどタイヤ耐久性が優れていることを意味する。
Figure 0006213091
Figure 0006213091
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、SIR−20
・BR:未変性のブタジエンゴム、ビニル単位含有量が1重量%、日本ゼオン社製Nipol BR1220
・SBR:日本ゼオン社製Nipol 1502
・変性BR1:末端をアミノ基で変性したブタジエンゴム、ビニル単位含有量が11重量%、日本ゼオン社製Nipol BR1250H
・変性BR2:末端をポリオルガノシロキサン基で変性したブタジエンゴム、ビニル単位含有量が12重量%、下記の製造方法により調製した。
〔変性BR2の製造方法〕
窒素置換された内容量10Lのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン4000g、1,3−ブタジエン600g、およびテトラメチルエチレンジアミン0.28ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウムをシクロヘキサンと1,3−ブタジエンとに含まれる重合を阻害する不純物の中和に必要な量を添加し、さらに、n−ブチルリチウムを重合反応に用いる分として7.7ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合を開始してから20分経過後、1,3−ブタジエン400gを30分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は80℃であった。連続添加終了後、さらに15分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、過剰のメタノールを添加して反応停止した後、末端にジグリシジルエーテル基を含有するポリオルガノシロキサンA0.027ミリモルを濃度20%のキシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加してポリブタジエンゴムを含有する重合溶液を得た。その後、乾燥機中で乾燥を行い、変性BR2を得た。変性BR2のビニル単位含有量を赤外分光分析(ハンプトン法)により測定したところ12重量%であった。
ポリオルガノシロキサンA; 下記式(5)の構造を有するポリオルガノシロキサンであって、m=80、n=0、k=120、X1,X4,R1〜R3,R5〜R8がそれぞれメチル基(−CH3)、X2が下記式(8)で表される炭化水素基であるポリオルガノシロキサン
Figure 0006213091
Figure 0006213091
・CB1:、窒素吸着比表面積が116m2/gのカーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN234
・CB2:、窒素吸着比表面積が40m2/gのカーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN550
・CB3:、窒素吸着比表面積が35m2/gのカーボンブラック、エボニック社製N660
・シリカ1:CTAB比表面積が205m2/gのシリカ、ローディア社製Zeosil 200MP
・シリカ2:CTAB比表面積が160m2/gのシリカ、ローディア社製Zeosil 1165MP
・シリカ3:CTAB比表面積が110m2/gのシリカ、ローディア社製Zeosil 115GR
・カップリング剤1:平均組成式(−C36−S4−C36−)0.071(−C8170.571(−OC251.50(−C36SH)0.286SiO0.75で表される硫黄含有シランカップリング剤、信越化学工業社製9511D
・カップリング剤2:平均組成式(−C8170.667(−OC251.50(−C36SH)0.333SiO0.75で表される硫黄含有シランカップリング剤、信越化学工業社製9457D
・カップリング剤3:平均組成式(C25O)3Si(CH234(CH23Si(OC25)で表される硫黄含有シランカップリング剤、エボニクデグサ社製Si69
・カップリング剤4:平均組成式C25OSi−O[(CH2CH2O)5−C1327]2−(CH23−SHで表される硫黄含有シランカップリング剤、エボニクデグサ社製Si363
Figure 0006213091
表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・アロマオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:千葉脂肪酸社製工業用ステアリン酸N
・老化防止剤:精工化学社製オゾノン6C
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G
表1,2から明らかなように実施例1〜10のアンダートレッド用ゴム組成物は、転がり抵抗性(60℃のtanδ)を低減し、耐久性及び加工性を従来レベル以上に維持・向上することが確認された。
比較例1,2のゴム組成物は、変性BRの代わりに未変性のブタジエンゴムを配合したので、加工性とタイヤ耐久性が劣る。比較例3のゴム組成物は、標準例のゴム組成物に対しでカーボンブラックを窒素吸着比表面積が60m2/gを超えるCB1に変更し配合量を調節して60℃のtanδを合わせたが、加工性とタイヤ耐久性が劣る。比較例4のゴム組成物は、標準例のゴム組成物に対しでカーボンブラックを窒素吸着比表面積が20m2/g未満のCB3に変更することにより転がり抵抗性(60℃のtanδ)を低減したが、タイヤ耐久性が劣る。
比較例5のゴム組成物は、カーボンブラックCB1の窒素吸着比表面積が60m2/gを超えるので、加工性とタイヤ耐久性が劣る。比較例6のゴム組成物は、カーボンブラックCB3の窒素吸着比表面積が20m2/g未満であるので、タイヤ耐久性が劣る。比較例7のゴム組成物は、カップリング剤4が、本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤の平均組成式を満たしておらず、とりわけメルカプト基の組成比が高いので、転がり抵抗及び耐久性は改良するものの、加工性が大幅に悪化する。比較例8〜10のゴム組成物は、カップリング剤3が、本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤の平均組成式を満たしていないので、タイヤ耐久性が劣る。比較例11のゴム組成物は、シリカの配合量が40重量部を超え、かつシリカ及びカーボンブラックの合計が55重量部を超えるので、転がり抵抗性(60℃のtanδ)及びタイヤ耐久性がいずれも劣る。

Claims (3)

  1. 天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムを50〜90重量部、末端変性されたポリブタジエンゴムを10〜50重量部含むジエン系ゴム100重量部に、シリカを15〜40重量部、窒素吸着比表面積が20〜60m2/gであるカーボンブラックを15〜35重量部を配合し、前記シリカ及びカーボンブラックの合計が30〜55重量部で、硫黄含有シランカップリング剤を前記シリカの配合量に対し0.1〜20重量%配合すると共に、該硫黄含有シランカップリング剤が下記式(1)に記載の平均組成式で表されることを特徴とするアンダートレッド用ゴム組成物。
    Figure 0006213091
    (式(1)中、Aは下記式(2)で表されるスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは下記式(3)で表される加水分解性基、Dは下記式(4)で表されるメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基であり、a〜eは、0<a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2の実数で、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。
    Figure 0006213091
    (式(2)中、nは1〜10の整数、xは1〜4の整数を表す。)
    Figure 0006213091
    (式(3)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。)
    Figure 0006213091
    (式(4)中、mは1〜10の整数を表す。))
  2. 前記末端変性されたポリブタジエンゴムがアミノ基またはポリオルガノシロキサン基を有することを特徴とする請求項に記載のアンダートレッド用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のアンダートレッド用ゴム組成物を使用した空気入りタイヤ。
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