JP6210415B2 - 紫外線発光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線発光素子の製造方法に関するものである。
従来から、発光素子の製造方法としては、サファイア基板上に窒化物半導体層を形成した半導体ウエハから個々の発光素子に分割する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、半導体ウエハのサファイア基板を研磨することでサファイア基板を薄くした後に、サファイア基板にレーザ光を照射することでサファイア基板にブレイク・ラインを形成し、その後、半導体ウエハをブレイク・ラインに沿って発光素子に分割するようにした、発光素子の製造方法が記載されている。
特開2003−218065号公報
本願発明者らは、紫外線発光素子の製造方法に、上述の窒化物半導体素子の製造方法を適用した場合には、研磨中あるいはレーザ光の照射中にウェハが割れてしまうという知見を得た。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、製造歩留りの向上を図ることが可能な紫外線発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明の紫外線発光素子の製造方法は、サファイアウェハの第1面上に窒化物半導体層を積層したウェハから個々の紫外線発光素子に分割する紫外線発光素子の製造方法であって、前記紫外線発光素子はUV−Cの波長域に発光波長を有する紫外線を放射するように構成されており、前記ウェハの前記窒化物半導体層側から前記サファイアウェハの厚み方向の途中まで到達する割溝を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記ウェハの厚みを薄くするように前記ウェハを前記サファイアウェハの第2面側から研磨する第2工程と、前記第2工程の後に前記割溝に沿って前記ウェハを分割する第3工程と、を備え、前記第1工程は、前記ウェハにレーザ光を照射することにより前記割溝を形成し、前記第2工程では、前記ウェハを予め設定された規定厚さとするように前記サファイアウェハを研磨し、前記第1工程では、前記ウェハの反りを低減するように前記割溝を形成し、前記第1工程で形成する前記割溝の深さが、前記規定厚さの40%以上80%未満の範囲内の規定値に予め設定されていることを特徴とする。
本発明の紫外線発光素子の製造方法においては、製造歩留りの向上を図ることが可能になるという効果がある。
図1(a)〜(d)は、実施形態の紫外線発光素子の製造方法の模式的な説明図である。 図2は、実施形態の紫外線発光素子の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 図3は、実施形態の紫外線発光素子の製造方法を説明するための主要工程断面図である。 図4(a)は、第1工程後のウェハの概略平面図である。図4(b)は、第1工程後のウェハの要部説明図である。 図5は、実施形態の紫外線発光素子の製造方法により製造される紫外線発光素子の概略断面図である。 図6は、サファイアウェハの切り込み深さとウェハの反り量との関係説明図である。 図7(a)、(b)は、ウェハの反り量の測定方法の説明図である。 図8(a)、(b)は、ウェハの反り量が低減される原理を説明するための推定メカニズム図である。 図9は、ウェハの厚さに対する割溝の深さの割合とウェハの反り量との関係説明図である。
以下では、本実施形態の紫外線発光素子B1の製造方法について図1〜9に基づいて説明する。
本実施形態の紫外線発光素子B1の製造方法は、サファイアウェハ10の第1面10a上に窒化物半導体層20を積層したウェハ30から個々の紫外線発光素子B1に分割する紫外線発光素子B1の製造方法である。紫外線発光素子B1の製造方法は、ウェハ30の窒化物半導体層20側からサファイアウェハ10の厚み方向の途中まで到達する割溝31を形成する第1工程を備える。更に、紫外線発光素子B1の製造方法は、第1工程の後にウェハ30の厚みを薄くするようにウェハ30をサファイアウェハ10の第2面10b側から研磨する第2工程と、第2工程の後に割溝31に沿ってウェハ30を分割する第3工程と、を備える。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、製造歩留りの向上を図ることが可能になる。
第2工程では、ウェハ30の厚みを薄くするにあたり、サファイアウェハ10を所定厚さ寸法t11(図3参照)とするようにウェハ30をサファイアウェハ10の第2面10b側から研磨する。
第1工程では、割溝31のサファイアウェハ10の第1面10aからの深さ寸法D1(図3参照)を、所定厚さ寸法t11よりも小さく設定する。
紫外線発光素子B1の製造方法において、第1工程は、ウェハ30にレーザ光を照射することにより割溝31を形成することが好ましい。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、量産性の向上及び製造歩留りの向上を図ることが可能になる。
以下、紫外線発光素子B1の製造方法をより詳細に説明する前に、まず、紫外線発光素子B1の各構成要素について図5に基いて説明する。
紫外線発光素子B1は、サファイア基板1と、第1バッファ層2と、第2バッファ層3と、n形窒化物半導体層4と、発光層5と、電子ブロック層6と、p形窒化物半導体層7と、p形コンタクト層8と、を備えている。また、紫外線発光素子B1は、第1電極(n電極)14と、第2電極(p電極)17と、第1パッド15と、第2パッド18と、を備えている。紫外線発光素子B1は、メサ構造を有している。このメサ構造は、第1バッファ層2、第2バッファ層3、n形窒化物半導体層4、発光層5、電子ブロック層6、p形窒化物半導体層7及びp形コンタクト層8の積層膜の一部をp形コンタクト層8側からn形窒化物半導体層4の途中までエッチングすることで形成されている。そして、紫外線発光素子B1は、n形窒化物半導体層4の表面4a上に第1電極14が形成されている。また、紫外線発光素子B1は、メサ構造の上面の一部と側面とn形窒化物半導体層4の表面4aの一部とに跨って絶縁膜9が形成されている。絶縁膜9の材料としては、例えば、SiO等を採用することができる。
紫外線発光素子B1は、210nm〜280nmの紫外波長域に発光波長(発光ピーク波長)を有する紫外線発光ダイオードであるのが好ましい。これにより、紫外線発光素子B1は、例えば、高効率白色照明、殺菌、医療、環境汚染物質を高速で処理する用途等の分野で、利用することができる。紫外線発光素子B1は、UV−Cの波長域に発光波長を有するのが好ましい。UV−Cの波長域は、例えば国際照明委員会(CIE)における紫外線の波長による分類によれば、100nm〜280nmである。
サファイア基板1は、例えば、第1面1aが、(0001)面のサファイア基板が好ましい。つまり、サファイア基板1は、c面サファイア基板(α−Al基板)が好ましい。また、サファイア基板1は、(0001)面からのオフ角が、0〜0.3°のものが好ましい。紫外線発光素子B1は、第1バッファ層2、第2バッファ層3、n形窒化物半導体層4、発光層5、電子ブロック層6、p形窒化物半導体層7及びp形コンタクト層8が、サファイア基板1の第1面1a側に形成される。紫外線発光素子B1は、サファイア基板1の第2面1bが光取り出し面を構成している。
第1バッファ層2は、AlxGa1-xN(0<x≦1)層により構成されている。第1バッファ層2は、AlN層により構成されているのが好ましい。
第1バッファ層2は、貫通転位を減少させることを目的として設けた層である。第1バッファ層2は、膜厚が薄すぎると貫通転位の減少が不十分となりやすく、膜厚が厚すぎると格子不整合に起因したクラックの発生や、複数の紫外発光素子を形成するウェハの反りが大きくなり過ぎる懸念がある。このため、第1バッファ層2の膜厚は、例えば、500nm〜10μm程度の範囲で設定するのが好ましく、1μm〜5μmの範囲で設定するのが、より好ましい。第1バッファ層2の膜厚は、4μmに設定してあるが、一例であり、特に限定するものではない。
第2バッファ層3は、発光層5の貫通転位を低減するとともに発光層5の残留歪を低減するために設けた層である。第2バッファ層3は、AlyGa1-yN(0<y<1、y<x)層により構成されている。第2バッファ層3を構成するAlyGa1-yN(0<y<1、y<x)層の組成比は、発光層5で発光する紫外線を効率良く放出できるように設定するのが好ましい。第2バッファ層3の膜厚は、0.5μmに設定してあるが、一例であり、特に限定するものではない。
n形窒化物半導体層4は、発光層5へ電子を輸送するための層である。n形窒化物半導体層4は、n形AlzGa1-zN(0<z<1)層により構成してある。n形窒化物半導体層4を構成するn形AlzGa1-zN(0<z<1)層の組成比は、発光層5で発光する紫外光を効率良く放出できるように設定するのが好ましい。例えば、発光層5が障壁層と井戸層とで構成される量子井戸構造を有し、井戸層のAlの組成が0.5、障壁層のAlの組成が0.65の場合、n形AlzGa1-zN(0<z<1)のAlの組成であるzは、障壁層のAlの組成と同じ0.65とすることができる。すなわち、発光層5の井戸層がAl0.5Ga0.5N層により構成され、障壁層がAl0.65Ga0.35N層により構成される場合、n形窒化物半導体層4は、例えば、n形Al0.65Ga0.35N層により構成することができる。n形窒化物半導体層4の膜厚は、一例として2μmに設定してあるが、特に限定するものではない。なお、n形窒化物半導体層4のドナー不純物としては、例えば、Siが好ましい。また、n形窒化物半導体層4の電子濃度は、例えば、1×1018〜1×1019cm-3程度の範囲で設定すればよい。
発光層5は、注入されたキャリア(ここでは、電子と正孔)を光に変換する層である。発光層5は、量子井戸構造を有しているのが好ましい。発光層5は、量子井戸構造の井戸層が、AlaGa1-aN(0<a≦1)層により構成されているのが好ましい。AlaGa1-aN(0<a≦1)層からなる井戸層を備えた発光層5は、井戸層のAlの組成であるaを変化させることにより、発光波長を210nm〜360nmの範囲で任意の発光波長に設定することが可能である。例えば、所望の発光波長が265nm付近である場合には、Alの組成であるaを0.50に設定すればよい。発光層5は、量子井戸構造の井戸層が、InAlGaN層により構成されていてもよい。
量子井戸構造は、多重量子井戸構造でもよいし、単一量子井戸構造でもよい。また、井戸層及び障壁層の各膜厚は、特に限定するものではない。ただし、発光層5は、井戸層の膜厚が厚すぎると、井戸層に注入された電子及び正孔が、量子井戸構造における格子不整合に起因するピエゾ電界に起因して、空間的に分離してしまい、発光効率が低下する。また、発光層5は、井戸層の膜厚が薄すぎる場合、キャリアの閉じ込め効果が低下し、発光効率が低下する。このため、井戸層の膜厚は、1nm〜5nm程度が好ましく、1.3nm〜3nm程度が、より好ましい。また、障壁層の膜厚は、例えば、5nm〜15nm程度の範囲で設定することが好ましい。紫外線発光素子B1では、一例として、井戸層の膜厚を2nmに設定し、障壁層の膜厚を10nmに設定してあるが、これらの膜厚に限定するものではない。紫外線発光素子B1は、発光層5が量子井戸構造を有した構成に限らず、例えば、発光層5がn形窒化物半導体層4とp形窒化物半導体層7とで挟まれたダブルヘテロ構造でもよい。
電子ブロック層6は、発光層5へ注入された電子のうち、発光層5中で正孔と再結合されなかった電子が、p形窒化物半導体層7側へ漏れる(オーバーフローする)のを抑制するために、発光層5とp形窒化物半導体層7との間に好適に設けることができる。電子ブロック層6は、p形AlcGa1-cN(0<c<1)層により構成してある。p形AlcGa1-cN(0<c<1)層の組成比は、特に限定するものではないが、電子ブロック層6のバンドギャップエネルギが、p形窒化物半導体層7もしくは障壁層のバンドギャップエネルギよりも高くなるように設定することが好ましい。また、電子ブロック層6の正孔濃度は、特に限定するものではない。また、電子ブロック層6の膜厚については、特に限定するものではないが、膜厚が薄すぎるとオーバーフローを抑制する効果が減少し、膜厚が厚すぎると紫外線発光素子B1の抵抗が大きくなってしまう。電子ブロック層6の膜厚については、Alの組成であるcや正孔濃度等の値によって適した膜厚が変化するので、一概には言えないが、1nm〜50nmの範囲で設定することが好ましく、5nm〜25nmの範囲で設定することが、より好ましい。
p形窒化物半導体層7は、発光層5へ正孔を輸送するための層である。p形窒化物半導体層7は、p形AldGa1-dN(0<d<1)層により構成してあるのが好ましい。p形AldGa1-dN(0<d<1)層の組成比は、発光層5で発光する紫外線を吸収しない組成比であれば、特に限定するものではない。例えば、上述のように発光層5における井戸層のAlの組成が0.5、障壁層のAlの組成が0.65の場合、p形AldGa1-dN(0<d<1)層のAlの組成であるdは、例えば、障壁層のAlの組成であるaと同じ0.65とすることができる。すなわち、発光層5の井戸層がAl0.5Ga0.5N層からなる場合、p形窒化物半導体層7は、例えば、p形Al0.65Ga0.35N層により構成することができる。p形窒化物半導体層7のアクセプタ不純物としては、例えば、Mgが好ましい。
p形窒化物半導体層7の正孔濃度は、特に限定するものではなく、p形窒化物半導体層7の膜質が劣化しない正孔濃度の範囲において、より高い濃度のほうが好ましい。しかしながら、p形AldGa1-dN(0<d<1)層の正孔濃度がn形AlzGa1-zN(0<z≦1)層の電子濃度よりも低いので、p形窒化物半導体層7の膜厚が、厚すぎると、紫外線発光素子B1の抵抗が大きくなりすぎる。このため、p形窒化物半導体層7の膜厚は、200nm以下が好ましく、100nm以下が、より好ましい。なお、紫外線発光素子B1では、一例として、p形窒化物半導体層7の膜厚を20nmに設定している。
p形コンタクト層8は、第2電極17との接触抵抗を下げ、第2電極17との良好なオーミック接触を得るために設けてある。p形コンタクト層8は、p形GaN層により構成してあるのが好ましい。p形コンタクト層8を構成するp形GaN層の正孔濃度は、p形窒化物半導体層7よりも高濃度とすることが好ましく、例えば、7×1017cm-3程度とすることにより、第2電極17との良好なオーミック接触を得ることが可能である。ただし、p形GaN層の正孔濃度は、特に限定するものではなく、第2電極17との良好なオーミック接触が得られる正孔濃度の範囲で適宜変更してもよい。p形コンタクト層8の膜厚は、100nmに設定してあるが、これに限らず、例えば、50nm〜150nmの範囲で設定すればよい。
n電極である第1電極14は、n形窒化物半導体層4と電気的に接続されている。第1電極14は、膜厚が20nmのTi膜と、膜厚が100nmのAl膜と、膜厚が20nmのTi膜と、膜厚が200nmのAu膜との積層膜をn形窒化物半導体層4の露出した表面4a上に形成してから、アニール処理を行うことにより形成されている。この積層膜の構成や膜厚等は、特に限定するものではない。また、紫外線発光素子B1は、第1電極14上に、例えばAu膜からなる第1パッド15が好適に設けられている。第1パッド15は、第1電極14の形成後に、形成してある。なお、第1パッド15については、第1電極14と別途に形成せずに、第1電極14が第1パッド15を兼ねるようにしてもよい。
p電極である第2電極17は、p形コンタクト層8を介してp形窒化物半導体層7と電気的に接続されているのが好ましい。第2電極17は、膜厚が15nmのNi膜と、膜厚が100nmのAu膜との積層膜をp形コンタクト層8上に形成してから、アニール処理を行うことにより形成されている。この積層膜の構成や膜厚等は、特に限定するものではない。また、紫外線発光素子B1は、第2電極17上に、例えばAu膜からなる第2パッド18が好適に設けられている。第2パッド18は、第2電極17の形成後に、形成してある。
紫外線発光素子B1のチップサイズは、400μm□(400μm×400μm)に設定してあるが、これに限らない。チップサイズは、例えば、200μm□(200μm×200μm)〜1mm□(1mm×1mm)程度の範囲で適宜設定することができる。また、紫外線発光素子B1の平面形状は、正方形状に限らず、例えば、長方形状等でもよい。紫外線発光素子B1の平面形状が、長方形状の場合、紫外線発光素子B1のチップサイズは、例えば、500μm×240μmとすることができる。
以下、本実施形態の紫外発光素子B1の製造方法についてより詳細に説明する。
(1)サファイアウェハ10の準備
サファイアウェハ10は、円板状のサファイア基板である。サファイアウェハ10は、オリエンテーションフラット(OF)が形成されているのが好ましい。サファイアウェハ10の厚みは、例えば、数100μm〜数mmのものが好ましく、200μm〜1mmのものがより好ましい。サファイアウェハ10の直径は、例えば、50.8mm〜150mmのものが好ましい。
サファイアウェハ10は、例えば、日本電子工業振興協会(JEIDA)や、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)等の規格を満たすか準拠したものが好ましい。サファイアウェハ10に関しては、例えば、SEMI M65−0306で規格化されている化合物半導体エピタキシャルウェハに使用するサファイア基板の仕様を満たすか準じているものが好ましい。また、サファイアウェハ10は、第1面10aとして、例えば、c面、m面、a面、R面等を採用することができ、c面である(0001)面が好ましい。また、サファイアウェハ10の第1面10aは、(0001)面からのオフ角が、0〜0.3°のものが好ましい。
(2)サファイアウェハ10の第1面10a上に窒化物半導体層20を積層する工程
窒化物半導体層20は、第1バッファ層2、第2バッファ層3、n形窒化物半導体層4、発光層5、電子ブロック層6、p形窒化物半導体層7及びp形コンタクト層8の積層膜である。要するに、窒化物半導体層20は、多層構造のエピタキシャル層である。窒化物半導体層20は、積層膜の積層構造を特に限定するものではない。窒化物半導体層20は、第1バッファ層2、n形窒化物半導体層4、発光層5及びp形窒化物半導体層7を備えているのが好ましい。第2バッファ層3、電子ブロック層6及びp形コンタクト層8については、適宜設ければよい。
この工程では、窒化物半導体層20のエピタキシャル成長法として、MOVPE(metal organic vapor phase epitaxy)法を採用している。この工程では、MOVPE法として、減圧MOVPE法を採用するのが好ましい。
Alの原料ガスとしては、トリメチルアルミニウム(TMAl)を採用するのが好ましい。また、Gaの原料ガスとしては、トリメチルガリウム(TMGa)を採用するのが好ましい。Nの原料ガスとしては、NH3を採用するのが好ましい。n形導電性を付与する不純物であるSiの原料ガスとしては、テトラエチルシラン(TESi)を採用するのが好ましい。p形導電性に寄与する不純物であるMgの原料ガスとしては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を採用するのが好ましい。各原料ガスそれぞれのキャリアガスとしては、例えば、H2ガスを採用することが好ましい。
各原料ガスは、特に限定するものではなく、例えば、Gaの原料ガスとしてトリエチルガリウム(TEGa)、Nの原料ガスとしてヒドラジン誘導体、Siの原料ガスとしてモノシラン(SiH4)を用いてもよい。
窒化物半導体層20の成長条件は、基板温度、V/III比、各原料ガスの供給量、成長圧力等を適宜設定すればよい。
窒化物半導体層20のエピタキシャル成長法は、MOVPE法に限らず、例えば、MBE(molecular beam epitaxy)法等でもよい。
(3)p形不純物を活性化するためのアニールを行う工程
この工程は、アニール装置のアニール炉内において所定のアニール温度で所定のアニール時間だけ保持することにより、電子ブロック層6、p形窒化物半導体層7及びp形コンタクト層8のp形不純物を活性化する工程である。アニール条件は、アニール温度を750℃、アニール時間を10分に設定してあるが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。アニール装置としては、例えば、ランプアニール装置、電気炉アニール装置等を採用することができる。
(4)メサ構造を形成する工程
この工程では、窒化物半導体層20においてメサ構造の上面に対応する領域上に、フォトリソグラフィ技術を利用して、第1のレジスト層を形成する。そして、この工程では、第1のレジスト層をマスクとして、窒化物半導体層20を表面側からn形窒化物半導体層4の途中までエッチングすることによって、メサ構造を形成する。更に、この工程では、第1のレジスト層を除去する。窒化物半導体層20のエッチングは、例えば、反応性イオンエッチングにより行うことができる。
(5)絶縁膜9を形成する工程
この工程では、サファイアウェハ10の第1面10a側の全面に絶縁膜9の基礎となるSiO膜を例えばPECVD(plasma-enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成する。そして、この工程では、SiO膜のうち窒化物半導体層20における第1電極14及び第2電極17それぞれの形成予定領域に重なっている部位が開口されるように、SiO膜をパターニングすることで、パターニングされた絶縁膜9を形成する。SiO膜のパターニングは、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して行う。なお、SiO膜の形成方法は、PECVD法に限らず、例えば、他のCVD法等でもよい。
(6)第1電極14を形成する工程
この工程では、まず、サファイアウェハ10の第1面10a側に、第1電極14の形成予定領域のみ(つまり、n形窒化物半導体層4のうち厚みが薄くなった部位の表面4aの一部)が露出するようにパターニングされた第2のレジスト層を形成する。そして、この工程では、例えば、膜厚が20nmのTi膜と膜厚が100nmのAl膜と膜厚が20nmのTi膜と膜厚が200nmのAu膜との積層膜を電子ビーム蒸着法により成膜する。そして、この工程では、リフトオフを行うことにより、第2のレジスト層及び第2のレジスト層上の不要膜を除去する。更に、この工程では、第1電極14とn形窒化物半導体層4との接触がオーミック接触となるように、N2ガス雰囲気中でRTA(Rapid Thermal Annealing)処理を行う。積層膜の構造及び各膜厚は、一例であり、特に限定するものではない。また、RTA処理の条件は、例えば、アニール温度を800℃、アニール時間を1分とすればよいが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。
(7)第2電極17を形成する工程
サファイアウェハ10の第1面10a側における第2電極17の形成予定領域のみ(ここでは、p形コンタクト層8の表面の一部)が露出するようにパターニングされた第3のレジスト層を形成する。そして、この工程では、例えば膜厚が15nmのNi膜と膜厚が100nmのAu膜を電子ビーム蒸着法により成膜し、リフトオフを行うことにより、第3のレジスト層及び第3のレジスト層上の不要膜を除去する。更に、この工程では、第2電極17とp形コンタクト層8との接触がオーミック接触となるように、N2ガス雰囲気中でRTA処理を行う。積層膜の構造及び各膜厚は、一例であり、特に限定するものではない。また、RTA処理の条件は、例えば、アニール温度を400℃、アニール時間を15分とすればよいが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。
(8)第1パッド15及び第2パッド18を形成する工程
この工程では、フォトリソグラフィ技術及び薄膜形成技術を利用して第1パッド15及び第2パッド18を形成する。薄膜形成技術としては、例えば、電子ビーム蒸着法等を採用することができる。
この工程が終了することにより、紫外発光素子が複数形成されたウェハが完成する。要するに、上述の(1)〜(8)の工程を順次行うことにより、紫外線発光素子B1と同様の構造体が複数形成されたウェハ30(図1(a)及び図2参照)が完成する。なお、図1(a)では、図5中の第1電極14、第2電極17、第1パッド15、第2パッド18及び絶縁膜9等の図示を省略してある。
ウェハ30は、サファイアウェハ10の第1面10a側が伸び、サファイアウェハ10の第2面10b側が縮んで、反っている。これは、サファイアウェハ10と、サファイアウェハ10の第1面10a上に積層された窒化物半導体層20と、の格子定数差、線膨張係数差等が主な要因であると推考される。ウェハ30は、窒化物半導体層20における第1バッファ層2を構成するAlxGa1-xN(0<x≦1)層のxの値が大きくなるほど反り量W(図7(a)参照)が大きくなり、第1バッファ層2がAlN層の場合に、反り量Wが最大となる傾向にある。その一方で、紫外線発光素子B1では、UV−Cの波長域に発光波長を有するように構成する場合、第1バッファ層2を、AlN層により構成するのが好ましい。
(9)ウェハ30に割溝31を形成する工程(第1工程)
第1工程は、ウェハ30の窒化物半導体層20側からサファイアウェハ10の厚み方向の途中まで到達する割溝31を形成する工程である。紫外線発光素子B1の製造方法では、第1工程を行うことにより、図1(b)及び図3に示すような構造が得られる。なお、図1(b)では、図5中の第1電極14、第2電極17、第1パッド15、第2パッド18及び絶縁膜9等の図示を省略してある。
第1工程では、図4に示すように、ウェハ30に対して、格子状の割溝31を形成するのが好ましい。格子状の割溝31は、サファイアウェハ10のオリエンテーションフラットに平行な直線状に形成される第1割溝31aの群と、第1割溝31aの群に直交する直線状に形成される第2割溝31bの群と、で構成することができる。第1割溝31aの幅寸法L2a及び第2割溝31bの幅寸法L2bは、10μmに設定してあるが、これに限らず、例えば、2μm〜50μm程度の範囲で設定すればよい。第1割溝31aの幅寸法L2aと第2割溝31bの幅寸法L2bとは、同じ値に設定されているのが好ましい。また、隣り合う第1割溝31a間の距離L1a及び隣り合う第2割溝31b間の距離L1bは、紫外線発光素子B1のチップサイズにより決めればよい。したがって、例えば、チップサイズが400μm□の場合、距離L1a及びL1bは、400μmに設定すればよい。
第1工程では、割溝31のサファイアウェハ10の第1面10aからの深さ寸法D1(図3参照)を、所定厚さ寸法t11(図3参照)よりも小さく設定する。所定厚さ寸法t11は、紫外線発光素子B1におけるサファイア基板1の設計厚さ寸法t1である。
第1工程は、ウェハ30にレーザ光を照射することにより割溝31を形成することが好ましい。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、ダイヤモンドカッタやブレードを利用して割溝31を形成する場合に比べて、プロセス時間を短縮することが可能となり、量産性を向上させることが可能となる。
この場合、第1工程では、レーザ加工機を用いたアブレーション(ablation)加工により割溝31を形成することが好ましい。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、第1工程で割溝31を形成するときに、ウェハ30のうち紫外線発光素子B1になる部分に、熱ダメージ層、改質層、マイクロクラック等が形成されるのを抑制することが可能となる。アブレーション加工とは、アブレーションが起こるような照射条件でのレーザ加工を意味する。割溝31をアブレーション加工により形成する場合には、窒化物半導体層20の表面側に、ウェハ30における割溝31の形成予定領域が開口されたレジスト層19を形成してから、アブレーション加工を行い、その後、レジスト層19及びデブリ(debris)を、薬液等を用いたウェット処理により除去し、その後、ウェハ30を乾燥させる。デブリとは、レーザ光をウェハ30に照射したときに生成されレジスト層19の表面等に付着した残留物である。紫外線発光素子B1の製造方法では、デブリを除去することにより、紫外線発光素子B1においてデブリに起因した電流リークや短絡が発生するのを抑制することが可能となる。
レーザ加工機は、例えば、レーザと、レーザからのレーザ光を集光するレンズ等の光学系と、ウェハ30が載置され3軸方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)に移動可能なステージと、ウェハ30を撮像する撮像装置と、制御装置と、を備えているのが好ましい。制御装置は、撮像装置によりウェハ30を撮像することで得られた画像に基づいて、レーザ、光学系及びステージ等を制御するように構成されているのが好ましい。制御装置は、例えば、適宜のプログラムが搭載されたマイクロコンピュータ等により構成することができる。レーザ加工機の構成は、特に限定するものではない。
レーザとしては、例えば、THG−YAGレーザを採用しているが、これに限らない。例えば、レーザとしては、例えば、SHG−YAGレーザ、FHG−YAGレーザ、Ti:サファイアレーザ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、COレーザ等を用いてもよい。
(10)ウェハ30を研磨する工程(第2工程)
第2工程は、第1工程の後にウェハ30の厚みを薄くするようにウェハ30をサファイアウェハ10の第2面10b側から研磨する工程である。紫外線発光素子B1の製造方法では、第2工程を行うことにより、図1(c)に示すような構造が得られる。なお、図1(c)では、図5中の第1電極14、第2電極17、第1パッド15、第2パッド18及び絶縁膜9等の図示を省略してある。
第2工程では、ウェハ30の厚みを薄くするにあたり、サファイアウェハ10を所定厚さ寸法t11(以下、「第1所定厚さ寸法t11」ともいう)とするようにウェハ30をサファイアウェハ10の第2面10b側から研磨する。第2工程では、ウェハ30の厚さが第2所定厚さ寸法t30(図5参照)となるようにウェハ30をサファイアウェハ10の第2面10b側から研磨する。第2所定厚さ寸法t30は、サファイア基板1の設計厚さ寸法t1と、窒化物半導体層20の設計厚さ寸法t20と、第2電極17の設計厚さ寸法と、第2パッド18の設計厚さ寸法とを合わせた寸法である。第2所定厚さ寸法t30は、サファイア基板1の設計厚さ寸法t1と、窒化物半導体層20の設計厚さ寸法t20とを合わせた寸法とみなすこともできる。
ウェハ30の研磨では、サファイアウェハ10の第2面10bの研削工程、ラッピング(lapping)工程を順次行うようにしている。
研削工程では、平行な2枚の平盤の間にウェハ30を配置する際に、サファイアウェハ10の第2面10bと一方の平盤との間に砥石を配置するとともに、ウェハ30と他方の平盤との間にセラミックプレートを配置する。そして、サファイアウェハ10の研削では、ウェハ30を加圧しながら2枚の平盤を逆向きに回転させることでサファイアウェハ10の第2面10b側を研削する。研削工程では、ウェハ30の厚さが、所定厚さ寸法t30よりもラッピング工程で除去する厚さ分だけ厚くなるように研削する。
ラッピング工程は、研削によりサファイアウェハ10の第2面10b側に生じた加工変質層を除去するために行う工程である。ラッピングでは、平行な2枚の平盤の間にウェハ30を配置し、ウェハ30を加圧しながら2枚の平盤を逆向きに回転させることでサファイアウェハ10の第2面10b側の加工変質層を取り除く。ラッピング工程では、適宜の研磨液を利用する。
(11)ウェハ30を分割する工程(第3工程)
第3工程は、第2工程の後に割溝31に沿ってウェハ30を分割する工程である。つまり、第3工程は、ウェハ30を個々の紫外線発光素子B1(チップ)に分割する工程である。紫外線発光素子B1の製造方法では、第3工程を行うことにより、1枚のウェハ30から複数の紫外線発光素子B1(図1(d)及び図5参照)を得ることができる。
第3工程では、ブレーキング(breaking)工程と、エキスパンド(expand)工程と、を行う。エキスパンド工程の後には、個々の紫外線発光素子B1をピックアップ(pick-up)して、紫外線発光素子B1を例えばチップトレイ等に収納すればよい。
ブレーキング工程では、例えば、ブレードを利用してウェハ30を個々の紫外線発光素子B1に分割する。ブレーキング工程では、ウェハ30を2枚のウェハテープ(wafer tape)で厚み方向の両側から挟んでいる。ウェハテープは、粘着性樹脂テープである。ウェハ30を個々の紫外線発光素子B1に分割した後には、2枚のウェハテープのうちウェハ30の窒化物半導体層20側に配置していたウェハテープを取り外す。
エキスパンド工程では、各紫外線発光素子B1におけるサファイア基板1の第2面1b側のウェハテープを、例えば、エキスパンド装置により引き伸ばすことによって、隣り合う紫外線発光素子B1間の間隔を広げる。
紫外線発光素子B1の製造方法では、第3工程を行うことにより、第2工程後のサファイアウェハ10の第1面10aの一部がサファイア基板1の第1面1aを構成し、サファイアウェハ10の第2面10bの一部がサファイア基板1の第2面1bを構成する。なお、図1(d)では、図5中の第1電極14、第2電極17、第1パッド15、第2パッド18及び絶縁膜9等の図示を省略してある。
ところで、本願発明者らは、割溝31のサファイアウェハ10における深さ寸法D1と第1工程前後それぞれのウェハ30の反り量Wとの関係を調べるために、窒化物半導体層20における第1バッファ層2の厚みを種々変化させたウェハ30を作製した。そして、本願発明者らは、割溝31の形成前後それぞれでウェハ30の反り量Wを測定した。図6は、それらの測定結果の一例であり、サファイアウェハ10の切り込み深さ(深さ寸法D1)とウェハ30の反り量との関係説明図である。図6の測定結果は、サファイアウェハ10の直径が50.8mm、厚さ寸法t10が420μm、窒化物半導体層20の設計厚さ寸法t20が7μmのウェハ30の場合である。なお、窒化物半導体層20の設計厚さ寸法t20は、7μmに限らず、例えば、5〜12μm程度の範囲で設定することができる。
ウェハ30の反り量Wの測定にあたっては、図7に示すように、平坦な基準面BPに対して吸着固定していない状態のウェハ30の表面の5点P1、P2、P3、P4及びP5それぞれについて、レーザ変位計により、基準面BPに直交する方向における基準面BPからの変位量Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5を測定した。点P1は、ウェハ30の中心である。点P2、P3、P4及びP5は、それぞれ、ウェハ30の外周縁から5mmの位置である。反り量Wは、
W=Z1−(Z2+Z3+Z4+Z5)/4
の数式により求めた。
図6からは、割溝31を形成する前にウェハ30の反り量Wが約160μmもあるのに対し、深さ寸法D1が70μmの割溝31を形成することにより、ウェハ30の反り量Wを約34μmまで低減できることが分かる。また、図6からは、深さ寸法D1を大きくすることにより、反り量Wを低減できることが分かる。
そして、本願発明者らは、深さ寸法D1を大きくしていくことにより、反り量が低下できるが、サファイアウェハ10の厚さ寸法t10の半分以下の値では反り量Wが略一定になると推考した。図6では、反り量Wの測定値に基いて実線を引いてあり、推測値を破線で示してある。
ウェハ30の反り量が減少する原理を、図8(a)、(b)の推定メカニズム図で説明する。
図8(a)に示すように、ウェハ30は、サファイアウェハ10における第1面10a側の第1部分10aaが伸び、第2面10b側の第2部分10bbが縮んでおり、その境目に伸びも縮みもしていない中立面NPが存在する。本願発明者らは、図8(a)に示すように、サファイアウェハ10に対して、中立面NPに沿った2つの仮想面VP1、VP2と、中立面NPに交差する2つの仮想面VP3、VP4と、を仮定した。そして、図8(a)では、4つの仮想領域VA1、VA2、VA3及びVA4が、中立面NPに沿った方向(図8(a)の左右方向)において隣り合う仮想領域から受ける垂直応力を矢印で示してある。図8(a)では、矢印の長さの長短により垂直応力の大小を示してあり、矢印の向きが応力の向きを示している。要するに、本願発明者らは、図8(a)に示すように、仮想領域VA1、VA2、VA3及びVA4が受ける垂直応力が、ウェハ30の表面からの深さ位置で異なると考えた。同様に、本願発明者らは、仮想領域VA1、VA2、VA3及びVA4が受ける剪断応力が、ウェハ30の表面からの深さ位置で異なると考えた。仮想領域VA1、VA2、VA3及びVA4が受ける剪断応力は、中立面NPに交差する方向(図8(a)の上下方向)において隣り合う仮想領域から受ける応力である。例えば、仮想領域VA3で見れば、仮想領域VA2、VA4それぞれから受ける応力である。また、本願発明者らは、ウェハ30の反りを引き起こす応力は、垂直応力と剪断応力との総和であると考えた。
図8(b)は、割溝31が形成されたウェハ30を模式的に示している。図8(b)では、図8(a)と同様に、4つの仮想領域VA1、VA2、VA3及びVA4が、中立面NPに沿った方向(図8(a)の左右方向)において隣り合う仮想領域から受ける垂直応力を矢印で示してある。図8(b)では、中立面NPに交差する2つの仮想面VP3、VP4を割溝31の内底面に交差するように仮定してある。
本願発明者らは、図8(b)に示すように、仮想領域VA1、VA2では垂直応力が割溝31によって緩和され、殆ど剪断応力のみとなるので、ウェハ30に割溝31を形成することにより、ウェハ30の反り量が低減されると考えた。そして、本願発明者らは、サファイアウェハ10における割溝31の深さが深いほど、垂直応力が緩和される領域が増大し、ウェハ30の反り量がより小さくなると考えた。
なお、紫外線発光素子B1の製造方法は、仮に推定メカニズムが別であっても、本発明の範囲内である。
以上説明したように、紫外線発光素子B1の製造方法は、ウェハ30の窒化物半導体層20側からサファイアウェハ10の厚み方向の途中まで到達する割溝31を形成する第1工程を備える。更に、紫外線発光素子B1の製造方法は、第1工程の後にウェハ30の厚みを薄くするようにウェハ30をサファイアウェハ10の第2面10b側から研磨する第2工程と、第2工程の後に割溝31に沿ってウェハ30を分割する第3工程と、を備える。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、製造歩留りの向上を図ることが可能になる。この紫外線発光素子B1の製造方法では、ウェハ30を研磨する前にウェハ30の反り量Wを低減することが可能となり、製造途中でウェハ30が割れてしまうのを抑制することが可能となる。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、量産性及び製造歩留りを向上させることが可能となる。よって、紫外線発光素子B1の製造方法では、低コスト化を図ることが可能となる。また、紫外線発光素子B1では、チッピングやクラックの発生も抑制することが可能となる。
ところで、上述の紫外線発光素子B1の製造方法において、第2工程では、ウェハ30を予め設定された規定厚さとするようにサファイアウェハ10を研磨する。また、紫外線発光素子B1の製造方法において、第1工程では、第1工程で形成する割溝31の深さが、規定厚さの40%以上80%未満の範囲内の規定値に予め設定されているのが好ましい。これにより、紫外線発光素子B1の製造方法では、量産性及び製造歩留りを、より向上させることが可能となる。規定厚さは、上述の第2所定厚さ寸法t30(図5参照)である。
図9は、ウェハ30の厚さに対する割溝31の深さの割合とウェハ30の反り量Wとの関係を示す。ここで、図9におけるウェハ30の厚さは、研磨後のウェハ30の厚さであり、150μmである。また、ウェハ30の厚さに対する割溝31の深さの割合とは、{〔割溝31の深さ〕/〔ウェハ30の厚さ〕}×100(%)の数式で求められる値である。
図9からは、ウェハ30の厚さに対する割溝31の深さの割合が大きくなるにつれて、ウェハ30の反り量Wが小さくなることが分かる。しかしながら、ウェハ30の厚さに対する割溝31の深さの割合が80%以上になると、ウェハ30において割溝31が形成されている部位の厚さが薄くなり過ぎて、第2工程でのウェハ30の研磨時にウェハ30が割れる可能性が高くなってしまう。一方、ウェハ30の厚さに対する割溝31の深さの割合が40%未満になると、ウェハ30の反り量Wが大き過ぎて、第2工程でのウェハ30の研磨時にウェハ30が割れる可能性が高くなり、割れなかった場合でもブレーキング工程の歩留りが低下してしまう。
なお、紫外線発光素子B1は、紫外線発光ダイオードに限らず、紫外線レーザダイオードでもよい。
上述の実施形態において説明した各図は、模式的なものであり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際のものの寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態に記載した材料、数値等は、好ましいものを例示しているだけであり、それに限定するものではない。更に、本願発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることが可能である。
10 サファイアウェハ
10a 第1面
10b 第2面
20 窒化物半導体層
30 ウェハ
31 割溝
B1 紫外線発光素子

Claims (1)

  1. サファイアウェハの第1面上に窒化物半導体層を積層したウェハから個々の紫外線発光素子に分割する紫外線発光素子の製造方法であって、
    前記紫外線発光素子はUV−Cの波長域に発光波長を有する紫外線を放射するように構成されており、
    前記ウェハの前記窒化物半導体層側から前記サファイアウェハの厚み方向の途中まで到達する割溝を形成する第1工程と、
    前記第1工程の後に前記ウェハの厚みを薄くするように前記ウェハを前記サファイアウェハの第2面側から研磨する第2工程と、
    前記第2工程の後に前記割溝に沿って前記ウェハを分割する第3工程と、
    を備え
    前記第1工程は、前記ウェハにレーザ光を照射することにより前記割溝を形成し、
    前記第2工程では、前記ウェハを予め設定された規定厚さとするように前記サファイアウェハを研磨し、
    前記第1工程では、前記ウェハの反りを低減するように前記割溝を形成し、
    前記第1工程で形成する前記割溝の深さが、前記規定厚さの40%以上80%未満の範囲内の規定値に予め設定されている
    ことを特徴とする紫外線発光素子の製造方法。
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