JP6209331B2 - 凹凸シートの製造方法、及び不織布 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートに関する技術として、原料シートを、多数の凸部を有するロールと、該凸部が挿入される多数の受け穴を有するロールとの間に供給し、前記凸部により原料シートを部分的に受け穴内に押し込ませて凹状に変形させ、その凹状の変形形状を加熱により固定することによって、多数の凹部を有する表面シートを製造する方法が記載されている。
また、特許文献2には、凸状部が多数配列された凸側エンボスロールと、前記凸状部に対応して多数の凹状部が形成された凹側エンボスロールとによって、不織布層とプラスチック層とを有する積層シートに凹凸状のエンボスが付与すると同時に、凸状部又は凹状部に形成したピンエンボスによって開孔を形成する技術が記載されている。
また、特許文献3には、多数の雄型を有する雄型ロールと多数の窪みを有する雌型ロールとからなるロール対で処理することによって、厚手のフリースウェブ又は起毛フィルムを製造する技術が記載されている。
特許文献3には、雌型ロールの温度を、雄型ロールの温度より少なくとも20℃だけ低い温度とすることが記載されているが、両ロールをともに加熱しており、高温に加熱する雄型ロールの凸部の幅が、相対的に低温に加熱する雌型ロールの凸部の幅より広いため、雄型ロールの凸部に加熱された部分によって、肌触りや通気性が低下し易い。
前記2本のロールの一方を80℃以上の温度に加熱し、他方を40℃未満に維持した状態下に、原反シートを、該2本のロール間に通すとともに、2本のロールに通す際に、2本のロールそれぞれの凸部を、該原反シートに接触させる一方、2本のロールそれぞれの凹部の底部に該原反シートを接触させない、凹凸シートの製造方法を提供するものである。
また、本発明の凹凸シートの製造方法によれば、肌触りに優れた凹凸シートを効率よく製造することができる。
図1は、本発明の不織布の一実施形態である不織布を示す斜視図である。
本実施形態の不織布1は、図1に示すように、凹凸構造を有している。より具体的には、図2に示すように、表裏両面a,bの断面形状が共に厚み方向Zの一方向Zaに向かって凸状をなす複数の凸部2と、凸部2間に位置する凹部3とを有している。凹部3は、表裏両面a,bの断面形状が共に不織布の厚み方向Zの前記一方向Zaに向かって凹状をなしている。換言すれば、凹部3は、表裏両面a,bの断面形状が共に不織布の厚み方向Zにおける前記一方向Zaとは反対方向Zbに向かって凸状をなしている。
複数の凸部2は、それぞれ、不織布1の一方向Xに連続して延びており、凹部3も、不織布1の一方向Xに連続して延びる溝状をなしている。複数の凸部2は、互いに平行であり、凸部2と凹部3は、前記一方向Xに直交する方向Yに交互に形成されている。
凹部3における不織布の平均繊維径は、凸部2における不織布の平均繊維径に対する割合が、好ましくは50%以上、より好ましくは63%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また、好ましくは50〜90%であり、より好ましくは63〜80%である。凹部3における不織布の平均繊維径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下であり、また、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1.0〜12μmである。このようにすることでより肌触りの優れたものとなる。また、凸部2における不織布の平均繊維径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下であり、また、好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは10〜15μmである。なお、平均繊維径については、凸部における平均繊維径と凹部における平均繊維径との差の絶対値が2.0μm以上である場合に、凸部と凹部との間に平均繊維径の差があるものとする。
繊維間距離は下記の式により求めた。下記によって求められた繊維間距離は不織布断面の繊維間距離に近似する。
繊維の充填密度(g/m3)は、不織布の目付け(g/m2)を不織布の厚み(m)で割ることで求められる。
不織布の目付け(g/m2):不織布の目付けに関しては、凸部2と凹部3の微小部分を別々に切り出し、凸部2及び凹部3のそれぞれについて、切り出した微小部分の面積の合計が1000mm2〜2500mm2となるようにし、それぞれの合計重量をそれぞれの合計面積で割ることで凸部2と凹部3の不織布目付けが求められる。凸部及び凹部の微小部分の面積は、凸部及び凹部が図2に示されるように湾曲している場合は、自然状態のまま平板上に置き上から投影した面積とする。
不織布の厚み(m):凸部及び凹部の厚みは、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、シートの断面を50倍〜200倍に拡大観察して測定する。断面は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用い、シートを切断して得る。厚みは例えば不織布にうねりなどがある場合、断面の肉厚を測定する。凸部1箇所につき、頂部の厚みT2を1点測定し、5箇所の凸部をそれぞれ測定した値5点の平均値を不織布厚みとする。凹部の厚みT3についても同様に測定する。
fd:繊維の直径
繊維の直径(μm)は、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、200〜800倍に拡大して、不織布厚みの測定と同様にして凸部及び凹部の繊維の直径を求める。凸部1箇所につき、最も細い繊維1本について円形に近似したときの繊維径を測定し、5箇所の凸部をそれぞれ測定した値5点の平均値を繊維の直径とする。凹部についても同様に測定する。
凸部および凹部の繊度(デニール)は、不織布が1種類の繊維からなっている場合には、当該不織布が単層である場合も、複数層である場合も、そのままDSCにより繊維に使用されている樹脂を特定し、比重(実質的に密度)と上記繊維直径fdより求められる繊維の断面積より繊維の長さが9000mのときの重量を求めたときのその重量がデニールとなる。当該繊維が芯鞘構造のような複合繊維では、DSCの融点から使用されている樹脂の特定を行い、ATR法で測定したFT−IRにより鞘成分の樹脂の特定を行う。走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大観察時の断面から繊維の芯と鞘、それぞれの断面積と比重より算出して繊維の長さが9000mのときの重量を求める。不織布が単層であって、複数種の繊維が用いられている場合には、走査型電子顕微鏡(SEM)にて繊維の断面画像を撮影し、平均断面積と繊維の配合比率より求めた平均比重により算出する。不織布が単層ではなく複数層から構成され、複数種の繊維が用いられている場合はそれぞれの層に剥離したものを用いて上記測定を行う。その後、それぞれの層の配合比より各層の繊度を各層の目付け比率によって加重平均し平均繊度を求める。なお、本発明においては、高密度ポリエチレンの比重を0.94、ポリプロピレン0.92、ポリエステル1.36として計算した。
これにより、本実施形態の不織布1は、一層、凸部が嵩高となるため柔らかさが増し肌触りが優れるとともに、通気性の高いものとなっている。なお、不織布の厚みについては、凸部2における不織布の厚みT2と凹部3における不織布の厚みT3との差の絶対値が20μm以上である場合に、凸部と凹部との間に不織布の厚みの差があるものとする。
凹部3における不織布の厚みT3は、凸部2における不織布の厚みT2に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは25%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは17%以上であり、また、好ましくは10〜70%であり、より好ましくは17〜25%である。凹部3における不織布の厚みT3は、好ましくは10μm以上、より好ましくは35μm以上であり、また、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下であり、また、好ましくは10〜55μmであり、より好ましくは35〜50μmである。凸部2における不織布の厚みT2は、好ましくは170μm以上、より好ましくは200μm以上である。
凸部及び凹部における不織布の厚みは、上記〔繊維間距離の測定方法〕において説明した不織布の厚み(m)の測定方法に従って測定する。
これにより、本実施形態の不織布1は、凹部3において繊維が厚み方向に潰れて扁平し、厚み方向に密になりやすいため、汗などが繊維間を拡散して湿気が蒸発しやすくなる。
凸部2における不織布の構成繊維の最大扁平率は、凹部3における不織布の構成繊維の最大扁平率に対する割合が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また、好ましくは93%以下、より好ましくは87%以下であり、また、好ましくは70%〜93%であり、より好ましくは80%〜87%である。なお、最大扁平率については、凸部における最大扁平率と凹部における最大扁平率との差の絶対値が0.1以上である場合に、凸部と凹部との間に最大扁平率の差があるものとする。
構成繊維の最大扁平率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、200〜800倍に拡大して、繊維径の測定と同様にして凸部及び凹部の繊維の最大扁平率を求める。凸部1箇所につき、その中で最も扁平率の高い繊維1本について長径と短径を測定し、長径/短径によって最大扁平率を求め、5箇所の凸部をそれぞれ測定した値5点の平均値を構成繊維の最大扁平率とする。凹部についても同様に測定する。
凸部2の近似円半径R2は、不織布の厚みと同様にして不織布の断面を観察し、図3に示すように凸部2の頂部21と変曲点2点M,Mの計3点を通る円の半径を近似円半径R2とする。頂部21及び変曲点Mは、不織布の実質的な厚みの中間線S上に位置する。変曲点Mは、中間線Sの曲線が凸部2と凹部3との間の、上に凸の状態と上に凹の状態との変わり目の点とする。この点で引いた接線に対し、曲線の一方と他方とは異なる側になる。凹部3の近似円半径R3も同様にして求められるが、図3に示すように、凹部3の底部31と変曲点2点M,Mの計3点を通る円の半径を近似円半径R3とする。
不織布の見掛けの全体厚みT1や凸部2のピッチP2は、不織布の厚みの測定方法と同様に、断面を観察して測定する。
柔軟剤を含むことにより、肌触りがよく、毛羽抜けが少なく、表面の肌摩擦も低く、最大強度も高く本発明において効果が特に高い。
柔軟剤は、記載の前記ランダムコポリマーとの併用が、後述する延伸性が増し、高延伸で加工できる点で特に好ましい。
本発明の凹凸シートの製造方法の一実施態様について、上述した不織布1を製造する場合を例にして説明する。
そして、原反シート10を2本のロール4,5間に通すに当たり、2本のロール4,5のうちの一方のロール4は80℃以上の温度に加熱しておく一方、他方のロール5は40℃未満に維持しておく。他方のロール5を40℃未満に維持するという表現には、ロール5について加熱も冷却もしない結果、該ロール5の温度が40℃以上に上昇しない場合と、ロール5を加熱しないが、ロール4からの熱が伝わって温度が40℃以上になることを防止するためにロール5を冷却する場合、ロール5を加熱するが、ロール5の温度が40℃以上にならないように加熱温度を制御する場合を包含する。ロール5の温度を40℃未満に保つため、加熱は行わないことが好ましい。なお、本実施態様における2本のロール4,5は、それぞれ、回転方向に延在する複数本の凸部41,51と、回転軸方向に隣り合う凸部と凸部との間に形成された溝状の凹部42,52を有している。
加熱ロールと非加熱ロールの組み合わせは熱膨張により、加熱ロールの凹凸と非加熱ロールの凹凸がかみ合う上で軸方向または周方向にズレが生じるため困難とされている。例えば加熱ロールの凸部41と非加熱ロールの凸部51の隙間S45が小さいと、熱膨張によってロール同士が直接擦れやすくなり不織布に裂けが生じる。そこで、この熱膨張を考慮した凹凸ピッチとすることで加熱ロールの凹凸と非加熱ロールの凹凸が直接擦れることなく回転させることが可能である。具体的には加熱ロール4の凸部のロール回転軸方向またはロール周方向のピッチを、非加熱ロール5の凸部の同方向のピッチよりも常温において0.05%以上小さくすることが好ましい。上限は好ましくは0.20%以下である。特に、加熱ロール4の幅方向の温度部分布に合わせロール中央部においてロールの両端位置よりも凸部のロール回転軸方向のピッチを小さくすることが好ましい。
これに対し凸部2は非加熱ロール5が当接しているが相対的に加熱されていないので熱が積極的に加わらないため、厚み方向には一時的に圧縮されるがロールから開放されたときに繊維の延伸された分が厚み方向に膨らみ嵩高なものが得られる。ロール5は加熱されていないためロール5の凸部形状が不織布にセットされにくい。その分、凸部2は柔らかく通気性の高いものとなる。
また、加熱ロール4の凸部41の幅W1は、加熱ロール4の凹部42の幅W3に対する割合が、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下であり、また、好ましくは10〜50%であり、より好ましくは20〜30%である。
また、非加熱ロール5の凸部51の幅W2は、非加熱ロール5の凹部42の幅W4に対する割合が、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下であり、また、好ましくは20〜80%であり、より好ましくは40〜60%である。
このようにすることでロール5によって不織布が冷却されるため、凹凸形状が維持され、その後の搬送による張力やニップによって形状がくずれるのを防止できる。さらにはロール5の出口側の不織布が接触している間に風や冷風によって不織布を冷却することが好ましい。ロール5から不織布が剥離する点において、ロール4に接した側の不織布1の表面温度は50℃以下、特に35℃以下であることが凹凸形状を維持する点で好ましい。
ここでいう、熱圧着部12のロール回転軸方向Y’のピッチP12は、図7に示すように、不織布のCD方向における熱圧着部12のピッチである。
不織布と樹脂フィルムとが積層された積層シートは、例えば、おむつの裏面材として用いることができる。不織布及び凹凸シートは、これを例えば吸収性物品の表面シートとして用いる場合には、その目付け(坪量)が10〜80g/m2、特に15〜60g/m2であることが好ましい。
例えば、原反シートとしては各種製法による不織布を用いることができ、例えば、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布等の積層体を用いることができる。また、不織布と樹脂フィルムとがホットメルト接着剤、溶融ラミネート、熱ロール(ポイントボンドなど)によって一体化された積層シート等の積層体を用いることもできる。ホットメルト接着剤により貼り合せることが凹凸加工によってフィルムにピンホールが開きにくいことから好ましい。不織布とフィラーを含有した樹脂フィルム(本加工前は非透湿)とが積層されたシート(積層体)を用いることで、凹凸加工による延伸によってフィルムが連通開孔し、高透湿性であり凹凸形状の安定した肌触りの良い積層シートが得られる点で好ましい。
他のシートとしては、フィルムとしては、非透湿性の液不透過性シート、透湿性の液不透過性シート、開孔または非開孔の伸縮フィルム、があげられる。また、不織布としてはエアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンドとメルトブローンを積層した不織布、スパンレース不織布、カード法によるヒートロール(ポイントボンド)不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布があげられる。紙としては薄葉紙、ク−プ紙、開孔薄葉紙があげられる。また、パルプとしては、未抄紙のパルプ繊維からなるシートがあげられる。これらの中では、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンドとメルトブローンを積層した不織布、薄葉紙、パルプ繊維からなるシートが好ましい。
他の材料との貼り合せにおいてはホットメルトを凹部3にのみに塗布することが、使用時に凹凸構造がつぶれ難い点で好ましい。凹部3にのみに塗布するには、不織布1の非使用面側にコーターにて不織布1の張力と押し当て角度を調整して凹部3に塗布する方法が好ましい。または不織布1の凹部3とホットメルトの位置が一致するように画像解析により位置調整し、貼り合わされる他のシート側にストライプ状にホットメルト接着剤を塗布する方法が好ましい。
前記2本のロールの一方を80℃以上の温度に加熱し、他方を40℃未満に維持した状態下に、原反シートを、該2本のロール間に通すとともに、2本のロールに通す際に、2本のロールそれぞれの凸部を、該原反シートに接触させる一方、2本のロールそれぞれの凹部の底部に該原反シートを接触させない、凹凸シートの製造方法。
<2> 加熱する前記一方のロールの凸部は、ロール回転軸方向又はロール周方向の幅が、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向の幅より狭い、前記<1>記載の凹凸シートの製造方法。
<3> 加熱する前記一方のロールの凸部は、ロール回転軸方向又はロール周方向の幅が、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向の幅より0.1mm以上、10mm以下の範囲で狭い、前記<2>記載の凹凸シートの製造方法。
<4> 加熱する前記一方のロールの凸部の幅は、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の幅に対する割合が、好ましくは80%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である、前記<2>又は<3>に記載の凹凸シートの製造方法。
<5> 加熱する前記一方のロールの加熱温度を、原反シートにおける不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、0℃〜100℃低い温度の範囲内とする、前記<1>〜<4>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<6> 加熱する前記一方のロールの加熱温度を、原反シートにおける不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、5℃〜60℃低い温度の範囲内とする、前記<5>記載の凹凸シートの製造方法。
<7> 40℃未満に維持する前記他方のロールの温度は、30℃以下に維持することが好ましく、20℃以下に維持することがさらに好ましい、前記<1>〜<6>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<8> 前記原反シートを、40℃未満に維持する前記他方のロールに、10度以上巻き掛ける、前記<1>〜<7>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<9> 前記原反シートを、40℃未満に維持する前記他方のロールに好ましくは10度以上、より好ましくは30度以上であり、また、好ましくは180度以下、より好ましくは120度以下、巻き掛ける、前記<8>記載の凹凸シートの製造方法。
<10> 前記原反シートとして、不織布の構成繊維どうしが熱圧着された熱圧着部を有するものを用い、加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、前記熱圧着部の同方向のピッチの0.8〜1.2倍として凹凸シートを製造する、前記<1>〜<9>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<11> 前記2本のロールは、それぞれ、回転方向に延在する複数本の凸部と、回転軸方向に隣り合う凸部と凸部との間に形成された溝状の凹部を有している、前記<1>〜<10>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<12> 加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向のピッチよりも常温において、0.05%以上小さくした前記<1>〜<11>の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
<13> 前記原反シートが、不織布と透湿性の樹脂フィルムとの積層体である、前記<1>〜<12>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<14> 凹凸構造を有する不織布であって、
表裏両面の断面形状が厚み方向の一方向に向かって凸状をなす複数の凸部と、前記凸部間に位置する凹部とを有し、前記凹部の繊維は、前記凸部の繊維よりも平均繊維径が小さく、前記凹部における繊維間距離の前記凸部における繊維間距離に対する割合が80%以下である、不織布。
<16> 前記凹部における不織布の平均繊維径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下である、前記<14>又は<15>に記載の不織布。
<17> 前記凸部における不織布の平均繊維径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である、前記<14>〜<16>の何れか1記載の不織布。
<18> 前記凹部における不織布の繊維間距離は、前記凸部における不織布の繊維間距離に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上である、前記<14>〜<17>の何れか1記載の不織布。
<19> 前記凹部における不織布の繊維間距離は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは2.5μm以上であり、また、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下である、前記<14>〜<18>の何れか1記載の不織布。
<20> 前記凸部における不織布の繊維間距離は、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上であり、また、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下であり、また、好ましくは20〜40μmである、前記<14>〜<19>の何れか1記載の不織布。
<22> 前記凹部における不織布の厚みは、前記凸部における不織布の厚みT2に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは25%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは17%以上である、前記<14>〜<21>の何れか1記載の不織布。
<23> 前記凹部における不織布の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは35μm以上であり、また、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下である、前記<14>〜<22>の何れか1記載の不織布。
<24> 前記凸部における不織布の厚みは、好ましくは170μm以上、より好ましくは200μm以上である、前記<14>〜<23>の何れか1記載の不織布。
<25> 前記凹部は、前記凸部よりも構成繊維の最大扁平率が大きい、前記<14>〜<24>の何れか1記載の不織布。
<26> 前記凸部における不織布の構成繊維の最大扁平率は、前記凹部における不織布の構成繊維の最大扁平率に対する割合が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また、好ましくは93%以下、より好ましくは87%以下である、前記<25>に記載の不織布。
<27> 前記凸部の近似円半径が前記凹部の近似円半径より大きい、前記<14>〜<26>の何れか1記載の不織布。
<28> 前記凹部の近似円半径は、前記凸部の近似円半径に対する割合が、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下である、前記<27>に記載の不織布。
<29> 前記凸部における目付けが前記不織布の平均目付けよりも、好ましくは0.3g/m2以上、さらに好ましくは1.5g/m2以上高く、また、前記凹部における目付けが前記不織布の平均目付けよりも、好ましくは0.3g/m2以上、さらに好ましくは1.5g/m2以上低い、前記<14>〜<28>の何れか1記載の不織布。
<30> スパンボンド不織布から形成したものである、前記<14>〜<29>の何れか1記載の不織布。
表1に示す種類の原反シートを、図4及び図5に示す凹凸加工装置に通し、表1に示す条件にて、凹凸加工を行った。実施例1においては、加工条件は、上側に配置した上ロールを110℃に加熱する一方、下側に配置した下ロールは加熱せずに30℃に維持されるようにした。また、上ロール及び下ロールの凸部及び凹部の幅、前記巻き掛け角度(抱き角)θ、押し込み量d(図5参照)を表1に示すように設定した。構造的に不織布の凸部2は上ロール側となった。
表1中の原反シートの不織布(親水)、不織布(撥水)、複合バックシート(撥水)としては、それぞれ下記のシートを用いた。なお、比較例3は、実施例1で使用した未加工の原料シートそのものである。
不織布(親水):主成分としてポリプロピレンホモポリマー樹脂を含み、酸化チタン粒子を0.3質量%含むスパンボンド不織布の層を3層有する、目付け18g/m2、繊維直径18μm、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率12%、油剤により親水化処理を行ったスパンボンド不織布(SSS不織布)を用いた。油剤にはポリオキシエチレン(付加モル数2)ステアリルアミド(川研ファインケミカル株式会社製、アミゾールSDE)及びアルキルホスフェートジカリウム塩(花王株式会社製、グリッパー4131の水酸化カリウム中和物)を50重量%:50重量%で配合した親水化剤を用いた。
不織布(撥水):主成分としてポリプロピレンホモポリマー樹脂を含み、柔軟化剤としてエルカ酸アミドを1%、酸化チタン粒子を0.3質量%含むスパンボンド不織布の層を3層有する、目付け18g/m2、繊維直径18μm、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率16%のスパンボンド不織布(SSS不織布)を用いた。
複合バックシート(撥水):炭酸カルシウム粒子、添加剤、ポリエチレン樹脂からなる目付け30g/m2の非透湿フィルムと芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンからなる繊維直径17μm、目付け20g/m2のエアスルー不織布とをホットメルト接着剤2g/m2にて貼り合わせたものを用いた。
(評価方法)
得られた不織布について、図2のa面側から手で触り、比較例1の不織布を基準(3点)としたときの5段階の(5点に近づく程よりよい肌触り)官能評価を5人行い、各不織布についての平均値を、整数桁に四捨五入して求めた。
(評価方法)
通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR-PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1により通気抵抗を測定し、その逆数に係数12.5をかけて求められる。4枚の不織布の平均値を通気度とした。
(評価方法)
サンプリングおよび測定環境は22℃65%RH環境下で行う。不織布を、CD方向に200mm、MD方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、CD方向が引張方向となるように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は150mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サンプルの最大荷重点をCD方向の最大強度とする。このときの伸度を最大伸度とする。また、MD方向に200mm、CD方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのMD方向が引張方向となるように引張試験機のチャックに取り付ける。上述したCD方向の最大強度の測定方法と同様の手順によってMD方向の最大強度、最大伸度を求める。サンプル数は各5点とし、この平均値を求め、それぞれの最大強度、最大伸度とした。
(評価方法)
測定環境は22℃65%RH環境下にて行った。使い捨ておむつの表面シートに各不織布を用い該使い捨ておむつを平面状に拡げ、表面シートを上に向けて水平面上に固定した状態で、吸収体の中心部における表面シート上に人工尿40gを吸収させ、10分間放置し、さらに人工尿40gを吸収させた。この操作を繰り返し合計160gの人工尿を注入した。次いで、人工尿の吸収部位上にToyo Roshi Kaisha,Ltd製の4Aろ紙20枚重ね、更にその上に荷重を10分間加えて人工尿をろ紙に吸収させた。荷重は30cm×15cmの面積に6kgが加わるようにした。10分経過後荷重を取り除き、人工尿を吸収したろ紙の重量を測定した。この重量から吸収前のろ紙の重量を差し引き、その値を各サンプルの液残り量を求めた。サンプル数は各3点とし、この平均値を求めて液残り量とした。この液残り量が少ないものほど不織布表面に液が残りにくく導水性に優れるものとなる。
(評価方法)
200mm×250mmのサイズに不織布サンプルをカットし、4枚のそれぞれについて算出した目付けの平均値を不織布の平均目付けとする。
そして、比較例1〜3は、何れも肌触りに劣っている。
2 凸部
3 凹部
4 ロール(加熱ロール,80℃以上に加熱するロール)
41 凸部
42 凹部
5 ロール(非加熱ロール,40℃未満に維持するロール)
51 凸部
52 凹部
10 原反シート
Claims (7)
- 不織布又は不織布を含む積層体からなる原反シートを、互いに噛み合う凹凸を有する2本のロール間に通すことによって凹凸シートを製造する凹凸シートの製造方法であって、
前記2本のロールの一方を80℃以上の温度に加熱し、他方を40℃未満に維持した状態下に、原反シートを、該2本のロール間に通すとともに、2本のロールに通す際に、2本のロールそれぞれの凸部を、該原反シートに接触させる一方、2本のロールそれぞれの凹部の底部に該原反シートを接触させないようにし、且つ
前記原反シートを、前記2本のロール間に通す際に、該原反シートを、40℃未満に維持する前記他方のロールに10度以上巻き掛ける、凹凸シートの製造方法。 - 加熱する前記一方のロールの凸部は、ロール回転軸方向又はロール周方向の幅が、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向の幅より狭い、請求項1記載の凹凸シートの製造方法。
- 加熱する前記一方のロールの加熱温度を、原反シートにおける不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、0℃〜100℃低い温度の範囲内とする、請求項1又は2記載の凹凸シートの製造方法。
- 前記原反シートとして、不織布の構成繊維どうしが熱圧着された熱圧着部を有するものを用い、加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、前記熱圧着部の同方向のピッチの0.8〜1.2倍として凹凸シートを製造する、請求項1〜3の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
- 前記2本のロールは、それぞれ、回転方向に延在する複数本の凸部と、回転軸方向に隣り合う凸部と凸部との間に形成された溝状の凹部を有している、請求項1〜4の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
- 加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向のピッチよりも常温において、0.05%以上小さくした請求項1〜5の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
- 前記原反シートが、不織布と透湿性の樹脂フィルムとの積層体である、請求項1〜6の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
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