JP6209455B2 - ダム堤体における貫通孔の形成方法 - Google Patents

ダム堤体における貫通孔の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、既設のダム堤体に貫通孔を形成する方法に関する。
既設のコンクリートダムの堤体(ダム堤体)に新たな放流設備や取水設備等を設ける場合には、これら設備の放流路や取水路等の構築のためにダム堤体に貫通孔が形成されることが多い。この貫通孔は、ダム堤体の上流側(貯水池側)と下流側とを連通するように形成され得る。
ダム堤体に貫通孔を形成する手法としては、例えば、特許文献1,2に記載の手法が挙げられる。
特許文献1では、ダム堤体のうち貫通孔が形成される予定の部分を、自由断面掘削機等の掘削機を用いて、ダム堤体の下流側の壁面から上流側(貯水池側)に向かって掘削することで、ダム堤体に貫通孔を形成している。
一方、特許文献2では、ダム堤体のうち貫通孔が形成される予定の部分を、ワイヤーソーを用いて複数のコンクリートブロックに分割して当該コンクリートブロックを搬出することで、ダム堤体に貫通孔を形成している。
特許第5149098号公報 特開2012−144018号公報
ところで、既設のダム堤体には、水密性が要求されるゲート等の放流設備が既に設けられていることが多い。この種の設備の水密性を維持するためには、当該設備に加わる振動を抑制する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載のように掘削機を用いてダム堤体に貫通孔を形成する場合には、当該孔の貫通時に大きな振動が発生しかねない。これは、貫通孔の形成が進むにつれて、ダム堤体のうち掘削機によって掘削される予定の部分の厚さ(下流側から上流側に向かう方向での厚さ)が徐々に薄くなり、その結果、掘削による振動が当該部分で減衰しづらくなっていくからである。この掘削による振動は、孔の貫通時に最も顕著である。
また、特許文献2に記載のようにワイヤーソーを用いてダム堤体に貫通孔を形成する場合には、下流側から上流側に向かう方向においても複数のコンクリートブロックに分割する必要があるので、貫通孔の形成に手間と時間がかかり、それゆえ、貫通孔を効率良く形成することが難しかった。
本発明は、このような実状に鑑み、ダム堤体に形成される貫通孔の貫通時に発生する振動を抑制すること、及び、ダム堤体に貫通孔を効率良く形成することを目的とする。
そのため本発明の第1態様では、既設のコンクリートダムの堤体の上流側と下流側とを連通するように、第1の空間と第2の空間とを含む貫通孔を堤体に形成する方法として、堤体の上流側端部に所定の未掘削区間を残すように、堤体を、その下流側から上流側に向かって掘削機又は発破によって掘削することにより、堤体に第1の空間を形成する工程と、堤体の上流側と第1の空間とを連通するように、堤体の所定の未掘削区間に複数のボーリング孔を形成する工程と、ボーリング孔にワイヤーソーを通す工程と、ワイヤーソーを用いて、堤体の所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割する工程と、コンクリートブロックを堤体の上流側より搬出することによって、堤体の上流側端部に第2の空間を形成する工程と、を含む。ここにおいて、ワイヤーソーを回転走行させるワイヤーソー切断装置の本体が堤体の上流側に設けられる。
発明の第2態様では、既設のコンクリートダムの堤体の上流側と下流側とを連通するように、第1の空間と第2の空間とを含む貫通孔を堤体に形成する方法として、堤体の上流側端部に所定の未掘削区間を残すように、堤体を、その下流側から上流側に向かって掘削機又は発破によって掘削することにより、堤体に第1の空間を形成する工程と、コンクリート切断装置を用いて、堤体の所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割する工程と、コンクリートブロックを堤体の上流側より搬出することによって、堤体の上流側端部に第2の空間を形成する工程と、を含む。ここにおいて、コンクリート切断装置が堤体の上流側に設けられる。
本発明によれば、ワイヤーソー等を備え得るコンクリート切断装置を用いて、堤体の所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割し、このコンクリートブロックを堤体の上流側より搬出することで、堤体の上流側端部に第2の空間を形成する。これにより、堤体の所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割するときには、発生する振動が比較的小さなワイヤーソー等を備え得るコンクリート切断装置を用い、分割されたコンクリートブロックは堤体の上流側より搬出されるので、堤体に形成される貫通孔の貫通時に発生する振動を抑制することができる。
また本発明によれば、掘削機による掘削か、又は発破掘削により、堤体に第1の空間を形成する。これにより、貫通孔の主部分となり得る第1の空間を効率良く形成することができるので、堤体に貫通孔を効率良く形成することができる。
本発明の一実施形態におけるダム堤体に形成された貫通孔を示す断面図 図1の部分Pの部分拡大図 ワイヤーソー切断装置の概略構成を示す図 ダム堤体に貫通孔を形成する工程を示す図 ダム堤体に貫通孔を形成する工程を示す図 ダム堤体に貫通孔を形成する工程を示す図 ダム堤体に貫通孔を形成する工程を示す図 ダム堤体に貫通孔を形成する工程を示す図 ダム堤体に貫通孔を形成する工程を示す図 ダム堤体に第2の空間を形成する工程を示す図 ダム堤体に第2の空間を形成する工程を示す図 ダム堤体に第2の空間を形成する工程を示す図 ダム堤体に第2の空間を形成する工程を示す図 ダム堤体に第2の空間を形成する工程を示す図 ダム堤体に第2の空間を形成する工程を示す図 コンクリートブロックとレールとの間にくさびを挿入した状態を示す図 ダム堤体における貫通孔の形成方法の一例を示すガントチャート
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態におけるダム堤体に形成された貫通孔を示す。図2は図1の部分Pの部分拡大図である。図3はワイヤーソー切断装置の概略構成を示す。
ダム堤体1は、既設のコンクリートダムの堤体である。ダム堤体1には、その上流側(貯水池2側)と下流側とを連通するように、貫通孔3が形成される。
貫通孔3は、その断面形状が略角形状であり、ダム堤体1の下流側から上流側に向かう方向に延びている。尚、本実施形態では、貫通孔3の断面形状が略角形状であるが、貫通孔3の断面形状はこれに限らず、例えば、略円形状であってもよい。
貫通孔3の上流側端部には拡幅部4が形成されている。拡幅部4は、上流に向かって高さ及び幅が大きくなる錐台状の第1の部分4aと、この第1の部分4aの上流側端部に下流側端部が連続する第2の部分4bとにより構成されている。第2の部分4bについては、その上流側端部の高さ及び幅と、下流側端部の高さ及び幅とが略同一である。尚、本実施形態では、例えば、拡幅部4の第1の部分4aの下流側端部の高さ及び幅がそれぞれ6m程度であり、また、拡幅部4の第2の部分4bの高さ及び幅がそれぞれ10m程度であるが、各々の寸法はこれに限らない。また、本実施形態では、拡幅部4が、上流に向かって高さ及び幅が大きくなる錐台部(第1の部分4a)と、上流側端部の高さ及び幅と下流側端部の高さ及び幅とが略同一である同径部(第2の部分4b)とにより構成されているが、拡幅部4の構成はこれに限らない。例えば、拡幅部4は、上流に向かって高さ及び幅が大きくなる錐台部のみで構成されてもよい。または、拡幅部4は、その上流側端部の高さ及び幅と下流側端部の高さ及び幅とが略同一である同径部のみで構成されてもよい。
拡幅部4を含む貫通孔3は、主に自由断面掘削機5(図4参照)を用いて形成される第1の空間6と、主にワイヤーソー切断装置7及びクレーン8を用いて形成される第2の空間9とを含む。
尚、本実施形態では、自由断面掘削機5を用いて第1の空間6を形成する手法を以下説明するが、第1の空間6の形成手法はこれに限らない。また、本実施形態では、本発明の「コンクリート切断装置」としてワイヤーソー切断装置7を用いるが、コンクリートを切断する「コンクリート切断装置」はこれに限らない。
第2の空間9は、拡幅部4の上流側端部を構成する。第2の空間9については、その貫通孔3の長手方向での距離L2が、所定の未掘削区間30の距離L12に対応している。ここで、所定の未掘削区間30とは、後述する孔形成予定部分α(図4参照)のうち、自由断面掘削機5を用いて掘削されることなく、ワイヤーソー切断装置7等のコンクリート切断装置を用いて複数のコンクリートブロックに分割される区間であり、予め設定されている。それゆえ、ワイヤーソー切断装置7等のコンクリート切断装置を用いて分割される複数のコンクリートブロック(例えば、後述するコンクリートブロックCB1〜CB16)の各々の厚さ(下流側から上流側に向かう方向での厚さ)が所定の未掘削区間30の距離L12及び第2の空間9の距離L2に対応する。尚、本実施形態では、例えば、第2の空間9の距離L2が1m程度であるが、距離L2はこれに限らない。また、第2の空間9は、拡幅部4の第2の部分4bであることが好ましい。
尚、第2の空間9は、上流に向かって高さ及び幅が大きくなる錐台状であってもよい。しかしながら、第2の空間9の内空の高さ・幅の勾配が変化する場合には、コンクリート切断装置によるコンクリートの切断に手間がかかりかねない。それゆえ、第2の空間9が錐台状である場合には、その高さ方向の勾配及び/又は幅方向の勾配が略一定であることが好ましい。
第1の空間6は、拡幅部4を含む貫通孔3のうち、第2の空間9以外の部分(好ましくは拡幅部4の第2の部分4b以外の部分)を構成する。第1の空間6については、その貫通孔3の長手方向での距離L1が、第2の空間9の距離L2に比べて十分に長い。尚、本実施形態では、例えば、第1の空間6の距離L1が50m〜60m程度であるが、距離L1はこれに限らない。
ワイヤーソー切断装置7は、その本体10と、ワイヤーソー11とにより構成される。
本体10は、ワイヤーソー11を回転走行させるものであり、取付基台12、ロッド13〜15、駆動用プーリー16、ガイドプーリー17〜22、油圧モータ23を含んで構成される。
取付基台12は、ダム堤体1の上流側の壁面1aに取り付けられる。ロッド13は、その基端が取付基台12に固定されて、壁面1aに対して略直交するように上流側に向かって延びている。
駆動用プーリー16はロッド13に回転自在に取り付けられており、油圧モータ23によって回転駆動力が付与され得る。また、駆動用プーリー16は、ロッド13に対してその長手方向に摺動可能にロッド13に取り付けられている。
ロッド14は、ロッド13に対して略平行に延びている。ロッド15は、ロッド13,14の下流側端部同士に跨るように各々に固定されており、これにより、ロッド13〜15が一体化されている。ガイドプーリー17,18はロッド14に回転自在に取り付けられており、また、ガイドプーリー19〜22はロッド15に回転自在に取り付けられている。ここで、ガイドプーリー17,18は、ロッド14に対してその長手方向に摺動可能にロッド14に取り付けられてもよい。また、ガイドプーリー19〜22は、ロッド15に対してその長手方向に摺動可能にロッド15に取り付けられてもよい。
ワイヤーソー11は、例えば、ダイヤモンド砥粒層を有するビーズとコイルスプリング等とをワイヤーロープに交互に嵌め込み、ワイヤーロープの端部同士をジョイントスリーブ等で接続して無端状に形成される。ワイヤーソー11は、駆動用プーリー16と、ガイドプーリー17〜22のうちのいくつかとに巻き掛けられている。ここで、ワイヤーソー11については、駆動用プーリー16やガイドプーリー17〜22のロッド13〜15への取付位置を適宜変更することで、張力の調節が行われ得る。また、ガイドプーリー17〜22のうちワイヤーソー11が巻き掛けられるプーリーの個数を適宜変更することで、ワイヤーソー11の張力の調節を行うことが可能である。
本実施形態では、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を複数(図10(A)では、上下4個×左右4個の計16個)のコンクリートブロックCB1〜CB16に分割する際に、ワイヤーソー切断装置7が用いられる。このコンクリートプロックCB1〜CB16への分割については、その詳細を後述する。尚、説明の便宜上、図10(A)に示すように、上から1段目の4個のコンクリートブロックを左から右へ順にCB1〜CB4とし、上から2段目の4個のコンクリートブロックを左から右へ順にCB5〜CB8とし、上から3段目の4個のコンクリートブロックを左から右へ順にCB9〜CB12とし、上から4段目の4個のコンクリートブロックを左から右へ順にCB13〜CB16として、以下説明する。
次に、ダム堤体1に貫通孔3を形成する方法について、図4〜図15を用いて説明する。図4〜図9は、ダム堤体1に貫通孔3を形成する工程を示す。図10〜図15は、ダム堤体1に第2の空間9を形成する工程を示す。尚、図10〜図15は、ダム堤体1のうち、第2の空間9が形成される予定の部分(換言すれば、コンクリートブロックCB1〜CB16が切り出される予定の部分)を上流側から見た図である。ここで、ダム堤体1のうち、図4〜図15に示す一点鎖線により区画される部分は、貫通孔3が形成される予定の部分(孔形成予定部分α)を示す。すなわち、図4〜図15には、孔形成予定部分αの予定線32が一点鎖線で示されている。また、図10〜図14に示す二点鎖線は、ダム堤体1の所定の未掘削区間30におけるワイヤーソー切断装置7による切断の計画線33である。すなわち、この計画線33に沿って、ワイヤーソー切断装置7により、コンクリートプロックCB1〜CB16への分割が行われる。説明の便宜上、図10〜図15に示すように左右を規定して、以下説明する。
既設のダム堤体1に貫通孔3を形成する工程では、まず、図4(ア)に示すように、ダム堤体1の天端にクレーン8を配置する。尚、ダム堤体1の天端にクレーン8等の作業用のスペースを十分に確保するために、ダム堤体1の天端にクレーン8を配置するに先立って、ダム堤体1の下流側の壁面1bの上部に天端構台を設置してもよい。
次に、自由断面掘削機5を孔形成予定部分αに向かわせるための構台(図示せず)をダム堤体1の下流側に設置する。この後に、図4(イ)に示すように、自由断面掘削機5を用いて、孔形成予定部分αの掘削を開始する。この掘削では、自由断面掘削機5によって孔形成予定部分αをダム堤体1の下流側の壁面1bから上流側に向かって掘削することで、第1の空間6を上流側に徐々に拡張していく。ここで、自由断面掘削機5としては、例えば、ロードヘッダ(登録商標)やブームヘッダ(登録商標)が挙げられる。
また、本実施形態では、図4(イ)に示すように、自由断面掘削機5による掘削と並行して、クレーン8等を用いて、仮締切設備40の設置を行う。仮締切設備40は、ダム堤体1の上流側の壁面1aに隣接する作業空間β(図1参照)を確保するためのものである。ここで、作業空間βは、孔形成予定部分αに隣接する。また、仮締切設備40は、第2の空間9の形成時(貫通孔3の貫通時)に貯水池2から貫通孔3内に水が流入することを防止する機能を有する。
仮締切設備40は、予め設置された台座コンクリート41上に水密に固定される。ここで、台座コンクリート41は、仮締切設備40の基礎部分となるものであり、貯水池2の底部に、ダム堤体1の上流側の壁面1aの下端部に隣接するように予め設置される。
仮締切設備40は、平面視で下流側開放のコ字状であり、鉛直方向に延在している。仮締切設備40の下流側端面はダム堤体1の上流側の壁面1aに水密に固定される。尚、台座コンクリート41に固定された仮締切設備40については、後述する孔貫通準備作業が開始されるまでの間、貯水池2に水没させておくことが可能である。
尚、仮締切設備40は、台座コンクリート41を必ずしも必要とするものではない。仮締切設備40は、作業空間βを確保でき、貯水池2の水が作業空間βに流入することを防止できればよい。
次に、自由断面掘削機5による掘削と並行して、図5(ウ)に示すように、貯水池2の水面が仮締切設備40の上端より下位になるまで貯水池2の水位を下げて、仮締切設備40内に溜まった水を抜く。これにより、仮締切設備40内に作業空間βが確保される。この後、作業空間β内にて、孔貫通準備作業が行われる。
孔貫通準備作業では、仮締切設備40内の作業空間βにて、図示しない昇降設備、換気設備、照明設備等の設置作業が行われる。また、クレーン8等を用いて、コンクリートブロックCB1〜CB12の分割・搬出作業用の足場45の設置作業も行われる。尚、この孔貫通準備作業についても、自由断面掘削機5による掘削作業と並行して実施される。
足場45は第1足場ユニット46、第2足場ユニット47、及び第3足場ユニット48からなる上下3段構造である。第1〜第3足場ユニット46〜48は、それぞれ、平面視で略矩形状であり、その長辺がダム堤体1の左右方向(幅方向)に略平行に延びている。第1〜第3足場ユニット46〜48は、各々が、足場用板部とそれを支持する複数の脚部とを備える。
第3足場ユニット48は、作業空間β内にて、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB13〜CB16が切り出される予定の部分に隣接するように、台座コンクリート41上に設置される。ここで、第3足場ユニット48の上記略矩形状の長辺の長さは、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB13〜CB16が切り出される予定の部分の左右方向長さよりも長い。また、第3足場ユニット48の足場用板部の高さ位置は、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB13〜CB16が切り出される予定の部分の上端の高さ位置よりも若干低い。
第2足場ユニット47は、作業空間β内にて、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB9〜CB12が切り出される予定の部分に隣接するように、第3足場ユニット48上に設置される。ここで、第2足場ユニット47の上記略矩形状の長辺の長さは、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB9〜CB12が切り出される予定の部分の左右方向長さよりも長い。また、第2足場ユニット47の足場用板部の高さ位置は、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB9〜CB12が切り出される予定の部分の上端の高さ位置よりも若干低い。
第1足場ユニット46は、作業空間β内にて、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB5〜CB8が切り出される予定の部分に隣接するように、第2足場ユニット47上に設置される。ここで、第1足場ユニット46の上記略矩形状の長辺の長さは、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB5〜CB8が切り出される予定の部分の左右方向長さよりも長い。また、第1足場ユニット46の足場用板部の高さ位置は、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB5〜CB8が切り出される予定の部分の上端の高さ位置よりも若干低い。
このようにして、孔貫通準備作業では、ダム堤体1の上流側の壁面1aに隣接するように足場45が設けられる。尚、足場45については、ダム堤体1より搬出されるコンクリートブロックCBの高さ位置が低くなるほど、足場45の高さが低くされ得る(図5〜図9参照)。
次に、孔形成予定部分αの上半分の領域において、自由断面掘削機5による掘削が所定の未掘削区間30に達する直前にて(例えば所定の未掘削区間30から数十cm程度手前に達した時点で)、自由断面掘削機5による掘削を中断する。そして、図10(B)に示すように、略角形状の予定線32の上半分の領域にて、予定線32に内接するように、複数のボーリング孔が連続的に形成されて、縁切りボーリング孔51が形成される。この縁切りボーリング孔51は、所定の未掘削区間30を含むダム堤体1の上流側端部を貫通して、ダム堤体1の上流側と第1の空間6とを連通する。
縁切りボーリング孔51を構成する複数のボーリング孔の形成には、例えばコアボーリング機が用いられる。尚、本実施形態では、縁切りボーリング孔51の形成時に、作業空間β側から第1の空間6側に向けてコアボーリングを行うが、この他、第1の空間6側から作業空間β側に向けてコアボーリングを行ってもよい。
尚、コアボーリング機はダム堤体1の上流側(作業空間β内)に設けられることが好ましい。コアボーリング機をダム堤体1の上流側に設置することで、自由断面掘削機5による掘削作業とコアボーリング機の準備やボーリングに関する作業とを並行して実施することができ、従って、作業を効率的に実施することが可能となる。
この縁切りボーリング孔51の形成により、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB1〜CB8が切り出される予定の部分の左側面、右側面、及び上面がダム堤体1から縁切される。また、縁切りボーリング孔51の内面の一部が、そのまま、コンクリートブロックCB5の左側面、CB1の左側面及び上面、CB2及びCB3の上面、CB4の上面及び右側面、CB8の右側面となる。
次に、図5(エ)に示すように、孔形成予定部分αの上半分の領域において、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を達するまで、自由断面掘削機5による掘削を行う。すなわち、孔形成予定部分αの上半分の領域において、ダム堤体1の上流側端部に所定の未掘削区間30のみが残される状態になるまで、自由断面掘削機5による掘削を行う。この掘削時には、縁切りボーリング孔51が形成されていることにより、当該掘削により発生する振動がダム堤体1に伝達されることを抑制することができる。
次に、図11(A)に示すように、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB1〜CB4が切り出される予定の部分に、CB1〜CB4の各々に対して、ナイロンスリング挿入用の4個のボーリング孔Eと、玉掛け用の2個のボーリング孔Fと、レール挿入用の2個のボーリング孔Gとを形成する。また、上下方向に延びる計画線33と左右方向に延びる計画線33との交点には、ワイヤーソー挿入用のボーリング孔Hを形成する。これらボーリング孔E〜Hの形成においても、連続ボーリング孔51を構成する複数のボーリング孔の形成と同様に、例えばコアボーリング機を用いたコアボーリングが行われる。それゆえ、これらボーリング孔E〜Hの各々は、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を貫通して、ダム堤体1の上流側と第1の空間6とを連通する。
ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB1が切り出される予定の部分において、上流側から見て、四隅の近傍に4個のボーリング孔Eが位置し、中央部に2個のボーリング孔Fが位置し、コンクリートブロックCB1,CB5の境界となる計画線33上に左右一対のボーリング孔Gが位置する。これらボーリング孔E〜Gの形成位置については、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB2〜CB4の各々が切り出される予定の部分についても同様であるので、その説明を省略する。
次に、図11(B)に示すように、ダム堤体1のうちコンクリートブロックCB1が切り出される予定の部分において、上下方向で隣り合うボーリング孔E,Eを通るようにナイロンスリング55を巻き付けて、図示しない締付器具で締め付ける。
次に、ワイヤーソー切断装置7の設置を行う。そして、コンクリートブロックCB1,CB2の境界となる計画線33に沿って、ワイヤーソー切断装置7によりコンクリートの切断を行い、更に、コンクリートブロックCB1,CB5の境界となる計画線33に沿って、ワイヤーソー切断装置7によりコンクリートの切断を行うことで、コンクリートブロックCB1をダム堤体1から縁切りする。この縁切り時には、図5(エ)に示すように、自由断面掘削機5を利用して控えを取ることが好ましい。
ここで、ワイヤーソー切断装置7の設置作業では、まず、ワイヤーソー切断装置7の本体10をダム堤体1の上流側の壁面1aに取り付ける。次に、線状のワイヤーソー11を、切断対象の計画線33の一端側に位置するボーリング孔Hと他端側に位置する縁切りボーリング孔51に通す。次に、ワイヤーソー11の端部同士をジョイントスリーブ等で接続して、ワイヤーソー11を無端状にする。この後に、ワイヤーソー11を駆動用プーリー16と、ガイドプーリー17〜22のいくつかとに巻き掛ける。この後、ワイヤーソー11の張力の調節等が行われる。このようにして、ワイヤーソー切断装置7の設置が行われる。
ワイヤーソー切断装置7によるコンクリートの切断時には、油圧モータ23により駆動用プーリー16に回転駆動力が付与されて、これにより、ワイヤーソー11が回転走行する。また、駆動用プーリー16を、ロッド13に対してその長手方向に沿って、下流側から上流側に向かって摺動させることにより、ワイヤーソー11による引き切りとなって、コンクリートの切断が進行する。このようにして、ワイヤーソー切断装置7によるコンクリートの切断が行われる。
次に、図12(A)に示すように、コンクリートブロックCB1において、左右方向で隣り合うボーリング孔E,Eを通るようにナイロンスリング55を巻き付けて、図示しない締付器具で締め付ける。
また、左右一対のボーリング孔G,Gの各々にレール60を挿入する。レール60は、例えば、上フランジ、下フランジ、及びウェブからなるH形鋼材により構成される。レール60の長手方向の長さは、所定の未掘削区間30の距離L12よりも長い。
図16は、コンクリートブロックCB1とレール60との間にくさび61を挿入した状態を示す。図16に示すように、コンクリートブロックCB1の下流側端部と、レール60との間に、上流側が先細形状であるくさび61を打ち込むことにより、コンクリートブロックCB1とレール60とが互いに接触する面積を低減することができる。
次に、図示しない牽引手段により、コンクリートブロックCB1を第1足場ユニット46の足場用板部上に引き出す。ここで、牽引手段は、例えば、牽引用のワイヤーロープとチェーンブロックとを備える。ワイヤーロープはその一端がコンクリートブロックCB1の上流側壁面に着脱可能に固定される。チェーンブロックは第1足場ユニット46の足場用板部上に予め設けられたブラケット等に取り付けられる。チェーンブロックにはワイヤーロープの他端が着脱可能に固定される。尚、牽引手段は、チェーンブロックの代わりとして、ワイヤーロープを巻き上げ可能なウインチを備えてもよい。
ここで、図16に示すように、コンクリートブロックCB1の下流側端部と、レール60との間に、上流側が先細形状であるくさび61を挿入することにより、コンクリートブロックCB1とレール60とが互いに接触する面積を低減することができるので、コンクリートブロックCB1の引き出しをスムーズに行うことができる。
次に、図6(オ)に示すように、クレーン8により、コンクリートブロックCB1を吊り上げる。この吊り上げ時には、クレーン吊り上げ用のワイヤーロープ又はチェーンが、ボーリング孔Fに通されている。
このようにして、コンクリートブロックCB1がダム堤体1の上流側より搬出される。
ところで、ダム堤体1の構築時にはコンクリートの打継目が発生する。この打継目がコンクリートブロックCB1内に位置している場合には、打継目箇所にてコンクリートがはがれ、ひいては、コンクリートブロックCB1の一体性が低下するおそれがある。この点、本実施形態によれば、図12(A)に示したように、コンクリートブロックCB1に、計4本のナイロンスリング55を巻き付けて締付器具で締め付けるので、コンクリートブロックCB1内に打継目が位置している場合であっても、コンクリートブロックCB1の一体性を良好に保持することができる。
この後、コンクリートブロックCB2〜CB4についても、コンクリートブロックCB1と同様に、ワイヤーソー切断装置7により、計画線33に沿ってコンクリートの切断を行うことで、各コンクリートブロックをダム堤体1から縁切りする。また、牽引手段により、各コンクリートブロックを第1足場ユニット46の足場用板部上に引き出す。更に、クレーン8により、各コンクリートブロックを吊り上げる。このようにして、上から1段目の4個のコンクリートブロックCB1〜CB4がダム堤体1の上流側より搬出されて、この結果、図12(B)に示すように、第2の空間9の上1/4部分が形成される。
次に、第1足場ユニット46をクレーン8により吊り上げて、図6(カ)に示すように、第1足場ユニット46を作業空間β内から撤去する。これにより、足場45の高さが低くなる。
次に、コンクリートブロックCB5〜CB8について、コンクリートブロックCB1〜CB4と同様に、ワイヤーソー切断装置7により、計画線33に沿ってコンクリートの切断を行うことで、各コンクリートブロックをダム堤体1から縁切りする。また、牽引手段により、各コンクリートブロックを第2足場ユニット47の足場用板部上に引き出す。更に、クレーン8により、各コンクリートブロックを吊り上げる(図7(キ)参照)。このようにして、上から2段目の4個のコンクリートブロックCB5〜CB8がダム堤体1の上流側より搬出されて、この結果、図13(A)に示すように、第2の空間9の上半分が形成される。
次に、図13(B)に示すように、拡幅部4の上半分の内面の凹凸を削って整形する。この整形には、例えばエクセルカッター(登録商標)等の削孔機が用いられる。
次に、第2足場ユニット47をクレーン8により吊り上げて、図7(ク)に示すように、第2足場ユニット47を作業空間β内から撤去する。これにより、足場45の高さが低くなる。
次に、孔形成予定部分αの下半分の領域において、自由断面掘削機5による掘削が所定の未掘削区間30に達する直前まで(例えば所定の未掘削区間30から数十cm程度手前に達するまで)、自由断面掘削機5による掘削を行う。そして、図14(A)に示すように、略角形状の予定線32の下半分の左右両側の領域にて、予定線32に内接するように、複数のボーリング孔が連続的に形成されて、左右一対の縁切りボーリング孔52が形成される。この縁切りボーリング孔52は、所定の未掘削区間30を含むダム堤体1の上流側端部を貫通して、ダム堤体1の上流側と第1の空間6とを連通する。尚、縁切りボーリング孔52の形成手法は、上述の縁切りボーリング孔51の形成手法と同様であるので、その説明を省略する。
次に、図8(ケ)に示すように、孔形成予定部分αの下半分の領域において、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を達するまで、自由断面掘削機5による掘削を行う。すなわち、孔形成予定部分αの下半分の領域において、ダム堤体1の上流側端部に所定の未掘削区間30のみが残される状態になるまで、自由断面掘削機5による掘削を行う。この掘削時には、縁切りボーリング孔52が形成されていることにより、当該掘削により発生する振動がダム堤体1に伝達されることを抑制することができる。
次に、コンクリートブロックCB9〜CB12について、コンクリートブロックCB5〜CB8と同様に、ワイヤーソー切断装置7により、計画線33に沿ってコンクリートの切断を行うことで、各コンクリートブロックをダム堤体1から縁切りする。また、牽引手段により、各コンクリートブロックを第1足場ユニット48の足場用板部上に引き出す。更に、クレーン8により、各コンクリートブロックを吊り上げる(図8(コ)参照)。このようにして、上から3段目の4個のコンクリートブロックCB9〜CB12がダム堤体1の上流側より搬出されて、この結果、図14(B)に示すように、第2の空間9の上3/4部分が形成される。
次に、第1足場ユニット48をクレーン8により吊り上げて、図9(サ)に示すように、第1足場ユニット48を作業空間β内から撤去する。これにより、足場45が完全に撤去される。
次に、コンクリートブロックCB13〜CB16について、コンクリートブロックCB9〜CB12と同様に、ワイヤーソー切断装置7により、計画線33に沿ってコンクリートの切断を行うことで、各コンクリートブロックをダム堤体1から縁切りする。また、クレーン8により、各コンクリートブロックを作業空間β内に引き出して、各コンクリートブロックを吊り上げる(図9(シ)参照)。このようにして、上から4段目の4個のコンクリートブロックCB13〜CB16がダム堤体1の上流側より搬出されて、この結果、図15(A)に示すように、第2の空間9が形成される。
次に、図15(B)に示すように、拡幅部4の下半分の内面の凹凸を削って整形する。この整形には、例えばエクセルカッター(登録商標)等の削孔機が用いられる。
このようにして、拡幅部4を含む貫通孔3が、ダム堤体1に形成される。
ここで、本発明の「堤体に第1の空間を形成する工程」が図4〜図8に示されている。また、本発明の「堤体の所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割する工程」が図10〜図15に示されている。また、本発明の「コンクリートブロックを堤体の上流側より搬出することによって、堤体の上流側端部に第2の空間を形成する工程」が図6〜図9及び図12〜図15に示されている。
貫通孔3がダム堤体1に形成された後には、拡幅部4内に呑口部の管(ベルマウス)が取り付けられ得る。また拡幅部4の上流側端部に制水ゲートが取り付けられ得る。ここで、制水ゲートとは、貯水池2の水を貫通孔3に流入させないための扉として機能するものである。制水ゲートの取り付けが完了すると、仮締切設備40が撤去され得る。
図17は、ダム堤体1に貫通孔3を形成する方法の一例を示すガントチャートである。
図17は、非洪水期において、第1の空間6の形成時に並行して仮締切設備40の設置を行うことを示している。また、非洪水期において、第1の空間6の形成時に並行して、足場45の設置を含む孔貫通準備作業を行うことを示している。このように、自由断面掘削機1を用いる第1の空間6の形成時に、仮締切設備40の設置や孔貫通準備作業を行うことにより、第1の空間6の形成と並行して、第2の空間9を形成するための準備を行うことができるので、貫通孔形成の工期を短縮することができる。
尚、本実施形態では、第1の空間6の形成に用いられる掘削機として自由断面掘削機5を挙げて説明したが、第1の空間6の形成に用いられる掘削機はこれに限らない。
また、本実施形態では、掘削機による掘削によって第1の空間6を形成しているが、この他、発破掘削によって第1の空間6を形成してもよい。この場合には、孔形成予定部分αの掘削面(鏡)に爆薬挿入用の穴をドリル等で削孔し、この穴にダイナマイト等の爆薬を挿入して発破・爆発させて掘削する。ただし、振動の低減・抑制の面からは、発破掘削によって第1の空間6を形成するよりも掘削機による掘削によって第1の空間6を形成するほうが好ましい。
また、本実施形態では、本発明の「コンクリート切断装置」としてワイヤーソー11を含んで構成されるもの(ワイヤーソー切断装置7)を用いて説明したが、「コンクリート切断装置」の構成はこれに限らず、例えば、ダイヤモンドカッター、又は、チェーンソーを含んで構成されるものであってもよい。ワイヤーソー11の代わりとしてダイヤモンドカッター又はチェーンソーを用いる場合には、上述のボーリング孔Hを形成しなくてもよい。また、ダイヤモンドカッター又はチェーンソーを用いる場合には、いわゆる押し切りによってコンクリートが切断され得る。
本実施形態によれば、既設のコンクリートダムの堤体であるダム堤体1の上流側と下流側とを連通するように、第1の空間6と第2の空間9とを含む貫通孔3をダム堤体1に形成する方法として、ダム堤体1の上流側端部に所定の未掘削区間30を残すように、ダム堤体1を、その下流側から上流側に向かって掘削機(例えば自由断面掘削機5)又は発破によって掘削することにより、ダム堤体1に第1の空間6を形成する工程(図4〜図8参照)と、ダム堤体1の上流側と第1の空間6とを連通するように、ダム堤体1の所定の未掘削区間30に縁切りボーリング孔51,52、複数のボーリング孔Hを形成する工程(図10、図11及び図14参照)と、縁切りボーリング孔51,52、複数のボーリング孔Hにワイヤーソー11を通す工程と、ワイヤーソー11を用いて、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を複数(図では計16個)のコンクリートブロックCB1〜CB16に分割する工程(図10〜図15参照)と、コンクリートブロックCB1〜CB16をダム堤体1の上流側より搬出することによって、ダム堤体1の上流側端部に第2の空間9を形成する工程(図6〜図9及び図12〜図15)と、を含む。これにより、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を複数(図では計16個)のコンクリートブロックCB1〜CB16に分割するときには、発生する振動が比較的小さなワイヤーソー11を用い、分割されたコンクリートブロックCB1〜CB16はダム堤体1の上流側より搬出されるので、ダム堤体1に形成される貫通孔3の貫通時に発生する振動を抑制することができる。また、自由断面掘削機5等の掘削機による掘削か、又は発破掘削により、ダム堤体1に第1の空間6を形成することにより、貫通孔3の主部分となり得る第1の空間6を効率良く形成することができ、ひいてはダム堤体1に貫通孔3を効率良く形成することができる。
また本実施形態によれば、ワイヤーソー11を回転走行させるワイヤーソー切断装置7の本体10がダム堤体1の上流側に設けられる。これにより、ワイヤーソー11によるコンクリートの切断作業を足場45上にて行うことができる。また、ワイヤーソー切断装置7の本体10をダム堤体1の上流側に設置することで、ワイヤーソー切断装置7の準備や切断に関する作業と、自由断面掘削機5による掘削作業とを並行して実施することができ、従って、作業を効率的に実施することが可能となる。
また本実施形態によれば、貫通孔3は、その上流側端部に拡幅部4を有し、拡幅部4が第2の空間9を含む。これにより、貫通孔3のうち断面積が大きな部分である拡幅部4の形成時に、発生する振動が比較的小さなワイヤーソー11を用いるので、拡幅部4の形成時(特に孔貫通時)に発生する振動を抑制することができる。
また本実施形態によれば、ダム堤体1における貫通孔3の形成方法は、第1の空間6を形成する工程と並行して、ダム堤体1の上流側の壁面1aに隣接する作業空間βを確保するための仮締切設備40を設ける工程を含む(図4参照)。これにより、第1の空間6の形成と並行して、第2の空間9を形成するための準備を行うことができるので、貫通孔形成の工期を短縮することができる。
また本実施形態によれば、ダム堤体1における貫通孔3の形成方法は、第1の空間6を形成する工程と並行して、ダム堤体1の上流側の壁面1aに隣接するように足場45を設ける工程を含む(図5参照)。これにより、第1の空間6の形成と並行して、第2の空間9を形成するための準備を行うことができるので、貫通孔形成の工期を短縮することができる。
また本実施形態によれば、既設のコンクリートダムの堤体であるダム堤体1の上流側と下流側とを連通するように、第1の空間6と第2の空間9とを含む貫通孔3をダム堤体1に形成する方法として、ダム堤体1の上流側端部に所定の未掘削区間30を残すように、ダム堤体1を、その下流側から上流側に向かって掘削機(例えば自由断面掘削機5)又は発破によって掘削することにより、ダム堤体1に第1の空間6を形成する工程と、ワイヤーソー11、ダイヤモンドカッター、又は、チェーンソー等を含んで構成され得るコンクリート切断装置を用いて、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を複数(図では計16個)のコンクリートブロックCB1〜CB16に分割する工程(図10〜図15参照)と、コンクリートブロックCB1〜CB16をダム堤体1の上流側より搬出することによって、ダム堤体1の上流側端部に第2の空間9を形成する工程(図6〜図9及び図12〜図15)と、を含む。これにより、ダム堤体1の所定の未掘削区間30を複数(図では計16個)のコンクリートブロックCB1〜CB16に分割するときには、発生する振動が比較的小さなワイヤーソー11、ダイヤモンドカッター、又は、チェーンソー等を含んで構成され得るコンクリート切断装置を用い、分割されたコンクリートブロックCB1〜CB16はダム堤体1の上流側より搬出されるので、ダム堤体1に形成される貫通孔3の貫通時に発生する振動を抑制することができる。また、自由断面掘削機5等の掘削機による掘削か、又は発破掘削により、ダム堤体1に第1の空間6を形成することにより、貫通孔3の主部分となり得る第1の空間6を効率良く形成することができ、ひいてはダム堤体1に貫通孔3を効率良く形成することができる。
また本実施形態によれば、ワイヤーソー11、ダイヤモンドカッター、又は、チェーンソー等を含んで構成され得るコンクリート切断装置がダム堤体1の上流側に設けられることが好ましい。これにより、ワイヤーソー11、ダイヤモンドカッター、又は、チェーンソー等によるコンクリートの切断作業を足場45上にて行うことができる。また、このコンクリート切断装置をダム堤体1の上流側に設置することで、コンクリート切断装置の準備や切断に関する作業と、自由断面掘削機5による掘削作業とを並行して実施することができ、従って、作業を効率的に実施することが可能となる。
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
1 ダム堤体
1a,1b 壁面
2 貯水池
3 貫通孔
4 拡幅部
4a 第1の部分
4b 第2の部分
5 自由断面掘削機
6 第1の空間
7 ワイヤーソー切断装置
8 クレーン
9 第2の空間
10 本体
11 ワイヤーソー
12 取付基台
13〜15 ロッド
16 駆動用プーリー
17〜22 ガイドプーリー
23 油圧モータ
30 所定の未掘削区間
32 予定線
33 計画線
40 仮締切設備
41 台座コンクリート
45 足場
46 第1足場ユニット
47 第2足場ユニット
48 第3足場ユニット
51,52 縁切りボーリング孔
55 ナイロンスリング
60 レール
61 くさび
α 孔形成予定部分
β 作業空間
CB,CB1〜CB16 コンクリートブロック
E,F,G,H ボーリング孔

Claims (6)

  1. 既設のコンクリートダムの堤体の上流側と下流側とを連通するように、第1の空間と第2の空間とを含む貫通孔を前記堤体に形成する方法であって、
    前記堤体の上流側端部に所定の未掘削区間を残すように、前記堤体を、その下流側から上流側に向かって掘削機又は発破によって掘削することにより、前記堤体に前記第1の空間を形成する工程と、
    前記堤体の上流側と前記第1の空間とを連通するように、前記堤体の前記所定の未掘削区間に複数のボーリング孔を形成する工程と、
    前記ボーリング孔にワイヤーソーを通す工程と、
    該ワイヤーソーを用いて、前記堤体の前記所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割する工程と、
    前記コンクリートブロックを前記堤体の上流側より搬出することによって、前記堤体の上流側端部に前記第2の空間を形成する工程と、
    を含み、
    前記ワイヤーソーを回転走行させるワイヤーソー切断装置の本体が前記堤体の上流側に設けられる、ダム堤体における貫通孔の形成方法。
  2. 既設のコンクリートダムの堤体の上流側と下流側とを連通するように、第1の空間と第2の空間とを含む貫通孔を前記堤体に形成する方法であって、
    前記堤体の上流側端部に所定の未掘削区間を残すように、前記堤体を、その下流側から上流側に向かって掘削機又は発破によって掘削することにより、前記堤体に前記第1の空間を形成する工程と、
    コンクリート切断装置を用いて、前記堤体の前記所定の未掘削区間を複数のコンクリートブロックに分割する工程と、
    前記コンクリートブロックを前記堤体の上流側より搬出することによって、前記堤体の上流側端部に前記第2の空間を形成する工程と、
    を含み、
    前記コンクリート切断装置が前記堤体の上流側に設けられる、ダム堤体における貫通孔の形成方法。
  3. 前記貫通孔は、その上流側端部に拡幅部を有し、該拡幅部が前記第2の空間を含む、請求項1又は請求項2に記載のダム堤体における貫通孔の形成方法。
  4. 前記第1の空間を形成する工程と並行して、前記堤体の上流側の壁面に隣接する作業空間を確保するための仮締切設備を設ける工程を更に含む、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のダム堤体における貫通孔の形成方法。
  5. 前記コンクリートブロックを前記堤体の上流側より搬出することは、前記堤体の天端に配置されたクレーンにより、前記コンクリートブロックを前記作業空間内から吊り上げることを含む、請求項4に記載のダム堤体における貫通孔の形成方法。
  6. 前記第1の空間を形成する工程と並行して、前記堤体の上流側の壁面に隣接するように足場を設ける工程を更に含む、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のダム堤体における貫通孔の形成方法。
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