JP6209331B2 - 凹凸シートの製造方法、及び不織布 - Google Patents

凹凸シートの製造方法、及び不織布 Download PDF

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本発明は、凹凸シートの製造方法、及び不織布に関する。
不織布を、周面に凹凸を有するロール間に通して、凹凸形状を有する不織布を得る技術が知られている。
例えば、特許文献1には、生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートに関する技術として、原料シートを、多数の凸部を有するロールと、該凸部が挿入される多数の受け穴を有するロールとの間に供給し、前記凸部により原料シートを部分的に受け穴内に押し込ませて凹状に変形させ、その凹状の変形形状を加熱により固定することによって、多数の凹部を有する表面シートを製造する方法が記載されている。
また、特許文献2には、凸状部が多数配列された凸側エンボスロールと、前記凸状部に対応して多数の凹状部が形成された凹側エンボスロールとによって、不織布層とプラスチック層とを有する積層シートに凹凸状のエンボスが付与すると同時に、凸状部又は凹状部に形成したピンエンボスによって開孔を形成する技術が記載されている。
また、特許文献3には、多数の雄型を有する雄型ロールと多数の窪みを有する雌型ロールとからなるロール対で処理することによって、厚手のフリースウェブ又は起毛フィルムを製造する技術が記載されている。
また、スパンボンド不織布等を延伸する技術として、互いに噛み合う多数の歯を有する一対のギアロール間に不織布を通して、連続繊維を延伸させる技術が知られている(特許文献4参照)。
特開2008−289662号公報 特開2008−073396号公報 特表2002−531726号公報 特開2012−077401号公報
一対のロールで凹凸賦形する従来技術においては、特許文献1,2の技術のように、両ロールを共に加熱することで、得られるシートの両面に硬い部分や通気性を低下させる部分が生じて肌触りや通気性の点で改善の余地のあるものや、特許文献4の技術のように、両ロールを共に加熱せずに、得られるシートの立体形状の保形性が悪いものが多い。
特許文献3には、雌型ロールの温度を、雄型ロールの温度より少なくとも20℃だけ低い温度とすることが記載されているが、両ロールをともに加熱しており、高温に加熱する雄型ロールの凸部の幅が、相対的に低温に加熱する雌型ロールの凸部の幅より広いため、雄型ロールの凸部に加熱された部分によって、肌触りや通気性が低下し易い。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、不織布、及び凹凸シートの製造方法を提供することにある。
本発明は、不織布又は不織布を含む積層体からなる原反シートを、互いに噛み合う凹凸を有する2本のロール間に通すことによって凹凸シートを製造する凹凸シートの製造方法であって、
前記2本のロールの一方を80℃以上の温度に加熱し、他方を40℃未満に維持した状態下に、原反シートを、該2本のロール間に通すとともに、2本のロールに通す際に、2本のロールそれぞれの凸部を、該原反シートに接触させる一方、2本のロールそれぞれの凹部の底部に該原反シートを接触させない、凹凸シートの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、凹凸構造を有する不織布であって、表裏両面の断面形状が厚み方向の一方向に向かって凸状をなす複数の凸部と、前記凸部間に位置する凹部とを有し、前記凹部の繊維は、前記凸部の繊維よりも平均繊維径が小さく、該凹部における繊維間距離は、該凸部における繊維間距離よりも短い、不織布を提供するものである。
本発明の不織布は、肌触り及び通気性に優れている。
また、本発明の凹凸シートの製造方法によれば、肌触りに優れた凹凸シートを効率よく製造することができる。
図1は、本発明の不織布の一実施態様を示す斜視図である。 図2は、図1の不織布のY方向に沿う断面図である。 図3は、凸部及び凹部の近似円半径の求め方の説明図である。 図4は、本発明の方法の実施に好ましく用いられる一対のロール及びそれを用いて原反シートに凹凸加工を施す様子を示す斜視図である。 図5は、図4のVI−VI線断面図である。 図6は、巻き掛け角度θの説明図である。 図7は、熱圧着部のピッチの説明図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の不織布の一実施形態である不織布を示す斜視図である。
本実施形態の不織布1は、図1に示すように、凹凸構造を有している。より具体的には、図2に示すように、表裏両面a,bの断面形状が共に厚み方向Zの一方向Zaに向かって凸状をなす複数の凸部2と、凸部2間に位置する凹部3とを有している。凹部3は、表裏両面a,bの断面形状が共に不織布の厚み方向Zの前記一方向Zaに向かって凹状をなしている。換言すれば、凹部3は、表裏両面a,bの断面形状が共に不織布の厚み方向Zにおける前記一方向Zaとは反対方向Zbに向かって凸状をなしている。
複数の凸部2は、それぞれ、不織布1の一方向Xに連続して延びており、凹部3も、不織布1の一方向Xに連続して延びる溝状をなしている。複数の凸部2は、互いに平行であり、凸部2と凹部3は、前記一方向Xに直交する方向Yに交互に形成されている。
本実施形態の不織布1は、図4に示すように、不織布からなる原反シート10に、一対のロール4,5を用いて凹凸加工を施して得られたものであり、前記一方向X及びその直交方向Yは、原反シート10に凹凸加工を施して不織布1を製造する際の機械方向(MD,流れ方向)及びその直交方向(CD)である。
本実施形態の不織布1においては、凹部3の繊維は、凸部2の繊維よりも平均繊維径が小さく、また、凹部3における繊維間距離は、凸部2における繊維間距離よりも短い。これにより、本実施形態の不織布1は、凹凸構造によるクッション性と凸部2の繊維間距離が凹部3よりも長いため凸部2は疎な構造を有し、通気性がよく、表面の柔らかなものとなって肌触りの良いものとなっている。
凹部3における不織布の平均繊維径は、凸部2における不織布の平均繊維径に対する割合が、好ましくは50%以上、より好ましくは63%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また、好ましくは50〜90%であり、より好ましくは63〜80%である。凹部3における不織布の平均繊維径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下であり、また、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1.0〜12μmである。このようにすることでより肌触りの優れたものとなる。また、凸部2における不織布の平均繊維径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下であり、また、好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは10〜15μmである。なお、平均繊維径については、凸部における平均繊維径と凹部における平均繊維径との差の絶対値が2.0μm以上である場合に、凸部と凹部との間に平均繊維径の差があるものとする。
他方、凹部3における不織布の繊維間距離は、凸部2における不織布の繊維間距離に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは1〜70%であり、より好ましくは10〜40%である。凹部3における不織布の繊維間距離は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは2.5μm以上であり、また、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下であり、また、好ましくは0.1〜7.0μmであり、より好ましくは2.5〜5.0μmである。また、凸部2における不織布の繊維間距離は、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上であり、また、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下であり、また、好ましくは20〜40μmであり、より好ましくは25〜35μmである。なお、繊維間距離については、凸部2における不織布の繊維間距離に対する凹部3における繊維間距離の割合が80%以下である場合に、凸部と凹部との間に繊維間距離の差があるものとする。
〔繊維間距離の測定方法〕
繊維間距離は下記の式により求めた。下記によって求められた繊維間距離は不織布断面の繊維間距離に近似する。
Figure 0006209331
W:繊維の充填密度
繊維の充填密度(g/m3)は、不織布の目付け(g/m2)を不織布の厚み(m)で割ることで求められる。
不織布の目付け(g/m2):不織布の目付けに関しては、凸部2と凹部3の微小部分を別々に切り出し、凸部2及び凹部3のそれぞれについて、切り出した微小部分の面積の合計が1000mm2〜2500mm2となるようにし、それぞれの合計重量をそれぞれの合計面積で割ることで凸部2と凹部3の不織布目付けが求められる。凸部及び凹部の微小部分の面積は、凸部及び凹部が図2に示されるように湾曲している場合は、自然状態のまま平板上に置き上から投影した面積とする。
不織布の厚み(m):凸部及び凹部の厚みは、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、シートの断面を50倍〜200倍に拡大観察して測定する。断面は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用い、シートを切断して得る。厚みは例えば不織布にうねりなどがある場合、断面の肉厚を測定する。凸部1箇所につき、頂部の厚みT2を1点測定し、5箇所の凸部をそれぞれ測定した値5点の平均値を不織布厚みとする。凹部の厚みT3についても同様に測定する。
fd:繊維の直径
繊維の直径(μm)は、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、200〜800倍に拡大して、不織布厚みの測定と同様にして凸部及び凹部の繊維の直径を求める。凸部1箇所につき、最も細い繊維1本について円形に近似したときの繊維径を測定し、5箇所の凸部をそれぞれ測定した値5点の平均値を繊維の直径とする。凹部についても同様に測定する。
F:繊度(デニール)
凸部および凹部の繊度(デニール)は、不織布が1種類の繊維からなっている場合には、当該不織布が単層である場合も、複数層である場合も、そのままDSCにより繊維に使用されている樹脂を特定し、比重(実質的に密度)と上記繊維直径fdより求められる繊維の断面積より繊維の長さが9000mのときの重量を求めたときのその重量がデニールとなる。当該繊維が芯鞘構造のような複合繊維では、DSCの融点から使用されている樹脂の特定を行い、ATR法で測定したFT−IRにより鞘成分の樹脂の特定を行う。走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大観察時の断面から繊維の芯と鞘、それぞれの断面積と比重より算出して繊維の長さが9000mのときの重量を求める。不織布が単層であって、複数種の繊維が用いられている場合には、走査型電子顕微鏡(SEM)にて繊維の断面画像を撮影し、平均断面積と繊維の配合比率より求めた平均比重により算出する。不織布が単層ではなく複数層から構成され、複数種の繊維が用いられている場合はそれぞれの層に剥離したものを用いて上記測定を行う。その後、それぞれの層の配合比より各層の繊度を各層の目付け比率によって加重平均し平均繊度を求める。なお、本発明においては、高密度ポリエチレンの比重を0.94、ポリプロピレン0.92、ポリエステル1.36として計算した。
本実施形態の不織布1における凹部3は、凸部2よりも不織布の厚みが薄い。
これにより、本実施形態の不織布1は、一層、凸部が嵩高となるため柔らかさが増し肌触りが優れるとともに、通気性の高いものとなっている。なお、不織布の厚みについては、凸部2における不織布の厚みT2と凹部3における不織布の厚みT3との差の絶対値が20μm以上である場合に、凸部と凹部との間に不織布の厚みの差があるものとする。
凹部3における不織布の厚みT3は、凸部2における不織布の厚みT2に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは25%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは17%以上であり、また、好ましくは10〜70%であり、より好ましくは17〜25%である。凹部3における不織布の厚みT3は、好ましくは10μm以上、より好ましくは35μm以上であり、また、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下であり、また、好ましくは10〜55μmであり、より好ましくは35〜50μmである。凸部2における不織布の厚みT2は、好ましくは170μm以上、より好ましくは200μm以上である。
凸部及び凹部における不織布の厚みは、上記〔繊維間距離の測定方法〕において説明した不織布の厚み(m)の測定方法に従って測定する。
本実施形態の不織布1における凹部3は、凸部2よりも構成繊維の最大扁平率が大きい。
これにより、本実施形態の不織布1は、凹部3において繊維が厚み方向に潰れて扁平し、厚み方向に密になりやすいため、汗などが繊維間を拡散して湿気が蒸発しやすくなる。
凸部2における不織布の構成繊維の最大扁平率は、凹部3における不織布の構成繊維の最大扁平率に対する割合が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また、好ましくは93%以下、より好ましくは87%以下であり、また、好ましくは70%〜93%であり、より好ましくは80%〜87%である。なお、最大扁平率については、凸部における最大扁平率と凹部における最大扁平率との差の絶対値が0.1以上である場合に、凸部と凹部との間に最大扁平率の差があるものとする。
〔構成繊維の最大扁平率の測定方法〕
構成繊維の最大扁平率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、200〜800倍に拡大して、繊維径の測定と同様にして凸部及び凹部の繊維の最大扁平率を求める。凸部1箇所につき、その中で最も扁平率の高い繊維1本について長径と短径を測定し、長径/短径によって最大扁平率を求め、5箇所の凸部をそれぞれ測定した値5点の平均値を構成繊維の最大扁平率とする。凹部についても同様に測定する。
本実施形態の不織布1の好ましい形態としては、スパンボンド不織布又はヒートロール不織布からなる原反シート10に凹凸加工を施して得られたものであり、該原反シート10には、構成繊維どうしの熱圧着部12が、平面方向に分散した状態に形成されている。それらの熱圧着部12においては、不織布を構成する繊維の樹脂が溶融固化して複数本の繊維が一体化している。
本実施形態の不織布1は、図3に示すように、凸部2の近似円半径R2が凹部3の近似円半径R3より大きくなっている。凸部2の近似円半径R2が凹部3の近似円半径R3より大きいとは、凸部2の近似円半径R2と凹部3の近似円半径R3との差(R2−R3)が100μm以上であることを意味する。なお、近似円半径については、凸部における近似円半径と凹部における近似円半径との差の絶対値が100μm以上である場合に、凸部と凹部との間に近似円半径の差があるものとする。
〔近似円半径の測定方法〕
凸部2の近似円半径R2は、不織布の厚みと同様にして不織布の断面を観察し、図3に示すように凸部2の頂部21と変曲点2点M,Mの計3点を通る円の半径を近似円半径R2とする。頂部21及び変曲点Mは、不織布の実質的な厚みの中間線S上に位置する。変曲点Mは、中間線Sの曲線が凸部2と凹部3との間の、上に凸の状態と上に凹の状態との変わり目の点とする。この点で引いた接線に対し、曲線の一方と他方とは異なる側になる。凹部3の近似円半径R3も同様にして求められるが、図3に示すように、凹部3の底部31と変曲点2点M,Mの計3点を通る円の半径を近似円半径R3とする。
上記近似円半径が小さい方が屈曲によって硬くはなるが荷重が加わった際に不織布の凹凸構造が潰れにくい。逆に近似円半径の大きなものの方がクッション性が良く(低応力で弾性変形するため)、肌触りのよいものが得られる。凸部2が凹部3よりも近似円半径が大きいことにより、高荷重がかかっても潰れにくくクッション性が良く、肌触りのよいものが得られる。また、不織布1は図2に示されるY方向へ凹凸構造によって伸縮性を示すが近似円半径が小さいと伸縮応力が高く硬いものとなるためフィット性が悪く、逆に近似円半径が大きいと伸縮応力が低く追随性に劣るためフィット性が良くないものとなる点から、凸部2が凹部3よりも近似円半径が大きいことにより、適度な伸縮性を有しフィット性に優れるものが得られる。
斯かる効果が一層確実に奏されるようにする観点から、凹部3の近似円半径R3は、凸部2の近似円半径R2に対する割合が、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下であり、また、好ましくは20〜80%であり、より好ましくは30〜50%である。また、凸部2の近似円半径R2は、好ましくは400μm以上、より好ましくは700μm以上であり、また、好ましくは1500μm以下、より好ましくは1300μm以下であり、また、好ましくは400〜1500μmであり、より好ましくは700〜1300μmである。また、凹部3の近似円半径R3は、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、好ましくは1200μm以下、より好ましくは500μm以下であり、また、好ましくは100〜1200μmであり、より好ましくは200〜500μmである。
本実施形態の不織布に関し、より好ましい寸法の一例を示すと、例えば、不織布の見掛けの全体厚みT1(図2参照)は0.3〜5mmであり、凸部2における不織布の厚みT2が0.05〜1.5mmであり、凹部3における不織布の厚みT3が、凸部2における厚みT2より0.02mm以上薄く、隣り合う凸部2と凸部2のピッチP2(図2参照)が1〜5mmである。このような寸法を有する不織布は、布のような外観、肌との接触面積が小さく面方向の通気性が高い、クッション性がよい、等の点で優れている。また、不織布の見掛けの全体厚みT1は0.6〜3.0mm、凸部2における不織布の厚みT2が0.18〜0.5mm、凹部3における不織布の厚みT3が、凸部2における厚みT2より0.1mm以上薄く、隣り合う凸部2と凸部2のピッチP2が1.5〜3.0mmであることがより好ましい。
不織布の見掛けの全体厚みT1や凸部2のピッチP2は、不織布の厚みの測定方法と同様に、断面を観察して測定する。
本実施形態の不織布に関し、十分な強度と肌ざわり(特にクッション性)を有する点で、不織布の平均目付けは5g/m2以上であることが好ましく、7g/m2以上であることがより好ましい。また、50g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以下であることがより好ましい。
本実施形態の不織布に関し、凸部2における目付けが上記不織布の平均目付けよりも0.3g/m2以上、さらには1.5g/m2以上高いものが好ましく、また、凹部3における目付けが上記不織布の平均目付けよりも0.3g/m2以上、さらには1.5g/m2以上低いものが好ましい。これら凸部2における目付けと上記不織布の平均目付けとの差、及び凹部3における目付けと上記不織布の平均目付けとの差について特に上限はないが10g/m2以下であることが好ましい。凸部2における目付けが凹部3における目付けよりも0.6g/m2以上20g/m2以下、さらには3.0g/m2以上20g/m2以下、高いものが好ましい。このようにすることで凹部の目付けが低いことで通気性が増すとともに、凸部と凹部の光透過率の違いにより見ための凹凸感が増し、また、ソフトなクッション性を有することで肌触りに優れる点で好ましい。
尚、不織布1が他の材料と貼り合わされたものである場合、剥離することで構造が変化してしまうときは貼り合わされた状態で不織布の形態を測定するものとする。また、他の材料と貼り合わされた状態で伸縮性を有する場合には、貼り合せを行ったときの不織布1の長さまで伸長または収縮させて測定する。
尚、不織布1は、熱可塑性樹脂を主として含み、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ビニル系樹脂、ビニリデン系樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としてはナイロン等が挙げられる。ビニル系樹脂としてはポリ塩化ビニル等が挙げられる。ビニリデン系樹脂としてはポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これら各種樹脂の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることもでき、これら各種樹脂の変成物を用いることもできる。また、不織布1を構成する繊維として複合繊維を用いることもできる。複合繊維としてサイドバイサイド繊維、芯鞘繊維、偏芯したクリンプを有する芯鞘繊維、分割繊維などを用いることができる。また繊維には、繊維着色剤、静電気防止特性剤、潤滑剤、親水剤など少量の添加物を付与した繊維を用いることもできる。繊維の繊径は、後述する加工前において、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
また、不織布1は、その構成繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂であることが好ましく、特に紡糸性の観点からポリプロピレン系樹脂から形成されていることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、滑らかであり、肌に接した際に肌触りが向上する観点、破断のしやすさの観点から、ランダムコポリマー、ホモポリマー、ブロックコポリマーのいずれか1種以上を5質量%以上100質量%以下、より好ましくは25質量%以上80質量%以下含んだ樹脂であることが好ましい。また、これらのコポリマーやホモポリマーを混合してもよいし、他の樹脂を混合してもよいが、成形時に糸切れし難いことから、ポリプロピレンのホモポリマーとランダムコポリマーの混合が好ましい。これにより、繊維の結晶性を低下させて繊維自体が柔らかくなり、肌に接した際の肌触りが良くなるとともに、不織布の最大強度との両立ができる。また、融点の分布が広くなるためシール性が良くなる。さらにはプロピレン成分をベースとしてランダムコポリマーとしてエチレンやα−オレフィンと共重合したものが好ましく、エチレンプロピレン共重合体樹脂が特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、同様な観点から、エチレンプロピレン共重合体樹脂を5質量%以上含んだ樹脂であることが好ましく、25質量%以上含んだ樹脂であることが更に好ましい。エチレンプロピレン共重合体樹脂中にはエチレン濃度が1質量%以上20質量%以下含まれたものが好ましく、特に、べた付きがなく、しかも、延伸時に伸びやすく、毛羽抜けが少なく、最大強度が維持される点で、エチレン濃度が3%以上8%以下であることがより好ましい。また、ポリプロピレン樹脂としては、環境の観点から、再生ポリプロピレン樹脂を50質量%以上含んだ樹脂であることが好ましく、70質量%以上含んだ樹脂であることが更に好ましい。尚、不織布1が、スパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布を元に形成されている場合も同様である。
スパンボンド層やメルトブローン層に柔軟剤を練りこんだり、塗布したりすれば、本発明の効果がより効果的である。柔軟剤としては、例えばワックスエマルジョン、反応型柔軟剤、シリコーン系化合物、界面活性剤などを使用することができる。特にアミノ基含有シリコーン、オキシアルキレン基含有シリコーン、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、(1)カルボン酸塩系のアニオン界面活性剤、スルホン酸塩系のアニオン界面活性剤、硫酸エステル塩系のアニオン界面活性剤、リン酸エステル塩系のアニオン界面活性剤(特にアルキルリン酸エステル塩)等のアニオン界面活性剤;(2)ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート等の多価アルコールモノ脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、N−(3−オレイロキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット蜜ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の、非イオン系界面活性剤;(3)第4級アンモニウム塩、アミン塩又はアミン等のカチオン界面活性剤;(4)カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体等の、両性イオン界面活性剤などを使用することができる。また、必要に応じて、公知の薬剤を副次的添加剤(少量成分)として本発明の柔軟剤に添加することができる。柔軟剤は、構成繊維中に0.1質量%以上、20質量%以下含まれることが好ましく、0.5質量%以上、2.0質量%以下含まれることがより好ましい。
柔軟剤を含むことにより、肌触りがよく、毛羽抜けが少なく、表面の肌摩擦も低く、最大強度も高く本発明において効果が特に高い。
柔軟剤は、記載の前記ランダムコポリマーとの併用が、後述する延伸性が増し、高延伸で加工できる点で特に好ましい。
また、不織布を親水化させるには繊維に親水化剤を付着させればよい。親水化剤の付着は、繊維の表面に親水化剤を施す方法や、繊維を構成する樹脂に親水化剤を予め練り込んでおき、その樹脂を用いて紡糸を行う方法で達成される。親水化剤としては、当該技術分野において用いられているものと同様のものを用いることができる。そのような親水化剤としては、各種の界面活性剤が典型的なものとして挙げられる。熱融着性複合繊維に対する親水化剤の付着量は、疎水化しない部分の親水度を高める観点から、熱融着性複合繊維の重量に対して0.1〜0.6重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5重量%である。親水化における界面活性剤としては、陰イオン、陽イオン、両性イオン及び非イオンの界面活性剤等を用いることができる。陰イオン界面活性剤の例としては、アルキルホスフェート塩、アルキルエーテルホスフェート塩、ジアルキルホスフェート塩、ジアルキルスルホサクシネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、アルキルスルホネート塩、アルキルサルフェート塩、セカンダリーアルキルサルフェート塩等が挙げられる(前記いずれのアルキルも炭素数6〜22、特に8〜22が好ましい。)。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。陽イオン界面活性剤の例としては、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライド、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウムハライド等が挙げられ、これらの化合物は、炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましい。前記のハライド化合物におけるハロゲンとしては、塩素、臭素等が挙げられる。両性イオン界面活性剤の例としては、アルキル(炭素数1〜30)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン、スルフォベタイン型両性界面活性剤等のベタイン型両性イオン界面活性剤や、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性イオン界面活性剤、グリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性イオン界面活性剤などのアミノ酸型両性イオン界面活性剤、アルキル(炭素数1〜30)タウリン型などのアミノスルホン酸型両性イオン界面活性剤が挙げられる。非イオン界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(好ましくはn=2〜10)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル(いずれも好ましくは脂肪酸の炭素数8〜22)、及び前記多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物(好ましくは付加モル数2〜20モル)、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜22モル)アルキル(炭素数8〜22)アミド、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22)エーテル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。特に、所望の親水性を得るための界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ステアリルリン酸エステルカリウム塩、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリンモノアルキレート等が挙げられる。また、これらの好ましい組み合わせとしては、ポリオキシエチレンアルキルアミド及びステアリルリン酸エステルカリウム塩;グリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミド及びアルキルベタイン等が挙げられる。これら好ましい界面活性剤及び好ましい界面活性剤の組み合わせは、これらの界面活性剤が含まれていればよく、更に他の界面活性剤等が含まれていてもよい。
エンボスによる熱圧着部(繊維熱融着部を含む)12は、肌触りや、加工適正の観点から、各熱圧着部12の面積が、0.05mm2以上10mm2以下であることが好ましく、0.1mm2以上1mm2以下であることが更に好ましい。熱圧着部12の数は、10個/cm2以上250個/cm2以下であることが好ましく、35個/cm2以上65個/cm2以下であることが更に好ましい。CD方向に隣り合う熱圧着部12同士の中心間の距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましく、MD方向に隣り合う熱圧着部12同士の中心間の距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
熱圧着部12は、エンボス(エンボス凸ロールとフラットロールなどによる)による熱圧着により間欠的に形成されたものや、超音波融着によるもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させたものなどが挙げられる。この中で熱圧着によるものが繊維を破断させやすい点で好ましい。熱圧着部12の形状は、特に制限されず、例えば、円形、菱形、三角形等の任意の形状であってもよい。不織布1の一面の表面積に占める熱圧着部12の合計面積の割合は、5%以上30%以下であることが好ましく、10%以上20%以下であることが、更に好ましい。
上述した不織布1は、任意の方法により製造することができるが、本発明の凹凸シートの製造方法によって製造することが好ましい。
本発明の凹凸シートの製造方法の一実施態様について、上述した不織布1を製造する場合を例にして説明する。
本実施態様の製造方法においては、図4に示すように、不織布からなる原反シート10を、互いに噛み合う凹凸を有する2本のロール4,5間に通すことによって、該原反シート10に凹凸加工を施し、それによって、前述した凸部2及び凹部3を有する不織布1(凹凸シート)を製造する。
そして、原反シート10を2本のロール4,5間に通すに当たり、2本のロール4,5のうちの一方のロール4は80℃以上の温度に加熱しておく一方、他方のロール5は40℃未満に維持しておく。他方のロール5を40℃未満に維持するという表現には、ロール5について加熱も冷却もしない結果、該ロール5の温度が40℃以上に上昇しない場合と、ロール5を加熱しないが、ロール4からの熱が伝わって温度が40℃以上になることを防止するためにロール5を冷却する場合、ロール5を加熱するが、ロール5の温度が40℃以上にならないように加熱温度を制御する場合を包含する。ロール5の温度を40℃未満に保つため、加熱は行わないことが好ましい。なお、本実施態様における2本のロール4,5は、それぞれ、回転方向に延在する複数本の凸部41,51と、回転軸方向に隣り合う凸部と凸部との間に形成された溝状の凹部42,52を有している。
以下、便宜上、80℃以上に加熱する方のロール4を加熱ロール4、温度40℃未満に維持するロール5を非加熱ロール5ともいう。
加熱ロールと非加熱ロールの組み合わせは熱膨張により、加熱ロールの凹凸と非加熱ロールの凹凸がかみ合う上で軸方向または周方向にズレが生じるため困難とされている。例えば加熱ロールの凸部41と非加熱ロールの凸部51の隙間S45が小さいと、熱膨張によってロール同士が直接擦れやすくなり不織布に裂けが生じる。そこで、この熱膨張を考慮した凹凸ピッチとすることで加熱ロールの凹凸と非加熱ロールの凹凸が直接擦れることなく回転させることが可能である。具体的には加熱ロール4の凸部のロール回転軸方向またはロール周方向のピッチを、非加熱ロール5の凸部の同方向のピッチよりも常温において0.05%以上小さくすることが好ましい。上限は好ましくは0.20%以下である。特に、加熱ロール4の幅方向の温度部分布に合わせロール中央部においてロールの両端位置よりも凸部のロール回転軸方向のピッチを小さくすることが好ましい。
加熱ロール4を加熱する方法としては、ロールに、電熱線を用いたカートリッジヒータを内蔵させる等、各種公知の方法を特に制限なく用いることができる。また、非加熱ロール5を冷却する場合の冷却方法としては、ロール5内に冷媒を循環させたり、ロール5に風や冷風を吹き付けたりする等、各種公知の方法を特に制限なく用いることができる。なお、加熱ロール4及び非加熱ロール5は、ロール凸部表面における温度が、前述した範囲内であることが好ましい。
本実施態様においては、図5に示すように、原反シート10を、2本のロール4,5間に通す際に、2本のロール4,5それぞれの凸部41,51を、原反シート10に接触させる一方、2本のロール4,5それぞれの凹部の底部42a,52aに原反シート10を接触させない。即ち、原反シート10を、2本のロール4,5それぞれの凸部41,51で押圧し、凸部41,51で押圧した部分を、対向するロールの凹部52,42内に押し込むことによって、原反シート10の流れ方向に直交する方向Y’の断面形状で、図5に示すように波形に凹凸形状に変形させるが、該原反シート10の凸部41,51で押圧した部分を、凸部に対向する凹部の底部42a,52aに接触させない。2つのロール間で不織布を狭持しないため、厚みT2、T3の厚いものとなり硬くならず肌触りの良いものとなる。また、繊維にダメージを与えないため、最大強度も高いものとなる。
凹凸加工を施す2本のロールとして、加熱ロール4及び非加熱ロール5を用いると共に、このような態様で凹凸加工を施すことによって、加熱ロール4の凸部41に押圧された部分が凹部3を形成し、非加熱ロール5の凸部51に押圧された部分が凸部2を形成している不織布1が得られる。
本実施態様の凹凸シートの製造方法によれば、不織布1はロール4の凸部41とロール5の凸部51間により主に延伸される。これによって元の不織布(本加工前)よりも繊維径の細い部分が形成される。特にロール4の凸部が加熱されているため、不織布の凹部3の方が凸部2に比べより延伸され繊維が細くなる。凹部3は熱と延伸によって繊維が細くなるとともに厚み方向には圧縮され繊維間距離が小さくなるが面方向には繊維間距離が増し、これによって通気性の高い部分が形成される。また、親水不織布の場合は通液性の高い部分が形成される。しかし、全体的には凹部3の目付けが低下することで凹部3の全体的な繊維間距離は小さくなる。また、熱によりロール4の凸部形状が不織布にセットされる。これによって凹部3は凸部2にくらべ硬いものとなるが、凹部3の硬さは図2のa面側から触れた際の肌触りには影響が少なく、効果として凹凸構造の形状保持性が増す。これによって高伸度(高最大伸度)を有するようになる。
これに対し凸部2は非加熱ロール5が当接しているが相対的に加熱されていないので熱が積極的に加わらないため、厚み方向には一時的に圧縮されるがロールから開放されたときに繊維の延伸された分が厚み方向に膨らみ嵩高なものが得られる。ロール5は加熱されていないためロール5の凸部形状が不織布にセットされにくい。その分、凸部2は柔らかく通気性の高いものとなる。
また、本実施態様においては、加熱ロール4の凸部41は、ロール回転軸方向Y’の幅W1が、非加熱ロール5の凸部51のロール回転軸方向Y’の幅W2より狭いものが好ましい。さらには幅W1が幅W2よりも0.1mm以上、10mm以下の範囲で狭いものが好ましい。加熱ロール4及び非加熱ロール5のロール回転軸方向Y’は、原反シート10及び不織布1の流れ方向に直交する方向に同じである。
加熱ロール4の凸部41の幅W1を、非加熱ロール5の凸部51の幅W2より狭くすることにより、加熱により硬くなり易い凹部3の幅や面積が、凸部2の幅や面積より狭くなる。これによって凹部3においては近似円半径が小さくなり、不織布の良好な保形性を有するとともに見かけ厚みT1の厚いものとなる。また、凸部2においては近似円半径がより大きくなり、柔らかなクッション性を有するものが得られる。
斯かる効果が一層確実に奏されるようにする観点から、加熱ロール4の凸部41の幅W1は、非加熱ロール5の凸部51の幅W2に対する割合が、好ましくは80%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また、好ましくは10〜80%であり、より好ましくは20〜40%である。
また、加熱ロール4の凸部41の幅W1は、加熱ロール4の凹部42の幅W3に対する割合が、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下であり、また、好ましくは10〜50%であり、より好ましくは20〜30%である。
また、非加熱ロール5の凸部51の幅W2は、非加熱ロール5の凹部42の幅W4に対する割合が、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下であり、また、好ましくは20〜80%であり、より好ましくは40〜60%である。
また、加熱ロール4の加熱温度は、原反シート10における不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、0℃〜100℃低い温度の範囲内とすることが、ロールからの不織布の剥離時に貼り付きが生じて凹凸形状の裏返りが生じにくくなる一方、良好な賦形性と通気性を有するものが得られる点から、好ましい。例えば、不織布の構成繊維が、ポリプロピレン、特にプロピレンの単独重合体(例えば融点163℃)からなる単一繊維である場合、加熱ロール4の加熱温度は、80℃(融点−83℃)〜158℃(融点−5℃)の範囲内とすることが好ましい。加熱ロール4の加熱温度は、原反シート10における不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、5℃〜60℃低い温度の範囲内とすることが、より好ましい。
他方、非加熱ロールの温度は、肌触りの良好な凸部2を形成する観点から、30℃以下に維持することが好ましく、20℃以下に維持することがより好ましい。例えば、スパンボンド不織布が、ポリプロピレンを主成分として構成される場合、加熱ロール4の温度は、90℃〜150℃、特に100℃〜140℃に設定することが好ましい。
また、加熱ロール4から不織布1が剥離する際、高速加工になるほどその密着性によって凹凸構造の裏返りが発生することが見られる観点から、原反シート10は、非加熱ロール5に、所定の角度巻き掛けるようにして搬送することが好ましい。非加熱ロール5に対する原反シート10の巻き掛け角度θ(図6参照)は、好ましくは10度以上、より好ましくは30度以上であり、また、好ましくは180度以下、より好ましくは120度以下であり、また、好ましくは10〜180度であり、より好ましくは30〜120度である。巻き掛け角度θに対する巻き掛け及び巻き掛け角度については、原反シート10と、該原反シート10から得られる不織布1とを区別することなく、巻き付け角度を求める。また、巻き掛け角度θは、凸部による不織布の押し込み量が最大となる部位Pと不織布がロール表面から離れる部位Qとの間のまでの角度によって求められる。
このようにすることでロール5によって不織布が冷却されるため、凹凸形状が維持され、その後の搬送による張力やニップによって形状がくずれるのを防止できる。さらにはロール5の出口側の不織布が接触している間に風や冷風によって不織布を冷却することが好ましい。ロール5から不織布が剥離する点において、ロール4に接した側の不織布1の表面温度は50℃以下、特に35℃以下であることが凹凸形状を維持する点で好ましい。
また、原反シート10として、不織布の構成繊維どうしが熱圧着された熱圧着部12を有するものを用い、加熱ロール4の凸部41のロール回転軸方向Y’のピッチP4(図5参照)を、熱圧着部12の同方向のピッチP12の0.8〜1.2倍とすることが好ましい。これにより熱圧着部12が凸部2または凹部3の各頂部範囲に位置する布調の外観に優れた凹凸シートを効率よく製造することができる。熱圧着部12が凸部2または凹部3の頂部範囲に位置するとは、不織布が100mm×100mmのサイズにおいて、熱圧着部12の全個数のうち、70%以上、より好ましくは90%以上が凸部2または凹部3の各頂部範囲に位置することを意味する。ここでいう頂部範囲とは図3に示される近似円において、頂部21から最も近い変曲点Mまでの弧の中点までの左右2つの範囲を凸部2の頂部範囲とする。凹部3の頂部範囲も頂部31に対して同様に求められる。
ここでいう、熱圧着部12のロール回転軸方向Y’のピッチP12は、図7に示すように、不織布のCD方向における熱圧着部12のピッチである。
加熱ロール4の凸部41および非加熱ロール5の凸部51における、それぞれの先端形状は平板状(図5参照)、台形状、三角形状を取りうる。また、繊維にダメージを与えず強度の高い不織布が得られることから凸部の先端部の角部はR形状またはC面形状を有することが好ましい。凸部の先端部の頂部は平坦、R状、三角状をなすことができ、R状であることが精度よく加工できる点で好ましい。また、加熱ロール4の凸部41の角部のR値(先端角部の曲率半径)またはC値(先端角部の45度面取り寸法)を非加熱ロール5の凸部51の角部のR値またはC値よりも大きくすることが、より強度の高い不織布が得られる点で好ましい。
本発明の不織布、及び本発明の方法で製造された凹凸シートは、肌触りが良好であり、また、本発明の不織布は、通気性にも優れている。本発明の方法で製造された凹凸シートも、原反シートとして不織布や、不織布と透湿性樹脂フィルム等との積層シートを用いることにより、肌触りや通気性に優れた凹凸シートを製造することができる。
本発明に係る不織布や凹凸シートは、肌触りの良さを活かして、各種の物品における人の肌に触れる面を形成するシートとして好ましく用いられる。例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面シートや、吸収体を含む吸収性本体及びそれを固定しているパンツ型の外装体からなるパンツ型の吸収性物品における前記外装体の構成部材(外層材または内層材)等として用いることができる。更に、対人用清拭シート、スキンケア用シートなどとしても好適に用いられる。本発明に係る不織布や凹凸シートは、凸部2側を、肌に接する側にして使用することが好ましい。
不織布と樹脂フィルムとが積層された積層シートは、例えば、おむつの裏面材として用いることができる。不織布及び凹凸シートは、これを例えば吸収性物品の表面シートとして用いる場合には、その目付け(坪量)が10〜80g/m2、特に15〜60g/m2であることが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、原反シートとしては各種製法による不織布を用いることができ、例えば、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布等の積層体を用いることができる。また、不織布と樹脂フィルムとがホットメルト接着剤、溶融ラミネート、熱ロール(ポイントボンドなど)によって一体化された積層シート等の積層体を用いることもできる。ホットメルト接着剤により貼り合せることが凹凸加工によってフィルムにピンホールが開きにくいことから好ましい。不織布とフィラーを含有した樹脂フィルム(本加工前は非透湿)とが積層されたシート(積層体)を用いることで、凹凸加工による延伸によってフィルムが連通開孔し、高透湿性であり凹凸形状の安定した肌触りの良い積層シートが得られる点で好ましい。
また、一対のロールとして、凸部と凹部が周方向に交互に形成されており、そのような列がロールの軸長方向に伸びる凹凸ロールを用いることができる。この場合は前記測定方向を変えて、つまりCD方向(ロール回転軸方向)をMD方向(ロール周方向)に変えて測定する。例えば熱圧着部12のピッチはMD方向にとり、加熱ロール周方向の凸ピッチを、熱圧着部12の同方向(MD方向)のピッチの0.8〜1.2倍とすることが好ましい。さらに、一対のロールとして、凸部と凹部が軸方向と周方向に交互に配列した凹凸ロールを用いることもできる。凹凸配置はひし形格子状、四角格子状、など任意のパターンとすることができる。この場合、CD方向またはMD方向のどちらか少なくとも一方がCD方向同様、上記範囲であることが好ましい。例えば加熱ロールの凸部のロール回転軸方向のピッチが、熱圧着部12の同方向(CD方向)のピッチの0.8〜1.2倍であるか、または加熱ロールの凸部のロール周方向のピッチが、熱圧着部12の同方向(MD方向)のピッチの0.8〜1.2倍であることが好ましい。
本発明の不織布は、前記凹凸加工後にも他のシート(フィルム、不織布、紙、パルプ等)と貼り合せることができる。この場合、前記凹凸加工後に巻き取ることなく直接他のシートと貼り合わせることが凹凸の形状を保持できる点で好ましい。また、別の形態として上記凹凸加工後、一端ロール状に巻き取る場合には、その後、巻き出して熱風によって厚み(見掛け厚みT1または凸部2の厚みT2)を回復させることが好ましい。
他のシートとしては、フィルムとしては、非透湿性の液不透過性シート、透湿性の液不透過性シート、開孔または非開孔の伸縮フィルム、があげられる。また、不織布としてはエアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンドとメルトブローンを積層した不織布、スパンレース不織布、カード法によるヒートロール(ポイントボンド)不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布があげられる。紙としては薄葉紙、ク−プ紙、開孔薄葉紙があげられる。また、パルプとしては、未抄紙のパルプ繊維からなるシートがあげられる。これらの中では、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンドとメルトブローンを積層した不織布、薄葉紙、パルプ繊維からなるシートが好ましい。
他の材料との貼り合せにおいてはホットメルトを凹部3にのみに塗布することが、使用時に凹凸構造がつぶれ難い点で好ましい。凹部3にのみに塗布するには、不織布1の非使用面側にコーターにて不織布1の張力と押し当て角度を調整して凹部3に塗布する方法が好ましい。または不織布1の凹部3とホットメルトの位置が一致するように画像解析により位置調整し、貼り合わされる他のシート側にストライプ状にホットメルト接着剤を塗布する方法が好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は、さらに以下の不織布、凹凸シート、不織布又は凹凸シートの製造方法等を開示する。
<1> 不織布又は不織布を含む積層体からなる原反シートを、互いに噛み合う凹凸を有する2本のロール間に通すことによって凹凸シートを製造する凹凸シートの製造方法であって、
前記2本のロールの一方を80℃以上の温度に加熱し、他方を40℃未満に維持した状態下に、原反シートを、該2本のロール間に通すとともに、2本のロールに通す際に、2本のロールそれぞれの凸部を、該原反シートに接触させる一方、2本のロールそれぞれの凹部の底部に該原反シートを接触させない、凹凸シートの製造方法。
<2> 加熱する前記一方のロールの凸部は、ロール回転軸方向又はロール周方向の幅が、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向の幅より狭い、前記<1>記載の凹凸シートの製造方法。
<3> 加熱する前記一方のロールの凸部は、ロール回転軸方向又はロール周方向の幅が、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向の幅より0.1mm以上、10mm以下の範囲で狭い、前記<2>記載の凹凸シートの製造方法。
<4> 加熱する前記一方のロールの凸部の幅は、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の幅に対する割合が、好ましくは80%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である、前記<2>又は<3>に記載の凹凸シートの製造方法。
<5> 加熱する前記一方のロールの加熱温度を、原反シートにおける不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、0℃〜100℃低い温度の範囲内とする、前記<1>〜<4>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<6> 加熱する前記一方のロールの加熱温度を、原反シートにおける不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、5℃〜60℃低い温度の範囲内とする、前記<5>記載の凹凸シートの製造方法。
<7> 40℃未満に維持する前記他方のロールの温度は、30℃以下に維持することが好ましく、20℃以下に維持することがさらに好ましい、前記<1>〜<6>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<8> 前記原反シートを、40℃未満に維持する前記他方のロールに、10度以上巻き掛ける、前記<1>〜<7>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<9> 前記原反シートを、40℃未満に維持する前記他方のロールに好ましくは10度以上、より好ましくは30度以上であり、また、好ましくは180度以下、より好ましくは120度以下、巻き掛ける、前記<8>記載の凹凸シートの製造方法。
<10> 前記原反シートとして、不織布の構成繊維どうしが熱圧着された熱圧着部を有するものを用い、加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、前記熱圧着部の同方向のピッチの0.8〜1.2倍として凹凸シートを製造する、前記<1>〜<9>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<11> 前記2本のロールは、それぞれ、回転方向に延在する複数本の凸部と、回転軸方向に隣り合う凸部と凸部との間に形成された溝状の凹部を有している、前記<1>〜<10>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<12> 加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向のピッチよりも常温において、0.05%以上小さくした前記<1>〜<11>の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
<13> 前記原反シートが、不織布と透湿性の樹脂フィルムとの積層体である、前記<1>〜<12>の何れか1記載の凹凸シートの製造方法。
<14> 凹凸構造を有する不織布であって、
表裏両面の断面形状が厚み方向の一方向に向かって凸状をなす複数の凸部と、前記凸部間に位置する凹部とを有し、前記凹部の繊維は、前記凸部の繊維よりも平均繊維径が小さく、前記凹部における繊維間距離の前記凸部における繊維間距離に対する割合が80%以下である、不織布。
<15> 前記凹部における不織布の平均繊維径は、前記凸部における不織布の平均繊維径に対する割合が、好ましくは50%以上、より好ましくは63%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である、前記<14>に記載の不織布。
<16> 前記凹部における不織布の平均繊維径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下である、前記<14>又は<15>に記載の不織布。
<17> 前記凸部における不織布の平均繊維径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である、前記<14>〜<16>の何れか1記載の不織布。
<18> 前記凹部における不織布の繊維間距離は、前記凸部における不織布の繊維間距離に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは40%以下であり、また、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上である、前記<14>〜<17>の何れか1記載の不織布。
<19> 前記凹部における不織布の繊維間距離は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは2.5μm以上であり、また、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下である、前記<14>〜<18>の何れか1記載の不織布。
<20> 前記凸部における不織布の繊維間距離は、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上であり、また、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下であり、また、好ましくは20〜40μmである、前記<14>〜<19>の何れか1記載の不織布。
<21> 前記凹部は、前記凸部よりも不織布の厚みが薄い、前記<14>〜<20>の何れか1記載の不織布。
<22> 前記凹部における不織布の厚みは、前記凸部における不織布の厚みT2に対する割合が、好ましくは70%以下、より好ましくは25%以下であり、また、好ましくは10%以上、より好ましくは17%以上である、前記<14>〜<21>の何れか1記載の不織布。
<23> 前記凹部における不織布の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは35μm以上であり、また、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下である、前記<14>〜<22>の何れか1記載の不織布。
<24> 前記凸部における不織布の厚みは、好ましくは170μm以上、より好ましくは200μm以上である、前記<14>〜<23>の何れか1記載の不織布。
<25> 前記凹部は、前記凸部よりも構成繊維の最大扁平率が大きい、前記<14>〜<24>の何れか1記載の不織布。
<26> 前記凸部における不織布の構成繊維の最大扁平率は、前記凹部における不織布の構成繊維の最大扁平率に対する割合が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また、好ましくは93%以下、より好ましくは87%以下である、前記<25>に記載の不織布。
<27> 前記凸部の近似円半径が前記凹部の近似円半径より大きい、前記<14>〜<26>の何れか1記載の不織布。
<28> 前記凹部の近似円半径は、前記凸部の近似円半径に対する割合が、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下である、前記<27>に記載の不織布。
<29> 前記凸部における目付けが前記不織布の平均目付けよりも、好ましくは0.3g/m2以上、さらに好ましくは1.5g/m2以上高く、また、前記凹部における目付けが前記不織布の平均目付けよりも、好ましくは0.3g/m2以上、さらに好ましくは1.5g/m2以上低い、前記<14>〜<28>の何れか1記載の不織布。
<30> スパンボンド不織布から形成したものである、前記<14>〜<29>の何れか1記載の不織布。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら制限されるものではない。
〔実施例1〜6及び比較例1〜3〕
表1に示す種類の原反シートを、図4及び図5に示す凹凸加工装置に通し、表1に示す条件にて、凹凸加工を行った。実施例1においては、加工条件は、上側に配置した上ロールを110℃に加熱する一方、下側に配置した下ロールは加熱せずに30℃に維持されるようにした。また、上ロール及び下ロールの凸部及び凹部の幅、前記巻き掛け角度(抱き角)θ、押し込み量d(図5参照)を表1に示すように設定した。構造的に不織布の凸部2は上ロール側となった。
表1中の原反シートの不織布(親水)、不織布(撥水)、複合バックシート(撥水)としては、それぞれ下記のシートを用いた。なお、比較例3は、実施例1で使用した未加工の原料シートそのものである。
不織布(親水):主成分としてポリプロピレンホモポリマー樹脂を含み、酸化チタン粒子を0.3質量%含むスパンボンド不織布の層を3層有する、目付け18g/m2、繊維直径18μm、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率12%、油剤により親水化処理を行ったスパンボンド不織布(SSS不織布)を用いた。油剤にはポリオキシエチレン(付加モル数2)ステアリルアミド(川研ファインケミカル株式会社製、アミゾールSDE)及びアルキルホスフェートジカリウム塩(花王株式会社製、グリッパー4131の水酸化カリウム中和物)を50重量%:50重量%で配合した親水化剤を用いた。
不織布(撥水):主成分としてポリプロピレンホモポリマー樹脂を含み、柔軟化剤としてエルカ酸アミドを1%、酸化チタン粒子を0.3質量%含むスパンボンド不織布の層を3層有する、目付け18g/m2、繊維直径18μm、熱圧着部(エンボスによる熱融着部)の面積率16%のスパンボンド不織布(SSS不織布)を用いた。
複合バックシート(撥水):炭酸カルシウム粒子、添加剤、ポリエチレン樹脂からなる目付け30g/m2の非透湿フィルムと芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンからなる繊維直径17μm、目付け20g/m2のエアスルー不織布とをホットメルト接着剤2g/m2にて貼り合わせたものを用いた。
得られた不織布得られた凹凸シート(不織布)の各部の寸法等を測定して表1に示した。
実施例及び比較例で得られた各不織布について、下記の方法により肌触り及び通気度の評価をした。それらの結果を表1に示した。
1.肌触り
(評価方法)
得られた不織布について、図2のa面側から手で触り、比較例1の不織布を基準(3点)としたときの5段階の(5点に近づく程よりよい肌触り)官能評価を5人行い、各不織布についての平均値を、整数桁に四捨五入して求めた。
2.通気度
(評価方法)
通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR-PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1により通気抵抗を測定し、その逆数に係数12.5をかけて求められる。4枚の不織布の平均値を通気度とした。
3.最大強度、最大伸度
(評価方法)
サンプリングおよび測定環境は22℃65%RH環境下で行う。不織布を、CD方向に200mm、MD方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、CD方向が引張方向となるように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は150mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サンプルの最大荷重点をCD方向の最大強度とする。このときの伸度を最大伸度とする。また、MD方向に200mm、CD方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのMD方向が引張方向となるように引張試験機のチャックに取り付ける。上述したCD方向の最大強度の測定方法と同様の手順によってMD方向の最大強度、最大伸度を求める。サンプル数は各5点とし、この平均値を求め、それぞれの最大強度、最大伸度とした。
4.吸収性能(液残り量)
(評価方法)
測定環境は22℃65%RH環境下にて行った。使い捨ておむつの表面シートに各不織布を用い該使い捨ておむつを平面状に拡げ、表面シートを上に向けて水平面上に固定した状態で、吸収体の中心部における表面シート上に人工尿40gを吸収させ、10分間放置し、さらに人工尿40gを吸収させた。この操作を繰り返し合計160gの人工尿を注入した。次いで、人工尿の吸収部位上にToyo Roshi Kaisha,Ltd製の4Aろ紙20枚重ね、更にその上に荷重を10分間加えて人工尿をろ紙に吸収させた。荷重は30cm×15cmの面積に6kgが加わるようにした。10分経過後荷重を取り除き、人工尿を吸収したろ紙の重量を測定した。この重量から吸収前のろ紙の重量を差し引き、その値を各サンプルの液残り量を求めた。サンプル数は各3点とし、この平均値を求めて液残り量とした。この液残り量が少ないものほど不織布表面に液が残りにくく導水性に優れるものとなる。
5.不織布平均目付け
(評価方法)
200mm×250mmのサイズに不織布サンプルをカットし、4枚のそれぞれについて算出した目付けの平均値を不織布の平均目付けとする。
Figure 0006209331
表1に示すように、実施例1〜6で得られた凹凸シートは、強度を維持しつつ、肌触り及び通気性に優れていることが判る。これに対して、比較例1は、凹部の平均繊維径が凸部の平均繊維径と略同じで、比較例1は、凹部の繊維間距離も凸部の繊維間距離も略同じである。比較例2は、凹部の繊維間距離が凸部の繊維間距離よりも短くなっているが、凹部の平均繊維径が凸部の平均繊維径と略同じで、比較例1は、凹部の繊維間距離も凸部の繊維間距離も略同じである。また、実施例1で得られた親水性不織布は液戻り量が少ないものであることが判る。
そして、比較例1〜3は、何れも肌触りに劣っている。
1 不織布(凹凸シート)
2 凸部
3 凹部
4 ロール(加熱ロール,80℃以上に加熱するロール)
41 凸部
42 凹部
5 ロール(非加熱ロール,40℃未満に維持するロール)
51 凸部
52 凹部
10 原反シート

Claims (7)

  1. 不織布又は不織布を含む積層体からなる原反シートを、互いに噛み合う凹凸を有する2本のロール間に通すことによって凹凸シートを製造する凹凸シートの製造方法であって、
    前記2本のロールの一方を80℃以上の温度に加熱し、他方を40℃未満に維持した状態下に、原反シートを、該2本のロール間に通すとともに、2本のロールに通す際に、2本のロールそれぞれの凸部を、該原反シートに接触させる一方、2本のロールそれぞれの凹部の底部に該原反シートを接触させないようにし、且つ
    前記原反シートを、前記2本のロール間に通す際に、該原反シートを、40℃未満に維持する前記他方のロールに10度以上巻き掛ける、凹凸シートの製造方法。
  2. 加熱する前記一方のロールの凸部は、ロール回転軸方向又はロール周方向の幅が、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向の幅より狭い、請求項1記載の凹凸シートの製造方法。
  3. 加熱する前記一方のロールの加熱温度を、原反シートにおける不織布の構成繊維の構成樹脂のうち最も融点が低い樹脂の融点に対して、0℃〜100℃低い温度の範囲内とする、請求項1又は2記載の凹凸シートの製造方法。
  4. 前記原反シートとして、不織布の構成繊維どうしが熱圧着された熱圧着部を有するものを用い、加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、前記熱圧着部の同方向のピッチの0.8〜1.2倍として凹凸シートを製造する、請求項1〜3の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
  5. 前記2本のロールは、それぞれ、回転方向に延在する複数本の凸部と、回転軸方向に隣り合う凸部と凸部との間に形成された溝状の凹部を有している、請求項1〜4の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
  6. 加熱する前記一方のロールの凸部のロール回転軸方向又はロール周方向のピッチを、40℃未満に維持する前記他方のロールの凸部の同方向のピッチよりも常温において、0.05%以上小さくした請求項1〜5の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
  7. 前記原反シートが、不織布と透湿性の樹脂フィルムとの積層体である、請求項1〜6の何れか1項記載の凹凸シートの製造方法。
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