JP6208050B2 - 燃料電池スタックのマウント構造 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックを、燃料電池車両に搭載するための燃料電池スタックのマウント構造に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面側にアノード電極が、他方の面側にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータによって挟持されることにより、発電セルを構成している。燃料電池は、通常、所定の数の発電セルが積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池車両(燃料電池電気自動車等)に組み込まれている。
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池システムの車載構造が知られている。この車載構造では、車軸を駆動するためのモータと、燃料電池と、パワーコントロールユニットとが、電気自動車の同一の車体空間内に配設されている。モータは、サスペンションフレームに搭載されており、燃料電池とパワーコントロールユニットは、前記サスペンションフレーム上に設けられたFCフレームに搭載されている。
特開2002−370544号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、電気自動車の走行時に、前記電気自動車の揺動(振動)と燃料電池の揺動(振動)とに位相差が発生し、前記燃料電池に大きな揺動(振動)が惹起されるおそれがある。このため、電気自動車の操行安定性に影響を与えてしまうという問題がある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、燃料電池を安定して固定することができ、操行安定性の向上を図ることが可能な燃料電池スタックのマウント構造を提供することを目的とする。
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックを、燃料電池車両に搭載するための燃料電池スタックのマウント構造に関するものである。燃料電池スタックは、前記燃料電池車両の車室よりも前方に設けられたモータルーム内に載置される。このマウント構造は、燃料電池スタックの車幅方向両端に設けられる第1側方マウント部及び第2側方マウント部と、前記燃料電池スタックの車両前後方向後方部に設けられる後方マウント部と、を備えている。
そして、マウント構造の上面視で、第1側方マウント部、第2側方マウント部及び後方マウント部により形成される仮想三角形の重心は、燃料電池スタックの重心と一致し、且つ後方マウント部は、前記第1側方マウント部及び前記第2側方マウント部より車室側に設けられ、前記第1側方マウント部及び前記第2側方マウント部は、上下方向に圧縮されることにより衝撃を緩衝する衝撃緩衝部を介して第1車両フレーム部に固定されるとともに、前記後方マウント部は、前記燃料電池スタックよりも下方に配置される第2車両フレーム部に締結固定される。
また、マウント構造の車幅方向側面視で、第1側方マウント部又は第2側方マウント部の一方と後方マウント部とを結ぶ仮想直線上に、燃料電池スタックの重心が配置されることが好ましい。
さらに、第1側方マウント部及び第2側方マウント部の衝撃緩衝部は、液封マウントにより構成されることが好ましい。
本発明によれば、マウント構造の上面視で、第1側方マウント部、第2側方マウント部及び後方マウント部により形成される仮想三角形の重心は、燃料電池スタックの重心と一致している。このため、燃料電池スタックの揺動(振動)を良好に抑制することができ、前記燃料電池スタックを安定して固定することができる。従って、簡単且つ経済的な構成で、操行安定性の向上を図ることが可能になる。
本発明の実施形態に係るマウント構造が適用される燃料電池スタックを搭載する燃料電池電気自動車の前方側の概略側面説明図である。 前記燃料電池電気自動車の概略平面説明図である。 前記燃料電池スタックを収容するケーシングの一部分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記マウント構造を構成する側方マウント部の斜視説明図である。 前記側方マウント部の要部断面説明図である。 前記燃料電池電気自動車が上下に振動した際の説明図である。 前記燃料電池電気自動車が傾斜した際の説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係るマウント構造10が適用される燃料電池スタック12は、燃料電池電気自動車(燃料電池車両)13のモータルーム(フロントボックス)13fに搭載される。モータルーム13fは、隔壁部材(ダッシュボード)13Wにより車室13caから隔離されて設けられる。
燃料電池スタック12は、図2及び図3に示すように、燃料電池14と、積層された複数の前記燃料電池14を収容するケーシング16とを備える。なお、ケーシング16は、必要に応じて用いればよく、不要にすることもできる。燃料電池14は、図3に示すように、電極面を立位姿勢にして燃料電池電気自動車13の車長方向(車両前後方向)(矢印A方向)に交差する車幅方向(矢印B方向)に積層される。
図1及び図2に示すように、モータルーム13fには、車体フレームを構成する第1車両フレーム部(例えば、サイドフレーム)13R、13Lが矢印A方向に延在している。第1車両フレーム部13R、13L及び後述する第2車両フレーム部13SFには、燃料電池スタック12が搭載される。なお、燃料電池スタック12の収容場所は、モータルーム13fに限定されるものではなく、例えば、車両中央部床下や後部トランク近傍であってもよい。
図3に示すように、燃料電池14の積層方向一端には、第1ターミナルプレート20a、第1絶縁プレート22a及び第1エンドプレート24aが、外方に向かって、順次、配設される。燃料電池14の積層方向他端には、第2ターミナルプレート20b、第2絶縁プレート22b及び第2エンドプレート24bが、外方に向かって、順次、配設される。
横長形状(長方形状)の第1エンドプレート24aの略中央部(中央部から偏心していてもよい)からは、第1ターミナルプレート20aに接続された第1電力出力端子26aが外方に向かって延在する。横長形状(長方形状)の第2エンドプレート24bの略中央部からは、第2ターミナルプレート20bに接続された第2電力出力端子26bが外方に向かって延在する。
第1エンドプレート24aと第2エンドプレート24bとの各辺間には、それぞれ各辺の中央位置に対応して一定の長さを有する連結バー28が配置される。連結バー28の両端は、ねじ30により第1エンドプレート24aと第2エンドプレート24bとに固定され、複数の積層された燃料電池14に積層方向(矢印B方向)の締め付け荷重を付与する。
図4に示すように、燃料電池14は、電解質膜・電極構造体32と、前記電解質膜・電極構造体32を挟持する第1金属セパレータ34及び第2金属セパレータ36とを備える。
第1金属セパレータ34及び第2金属セパレータ36は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。第1金属セパレータ34及び第2金属セパレータ36は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、第1金属セパレータ34及び第2金属セパレータ36に代えて、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
第1金属セパレータ34及び第2金属セパレータ36は、横長形状を有するとともに、長辺が水平方向(矢印A方向)に延在し且つ短辺が重力方向(矢印C方向)に延在するように構成される。なお、短辺が水平方向に延在し且つ長辺が重力方向に延在するように構成してもよい。
燃料電池14の長辺方向(矢印A方向)の一端縁部には、矢印B方向に互いに連通して、酸化剤ガス供給連通孔38a及び燃料ガス供給連通孔40aが設けられる。酸化剤ガス供給連通孔38aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する一方、燃料ガス供給連通孔40aは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給する。
燃料電池14の長辺方向の他端縁部には、矢印B方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔40bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔38bとが設けられる。
燃料電池14の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部一方側(水平方向一端側)には、すなわち、酸化剤ガス供給連通孔38a及び燃料ガス供給連通孔40a側には、2つの冷却媒体供給連通孔42aが設けられる。2つの冷却媒体供給連通孔42aは、冷却媒体を供給するために、矢印B方向にそれぞれ連通しており、対向する辺に上下に設けられる。
燃料電池14の短辺方向の両端縁部他方側(水平方向他端側)には、すなわち、燃料ガス排出連通孔40b及び酸化剤ガス排出連通孔38b側には、2つの冷却媒体排出連通孔42bが設けられる。2つの冷却媒体排出連通孔42bは、冷却媒体を排出するために、矢印B方向にそれぞれ連通しており、対向する辺に上下に設けられる。
電解質膜・電極構造体32は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜44と、前記固体高分子電解質膜44を挟持するカソード電極46及びアノード電極48とを備える。
カソード電極46及びアノード電極48は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜44の両面に形成される。
第1金属セパレータ34の電解質膜・電極構造体32に向かう面34aには、酸化剤ガス供給連通孔38aと酸化剤ガス排出連通孔38bとを連通する酸化剤ガス流路50が形成される。酸化剤ガス流路50は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
第2金属セパレータ36の電解質膜・電極構造体32に向かう面36aには、燃料ガス供給連通孔40aと燃料ガス排出連通孔40bとを連通する燃料ガス流路52が形成される。燃料ガス流路52は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
第2金属セパレータ36の面36bと隣接する第1金属セパレータ34の面34bとの間には、冷却媒体供給連通孔42a、42aと冷却媒体排出連通孔42b、42bとに連通する冷却媒体流路54が形成される。この冷却媒体流路54は、水平方向に延在しており、電解質膜・電極構造体32の電極範囲にわたって冷却媒体を流通させる。
第1金属セパレータ34の面34a、34bには、この第1金属セパレータ34の外周端縁部を周回して第1シール部材56が一体成形される。第2金属セパレータ36の面36a、36bには、この第2金属セパレータ36の外周端縁部を周回して第2シール部材58が一体成形される。
第1シール部材56及び第2シール部材58としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図3に示すように、第1エンドプレート24aには、酸化剤ガス供給マニホールド部材60a、酸化剤ガス排出マニホールド部材60b、燃料ガス供給マニホールド部材62a及び燃料ガス排出マニホールド部材62bが取り付けられる。酸化剤ガス供給マニホールド部材60a及び酸化剤ガス排出マニホールド部材60bは、酸化剤ガス供給連通孔38a及び酸化剤ガス排出連通孔38bに連通する。燃料ガス供給マニホールド部材62a及び燃料ガス排出マニホールド部材62bは、燃料ガス供給連通孔40a及び燃料ガス排出連通孔40bに連通する。
図2に示すように、第2エンドプレート24bには、一対の冷却媒体供給連通孔42aに連通する樹脂製の冷却媒体供給マニホールド部材64aが取り付けられる。第2エンドプレート24bには、一対の冷却媒体排出連通孔42bに連通する樹脂製の冷却媒体排出マニホールド部材64bが取り付けられる。
ケーシング16は、図3に示すように、車幅方向(矢印B方向)両端の2辺(面)が第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bにより構成される。ケーシング16の車長方向(矢印A方向)両端の2辺(面)は、横長プレート形状の前方サイドパネル66及び後方サイドパネル68により構成される。ケーシング16の車高方向(矢印C方向)両端の2辺(面)は、上方サイドパネル70及び下方サイドパネル72により構成される。上方サイドパネル70及び下方サイドパネル72は、横長プレート形状を有する。
前方サイドパネル66、後方サイドパネル68、上方サイドパネル70及び下方サイドパネル72は、第1エンドプレート24a及び第2エンドプレート24bの側部に設けられた各ねじ穴74に、各孔部76を介してねじ78を螺入して固定される。
図1及び図2に示すように、マウント構造10は、燃料電池スタック12を支持して第1車両フレーム部13R、13Lに固定する第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bを備える。第1側方マウント部80aは、断面L字状に屈曲する板部材82aを有し、前記板部材82aは、複数本のねじ84を介して第1エンドプレート24aの矢印Af方向前方側にねじ止めされる。
図5に示すように、第1側方マウント部80aは、燃料電池スタック12の車幅方向一端に板部材82aを介して固定される衝撃緩衝部、例えば、液封マウント86aを備える。板部材82aには、ねじ84を介して連結板88aが固定されるとともに、前記連結板88aは、図6に示すように、柱体部90aに固定される。
液封マウント86aは、柱体部90aを囲繞する衝撃緩衝部材、例えば、ゴム部材92aを有し、前記ゴム部材92aの下部側には、液封止部93aが形成される。液封マウント86aには、図1及び図5に示すように、前記液封マウント86aを第1車両フレーム部13Lに取り付ける2本以上、本実施形態では、2本の取り付け部94a、96aが設けられる。各取り付け部94a、96aは、互いに異なる長さに設定され、例えば、前記取り付け部94aは、前記取り付け部96aよりも長尺に構成される。
第2側方マウント部80bは、上記の第1側方マウント部80aと同様に構成される。同一の構成要素には、同一の参照数字aに代えてbを付し、その詳細な説明は省略する。第2側方マウント部80bは、第1車両フレーム部13Rにねじ止め固定される。なお、液封マウント86a、86bのいずれか一方のみを設けてもよく、又は、前記液封マウント86a、86bを用いることなく、後述する後方マウント部98に採用してもよい。
燃料電池スタック12を構成するケーシング16の剛性は、第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bのゴム剛性よりも高く設定される。ケーシング16の強度は、第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bのゴム強度よりも高く設定される。
図1に示すように、マウント構造10は、燃料電池スタック12よりも下方に配置される第2車両フレーム部(例えば、クロスメンバー)13SFを備え、前記第2車両フレーム部13SFに一対の後方マウント部98が固定される(図2参照)。燃料電池スタック12の鉛直方向下方には、該燃料電池スタック12の発電電力で駆動可能な走行用モータ100が配置される。走行用モータ100の前方側は、モータブラケット101を介して第2車両フレーム部13SFにねじ止めされる(図1参照)。
マウント構造10は、走行用モータ100の後方側を第2車両フレーム部13SFに固定するモータマウント部102を備える。モータマウント部102は、燃料電池固定部104とモータ固定部106とを上下に配置し、前記モータ固定部106の下部には、第2車両フレーム部13SFにねじ止めされる取り付け部108a、108bが設けられる。取り付け部108a、108bは、互いに異なる長さに設定される。
燃料電池固定部104には、ゴム部材109が配設され、一対の後方マウント部98がねじ止めされる。モータ固定部106には、走行用モータ100に装着されたブラケット部110がねじ止めされる。後方マウント部98は、モータマウント部102に一体に設けられるとともに、第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bは、前記後方マウント部98に先だって破断するように、該後方マウント部98よりも小さな強度に設定される。
後方マウント部98とモータマウント部102との間が切り離されることにより、該後方マウント部98と第2車両フレーム部13SFとの接続が解除される。第1側方マウント部80a、第2側方マウント部80b及び後方マウント部98は、例えば、アルミニウム合金等で形成される。
図2に示すように、マウント構造10の上面視で、第1側方マウント部80a、第2側方マウント部80b及び後方マウント部98により形成される仮想三角形112の重心Gtは、燃料電池スタック12の重心Gsと一致する。図1に示すように、マウント構造10の車幅方向側面視で、第1側方マウント部80a又は第2側方マウント部80bの一方(例えば、第1側方マウント部80a)と後方マウント部98とを結ぶ仮想直線113上に、燃料電池スタック12の重心Gsが配置される。
図1に示すように、第1車両フレーム部13L、13Rは、他の部分よりも強度が小さな衝撃吸収部112a、112bを有する。衝撃吸収部112a、112bは、例えば、フレーム部材を薄肉状に構成しており、第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bよりも車両前後方向前方に配置される。
第2車両フレーム部13SFの途上には、薄肉状に構成される衝撃吸収部114が設けられる。第2車両フレーム部13SFの先端には、燃料電池冷却用ラジエータ116が配置されるとともに、燃料電池スタック12は、前記ラジエータ116の後方に近接して配置される。燃料電池スタック12の車両前後方向後方の端部12eと隔壁部材13Wとの間には、燃料電池電気自動車13に外部荷重が付与された際、前記燃料電池スタック12が水平方向後方に移動して前記端部12eが前記隔壁部材13Wに当接可能な可動領域118が設けられる。
このように構成される燃料電池電気自動車13において、燃料電池スタック12の動作について、以下に説明する。
先ず、図3に示すように、第1エンドプレート24aの酸化剤ガス供給マニホールド部材60aから酸化剤ガス供給連通孔38aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。第1エンドプレート24aの燃料ガス供給マニホールド部材62aから燃料ガス供給連通孔40aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。
さらに、第2エンドプレート24bでは、図2に示すように、冷却媒体供給マニホールド部材64aから一対の冷却媒体供給連通孔42aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、図4に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔38aから第1金属セパレータ34の酸化剤ガス流路50に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路50に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体32のカソード電極46に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔40aから第2金属セパレータ36の燃料ガス流路52に供給される。燃料ガスは、燃料ガス流路52に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体32のアノード電極48に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体32では、カソード電極46に供給される酸化剤ガスと、アノード電極48に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、電解質膜・電極構造体32のカソード電極46に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔38bに沿って矢印B方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体32のアノード電極48に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔40bに沿って矢印B方向に排出される。
また、一対の冷却媒体供給連通孔42aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ34及び第2金属セパレータ36間の冷却媒体流路54に導入される。冷却媒体は、一旦矢印C方向内方に沿って流動した後、矢印A方向に移動して電解質膜・電極構造体32を冷却する。この冷却媒体は、矢印C方向外方に移動した後、一対の冷却媒体排出連通孔42bに沿って矢印B方向に排出される。
上記のように、燃料電池スタック12からの電力が走行用モータ100に供給されることにより、燃料電池電気自動車13が走行する。このため、燃料電池電気自動車13の走行時に、前記燃料電池電気自動車13自体に振動が発生し易い。
この場合、本実施形態では、図2に示すように、マウント構造10の上面視で、第1側方マウント部80a、第2側方マウント部80b及び後方マウント部98により形成される仮想三角形112の重心Gtは、燃料電池スタック12の重心Gsと一致している。従って、燃料電池電気自動車13の走行時に、前記燃料電池電気自動車13自体の揺動(振動)との位相差により、燃料電池スタック12の揺動(振動)が増幅されることがない。
これにより、燃料電池スタック12の揺動(振動)を良好に抑制することができ、前記燃料電池スタック12を安定して固定することができる。このため、簡単且つ経済的な構成で、燃料電池電気自動車13の操行安定性の向上を図ることが可能になる。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、マウント構造10の側面視で、第1側方マウント部80aと後方マウント部98とを結ぶ仮想直線113上に、燃料電池スタック12の重心Gsが配置されている。従って、燃料電池スタック12を安定して固定することができ、燃料電池電気自動車13の操行安定性の向上を図ることが可能になる。
さらにまた、本実施形態では、第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bには、液封マウント86a、86bが設けられている。これにより、図7に示すように、燃料電池電気自動車13に上下の揺動(振動)が発生した際には、ゴム部材92a、92bが潰れて圧縮され、燃料電池スタック12の入力を低減させることができる。このため、燃料電池スタック12の揺動(振動)が良好に低減される。
一方、図8に示すように、燃料電池電気自動車13が水平線Hに対して右側(矢印BR方向)を下方に向かって傾斜した際には、第1側方マウント部80aのゴム部材92aが潰れて圧縮される。従って、燃料電池スタック12が水平姿勢を維持することが可能になり、振動に対して、前記燃料電池スタック12を良好に保持することができる。
また、本実施形態では、第1側方マウント部80a及び第2側方マウント部80bが第1車両フレーム部13L、13Rに固定されるとともに、後方マウント部98が第2車両フレーム部13SFに固定されている。これにより、燃料電池スタック12は、燃料電池電気自動車13の揺動(振動)との位相差が生じることを抑制でき、操行安定性が向上するという利点がある。
10…マウント構造 12…燃料電池スタック
13…燃料電池電気自動車 13f…モータルーム
13L、13R、13SF…車両フレーム部
14…燃料電池 16…ケーシング
24a、24b…エンドプレート 32…電解質膜・電極構造体
34、36…金属セパレータ 38a…酸化剤ガス供給連通孔
38b…酸化剤ガス排出連通孔 40a…燃料ガス供給連通孔
40b…燃料ガス排出連通孔 42a…冷却媒体供給連通孔
42b…冷却媒体排出連通孔 44…固体高分子電解質膜
46…カソード電極 48…アノード電極
50…酸化剤ガス流路 52…燃料ガス流路
54…冷却媒体流路
60a…酸化剤ガス供給マニホールド部材
60b…酸化剤ガス排出マニホールド部材
62a…燃料ガス供給マニホールド部材
62b…燃料ガス排出マニホールド部材
64a…冷却媒体供給マニホールド部材
64b…冷却媒体排出マニホールド部材
80a、80b…側方マウント部 86a、86b…液封マウント
92a、92b…ゴム部材 93a…液封止部
94a、94b、108a、108b…取り付け部
98…後方マウント部 100…走行用モータ
101…モータブラケット 102…モータマウント部
112a、112b、114…衝撃吸収部
118…可動領域

Claims (3)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックを、燃料電池車両に搭載するための燃料電池スタックのマウント構造であって、
    前記燃料電池スタックは、前記燃料電池車両の車室よりも前方に設けられたモータルーム内に載置され、
    前記燃料電池スタックの車幅方向両端に設けられる第1側方マウント部及び第2側方マウント部と、
    前記燃料電池スタックの車両前後方向後方部に設けられる後方マウント部と、
    を備え、
    前記マウント構造の上面視で、前記第1側方マウント部、前記第2側方マウント部及び前記後方マウント部により形成される仮想三角形の重心は、前記燃料電池スタックの重心と一致し、
    且つ後方マウント部は、前記第1側方マウント部及び前記第2側方マウント部より車室側に設けられ
    前記第1側方マウント部及び前記第2側方マウント部は、上下方向に圧縮されることにより衝撃を緩衝する衝撃緩衝部を介して第1車両フレーム部に固定されるとともに、
    前記後方マウント部は、前記燃料電池スタックよりも下方に配置される第2車両フレーム部に締結固定されることを特徴とする燃料電池スタックのマウント構造。
  2. 請求項1記載のマウント構造において、前記マウント構造の車幅方向側面視で、前記第1側方マウント部又は前記第2側方マウント部の一方と前記後方マウント部とを結ぶ仮想直線上に、前記燃料電池スタックの重心が配置されることを特徴とする燃料電池スタックのマウント構造。
  3. 請求項1又は2記載のマウント構造において、前記第1側方マウント部及び前記第2側方マウント部の前記衝撃緩衝部は、液封マウントにより構成されることを特徴とする燃料電池スタックのマウント構造。
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